DCO/燎原の下火

「燎原の下火」はこの惑星である。
当該DCOの異常性は、際限なく表面積が広がる点にある。表面積が広がると、既存の陸地面積は広がらないが、海洋面積が広がる。さらに、空いた海のスペースに新しい大陸などが生成される。
この際、陸地が生成されるために表面積が広がるのか、表面積が広がったがために陸地が生成されるのかは定かではない。
なお、陸地が新しく生成された場合、歴史改変が行われる場合がある。

表面積が広がるに伴い体積や質量も増えるが、地表にいる生命体に重力含め影響はなく、太陽・衛星からの距離も変わらない。これがこの惑星の異常性なのか星系自体の異常性なのかは精査が必要だろう。

20██年██月█日追記:
このDCOにはその特異性より性質を分類することができない。
危険だがこのDCOのおかげで我々は今を暮らすことができるし、いつでもどこでも視認ができるが異常性に気づく者はいない。そのため、分類の枠に収まり切らないのだ。
なお、クラスに関しては収容不可能のためデンジャラスとする。

20██年██月█日追記:
この星には膨大な量の人数がいる。その中で1人くらい改変を受け付けない人間が出てもおかしくはない。
「燎原の下火」を発見できたのは、彼─███・████の存在があったからこそである。
彼は███国宇宙開発局の研究員であった。彼が在籍していた当時、彼は歴史改変後にこの星のデータが書き換えられていることに気づき上層部に何度も上奏したが、特に対応はされなかった。これを不審に思った機関のエージェントが機関に通報し、転職という形で保護された。

███・████は要注意人物としてマークされているが、機関内で行動する分には自由だ。なんなら、機関はどこかの国の宇宙開発機関で、今まで勤めていた場所よりも優れた設備を持っている…というふうに誤認している。
彼はそのまま宇宙開発部門に留めておくのが機関にとっても吉だろう。

20██年█月██日追記:
近年生まれてくる国はおおよそ国としての体裁を成していないものも少なくはないようだ。それらに対して異常性と認定するかは審議が必要だろう…しかし、それらの国が既存の国に宣戦布告したところで、機関にはどうしようもできない。世界情勢的にも考えて、国を保護するわけにはいかない。
しかも、機関が「最近生成された」と認識したとてほとんどの人間にとってはかつてよりそこにあった、と改変される以上、生成直後に保護もできない。さらに、異常性の副産物に別のナンバリングをするのは機関の性質上好まれない。提案自体が棄却されるだろう。
何より機関は世界情勢的に中立だ。無闇に手を出すわけにはいかない。