いろんなひこうき

Last-modified: 2023-07-09 (日) 12:19:33

飛行機のいろいろな分別等

動力による分類

固定翼機が飛行のために揚力を得るためには前方への推進力が必要となる。
本項に示すのは、その推進力を何で得ているかの分類で、エンジンによる分類。

レシプロ機

レシプロ(ピストン)エンジンによよって、燃料の爆発のによる往復運動を回転運動に変換し
プロペラを回して推力を得る形式。WW2以前からWW2末期頃まで広く使用されていた形式。
WTではBRで1.0~6.7程度、ランクI~Vはほぼこれ(プロペラ機は一部例外を除きこれ)
低速での効率が良いが、プロペラという回転翼を使用しているため上は亜音速、M0.7程度が限界。

さらにエンジンの冷却方式で空冷と水冷(液冷)に大別される。

空冷発動機

エンジンのシリンダーに直接空気流を当てることで冷却する方式。前方から気筒配置が均一になるよう
円状にシリンダーが配置されているため、大抵は機首が円または楕円っぽい形をしている。
そのため日本語では星型(5気筒以外でも通常こう呼ぶ)英語でもラジアル(放射状)エンジンと呼ばれる。
上記の経緯から水冷方式に比べると機首が太くなるが、前後方向は短くすることができる。
気筒数が増えてくると2列、3列と増えるが、大体は2列程度(零戦の栄発動機は1列7気筒、複列の14気筒星型)
ほか、被弾時には冷却液の漏洩が起きないため、破損したシリンダー以外への影響が少なく、被弾に強いとされる。
構造上モータカノンは装備できない。

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↑空冷5気筒エンジンを搭載するソ連のPo-2
カウルがなくエンジンが露出しているためわかりやすい。

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↑複列14気筒の栄を搭載する日本の零戦

水冷発動機

エンジンを冷却液を用いて冷却し、冷却液はラジエーターにて空気を当て冷却する。
厳密に言えば冷却液が水のものが水冷、水で無いものは液冷と言うべきだろうがあまり気にされていない。(ここでもあまり気にしない)
主にV字型に気筒が配置された正立V型エンジンと、上下逆さまな倒立V型がある。
前者の代表はイギリスのマーリンやグリフォン、後者はドイツのDB601やDB605など。
ラジエータは機体によって主翼下や機首下胴体下などまちまちなように、空冷に比べてレイアウトの自由度が高い。
また、気筒配置の都合機首を細くすることが可能なので、抵抗的には有利と思われる。ただし前後には長くなる。
ほか、被弾によって冷却液が漏れてしまうと、最終的にエンジン全体の冷却ができなくなるため、空冷比で被弾には弱いとされる。

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↑正立V型12気筒のマーリンXIIを搭載したイギリスのスピットファイア
シリンダがVの字状に配置され、ギアなどを噛ませて中央にプロペラ軸がある。

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↑倒立V型12気筒のDB601を搭載したドイツのBf109
上記の正立型とは配置が逆になっているのが特徴。

ジェット機

圧縮機によって圧縮した空気を燃料と混合、点火し、後方から噴射することで推力を得る形式。
WW2末期から現代まで、高速飛行が必要な戦闘機では使用され続けている。
WTでは一部例外除きBRで6.3~、ランクでV以降がほぼこれ。
厳密に言えば純粋なターボジェットと、ターボファンエンジンの2種に分かれる。
また別項のターボプロップはプロペラを使用しているが、ジェットの一種である。

ターボジェット機

初期のジェット機体に使用された形式。
圧縮機の方式として動翼(ロータ)と静翼(ステータ)を用いて前方から後方に一軸で圧縮する軸流式、
遠心力によって圧縮する遠心式の2種があったが、現在は軸流式が主流。
プロペラを持たないため音速までも到達可能だが、特に初期のものは推力自体は低いため加速性能に難がある。
現在は後者のターボファンにとって変えられ、純粋なターボジェットエンジンは基本的には使用されていない。

ターボファン機

ターボジェットエンジンの前段にファンを追加したもの。ファンは圧縮機同様に後段のタービンにて駆動される。
ファンの排気の中心部分は従来どおりターボジェット部分にて燃焼されるが、外側部分はファンによって加速され燃焼されずそのまま後方から排気される。
中心部分のジェットエンジン部分を通る空気量と、外部のファン部分のみを通る(バイパスされる)空気量の比(バイパス比)によって性質が異なり
旅客機などに使用されている高バイパス比(ファンの空気量が大)は遷音速粋での特性に優れる。
WT中で使用されるものはもっぱら低バイパス比(ほぼジェット部分のもの)で、ターボジェットに近い性質を持つ。
ターボジェットと比べると、ジェット排気がバイパス流を挟んで大気と触れるため効率が向上するほか、騒音や排熱を軽減できる。
また、バイパス流は燃焼を経ていないため、アフターバーナーによる推力増加効果も増大する。

主翼による分類

空を飛行する航空機としては重要な要素である主翼は、その用途によって様々な形式が存在する。
本項では主翼に関連しての航空機の分類について記載する。

主翼配置による分類

主翼が胴体に対してどのような位置に配置されるかによる分類。
現代では主翼と胴体がなめらかに接続されるブレンデッドウィングボディとなっているため、胴体に関して主翼がどこからで、
どのようについているかは若干曖昧になりつつある。

低翼機

胴体の下部に主翼が配置される形式。
レシプロ戦闘機では、主翼に主脚を収納する形式が多かったため、その長さを短く出来ることもありよく採用されていた。
そのままでは横方向の安定性がないため(逆に俊敏な機動が可能とも言える)大抵は上反角がつけられる(前から見ると主翼が緩くV字状)
また他の翼形式に比べて接地効果が大きいため、STOL面では有利となる。

中翼機

胴体の中部に主翼が配置される形態。空気抵抗的にはこの形式が最も良いとされる。
また、左右の主翼間に胴体が来るため、一体成型などがし辛いことなども問題になる。
WW2期は主脚を主翼に収納する形式が多く、脚が長くなることもあってあまり採用例はない。

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↑中翼配置の一例、アメリカのF4F

高翼機

主翼が胴体の上部につく形式。
翼の下面から地面までの距離が大きく取れるので、武装の懸架などに有利であり、現代機では主にこの形式が多い。
(超音速機などは主翼が薄くなるため主脚は胴体に収納されることが多く、その点でもあまり問題にならないのもある)
また、低翼機とは逆でそのままでも横方向の安定性を持つ(≒運動性が悪い)ため、こちらも逆に下反角を付ける場合がある。
ほか、胴体を地面に近くできるため荷物の搬入などには有利で、輸送機などでもよく用いられる。

パラソル翼

主翼が高翼よりさらに上に行き、胴体から離れたところに独立している形式。
下方視界がよいため偵察機や、主翼に搭載したエンジンを水面から距離を離せるため飛行艇などで使用された。
支柱が必須となるため、構造や抵抗の面で不利になると思われる。

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↑パラソル翼配置の一例、日本の九七式飛行艇。
エンジンが胴体より上に配置され海面から十分な距離を取っていることがわかる。
一方で、ごん太の支柱はあからさまに抵抗が大きそうである。

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↑単発機でも採用はある。画像はフランスのD.371
パラソル期は単葉戦闘機の黎明期にはしばしば見られたようだが、続かなかったあたり向いてなかったのだろう。

離着陸形式による分類

航空機が離着陸する際の方法による分類。
基本的には離陸(Take Off)と着陸(Landing)の文字を取って「~TO~L」の形で表記される(同じ場合後ろは省略)

CTOL

CTOL(Conventional Take-Off and Landing)は従来型の名の通り、所謂「普通の」離着陸方式。
滑走路で離陸滑走をし、着陸時も滑走路に降りて停止まで滑走する。
最も基本的な離着陸形式であり、特に表記がない場合はこの形式と見てよい。

STOL

STOL(Short Take-Off and Landing)の意で、Shortという名の通り短距離での離着陸方式のこと。
短距離について明確な定義がある言葉ではなく、もっぱら従来のCTOL機と比較して離着陸距離が短い。
ほか、推力偏向装置等の装備により(装備していない状態と比較で)「STOL性」が向上のような比較形で使われることが多い。
(フラップなどもSTOL性向上のもののひとつだが、今どき装備が当たり前なので言及されることは少ない)

VTOL

VTOL(Vertical Take-Off and Landing)の意で、垂直離着陸方式のこと。
垂直に離着陸するため、長大な滑走路が必要ないのがメリット。
ただし、滑走をしない分、飛行に必要な揚力は全てエンジンで賄う必要があり、強力なパワーが求められる。
主に
・通常飛行用のエンジンを下に向ける(あるいは排気を下に向ける)
・離陸専用の下向きエンジンを搭載する
パターンが多い。
前者は可動機構分、後者は通常飛行時に離陸用エンジンがそれぞれ重量増となり、CTOL型より性能は落ちる。
また、垂直離陸可能な機体でも実用上は後述の「STOVL形式」で短距離離陸/垂直着陸とする場合がほとんどである。

STOVL

STOVL(Short Take-Off and Vertical Landing)離陸時は滑走を行うが、着陸時は垂直着陸を行う形式。
完全な垂直離陸はエンジン推力のみで上昇力を補う必要があるため、離陸重量(=兵装搭載量)にそれなりに制限が生じる。
そのため、垂直離陸可能な機体であっても滑走を行い、主翼からも揚力を得ることで搭載量を増やすために本形式が取られることが多い。
着陸時については、燃料が減って重量が軽くなっているため、垂直着陸を行う。