セカンドリーグ

Last-modified: 2023-12-13 (水) 12:53:29

セントラル・リーグの蔑称。特に2010年代のセ・リーグについてよく用いられる。


経緯

「人気のセ、実力のパ」とは昭和の時代から言われ続けてきた格言であるが、2000年代後半以降その風潮は更に加速傾向にあり*1、セとパが対決する『セ・パ交流戦』『日本シリーズ*2』『オールスターゲーム』の3構図全てにおいてセ・リーグが負け越していた。
ここから「最早セ・リーグにパ・リーグと対をなすような力はなく、実質2部リーグのようなものである」と、その弱さを揶揄された事が由来の表現。

言うまでもなく「ントラル」と「カンド」の「セ」を掛けた蔑称であり、パ・リーグの蔑称(後述)としては機能しない点に注意。


『セカンドリーグ』時代の交流戦

※2020年シーズンは新型コロナウイルスの影響により交流戦が中止となっている。

ここでは18試合(6カード)制になった2015年以降を記載。

2015年(セ44勝、パ61勝、引き分け3)

2015年(セ44勝、パ61勝、引き分け3)
5月まで首位を独走していたDeNAが3勝14敗1分だったのを始め、上位陣が軒並み交流戦で低迷。リーグ戦再開後には全球団借金の珍事を引き起こす。

2016年(セ47勝、パ60勝、引き分け1)

2016年(セ47勝、パ60勝、引き分け1)
セ・リーグ首位の広島は、交流戦前半はパ・リーグ上位チームとの9連戦を4勝4敗1分で切り抜け、後半は最終週のサヨナラコリジョン、鈴木誠也の「神ってる」などもあり6連勝。
しかし他5球団は貯金を作れず、交流戦終了後からしばらく広島だけ貯金2桁で他の5球団は全チーム借金という事態になった。

2017年(セ51勝、パ56勝、引き分け1)

2017年(セ51勝、パ56勝、引き分け1)
巨人とヤクルトが前半戦9試合を消化した時点で勝ち星なし、巨人は交流戦突入前から続いていた連敗が13となり、球団ワースト記録を更新。最終的に巨人は6勝12敗、ヤクルトは5勝12敗1分となり、案の定両チームがブービーと最下位に沈む結果となった。
巨人はその後持ち直すもペナント4位止まり、ヤクルトは暗黒期のベイスターズすら超えるシーズン96敗という絶望的な記録を叩き出し真中は監督解任に追い込まれるなど、交流戦が最終成績に大きく響いた*3
なお他のセ・リーグ4球団は勝率5割以上で、広島に至っては交流戦の優勝争いを繰り広げており、セ・リーグの借金をこの2球団だけでほぼ背負う状態となった

2018年(セ48勝、パ59勝、引き分け1)

2018年(セ48勝、パ59勝、引き分け1)
セ・リーグ5球団が負け越す中、交流戦前に最下位だったヤクルトが孤軍奮闘し、日本ハムを除く5球団に勝ち越して交流戦最高勝率を獲得。なお、交流戦終了時には広島以外の5チームが借金という状況でありながら1位と2位の差が大きく縮んでいたが、交流戦後に広島が2位のチームを徹底的に叩きのめすことで3連覇を達成した。
交流戦での好成績をバネにヤクルトが最下位から2位へと躍進、以降シーズン終了まで2位をキープした一方、阪神は11位とセ・リーグ最下位の成績*4を叩き出してしまい、最終的に最下位へ転落する遠因となってしまった

またMVP規定が変わっていたために交流戦MVPが最高勝率チームから出ないという史上初の珍事が起きた*5

ただこの年はパ・リーグも借金を抱えるチームが増え、シーズンを通して常に貯金を作れたのは12球団中3球団のみで、しかも下位同士で潰し合う展開が非常に多かった。

2019年(セ46勝、パ58勝、引き分け4)

2019年(セ46勝、パ58勝、引き分け4)
16戦目にしてセ・リーグの10年連続にして14度目の負け越しが決定
しかし巨人とDeNAが何とか上位に食らい付き、巨人に至ってはソフトバンク以外全て勝ち越しを決める健闘を見せ、広島と阪神の不振もありセ・リーグ首位に浮上一時期最下位を爆走していたDeNAは5年振りの交流戦勝ち越しを決めAクラスも射程圏内(ゲーム差2.0)に捉えた。
一方、交流戦前に首位だった広島楽天以外のパ・リーグ各球団に勝ち越す事ができず、交流戦の最下位に沈んだだけでなくセ・リーグ首位からも陥落という2015年のDeNAを彷彿とさせる展開だった。2位だった阪神も攻守にミスを頻発し前年に戻ったかのような有り様で一時期最下位、前年優勝のヤクルトもシーズンでの不調をそのまま引きずり、パ・リーグ全球団に負け越した*6ため、この3チームが交流戦の10~12位となった。

2021年(セ49勝、パ48勝、引き分け11*7

2021年(セ49勝、パ48勝、引き分け11)
例年交流戦で圧倒的な強さを誇ったソフトバンクが絶不調に陥り*8、5勝9敗4分という成績で交流戦11位に沈んだ。
これにより交流戦でも成績が悪化しないセ球団が続出。阪神(貯金+4)・DeNA(+3)・中日(+2)・ヤクルト(+2)が勝ち越しを伸ばし、巨人も交流戦負け越し1で踏みとどまる形となった。

一方、交流戦前から不調だった広島はパ球団にとってのボーナスゲーム枠と化してしまい、18戦でわずか3勝*9という惨状で交流戦最下位に沈んだ上に借金を9つも増やしてしまう。しかしそんな広島も6月15日の西武戦で俺達を打ち崩し勝利すると、達成が危ぶまれていた12年ぶりの交流戦のセ勝ち越しを無事に確定させた。

2022年以降

2022年はヤクルトがセ球団初となる交流戦全カード勝ち越しでの優勝を果たし、セ・リーグとしても55勝53敗で史上初となる2年連続勝ち越しを決めた。翌2023年も負け越し*10こそしたものの、DeNAが悲願の初優勝を果たし*11、史上初めてセ・リーグが連覇。“パ・リーグ一強”と言えるほどの時代は一旦収束を迎える事となった。


『セカンドリーグ』時代の日本シリーズの戦績

年度結果備考
2011年中日3-4ソフトバンク第6戦までビジターチームが勝利。
このシリーズが、セ球団が近年のソフトバンクを相手に最も拮抗したシリーズと言われる。
2012年巨人4-2日本ハムこのシーズン以後、セ球団は2021年までの9年間日本一から遠ざかる。
2013年巨人3-4楽天楽天球団創設後初の日本一。
2014年阪神1-4ソフトバンク
2015年ヤクルト1-4ソフトバンク
2016年広島2-4日本ハム2014~2020年の間では唯一となる、ソフトバンク以外のチームによる日本一。
2017年DeNA2-4ソフトバンク
2018年広島1-1-4ソフトバンク
2019年巨人0-4ソフトバンク巨人、2005年の阪神以来となるスイープ。
ソフトバンクは直近10年間でセ・リーグ全球団から日本一。
2020年巨人0-4ソフトバンク史上初となる2年連続の同一カードでのスイープ。
ソフトバンクは4年連続日本一。
セ・リーグは70年ぶり2度目となる日本シリーズ負け越し。
2021年ヤクルト4-2オリックス9シーズンぶりのセ球団日本一&8シーズンぶりのセ球団ビジター勝利。
史上初の前年最下位同士の日本シリーズ。
ヤクルトは20年ぶりに日本一達成。オリックスは球界再編後初の日本シリーズ進出。
ヤクルトは対歴代オリックス*12戦完全制覇達成。


派生語

他に「テントラレ(点取られ)・リーグ」と呼ばれることもある。パ・リーグの強みは主に打線であると言われていたため、あながちいい加減でもないかも知れない。
また、セカンドリーグとの対比でパ・リーグのことを「パーフェクトリーグ」「パラダイスリーグ」と呼ぶこともある。セ・リーグに対する侮蔑の意味が込められているのは言うまでもない。

一方、パ・リーグの蔑称には「セ・リーグの人気に寄生している不人気リーグ」、あるいは「ソフトバンクの強さに寄生して自分の贔屓球団もセ・リーグより強いと勘違いしている」という意味合いを込めた「パラサイトリーグ」が存在している。
またセ・パの人気格差が大きかった時代にはセ・リーグの正式名称「セントラル・リーグ」と混同した「パントラル・リーグ」と呼ばれることもあった。


関連項目



Tag: なんJ 蔑称


*1 2000年代に巨人と共にセ・リーグを引っ張ってきた阪神、中日の2球団が監督交代やドラフト及び選手育成の失敗で弱体化し始めた2010年代初頭からセ・リーグ全体のレベル低下が顕著になっている。
*2 ただし2023年終了時点ではセ37、パ37と五分である。
*3 交流戦を除くと巨人は66勝56敗、DeNAは64勝56敗で巨人が3位。
*4 といっても巨人、DeNA、中日、広島がそれぞれ僅差で7-10位に位置しており、負け越した5球団のうち巨人や横浜と阪神がわずか1.5ゲーム差、中日、広島と阪神は0.5ゲーム差であったことは留意しておく必要がある。
*5 MVPはパ1位(全体2位)のオリックス・吉田正尚。ヤクルトからは2勝7セーブ、防御率0.00の石山泰稚に特別賞が贈られた。
*6 更に言えば、パ・リーグの6球団すべてに1勝2敗で負け越した
*7 新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的とした「営業時間短縮要請」に応じるため、2021年の公式戦は全試合9回打ち切りであった。そのため例年よりも引き分けが激増している。
*8 絶不調の主な原因が貧打で、チーム打率は12球団ワーストの.233。打率チームトップも栗原陵矢の.269(12球団トータルでは44位)に留まっており、3割越えをマークしたのは一人も居ないという有り様であった(参考)。
*9 交流戦最低勝利数のタイ記録。それでも9回打ち切り制による3個の引き分けのおかげで交流戦最低勝率はなんとか免れた。なお、広島は同時に交流戦期間中の先発投手未勝利という記録を作ってしまった。
*10 52勝54敗2引き分け。後述の優勝したDeNA、優勝こそ逃したものの勝率は同率の巨人をはじめ、昨年まで3期連続最下位と近年交流戦に苦しめられていた広島は勝率5割とそれぞれ健闘した反面、交流戦前は絶好調だった阪神が失速、交流戦前から不調だった中日・ヤクルトも復調できなかった。
*11 勝率はソフトバンク、巨人、オリックスと同率だが、得失点率差はDeNAが最も良いため。
*12 阪急→オリックス(再編前)→近鉄→オリックス(現)。