キャラ攻略/スカーレット姉妹

Last-modified: 2018-12-03 (月) 16:33:51

ルート概要

レミリアフランドール、個別しか攻略できなかった二人を同時に攻略する√
姉妹丼である。いやらしい
本来なら疎遠だった10年後のスカーレット姉妹だが、この√では普通に仲睦まじい様子を見せていた。
ただ、一見平穏そうに見える彼女達の周辺にはきな臭い影が見え隠れしているようで……

フレリスト登録条件(戦闘参加)

  • √に突入した時点で彼女達を自動的にフレンド登録する。
  • 戦闘時の特徴はそれぞれの攻略√の該当部分を参照のこと

ルート攻略

  • レミリアとフランの√でTURE ENDを見たことがある。

もしくは

  • レミリア√GOOD?ENDを見たことがある。
     
    どれかの条件を満たしたうえで、現代のスカーレット姉妹の好感度を100まで上げ、
    ヴォヤージュ201⑨でレミリアorフラン√へ突入する時の選択肢(帰るまで紅魔館に住まないかというお誘い)を肯定した後、
    「そういえばフランドールはどうしてる?」と尋ねる選択肢が追加される。これを選択することでスカーレット姉妹攻略√に入る。
  • この√でのスカーレット姉妹は強力な吸血鬼として成長している。
    吸血鬼?

    実はレミリアとフランドール……というよりスカーレット家は吸血鬼を祖先に持ち、その血を色濃く引いている。
    吸血鬼に成長したのは、資質もあるだろうが10年の歳月を経てその血が先祖返りを起こしたことによるもの。
    祖先は吸血鬼と化したヴラド・ツェペシュだとか、その末裔だとか言われているがよくわかっていない。
    ただ強い吸血鬼の血を引いているのは間違いなく、幼稚園児にしてはべらぼうに強かったり、吸血鬼を思わせる技を持っていたのもそれが理由の様だ。その傾向が顕著に現れたのは小学生から。中学に入った頃には完全に先祖帰りを起こしている。

    その影響か最短で√を発生させてもレベルが75を越えている。
    そして、後半の終わりから恋愛感情が生じる軋轢、これまでの√ではほとんど前面に出てこなかった姉妹の種族「吸血鬼」に関わる、ある出来事が発生する。
  • ルートを通して見ると平和な雰囲気が強いが、最後の最後に強敵との戦いが発生する。
    PCも参戦する上、戦闘勝利時のPCの生存の可否でENDが分岐するので、PCの方もレベリングなどは怠らぬよう。

序盤

  • 当√への分岐となる選択肢を選ぶと、レミリアが「元気にやっているわ。あなたを見たら驚くんじゃないかしら?」と笑いながら答える。
    そしてレミリアと一緒に紅魔館へ訪れると……館の扉が開いて、成長したフランドールがPC達を迎え入れた。
    この一幕を迎えて、姉妹√はスタートする。
  • 紅魔館を訪れた初日の夜に、歓迎パーティということで紅魔館住人達に盛大に歓迎を受ける。
    が、その途中でレミリアが「急な仕事が入った」と言って、謝罪しつつ退室してしまう。
    キョトンとするPCに、フランが半年前に彼女達の周辺に起きた出来事をおおまかに説明してくれる。
  • 内容はレミリア・フラン√の序盤で聞けるものとだいたい同じ。
    しかし姉妹√では、二人の√におけるターニングポイントだった姉妹仲が不仲ではなくなっている。両親が亡くなってしまったのは変わらず、レミリアは相変わらず忙しそうだが、フランは引き篭もってないし、学校にもきちんと通っている。
    フランが健在な事もあって、幼稚園時代の友人も家庭の事情を理解しており、お互いにそれとなく気遣いながら仲良くやっている。……たまに口喧嘩することもある様だが。
    中盤の終わり頃まで姉妹仲や友人関係の修復で手一杯だった個別√とは逆に、最初から終盤の終わりまで姉妹と一緒に10年後のネ実市をくまなく満喫できる。
  • 中盤が近くなると、姉妹それぞれでイベントが発生。ちょっとずつ異性として意識する様になる。
    姉妹イベント・レミリア編

    早朝の紅魔館。
    「申し訳ありませんが、少しお時間をいただけますか? 御頼みしたい事があるんです」

     

    起きて早々、10年後の咲夜さんに呼び止められたPC。
    話だけでも聞いてみると、咲夜さんが言う頼み事とは

     

    「御眠りしているお嬢様を起こして貰えないでしょうか」

     

    種族柄の問題か、レミリアは低血圧で、朝に非常に弱いという。

     

    「普段なら私や他のメイドがお嬢様を起こしに行くのだけど……」

     

    材料がそっちに逃げたぞーっ!』
    『A班は分散して回り込めー!』
    『無傷で捕まえるんだ! アレでもお嬢様達の朝食よ!』
    『よっしゃああ! 捕まえ……あれ?』
    『分身……!?』
    『質量を持った残像だと……!』

     

    紅魔館中を飛び跳ね回る、虹色の丸模様の大きな卵とそれを追いかけるメイド部隊を横目に、
    メイド長は溜息をついた。

     

    「今、屋敷のメイド全員が"卵焼きの調理"に手が離せなくて……」
    ……一体何の卵なんですかねアレ。

     
     
     

    ……と言った経緯から、レミリアを起こしに行くことになったPC。
    レミリアの部屋の前に立ち、ノックするが反応は帰ってこない。
    おそるおそる扉を開け、部屋を覗きこむと天蓋の着いた大きなベッドの上に棺桶が置かれていた。
    蓋は無造作に外れて床に転がり、開いた棺桶の中には眠っているレミリアの姿があった。
    大きな翼を畳んで、棺桶の中に身を預ける小さな体。
    すやすやと穏やかな寝息を立てて、眠りの深淵を謳歌するその横顔はとても無防備で、あどけなくて
    気が付けばPCは起こす事を忘れて、彼女の横顔を一心に見つめていた。

     

    「……んぅ」

     

    視線を感じたのか、寝苦しそうな呻きを上げるレミリア。
    己が来た目的を思い出し、慌てて起こそうとするPC。肩に手を掛けて軽く揺さぶろうとした直後。
    レミリアが目を覚ました。
    眠そうに目を擦っていたが、PCの姿を見てぱちくりと眼を瞬かせる。

     

    「ぇ?」
    『あ"』

     
     
     

    メトメガアウーシュンカ (ピチューン

     
     
     

    「……起こすなら、呼び鈴を鳴らせばいいのに紛らわしい。てっきり夜這いかと思ったわ

     

    紅魔館の廊下を歩き、顔を真っ赤にしながらぼやくレミリア。その横には頭に大きなたんこぶを作ったPCが滂沱の涙を流していた。

     

    「……仕方ないじゃない。異性が私の部屋に入ってきたなんて、その、初めてなんだもの……」

     

    しどろもどろに言いながら、レミリアは顔を逸らす。顔を逸らしたまま、しかし目線はPCに向けて呟く。

     

    「……悪かったわよ。折角起こしに来たのに、叩きのめしちゃって」

     

    どこか変な空気のままエントランスへ向かうと。

     

    『ぎゃあ! お嬢様が起きた!』
    『どうしよう、まだ捕まえてないよぉ!』

     

    メイド達がまだ卵と追いかけっこしていた。

     

    「ふあぁー……おはよー……って、みんなどうしたの?」
    『あ、妹様おはようございますー』
    『おはようございます妹様! ただ今お嬢様達にお出しする朝食の食材を追いかけているところでございます!』
    『一撃で仕留めるので御待たせはしません、ご安心くださーい!(パリーン』
    『『あ』』

     

    『でっていうwwww』

     

    『『……う、生まれた―!?』』

     

    卵が割れて、モヒカンを生やしたトカゲみたいな珍獣が爆誕した。

     
     

    「あれが朝食?」
    「もしかして……アレを食べろっていうの?」

     

    胡乱げな目で姉妹に尋ねられたPCは、耳を塞いで首を横に振るだけだった。

    姉妹イベント・フランドール編

    紅魔館を散策中のこと。

     

    「あ、ねぇねぇ。お兄さん」

     

    エントランスにてフランドールが人懐っこそうに近寄ってきた。

     

    「少し、付き合ってくれないかな? 最近運動していないから体が訛っちゃって。
     お姉さまは今は忙しいし、美鈴はシエスタの最中だから邪魔をしちゃ悪いし……」

     

    外から聞えてきた門番の悲鳴とナイフ弾幕の被弾音を聞き流しつつ、どんな要件を訊ねてみると、
    フランはしばらく考えた後、満面の笑みを弾ける様に浮かべて…

     
     

    「弾幕ごっこ!」

     
     
     

    少女決闘中…

     
     
     

    「あははっ。お兄さんありがとう! 楽しかったー」

     

    フランに振り回され、へとへとになったPCを支えながら謝意を述べるフランだったが、ふと眉尻を下げて首を傾けた。

     

    「でも、ちょっと不思議ね。もう年はあまり変わらないのに、お兄さんって呼ぶのも」

     

    首を捻るフランに、PCは呼び辛いなら名前で呼んでも構わないと話す。

     

    「え。い、いいの?」

     

    再度促す。照れがあるのか、フランは何度も言い淀んでいたが、

     

    「……PC」

     

    少女は噛み締める様に、目の前の少年の名前を呟いた。

     

    「……PC、PC、PC、PC。ふふっ、PC!」

     

    何度も名前を呟き、蜂蜜色の髪を楽しそうに揺らして、フランは嬉しそうにはしゃぐ。
    そして何かに気がついたのか、ふと動きを止める。

     

    「……私、貴方をきちんと名前で呼んだの、初めてかもしれない」

     

    淡く微笑みながら、少女は訊ねた。

     

    「今度から、ちゃんと名前で呼んでも良い?」

This is Halloween

  • ハロウィンに参加する
     
    10月最終日のハロウィン。
    レミリアとフランに話題を振ると、こういったイベントが好きな彼女達にしては意外なことにあまり乗り気ではない様子。
    実際に参加した事もあるはずなのだが。
    聞いてみればレミリアとフランが中学生の頃、お菓子を貰う為に軽く驚かせるつもりがsyれにならないレベルで怖がらせてしまったことがあったのだという。
    曰く、吸血鬼へ成長した自覚があまりなかった時の頃。
    その時の事が尾を引いているのか、それ以来ハロウィンでは仮装には参加せずにお菓子を用意して紅魔館を訪れる親しい友人を迎えるだけに留めているらしい。
     
    別に気にしていないとは言いたげだったが、夜の賑わいに無意識に反応しているのはバレバレだった。
    本当は行きたいんじゃないかと訊ねてみると
     
    「あー? いったい何を言いたいのかしら」
    「部屋の中でもハロウィンパーティくらいできるもの。気にしてはいないわ」
    目線が揺れてるぞ。
     
    「「う……」」
     
    戸惑った表情を浮かべてPCから顔を逸らす姉妹。
    少し思案し、PCはある事を思い付いた。
     
    ちょっと、一緒にお菓子貰いに行かないか?
    「「えっ」」
     
    あれからそれなりに経っているのだしもう同じヘマはしないだろうと説得するPC。
    それでも姉妹は決めかねている様な様子だったが、
     
    「お嬢様、妹様。PC様もこう言っておられますし、どうでしょう?」
    「折角なんだから試しに行ってみたら? 本当に駄目そうならすぐに帰ればいいだけだもの」
     
    咲夜達にも推され、やがて姉妹はぎこちない動きで頷いた。
  • PCと一緒にお菓子を貰いに行くレミリアとフラン。
    急かされるように外に連れ出されたので特に込み入った仮装をしてはおらず、姉妹の姿はドレスの格好だ。
    ただ、それでも周囲からは好評だった。
    吸血鬼なのだから普段のドレス姿でも非常に絵になるのは間違いない。素材が良いとなれば尚更。
    最初はPCに陰ながらに背を押され、ぎこちなく「Trick or Treat」とお菓子を要求していたが、
    何度もお菓子を要求しているうちに、姉妹からぎこちなさが消えていく。
     
    誰かが気合の入った仮装で驚かせ、誰かが吃驚して、笑いながらお菓子をあげている。
    おどろおどろしい鬼神の様な妖怪がお菓子を配り、可愛らしい妖精がくすくす笑いながらお菓子をくれない人間に些細な悪戯を仕掛ける。
    奇妙奇天烈な百鬼夜行が街に溢れ返り、あちこちから笑い声や楽しそうな悲鳴が聞こえてくる。
     
    最初は尻ごみしていたレミリアとフランも、今ではその空気を心から楽しんでいた。
  • 紅魔館の時計塔の天辺。
    ハロウィンを目一杯楽しんだレミリアとフランはその頂点の傍に腰を下ろし、未だ残光残るハロウィンの街並みを見下ろす。
    ネ実市を全てを等しく覆う暗闇。その中で燦々と美しく輝くライトアップ。
    星屑が散らばった夜空のような光景。
    彼女達の視界いっぱいにそれらが広がっていた。
     
    「ハロウィンは、お化け達の世界」
     
    夜風に髪を靡かせ、レミリアとフランはその光景を見つめる。
     
    「この眼に映る夜景が全て私達のものだとすれば……」
    「それは、とてもとてもロマンチックでしょうね」
     
    互いに微笑む。
     
    「それじゃ最後にもう一人……あいつを驚かせましょうか」
    「そうそう忘れてた。これで今年のハロウィンは驚かし収めね」
     
    驚かせる予定のそいつは偶然にも彼女達の真下、時計塔の傍のバルコニーでレミリア達を探していた。
    レミリアとフランは、時計塔の屋根を蹴るとそいつの目の前へと急降下。
    探し人が目の前に現れ、そいつ……PCは目を丸くして驚いた顔を見せた。
     
    スカートの表面を軽く払うと、レミリアとフランは笑いながらPCに一言要求する。
     
    「「Trick or Treat?(お菓子くれなきゃ悪戯するぞ)」」
     
    10月最後の日の決まり文句を。

中盤

  • 中盤に入って最初の朝。レミリアとフランが新聞を見て複雑な表情を浮かべている。
    頼んで見せてもらうと、「ある企業が非常に危険な生体兵器に着手していた事が外部から漏れ、天狗ポリスの捜査のメスが入った」と言う一面が視界に入る。
    一通り読み終えて感想を述べると、姉妹はどこかぎこちない笑みを浮かべた。
     
    「生体兵器だって。怖いねー」
    「ゾンビをやっつけるゲームのやりすぎじゃないかしらね?」
     
    二人の声音に不思議な違和感を感じたが、その日も何事もなく進んだ。
  • 陰陽鉄学園で学園祭が始まり、フランに誘われてPCも10年後の学園祭を見て回る事に。
    レミリアも仕事を上手に切り上げた様で、咲夜と一緒にPCを振り回すフランを後ろから嗜めつつ、楽しそうな学園祭の雰囲気を満喫している。
  • そして学園祭の傍ら、タイムマシンの修復の様子を見ににとりの元へ訪れる。
    12月の終わり頃にはなんとか完成すると説明するにとり。
    タイムマシンの修復という言葉に暗い表情を浮かべるフラン。レミリアも何処か複雑そうな表情を浮かべて……

七面鳥の日

11月第4木曜日に発生

フランと一緒に学校から帰宅すると、何やら紅魔館が騒がしい…。
騒ぎの元は庭からの様だ。
何事かとやってみると、大きな鳥…ロックが庭中をかけ回っているではないか。

 

「麻酔銃! 麻酔銃はどこだー!」
「とりねない! ねにくい!」
「あら、PC。お帰りなさい」

 

仕事から帰ってきた様子のレミリアを見つけたのでこれは何事なのか尋ねてみると、

 

「感謝祭。もしくは七面鳥の日」

 

聞かない単語が飛び出た。

 

「馴染みがなくてもおかしくないわ。外国の行事だから」

 

クエスチョンマークを浮かべると、横からフランがフォローする。
紅魔館でも縁のないものだったのだが、
なんでもある時レミリアがその日に七面鳥の丸焼を晩餐として馳走にする事を思い付いたのだと言う。
(といってもクリスマスに食べる料理の内容とあまり変わらないらしいが)

 

「それで、お姉さま。それと七面鳥とあの鳥と何の関係があるの?」
「たまたま七面鳥が切れてたみたいでさ。仕方がないからロック鳥で代用することになった」

 

ところが手違いで、丸焼きではなく麻酔をかけられた状態の生きたロック鳥が贈られてきたそうだ。
そして紅魔館から運ばれた途端、目を覚まして今に至る。
おお、なんという不運。

 

「……どーするのお姉さま。美鈴の顔が真っ青だけど」
「……フラン、あの鳥を美味しく焼いてきてくれるかしら。私達で先に動けなくするから」
「暖炉に火をつけるのとは違うのよ?
 ……間違えて庭ごと焼いても文句言わないでね」

 
 

・・・・・・

 
 

ドタバタこそあったがロックは退治され、七面鳥の日は問題なく行われた。
夕食には、クランベリーソースがかかった巨大なロックの丸焼きが並べられ、それを肴に大きなパーティが催された。
「ロック鳥に感謝を込めて」
一言、馳走に感謝をささげながら。

 

ちなみに、味の方はまずまずだった。

Cool Edge Day

  • 11月下旬、もしくは12月上旬の降雪日に発生
     
    夜の紅魔館。
    雪がいつもよりも多く降り積もっていたある日の事であった。
     
    「寒いから炬燵を買ってきたわよ!」
     
    仕事帰りから開口一番にガ○ナ立ちで叫ぶお嬢様。その脇には電化製品の入った段ボールが。
    洋館に炬燵って合うの?といった意見もあったが、せっかく買ってきたんだし早速試してみよう、
    ということで試用することになったのだが……
    レミリアが炬燵の電源を入れた途端、屋敷中の電気がブラックアウトした。
     
    「……もしかしてブレーカー落ちた?」
     
    結果として暖房器具全滅。レミリアを含めた紅魔館の住人はクランケットを纏って震えている有様であった。
    その時、電源施設の様子を見に来た咲夜さんが報告に戻ってきた。
     
    「あ、咲夜おかえりー。……で、どうだった?」
    「率直に申し上げますと……裏庭の電源施設が積雪の重圧によって破損していました
    「「え"」」
    ど、どういうことだってばよ!?
    「困ったわねぇ……となると地下の古い発電室を使うしかない訳か」
    「ええーっ。地下室行くの?」
    「申し訳ありません……現状ではそれ以外解決手段がないかと」
     
    なんだ予備電源があるじゃないか。そう言うと一同からムッとした目で見られた。
     
    「簡単には言うけどね、地下はモンスターがワンサカ蔓延ってるのよ」
    えっ!?
    「建築の折に現地からの資材の搬送路を兼ねて作られたのですが、
     無駄に入り組んだ作りの上にどこかのダンジョンと繋がっているようです。
     危険なので普段は封鎖してあるのですが……」
     
    「それでもこの暖房も何もない状態を何とかしないと
     ……私みたいに喘息持ちには辛いわ。手間がかかるけど、やるしかない」
    「パチェはここにいなさい。……妖精メイドは暖炉の準備を!
     火を使える者や薪くらい幾らでもあるでしょうし、直に済む筈よ!」
    「御免ね、レミィ……」
    「これくらいどうってことないわ。ほら、私のクランケットあげるから体を冷やさないように被ってて」
     
    「じゃあ、私とお姉さまと咲夜とPCで行きましょうか。……大丈夫だよね?」
    大丈夫だ、問題ない。じっとしてるよりも動いていた方が体は温まるしな……。

    「あ。そうだ、PC」
    ん?
    「今はこうして私達と一緒に行動してるからいいけど、
     私達がいない間に何らかのトラブルに巻き込まれる事があるかもしれない。
     そうなった時のために、私の力の一部を貸しておくわ」

     
    • 召喚石「レミリア・スカーレット」を入手する。
      セットすることで全体をスロウにしたうえで気候を変化させる「闇よりの使者」が発動する。
      なお、該当する召喚石を既に入手している場合は増強アイテム「紅いカリスマ」に変化する。
       
      「なんかお姉さまばっかずるい……」
      「し、仕方ないじゃない。あんたの召喚石ないんだもの」
     
    • 「紅魔館地下の鍵」が手に入り、紅魔館地下への封印がとけられた。
      そして次の周回以降からも紅魔館地下を探索できるようになる。
      突入時は視界が悪く、余り遠い範囲を見渡せないダンジョン。フラッシュを使っても明るくはならない。
      強いモンスターがうようよいるので、戦いたくない場合は知覚遮断魔法などを用いて戦闘を避けながら発電室へ向かおう。
      ちなみにレミリア、フラン、咲夜はレベルもステータスも非常に高いので、彼女達に手伝って貰ってレベリングするというのもあり。
      敵が強いので手に入る経験値も大きい。よってサクサクレベルも上がる。
       
      • 発電室に入ると、中をフラン族(当然妹様とは無関係)のNM「ブラック・プディング」が占拠している。
        物理攻撃の通りが悪いので魔法をメインに戦おう。
        レベルが高水準なので物理で殴っていても一応勝てるが、やっぱり魔法を使った攻撃がオススメ。
        電源を入れれば紅魔館に電気が戻り、視界が悪かった地下も明るくなる。
        ちなみに…

        紅魔館地下での戦闘でピンチになると、何処からともなく金色のコウモリが現れることがある。
        (発電所でのNM戦ではピンチになると必ず出現)
        この時に全滅してしまうと、高笑いと共に金ぴかの骸骨のような怪人が現れ、
        PC達をカカッっと助けてくれる。
        扱い的にはNPCなので操作できないが圧倒的な強さで敵を倒し、
        (NM相手には窮地に陥るが、必ず逆転勝利する)、高笑いと共に立ち去ってしまう。

         

        「……誰?」
        「さあ……」
                                                                      

         
  • PC達の活躍によって、紅魔館に灯りが戻った。
     
    「と言う訳で早速炬燵に入りたいところなんだけど……」
    「なんだけど?」
    「……その前に地下で暴れたせいで服が思いきり汚れてしまったわ」
    「そういえば結構壊しちゃったっけ」
    「下で地響きが何度も起きたから吃驚したわ……レミィも妹様もやんちゃねぇ」
     
    その時、レミリアの頭に電球が弾けた。
     
    「パチェ達やメイドもかなり体が冷えている事だろうし、全員でお風呂に入るわよ!」
     
    その言葉に紅魔館中が歓声で湧いた。
     
     
    「そうそうPC。先に言っておくけど……覗いたら殺すからね
    語るに及ばず。
     
    そしてPCがほとんど使われていなかった広い男湯の浴場を持て余したのも言うまでもない。
     
    huro.jpg
     
    あっちは楽しそうだなあ…。

終盤

  • 12月の24日に入るとイベントが発生する
     
    陰陽鉄学園で河城にとりから、タイムマシンの修復完了を知らせられ、紅魔館へ戻る最中のこと。
    「もう、帰っちゃうのね。まあ、居候が一人いなくなるだけのことだけどさ」
    紅魔館の庭園にて、言葉とは裏腹に名残惜しそうに呟きながら、レミリアはタイムマシンの修復の到来を祝福する。
    「明日の夜に帰るんでしょう? だから、今のうちにお別れパーティをやらない? 他のみんなを呼んでさ」
    パーティが好きなんだなとPCがからかうと、レミリアはほんの少し苦い笑いを浮かべた。
     
     

    屋敷に戻るPCの後ろ姿を何処か眩しそうに見つめるレミリア。
    その後ろからフランが歩を進めて現れ、その横に並んだ。

     

    「あら、フラン。……どうしたの? さっきから顔色が悪いけど……」
    「いいの?」
    「え、……何が?」

     

    「……PCは、帰ってしまう。このままだと10年前に戻ってしまうわ」
    「え……あいつは過去から来たのよ? いつまでもこの時代にPCを引き留めることなんてできないわ。
     紅魔館に住むのもタイムマシンが戻るまでの間。その事はフランだって納得してたじゃ」

     

    「嘘吐き」

     

    レミリアの言葉を、フランが遮った。
    冷やかな呟きを聞いて、レミリアは思わず目を丸くする。

     

    「ふ、フラン…?」

     

    いつもそうだ。
    自分の本心や言いたい事も言わずに、閉じ込めて
    ずっと自分の心から目を逸らしていたんだ。

     

    「……過去に帰っても、別にPCがいなくなる訳じゃないのよ? ただ10年前に帰るだけで」
    「―その10年前に私達と一緒に遊んでくれたPCは、たったの一人しかいないのよ!」
    「……っ」

     

    フランが声を張り上げた。

     

    「お姉さまも、本当はPCに帰ってほしくないのに、なんで嘘をつくの?
     いつもそうじゃない。遠くから悲しそうにPCを見ているのに、そのくせPCの前では平気そうな振りをする!
     こんな時くらい、自分に正直になってよ!」
    「……だから、何を言ってるの? 変なフラン。……もう戻るわ」

     

    呆れた顔を浮かべて、レミリアはフランに背を向けて紅魔館へ戻ろうとした。

     

    「お姉さまだってPCのことが好きなんでしょ?」
    「っ!」

     

    一瞬、レミリアの喉が干上がり、フランの方を振り向いた。
    平静を装っていた彼女が、始めて表情に色を浮かべた。
    それを見た無表情のフランが囁く。

     

    「ほら、やっぱり」
    「あんた……!」
    「私も、好きだから。お姉さまも同じでしょ?
     遠くからPCのこと悲しそうに見ているんだもの。私と同じ

     

    動揺と僅かな怒りを浮かべた姉に、フランは訴えかける。

     

    「好きな人が、もういなくなっちゃうんだよ? 辛くないの……!?」
    「そんな訳……ないでしょう!」
    「っ」
    「あいつがこの時代にいてくれるなら、私だって嬉しい。本音を言えば……そうしてほしい」
    「だったら……!」

     

    レミリアは悲しそうに首を振った。

     

    「ねぇ、フラン。仮に、PCが過去に戻らなかったとするわ。
     ……過去にいるあいつの家族、友人、大事な人…… そして過去の私達はどうなる?」
    「……それは……」

     

    「感情に素直になることが必ずしも正しいとは限らない。
     ……自分を閉じ込めておいた方がいいことだって、ある。
     フランは、大事な人が二度と帰ってこなかった時のあの感覚を、幼い頃の私達に押し付けるつもりなの?」
    「!!!」

     

    その一言に、フランが愕然とした表情を浮かべた。
    レミリアもその言葉を投げかけた途端、ハッとしたように目を見開き、口元を押さえる。

     

    重苦しい雰囲気が二人の間に横たわる。
    その間には深い溝の様なものが感じられた。
    重い沈黙が続いたが、やがてレミリアが振り絞る様にその沈黙を打ち破った。

     

    「……もう、この話はやめましょう」
    「お姉、さま……」
    「ごめん、フラン。……お父様達のことをダシにして……本当に、ごめん」

     
     
     

    ……はたして、二人は気が付いていただろうか。
    互いの心情を吐露する中、レミリア達を呼ぼうと館の扉の前に立ったPCがその会話を聞いていたことを。

  • 屋敷に戻らない姉妹を訝しがり、様子を見ようと戻ろうとした途端、扉伝いに姉妹の対立を知ってしまったPC。
    このまま、帰っていいのか。悩んだPCはレミリアとフランと一度話し合うことを決める。
    夜の紅魔館のバルコニーに呼び出された姉妹。
    暗い表情を浮かべたレミリアとフランは、それ以上に重い雰囲気を帯びた貴方の姿を見て、不安げな表情を見せた。
  • PCは二人に、姉妹の会話を聞いてしまった事を打ち明ける。
    『このまま10年前に帰って、それで自分は本当にいいのだろうか』
    そして、姉妹の対立に苦悩するPCを前に、レミリアは葛藤を見せ、フランは言葉を詰まらせる。
    沈黙に包まれる三名。
    その時バルコニーの夜空から、蝙蝠の様な翼に、鋭い牙と長爪を備えた筋骨隆々の化け物が突然飛び込んできた。
    床を大きく震わせ、血生臭い息を吐きながら迫る醜悪な怪物。
    重い雰囲気を切り裂くように現れた乱入者を前に、姉妹とPCは反射的に戦闘態勢を取る。
     
    ヴァンピール族との戦闘。
    本来ならNM級の敵だが、レベルが低いのか然程脅威には感じない。
    アタッカーはレミリアとフランだけで十分過ぎるほど事足りる。
    PCは空いた分を盾役やサポートに専念するとあっさり勝利できたりする。
     
    トドメを刺された怪物の体は、忽ちの内に灰へと変わり、夜風に吹かれて消え失せた。
    鋭い爪、大きな牙に翼、その最期。そのどれもがひとつの言葉を思い浮かばせる。
     
    『吸血鬼』。
     
    ……怪物が消えた跡を見ながら呟くPCに、レミリアとフランは表情に昏い陰りを浮かべる。
  • 怪物を撃退して一息をついたPCにレミリアとフランが後ろから近づいた。
     
    「あのね、……PC。聞いてほしいことがあるの」
     
    そうか細い声で語りかける姉妹。消え入りそうなその声にPCは嫌な胸騒ぎを覚える。
    どうしたのかとそう聞き返すと姉妹は意を決したかのように一言。
     
    「PCはあの怪物の基になったのが、私達だって言ったら……どうする?」
     
  • どういうことなのか慎重に尋ねるPC。
     
    「覚えてる? いつかの新聞で『企業が生体兵器を開発しようとした』って記事があったことを」
     
    「……アレに、私達が関わっていたの」
     
    レミリアとフランが語ったこと

    話はPCが未来へやってくるよりも前の事。
    半年前に両親が死亡し、レミリアが会社を継いで存続させようと奮闘した時の頃。
    今でこそ良好な関係を保っているが、当時のレミリアは家族の居場所を護るために慣れない仕事に没頭し、妹であるフランとも、友人たちとも疎遠になっていた。
    所詮は成人すらしていない子供。その頃は仕事に慣れておらず人足が徐々に遠のいていた頃もあり、会社を保つ為の資金繰りも満足に行えない。
    幾ら友人が知恵を貸してくれても、資金ばかりはどうしようもない。
    ここまでなのか。
    両親が遺したものを、家族の、自分達の居場所を、全て失うと言うのか。
    そんな時だった。

     

    「……出資の提案があったの。月読命系列の企業からね」

     

    それこそが、新聞の記事にあったあの企業だった。
    ただし、企業側は資金提供の条件としてレミリア、フランドールのDNAマップ…吸血鬼の遺伝子情報を要求した。
    慇懃無礼に「医療技術の発達・促進」などと綺麗な言葉を並び立てていたが、何か裏がある事はレミリアにも分かった。
    そして、なによりも大切な肉親を巻き込むつもりは毛頭ない。そう吐き捨てる。
    その会話を、偶然フランドールが聞いていた。
    両親の死。自分になりふり構わず仕事に没頭する姉。
    それらの要因から心を閉ざし掛けていた彼女は、姉の苦悩、そして自身を今でも強く想っている事を知る。
    だから、姉を助けるためにフランドールは遺伝子情報の提供を申し出た。

     

    皮肉なことに、彼らが持ちかけた取引が姉妹の仲を再び繋ぎとめ、妹を通じて友人とも和解を果たした。
    そしてレミリア達は気付かれぬように裏から企業の動向を窺う事にした。
    『吸血鬼の遺伝子』を使って医療技術を発達させる? あの月都の連中が?
    信じられるワケがなかった。必ず裏がある。

     

    そして秘密裏に偵察を行いそこで知った事は、彼らの目的が「不老不死の実現」ということ。
    彼らはそれらの一環のために強い吸血鬼の遺伝子を欲し、彼女達に近づいた。
    そして得たDNAマップから、彼らは口を憚るほどえげつない事をやらかしていたようだ。
    永遠の命を言い訳にした、あまりにも不愉快な非人道的実験。
    先程PC達を襲撃したモンスターはその実験から生まれた成果物……「人工吸血鬼」とでも言える存在だった。

     

    しかし、それらの実験には大きな穴があった。
    彼らが行っていた実験は親会社である月読命に独断で行っていたと言うことだ。
    ……さて、あの表向きはクリーンで通している月読命がこのような醜悪な実験を果たして赦すのだろうか。
    レミリア達は月読命にこれらをリークした。

     

    「だから言ったの」
    「このままだと互いに面倒だから、さっさと潰せってね」

     

    月読命は企業を切り捨て、あらゆる関係を絶ち切った。
    系列とはいったが、表向きは提携という関係だったため、何かあったのではという憶測が噂を呼び……
    それから暫くして新聞の出来事に話は進む。

     
    「天狗ポリスが捜査を入れた時点で全員監獄送りだと思ってたから予想外だった。
     まさか研究成果と一緒に逃げ遂せた輩がいるなんて
     私の爪が甘かったと言えばそれまでだけど……」
    「お姉さま。反省はあとで良いから……どうする?」
    二人はPCを見つめると、互いに目配せした。
     
    「できるだけ寂れた場所に移動しましょう。
     どうせ狙いは私達よ。郊外とはいえネ実市を戦場にさせる訳にはいかない」
     
    そして通信端末を取りだすと、
     
    「咲夜。状況は分かる? 思ったより手際が良かったみたい。
     紅魔館と言わず、私達がいそうな場所に探りを入れる可能性がある。
     ええ……PCを連れて避難するわ。咲夜達は第一種戦闘態勢及び非戦闘員の避難をお願い。
     本社の方に人はほとんどいないだろうけど、其方の方もね。
     ……大丈夫よ。きっと上手くいくから」
     
    そしてフランは、
     
    「友達にメール送ってるの。今度のクリスマス、予定が入ったって……ちょっとパーティは無理そう」
     
    苦笑いを浮かべながら携帯を閉じると、フランはPCの手を握った。そして反対の方の手をレミリアが握る。
     
    「今から安全な場所に避難する。ついてきて」
  • レミリアとフランの誘導を受けて、彼女達が指定する場所へと向かう。
    途中、人工吸血鬼を始めとするモンスターが出現するが一切無視していい。
    回復アイテムが欲しい場合は紅魔館にて購入できるが、一度外を出るとイベントをクリアするまで入れなくなるので注意。(マップ移動した時に前のマップに後戻りができない)
    またセーブも紅魔館でしか行えない。事前にアイテムを買えるだけ買い求めて、いざという時のためにセーブしておこう。
  • 姉妹に連れられて、PCが向かった先。
    そこはかつて現代でタイムマシンの実験を行った場所、全ての始まり……あの廃棄された洋館の地下室だった。
    そして、地下室にはあの冷蔵庫……タイムマシンが設置されていた。
     
    「流石天才メカニック教師・河城にとり。仕事が早い」
    何故タイムマシンが此処に? 避難するのではなかったのか?
    「そう、避難する」
    「何も間違ってないわ」
     
    どういうことなのか訝しげに尋ねるPCにレミリアとフランは向き合い、告げた。
     
    「PC……貴方は過去に戻るの」
    「あの連中はきっと、私達と関わりのある貴方も狙ってくる。これ以上、巻き込む訳にはいかないわ」
     
    二人を見捨てろと言うのか、そんなことできるわけがないとPCは否定し、未来に残る事を望むが……
    直後に深紅の鎖と籠目状の檻がPCの体に纏わりつき、動きを封じ止めた。
     
    「本当なら見送る前にみんなを集めて大きなパーティやる筈だったんだけどね」
    「まったく、本当に空気が読めないんだからあの連中。……あとでチルノ達に怒られるかなぁ」
     
    駄目だ、自分も戦う。このまま戻っていい筈がない。そう叫ぶPCに姉妹は優しく微笑む。
     
    「だからこそ貴方は戻らなきゃ駄目なの」
    「そうね……過去に帰ってから10年経って……
     この時の事を少しでも覚えてたら、その時に助けてくれると嬉しいかな」
     
    それでも何か言おうとするPCを、レミリアとフランは冷蔵庫の中へ思いきり突き飛ばした。
    「じゃあね、PC。10年前の私達によろしく」
    「さようなら……ううん、またね」
     
    PCの姿が白光の彼方に消えたことを認めると、姉妹はその扉を閉める。
    そして、PCを飲み込んだ冷蔵庫もどきは眩しい閃光を発し……閃光と共に消えた。
    姉妹は冷蔵庫が置いてあった場所をしばらく眺めた後、踵を返して地下室を抜けた。
    抜けた先の洋館の中は不快な気配と血生臭い息遣いに満ちている。
     
    「……始めましょうか。吸血鬼の戦いってヤツを」
     
    吸血鬼の姉妹は目を鋭く細める。
    洋館の闇の中で深紅の眼光が冷たく輝いた。
     
    • 洋館掃討戦
      Requiem For A Nightmare
      ヴァンピール族2体との戦闘。1体倒すごとに増援が1体現れる。
      増援は5体まで。合計7体のヴァンピールを相手にすることになる。
      個体ごとの能力は紅魔館で戦ったものよりも弱い。苦戦する相手ではないだろう。

「Supporting Me」

紅魔館の庭園。
そこでは美鈴が館内に侵入してきた異形の怪物を粗方塵殺し終えたところであった。

 

「やれやれ、久々に骨が折れたなぁ。……お嬢様達は大丈夫かしら」

 

学友も狙われる可能性があったが……彼女達の庇護者の事を考えると、無用の心配か。
特にあの練り物屋の主人。
先程のメイド長からの連絡では、本社にはほとんど被害はなかったそうだ。
……だとすれば敵は主人達の元へ向かっているのだろう。
そんなこんなで姿を消した主達を心配する彼女の目の前に、眩い閃光が迸る。

 

閃光に顔を顰めながら、新手かと拳を構える美鈴。ところが。

 

「……えぇっ!?」

 

閃光が消えた跡に現れたものを見て、彼女は素っ頓狂な声を上げた。

 
 

そこには……

  • 洋館内に蔓延る人工吸血鬼を片端から屠り去るレミリアとフラン。
    少し時間をかけて全て仕留め、洋館を抜け出ると、雪がしんしんと降り積もっていた。
     
    「時間は…日付が丁度変わったところ」
    「……そっか。もうクリスマスなのね……」
     
    クリスマス。
    本来なら、違う内容となる筈だったそれにしばし思いを馳せる。
     
    「……ねぇ、フラン」
    「何、お姉さま?」
    「前も言ったけど……酷い事言ってごめんなさい」
    「……ああ、『感情に素直になることが必ずしも正しいとは限らない』だっけ」
     
    フランは雪の降る夜空を見上げる。
    夜空には眩しく光る満月が浮かんでいた。
     
    「ねぇ、お姉さま。閉じ込めた心は……辛かったよ。
     お姉さまも、今まであんな気持ちを抱えていたの?」
     
    レミリアは俯くと、やがて静かに頷いた。
     
    「……うん」
    「そっか」
     
     
    「……今度のベヒんもスの新作メニューに『絹のつつしみ』ってチョコレートケーキが出るの、知ってる?」
    「え? ああ、そういえばクリスマスに出るみたいね」
    「今度、奢ってくれるかしら? 私は謙虚だから9個ぐらいで勘弁してあげる」
    「……太るわよ?」
    「やけ食いしたい気分なの。言わせないでよ」
  • 僅かな寂寞を覚えながら笑う姉妹。
    そこに一人の男性が二人の目の前に現れる。姉妹にはその男に見覚えがあった。
    資金提供を持ちかけた企業の連中。その一人だった。
     
    「あら、奇遇ですね。こんな人気のない場所でお目にかかるなんて。
     狩りに出かけたつもりが、迷子にでもなったのでしょうか?
     
    涼しげな声音で慇懃無礼に皮肉るフラン。その言葉を聞いて男は歯軋りした。
     
    「……ハ、ハ、謀ったな吸血鬼共」
    「謀った?」
     
     
    「情けない事を吐くじゃない、陰謀屋風情が」
    「元より、貴様らから仕掛けた事だろう?」
     
     
    レミリアとフランは嘲る様に嗤った。
     
    「貴方達は言いましたよね? 『医療技術の発達・促進』のために私達のDNAマップが欲しいと」
    「綺麗な御言葉で飾っておきながら、その技術発達の成果がこのざま?」
     
    屠った吸血鬼の返り血を浴びた手を男に見せながら、レミリアは睨む。
     
    「……何のためにあいつ等を産んだ。『不老不死』なんて下らない欲望のモルモットにするためか?」
    「違う!」
     
    「大地の中にこそ安らぎがある。我が命の残り全てを、私はそこで眠って過ごすのか?
     我が目が太陽を見るように。私が光に満たされるように。
     暗黒、冥府がはるか遠いとすれば、どれほどの光があると言うのだ? 死者は太陽の輝きを見れるのか?
     判らん、判らんよ、『持てる者』である貴様達に、『持たざる者』の気持ちは!」
     
    唾を飛ばしながら理解不能な持論を捲し立てる男。
     
    「降り注ぐ慈雨に怖気を感じ、遍く照らす日光に強い眩暈を感じる。
     ……そして、自分から欲しいものを捨てた。
     私達こそ貴方の言う『持たざる者』なのにね」
    「それすらわからないんでしょうよ。永劫もがき苦しんでいればいいわ。
     お前の持論なんて私達にとってはどうでもいい」
     
    激しい語句のそれを姉妹は不快な表情を浮かべて一蹴する。
    最早男に正気は感じられなかった。
     
    「この事は私達にも責任がある。あの哀れな輩(ともがら)達はこの手で弔いましたわ」
    「今度はお前が責任をとる番だ。然るべき場所に…監獄に叩き込んでやる」
     
    その言葉を聞いた男は気味の悪い笑みを浮かべた。
     
    「まだだ……貴様らが相手にしていたのは所詮出来損ないに過ぎん!
     …………私の最高傑作をお見せしよう!
     
    その言葉を合図に上から巨大な怪物が現れ、男を守る様にその前に立ち塞がった。
    先程の人工吸血鬼と同じ姿だが、纏う雰囲気が明らかに違う。
     
    「行け、ノスフェラトゥ!」
     
    ノスフェラトゥと呼ばれた吸血鬼は咆哮をあげ、レミリアとフランドールに飛びかかった。
     
    • VS.ノスフェラトゥ
      Supporting Me
      ヴァンピール族のNM・ノスフェラトゥとの戦闘。
      今までの人工吸血鬼に比べて段違いのステータスを誇り、そのうえあらゆるダメージを受けた瞬間から即座に回復してしまう
      また、戦闘開始時に屍犬族かコウモリ族を3体まで召喚する他、通常攻撃には強力ではないがHP吸収の効果がある。
      仕様からわかると思うが所謂イベント戦闘で、この時点のノスフェラトゥを撃破することはできない。
      2ターン(難易度Hard以上なら3ターン)経過orレミリアかフランのHPが30%以下になると戦闘は一旦終了するので凌ぎ切ろう。
  • ノスフェラトゥの大木ほどもある大きさの腕に薙ぎ払われ、地面をバウンドする姉妹。
    華奢な体を激しく叩きつけられ、苦悶の表情を浮かべて血を吐く。
    それを見て企業の人間は愉悦の表情を浮かべながら喚き立てた。
     
    「このノスフェラトゥは吸血鬼の再生能力を極限まで高めている!
     こいつには一切の攻撃は通用せん! さぁ、いつまでそんな態度が続くかな……?」
    「――って言ってるけど? お姉さま」
     
    フランが男の言葉を口真似で嘯く。
    血が滲む口元を拭い、レミリアは首を傾いだ。
    目の前には筋骨隆々の怪物が唸り声を上げ、全身の筋肉を脈動させている。
     
    「……そうねぇ。どれくらい続くと思う? フラン」
    「死ぬまで」
     
    フランが即答にレミリアは笑う。
    その掛け合いに、男の顔が真っ赤になった。
     
    「オ、オ、思い知らせてやるぞ小娘共!
     じわじわ嬲って無様に命乞いさせてやる……!」
     
    男の叫びに感応するかのようにノスフェラトゥは姉妹を引きずり倒し、押さえ付ける。
    そしてノスフェラトゥが長爪を備えた手を上段に振り上げ――
  • ノスフェラトゥの長爪が二人目掛けて降り下ろされる瞬間、両者の間に小さな物体が飛び込んできた。
    レミリアとフランはその物体を見かけたことがあった。
    学園祭で河城にとりのタイムマシン修復作業を見学した時だ。
    にとりとPCに説明されたそれは確か。
     
     
    タイムマシンの動力源である永久機関「時の歯車」だった。
     
     
    何故それがこんな所に飛び出してきたのか。
    理解するよりも先に、ノスフェラトゥの爪が「時の歯車」に食い込んだ。
     
    食い込んだ爪が永久機関を突き抜けた瞬間、「時の歯車」は亀裂を生じながら砕け散った。
    砕けたその内部から渦巻いた光が溢れ出て、至近距離にいたノスフェラトゥの全身を飲み込む。
    光の渦が収まると、その中から朽ち果てたノスフェラトゥが姿を見せた。
    「時の歯車」から解き放たれた時の流れが、その体を風化させたのだ。
    崩れ出す体を押さえて、苦しむノスフェラトゥ。
    その原因たる時の歯車をノスフェラトゥに投げつけた者は
     
    「なん、で……なんで、貴方が……いるのよ……」
    「PC……」
     
    過去に戻った筈のPCだった。
    そしてレミリアとフランは知る。先の時の歯車は、PCが投げたものだということを。
    あの後、PCが未来にもう一度戻り、何かしらの手段でタイムマシンの動力である「時の歯車」を抜き取って此処まで来たのだと。
    そして破壊させることでノスフェラトゥの再生能力を封じ込めた。余りに出来過ぎた迅速すぎる行動。
    まるで、予めこうなる未来を見てきていたかのようだった。
    そして、タイムマシンの動力源は失われてしまった。
    それは、PCは過去に二度と戻ることができないことを意味していた。
     
    その意味を理解した時、レミリアはPCに向けて怒声を放っていた。
     
    「なんで……何故戻ってきたッ! どうして……!」
     
    レミリアの詰問に、PCは答えた。
     
    『レミリアとフランが好きだからだ!』
    「「!」」
     
    その言葉にレミリアとフランは目を見開く。
     
    『好きな人を置いて帰ったままなんて、できる訳がない。だから戻ってきた!』
    「家族は!? 友人は!? お前にとって大事な人は、過去にいたのに!」
    『大丈夫だ、問題ない』
     
    『別れも、やることも、思い残しは全て済ませてきた』
     
    紆余曲折あったけどみんな理解して、自分がやることを見届けてくれた。
     
    『10年前のレミリアとフランも言ってくれた。【10年待つくらいなんてことはない。だから絶対に負けるな】って』
     
    そう語るPCに、レミリアとフランドールは唖然とした表情を浮かべていた。
    やがて顔を下に向けて、小さく呟く。
     
    「……台無しよ。何のために、過去に送り返してきたと思っているのよ……」
    「未練を済ませてきたですって? 嘘ばっかり……」
     
    次に面を上げた2人の顔は、憑き物が落ちたようにすっきりしていた。
     
    「全てを投棄ててしまった以上、もう10年前の過去にお前の居場所はない。……恐ろしい大馬鹿よ、お前は」
     
    嘆息。
     
    「……皮肉ね。お陰で遠慮する必要も、我慢する意味も、全てなくなってしまった。あれほど抑えていたというのに」
    「……お姉さまもその気になったんだ。……じゃあコソコソする必要もないわよね」
     
    姉妹は互いに頷き合い、PCに顔を向ける。
     
    「さて、PC。夜の王の滅多にない厚意を無下にしたんだ。何かしらの代償で償って貰おうかしら。
     そうね……残された貴方の何もかもを、私達に頂戴
    「その代わりに、私達の何もかもをPCにあげる! PCが私達を好きって言ってくれた様に……」
     
    そして姉妹はPCと肩を並べた。
     
    「「私も、貴方のことが大好きだから!」」
     
    その言葉と共に姉妹は掌に己の武器――
    レミリアは紅く輝く神槍、フランはねじ曲がった時針の様な魔剣/杖――を召喚し、構える。
     
    「月の魔力に充てられたのかしら? ……最高の気分よ!」
    「今ならはっきり言えるよ、もう、自分自身を押し込む必要なんて、ない!」
     
    唖然とした表情だった企業の人間だったが、我を取り戻したのか、
    ノスフェラトゥの惨状を目の当たりにし、怒りの形相を浮かべた。
     
    「ノ、ノ、ノスフェラトゥ……私の最高傑作が……タ、タ、……只の人間風情に……!
     
    企業の人間の憤怒の声を心地よさそうに聞き、吸血鬼の姉妹は誇らしげに笑う。
     
    「そう。人間だよ」
    「私達だけの、甘く恋しい人間」
     
     
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    • VS.ノスフェラトゥ(二回目)
      Overdosing Scarlet Bliss
      レミリアとフランに加え、戦闘メンバーにPCを入れてのノスフェラトゥ戦。
      姉妹の体力は前回の戦闘のまま。疲弊している場合が多いので速やかな回復を行おう。
      ノスフェラトゥは戦闘前のイベントで再生能力を損失し、能力も軒並み弱体化しているが、その状態でも今までの人工吸血鬼に比べれば強い。
      しかし、この戦闘では姉妹の装備武器は強力な専用武器(レミリアは 神槍【スピア・ザ・グングニル】、フランは 禁忌【レーヴァテイン】)で固定されている。攻撃面で引けを取ることはまずない。
      ただし、HPが半分以下になるとノスフェラトゥは範囲に死の宣告の状態異常を与える「断罪の瞳」を使ってくるようになる。
      レミリアとフランには効かないが、PCの場合対策をしていないとモロに喰らってしまう。
      そしてPCが戦闘不能のまま戦闘に勝利するとDEADENDになってしまう。要注意。
      視線判定なので、暗闇など視界が効かない状態になれば無効化できるが、敢えて暗闇状態になるのはリスキー。
      アクセサリによる対策もしくは治療手段を欠かさないように。
       
       
  • 致命的な一撃を受け自壊し始めるノスフェラトゥ。
    しかしそれにも構わず長爪を振り上げて勢いよく姉妹に振りかぶる。
    だが手応えはなく、蝙蝠の大群がその巨体を包み隠した。
    完全に虚を突かれ、視界を奪われた怪物に
    前方からレミリアの神槍が、
    背後からフランの魔剣/杖が、
    両側から放たれたトドメの一撃がノスフェラトゥの心臓を貫いた。
     
    「「Jack Pot!」」
     
    ノスフェラトゥは全身を震わせると、膝をつき、そのまま灰となって崩れ去った。
    それを見た男は絶望の叫びを上げながらくずおれる。
     
    「私の……最高傑作……」
     
    その眼に既に生気はなく、たちまち姉妹が放った鎖と籠目の檻に無抵抗のまま縛られた。
     
     
     
    「お姉さまー。天狗ポリスや咲夜達に連絡しておいたわ。
     ……あとね、咲夜がすごく心配してた。あとが少し怖いかも」
    「とにかく……後の始末は天狗ポリスに任せましょう。……あいたたっ」
     
    先程受けた傷に顔を顰める姉妹。PCが大丈夫かと心配すると急にシャキッとした表情を見せた。
     
    「この程度、かすり傷のひとつにも入らないわ(キリッ」
    「一時間もすれば煙ひとつ残りません(キリッ」
     
    ……その瞳が不自然に潤っていたのは、傷の痛みだけではなかった。
    PCが苦笑いを浮かべるとレミリアとフランはその手を握った。
     
    「そんなことよりさっさと紅魔館に帰るわよ、PC。クリスマスは始まったばかりなんだからね」
    「うふふ、パーティ、パーティ。ショータイム!」
     
    これまで見てきた中でもとびっきり素敵な、天下無敵の笑顔を見せて。
     
     
    「「……ありがとう」」
     
     
  • 終盤の戦闘イベントはこれにて終了である。
    あとはクリスマスからEDまで、残されたイベントを思う存分楽しもう。

屋敷に帰る前に、フランがふと思いついた様に疑問を零した。

 

「PCはなんであの時、あんなに手際良く行動できたの?
 時の歯車にあんな作用があって、それがノスフェラトゥに効くだなんて。
 それをノスフェラトゥと戦っていなかった筈のPCが、狙った様に投げつけた。
 まるで先の未来を知っていたみたいだったわ」
「……あの時はそんな余裕がなかったけど、考えてみればそういえばそうね」

 

ああ、それか。そういうとPCは懐から携帯をとり出して操作した後、2人に画面を見せた。

 

『メールが来たんだよ。未来の自分から』

 

レミリアとフランの手で過去に返された時、受信されたそうだ。
2人にはわからなかったが、それはDメールと呼ばれるものらしい。
PCも最初こそ目を疑ったが、メールの冒頭に自身が姉妹たちによって過去に送り返された事、
そのあとに書かれていた姉妹たちの窮地、これから自分がやるべき事を見て、全てを理解したのだと言う。

 

あとはノスフェラトゥを斃す前に姉妹たちが聞いた通りだった。

 

『そのうち過去の自分にメールを送らなきゃなー』

 

そう呟きながら、PCは姉妹と一緒に紅魔館の門に辿り着く。
そして見知っている顔が様々な反応を見せながら3人を迎えいれてくれた。

関連イベント一覧

デート

デート先の嗜好は個別√と同様。

  • しかし姉妹同時に攻略できる……ということで、この√ではなんと姉妹2人同時にデートに誘える。まさに両手に花状態。まさかのもげろと言われる側
    姉妹仲良く公園を散歩したり、デパートで買い物したり、喫茶店で紅茶を飲みながら優雅な時間を過ごしたり、ゴールドソーサーのマップを見合わせどう巡るか相談するといったこの√でしか見られない団欒を彼女達と一緒に楽しめる。
     
    その代わりWデート時にリア(ルで)充(実していない奴ら)から向けられる敵意も半端ない。
    特に、この時の崖下紳士達は目だけ光って、他の顔の部分が影に覆われた状態になっており、非常に怖い。
    粘着されても能力値に変化がある訳ではないが。
  • ちなみに中盤以降……PCを異性として認識する様になってから2人一緒にデートに誘うと少しだけムスッとする。
    デートの最中もフランがアプローチを掛け、レミリアがそれを諌めるという場面が稀によく見られる。
    そしてクリスマス前の決戦以降になると姉妹揃って思いきりデレてくる。
    紳士共の視線? そんなものまったく気になりません。

文化祭

「確か……喫茶店だったような」
「映画を作って、それを上映するの」

 

レミリアとフランに文化祭の出し物について尋ねると、そう返された。
映画はフランのクラスの出し物として文化祭で出典するらしい。
撮影機材とか場所は大丈夫だったのか聞いてみると「お姉さまが協力してくれたからスムーズに進んだ」ところころ笑うフラン。
そしてそのレミリアがニヤリと口角をあげた。
……財閥総帥が協賛ですか。

 

「ウチの技術スタッフ招聘してVFX、SFX、CGとかふんだんに使うつもり……
 だったけどフランに止められてほどほどにしたわ。無念」
「監督やらせろーって言ってたけど、それも断りました。
 ……お姉さま、飽きっぽい癖にやけに凝り性だから。監督なんてさせたらスケジュールとか悲惨な事になるわ」
英断だと思う。

 
 

「内容? 少し悲恋チックな恋愛モノ……かしら。
 企画段階で私が委員をやって、みんなの案を聞いて板書してたんだけど……

 

 『エスコンやりたい』『時代劇』『SFモノ』『ディストピアでひとつ』『スタイリッシュアクションだろjk』『俺たちがガンダムだ』
 『地獄の○示録』『羊達の沈○』『フルメ○ルジャ○ット』『Vフォー・ヴ○ンデ○タ』『ダ○クナイト』『トゥル○ライズ』
 『ロマンがあればなんでもいい』『マグロ食ってるハ虫類を倒すパニック映画』『特撮で戦隊モノやりたい』『ドキュメンタリー』

 

 ……とか結構意見が割れてた。結局、一部の要素を取り入れながらさっき言った内容で落ち着いたけど」
「……ツッコんだら負けね。
 挙げた内容を見ると、男連中は恋愛モノに決まった途端テンション駄々下がりだったでしょ?」
「うん。特に配役決める時はすごい殺伐してた」
「……そう言えばヒロイン役はフランだったわね」

 

「でね、あとは主役決めるだけって所で、クラスメイトの子達に教室の外に連れてかれたの。
 『有害だから見ない方がいい』って。
 その後しばらく教室の中がドッタンバッタン。撮影もしてないのにすっごい大騒ぎになってたわ」
「……こんな愚妹でも結構狙ってる奴がいるのね。いや、そこらの馬の骨に渡すつもりなんてないけど」

 

結局、撮影は大丈夫だったんですかねぇ……。
「大丈夫。ちゃんとクランクアップは済ませたから! 撮影は大変だったけど、楽しかったよー」
「前に試写見たけど、本当に楽しそうだったわ。
 映画の出来も結構いい感じじゃない? サイレント映画なのは意外だったけど味があっていいし」
ほう。期待しても良いんですね?

 

「ふふっ、保証する。絶対楽しめると思うよ」

映画について
あらすじ
世間知らずの吸血鬼がとある悪魔祓いに出会い、
興味を持った事から外の世界にも興味を持ち、その悪魔祓いに付いて行く……というもの。
最初は何も知らない吸血鬼が悪魔祓いを通じて多くの人と出会い、別れ、その中で少しづつ成長していく。
そして終盤、いよいよ悪魔祓いとの別れも近づいて……。
 
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結局、レミリアのお節介でVFXといった技術を取り入れた結果、学生の作品にしては非常にクオリティが高いものとなっている。上映時間は55分くらい。
映像はノイズのエフェクトのかかったモノクロで、劇伴はあるものの台詞がない所謂無声映画*1だが、何処か懐かしさと温かみがあり、台詞がない分配役の身振りといった動作から雰囲気が良く伝わってくる。
特に終盤のフラン演じるヒロインの吸血鬼が悪魔祓いとの別れに嗚咽するシーンは、ヒロインの悲嘆がダイレクトに伝わり、思わず圧倒されてしまうと評判。
そして、大事な人との別れを乗り越えての、少しビターだけど爽やかなラストも好評のようだ。
ちなみに企画段階のものを取り入れて、若干であるがアクションシーンも入れた(VFXといったものもこれに使われている)が、これについては賛否が分かれている模様。
そしてラストはフランが歌いあげるED曲をBGMにエンドロールが流れ、締められる。
映画を観終わって…

『あのー……』
フラン達と一緒に映画を見終え、上映室であるフランが所属するクラスから出ようとすると、
一人の女子生徒に声をかけられた。フランのクラスメイトのようだ。

 

『フランちゃんやレミリアさんととても親しそうでしたけど……フランちゃん達とはどういう関係なんですか?』

 

その一言に、フランのクラスメイトと思わしき生徒一同の雰囲気がガラリと変わった。
まるで、一瞬たりとも必要な機会を逃すまいと神経を鋭敏に構える狩人のような……
PCは思わず少し気押されたが、フランはちょっと困った様に首を傾いでいた。

 

「どうって……。一緒に住んでいる間柄……よね。お姉さま」
「まぁ……そんな感じねぇ」

 

ざわっ

 

『なん……だと……?』
『一つ屋根の下の関係!?』
『嘘でしょ……フランちゃんとレミリアお姉さまにそんな人が……!?』
『メイドさん達とキャッキャウフフ……』
『嘘だそんな事……!』
『随分と調子よさそうだねぇ……』
『認められん、認められるか、こんなこと』
『っべー。壁パンしたい気分だわ―』
『おい、誰か頬思いきりつねってくれるか。さっきから夢から覚めないんだ』
『やっぱ現実クソゲーだわ……』

 

「……みんな、どうしたの?」
「言っておくけど、PCはただの昔馴染みで……って、聞えてないわコリャ」

 

……済まない。何か寒気がしてきたので、退出したいのですが。いや、させてくだしあ。
「え、寒気? 大丈…………
 ……行っちゃった。大丈夫かしら……。
 ごめんなさい。PCが行ってしまったから私達もそろそろ行くね」

 

結局、一行は得体のしれない負の流れが渦巻く教室からそそくさと退場するのであった。

期末テスト

期末テストの三日前からテスト終了までの間、デートなどに誘うことができなくなる。
レミリアもフランも真面目に勉強しているので大きな不安は無さげのようだ。
それでも勉強会を提案すれば喜んで乗るし、勉強中に紅茶などの差し入れを出してあげると好反応を返してくれる。

冬休み

タイムマシンの修復完了まであと少し。
しんみりした雰囲気が漂う……と思いきやクリスマスパーティの準備で賑やかになる。
それでも紅魔館住民の明るい態度の中に少しの寂寞を感じるのは、来る別れを感じているからなのだろうか。

クリスマス

 

merikuri.jpg

 
  • 聖夜前の決戦を終えたら、あとはクリスマスを満喫するだけ。
    が、その前に寝ることになる。だって日が切り替わったばかりですし……。
    時間も時間なので寝るまでには3~4時くらいになるが、どんなに遅く寝ても夕方頃には起きる。
    ちなみに無事就寝すると、フランがPCの寝床に侵入しようとしてレミリアに首根っこを引っ張られて連行される一幕が発生する。
  • そして夕暮れに紅魔館でクリスマスパーティが発生。
    内容は概ね個別√同様だが、ダンスの相手はフランかレミリアで固定になる。
    選ばれなかった方も、ダンスの後に紅魔館のバルコニーにて会話イベントが発生する。
    できればセーブデータを別に作ってどちらも見ておきたいところ。

年末年始

「おーい、霊夢ー。今年も来てあげたわよ」
「あけましておめでとうございまーす」
「相変わらず閑古鳥が鳴いていますね」

 

「はいはい、いらっしゃい。素敵な賽銭箱はそこよー。
 あら? あんたは……」

 

「おっと。余計な詮索はナシよ」
「ふふっ」

 

「……大変ねぇ。こんなのに見染められちゃって」
「むぅ。こんなのって何よ」
「字面の通りよ。しっかし悪魔が初詣っていつ見てもシュールね」
「あら。それでも何かしらの後利益がありそうなものでは?」
「ンな訳ないでしょうが。不吉以外の何物でもないわよ」
「あはは。お姉さまったら不吉って言われちゃってるー」
「あんたもよ愚妹」

 

「ったく……ほら。あんたも笑ってないで」
「一緒に御賽銭入れましょう?」

エンディング一覧

TRUEEND 『Overdosing Scarlet Bliss』

――4月

 

新しい命が芽吹く、新しい四季の巡りの訪れ。

 

今日は陰陽鉄学園の始業・入学式だ。
陰その陽鉄学園に繋がる道を、2人の女子生徒と今年新たに姉妹の通う学園に転入する予定の転校生が歩いていた。

 

三人は仲睦まじく談話していたのだが。

 

「そういえばPC。前に『レミリアとフランが好きだからだーっ』って言ってくれたけど……
 PCはフランと私、どっちが一番好きなの?」
「あ、私も気になる。こういう関係って『お前たちが俺の翼』って言うんだっけ。
 実際、どうなのかはっきりしておかないと」

 

その言葉を聞いて、貴方は思わず引き攣った表情を浮かべた。

 

「私よね」「私だよね?」

 

『どっちも同じくらい大好きです! だから勘弁してくれ!』

 

そう早口に言うと、貴方は歩くペースを上げてしまった。

 

「「……」」

 

残された少女達はジト目でその背中を見つめる。

 

「逃げたわね」「逃げた」

 

そして互いの顔を見て、愉快そうに笑った。

 

「さぁて、追いかけるわよ」
「答え、ちゃんと聞かないとね!」

 

そうして手を振りながら貴方を追いかける紅い姉妹。

 
 

その後ろ姿を、薄紅色の桜の花びらが彩った。

 
 
 
 

おまけ

DEADEND 『RED REQUIEM』

  • ノスフェラトゥ(二回目)戦をPCが戦闘不能状態のまま勝利する
     

    こえがきこえる

     

    「……PC、終わったわ……」
    「あの怪物も、あいつもみんなやっつけた……。もう、大丈夫……だよ」

     

    レミリアとフランだ
    ひどいけがをしているけど、いきている

     

    「……? PC?」
    「寝てる……の?」

     

    よかった
    じぶんは もうだめだけど それでも   かのじょたちをまもることは できた

     

    「どう……したの……?」
    「寝てるだけ……だよね? 顔、真っ青のは……寒いからでしょ? 寝てたら風邪ひいちゃうわよ……」

     

    ごめ  すこ    ねむ ん だ    

     

    「……う、そ……でしょ……」
    「お願いだから……起きてよ。ねぇってば……」

     
     
     
     

    「……いやぁ……」
    「……ねぇ」

コメント

  • 吸血鬼と見て目を疑ったが十年後の話なら吸血鬼になる可能性無くも無いから致命的にはおかしくは無い。ただそれなら吸血鬼化のエピソード入れるべきじゃね?くるみに噛まれたとか。 -- 2012-06-29 (金) 20:54:20
  • 失念していたので慌てて追加 ちょっと苦しい設定だけどどんなものだろうか -- 2012-06-29 (金) 21:21:39
  • これなら違和感はあまり無いんじゃないか? だいたい最近は種族:妖怪のキャラも増えて設定も練り直されてるんだし、あくまでパラレルの一つだし。 -- 2012-06-30 (土) 04:01:47
  • 魔族の成長は精神(コア)に影響されるから、精神の成熟速度次第では人間並みのスピードで成長する奴が居てもおかしくもなんともないな -- 2012-08-31 (金) 05:14:30
  • ノスフェラトゥへのとどめの一撃のセリフとか、映画のアイデアのスタイリッシュアクション -- 2017-01-03 (火) 22:56:30
  • とか見てDMCを思い出した(上コメは途中送信) -- 2017-01-03 (火) 22:57:40

*1 演劇経験が少ない&滑舌が悪い人もいるので、それらによる違和感を感じにくい無声映画になったらしい。映像面も含めて仕様