歯垢の種類

Last-modified: 2010-12-10 (金) 15:55:47

歯垢は、臨床的には歯肉縁上歯垢(しにくえんじょうしこう)
歯肉縁下歯垢(しにくえんかしこう)に分けられます。


歯肉の先端よりも歯冠側にあり、歯肉の上にあり 外から見えるのが歯肉縁上歯垢です。
これは、染色液で赤く染め出されます。


歯肉縁下歯垢は、歯肉の先端より歯根側にあり、歯肉の下にあり つまり歯周ポケツトの
中にあって、外からは見えないものです。


歯肉縁上歯垢と歯肉縁下歯垢では、そこにすんでいる細菌の種類がちがいます。
歯肉縁上では細菌が塊となって集まっており、レンサ球菌、放線菌、グラム陽性悍菌が
多くみられます。


レンサ球菌には、虫歯の病原菌であるストレプトコッカス・ミュータンスや
ストレプトコッカス・サングイスがあります。


唾液の中に多くみられるストレプトコッカス・サリバリウスなどもレンサ球菌の仲間です。
放線菌には、歯垢中に多くみられ、虫歯の原因ともなるアクチノマイセス・ビスコーサス
などがあります。 


歯垢中に含まれる菌としてグラム陽性悍菌の代表には、乳酸をつくり、虫歯を大きくする
乳酸悍菌や、歯石形成に重要なコリネバクテリウム・マツルショッティイなどがあります。
歯垢中に含まれるこれらに対して歯肉縁下では、酸素をきらう嫌気性悍菌やスピロヘータと
呼ばれる菌が増えています。


嫌気性悍菌の仲間には、成人性歯周炎の原因とされているポルフィロモナス・ジンジバリス、
妊娠性歯肉炎や思春期性歯周炎の原因となるプレボテーラインターメディア、若年性歯周炎
原因といわれるアクチノバシラス・アクチノミセテムコミタンスなどがあります。


スピロヘータは運動性をもち、免疫反応を抑えるはたらきがあるため、歯周炎が進行(悪化)
するときの主役の1つといわれています