筒香巨人入り決定的

Last-modified: 2024-04-24 (水) 01:55:16

筒香嘉智が2024年シーズンで日本球界に復帰した際に、スポーツニッポンで報じられた見出しのこと。


事の発端

2019年オフにDeNAからポスティング制度でメジャー挑戦を表明した筒香だったが、MLBで活躍することはできずマイナー降格。その後も複数のマイナー球団や米独立リーグを渡り歩くも、メジャー契約を勝ち取ることはできなかった。
2024年シーズンが開幕し間もない4月7日、日刊スポーツが「5年ぶり日本復帰」の記事を出すと、他紙も次々と後追い報道。古巣DeNAだけでなく巨人も獲得調査をしていると報じられ、同日には巨人・阿部監督からもそれを認める発言が飛び出した。

その発言の翌日である4/8、各紙はこの発言を元に「巨人が獲得本格調査」を一斉に報じたが、スポーツニッポンだけは「筒香 巨人入り決定的に!V奪還へ「左の強打者」補強  5年ぶり日本復帰決断も古巣DeNAではなく…」と題した記事を一面に掲載。
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更に4/10には追加で「筒香 米国から帰国 ジャイアンツを退団、巨人が獲得決定的に」と報道。「巨人・筒香誕生は秒読み段階」「(DeNAへの)復帰には至らない方向となった」と明確に古巣復帰を否定する文面は、DeNA・巨人ファン双方に大混乱を招くこととなった。

一方で「巨人側大本営スポーツ報知を含めた他誌は『調査中』に留まるのに対し、『決定的』と報じたのはスポニチ1社のみ」であったことを理由にこの報道を疑う声も出ていたが、
DeNA側は三浦監督が「交渉しているとは聞いている」「待っています」など消極的なコメントに終始していたこと、(記事が出た当時)筒香のポジションである左翼・一塁に空きがなく、逆に巨人側はオドーアの電撃退団・梶谷の負傷などで外野が手薄だったことから、巨人入りの可能性は高いと見る声も多かった。

しかし日に追うごとにスポニチの記事内容はトーンダウンしていき、過去に「阪神入り決断の西」事件もあったことから、「巨人入り決断の筒香」とネタにされるようになっていった。

影響

DeNAは背番号25の前任者であった村田修一を筆頭に、金城龍彦(14年オフFA)、山口俊(16年オフFA)、梶谷隆幸井納翔一(20年オフFA)など、かねてより巨人への選手移籍が絶えなかった。
これに加えて背番号25を預かり番号にしてまで送り出した筒香の巨人入り決定的の報道がなされると、復帰を信じていたファンの怒りと悲しみが爆発。スポニチの単独報道故に信じなかった者もいたが、少数ではあるが筒香を「裏切り者」とし叩く者もおり、5ch・X(Twitter)など各種SNSは大荒れとなった。

さらにDeNAの応援団も、4月12日の試合後に筒香の応援歌を演奏。「読売に行くな」「戻ってこい」と思いのたけをぶつけ、大きな話題を呼んだ。

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筒香、古巣復帰

しかし14日になると、筒香の日本復帰第一報を報じた日刊スポーツがDeNA復帰決定的 交渉大詰めと報じ、翌15日にも2時25分に再び「DeNA復帰は最終段階」と題した記事を掲載。
この日は横浜寄りのメディアであるサンスポや神奈川新聞などの他紙も一斉に古巣復帰を報道。巨人側の大本営である報知や読売新聞、毎日新聞*1NHKなども続き、16日に改めて球団から正式に獲得が発表された*2*3

しかし当のスポニチには情報が来なかったのか、はたまた一度出した報道で引っ込みがつかなくなったのか、15日まで筒香のDeNA復帰についてはほとんど報道されなかった*4
更に、スポニチDeNA担当Xでは11日以降グラウンド練習風景の動画投稿が途絶えており(それまで試合日はほぼ毎日投稿されていた)、14日頃からはDeNAに関連する記事自体が一切掲載されておらず、一部では「飛ばし記事に激怒したDeから出禁にされたのでは」と噂された*5

謝罪

その後、ニッカンから2日遅れの16日早朝に改めてスポニチもDeNA復帰報道を出したが、スポニチDeNA担当Xに異例の謝罪文が投稿される事態となった。

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背景

入団発表後の17日にデイリースポーツがリリースした記事「なぜ筒香嘉智はDeNA復帰を選んだのか?基本合意と思われた巨人からの大どんでん返しによると、以下のような背景があったとされる。

  • 8日時点では「巨人獲得決定的」の情報がデイリー側にも伝わっており、「早ければ11日にも合意」という情報も出回っていた。
  • 巨人の提示した条件は他球団に比べ最も高く、かつオドーアの開幕前の電撃退団、梶谷・丸の負傷離脱で外野の戦力が不足していた上、DeNAは外野戦力は一通り揃っており、三塁は宮﨑、一塁もオースティンで固定されていたためスポニチの報道段階において出場機会が保証されるかは不明瞭だった。
  • ところが、オースティンも10日に右太もも裏の肉離れで戦線離脱。一塁のポストが空いた上にスポニチの報道後DeNAファンらによる巨人への大反発も起こるようになった。
  • DeNA球団も古巣として最大限の条件*6を提示、翻意に結びつかせた。
  • 最終的に「総合的に考えて」という理由で15日に巨人へ断りの連絡を入れた。

余談

スポニチは2023年オフにも、去就が注目されていたトレバー・バウアーに関して「本人はDH制のあるパ・リーグ移籍を希望している」と報道したところバウアー本人のYouTubeチャンネルで直々に否定されるというやらかしの前科がある。

なお日本帰国報道後の取材では消極的な発言を続けていた三浦監督だが、筒香のDeNA復帰が発表された後の取材では既に数日前に本人から電話で報告を受けていたことを明かしている。

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関連項目


*1 スポニチの親会社。
*2 こちらも筒香にあわせ、午後2時25分に発表された。
*3 Yahoo!ニュースに掲載された筒香復帰を報じるニッカンの記事に貼られたリンクは【写真】なんとも言えない表情の今永をよそに、ズボンを必要以上に上げる筒香だった。筒香獲得関連のニュースが続いたニッカンでは最終的に6日間にわたり一面を飾るという大谷翔平にも匹敵する異例の待遇となっている。
*4 13日の報道では「古巣DeNA、巨人などと交渉中とされる」、15日には「巨人も条件を提示して獲得交渉を続けている」と決定的とされた内容から表現がトーンダウンしている。
*5 余談だが、ラミレス政権以降のDeNAは特にメディア対応が厳格であり、新獲得選手については契約が完全に纏まるまで確定報道が流れないのが普通である。
*6 2年目まで3億円、3年目変動性の3年契約(推定)。他社報道では「監督手形の用意」「地元和歌山で行っている野球振興活動のサポート」という条件もあったとされる。