作品集202

Last-modified: 2015-03-14 (土) 14:18:10
漠砂のスマラグド  キム・ワイプ氏

【作品集】202
【タイトル】漠砂のスマラグド
【書いた人】キム・ワイプ氏
【感想】
橋姫=波斯姫=ペルシア人、というキーワードを膨らませ、独特の舞台で描いたパルスィの過去話。

何より目を惹くのは、十四世紀末中央・西アジアという、東方とは馴染みの薄い舞台設定。
実在の都市名や国家を出しつつ、この地域ならではの産物や文化も背景に登場させ、
ときには歴史とも絡めてこの世界に生きる人々を描写することで、創想話ではなかなか類を見ない舞台設定を見事に息づいたものとして描くことに成功している。
レビューを書いている当人には知識が薄いので、おそらくはデフォルメされたところや実際の歴史と異なる部分もそれなりにあるのかもしれないが、
作品としてはより重要な、物語の舞台を実感させることには高い水準で成功していると言っていい。
すくなくとも、それなりの知識を持って書いているか、あるいはきちんと取材して書き上げていることが窺える。

こうした舞台設定なので、どうしてもオリキャラを投入することにはなるが、
きちんと背景まで掘り下げられた脇役たちも魅力的に描かれている。
280kbという十分な容量を使って語られるパルスィの半生は、
どん底の人間がこわごわと手を伸ばし、何かをつかみ取ろうとして零してしまう、
という悲劇の王道を見事に演じていて、それほど長さも苦にならないはず。
個人的に印象的だったのは、パルスィに決定的な止めを刺した出来事が人間の悪意だったというところだった。

文章の破綻も少なく、読みやすい。
少し粗を探すなら、パルスィが「嫉妬の塊になる」過程については、きちんと布石は打たれているものの、
「嫉妬」である必然性が多少薄いというところだろうか。
不幸な目に遭い、もともと異常を秘めた人間が世界に抱く感情がたまたま嫉妬という形で現れた、という形で解釈した。
まあ、無理に必然性をつけるようなエピソードを加えるよりは、作品で提示された形の良かったかもしれない。
何より過去話ということで、読者にははじめからわかっている結末ではあるし。
その点ではむしろより重要な、パルスィが変質する過程については、人間の中に現れた妖怪の異常さを強烈に印象付けることに成功している。
嫉妬の妖怪であることも遺憾無く発揮しているので、クライマックスの演出は十分良作といえるだろう。

舞台に違和感のない範囲で東方キャラも登場させていて、きちんと原作とのつながりも示しているうえに、
中東付近に東方キャラが訪れていた可能性にも思いを馳せることができたりして新鮮。
個人的に、名前が中央アジア系と解釈できる某キャラを本当に中東へ登場させた作品は少ない気がするので、その点も面白かった。

総評すると、舞台設定のために、皆が評価する作品とは言えないものの、
他にはない特徴を見せてくれる作品を読むのが創想話の醍醐味という人には、是非おすすめしたい作品。
少し長いけれど、興味を持ったらじっくり読み進めてみてほしい。

スノースマイル  三回転ひねり氏

【作品集】202
【タイトル】スノースマイル
【書いた人】三回転ひねり氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/202/1418054620
【あらすじ&感想】
霖之助と謎の対戦相手が織りなす、少し不思議なジェンガゲームのお話。

魂の傑作  Alcohol氏
コメントし辛い作品かなーとは思ってたのですが、コメント欄を見るとやはりそんな感じでした。

(自薦)
【作品集】202
【タイトル】魂の傑作
【書いた人】Alcohol氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/202/1418062239
【宣伝】
コメントし辛い作品かなーとは思ってたのですが、コメント欄を見るとやはりそんな感じでした。
決して短いコメント書く人を悪く言うつもりはありませんが、もっとこう…あるだろう!と。
詰まる所、感想が欲しいです。お願いします。

隠されていた精巧なレミリア像を発見したフラン。

【作品集】202

【タイトル魂の傑作   【書いた人】Alcohol氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/202/1418062239
【あらすじ&感想】

隠されていた精巧なレミリア像を発見したフラン。そんな趣味のある奴だっけ
一体どうしてこんな物が、そしてどうやって作ったのか。謎は深まる中――な話。

全体的にライトなお話だった。
そのうち見せる、と言われた像。「そのうち」が来るまでに事は起きてしまうけど
その気はあったんだと思うと、全ては杞憂だったのかもしれない。
レミリアの心情は何処にあるのか、五百年生きている彼女しか本当の気持ちは知り得ない
筈なのに理解できそうと思うのは、像と共に封印されていたのかもなあと、中々感慨深い最後。
幼き月という二つ名が思い出される話だった。
考えようと思えば色々考えられるけど、何でそんなまどろっこしい事したのかだけは理解できなかったな。
作者が居るのだから、その辺りは聞いてみたい気もした。

魔法図書館創世論  るゐ氏
スーパーSF風超展開もの。

【作品集】202

【タイトル】魔法図書館創世論   【書いた人】るゐ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/202/1417101376
【あらすじ&感想】
スーパーSF風超展開もの。
言い回しは読んでるだけで恥ずかしくなりそうなぐらいのものだが、突然飛び込む超展開となにもなかったかのような収束に比べれば些細な事。
やや曲がった世界観の中にパチュマリを放り込んで煮込んだ球速速めのくせ球
ただ、思うにもうちょい尺あってもよかったというか、こういうぶん投げ超展開は尺あってのものじゃないかなあとは思う。

「なあ、ここの図書館って一体何の順番で本を並べてあるんだ?」

【作品集】202
【タイトル】魔法図書館創世論   【書いた人】るゐ氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/202/1417101376
【あらすじ&感想】
パチュリーにとって魔理沙は厄介な存在だった。
彼女といるといつもペースを乱れる。いつも気持ちを焦らされる。
もちろんこの気持ちの正体を知るために数多の本を開いて調べて答えも見つけた。
だけどそれを見つめたくない。世界にはまだ私の知らない知識がある。
きっとこの答えを否定してくれるものがある。

そしてある日魔理沙が聞いた。
「なあ、ここの図書館って一体何の順番で本を並べてあるんだ?」
私は答えた。
「ごめんなさい。私にも分からないのよ」

作品によって魔法図書館の設定ってけっこうまちまち。
パチュリーの仕業だったりレミリアの仕業だったり大結界の仕業だったり。
そしてそんな不思議な図書館のすべてを偉大な魔女が手にすれば、
なんと少女の悩みすらも解決することができるのです。

Hearn's Report  怪人二十HNさん

【作品集】202
【タイトル】 Hearn's Report   【書いた人】怪人二十HNさん
【URL】 ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/202/1420282995
【あらすじ&感想】
マエリベリー・ハーンの語り形式。
(タイトルの通り、誰かに報告するような感じ?)
宇佐見蓮子との出会いや、秘封倶楽部の結成や活動等が端的に語られる。
そして、最後は……。

なんか切ない感じがする作品。
秘封倶楽部系の作品としては、あまり見ないタイプだったので、新鮮でした。
色々なネタ(例:某ワキ巫女)も満載ですが、
秘封倶楽部系の作品が好きな方に特にオススメです。