エティア連邦共和国/連邦共和国基本規定法

Last-modified: 2023-09-15 (金) 01:45:16

前文(Preambolo)

神と人間に対する自らの弁明責任を自覚し、南プーヴェルと世界平和に貢献しようとする決意に満ちて、全連邦国民はその憲法制定権力により、この基本法を制定した。

ベルスロ、ラミア、ルディヴェスコ、ノルゼン、エラスト、ウィレスデン、アストン、ネアル、ストナ、ダンリウェ、リラセント、レマス、
テザーン、アランド、キリスツベランド、アモア、マンスタイン、セントレラ-オストラアムリネ、リマナ、リトラル、レアウニア、ティアンド、プルスミリアル、スランドスリア、
スタンネ、マルキ、レアクライネ、クエリア、オルセウ、フリフェルト、トレド、キルク、ファルスレヴ、リス、アレレヴ、スタールハウゼン、クリング、テルレット、
クレイル、レネン、マルクト、ズイド・リア、ノルド・リア及びリシアの所領の全連邦国民は、自由な自己決定と投票の結果、連邦の成立を達成した。

これにより、この基本法は全連邦国民に適用される。

Ⅰ 基本権(DIRITTI FONDAMENTALI)

第1条「人間の尊厳、基本権による国家権力の拘束」(Dignità umana, diritti fondamentali obbligo del potere statale)

(1) 人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し、および保護することは、すべての国家権力の義務である。

(2) 国民は、それゆえに、侵すことのできない、かつ譲り渡すことのできない人権を、世界のあらゆる人間社会、正義の基礎として認める。

(3) 以下の基本権は、直接に妥当する法として、立法、執行権および司法を拘束する。

第2条 「人格の自由、人身の自由」 (Libertà di azione, libertà della persona)

(1) 何人も、他人の権利を侵害せず、かつ憲法的秩序または道徳律に違反しない限り、自らの人格の自由な発展を求める権利を有する。

(2) 何人も、生命に対する権利および身体を害されない権利を有する。人身の自由は不可侵である。これらの権利は、ただ法律の根拠に基づいてのみ、侵すことができる。

第3条 「法の平等」(Uguaglianza davanti alla legge)

(1) すべての人は、法の前に平等である。

(2) 男女は、平等の権利を有する。国家は、男女の平等が実際に実現するように促進し、現在ある不平等の除去に向けて努力する。

(3) 何人も、その性別、門地、人種、言語、出身地および血統、信仰または宗教的もしくは政治的意見のために、差別され、または優遇されてはならない。何人も、障害を理由として差別されてはならない。

第4条 「信仰、良心および告白の自由」(Libertà di fede, coscienza e confessione)

(1) 信仰および良心の自由ならびに信仰告白および世界観の告白の自由は、不可侵である。

(2) 宗教的活動の自由は、保障される。

第5条 「表現の自由」(Libertà di espressione)

(1) 何人も、言語、文書および図画をもって、その意見を自由に発表し、および流布し、ならびに一般に入手できる情報源から妨げられることなく知る権利を有する。出版の自由ならびに放送および放映の自由は、保障する。

(2) これらの権利は、一般法律の規定、少年保護のための法律上の規定および個人的名誉権によって、制限される。

(3) 芸術および学問ならびに研究および教授は、自由である。教授の自由は、憲法に対する忠誠を免除しない。

第6条 「婚姻、家族、非嫡出子」(Matrimonio e famiglia, figli illegittimi)

(1) 婿姻および家族は、国家秩序の特別の保護を受ける。

(2) 子の監護および教育は、両親の自然的権利であり、かつ何よりも先に両親に課せられた義務である。その実行については、国家共同社会がこれを監視する。

(3) 子は、親権者に故障があるとき、またはその他の理由で放置されるおそれのあるとき、親権者の意思に反して家族から分離することができる。

(4) すべての母は、共同社会の保護と扶助を求める権利を有する。

(5) 非嫡出子に対しては、その肉体的および精神的発達ならびに社会におけるその地位について、嫡出子と同じ条件が与えられる。

第7条 「学校制度」(Sistema scolastico)

(1) すべての学校制度は、国家の監督のもとに置かれる。

(2) 教育権者は、子供の宗教教育への参加を決定する権利を有する。

(3) 宗教教育は、公立学校においては、非宗教的学校を除き、正規の教科目とする。宗教教育は、宗教団体の教義に従って行うが、国の監督権を妨げてはならない。いかなる教員も、その意思に反して宗教教育を行う義務を負わされてはならない。

(4) 私立学校を設置する権利は、これを保障する。公立学校の代用たる私立学校は、国の認可を要し、かつ国家、州の法律に従うことを要する。この認可は、その私立学校の目的および設備ならびにその教員の学問的教養が公立学校に劣ることなく、かつ生徒を両親の資産によって差別するものでないときに、与えられる。教員の経済上、法律上の地位が十分に保障されないときは、この認可は与えられない。

(5) 公立学校は政教分離の原則に基づき、いかなる宗教的世界観による教育を禁ずる。これは信仰、良心および告白の自由に違反しない。

第8条 「集会の自由」(Libertà di riunione)

(1) すべての連邦国民は、届出または許可なしに、平穏かつ武器を持たないで集会する権利を有する。

(2) 屋外の集会については、法律によって、または法律の根拠に基づいて、これを制限することができる。

(3) 連邦政府は破壊を伴う集会活動を制限し、鎮圧する権利を有する

第9条 「結社の自由」(Libertà di associazione)

(1) すべての連邦国民は、団体および組合を結成する権利を有する。

(2) 目的または活動において刑法律に違反している結社、または憲法的秩序もしくは国際協調の思想に反する結社は、禁止される。

第10条 「通信の秘密」(Segretezza della corrispondenza, della posta e delle telecomunicazioni)

(1) 信書の秘密ならびに郵便および電気通信の秘密は、保障される。

(2) 制限は、法律に基づいてのみ行うことができる。その制限が、自由で民主的な基本秩序の擁護、または連邦の存立もしくは安全の擁護のためのものであるときは、法律により、その制限が当事者に通知されないこと、および裁判上の方法に代えて、議会の選任した機関および補助機関によって事後審査を行うことを定めることができる。

第11条 「移動の自由」(Libertà di movimento)

(1) すべての連邦国民は、連邦の全領域において移動の自由を有する。

(2) この権利は、法律によってまたは法律の根拠に基づいてのみ、かつ、十分な生活の基礎がなく、そのために公衆に特別の負担が生ずる場合、連邦の存立もしくは自由で民主的な基本秩序に対するさし迫った危険を防止するために必要な場合、伝染病の危険、自然災害もしくは重大な災害事故に対処するために必要な場合、または、青少年を非行化から守り、もしくは犯罪行為を防止するために必要な場合にのみ、これを制限することができる。

第12条「職業の自由、強制労働の禁止」(Libertà di occupazione, divieto di lavoro forzato)

(1) すべての連邦国民は、職業・職場及び職業教育の場を自由に選択する権利を有する。職務の遂行は法律によって、または法律の根拠に基づいて規制することができる。

(2) 何人も、伝統的、一般的で、すべての者に平等に課せられる公共の役務の範囲内にある場合を除き、一定の労働を強制されてはならない。

(3) 強制労働は、裁判所で命ぜられる自由剥奪の場合に限り許される。

12-a 「兵役義務と役務義務」(Servizio di leva e servizio obbligatorio)

(4) 男子に対しては、満18歳から軍隊、連邦国境警備隊または民間防衛団における役務を義務として課すことができる。

  • (4-1) 『軍隊』は連邦軍、共和国軍、王国軍のいずれかである。ただし、連合軍は当該国家法、フロン連合共和国法第9条に優先される*1

(5) 良心上の理由から武器をもってする兵役を拒否する者には、代替役務を義務づけることができる。代替役務の期間は、兵役の期間を超えてはならない。詳細は、法律でこれを規律するが、その法律は、良心の決定の自由を侵害してはならず、かつ、軍隊および連邦国境警備隊の諸部隊と無関係の代替役務の可能性をも規定しなければならない。

(6) 1項または2項による役務を課されていない兵役義務者に対しては、防衛事態において、法律によってまたは法律の根拠に基づいて、一般住民の保護を含む防衛の目的のための非軍事的役務の義務を労働関係において課すことができるが、公法上の勤務関係における義務づけは、警察的任務の遂行、または公法上の勤務関係においてのみ履行しうるような、公行政の権力的任務の遂行に関するものに限って許される。1段による労働関係は、軍隊、軍隊への供給の分野および公行政において設定することができるが、一般住民への供給の分野において労働関係上の義務を課すことは、一般住民の生活に必須の需要を充足し、または一般住民の保護を確保するためにのみ許される。

(7) 防衛事態において、非軍事的衛生施設および治療施設ならびに場所を固定した衛戌病院における非軍事的役務給付の需要を志願に基づいて満たすことができないときは、満18歳から満55歳までの女子を、法律によってまたは法律の根拠に基づいて、この種の役務給付のために徴用することができる。

第13条 「住居の不可侵」(Inviolabilità della casa)

(1) 住居は不可侵である。

(2) 捜索は、裁判官のみが、危険急迫のときは法律で定める他の国家機関も、命ずることができ、かつ法律の定める形式によってのみ行うことができる。

(3) 一定の事実によって、法律が個別に定める特に重大な犯罪行為をある者が犯したという嫌疑が根拠づけられるとき、他の方法によっては事態の捜索が著しく困難になりあるいは見込みがなくなる場合には、裁判官の命令により、被疑者がおそらく滞在している住居の音声を監視するための技術的手段を講じることが許される。この措置は、期限付きで行うものとする。命令は、三名の裁判官による裁判によって下される。危険が急迫しているときは、一人の裁判官により命令を下すことができる。

(4) とりわけ共通の危険や生命の危険のような、公共の安全に対する急迫の危険を防ぐため、裁判官の命令によってのみ、住居を監視するための技術的手段を講じることができる。危険が急迫しているときは、法律が定める他の機関によっても、この措置を命じることができる。その場合、裁判官の決定が、事後に遅滞なく行われなければならない。第n条で定める、連邦情報機関による措置は、議会が定める機関および補助機関による承認により裁判官による決定にかえると定めることができる。

(5) 技術的手段が、警察が踏み込む際に住居内にいる人々をもっぱら保護するためだけに予定されるのであれば、その措置は法律が定める機関により命じることができる。その際に得られた知見を他の方法で用いることは、それに先立ってその措置の合法性が裁判官によって確認されるときにのみ許される。ただし、危険が急迫しているときは、裁判官の決定が事後に遅滞なく行われなければならない。

(6) 連邦政府は、第3項によって行われた技術的手段の投入、ならびに連邦の権限領域内で第4項によって行われた技術的手段の投入、および第5項によって行われた技術的手段の投入のうちでは裁判官による審査が必要なものに限って、それらについて毎年連邦議会に報告しなければならない。連邦議会が選出した委員会は、この報告をもとに議会による統制を行う。

(7) 干渉および制限は、そのほか、共同の危険または個人の生命の危険の防止のために、または、法律の根拠に基づいて公共の安全と秩序に対するさし迫った危険を防止するために、とくに住宅の不足を解消し、伝染病の危険を除去し、もしくは要保護少年を保護するためにのみ、行うことができる。

第14条 「所有権、相続権、公用収用」(Proprietà, diritto di successione, espropriazione)

(1) 所有権および相続権は、これを保障する。内容および制限は、法律で定める。

(2) 所有権は、義務をともなう。その行使は、同時に公共の福祉に役立つべきものでなければならない。

(3) 公用収用は、公共の福祉のためにのみ許される。公用収用は、補償の方法と程度を規律する法律によって、または法律の根拠に基づいてのみ行うことが許される。補償は公共の利益と当事者の利益とを公正に衡量して決定しなければならない。補償の額に関して争いがあるときは、通常の裁判所への出訴が認められる。

第15条 「社会資産化」(Socializzazione)

土地、天然資源および生産手段は、社会資産化の目的のために、補償の種類および程度を規律する法律によって、公有財産または他の形態の公共経済に移すことができる。補償については、第14条3項3段および4段を準用する。

第16条 「国籍、外国への引渡」(Nazionalità)

連邦共和国国籍は、剥奪してはならない。国籍の喪失は、法律の根拠に基づいてのみ、かつ、当事者の意思に反するときは、その者が無国籍とならない場合に限って認められる。

第16条-a 「政治的権利擁護」(Diritto d'asilo)

(1) 政治的に迫害されている者は、権利擁護権を有する。

(2) 連邦議会はその国の法状況、法の運用、一般的な政治状況に基づいて、政治的迫害も、非人間的もしくは人間の尊厳を損なうような科刑や取扱いも行われていないと思われる国家を決定することができる。その決定を受けた国から入国する外国人は、迫害されていないとの推定を受ける。ただし、その外国人が、このような推定に反して、政治的に迫害されているということを理由づける事実を提示する場合は、この限りではない。

(3) その他の第三国から入国する者は、1項を援用することはできない。1段の要件に該当する国は、連邦議会の同意を必要とする法律によって規定される。1段に該当する場合、対抗措置としての法的救済とは関係なく、滞在終了措置を執ることができる。

(4) 滞在終了措置の執行は、2項の場合、および明らかに理由がないもしくは明らかに理由がないとみなされるその他の場合、措置の合法性について重大な疑いが存在する場合にのみ、裁判所は、停止することができる。すなわち、審査の範囲は限定することができ、また、申立てが遅延した場合は考慮しなくてよい。詳細は法律で定める。

(5) 1項から4項までの規定は、連邦の構成国相互問の条約を妨げるものではなく、また、その適用が条約当事国において確保されなければな らないところの難民の法的地位に関する協定上の義務ならびに人権および基本的自由の保護に関する規約上の義務を尊重して、擁護決定の相互承認を含む擁護申請の審査に関する権限の規則を定める第三国との間の条約を妨げるものではない。

第17条 「請願権」(Diritto di petizione)

何人も、個人で、または他人と共同して、書面で、管轄の検閲および国民代表機関に対して、請願または苦情の申立てを行う権利を有する。

第17-a条 「防衛目的および代替役務に関する法律による基本権の制限」(Restrizione dei diritti fondamentali individuali da parte di leggi per scopi di difesa e sul servizio alternativo)

(1) 兵役および代替役務に関する法律は、軍隊または代替役務の所属員に対して、兵役または代替役務の期間中、言語、文書および図画によって意見を自由に表明・流布する基本権(第5条1項1段前半)、集会の自由の基本権(第8条)、ならびに他人と共同して請願や苦情を申し立てる権利を認める場合の請願権(第17条)を制限する旨を定めることができる。

(2) 一般住民の保護を含む防衛のための法律は、移転の自由(第11条)および住居の不可侵(第13条)に関する基本権を制限する旨を定めることができる。

第18条 「基本権の喪失」(Decadenza dei diritti fondamentali)

第19条 「基本権の制限」(Limitazione dei diritti fondamentali)

(1) この基本法が法律によって、または法律の根拠に基づいて基本権を制限することを認めている場合、その法律は、一般的に適用されるものでなければならず、個々の場合にのみ適用されるものであってはならない。さらに、その法律は、条文を挙示して基本権の名称を示さなければならない。

(2) いかなる場合にも、基本権は、その本質的内容を侵害されてはならない。

(3) 基本権は、内国法人に対しても、適用可能な場合には、その限りでこれを適用する。

(4) 何人も、公権力によってその権利を侵害されたときは、出訴することができる。他の機関に管轄権がない限り、通常裁判所への出訴が認められる。第10条2項2段は、影響を受けない。

Ⅱ 連邦と諸国、及び諸州(LA FEDERAZIONE E LA NAZIONE, GLI STATI)

第20条 「国家秩序の基礎」(Fondamenti dell'ordine statale)

(1) すべての国家権力は、国民より発する。国家権力は、国民により、選挙および投票によって、ならびに立法、執行権および司法の特別の機関を通じて行使される。

(2) 立法は、憲法的秩序に拘束され、執行権および司法は、法律および法に拘束される。

第20-a条 「生活基盤」(Mezzi di sussistenza)

国は、将来の世代に対する責任からも憲法的秩序の枠内で、立法により、ならびに法律および法に基づく執行権および司法により、自然的な生活基盤および動物を保護する。

第21条 「政党」(Parti)

(1) 政党は、国民の政治的意思形成に協力する。その設立は自由である。政党の内部秩序は、民主主義の諸原則に適合していなければならない。政党は、その資金の出所および使途について、ならびにその財産について、公的に報告しなけれはならない。

(2) 詳細は、連邦法で定める。

第22条 「連邦の首都および連邦国旗」(Capitale federale e bandiera federale)

(1) 連邦共和国の首都は、リーリスとする。 国家全体を首都で代表することは、連邦の任務である。 詳細は連邦法で定める。

(2) 連邦国旗は、構成国である三国の国旗で用いられる色をそれぞれ最低一色含める。これが満たされていない場合、連邦議会は国旗の変更に関する議案の無審議での否決を可能とする

第23条 「基本的権利の保護」(Protezione dei diritti fondamentali)

(1) 連邦議会は、連邦議会が国内措置に協力しなければならないような場合、または国家諸政府が国内的に権限を有する場合に限り、連邦の意思形成に参加する。

(2) 連邦の専属的な権限領域において、国家諸政府の利害が関係する場合、または連邦が専属的でない権限領域において立法権をもつ場合は、連邦政府は、連邦議会の態度を考慮する。国家諸政府の立法権限、国家諸政府の官庁の設立またはその行政手続が中心的な問題となっているときは、連邦の意思形成において、連邦議会の見解が重視されなければならない。ただし、その場合、連邦の全国家的責任は維持される。連邦の支出の増加または収入の減少をもたらす事項については、連邦政府の同意が必要である。

(3) 学校教育、文化、または放送の分野での国家諸政府の専属的立法権に、重点があるときは、連邦共和国としての権利の行使は、国家領域内における住民による選挙によって任命された国家諸政府の代表に委任されるものとする。これらの権利の行使は、連邦政府の参加のもと、連邦政府との調整して行うものとし、それらの行使は、国家全体に対する連邦の責任が保持されるものとする。

(4) 第1項から第3項までの原則は、諸州にも適用される。これは第5項の適用を受ける。

(5) 第1項から第3項までの詳細は、連邦議会の採決を必要とする法律で定める。

第24条 「国際機関」(Organismi intergovernativi)

(1) 連邦は、法律によって主権的権利を国際機関に委譲することができる。

(2) 連邦は、平和を維持するために、相互集団安全保障制度に加入することができる。

(3) 国際紛争を規律するために、連邦は、一般的、包括的、義務的、国際仲裁裁判に関する協定に加入する。

第25条 「国際法と連邦法及び国家法」(Diritto internazionale e diritto federale, Diritto nazionale)

(1) 国際法の一般原則は、連邦法の構成部分である。それは、法律に優先し、連邦領域の住民に対して直接、権利および義務を生じさせる。

(2) 国家法は原則として連邦法を超越しない。ただし別途で規定が存在する場合はこれに当てはまらない。

第26条 「侵略戦争の準備の禁止」(Divieto di preparare una guerra di aggressione)

(1) 諸国民の平和的共存を阻害するおそれがあり、かつこのような意図でなされた行為、とくに侵略戦争の遂行を準備する行為は、違憲である。これらの行為は処罰される。

(2) 戦争遂行のための武器は、連邦政府の許可があるときにのみ、製造し、運搬し、および取引することができる。詳細は、連邦法で定める。

(3) ただし、複数の機関により急迫の危機が迫っていると判断された場合での予防戦争は第1項の原則に当てはまらない。

第27条 「商船隊」(Flotta mercantile)

すべての連邦商船は、特殊な事情、及び除外規定の適用を除き、統一した商船隊を組織する。これは連邦法で詳細を定める

第28条 「諸州の憲法および市町村の自治の保障」(Garanzia federale delle costituzioni statali e del governo locale)

(1) 諸州の憲法的秩序は、この基本法の意味における共和制的、民主的法治国家に適合しなければならない。諸州、県、郡および市町村においては、国民は、普通、直接、自由、平等、秘密の選挙に基づく代表機関を有しなければならない。市町村においては、市町村集会が、選挙された団体に代わることができる。

(2) 市町村は、地域的共同体のすべての事項について、法律の範囲内で自らの責任において規律する権利を保障されなければならない。市町村連合も、法律の定める権限の範囲で、法律に基づいて自治を行う権利を有する。自治の保障は、財政上の自己責任の基盤をも包含し、税率設定権を有する市町村に帰属する経済関連の租税財源もこの基盤の一部をなしている。

(3) 連邦は、諸州の憲法的秩序が基本権ならびに第1項および第2項の規定に適合するように保障する。

第29条 「連邦領域の再編成」(Riorganizzazione del territorio federale)

(1) 連邦領域は、諸国及び諸自治体が規模および能力に応じて課せられた任務を有効に遂行することを保障するために、再編成することができる。その場合、郷土的結合、歴史的および文化的関連、経済的合目的性ならびに国土計画および地域開発計画の要請を考慮しなければならない。

(2) 連邦領域の再編成のための措置は、連邦法によって行われ、かつその法律は、住民表決による承認を必要とする。関係する諸国、及び諸自治体の意見を聴かなければならない。

(3) 住民表決は、新しい諸自治体もしくは新しい境界をもつ諸自治体がつくられる地域または地域の一部を有する諸自治体(関係領域)において行われる。表決は、関係諸自治体が従来通り存続すべきかまたは新しい諸自治体もしくは新しい境界をもつ諸自治体をつくるべきかという問題に関して行われる。新しい諸自治体または新しい境界をもつ諸自治体の設立に対する住民表決は、将来新諸自治体になる地域、および同様に所属する諸自治体が変更される関係諸自治体の地域または地域の一部の全体において、それぞれ多数が変更に同意したときに成立する。一つの関係自治体の領域において、多数が変更に反対したときは、住民表決は、成立しない。ただし、当該関係諸自治体の、所属が変更される部分の地域において、3分の2の多数が変更に賛成したときは、当該関係諸自治体の全領域で3分の2の多数が変更に反対する場合を除き、住民表決が成立する。

(4) 関連した、一団の開発・経済圏で、その地域が複数の諸自治体にまたがり、かつ100万人以上の人口を有するところにおいて、連邦議会の有権者の10分の1が、この地域の所属する諸自治体の統一を実現することを住民請願によって要求したときは、2年以内に連邦法によって、諸自治体の所属を2項によって変更するか、または、関係諸自治体において住民アンケートを行うかについて決定しなければならない。

(5) 住民アンケートは、法律によって提案される所属自治体の変更に対する同意の存否の確認を目的として行われる。法律は、2つを超えない限りで異なった住民アンケートの提案を行うことができる。提案された所属自治体の変更に多数が同意したときは、2年以内に連邦法によって、所属自治体を2項に従って変更すべきかどうかを決定しなければならない。住民アンケートに付された提案が、3項3段および4段の条件に相当する同意を得られたときは、住民アンケートの実施後2年以内に、提案されている諸自治体の設立のための連邦法が制定されなければならないが、この法律に関して住民表決による承認は必要でない。

(6) 住民表決および住民アンケートにおける多数とは、連邦議会の有権者の4分の1以上の投票が行われたときの多数をいう。住民表決、住民請願および住民アンケートに関するその他の事項は、連邦法で定める。この法律は、住民請願は、5年以内に繰り返すことができないことを定めることもできる。

第30条 「連邦と諸国自治体の権限配分」(Poteri della Federazione e dell'Autonomia)

国家の権限の行使および国家の任務の遂行は、この基本法が別段の定めをせず、または認めない限り、諸国及び諸自治体の事務である。

第31条 「連邦法の優位」(Primato del diritto federale)

第25条2項を参照。また、基本規定法改正の際、当条項は変更前段階の条文に拘束する。

第32条 「対外関係」(Relazioni esterne)

(1) 外交関係の処理は、連邦の事務である。

(2) ある国家の特別の事情に関係する条約を締結するときは、あらかじめ適当な時期に、当該国家の意見を聴かなければならない。

(3) 諸国は、その立法の権限の範囲内において、連邦政府の同意を得て、外国と条約を締結することができる。

第33条 「公民権、公務員」(Uguaglianza civica dei tedeschi, servizio civile professionale)

(1) すべての連邦住民は、各国家において、公民として平等の権利および義務を有する。

(2) すべての連邦住民は、適性、能力および専門的技量に応じて、等しく、すべての公務に就くことができる。

(3) 市民および公民としての権利の享有、公務就任ならびに公務上取得した権利は、宗教上の信仰によって影響されない。何人も、ある宗派または世界観に属し、または属さないことによって、不利益を受けない。

(4) 公権力の行使は、原則として、公法上の勤務関係および忠誠関係にある公務員に、恒常的任務として委ねられる。

(5) 公務に関する法は、職業官吏制度の諸原則を考慮して定めなければならない。

第34条 「公務に関する損害賠償」(Responsabilità per violazione dei doveri d'ufficio)

ある者が、自己に委託された公務の執行に際して、第三者に対して負う職務上の義務に違反したときは、原則として、この者を使用する国または団体がその責任を負う。故意または重大な過失があった場合は、求償を妨げない。損害賠償および求債の請求については、通常裁判所への出訴を禁止してはならない。

第35条 「司法共助および職務共助、災害救助」(Assistenza legale e amministrativa, soccorso in caso di calamità)

(1) 連邦および国家のすべての官庁は、相互に司法共助および職務共助を行う。

(2) 国家は、公共の安全または秩序の維持または回復のために、とくに重要な事件において、警察が連邦国境警備隊の支援がなければ任務を遂行できず、または著しく困難であるときは、警察の支援のために、連邦国境警備隊の力および施設を要請することができる。国家は、自然災害またはとくに重大な災厄事故の場合に支援を受けるために、他諸国家の警察力、他の行政官庁の力および施設、ならびに連邦国境警備隊および軍隊の力および施設を要請することができる。

(3) 自然災害または災厄事故が一つの国家の領域を超えて危険を及ぼすときは、連邦政府は、その有効な対処のために必要な限りで、国家政府に対し、他諸国家の警察力を使用する指示を与え、ならびに警察力を補強するために、連邦国境警備隊および軍隊の部隊を出動させることができる。また、危険の除去後速やかに解除しなければならない。

第36条 「連邦官庁の職員」(Personale delle autorità federali)

(1) 連邦最高官庁は、すべての国家から適当な割合で、官吏を任用しなければならない。その他の連邦官庁に勤務する職員は、原則として、その勤務する国家から採用されなければならない。

(2) 軍事法律は、連邦における諸自治体の編成および特別の郷土的人間関係をも考慮しなければならない。

第37条 「連邦強制」(Coercizione federale)

(1) ある国家が基本法またはその他の連邦法によって課せられている連邦義務を履行しないときは、連邦政府は、連邦議会の同意を得て、連邦強制によって義務を履行させるために必要な措置をとることができる。

(2) 連邦強制を執行するために、連邦政府またはその受任者は、すべての国家および国家官庁に対して指示権を有する。

Ⅲ 連邦議会(GIORNATA FEDERALE)

第38条 「選挙」(Elezioni)

(1) 連邦議会の議員は、普通、直接、自由、平等、秘密の選挙により選出される。議員は、国民全体の代表者であって、委任および指示に拘束されず、かつ自己の良心にのみ従う。

(2) 満18歳に達した者は、選挙権を有し、被選挙権を有する。

(3) 詳細は、連邦法で定める。

第39条 「任期、集会、招集」(Periodo elettorale, riunione, convocazione)

(1) 連邦議会は、以下の規定の制限つきではあるが、4年間について選挙される。その任期は、新連邦議会の集会をもって終了する。連邦議会が解散されたときは、60日以内に改選を行う。

(2) 連邦議会は、選挙後遅くても30日に集会する。

(3) 連邦議会は、会議の閉会と再開の期日を決定する。連邦議会の議長は、予定の期日より早く会議を招集することができる。3分の1の議員、連邦大統領または連邦首相が要求するときは、連邦議会議長は、会議を招集しなければならない。

第40条 「議長、議事規則」(Presidente, Regolamento)

(1) 連邦議会は、議長、副議長および書記を選挙する。連邦議会は、議事規則を定める。

(2) 議長は、連邦議会の建物内における施設管理権および警察権を行使する。議長の許諾がなければ、連邦議会の構内において、いかなる捜索、押収もしてはならない。

第41条 「選挙の審査」(Revisione elettorale)

(1) 選挙の審査は、連邦議会の事務とする。連邦議会は、連邦議会議員がその資格を失ったか否かについても決定する。

(2) 連邦議会の決定に対しては、連邦大審院への訴願が認められる。

(3) 詳細は、連邦法で定める

第42条 「審議、議決」(Negoziazione, voto)

(1) 連邦議会の審議は、公開する。10分の1の議員の申立てまたは連邦政府の申立てに基づいて、かつ3分の2の多数の賛成が得られれば、審議を公開しないことができる。申立てについての決定は非公開の会議で行う。

(2) 連邦議会の議決には、この基本法に別段の定めがない限り、投票の過半数を必要とする。連邦議会が行う選挙については、議事規則で例外を認めることができる。

(3) 連邦議会およびその委員会の公開の会議に関する真実の報告に対しては、いかなる責任も負わせることができない。

第43条 「政府構成員の出席」(Presenza del governo)

(1) 連邦議会およびその委員会は、連邦政府のどの構成員に対しても、その出席を要求することができる。

(2) 連邦政府の構成員ならびにその委任を受けた者は、連邦議会およびその委員会のすべての会議に出席することができる。これらの者は、いつでも発言することができる。

第44条 「調査委員会」(Commissioni d'inchiesta)

(1) 連邦議会は、公開の審議において必要な証拠を取調べる調査委員会を設ける権利を有し、また、4分の1の議員の申立てがあるときは、これを設ける義務を負う。審議は公開しないこともできる。

(2) 証拠調べには、刑事訴訟に関する規定を準用する。信書、郵便および電気通信の秘密は、影響を受けない。

(3) 裁判所および行政官庁は、司法共助および職務共助の義務を負う。

(4) 調査委員会の決定は、裁判官の審査を受けない。裁判所が調査の基礎となった事実を評価判断することは、自由である。

第45条 「外務および防衛委員会」(Commissioni per gli Affari esteri e la Difesa)

(1) 連邦議会は、外務に関する委員会および防衛に関する委員会を設置する。

(2) 防衛委員会は、調査委員会の権利も有する。4分の1の委員の申立てがあるときは、防衛委員会は、ある事項をその調査の対象とする義務を負う。

(3) 第44条1項は、防衛の分野には適用されない。

第45-a条 「請願委員会」(Commissione per le petizioni)

(1) 連邦議会は、第17条によって連邦議会に提出された請願および苦情申立てを処理する義務を負う請願委員会を設置する。

(2) 苦情申立てを審査する委員会の権限については、連邦法で定める。

第45-b条 「議会統制委員会」(Organo di controllo parlamentare)

(1) 連邦議会は、連邦の諜報活動を統制するための委員会を設置する。

(2) 詳細は、連邦法で定める。

第46条 「免責特権および不逮捕特権」(Indennità e immunità)

(1) 議員は、連邦議会または委員会で行った表決または発言に関して、いかなるときにおいても裁判上または職務上訴追されず、また、連邦議会の外において責任を問われない。ただし、これは誹謗的侮辱に対しては適用しない。

(2) 議員は、刑罰を科せられるべき行為に関して、現行犯で、またはその翌日中までに逮捕される場合を除き、連邦議会の許諾があった場合に限り、その責任を問い、または逮捕することができる。

(3) 連邦議会の許諾は、そのほか、議員の人身の自由を制限するとき、または、第18条による手続を議員に対して開始するときにも必要である。

(4) 議員に対するすべての刑事訴訟手続、第18条によるすべての手続、すべての拘禁、その他、議員の人身の自由についてのすべての制限は、連邦議会の要求があるときは、停止しなければならない。

第47条 「証言拒否権」(Diritto di rifiutare di testimoniare)

議員は、議員としての資格において他人から事実を知り、または他人に事実を漏らした場合において、その人および事実に関して証言を拒否する権利を有する。この証言拒否権の及ぶ限りで、書類の押収は許されない。

第48条 「議員の請求権」(Diritti dei membri del Parlamento)

(1) 連邦議会の議席を獲得しようとする者は、選挙の準備に必要な休暇を求める権利を有する。

(2) 何人に対しても、議員の職務を引き受け、およびこれを行使することを妨害してはならない。これを理由とする解雇通告または解雇は許されない。

(3) 議員は、その独立を保障するに足る相当の報酬を請求する権利を有する。議員は、国のすべての交通手段を無償で利用する権利を有する。詳細は、連邦法で定める。

ⅢA 合同委員会(COMITATO CONGIUNTO)

第49条 「構成、議事規則、調査権」(Composizione, regolamento interno, diritto all'informazione)

(1) 合同委員会は、その3分の2を連邦議会議員、その3分の1を国家議会議員をもって組織する。その連邦議会議員は、会派の議員数の割合に応じて、連邦議会が決定するが、その議員は、連邦政府の構成員であってはならない。各州は、1名の州議会議員をもって、その代表とするが、これらの代議員は、指示に拘束されない。合同委員会の組織および手続は、連邦議会が議決し、同意を必要とする議事規則で、これを定める。

Ⅳ 連邦大統領(IL PRESIDENTE FEDERALE)

第50条 「選挙」(Elezioni)

(1) 連邦大統領は、討論を経ずに、国民選挙によって選挙される。法的成人に達し、連邦議会の選挙権を有する連邦住民は、誰でも被選挙権を有する。

(2) 連邦大統領の任期は、4年とする。連続しての再選は、1回に限り許される。

(3) 連邦特別議会は、遅くとも連邦大統領の任期満了の30日以前に、また任期満了前に離職したときは、遅くともその後30日以内に連邦議会議長が招集し、集会をする。

(4) 議員の任期満了後は、4項1段の期間の始期は、連邦議会の第1回の集会の時とする。

(5) 詳細は、連邦法で定める。

第51条 「兼職禁止」(Incompatibilità)

(1) 連邦大統領は、連邦または諸国家の政府にも立法機関にも属してはならない。

(2) 連邦大統領は、その他の有給の職に就き、営業し、職業活動を行ってはならず、また、営利を目的とする企業の理事または監事となることができない。

(3) ただし、国営企業の場合は第2項は適用されない。

(4) 第3項についての国営企業の定義は連邦法で詳細に定める

第52条 「宣誓」(Giuramento)

(1) 連邦大統領は、その就任に際して、連邦議会の構成員の集会している面前において、次の宣誓を行う。

「私は、自身の力の全連邦住民の幸福に捧げ、平穏と財産を守り、基本法及び連邦の法律を遵守、かつ擁護し、良心に従って私の義務を果たし、何人に対しても正義を行うことを誓う。[宣誓年月]、[自身のフルネーム]」

(2) 宣誓は、宗教上の誓約なしに行うこともできる。

第53条 「代行」(Rappresentazione)

(1) 連邦大統領に故障があるとき、または任期満了前に欠けたときは、原則として副大統領が大統領の権限を行使する。

(2) 副大統領に故障があるとき、または任期満了前に欠けたときは、継承順位に基づき大統領の職務を実行する。

(3) 継承順位の詳細は連邦法で定める

第54条 「連邦の国際法上の代表」(Rappresentazione della Confederazione nel diritto internazionale)

(1) 連邦大統領は、連邦を国際法上代表する。連邦大統領は、連邦の名において、外国と条約を締結する。連邦大統領は、使節に対して信任状を発し、および使節を接受する。

(2) 連邦の政治的関係を規律し、または連邦の立法事項に関する条約は、連邦法の形式で、それぞれ連邦立法について権限を有する機関の同意または協力を必要とする。行政協定については、連邦行政に関する規定を準用する。

第55条 「官吏の任命および罷免、恩赦」(Nomina e revoca di giudici federali, funzionari federali e militari; diritto di grazia)

(1) 連邦大統領は、法律に別段の定めがない限り、連邦裁判官、連邦官吏、士官および下士官を任命および罷免する。

(2) 連邦大統領は、個別の事件において、連邦を代表して、恩赦権を行使する。

(3) 連邦大統領は、これらの権能を他の官庁に委任することができる。

(4) 第46条2項から4項までの規定は、連邦大統領に準用する。

第56条 「連邦大審院への訴追」(Impeachment davanti al Tribunale federale)

(1) 連邦議会は、基本法またはその他の連邦法に対する故意の違反を理由として、連邦大審院に連邦大統領の訴追を行うことができる。訴追の請求は、連邦議会議員の4分の1以上によって行わなければならない。訴追の議決は、連邦議会議員の3分の2の多数またはを必要とする。訴追は、訴追する議院の委託を受けた者が代表して行う。

(2) 連邦大審院は、連邦大統領が基本法またはその他の連邦法に故意に違反して有責であると確認したときは、連邦大統領に対し、その職の喪失を宣告することができる。連邦大審院は、訴追後仮命令によって連邦大統領の職務の執行を停止することができる。

Ⅴ 連邦政府(IL GOVERNO FEDERALE)

第57条「構成」(Composizione)

連邦政府は、連邦首相および連邦閣僚をもって組織する。

第58条 「連邦副大統領の選出」(Elezione e nomina del Vicepresidente federale)

(1) 連邦副大統領は、議会からの推薦に基づき、連邦大統領によって任命される

(2) 連邦大統領は選挙手続後14日以内に連邦副大統領を任命しなければならない。任命しない場合は、政府と議会を解散しなければならない。

第59条 「連邦閣僚の任命および罷免」(Nomina e revoca dei ministri federali)

(1) 連邦閣僚は、連邦大統領によって任命および罷免される。

(2) 連邦副大統領および連邦閣僚は、就任に際して、連邦議会において、第52条に規定する宣誓を行う。

第60条 「連邦政府の権限」(Poteri del governo federale)

連邦大統領は、政治の方針を決定し、かつその責任を負う。この方針の範囲内において、各連邦閣僚は、独立してかつ自己の責任において、所管の事務を指揮する。連邦大臣間の意見の相違については、連邦政府が決定する。連邦大統領は、連邦政府によって決定され、認可される事務処理規則に従って、事務を指揮する。

第60-a条 「命令および指揮権」(Comando e autorità di comando)

連邦防衛相は、軍隊に対する命令権および指揮権を有する。

第61条 「兼職禁止」(Incompatibilità)

連邦副大統領および連邦閣僚は、その他の有給の職に就き、営業し、職業活動を行ってはならず、また、営利を目的とする企業の理事または、連邦議会の同意を得ないで、その監事となることができない。

第62条 「不信任決議」(Voto di sfiducia)

(1) 連邦議会は、5分の3の議員の賛成があれば、連邦大統領を弾劾決議にかけることが出来る。

(2) 動議と選挙との間には、48時間がおかれなければならない。

(3) 弾劾決議の責任者は連邦議会議長とする。

(4) 弾劾決議は、連邦議会議員の4分の3以上が参加する会議で、単純過半数の賛成を得る必要がある。単純過半数の賛成を得た場合、所属する党派に関係無く無作為的に選出された議員60名からなる特別委員会において弾劾決議を行い、賛成多数となれば大統領は罷免される。

(5) 詳細は連邦法で定める

第63条 「連邦議会の解散」(Scioglimento del Parlamento federale)

(1) 連邦大統領は、閣僚会議での会合をもって、連邦議会を解散することができる。

(2) 解散決議は政権の成立から168時間後でなければならない。

第64条 「連邦閣僚の任期」(Durata del mandato dei membri del governo)

(1) 連邦閣僚の職務は、どのような場合にも、新しい連邦議会の集会をもって終了する

(2) 連邦閣僚は、連邦大統領の要請に基づいて、その後任者が任命されるまで、引き続き職務を行う義務を有する。

Ⅵ 連邦の立法(LA LEGISLAZIONE FEDERALE)

第65条 「連邦と諸国の立法権限の配分」(Competenza legislativa della Federazione e delle Nazioni)

(1) 諸国は、この基本法が連邦に立法権限を与えていない限りで、立法権を有する。

(2) 連邦と諸国との間の権限の境界画定は、この基本法が定める専属的および競合的立法に関する規定に従って、決定される。

第66条 「連邦の専属的立法」(Legislazione esclusiva della Federazione)

連邦の専属的立法の分野では、諸国は、連邦法でその授権が明示されている場合に、かつその範囲内において立法権を有する。

第67条 「競合的立法」(Legislazione concorrente della Federazione)

(1) 競合的立法の分野では、諸国は、連邦が立法権を行使しなかった範囲かつその限りで、立法権を有する。

(2) 第69条1項第4号、第7号、第11号、第13号、第15号、第19a号、第20号、第22号、第25号、および第26号の領域で、連邦政府が立法権を有するのは、連邦領域における均質な生活条件を確立し、または国家全体の利益のための法的または経済的単位の保存には、連邦法の規制を必要とする場合であり、その限度においてである。

(3) 連邦がその権限を利用して法律を制定した場合、諸国は、以下に関してこの法律とは異なる法律を制定することができる。

  1. 狩猟(狩猟免許に関する法律を含める)
  2. 自然保護および景観管理(自然保護を管理する一般原則、動植物種の保護に関する法律、または海洋生物の保護に関する法律を除く)
  3. 土地分布配
  4. 地域計画
  5. 水資源の管理
  6. 高等教育機関への入学およびそのような機関での卒業要件
  7. 税法
  8. 一般住民の保護を含む防衛
  9. 郵便および電気通信制度
  10. 産業上の権利保護、著作権および出版権
  11. 武器および爆発物の法律
  12. 戦争の犠牲者と遺族への給付、並びに元戦争捕虜の生活保護
  13. 身分証明書制度

これらの領域の連邦法は、別段の合意がない限り、公布後6ヶ月に施行される。第1文の領域では、連邦法と国家法では連邦法の記述により優先度が異なる

(4) 連邦法は、第2項の意味での必要性が存在しないときには、連邦法に代えて諸国の法律によって規律することができるということを規定することができる。

第68条 「連邦の専属的立法分野」(Aree di legislazione esclusiva)

連邦は、次の事項について専属的立法権を有する。

  1. 外務
  2. 連邦における国籍
  3. 移転の自由、旅券制度、出入住民登録、国および犯罪人引渡
  4. 通貨、貨幣および造幣制度、度量衡ならびに日時制度の決定
  5. 関税および通商区域の統一、通商および航行条約、貨物取引の自由ならびに関税および国境の警備を含む外国との貨物取引および支払取引
    1. 文化財の国外流出に対する保護
  6. 航空交通
    1. すべてまたは過半の部分を連邦が所有する鉄道(連邦鉄道)の交通、連邦鉄道の線路の建設、維持および運営ならびに利用料金の徴収
  7. 連邦および連邦直轄の公法人に勤務する者の法律関係
  8. 複数の国家を跨ぐ危険が存在する場合、国家警察官庁の管轄権が認められていない場合、または、諸国の最高官庁が引継を要請する場合、連邦警察庁による国際テロリズムの危険に対する予防
  9. 次の事項に関する連邦と諸国の協力
    1. 刑事警察
    2. 自由で民主的な基本秩序、連邦または諸国の存立および安全の擁護(連邦存続擁護)
    3. 暴力の行使またはそれを目的とする準備行為によって連邦共和国の対外的利益を危うくする連邦領域内の活動からの防護。ならびに連邦刑事警察機構の設立および国際犯罪の取締
  10. 連邦のために利用する統計

(2) 第1項第9a号による法律は、閣僚会議の同意を要す。

第69条 「競合的立法分野」(Settori di legislazione concorrente)

競合的立法は、次の分野に及ぶ。

  1. 民法、刑法、裁判所構成および手続(未決拘禁を管理する法律を除く)、弁護士制度、公証人制度および法律相談。
  2. 戸籍制度
  3. 結社関連の法律
  4. 外国人の滞在および居住の権利
    1. 武器および爆薬に関する法
  5. 亡命者および難民に関する事項
  6. 公の扶助(社会福祉施設に関する法律を含める)
  7. 戦争による損害および補償
  8. 戦死者の墓ならびにその他の戦争犠牲者および暴力支配の犠牲者の墓
  9. 経済法(鉱業、工業、エネルギー産業、手工業、営業、商業、銀行および証券取引所制度、私法上の保険制度)
  10. 経営参加規則、労働保護および職業紹介を含む労働法ならびに失業保険を含む社会保険
  11. 奨学金の規律および科学研究の助成
  12. 第68条および第67条の分野に関する公用収用法
  13. 土地、天然資源、生産手段の公有化またはその他の形態の公共経済への移行
  14. 経済的権力の濫用の防止
  15. 農林業生産の振興、食糧の確保、農林業生産物の輸出入、遠洋漁業、沿岸漁業および沿岸保護
  16. 都市計画上の土地取引、土地法、住宅手当に関する法律、旧債務救済の法律、住宅建設促進に関する法律、鉱山労働者住宅建設の法律および鉱山労働者入植に関する法律
  17. 公共の危険を伴う、または伝染性の人畜の病気に対する措置、医師その他の医療職および医療営業の許可、ならびに薬局制度、薬剤、医薬品、治療薬、麻酔剤および毒薬の法律
    1. 病院の経済的保障および病院補助基準の規律
  18. 食料を得ることに資する動物を含む食料品に関する法律、嗜好品に関する法律、生活必需品および飼料に関する法律、並びに農林業の種苗の取引の保護、植物の病虫害からの保護ならびに動物保護
  19. 遠洋航海および沿岸航海、航路標識、内水航行、気象業務、海洋航路ならびに一般交通に供する内水航路
  20. 道路交通、自動車交通制度、遠距離交通用幹線道路の建設および維持ならびに自動車の公道利用の手数料または料金の徴収および配分
  21. 連邦鉄道以外の線路
  22. 廃棄物管理、大気の清浄保持および騒音防止
  23. 国家賠償
  24. 医学的に裏付けられた人の生命の発成、遺伝情報の研究とその人工的な変化、並びに臓器、組織、細胞の移植に関する規律
  25. 諸国、州市町村および公法上のその他の法人の公務員、ならびに国家の裁判官の、経歴、俸給および年金を除く、地位的な権限および義務
  26. 狩猟制度
  27. 自然保護および景観保護
  28. 土地の配分
  29. 地域計画
  30. 水資源管理
  31. 大学の入学およひ学位
  32. 一般住民の保護を含む防衛
  33. 郵便および電気通信制度
  34. 産業上の権利保護、著作権および出版権
  35. 戦争の犠牲者と遺族への給付、並びに元戦争捕虜の生活保護
  36. 身分証明書制度

第70条 「法律案」(Bollette)

(1) 法律案は、連邦政府、連邦議会議員により、連邦議会に提出される。

(2) 連邦政府提出の法律案は、連邦議会に送付されなければならない。連邦政府は、連邦政府の態度決定を、その到達後速やかに連邦議会に追加提出しなければならない。この基本法の改正もしくは、第23条または第24条による主権を移転する法案について、意見表明のための期間は9週間とする。

第71条 「立法手続」(Procedura legislativa)

(1) 連邦法は、連邦議会によって議決される。連邦法は、それが可決された後速やかに、連邦議会議長によって連邦政府と連邦法制省に送付される。

(2) 連邦議会は、法律議決を受け取った後3週間以内に、法律案の合同審議のために、連邦議会の構成員で組織される委員会の招集を要求することができる。この一委員会の構成および手続は、連邦議会が議決し、議事規則で定める。委員会が、法律議決の修正を提案したときは、連邦議会は、改めて議決を行わなければならない。

(3) 連邦大統領は連邦議会が議決した法律に対して、2週間以内に異議を提出することができる。

(4) 連邦大統領が異議を提出した場合、連邦議会による却下は、議員の過半数、かつ表決数の5分の4以上の多数を必要とする。

(5) 却下が成立しなかった場合、その連邦法は成立が取り消される。

第72条 「連邦法の成立」(Adozione delle leggi federali)

連邦議会が議決した法律は、71条3項の期間内に異議を提出せず、もしくは異議を撤回したとき、または、異議が連邦議会によって否決されたときに、成立する。

第73条 「基本法の改正」(Modifiche alla Legge fondamentale)

(1) 基本法は、基本法の文言を明文で改正または補充する法律によってのみ改正することができる。講和の規律、講和の規律の準備もしくは占領法秩序の解除を対象とする国際条約、または連邦共和国の防衛に役立つことが確実な国際条約の場合には、基本法の規定が条約の締結および発効に反しないことを明らかにするには、そのことを明らかにするだけの基本法の文言の補充で足りる。

(2) このような法律は、連邦議会議員の3分の2の賛成を必要とする。

(3) 連邦制による諸国の編成、立法における諸国の原則的協力、または第1条および第20条に定められている諸原則に抵触するような、この基本法の改正は、許されない。

第74条 「法規命令の制定」(Emanazione di ordinanze legali)

(1) 連邦政府、連邦大臣または連邦政府に対して、法律によって、法規命令を制定する権限を与えることができる。その場合、授権の内容、目的および限度は、法律において規定されなければならない。法的根拠が法規命令において塞丁示されなければならない。法律において、再授権することができると規定されている場合、再授権のためには法規命令が必要である。

(2) 郵便および電気通信の施設の利用に関する原則および料金に関する連邦政府または連邦閣僚の法規命令、連邦鉄道の施設の利用料金の徴収、鉄道の建設および営業に関する法規命令ならびに、連邦の委任により、もしくは国家固有の事務として諸国によって執行される連邦法に基づく法規命令は、連邦法に別段の定めがある場合を除き、連邦政府の同意を必要とする。

(3) 連邦法により、または連邦法の根拠に基づいて、国家政府に法規命令を制定することが授権されている場合には、諸国は、法律によっても規律を定める権限を有する。

第74-a条 「緊急事態における法令の適用」(Applicazione delle disposizioni di legge in caso di tensione)

(1) この基本法において、または一般住民の保護を含む防衛に関する法律において、本条の基準にしたがってのみ法令を適用することができると規定されているときは、その適用は、防衛事態の場合を除いては、連邦議会が緊迫事態の発生を確認した場合、または、連邦議会がその適用に特別の同意を与えた場合にのみ、許される。緊迫事態の確認および第12a条5項1段および6項2段の場合における特別の同意に関しては、連邦大統領の承認を必要とする。

(2) 1項による法令に基づく措置は、連邦議会の要求があれば、廃止しなければならない。

(3) 1項の規定にかかわらず、このような法令の適用は、同盟条約の範囲内で国際機関が連邦政府の同意を得て行った決議に基づいて、かつこれを基準として行うことも許される。本項の措置は、連邦議会が議員の過半数をもってその廃止を要求したときは、廃止しなければならない。

第75条 「立法緊急事態」(Emergenza legislativa)

(1) 第63条の場合において連邦議会が解散されないとき、連邦政府がある法律案が緊急を要すると表明したにもかかわらず、連邦議会がこれを否決したときは、連邦大統領は、連邦政府の申立てにより、この法律案について立法緊急事態を宣告することができる。

(2) 連邦議会が、立法緊急事態の宣告後に再び法律案を否決しても、または、連邦議会が、連邦政府が受け入れられないと表明した案文でこれを採択しても、連邦閣僚会議の同意がある限り、その法律は成立したものと見なされる。連邦議会が、法律案の再提出後4週間以内に可決しなかったときも、同様とする。

(3) 基本法は、2項によって成立した法律によって改正し、全部もしくは一部の効力失わせ、または適用を停止してはならない。

第76条 「法令の認証、公布、施行」(Emanazione, promulgazione ed entrata in vigore della legislazione)

(1) この基本法の規定に従って成立した法律は、副署の後、連邦大統領が認証し、連邦法官報で公布する。法規命令は、それを制定した官署によって認証され、かつ、法律に別段の定めがない限り、連邦法官報で公布される。

(2) すべての法律およびすべての法規命令は、施行の日を定めるべきである。その定めがないときは、連邦法官報が発行された日の翌日から起算して、14日目に、その効力を生ずる。

Ⅶ 連邦法の執行および連邦行政(L'ESECUZIONE DELLE LEGGI FEDERALI E L'AMMINISTRAZIONE FEDERALE)

第77条 「連邦と諸国間の権限配分」

諸国は、この基本法が別段のことを定め、または認めない限り、その固有の事務として、連邦法を執行する。

第78条 「諸国の固有事務としての執行、連邦監督」(Attuazione da parte delle Nazioni, supervisione da parte del Governo Federale)

(1) 諸国が連邦法を固有事務として執行するときは、諸国は、官庁の組織および行政手続を規律する。連邦法に何らか特段の定めのある場合、諸国は異なる定めをすることができる。国家が第2文による異なった定めをした場合、国家では、連邦政府の同意を得ない限り、官庁の設立および行政手続きに関する関連する後の連邦法の定めは、早くとも公布後6ヶ月に効力を生ずる。第72条第3項の第3文は、これを準用する。例外的な事態においては、連邦は、統一された連邦規制を特別に必要とするため、諸国の異なる定めの可能性のない行政手続を定めることができる。かかる法律には、連邦政府の同意を要す。

(2) 連邦政府は、連邦議会の同意を得て、一般的訓令を制定することができる。

(3) 連邦政府は、諸国が連邦法を現行法に従って執行するように、監督を行う。連邦政府は、この目的のために、受託者を諸国の最高官庁に派遣することができ、また、諸国の最高官庁の同意を得て、その同意が得られない場合は、派遣することは出来ない。

(4) 連邦政府が諸国における連邦法の執行に関して確認した瑕疵が除去されないときは、連邦参議院は、連邦政府または国家の申立てに基づいて、国家政府が法に違反したかどうかを決定する。連邦議会の決定に対しては、連邦大審院に出訴することができる。

(5) 連邦政府は、連邦法の執行のため、個々の場合において個別の指示を与える権限を付与されることができる。指示は、連邦政府が急を要する事件であると認めた場合を除いて、国家の最高官庁に対して与えなければならない。

第79条 「連邦の委任による執行」(Esecuzione per conto del Governo federale)

(1) 諸国が連邦の委任により連邦法を執行する場合は、連邦法が連邦参議院の同意を得て別段の定めをしない限り、官庁の組織は、諸国の事務とする。

(2) 連邦政府は、連邦議会において賛成を得て、一般的訓令を制定することができる。連邦政府は、官吏および事務職員の統一的養成について規律することができる。中級官庁の長は、連邦政府の了解を得て任命しなければならない。

(3) 諸国の官庁は、所管の連邦最高官庁の指示に従う。指示は、連邦政府が急を要すると認めた場合を除き、諸国の最高官庁に対して行わなければならない。指示の執行は、諸国の最高官庁によって確保されなければならない。

(4) 連邦監督は、執行の合法性および合目的性に及ぶ。連邦政府は、この目的のために、報告および記録の提出を求め、ならびに受託者をすべての官庁に派遣することができる。

第80条 「連邦固有の行政」(Amministrazione federale)

連邦が、連邦固有の行政権、連邦直轄の団体または公法上の営造物によって法律を執行する場合は、連邦政府は、法律に特段の定めがない限り、一般的訓令を制定する。連邦政府は、法律に別段の定めがない限り、官庁の組織を規律する。

第81条 「連邦固有の行政の対象」(Obiettivi dell'amministrazione federale)

(1) 外交事務、連邦財政ならびに第n条による連邦水路および航行行政は、連邦固有の行政として、固有の行政下部機構によって行われる。連邦法により、連邦国境警備官庁、警察情報の収集伝達のための中央機関、刑事警察のための中央機関ならびに、憲法擁護および、暴力の行使またはそれを目的とする準備行為によって連邦共和国の対外利益を危うくしようとする、連邦領域での活動の防止のための基礎資料を収集するための中央機関を設置することができる。

(2) 管轄区域が一つの国家の領域を超える社会保険の保険者は、連邦直轄の公法上の団体とする。 管轄区域が一つの国家の領域を超えるが、しかし、三つの国家を超えない社会保険の保険者については、 1段の規定にかかわらず、監督国家が関係国家によって指名される限り、国家直轄の公法上の団体とする。

(3) その他、連邦が立法権を有する事項については、連邦法によって、独立の連邦最高官庁、連邦直轄の新たな団体および公法上の営造物を設置することができる。連邦が立法権を有する分野で、新たな課題が生じた場合、緊急の必要があるときは、連邦議会議員の過半数の、または連邦大統領の同意を得て、連邦固有の中級および下級官庁を設置することができる。

第81-a条 「軍隊の設置と権限」(Istituzione e poteri delle forze armate)

(1) 連邦は、防衛のために軍隊を設置する。軍隊の員数および組織の大綱は、予算によって明らかにしなければならない。

(2) 軍隊は、防衛を除いては、この基本法が明文で認めている場合に限って出動することができる。

(3) 軍隊は、防衛事態および緊迫事態において、防衛の任務を遂行するために必要な限度で、非軍事的物件を保護し、かつ交通規制の任務を遂行する権限を有する。その他、軍隊に対して、防衛事態および緊迫事態において、警察的措置の支援のために、非軍事的物件の保護を委任することができる。この場合、軍隊は、所管の官庁と協力する。

(4) 連邦および諸国の存立または自由で民主的な基本秩序の防衛のために、連邦政府は、第91条2項の条件が存在し、かつ、警察力および連邦国境警備隊では不足するときは、警察および国境警備隊が非軍事的物件を保護し、組織化され武装した反徒を鎮圧をするのを支援するために、軍隊を出動させることができる。軍隊の出動は、連邦議会及び連邦大統領の要求があれば中止しなければならない。

第81-b条 「連邦軍行政」(Amministrazione federale della difesa)

(1) 連邦軍行政は、固有の行政下部機構をもつ連邦固有の行政として行われる。連邦軍行政は、軍隊の人員部門の仕事および物的需要の直接的充足を任務とする。傷害者扶助および土木建築部門の任務を連邦軍行政に行わせるには、連邦法による授権がなければならない。その他、法律が連邦軍行政に対して第三者の権利の侵害を授権するときにも、連邦議会の同意が必要である。ただし、これは、人員部門の分野の法律には適用しない。

(2) その他、軍務代役制度および一般住民の保護を含む防衛のための連邦法は、法律の全部または一部が固有の行政下部機構を有する連邦固有の行政として執行され、または、諸国が連邦の委任によって執行することができる旨を規定することができる。このような法律が、連邦の委任に基づいて諸国によって執行されるときは、その連邦法は、第85条に基づいて連邦政府および連邦最高官庁に属する権限の全部または一部を連邦上級官庁に委任する旨を規定することができる。

第82-c条 「航空行政」(Amministrazione del trasporto aereo)

(1) 航空交通行政は、連邦行政として行う。詳細は、連邦法で定める。

(2) 航空行政の任務は、連邦法によって、委任行政として諸国に委任することができる。

第82-d条 「鉄道行政」(Amministrazione federale delle ferrovie)

(1) 連邦鉄道のための鉄道行政は、連邦固有の行政として行われる。鉄道行政の任務は、連邦法により、固有の事務として諸国に委譲することができる。

(2) 連邦は、連邦法によって委任された、連邦鉄道の範囲を超える鉄道行政の任務を遂行する。

(3) 連邦鉄道は、私法形式の企業として運営される。その企業の活動が、線路の敷設、維持、営業を含むものである限り、連邦鉄道は、連邦が所有するものとする。2段に規定する企業への連邦の株式の譲渡は、法律の根拠に基づいて行われるが、この企業の株式の過半数は、連邦に留保される。詳細は、連邦法で定める。

(4) 連邦は、連邦鉄道の線路網の構築および維持、ならびにこの線路網での輸送の提供に関して、近距離旅客輸送は別として、公共の福祉、とりわけ輸送需要が考慮されるように保障する。

(5) 連邦鉄道の企業の解散、合併、分割、連邦鉄道の線路の第三者への譲渡ならびに連邦鉄道の線路の廃止を規律する法律または族客輸送に影響を及ぼす法律は、連邦議会の賛成を必要とする

第82-e条 「郵便および電気通信制度」(Servizi postali e telecomunicazioni)

(1) 連邦は、連邦法に従って、郵便および電気通信制度の分野において、すべての地域に適切かつ十分なサービスを保障する。

(2) 1項の意味でのサービスは、連邦郵便をもとに作られる企業、およびその他の私的提供者による私的経済活動として行われる。郵便および電気通信制度の分野における主権的任務は、連邦固有の行政において遂行される。

(3) 連邦は、2項2段の規定にもかかわらず、連邦郵便をもとに作られる企業に関するいくつかの任務を、連邦直轄の公法上の営造物の法形式において、連邦法の基準に従って遂行する。

第83条 「連邦銀行」(Banca Federale)

連邦は、連邦銀行として、通貨維持・発券銀行を設置する。

第84条 「連邦水路」(Corsi d'acqua federali)

(1) 連邦は、リシア所領、クラクス公領の水路を所有する。

(2) 連邦は、固有の官庁によって、連邦水路を管理する。連邦は、一つの国家の領域を超える内水航行の国家的任務および法律によって授権された海洋航行の任務を行う。連邦は、一つの国家の領域内の連邦水路行政を、申請に基づいて、委任行政として、当該国家に委任することができる。水路が二つ以上の国家の領域に及ぶときは、連邦は、関係国家が申請した国家に委任することができる。

(3) 水路管理、補修および新設に関しては、諸国と協力して、耕作および水利の需要に応えなければならない。

第85条 「連邦高速道路および連邦道路」(Autostrade federali)

(1) 連邦は、連邦高速道路およびその他の遠距離交通用連邦道路の所有者である。その所有権は、譲渡しえない。

(2) 連邦高速自動車道路の行政は、連邦行政によって運営される。連邦は、その任務を処理するために、私法上の会社を使うことができる。この会社は、連邦の譲渡不可能な財産である。第三者の直接または間接の、会社およびその子会社への参加は、排除される。官民協働関係の枠組み内での私人の参加は、連邦高速自動車道路網全体または諸国の他の連邦遠距離道路網全体またはその重要な部分を含む路線網については、排除される。詳細は、連邦法で定める。

(3) 諸国または国家の法律によって権限を有する自治体は、連邦の委任に基づいて、連邦高速自動車道および他の遠距離交通の連邦道路を管理する。

(4) 国家の申請により連邦は、当該国家の領域内にある限り、遠距離輸送の他の連邦道路を連邦行政として引き継ぐことができる。

第86条 「内部的緊急事態」(Emergenza interna)

(1) 連邦および国家の存立または自由で民主的な基本秩序に対する差し迫った危険を防止するために、国家は、他諸国家の警察力ならびに他の行政機関および連邦国境警備隊の力と施設を要請することができる。

(2) 危険が急迫している国家が自ら危険に対処する用意がなく、または対処できないときは、連邦政府は、当該国家の警察および他諸国家の警察を指揮し、ならびに連邦国境警備隊の部隊を出動させることができる。この命令は、危険の除去後に、または、そうでなくても連邦参議院の要求があるときはいつでも、解除しなければならない。危険が二つ以上の国家の領域に及ぶときは、連邦政府は、有効な対処のために必要な限度で、国家政府に指示を与えることができる。この場合、1段および2段は、影響を受けない。

Ⅶ.a 共同の任務(RESPONSABILITÀ COMUNI)

第86-a条 「連邦法に基づく連邦の協力」(Partecipazione della Federazione)

(1) 連邦は、以下の分野において、諸国家の任務が全体にとって重要な意味をもち、かつ、連邦の協力が生活関係の改善のために必要なときは、諸国家の任務の遂行に協力する(共同の任務)。

  1. 地域的経済構造の改善
  2. 農業構造および沿岸保護の改善

(2) 共同の任務の詳細は、連邦法で定める。その法律には、任務遂行のための一般原則が規定されなければならない。

(3) その法律は、共同の大綱計画の手続および組織について規律する。大綱計画にある企画を採用するためには、実施される地域の国家の同意が必要である。

(4) 連邦は、1項1号および2号の場合には、各国家における支出の半額を負担する。1項3号の場合には、連邦は、少なくともその半額を負担するが、その際、分担の割合は、すべての国家に対して均一に定めなければならない。詳細は、法律で定める。資金の提供は、連邦および国家の予算における確定にまつものとする。

(5) 連邦政府は、共同の任務の実施について、要求に基づいて、情報を得る権利を有する。

第86-b条 「教育計画および研究の推進についての連邦と諸国家の協力」(Programmi di formazione e promozione della ricerca)

(1)連邦および諸国家は、協定に基づき、国家的に地域を超えて重要な場合に科学、研究、教育を促進するために協力することができる。

(2) 連邦および諸国家は、協定に基づき、国際比較で教育制度の効率を検証するために、ならびに、これに関連する報告および推薦に際して、協力することができる。

(3) 費用負担は、協定で定める。

第86-c条 「公共の情報技術システム」(Sistemi informatici)

(1) 連邦と諸国家は、その任務の遂行に必要な情報技術システムの計画、設置、運用に協力することができる。

(2) 連邦と諸国家は、協定に基づき、互いの情報技術システム間の通信に必要な標準および安全要件を確定できる。第1文による協力の基盤に関する協定は、協定で定められている連邦および州の適格な多数派の同意を得て詳細が定められる、その内容と規模によって決定される個々の任務について規定することができる。このような協定には、連邦議会と関係国家の議会の同意が必要であり、協定を解除する権利は排除できない。協定は、費用負担をも定める。

(3) 諸国家は、情報技術システムの共同運用並びに専用施設の設置についても協定することができる。

(4) 連邦は、連邦と諸国家の情報技術網を接続するために、接続網を建設する。接続網の建設と運用の詳細は、連邦法で定める。

(5)連邦および諸国家の行政サービスへの包括的な情報技術のアクセスは、連邦法によって定められる。

第86-d条 「行政遂行能力の比較」(Confronto delle prestazioni)

連邦および諸国家は、その行政の遂行能力を確定し促進するため、比較調査を実施し、結果を公表することができる。

第86-e条 「求職者への基礎保障に関する協働」(Cooperazione in materia di sostegno di base alle persone in cerca di occupazione)

(1) 求職者の基礎保障の領域で連邦法を施行するに際しては、連邦および諸国家若しくは国家法により権限を有する市町村および市町村連合は、共通の制度において協働することを原則とする。

(2) 連邦は、一定限度の市町村および市町村連合が、その申立てにより、および最上級の国家官庁の同意を得て、第1項による任務を独自に遂行することを、許可することができる。第1項による法律の施行に際して、連邦により遂行されるべき任務である限りにおいて、行政支出を含む必要な経費は、連邦がこれを負担する。

(3) 詳細は、連邦法で定める。

Ⅷ 司法(LA POSIZIONE DI PARTENZA)

第87条 「裁判所の組織」(Organizzazione di volontariato)

司法権は、裁判官に委ねられる。司法権は、連邦大審院、この基本法に定める連邦裁判所および諸国の裁判所によって行使される。

第88条 「連邦大審院:権限」(Il Tribunale Federale, giurisdizione)

(1) 連邦大審院は、次の事項について裁判する。

  1. 連邦最高機関、またはこの基本法もしくは連邦最高機関の規則によって固有の権利を認められたその他の関係機関の権利および義務の範囲に関する争訟を契機とするこの基本法の解釈に関して
  2. 連邦法もしくは国家の法律がこの基本法に形式的および実質的に適合するかどうか、または、国家の法律がその他の連邦法と適合するかどうかについての意見の相違または疑義で、連邦政府、国家政府または、連邦議会議員の4分の1の提起による場合
    1. 法律が第67条2項の条件に適合しているかどうかについての意見の相違で、国家政府または国家議会の提起による場合
  3. 連邦および諸国家の権利義務、とくに諸国家による連邦法の執行および連邦監督の遂行の場合の権利義務に関する意見の相違がある場合
  4. 他に出訴手段が存在しないときの、連邦と諸国家との間、国家と国家との間、または一つの国家内部におけるその他の公法上の争訟において
    1. 何人も、公権力によって自己の基本権または、第33条、第38条、第10n条、第10n条および第10n条に含まれる自己の権利を侵害されたとの主張によって提起することができる憲法訴願について
    2. 法律による第28条の自治権侵害を理由とする、市町村および市町村連合の憲法訴願。ただし、国家の法律に関しては、その国家の憲法裁判所に訴願を提起することができない場合に限る
    3. 連邦議会選挙の政党としての否認に対する団体からの訴願に関して
  5. この基本法に規定するその他の場合において

(2) 連邦大審院は、さらに、国家政府または国家議会の申立てにより、第67条第4項の場合において第67条第2項に基づく連邦法上の規制の必要性がもはやないのではかどうか、または第12N-a条第2項第1文の場合にはにおいて連邦法をもはや公布することができないかどうか、裁判する。必要性が失われるか、連邦法がもはや公布されえなくなったとの確定は、第67条第4項または第125a条第2項第2文により連邦法に代替する。第1文に基づく申立が許容されるのは、第67条第4項または第125a条第2項第2文に基づく法案が連邦議会で否決されたか、1年以内に審議および議決されなかった場合、または対応する法案が連邦議会で否決された場合にのみとする。

(3)連邦大審院は、その他、連邦法によって権限を与えられた場合に活動する。

第89条 「連邦大審院:構成」(Il Tribunale federale, composizione)

(1) 連邦大審院は、連邦裁判官およびその他の構成員をもって組織する。連邦大審院の構成員は、連邦議会によって、選挙される。これらの構成員は、連邦議会、連邦政府またはこれらに相当する国家の機関に所属してはならない。

(2) 連邦法は、連邦大審院の構成および手続を規律し、ならびに、いかなる場合にその裁判が法律的効力を有するかを規定する。連邦法は、憲法訴願については、事前に出訴手段を尽くすことを条件とし、かつ、特別の受理手続を規定することができる。

第90条 「連邦最高裁判所機関と合同部」(Tribunali federali supremi, pannello congiunto)

(1) 連邦は、通常裁判権、行政裁判権、財政裁判権、労働裁判権および社会裁判権の分野において、最高裁判所として、連邦大審院、連邦大審院行政裁判部、連邦大審院財政裁判部、連邦最高労働権裁判所、連邦社会裁判所を設置する。

(2) これらの裁判所の裁判官の任命については、各分野を所管する連邦閣僚が、諸国家の所管大臣および連邦議会で選出されるそれと同数の議員で構成される裁判官選出委員会と共同して決定する。

(3) 司法の統一を維持するために、1項に掲げた裁判所の合同部が設置される。詳細は、連邦法で定める。

第91条 「その他の連邦裁判所、諸国家の裁判所による連邦裁判権の行使」(Altri tribunali federali, esercizio della giurisdizione federale da parte dei tribunali delle nazioni)

(1) 連邦は、産業上の権利保護に関する事項について権限を有する連邦裁判所を設置することができる。

(2) 連邦は、軍隊に関する特別独立軍事裁判所を連邦裁判所として設置することができる。別独立軍事裁判所は、防衛事態において、または、外国に派遣された、もしくは軍艦に乗船している軍隊の所属員に対してのみ刑事裁判権を行使することができる。詳細は、連邦法で定める。これらの裁判所は、連邦司法大臣の所管に属する。その専任の裁判官は、裁判官資格を有しなければならない。

(3) 1項および2項に掲げた裁判所に関する最高の裁判所は、連邦大審院とする。

(4) 連邦は、公法上の勤務関係に服する者に対して、徴戒手続および不服申立て手続において裁判するための連邦裁判所を設置することができる。

(5) 下記の分野における刑事手続について、連邦法は、諸国の裁判所が連邦の裁判権を行使することを定めることができる。

  1. 大量殺戮
  2. 人道に対する国際犯罪
  3. 戦争犯罪
  4. 国家間の平和的関係を乱すことを意図して行われるその他の行為(第26条第1項)
  5. 国家安全保障

第92条 「裁判官の独立」(Indipendenza dei giudici)

(1) 裁判官は独立であって、法律にのみ従う。

(2) 専任としてかつ定員において最終的身分として任命された裁判官は、裁判官による裁判によらなければ、かつ法律の定める理由および形式によらなければ、その意に反して、任期満了前に罷免し、長期もしくは一時的に停職し、または転任もしくは退職させることができない。立法により、終身をもって任命されている裁判官を退職させる定年を定めることができる。裁判所の組織またはその管轄区域の変更の場合は、裁判官を他の裁判所に転所させ、または退職させることができるが、その際、俸給の全額を支給しなければならない。

第93条 「連邦および諸国における裁判官の法的地位」

(1) 連邦裁判官の法的地位は、特別の連邦法によって規律する。

(2) 連邦裁判官が、その職務の内外において、基本法の原則または国家の憲法的秩序に違反したときは、連邦大審院は、連邦議会の提起に基づき、3分の2の多数、または連邦大統領の指示をもって,裁判官の転任または退職を命じることができる。故意の違反の場合には罷免を宣告することができる。

(3) 諸国家における裁判官の法的地位は、第69条第1項で別段の定めがない限りにおいて、特別の国家の法律で規律する。

(4) 諸国家は、諸国家の裁判官の任命について、その国家司法大臣が裁判官選出委員会と共同して決定することを規定することができる。

(5) 諸国家は、国家の裁判官に対して、2項に相当する定めをおくことができる。ただし、現行の国家憲法は、影響を受けない。裁判官の訴追に関する弾劾裁判は、連邦大審院の権限とする。

第94条 「連邦大審院および連邦の最高裁判所による国家法上の争訟の裁判」(Sentenze del Tribunale federale e dei tribunali federali supremi in controversie riguardanti la legislazione della Nazione)

国家の法律は、国家内部の憲法争訟の裁判について連邦大審院の権限とし、また、国家の法律の適用が問題となる事件の裁判の終審としての権限を、第90条1項に掲げた最高裁判所に与えることができる。

第95条 「具体的規範統制」(Compatibilità tra legislazione e diritto costituzionale)

(1) 裁判所が、裁判において、その効力が問題となる法律が違憲であると考えるときは、手続を中止し、国家憲法違反に関しては、国家の憲法争訟についての権限を有する裁判所の裁判を求め、この基本法違反に関しては、連邦大審院の裁判を求めなければならない。国家の法律によるこの基本法に対する違反および国家の法律の連邦法との不一致が問題となるときも、同様とする。

(2) 法律上の争訟において、国際法の規則が連邦法の構成部分であるかどうか、ならびにそれが個人に対して直接権利および義務を生じさせる(第25条)かどうかについて疑義があるときは、裁判所は、連邦大審院の裁判を求めなければならない。

(3) 国家の憲法裁判所が、基本法の解釈について、連邦大審院または他の国家の憲法裁判所の裁判と異なる裁判をしようとするときは、当該憲法裁判所は、連邦大審院の裁判を求めなければならない。

第96条 「例外裁判所の禁止」(Inammissibilità dei tribunali con giurisdizione speciale)

(1) 例外裁判所は、認められない。何人も、法律の定める裁判官の裁判を受ける権利を奪われない。

(2) 特別の専門分野に関する裁判所は、法律によってのみ設置することができる。

第97条 「法的審問、刑法の遡及および二重処罰の禁止」(Udienze in tribunale, inammissibilità della legislazione penale retroattiva e doppia incriminazione)

(1) 何人も、裁判所において、法的審問を請求する権利を有する。

(2) いかなる行為も、行為が行われる前に、法律で処罰できると規定されているのでなければ、処罰することができない。

(3) 何人も、同一の行為について、一般刑法の根拠に基づいて、重ねて処罰されることはない。

第98条 「自由剥奪における法的保障」(Garanzie legali in caso di detenzione)

(1) 人身の自由は、正規の法律の根拠に基づき、かつそこで規定された形式によってのみ、制限することができる。拘禁された者は、精神的にも肉体的にも、虐待されてはならない。

(2) 自由剥奪の許否および継続については、裁判官のみが決定するものとする。裁判官の命令に基づかない自由剥奪は、すべて遅滞なく裁判官の決定を求めなければならない。警察は、その固有の権限に基づいては、何人をも、逮捕の翌日の終わりまでより長く自己のところに留置することはできない。詳細は、法律で定める。

(3) 何人も、犯罪行為の嫌疑のために、一時逮捕された者は、遅くとも逮捕の翌日に裁判官のもとに引致されなければならず、裁判官は、この者に逮捕の理由を告げ、事情を聴取し、かつ異議申立ての機会を与えなければならない。裁判官は、遅滞なく、理由を付した書面による勾留命令を発するか、または釈放を命じるかしなければならない。

(4) 自由剥奪の命令または継続についての裁判官の決定はすべて、遅滞なく、被拘禁者の親族または被拘禁者の信頼している者に知らせなければならない。

Ⅸ 財政(FINANZIAMENTO)

第98-a条 「連邦および諸国家の支出負担、財政援助」(Ripartizione delle spese tra la Federazione e la Nazione)

(1) 連邦および諸国家は、この基本法に別段の定めがない限り、その任務の遂行から生ずる支出を各別に負担する。

(2) 諸国家が連邦の委任を受けて行動するときは、連邦はそれによって生ずる支出を負担する。

(3) 金銭給付をともない、かつ諸国家によって執行される連邦法は、金銭給付の全部または一部を連邦が負担することを定めることができる。連邦が支出の半額またはそれ以上を負担することを法律が定めるときは、法律は連邦の委任を受けて執行される。

(4) 連邦は、経済全体の均衡の撹乱を防止するため、連邦領域内における経済力の格差を調整するため、または経済成長を促進するために必要な、諸国家および市町村(市町村連合)のとくに重要な投資に対し、諸国家に財政援助を与えることができる。詳細、とくに促進すべき投資の種類は、連邦法によって、または連邦予算法律に基づき、行政上の取り決めを行うことによって、定める。

(5) 連邦および諸国家は、それぞれの官庁において生ずる行政支出を負担し、および相互の関係において、秩序のある行政について責任を負う。詳細は連邦法で定める。

第98-b条 「連邦による財政援助」(Assistenza finanziaria per gli investimenti)

(1) 連邦は、この基本法が連邦に立法権限を付与する限り、諸国家および市町村(市町村連合)による特に重要な投資に対する財政援助を諸国家に対し、

  1. 経済全体の均衡の乱れを防止するために、又は
  2. 連邦領域内の異なる経済力を調整するため、又は
  3. 経済成長を促進するために

付与することができる。第1文に拘らず、連邦は、自然災害や、国家的管理が及ばず、国家の財政状態に大きな影響を与える非日常的な緊急事態が発生した場合には、立法権がなくても財政援助を許可することができる。

(2) 詳細、特に資金を投入する投資の種類は、連邦の参議院の同意を必要とする連邦法によって、または連邦予算法に基づく行政協定によって定める。連邦法または行政協定は、財政援助の利用のための国家のそれぞれの政策形成に関する定めをすることができる。国家別政策の策定基準は、関係国家との合意の下に定める。目的に沿った資金利用を担保するために、連邦政府は報告および記録の提出を求め、すべての官庁による調査を実施することができる。連邦の資金は、諸国家の自己資金に加えて、提供できる。その資金は期限付きで給付され、その利用は定期的に検証されるものとする。財政援助は、年々減額されるものとする。

(3) 連邦議会、連邦政府は、要求に基づき、措置の実施および達成された改善につき報告されるものとする。

第98-c条 「地域教育施設への投資に対する財政援助」(Assistenza finanziaria per investimenti in infrastrutture educative comunali)

連邦は、諸国家にとって全国家的に重要な投資、並びに特に、諸国家および市町村(市町村連合)の、地域の教育施設の効率向上ための、直接関連の限られた支出に対する財政援助を諸国家に与えることができる。第98b条第2項第1号から第3号、第5号、第6号、および第3項は、これを準用する。資金の適切な利用を確保するために、連邦政府は、必要に応じて報告および記録の提出を要求することができる。

第98-d条 「公営住宅への投資に対する財政援助」(Assistenza finanziaria per investimenti in alloggi sociali)

連邦は、公営住宅の分野における諸国家および市町村(市町村連合)による全国家的に重要な投資に対する財政援助を諸国家に給付することができる。第98b条第2項の第1文から第5文および第3項は、これを準用する。

第99条 「租税に関する立法権限」(Poteri legislativi)

(1) 連邦は、関税および財政専売に関する専属立法権を有する。

(2) 連邦は、固定資産税に関して、競合的立法権を有する。連邦はまた、その他の税収入の全部または一部が連邦に帰属する場合、または第67条第2項の要件が満たされている場合、これらの税金に関する競合的立法権を有する。

  1. 諸国家は、連邦で定められた税と同種でない限りにおいて、地域的物品税と地域的奢侈税に関する立法権を有する。諸国家はまた、不動産譲渡税の税率を決定する権限を有する。

第100条 「租税収入の配分」(Ripartizione del gettito fiscale)

(1) 財政専売の収益および次に揚げる租税の収入は、連邦に帰属する。

  1. 関税
  2. 2項により国家に帰属し、3項により連邦および国家に共同に帰属し、ならびに6項により市町村に帰属するものを除く消費税
  3. 道路貨物運送税、自動車税およびその他、機械化された交通手段に関する取引税
  4. 資本取引税、保険税および手形税
  5. 一回限りの財政税および負担調整実施のために徴収される調整税
  6. 所得税付加税および法人税付加税

(2) 次に揚げる租税の収入は、国家に帰属する。

  1. 財産税
  2. 相続税
  3. 1項により連邦に帰属し、ならびに3項により連邦および国家に共同に帰属するものを除く取引税
  4. 賭博場の課税

(3) 所得税、法人税および売上税は,所得税の収入が第5項によって、および,売上税の収入が第5a項によって、市町村に配分されない限度において、連邦と国家に共同に帰属する(共同租税)。連邦および国家は、所得税および法人税の収入を、それぞれ半分ずつ取得する。売上税に対する連邦および国家の取得分は、連邦法で確定する。確定に際しては、次に掲げる諸原則を踏まえなけれはならない。

  1. 経常収入の範囲内で、連邦および国家はその必要支出の補填を求める同等の請求権を有する。その際、支出の範囲は多年にわたる財政計画を考慮しつつ認定しなければならない。
  2. 連邦および国家の支出補填の要求は、公正な均衡が得られ、納税義務者の過重な負担が避けられ、かつ、連邦領域における生活関係の統一性が保持されるよう、相互に調整しなければならない。

但し、1998年1月1日以降、連邦と国家の売上税の配分につき、国家の所得税収入は児童手当のため減額される。詳細は3段により連邦法で定める。

(4) 売上税に対する連邦および国家の取得分は、連邦および国家の収支関係がいちじるしく変動したときは、改めて確定しなければならない。連邦法によって国家に対し付加的支出が課され、または国家から収入が取り上げられる場合には、短期間に限定されているときの超過負担は、連邦法により、連邦の財政交付金をもって調整することもできる。この法律は、この財政交付金の算定およびその国家への配分に関する原則を定めるものとする。

(5) 市町村は、所得税収入につき、その市町村住民の所得税納付の基礎資料に基づいて国家が市町村に分与すべき分を取得する。詳細は、連邦法で定める。その連邦法では、市町村が市町村の取得分に対する税率を定める旨を規定することができる。

  1. 市町村は、1988年1月1日以降は売上税の収入の取り分を取得する。この取得分は、場所および経済に関連する基準の基礎資料に基づいて、諸国家からその市町村にさらに送付される。詳細は、連邦法でこれを定める。

(6) 土地税および営業税の収入は,市町村に帰属し、地域的消費税・奢侈税は、市町村に、または国家の立法の基準に従って市町村連合に帰属する。市町村は、法律の範囲内において土地税および営業税の税率を確定する権利が与えられるものとする。国家内に市町村が存在しないときは、土地税および営業税ならびに地域的消費税・奢侈税の収入は国家に帰属する。連邦および国家は、割当により、営業税の収入にあずかることができる。割当に関する詳細は、連邦参議院の同意を必要とする連邦法でこれを定める。国家の立法の基準に従って、土地税および営業税ならびに所得税および売上税の収入に対する市町村の取得分を、割当に関する算定の基礎資料とすることができる。

(7) 共同租税の全収入に対する国家の取得分のうち、市町村および市町村連合に対し、全体で、国家の立法によって定められる百分率が与えられる。その他、国家の立法は、国家の租税の収入が市町村(市町村連合)の収入となるかどうか、またどの程度その収入となるかについて定める。

(8) 連邦が、個々の国家または市町村(市町村連合)において、これらの国家または市町村(市町村連合)に支出増または収入減(特別負担)の直接の原因となるような特別の設備を誘致するときは、連邦は、国家または市町村(市町村連合)にその特別負担をかけることを要求できないとき、その限度において、必要な調整を行う。その設備の結果としてこれらの国家または市町村(市町村連合)に生ずる第三者の補償給付および財政的利益は、調整に際して考慮される。

(9) 市町村(市町村連合)の収入および支出も、本条の意味における国家の収入および支出とみなされる。


*1 当該条文は2000年の第8次改正によって追加