概要
本文章で扱うスィーザー語は「近代スィーザー語」とも称し、「創作世界線"Aglet"」に登場・所属する。
南東トーラサズ語族ヒストラマー語派古ローナ語群に属し、主にアスハーシン平野や共和制連邦のナジギオテッマ地方、バズーラ山脈中部の山岳スィーザー地域、ツーラ共和国などで使用され、スィーザーラント王国にて公用語の地位を占める。
世界での話者数は4500万人ほどで、スィーザーラント本土に3700万人、スィーザー系が比較的多いエルヴァーサ合衆国に100~120万、東帝国に80万人、近年スィーザー系移民の多いトンブ社会主義共和国に100万人ほどが存在する。
スィーザー人は14世紀から傭兵として世界各地に散らばっており、さらにスィーザーラントは近代から独立までグラス公国・グラス連邦の軍需集積地であり、故にPMC事業や付随する軍需産業が盛んであることから、軍需産業業者やPMC同士・PMC内部での共通言語として使用される場合もある。
スィーザーラント王国では公用語の位置を占め、サレヒローニアや東帝国ではスィーザー語の教育も一部で行われている。だが、国際的なスィーザーラントの地位の低さや外交問題の多さから印象は悪く、活性度は低いとも解釈できる。
1.文字と発音
1-1.文字一覧
近代スィーザー語はグラス公国が導入していたグラス・アルファベット、もしくは三光星帝国由来のトラウ・アルファベットを使用して表記される。
グラス・アルファベットは28文字存在するが、近代スィーザー語では硝子戦争の影響で広まった反グラス思想から、調音符号を表す「ß」を「ll」と転写して表記する場合が多く、公文書等ではその傾向が強い。
グラス・アルファベットはその名前の通りアルファベットであり、トラウ・アルファベット(第一世代におけるラテン文字に相当)を改変して製作されている。
現:第一世代環境下においてはグラス・アルファベットの運用が行えない場合が多く、トラウ・アルファベット転写で表記される場合が多い。
アポストロフィーは基本的に音節、区切りを意味する。スィーザー語は北西トーラサズ言語の中では珍しく発音の接合が少なく、音節を必ず切り離して読むことで知られる。
1-2.文字音価・文字名称
1-2-1.母音字
スィーザー語に母音字は6つ存在する。
文字(Tアルファベット) | 名前 | 音 | 自由異音 |
---|---|---|---|
A | アルプ | [ʌ] | [a] |
E | エシン | [ɛ] | [e̞] |
I | イオトゥ | [ɪ] | |
O | オミク | [o] | [o̞] |
U | ウプス | [u] | [ʊ] |
Y | ワィ | [iː] | [i] |
1-2-2.子音字
スィーザー語に子音は22つ存在する。エルツェットは元が一文字であるため、1文字として扱う。
また、重子音についてもここで記載する。
文字(Tアルファベット) | 名前 | 音 | 自由異音 |
---|---|---|---|
B | バー | [b] | [b] |
C | カー | [k] | [k] |
D | ダー | [d] | |
F | ファイ | [ɸ] | [oɸ] |
G | ガー | [g] | |
H | エハ | [h] | |
J | イェー | [j] | |
K | クル | [kʰ] | [k] |
L | ルフス | [l] | [ɹ] |
M | エム | [ɱ] | |
N | エン | [n] | |
P | パー | [p] | |
Q | クル | [q] | |
R | ルー | [r] | [ɹ] |
S | セー | [s] | |
T | テル | [t] | |
V | ヴィル | [v] | |
W | ウィク | [ɯ] | |
X | クルセ | [ks] | |
Z | ザ | [z] | [s] |
LL | エルツェット | [ː] | |
SH | シュエー | [ʃ] | [ʒ] |
CH | クルフ | [kʰ] |
2.形態論・統語論
2.1.単語の構成
スィーザー語において、接辞が付かないでそれ単独で文章に出現しうる分節を幹語と呼ぶ。また、幹語に付くことによってのみ出現しうる拘束形態素を接辞と呼ぶ。
接辞には幹語の前に連なる前置辞(接頭辞)と幹語の後ろに連なる語尾辞(接尾辞)が存在する。それぞれの接辞は辞書で文字列に-を付加され表される。表現中に実現されうる幹語或いは幹語に接辞が付いた分節を単語と呼ぶ。
幹語 | Swillzerrant(スィーザーラント), Fraz(友人), Ma(私)....... |
---|---|
前置詞 | De-(-した), Se-(-している), Le-(-する予定), Ne-(~しない) |
後置詞 | -za(-たち), -rant(-の場所)........ |
単語 | Fulya(屈せさない), Frazza(友人たち同胞たち), Depapsaj(書き残した) |
2.2.品詞と語順
2.2.1語順
文章の語順はSOV形であり、格詞によって補助される。
主語 | 目的語 | 動詞 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
名詞 | 格詞 | 主語 | 格詞 | 動詞 | ||
Swillzerrant | '(iwa) | Baz | 'ia | Enen. | ||
スィーザーラント | の | 山 | は | 有名。 | ||
スィーザーラントの山は有名だ。 |
2.2.2名詞
一人称
《Ma》は一人称単数を表す。正式な場合に使うことが可能で、「私」と訳される。
《Maza》は一人称複数を表す。「za」は複数形としても用いられる。
二人称
《Ya》は二人称単数を表す。「貴方」とも訳される。
《Yaza》は二人称複数を表す。
三人称
《Ha》は三人称単数を表し、「彼」もしくは「彼女」と訳される。
《Haza》は三人称複数を表す。
指示代名詞
《Tak》は「これ」と訳され、話者と物理的に近いものを表す。
《Tok》は「あの」と訳され、話者と物理的に遠いもの、もしくは文章・会話内で過去示されたものを指す。
それぞれ《Takza》《Tokza》で複数形にすることが可能。
2.2.3動詞
スィーザー語の動詞は動作を表す。動詞そのままでは基本形、つまり「~する」を表し、前置詞によって意味が呼応する。
過去進行形、進行否定形などの複合的意味を持つ場合もそれ特有の前置詞が使用される。
単純な前置詞 | |
---|---|
De- | 過去形 |
Se- | 進行形 |
Le- | 予定形 |
Ne- | 否定形 |
複合的意味を持つ場合の例 | |
---|---|
Dese- | 過去進行形(~していた) |
Sele- | 進行予定形(~している予定だ) |
Dene- | 過去否定形(~していない) |
Lede- | 予定否定形(~している予定はない) |
2.2.4形容詞
形容詞は名詞や動詞を修飾することができる。
2.2.5格詞
格詞はスィーザー語の特徴的な詞であり、後置詞のような形で他の動詞、名詞と接合した状態でのみ存在できる。格詞は必ず母音から始まるため、スィーザー語の動詞・名詞は必ず子音で終了する。また、正式な文章やいわゆる「書き言葉」の場合、基本的に音節を区切って発音しなければならない。
主格(~は・~が) | 'ia |
属格(~の) | 'iwa |
対格(~を) | 'iya |
奪格(~から) | 'ila |
与格(~に) | 'ika |
向格(~へ) | 'iva |
具格(~で) | 'iza |
2.2.6前置詞
同伴を示すWiz
Wizは名詞の前に記載され、同時に同所で行っていることを示す。
Ma'ia Apel'ija Bar Wiz Ha. | Fuarsoal 'ia Sal'setat Wiz Sav! |
私は果実を彼と一緒に食べた。 | 燃え滾る命が光と一緒に新しく始まる |
奉仕を示すFoll
Follは「~の為に」「~のためを思って」と訳され、相手のために行った行いを指す。
Ma'ia Uz Foll Ya'iva, |
私はお前のために使う |
起点を示すFlag
Flagは「~から」を示し、出身地や出発元、引用元などを表す。
Ma'ia Flag Swillzerrant. |
私はスィーザーラントから来ました |