言霊

Last-modified: 2006-01-19 (木) 23:53:35

ことだま

日本において言葉に宿ると信じられた霊的な力のこと。

声に出した言葉が現実の事象に対して何らかの影響を与えると信じられ、
良い言葉を発するとよいことが起こり、不吉な言葉を発すると凶事がおこるいう信仰。
そのため、祝詞を奏上する時には絶対に誤読がないように注意された。
今日でも結婚式などでの忌み言葉が避けられるのも言霊の思想に基づくものである。
日本は言魂の力によって幸せがもたらされる国「言霊の幸ふ国」とされた。

一般に、音や言葉は、禍々しき魂や霊を追い払い、場を清める働きがあるとされる。
これは東洋・西洋を問わず、祭礼や祝い、悪霊払いで行われる。
神事での太鼓、カーニバルでの笛や鐘、太鼓などはその例である。

言葉も、呪文や詔としてその霊的な力が利用される。
ただし、その大本になる「こと」(事)が何であるかということは洋の東西で別れる。

日本人は「その実体は不可知であり、知ることは出来ないし、また知ろうとしてもいけない」と考えていた。言葉などは、まさに「こと」の「端」・「枝葉」でしかなく、「こと」自体は我々には知りがたいとされた。