西川君の体操服

Last-modified: 2011-10-01 (土) 23:50:32

西川の小学校の卒業作文。本作品は卒業アルバムに掲載されている。 
一人称に「体操服」を用いるというところや、「気持ちがせんいにしみこんだ」という独特の表現を使うといったところから、当時から彼はきっと特別な存在なのだと感じました。今では私がおじいさん。もちろん孫にあげるのはヴェルタース・オリジナル。何故なら彼もまた、特別な存在だからです。

全文


中学生になっても
 私は、西川君の体操服です。私は、西川君が一年生のころから、西川君の体操服として、西川君のそばにいました。
 例えば、六年生の運動会の時に、暑い中練習をし、見事に本番でタワーを完成させましたね。その時の気持ちは、あなたの汗となって、私のせんいにしみこみました。
 持久走大会の時も、本番の時、一番いい記録を出した時の喜びも私は忘れません。
 この一年間であなたはみちがえるように成長しましたよね。私を使いはじめたのは、まだ、一年生のころだったけれど、だんだんと体も大きくなり、足も太くなってきました。運動会の練習でも、一年生のときは簡単な動きだったけれど、二年生、三年生、四年生、五年生、六年生と上がるにつれて、動きがむずかしくなってきましたよね。だから、私は、一年生から、六年生の運動会で成功した喜びをかみしめられたんだなと思います。
 持久走も、短いきょりから、長いきょりへと変わっていきましたよね。きつい、きついと思いながらも、汗だくになってもがんばって走り続ける姿や、他のクラスやお父さんお母さんに、はげまされながら、走るあなたの表情は真剣そのものでしたよ。年々きょりが長くなるのにつれて、あなたは、いっそうきつそうな顔をしていました。でも、走り続けるというのを忘れずに走るあなたは、正直かっこよかったですよ。
もう、中学生ですね。中学生になってもそのがんばりを忘れずにがんばって下さい。