【第二章 おてんば姫の冒険】

Last-modified: 2024-02-16 (金) 06:30:19

・DQ4の章
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DQ4

【ドラゴンクエストIV 導かれし者たち】を構成する【章】のうち、2番目の章である。
英語版でのタイトルはNES版ではPrincess Alena’s Adventure、DS版以降ではAlena and the Journey to the Tourney(アリーナ・大会への旅)。
 

むかしむかし あるところに
アリーナひめ という それはそれは
おてんばな おひめさまが おったそうじゃ。

とまるで当時放送されていたアニメ『まんが日本昔ばなし』のような語り口調で始まる。
元々ドラクエは中世風の世界観な上、天空シリーズはDQ5の時系列が一番新しいので(DQ4の数百年後)その布石とも取れるが……他の章では「昔」という言い回しはされていないので、捉え方によっては一章より前の時代に思えてしまう。いきなりツッコミどころ満載な始まり方である。
もちろん、実際には二章での冒険中に、旅をする【ライアン】と出会うことからもわかる通り、一章よりもだいぶ未来の時系列である。現実の現代世界でゲームをプレイしているプレイヤーの目線から見た、メタ的なメッセージといえよう。
そんなツッコミどころ満載なイントロから続いて、城の壁を蹴破って脱出する破天荒な姫のドタバタ珍道中が展開されていく。
(主に主人公のせいで)コミカルな演出が多いが、魔物の脅威に苦しむ村、誘拐事件と黄金の腕輪、王の予知夢と奪われた声、謎の存在デスピサロ…と、シリアスな場面や最終章へと続く重要な伏線も多い章である。
 
主人公は【サントハイム】の姫【アリーナ】
まず彼女が【サントハイム王】に内緒で城を飛び出し冒険に出るところから物語が始まり、その直後に城の神官【クリフト】と、教育係の【ブライ】が登場し、アリーナと彼らによる3人パーティーで物語が展開される。NPCとして加わる仲間は登場しない。
ちなみに主人公のアリーナは、FC版ではドラクエの慣例にしたがって【はい/いいえ】以外、全くセリフがないが、リメイク版で追加された【仲間会話】ではブライ・クリフトと共にパーティ全員が普通にしゃべる。
 
第一章に比べると行動範囲も広くなり、サントハイムの大陸全体と対岸の【エンドール】が舞台となっている。
ただし、エンドール周辺の橋は壊れており、第二章ではそこから先へ進めない。
フィールドのBGMは【おてんば姫の行進】
 
この章の特徴として、アリーナは「力試しの旅に出る」とはいうものの、前半のうちは特に明確な目標を持たないためとりあえず行ける町に行き、そこで人々の依頼を受けて人助けをする、ということを繰り返していくことになる。
なおシナリオ攻略の自由度は低く、【テンペ】【フレノール】【砂漠のバザー】→エンドールの順でしかイベントが進行ができない。
ただし、テンペ攻略以降の行動範囲はそれなりに広く、フレノールはイベントをクリアしないと買い物できない店もあるが、さばくのバザーまで行けばシナリオ進行に関係なく同じものが買える。
またボス戦も増え、序盤には中ボスの【カメレオンマン】+【あばれこまいぬ】戦、終盤には【武術大会】での5連戦が待ち受ける。
章末のボス以外で中ボスが登場するシナリオは第五章を除けばこの章のみである。
また、冒険開始直後に訪れるような場所でいきなりボス戦があるという展開はシリーズでも珍しく、マスターズクラブ【堀井雄二】インタビューでも、バランス調整に苦労したことが語られている。
 
フレノール編で登場する【おうごんのうでわ】の話は、第五章への重要な伏線となっている。
また武術大会が開かれるエンドールでは、本作の黒幕である【デスピサロ】の名が頻繁に登場するが、まだ実際にデスピサロが登場することはない。
ハッピーエンドであった前章とは異なり、この章の最後には故郷サントハイムで事件が発生し、新たな謎を残す形で終了する。
 
肉体派のアリーナが攻撃の中心で、クリフトが回復担当、ブライが呪文攻撃&補助担当というバランスの取れたパーティ構成となっており、3人での冒険はDQ2を彷彿とさせる。
ただしDQ2とは似て非なる職業バランスであり、あまりDQ2を意識してプレイするとバランスの悪さを感じかねない。
特徴としてクリフトはダメージ系の呪文を覚えず、ブライがヒャダルコを覚えるのも章の最終盤頃な上にせっかく覚えても後述する理由で使い所が限られるため、大量の敵が現れてもちまちま1匹ずつ倒さねばならない。
一応【せいぎのそろばん】のニフラム効果で一掃という手もあるが、購入できるのが章ボス直前なのであまり役に立たない。
さらにDQ2と比べるとアリーナが武闘家に近いため、装備の使いまわしの面でも勝手が異なるものとなっている。とは言え【くさりかたびら】【くさりがま】までの武器と鎧は割と普通に利用できるので、【どうのつるぎ】と盾類を装備できない点を除けば、章の中盤くらいまでは戦士に近い感覚で運用する形になる。
また、アリーナの会心率はよく話題になるが、2章の時点ではレベルが低い関係で会心には期待できないため、バクチ的な期待はしないように。
 
第一章はゲーム慣れしていないプレイヤーに対するチュートリアルに近い内容だったが、この章は直接攻撃・回復・呪文攻撃という役割分担を学んでくれと言わんばかりの内容であり、プレイヤーにとってやることが増える。と同時に章自体も長くなり、難度も上がっている。
リメイク版(特にPS版)は設定レベルどおりに呪文を習得できないことが多いので、よほど運がよくない限り進行が遅れることはザラにある。
第一章の【ライアン】に比べるとメンバーの【HP】が全体的に低めで初期装備も軽装なので、開始直後のザコ敵である【キリキリバッタ】【スライムベス】辺りといえども、序盤から慎重に戦いたい。
また、スタート地点から少し北上しただけの森ではいきなり自重せずに画面いっぱいに大量のモンスターが出現するようになるため、まずは教育係のブライのアドバイスに従い、最初の町から離れずにじっくりレベルを上げ、装備を整える必要がある。
特にブライの初期装備は貧弱そのもので、通常攻撃ではダメージが通らない。
【ヒャド】を使わないときは、むやみに攻撃させるよりも【ぼうぎょ】させたほうが良い、ということもここで覚えることになる。
また、前二人の【初期装備】も頼りないため、最低でもまずはクリフトに【どうのつるぎ】を買い与え、アリーナにはクリフトの【こんぼう】をお下がりさせ、殲滅力のアップを図りたい。
DS版以降では初期資金が足りないため、拾い集めた小銭やアイテムを売らないといきなり銅の剣の購入はできなくなった。その代わり、城の屋上テラスに落ちているゴールドがキラキラ光るようになったので見逃す可能性は少し減っている。
 
そしてテンペを抜けると一気に敵が強くなり、その先のダンジョン【フレノール南の洞窟】【さえずりの塔】、さらに先の【エンドール】周辺のフィールドでも難易度が2~3段階ずつ一気に上がっていくため、それぞれの段階でしっかりと装備を整えないとすぐに死人が出る。面倒かもしれないが、新しい町に着くごとに、横着せずに装備をしっかり更新しよう。
クリフトは打たれ弱いわけではないが死ぬと回復できなくなって詰んでしまうし、ブライは言わずもがな死にやすいので、この2人の防具強化は特に必須である。
また、物理攻撃役もアリーナだけでは物足りないし、ブライが呪文を撃てる回数にも限りがあるので、クリフトの武器もしっかり強化して攻撃参加できるようにすることも必須だ。
さらに、【ひとくいサーベル】【コドラ】【さそりアーマー】【さまようよろい】【痛恨の一撃】を放つ敵が四種も存在する点、ブライがヒャダルコを覚える辺りの時期から狙ったようにヒャド系に耐性を持つ敵が急増する点、敵の素早さが全体的にかなり高めな点(アリーナですら先手を取れないことが多々ある程)もこの章の難度を上げる要因となっている。
例え状態が万全であっても不意打ちや痛恨の一撃で一気に窮地に立たされたり即死することがありうるため、こちらのレベルが高くても油断できない。人によっては武術大会の対戦相手よりもさえずりの塔やエンドール周辺の雑魚の方が強いと感じるかもしれない。
【メタルスライム】もこの章で初登場する。マニュアル戦闘でしかも3人いるため、FC版では【せいすい】さえ買っておけば倒しやすい。
少し稼いでレベルを上げておくと、5章での合流時に冒険が楽になる。もちろん、やり過ぎるとゲームバランスを崩すが。
 
また、この章はそのレベルの大切さを知ることができる章でもある。
急いで攻略を目指すと苦戦必至な難関ポイントも、少しレベルを上げるだけでその難易度は大きく変わる。
フレノール南の洞窟もクリフトのLvを8までにして臨めば【キアリー】を習得するので攻略がしやすくなる。(フレノール~フレノール南の洞窟で大体10~15回程度の戦闘)
さえずりの塔もブライがヒャダルコを習得するLv11まで上げていればだいぶ楽になる。(砂漠のバザー~さえずりの塔で10~15回程度の戦闘)
武術大会もアリーナのレベルが16あたりまで上がればほとんど楽勝になる。メタルも出るし。
いずれも、それほど面倒でもなくちょっと手間を惜しまなければできる程度の範疇である。
特にしばりプレイをしていないならば、ちゃんとレベルを上げてから冒険を進めよう。しっかりレベルを上げれば金も貯まるので、装備も無理なく更新できるはずだ。
 
そしてエンドールに到着すると、そこで【カジノ】を最初に楽しむことができる。
しかもこの章では【コイン】の売り値が安い。
章をまたいでお金の持ち越しはできないので、クリアする前の下準備として極力アイテムを購入するのが一般的。
しかしコインの枚数は継続するので、ここでは逆に【てつのつめ】などを除くアイテム・装備を売り払ってコインを買うのもいいだろう。FC版の裏技を自重しないのであればここでコインを買う必要性は皆無だが。
 
前作まで【公式ガイドブック】は大体、到達レベルがやたら高めに見積もられていることが多かったが、本作に関してはレベルが上げやすくなったこともあり、割と妥当なレベルになっているところが多い。

余談

城を脱出したのち、3マス移動するとキャラの動きが停止し同時にブライとクリフトが駆けつけてきて仲間に加わるのだが、さすがにこの間はエンカウントが発生せず、時間も経過しない。そのため、アリーナ一人で敵と戦って【デスルーラ】でサランの教会にワープするというようなことはできない。
 
また、このシーンではどうやら「2人が加入していない状態でフィールド上を規定の歩数歩くとイベントが発生する」というプログラムが組まれているらしく、チートを利用して「キメラの翼所持」「ワープでの行き先を完全開放」という状態を用意した上で、キメラの翼を使ってサントハイム以外の場所に逃げてもしぶとくアリーナを追いかけてくる。
ゆく手に山や海があろうとマグマが遮る地底の奥底だろうと、特定の乗り物がないと入れない地域だろうとお構いなしである。
天空城まではさすがにおいかけてこれないようで入り口付近で歩き回っていても大丈夫なのだが、アリーナでは城に入る資格がないので、仕方なく地上に戻ってから改めて移動しようとすると、やっぱり動きが停止したうえで2人が追いかけてくる。
しかも2人がフィールド上に出現する座標がサントハイム城で固定されているため、場所が離れるほど2人が追い付いてくるまでに時間がかかるという妙なリアリティ。姫の身を案じる忠心を通り越した、執念とも思えるストーカーっぷりである。

関連作品

本章の独立したコミカライズ作品として【ドラゴンクエスト プリンセスアリーナ】が存在するのだが、詳細は当該項目を参照。
 
1995年4月1日にタイトーから発売された『レディストーカー ~過去からの挑戦~』というSFC用のゲームは、元々アリーナ、クリフト、ブライの一行を元にしたDQの外伝ゲームになる予定だったと言われている。
開発元は「クライマックス」。【内藤寛】が立ち上げた会社である為、ドラクエとは決して無関係ではない。
しかし、諸事情によりDQの外伝としての開発が中止され、代わりにキャラを無関係なものに差し替えたとのこと。
ヒロインやお供の2人のキャラは確かに一行と格好や雰囲気が似ており、アイテムや設定、モンスターなども類似した点も多い。
ドラクエに精通していれば、レディストーカーという作品そのものに加えて、「『このシーンにはドラクエ作品のあのアイテムやあのキャラクター、あのモンスターにあの用語を登場させる予定だったのではないか?』と考察する」という斜め上の楽しみ方を味わうことが出来るだろう。
【持ち上げ】等、ドラクエを先駆けた要素も存在する。ただしドラクエがこの作品からの影響で持ち上げを採用したのかは不明。