SU-101

Last-modified: 2024-04-11 (木) 21:46:36

ver9.13対応

 

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チェコルートと様々な戦車がBuffを受けた9.13・・・
SU-101ちゃんにもついに待望の新しい砲が追加された!
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ねぇ、ISUちゃん、あそこにいる、ラインメタル打てるかな?
わかった!ISUちゃんが打ってダメージを削ったら私がとどめを刺すわ!いくよ!

 
 

車両概要

・ソ連第二不人気TDルートのtier8 同僚がよりにもよってあのISU-152というちょっと不憫な子
・とにかく影が薄い絶対数も少ない まだ一度も遭遇したことがないという「」も多いのでは
・別名Uralmash-1 「Uralmash」とはソ連のOMZという工業系開発会社の重機開発設計部門の名称…らしい!

性能委細

  • 装甲
    SU101_Armor1.jpg
    表記上は120/90/40となっているが一番厚い部分のみがスペックに書かれるのがTDの常 ヤク虎さんとかわりと詐欺だよね
    ともかくこの子の実際の正面装甲分布は大まかに150mmゾーンと120mmゾーンと90mmゾーンの3つに分かれており
    SU101_Armor2.jpg
    この主砲周辺のリベット止めされたフレーム部分が150mm
     
    SU101_Armor3.jpg
    防楯裏と戦闘室全体が120mmで
     
    SU101_Armor4.jpg
    車体部分正面は上下とも90mmとなっている
     
    傾斜は戦闘室正面(120mm)が約30~33°、車体正面上部(90mm)が約25°といったところ
    仮に地面に水平な状態からHEAT(入射角標準化0°)を撃ち込んだ場合戦闘室が約240mm、車体上部が約214mm相当の厚みになる
    えっそれかなり硬くね!?と思われるかもしれないが勿論これはベストな状況での話
    実際にはほぼ上から撃ち下ろされる形になるしtier8にもなればHEATもペネ300台になってくるしで普通に抜かれるからどうか安心して欲しい
    ただいちおう格下や生半な貫通の同格に対する防御力は備えていると言える あくまで正面に限れば
    HPは同格TDの中でも最低値の990だけどこれだけの装甲があるなら些細なことだよね?
     
    逆にこの子を撃つときは車体上部に出てる操縦士用キューポラを狙うといい
    SU101_Armor5.jpg
    ここは90mmゾーンでほぼ傾斜が無いので楽々抜ける
    判定を見れば分かるが頭の上に生えてるぷっちょみたいなオブジェには判定が無いので注意!
    増槽にも判定が無いのはソ連車共通だし今更述べるまでも無いよね
    キューポラを狙えないなら素直に正面装甲上部を撃ち下ろすのが一番良いハズ
    後述するがSU101の旋回性能はかなり高いのであんまり側面を取ろうと躍起にならないほうがいいかも?
     
  • 火砲(Ver9.2)
    車体名主砲rpm貫徹力ダメージDPM精度収束俯角
    SU-101100mm D-54S8.96219/330320/32028670.352.1-2.3°
    ISU-152152mm BL-103.41286/329750/75025580.413.4-6.0°
    Ferdinand12,8cm5.00246/311490/49024500.352.3-8.0°
    ヤクパンツ12,8cm5.13246/311490/49025140.352.3-6.5°
    rhm※112,8cm5.22246/311490/49025580.352.3-5.0°
    T28P※2120mm5.94248/297400/40023760.392.1-10.0°
    T28120mm6.59248/297400/40026360.382.1-5.0°
    AC48120mm5.77257/325400/40023080.332.9-6.0°
    AT 1520pdr B12.00226/258230/23027600.301.7-10.0°
    ※1全周砲塔 ※2左右143度も回る
     
    SU-101がどんな戦車かよく知らなくても「なんかソ連にひどい俯角の戦車が居るらしい」とだけは知ってる「」も多いかもしれないね
    ハイそうですこのSU-101こそがまさにそのひどい俯角の戦車です
    全車両見渡してももちろん最下位の俯角はなんと-2.3°!ただでさえ射角の制限されるTDでこの俯角は想像以上にヤバい
    どんなもんか体験してみたい「」ちゃんは一度適当なスコープmod入れたのちマウス右クリックで俯角-2.3°に砲固定してから戦ってみるといいよ
    それがSU-101ちゃんが普段見ている世界です
     
    俯角の酷さをさっぴいてもtier8TDとして正直砲性能が優れているとは言えないのが悲しいところ
    見ての通りrpm8.96とかなり高い数値を誇るDPMなのだがTDでDPM型と聞くだけでウッとくる「」も多いでしょう
    同格の火力がインフレを始める中でTDが単発320ダメージはちょっと悲しいしそもそもそのDPMすら他の車両とさして変わらない
    さらにさらに深刻なのが貫通力の不足 APではたった219mmと同格HTにすら劣る有様で正面装甲を抜くだけでも頻繁に金弾に頼らざるを得なくなる
    ISU-152と比べた日にはなにをかいわんや
     
  • 機動力
    車体名重量(フル開発時)馬力最高速度出力重量比履帯旋回速度視界範囲
    SU-10134.32t680hp54km/h19.81hp/t36°380m
    ISU-15249.69t700hp43km/h14.1hp/t21°/sec370m
    Ferdinand66.7t840hp30km/h12.58hp/t21°/sec370m
    T28Prot66.33t510hp18km/h7.69hp/t20°/sec380m
    SU-101ちゃんの素晴らしいところはここ 機動力部門
    同格TDにいよいよドンガメが増え始める中この子だけはMT並みの高出力・旋回性能を誇りギュンギュン走る
    車体が軽いせいか加速も早い
    高火力LTが増え始める中でNDKに対抗しやすいというのは大きな利点だね
    この機動力を生かして颯爽と狙撃ポイント(俯角が無くても撃てるポイント)に滑り込んだり
    あるいは開き直ってそこそこの装甲と高DPMとを生かした快速鉄砲玉として立ち回ったりするのがSU-101ちゃんの生きる道になる

ぶっちゃけISU-152目指したほうが良くない?

過去編

 

SU-101は報われぬ戦車である。
そもそもSU-101という名を正確に覚えている戦車が、この広いシベリアに果たしてどれほど残っているだろうか?8.0Updateが発布されたあの日、ソ連第二TDルートのtier8として華々しく産まれたあの日こそが、彼女が脚光を浴びた最初で最後の日になるなどと一体誰が想像したろうか。戦車大国ソ連にあって、TDルートはただ一つ―――そう扱われることが常識になってから、あまりにも長い年月が経ってしまった。一体何故そんな扱いを受けるようになってしまったのか、その理由すら最早知られざることとなって久しい。
彼女は日々、努力してきた。知られざる努力である。こつこつと低tierでクレジットを貯め、HEATを買い、消耗品を買い、装備品を買い揃えた。TDではあっても後方でぬくぬくと芋ることに甘んじず、つねにミニマップに気を払い、時にはHTのように前に出、時には囮となって敵弾を集め、そうして撃破されてきた。勝利に貢献しようと努力してきた。
しかしそれにも関わらず、彼女が注目を集めることは一日としてなかった。味方チームにSU-101の名があっても殆どの戦車はその存在を意識することすらなく、相手チームにISU-152の名があればそれを羨んだ。彼女は全く評価され得ぬ戦車であった。
何故か?
それは他でもない、彼女がSU-101だからだ。

 
 

SU-101は俯角の取れぬ戦車である。
戦闘室の配置が悪いのか砲懸架装置の具合が悪いのか設計開発主任がウォッカでもしこたまひっかけていたのか、ともかく産まれ付き俯角を2度以上取れない戦車だった。この事実を知った周囲の戦車は一様に天を仰ぎ、失望し、それでも物は試しと彼女をマリノフカの丘の上へ連れて行って射撃をさせてみたものだ。その時の結果がまた酷かった。
「こ、ここから撃つんですか?」
まだ幼かった彼女―――SU-101は戸惑いながらも恐る恐る車体を前進させ、せいいっぱいに砲を下に向け、照準を開始した…するとどうだ、下の目標を撃つには射角が取れず、彼女はどんどん前進してゆくではないか。崖から身を乗り出し、車体を傾斜させ、もはや斜面に車体上面を丸出しにしてもなお俯角が足りず、
「あ、あれ…もうちょっと…もうちょっと…」
「もういい!やめろ!分かった!」
見るに見かねてIS-7が制止しようとしたその瞬間、どこからともなく飛んできた12,8cm PaKの一撃が彼女に直撃し、盛大な花火が上がった。弾薬庫誘爆、一撃必殺であった。
何という、哀れを誘うほどのFAIL TD!
一部始終を目撃していたT-50が面白がってこの事実を皆に無線で伝えて周り、その日からSU-101は産廃TDの代名詞となった。ガレージに帰るとメールボックスには見るも耐えぬ検閲文字が並んでいた。第二TDルートの評判は初日にして、完膚なきまでに地に堕ちた。
そうして、彼女の暗く惨めな日々が始まったのだ。

 
 

SU-101は火力のない戦車である。
ソビエトロシアに産まれた戦車は、幼い頃から「何をおいてもまず火力を得よ」と教えられる。装甲や機動力、視界や隠蔽率といった車体性能は生き残るためのものではなく、すべて火力を生かすためにある。矛のために楯があるのだ。威力を減じて精度を取るなどというのはファシストの豚がやることであり、軽蔑され、疎まれる。火力支援を必定とするTDならば尚更である。
そして、彼女にはその大事な大事な火力が無かった。
tier8TDとしてはあまりにも貧相な単発320ダメージ。DPMこそ2700超とそこそこながら、彼女の俯角ではその数値を悠長に発揮する機会など得ようがなかった。かといってにくきドイツ戦車の装甲を貫くだけの貫通力があるわけでもない。一体何が取り柄なんだ、と幾度と無く問われる。彼女の攻撃能力は貧相の一言であった。まな板であった。
象徴的なものとして、こんなエピソードーオーがある。彼女が普段働いているハリコフの工場にLeopardが一匹紛れ込んだことがあった。
「ドイツ車だ!ドイツ車が入り込んでいるぞ!」
最初にそれに気付いたのは現場主任のKV-4だった。彼は慌てて107mm砲を放ったが、Leopardは薄汚いドブネズミめいて逃走を開始した。
「イヤーッ!」「Боже мой!」
「汚らしい!あっちへ行きなさい!」「捕まえろ!誰か!」「MTを呼んで来い、早く!」
工場のそこかしこから悲鳴が上がる中、Leopardは縦横無尽に工作機械の合間を駆け巡り…あろうことかSU-101の方向へ向かってきた。彼女は慌ててAPを装填し、狙いを定めた。幸いなことに彼女は照準速度には2.1secと自信がある…撃った。

 

*PAKOM!*  命中!

 

「や、やった…!」
改心の手ごたえに、彼女は思わず砲を上ずらせた…しかし、ああ、なんたることか。Leopardは何事もなかったかのように旋回し、また工作機械の裏に消えて行ってしまった。彼女の与えたダメージは320。致命傷には至らなかったのだ。
結局Leopardはさんざ工場中をひっかきまわし、工作機械のいくつかを機関砲で破壊し、ついでにS-51のエンジンも破壊した後まんまと裏口から逃げおおせてしまった。ようやく追いついてきたKV-4は息を切らしながら、呆然としている彼女を一瞥すると苛立たしげに吐き捨てた。
「чёрт возьми!お前の砲はまるで役立たずだな!tier5LTすら一撃で仕留められんのか!」
「す、すみません…私は、その…履帯を狙ったんですけど…」
「もういい!作業に戻れ!まったく、まだSU-152のほうがマトモな火力がある…」
tier7TDであるSU-152と比べられるとは!しかしそれも、ある意味やむなきことであった。それほどまでに彼女の火力は頼りないものだったのだ。この出来事もT-50によってシベリア中に広められ、翌日から彼女は「Leopard殺しのSU-101」として嘲られることになった。

 
 

SU-101は金のない戦車である。
何故金がないのかと言えば、足りない貫通力をHEATで補わなければならないからだ。彼女のAPは僅かペネ212mm、同格HTにすら劣る数値である。ただでさえ単発火力が無いのに装甲すら抜けないのではどうしようもない。完全な役立たずの烙印を押されぬように、彼女は工場で稼いだクレジットをHEAT購入代金に費やさねばならなかった。当然ながら、そんな生活をしていてはexpは溜まっても金は溜まらない。いつまで経っても、いつまで経っても、tier9へ進むメドはまったく経たなかった。
(なんで、私はこんなにダメなんだろう…)
そう、一人で塞ぎこむことが次第に多くなっていった。
マリノフカでの失態、工場での醜態、そして日々のマッチングでの数え切れぬ失敗…その頃にはもう、彼女の評判は地に堕ちるどころか、もはや口にされることすら少なくなっていた。戦車たちは次第にSU-101という名前すら忘れ始めていた。数あるnoobのうちの一人。期待できないろくでなしどもの一部。
(頑張らなきゃ…このままじゃ、いけない)
それでもまだ、その時の彼女には奮起するだけの気力が残っていた。
彼女には夢があるのだ。expとクレジットをたくさん稼いで、勲章を貰って、いつか立派なObject 263になりたい。産まれ故郷のウクライナに帰って、立派になった姿をハルキウのお父さんとお母さんに見せたい。それまで諦めるわけにはいかなかった。彼女は努力していた。

 

8.6が来るまでは。

 
 
 

SU-101のガレージにはテレビが無い。
別に当局に検閲されているからではなく、単に彼女が貧乏すぎてテレビを買えないからである。新聞も、ラジオもない。クランにも入っていない、もちろんフレンドリストも空だから、友人からの情報も入ってこない。完全に世間とは隔絶された生活を送っている。
そんなだから2013年6月25日その日も、彼女は8.6が実装されたという驚天動地のニュースを知らないままでいた。いつものように朝起きて、工場勤めで疲れたエンジンを奮い立たせてガレージを出、ショップに入って100mm用のHEATを買おうとした―――
「あれ…?」
そこでようやく、違和感に気付いた。
陳列棚に並んだHEATの値段である。一発12gold、4800credit。
昨日までより、高い、ような。
「あ、あの…!」
たまらずSU-101は店員を探し、声をかけた。カウンターで舟を漕いでいた店員―――SU-14-2は、こちらを一瞥するなり一言、
「4800creditだよ」
「いえ、あの…その」
「なんだい。値切りならお断りだよ」
「そ、そうじゃなくて。これ、値段、上がってませんか…?」
ああ、とSU-14-2は合点したように頷き、
「8.6だからね。今日から値上げだよ。一発12gold、貫通力も320mm」
「320mm…!?」
SU-101は驚愕のあまり、言葉を失った。それでは前より貫通力が落ちているではないか。一発あたり2gold、800creditも値上がりしたのに?
それではあまりにも、
「なんでもHEAT全般の値段を引き上げろ、ってのがお上のお達しらしくてね。APCRに比べて費用対効果がどうとか、tier帯に対する性能がどうとか…詳しいことはよくわかんないけど、そういうことだよ
「でも、そんな…困ります。急にこんなにも値上げだなんて」
「あんただけじゃないよ。HEATを使う連中はみんな困ってるんだ。アメリカのほうじゃ10榴HEATが6goldから10goldに値上がりして、おまけに貫通力は150mmから100mmに減らされたって言うじゃないか。たった30mmで済んだだけありがたいと思いな」
SU-101は言葉も無く、ただ黙って砲をうな垂れた。HEATは彼女の生命線だ。買わないわけにはいかない。30mm貫通力が減ったとて、APと比べればまだ雲泥の差なのだ。しかしこの値段では、ただでさえ厳しい収支が…
面倒くさそうにこちらを眺めていたSU-14-2が、追い討ちをかけるように言い放つ。
「ほら、ぼさっとしてないで。結局買うのかい、買わないのかい」

 

結局、彼女はHEATを10発だけ買った。
そうしてその日の試合は、散々な出来だった。8.6の告知に触れる機会がまったくなかった彼女は知らなかったが、全体的な砲精度が非常に向上した関係で戦場は激変していた―――今までよりも遥かに遠くから、遥かに正確な狙いで弾丸が飛んでくるのだ。いつも通りに機動力を生かして狙撃ポイントを確保しようと思った彼女はあっという間に履帯を切られ、集中砲火を浴び、なんとか遮蔽物に身を隠して…ちらりと車体を出した瞬間、正面キューポラの弱点を的確に撃ち抜かれて爆発四散した。
「Fuckin retard TDs」
罵倒を浴び、ついでに修理費で真っ赤な収支を突きつけられ、彼女は失意のうちに帰路へついた。
このままでは、いけない。戦場が大きく変わりすぎている。8.6の情報を集めなければならない。そう思ったが、また1から立ち回りを再構築しなければならないのかと思うと今は何もやる気になれなかった。
(なんで、私はこんなにダメなんだろう…)
絶望的な気分のままとぼとぼ進んでいると、街頭テレビの前に戦車が集まっていた―――珍しい光景だ。何事かと画面を見れば、能天気な感じの迷彩が施されたT-34が出てきて、8.6で激変した各地の模様を伝えている。nerfに泣くSPG郡。大混乱のマリノフカ学園。HEATの払い戻し騒動。そして、
『…さーて、今週の名手戦車兵は…皆さんご存知、ISU-152ちゃんです!イエー!
tier8TDといえばまずこの子でしたが、今回のアップデートでいっそうその地位を強固にしたって感じですね!彼女は8.6で向上した砲精度を如何なく発揮、tier9マッチながら敵HT3台をまるまる撃破、自軍陣地に突入してきたLTを吹き飛ばすなど大戦果を挙げ―――』

 
 
 
 

SU-101は報われぬ戦車である。
俯角は2度しか取れず、ろくすっぽ射撃機会を得られない。砲の火力はMTと見まごうほど低く、貫通力はTDのそれとは思えないほど低い。体力もなく、装甲もそれほど頼りになるわけではない。HEATも値上がった上にnerfされた。おまけに同僚は仕様変更の恩恵を受けてますます強くなった。
それでも彼女は、努力している戦車である。
ISU-152の陰に隠れた、可哀相な戦車である。

 

恵まれないSU-101ちゃんに、愛の手を。
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栄光の9.13編

師走、多くの高ティア戦車たちの割引の時期、誰にも注目されず期待もされていない駆逐戦車がいた。
その名はSU-101、ソ連の第二駆逐のティア8TDである。
8.0の実装からかなりの年月が経ったが彼女は未だに開発経験値を集めるために戦場に出撃していた。
あれ、なんだあの戦車、SU...101? ISUではないのか?
彼女はなんどもこの言葉を聞いてきた それもそのはず、SU-101はあのISU-152と同じ国の同じ駆逐戦車だったからである。
周囲から聞こえる彼女を馬鹿にする声
聞きなれた悪口を無視し、ただひたすらSU-122-54になるための開発経験値を集め続けた。
それでもまだ、その時の彼女には奮起するだけの気力が残っていた。
彼女には夢があるのだ。expとクレジットをたくさん稼いで、勲章を貰って、いつか立派なObject 263になりたい。産まれ故郷のウクライナに帰って、立派になった姿をハルキウのお父さんとお母さんに見せたい。それまで諦めるわけにはいかなかった。彼女は努力していた、2年たった今でもその夢を叶えようと。

 
 
 

その日は突然やってきた

 
 
 

SU-101のガレージにはテレビが無い。
別に当局に検閲されているからではなく、単に彼女が貧乏すぎてテレビを買えないからである。新聞も、ラジオもない。クランにも入っていない、もちろんフレンドリストも空だから、友人からの情報も入ってこない。完全に世間とは隔絶された生活を送っている。
そんなだから2015年12月17日その日も、彼女は9.13が実装されたという驚天動地のニュースを知らないままでいた。いつものように朝起きて、工場勤めで疲れたエンジンを奮い立たせてガレージを出、ショップに入って100mm用のHEATを買おうとした―――

ショップに向かう道の途中、戦車たちの話し声が耳に入ってきた
「おい!遂にチェコ戦車が実装されたってよ!オートローダーやティア7で100ミリの砲がつめるらしいぜ!すげえな!」
久しぶりの大型アップデートでは、新国家の戦車の話題で町中が大騒ぎになっていた。
ショップに着いたSU-101はそこで初めてアップデートの詳細情報を目にした。そこには大きな文字でチェコ戦車のイラストとスペック表が小さくぎっしりと書かれていた。幸いチェコ戦車は100mmのAPでも貫通できそうだった。
しかしこの日は何かがおかしかった、SU-101の砲弾が並べられた棚には、100mmより貫通が低いはずの122mmの砲弾、しかもそれはAPCRではなくHEAT…砲弾の名前を確認したところ、SU-122-54の者と同じものだった。
(多分、間違えたんだろう…)
そう思い100mmのAPとHEATを手にすると、SU-14-2が言う
「アンタ、100mmでいいのかい?122mmの砲弾は買わないのかい?」としつこく聞いてくる
訳が分からず買った砲弾を持ってガレージに帰るとポストには手紙と何か大きなコンテナが置かれていた。
その手紙はObject263からのものだった、とてもキラキラとした文字で書かれていた内容をSU-101は呼んだ。

 

「元気かい?SU-122-54だよ。あ、いまはObject263だった!ところでアップデート情報見たかい。Buff、おめでとう。
僕もプレゼントを送りたかったけど、263になったばっかでなかなかお金が無くて…中古の物で悪いけど僕が使っていた
122mm M62砲と少し残ってたAP、HEAT弾、あといらないかもだけど榴弾も入れておいたから是非使ってね!コンテナも届いてると思います!」

 

コンテナを開けると、手紙に書いていた通り少し傷があるSU-122-54の最終砲と砲弾が詰め込まれていた。
使えないはずの砲をなぜ送ってきたのかSU-101にはわからなかったが砲を手にした瞬間
「122mm M62 T-2に換装しますか?」というメッセージが流れてきた。
それは、SU-101という車両に大きな可能性を与えるものだった。

 
 
 
 

「この世界は私が居なくても回る、だけどSU-101はSU-101しかいない」
その砲には大きく、赤く輝いた星が3つ刻まれていた。

「」の評価

選択肢 得票数 得票率 投票
読んでいたら泣けてきた 371 64.9%
南スーダン緊急事態 54 9.4%
それでもISU-152を選ぶ 30 5.2%
tier8TD最強 24 4.2%
おのれT-50 22 3.8%
遭ったことがない 18 3.1%
ver 9.22の悲劇 10 1.7%
268 V4編へ続く 7 1.2%
強い 7 1.2%
この戦車に乗るくらいならフライパンに乗る 6 1.0%
知られていないから狙われる心配がない 6 1.0%
弱い 5 0.9%
この次が強いという思いで頑張る 4 0.7%
元気かい?SU-122-54だよ。あ、いまはObject263だった! 3 0.5%
普通 2 0.3%
ウマミラッシュ 1 0.2%
ウラルマッシュ! 1 0.2%
戦闘開始に備えよ 1 0.2%
その他
投票総数 572

コメント

  • 取り柄もなくなったし強戦車ツリーに一個は必ずあるフリーで飛ばしてね枠になってしまったし・・・ -- 2018-02-15 (木) 23:25:18
  • また恵まれない子になったし -- 2018-02-17 (土) 17:47:00
  • この子に何の恨みがあるんだし・・・ 9.22悲劇だし・・・ -- 2018-02-19 (月) 01:47:50
  • そのかわりそれなりの装甲と平均より少しだけ上のHPを貰ったし...でもいままでのつよあじを捨ててまで欲しかったかと言うとうn... -- 2018-02-19 (月) 11:14:42
  • vBAddictのTier8駆逐戦車勝率で統計堂々の第一位(53.22%)になったんぬ wot-newsのRUサーバーだと6位なんぬ -- 2018-03-15 (木) 11:58:42
    • 9.22のこいつのどこが強いんだし…と思って使ってみるとあら不思議 精度はうんこだけど収束と拡散がめちゃめちゃ良くなってるのと車体下部が弱点じゃない上に小さいキューポラの奥にある戦闘室がカチカチかつ後退速度が早いから見た目以上に隙がないし! 少なくとも前の中途半端で臨機応変に動かざるを得ない性能からより前に出れる性能になって運用が楽になったんぬ でも俯角のせいで玄人向きなのは変わってないけど是非「」も毛嫌いせずに1回使ってみて欲しい -- 2018-03-17 (土) 23:32:04
      • 使ってみたけど思ったほど全体的な性能はひどくはなかったけど俯角がすべてを台無しにしてるくらいつらいし!そのせいで逃げられた敵を見逃したりすることが多々あるから運用難易度は段違いだし!! -- 2018-03-18 (日) 04:42:58
  • 見た目とは裏腹にAT15より硬いからトップならオラオラできるし!ボトムだとうn... -- 2018-03-19 (月) 16:21:20
  • 使えば使うほど俯角という欠点はそこまで困らなくなってくると同時に旋回速度という足枷に悩まされる子 激遅旋回のおかげで折角の直進速度が活かせなくて陣地転換もクソもないではないかねSU-!10111!!1! -- 2021-01-08 (金) 23:56:41
  • やっぱりこの子弱いのね...安心したわ -- 2021-05-02 (日) 20:08:20
    • 長所がぶっちゃけ直線の速さしかないんぬ……精度か単発かDPMか装甲か旋回か俯角かせめてなんかくれないと困るんぬ まあでもこの前と次が優秀だからここが俺たちのフリー回収ポイントだ!ってことだしししし -- 2021-05-08 (土) 23:52:56
  • だいぶ前にちゃんと強い砲が追加されて問題なく戦えるよ -- 2022-01-24 (月) 11:14:05
  • カタログ上の機動性はM1ちゃんとあんま変わらないけど履帯性能の向上のおかげか見違えてスルスル動けるように感じるし!町マップで駆けずり回って340HEATお届けしてる時が一番やりがいを感じるし!でも主砲の精度はもうちょっとほしいかなって… -- 2022-02-25 (金) 18:04:06