システム/【アクティブディメンションバトル】

Last-modified: 2021-02-28 (日) 15:55:10

FF12

FF12の戦闘システム。略称ADB。
「時間」を活性化(アクティブ)させた従来のATBに、新たに「空間」の概念を加えたもの。
エバークエストやFF11とよく似た戦闘システムなので「FF11オフライン」などと呼ばれることも。
 
フィールド上を動くモンスターが目に見えるようになっている。
戦闘前から敵の戦力を知ることができるし、補助魔法も戦闘直前に付加できる。
敵はこちらを感知することで襲いかかってくる。
敵が誰を狙うかは、こちらとの距離や敵対心で決まる。
遠くの方にいる敵がリンクして加勢することがある。
 
ゲージはコマンドを選択してから溜まるようになっている。
同じ「たたかう」でも武器の種類によって溜まる速度が違い、魔法や技にも固有の溜め時間が設定されている。
また、射程と効果範囲によって効果が届くかどうかが決まる。
射程外の相手にはゲージが溜まっても攻撃できないし、範囲技も効果範囲の外にいると効果が届かない。
これを活用すれば戦局を有利に運ぶこともできる。

  • HP満タン魔力UPが非常に強力な効果になっている。
    また範囲回復の消費MPがやたら高い。
    そのため位置取りや敵の狙いをうまく操作して被害を抑えることが何よりも重要になっている。
    ADBの「空間」が活かされている部分だが、これは難易度上昇の一因にもなっている。
    • 高難度の根本的な原因は、ギル・MPの運用はADBを活かして節約することが前提という所。
      範囲技を食らいつつ範囲回復を連発して戦うには、徹底的に稼ぐ必要がある。
      • 上位回復は順番待ちを起こしやすい。
        頻発する順番待ちに耐えるため、更なる稼ぎが必要という悪循環に。
      • 逆に言えばFF11などのロール概念をプレイヤー側が認識していれば被害は最小限に抑えられる。
        敵も味方も同じシステム上で動いているので、間合いをしっかりとれば一方的にプレイヤー側有利の展開にも持ち込められる。

 
魔法や技の演出中でも、他の攻撃や魔法を同時に実行できるになっている。
演出の長い攻撃は攻撃間隔も長くなるので、大きなデメリットになる。
敵味方が入り乱れて動く忙しい戦闘だが、ガンビットというカスタマイズ可能なAIがある。
PS2の限界で、過剰な量の演出が入ると魔法や技の使用に制限が出る(詳細は順番待ちを参照)。


オフライン版のEQクローンといったシステムではあるが、ADBシステムの制作を統括した前廣氏曰く
FF11はシステムのベースではなく、単にオフラインでシームレスバトルを作るきっかけの一つらしい。
従来のセパレート形式では演出強化に力が注がれてきたが、それは本来RPGが求めたものとは違うと考え、
冒険の雰囲気を出すためにADBが作られた。
 
ADBはマップと戦闘の処理を同時に行うため、エフェクトを削らないと処理が追いつかない。
結果として演出で魅せる要素がなくなったので、演出面を補うために用意されたのがミストナック
リアルタイムで複数キャラを同時に操作するために作られたのがガンビット


演出削減に伴う迫力・爽快感の欠如がADBの大きな欠点といわれ、スタッフ自身もこれを認めている。
もともとADBは「魅せる」ために作られたシステムではない。
「魅せる派」と「雰囲気派」はプレイヤー間だけでなくクリエイター間でも対立しているが、
昨今のゲーム機の豊富なグラフィックリソースをどちらの方向に使うかというのは難しい問題。
「観るゲーム」とされるFFで「魅せ」を捨てた点で、ADBは大きな一石を投じたシステムかもしれない。


河津氏はシームレスバトル+ガンビットのこの形がATBの完成形であるとしている。


FF11のノウハウもあってか、ADBの完成度は高い。
ヘイト位置取りで細かい制御を要求しない調整で、自動操作でも制御しやすい。
多対多や長期戦でも、ガンビットで戦闘をコントロールすることができる。

  • 縛りプレイではハイリスク・ハイリターンな戦い方になるため、かなり細かい制御が必要。

【視聴覚室】
ADB開発秘話。
開発チーム内でもADBに対する意見が割れていた。

FF12IZJS

ゾディアックジョブシステムの煽りを受けて、空間のコントロール手段に制約ができた。
それを埋めるためか範囲回復が強化されるが、範囲対策の必要性は低下。
ヘイトや位置取りがさほど重要ではなくなり、ADBの「空間」の意味が薄れてしまっている。


FF11経験者ならともかく、そうではない人には全く聞き慣れないシステムばかり。
NPCだけが説明してくれるシステムもあり、理解どころか存在すら知らない人も多いはず。
ADBの完成度の高さは、全てのシステムを熟知して初めて実感できる。
システムを熟知しなくてもいい調整は、遊びやすさ重視の方針*1では理に適っている。


ガンビットの自動移動だけでは、敵の攻撃魔法を散開回避しにくい。
自動的に空間をコントロールすることが難しくなった。
攻撃系魔法の効果範囲が広がっているのが原因。

  • 逆に言えばこちらの範囲攻撃も広がっており、ダメージ上限の撤廃も相まって、いわゆる「やられる前にやる」といういつものゲームデザイン・バランスに回帰したという見方もできる。
    証拠として、ヘイトやガンビット等が一般的な戦術として普及する以前に発売された当作は、当時の一般層から概ね好意的に受け止められていたことが挙げられる。
    今でこそオリジナルに比べ大味すぎるといった批判もされるが、従来のFF系のRPG以外のゲームをろくにプレイしたことがない層からしてみればこのくらいのバランスがちょうど良いのかもしれない。

関連項目

【シームレスバトル】 【ガンビット】 【オートラン】 【天候・地形】 【トラップ】 【敵対心(ヘイト)】 【感知能力】 【リンク】 【順番待ち】 【射程】 【効果範囲】


*1 ADBの遊びかたが分かりづらいので、インターナショナルは遊びやすさが重視された。