- 同年にFA権を取得した(またはする予定の)選手が、他球団に実力をアピールすべくシーズンで圧倒的な成績を残すこと。
- 上記1のパターンの派生例であり、FA移籍先として有力候補のチームが相手の試合で活躍すること。
- アマチュアの選手が、ドラフト指名されやすくする為に本職よりも難しいポジションに挑戦すること。
- 審判が楽天に有利な判定をすること。詳しくはこちら。
本項目では1~3について解説する。
1の概要
主に2020年の中日ドラゴンズ・大野雄大に対して用いられている言葉。
大野は2020年に国内FA権を取得することが確実視されており、実際に2019年末の中日との契約更改においては中日の提示した複数年契約を蹴り単年契約でサインしたことから、2020年オフのFA争奪戦の目玉候補となりうることが予想されていた。しかし、大野は2019年シーズンこそ活躍したものの2018年シーズンに絶不調に陥っていたこと、またイニングイーターではあるが典型的な貯金をつくれない投手であったこと*1、2017年を最後に野外球場で勝利していなかったことなどから、これを知るファンからはポテンシャルを疑問視する声もあった。
そして、2020年シーズンが開幕すると開幕戦で4回6失点でKOされたのを皮切りに以後6試合勝ちがつかず2018年の再来を危惧されたが、7月31日に無事国内FA権を取得すると突如として球界屈指の好投手に変貌*2。同日のヤクルト戦に先発登板し9回3失点完投で勝利を挙げたのを皮切りに先発登板しては平然と完投勝利を繰り返すようになり、8月~10月の3ヶ月で9勝、さらに登板12試合のうち9試合で9イニング完投、HQS達成*3した挙句、この期間中に45イニング連続無失点の球団記録を樹立する*4など無双。この結果、抑え込まれた相手球団のファンと阪神ファン*5を中心に「就活投法」などと呼ばれ、挙句の果てには阪神入団テスト合格なるスレまで立てられるようになった*6。
これに対して中日は3億円+出来高の4年契約という大型契約で引き留めを行う。巨人・阪神・オリックスが調査に乗り出したと報じられたが、最終的には大野は3億円+出来高の3年契約で同意し、FA権を行使せず残留の意向を伝えた。残留の理由はチーム愛とドラフト時の恩を返せていないとのことであった*7。
2の概要
1のパターンのうち狭義の例で、FA権取得を控えている選手やFA移籍が懸念されている選手が移籍先の候補として有力なチーム相手に大活躍するさまを言う。
その候補の多くが読売ジャイアンツなのは言うまでもない。その他、豊富な資金力を有す楽天・ソフトバンク・阪神もしばしば候補に挙げられる。
例
山田・鈴木・丸の3人は少年時代は巨人ファンだったと公言*8しており、山田は巨人・坂本勇人*9と仲が良い、鈴木は「カッコいいユニホームは何か」という質問に「巨人」と答えるなど巨人愛がある様子を見せた為、FA権取得が近づくにつれヤクルトファンと広島ファンは去就を不安視していた*10。また丸に関しては広島時代のコーチ・監督だった緒方孝市にも問題*11があったとはいえ、移籍時の言動や経緯でほとんどの広島ファンから名誉外様扱いされている。
京都府出身で阪神ファンの糸井はそれまでキャリアハイは33盗塁、盗塁死は最多でも9と確実性を重視したランナーだったがFA権取得を間近に控えた2016年に限り53盗塁で17盗塁死と狙いまくり、これも就活の代表例として知られる*12。
3の概要
多くの球団ではドラフト指名の際に、代替の効きやすい外野手より内野手、中でも二遊間を守れる選手を優先して指名する傾向にあり、同じ内野手でも二遊間を守れる選手は、一・三塁しか守れないスラッガータイプの選手よりドラフト順位も上がりやすい傾向にある。
裏を返せば二遊間を守れる選手はそれだけプロから需要があるということであり、ドラフト指名の際に自身が有利になるように本職が一塁や三塁の選手でもより難しい二遊間の守備に挑戦する選手も少なくない。
こうした選手は「プロに入るために二遊間を守った」と揶揄され、そのような選手の行動の事を「就活」と言われるようになり、プロ入り後は守備難の内野手になっていることが多く、例として木浪聖也(阪神)や渡邊佳明(楽天)らが挙げられる。また倉本寿彦は創価大と日本新薬で三塁と遊撃をこなすアマ球界きっての好内野手で就活の成功例だったが、腰を痛めた2017年からは一転して拙守をネタにされるようになった。