機動戦士ガンダムSEED FREEDOM/用語-登場兵器-余談Include

Last-modified: 2024-03-09 (土) 22:36:23

【用語】

舞台関連

  • コズミック・イラ(C.E.)
    『SEEDシリーズ』の世界で使われている年号。
    西暦の21世紀末に起こった再構築戦争を経て移行した。
    『SEED』から本作までの舞台となるC.E.70年代にはプラントと地球連合による大戦が2度起こっている。
    本作は前作から2年後のC.E.75が舞台となる
  • コーディネイター
    遺伝子操作によって優れた能力を付与され生まれた人類の総称。
    逆に遺伝子操作を受けていない人類は「ナチュラル」と呼ばれる。
    C.E.の歴史の中で両者は衝突と混乱を繰り返しており、本作の時点でも未だその火種は燻っている。

国家関連

  • プラント
    L5宙域に建設された天秤型スペースコロニー群によって構成されている国家。首都はアプリリウス1。
    コーディネイターを中心とし、高い技術力と工業力を持つ。
    嘗ては「ナチュラル滅ぶべし」のような過激派がトップにいた時期もあったが、
    2度に渡る地球連合との大戦を経て、現在の最高評議会は中立・穏健派が主流となり、コンパスの設立で大西洋連邦やオーブと足並みを揃えるなど地球との協調路線に向かっている。
    しかし、事実上の国軍であるザフト?軍部内では戦後も度重なるブルーコスモスによる攻撃などで被害を受けていることなどから急進派の不満が高まっている。
  • オーブ連合首長国
    地球の国家。南太平洋に位置し、首都はオロファト。
    公にナチュラル・コーディネイターを問わず受け入れており、その技術力や大戦中の活動もあって小国ながら地球国家の中でも強い存在感を放っている。
    前作までは中立という立場ながら何かと姿勢が中途半端な感が否めなかったが、本作では過去2度の大戦で蓄積されたノウハウを解放してトンデモメカを次々と繰り出し、いよいよ武装中立国としての本気度が発揮され始めている。オーブ驚異のメカニズム。
    現在はコンパス、ターミナルの活動を支援している。
  • 大西洋連邦
    地球の国家。北アメリカ大陸を中心とし、首都はワシントン。
    地球連合の中心的な存在としてプラントとの2度の大戦を繰り広げた末に停戦。
    大戦を主導していたブルーコスモス≒軍産複合体ロゴスも排斥されており、現在はプラントやオーブとの協調路線でコンパスの支援を行いブルーコスモス勢力への対処を委ねている。ただし、プラントやオーブと違いMSや人員の提供はできておらず、コンパス内での存在感は薄め。
  • ユーラシア連邦
    地球の国家。ユーラシア大陸北側からヨーロッパ地域で構成される。現在の首都はモスクワ*1
    地球連合に参加したが2度の大戦で国土に被害を受け、国力は疲弊。
    更にファウンデーション王国の独立宣言をきっかけに領土内の他地域でも独立に向けた動きが活発になる「ファウンデーション・ショック」もあり苦しい状況に置かれている。
    またコンパスには参加しておらず、その活動にも非協力的。
    それも無理からぬ事で、元々親プラントだった時代がある他、サイクロプスでの捨て駒やデストロイによる大虐殺など大西洋連邦に対して深い怨恨があり、
    ブルーコスモスのせいだから~と今頃になってプラントやオーブと仲良くする大西洋連邦とその協力者はユーラシア連邦からすれば気持ち悪さが尋常ではない。
    ……だが、その結果毎作とばっちりを受けてきたユーラシア連邦にとって誇張抜きで最大級の被害を受けることとなってしまう…………
    ちなみにユーラシア連邦が深く関与する物語前半の脚本は両澤氏が生前書き上げたものであり、現実世界で起こっているあれやこれやは無関係なはずである。
  • ファウンデーション王国?
    ユーラシア連邦から最近独立し、目覚ましい発展を遂げている新興国家。女王の声のせいで通称「ゆかり王国」
    国際的にはまだ認められておらず、ユーラシア連邦とも休戦状態と表立って喧嘩はしていないが、ファウンデーションに起因して各地で独立運動が頻発する「ファウンデーション・ショック」の対応に追われているため良くもない関係。
    コンパスに対し、コンパス参加とそれによる国家としての国際的な承認を求めてミケール大佐の逮捕に協力を申し出たため、ミレニアムとアークエンジェルがかの地に降り立った事で物語は動き出す。

人種も年齢もナチュラルもコーディネイターも関係無く、優秀な人間を登用する方針を国策として取り入れており、短期間で国が豊かになったのもこのため。
女王アウラや宰相オルフェは「誰もが相応しい役割を果たせる、万人に平等で幸福な理想国家」の様に言っているが、一方で首都の近郊にはスラム街もあり、人心の荒んだ様子やそれを乱暴に鎮圧するなどキナ臭い一面も。
その実情については個別記事を参照。

組織・勢力

  • 世界平和監視機構コンパス
    Compulsory Observational Making Peace Service.
    エンブレムにも描かれている通り、「世界を平和に導く方位磁針(コンパス)」という事なのだろう。
    カガリ主導の下、大西洋連邦とプラントとオーブの三国共同で設立され、スカンジナビア王国もオブザーバーとして参加する国際組織。
    初代総裁はラクス・クライン。本部はプラントのアプリリウスに置かれている。
    参加国から提供された最新鋭兵器を持ち階級制も敷かれている軍事組織であり、テロ事件発生に際してはすぐさま現地に駆け付け、テロ鎮圧と市民の守護の為に行動するいわゆる対テロ特殊部隊の類。
    あるいは21世紀のロンド・べル、または国連公認のソレスタルビーイング?といったところか。
    以前にベルリンを襲ったデストロイにアークエンジェルが義勇兵として立ち向かったのを合法的に行えるようにした組織とも言える。
    ただしあくまでコンパス批准国の同意によって活動が許された存在なので、コンパスに参加していない国家への無断の出動や活動は禁止されている。
    こんな胡散臭そうな名前の組織全然腐敗?していない?どころか、世界に無くてはならない存在な辺りにコズミック・イラ世界の荒み具合が分かるとの声も

主要メンバーはかつての三隻同盟とミネルバのクルーを始めとした各国の軍人で構成されており、他にも志願して参加する事もできる模様。
制服はザフトのものに似たデザインで、指揮官クラスは白、ザフトの赤服だった者は紅(ザフトレッドより更に深い色味)、一般メンバーは青と制服の色による区分も引き継がれている。
また指揮官クラスは白の軍帽、一般兵士は青のベレー帽を着用する(赤服メンバーも青ベレー帽である)。
構成員と保有兵器はオーブとザフトのものが目立っており、画面に登場したものに限っても大西洋連邦から供出されたと見られる兵器は確認できない*2
ユーラシア連邦がコンパスを認めていないため、大西洋連邦だけでは「地球連合軍」の兵器を外部に提供できなかったのだろうか。

  • Z.A.F.T?
    Zodiac Alliance of Freedom Treaty
    『自由条約黄道同盟』の略称。
    プラントで一党独裁を敷く政権与党にして事実上の国軍に類する役割を担う組織。事実上の国軍ではあるものの、メンバーは基本的に志願兵で構成されるので、あくまでも義勇軍の体を取っている。
    シン、ルナマリア、アグネス、メイリン、アスラン、アーサーらが所属していた。
    なお、従来階級が存在しなかったが、コンパスへの参加に際して階級制度が取り入れられている*3

例外を除いてコーディネイターで構成されており、その能力からくる技術力は地球側と比べても抜きん出ており、作中で最も早くMSを実戦投入した組織。
オマージュ元のジオン軍よろしく開発した機体は実弾が主体でモノアイ型が占めていたが、主人公サイドに回った『DESTINY』からはガンダムタイプも開発し始めた。

  • 地球連合軍
    大西洋連邦やユーラシア連邦を主軸として結成された集団安全保障機構「地球連合」が擁する常備軍。『SEED』における地球連邦軍?に相当する*4
    一部除いてナチュラルで構成され、個人能力や技術面はザフトには劣るが、地球全土の勢力に等しい故に余りある物量や資源、そしてバックのロゴス等の勢力による豊富な資金援助により、戦いは数ということを如実に示している。
    キラ、ムウ、マリュー、アークエンジェルクルーらが所属していたが、諸事情あってオーブへと鞍替えしている。

嘗てはブルーコスモスの過激思想が浸透しており、「コーディネイター滅ぶべし」のような中々に極端な差別意識を持った兵士や将校が多く、軍属ではないブルーコスモスの盟主が軍内で強力な発言力を持つほどであった。
時にはコーディネイターよりもアウトな肉体改造を施した強化人間?で構成された特殊部隊を運用した経歴もある。
映画本編では二度の戦争でこれら過激派が軒並み追い出されたことにより穏健寄りとなり、ザフトとの協調路線を取っている。

兵器面では『SEED』序盤までは殆ど戦闘機に等しい小型MA『メビウス』くらいしか保有しておらず、シリーズ序盤はザフトに良いようにボコられ、折角開発したガンダムもパクられと散々だったが、何とかジムに相当するダガー?ストライクダガー?系列の開発に成功、拮抗情態にまで持ち込んだ。
『DESTINY』期は大型MS/MAの開発・運用も目立つようになっている。

  • ターミナル
    各国の情報伝達を行う隠密組織。
    マルキオ導師や亡きシーゲル・クライン、ウズミ・ナラ・アスハらの活動から生まれたという。
    オーブを中心にプラントやスカンジナビア王国などにネットワークを持ち、かつてクライン派の秘密拠点となっていたファクトリーなどの施設も現在はここに属している。
    過去二度の大戦で三隻同盟を陰で支え続けたが一応三隻同盟とは別の組織であり、MSパイロットが慢性的に不足しているため情報やMSを提供する見返りにキラ達MSパイロットを借りている関係。
    本作ではコンパスから数名が「出向」という形で所属しており、主にファウンデーションに関する潜入調査を行っている。
  • ブルーコスモス
    元々は環境保護団体だったのが次第に極端な反コーディネイター思想を掲げる過激派団体と化した集団、或いは掲げる思想そのもの。
    第1次大戦の頃の盟主アズラエル、その後継のジブリール?、そしてブルーコスモスの支持母体であるロゴスの尽くが滅んだこの時代に於いても未だ活動は続いており、
    ミケール大佐率いる完全にテロ集団と化した元地球連合軍部隊が未だに各地で自殺的なテロを、本作冒頭までに少なくとも4回は起こしている。連合とコンパスの足並みが揃わないこともあって、本作における「地球連合軍」の兵器はほとんどテロ組織の彼らに使われている始末。
    元が巨大かつ根強い思想なだけに、C.E.73年当時の最新鋭機であるウィンダムに、果ては巨大MSデストロイまで持っており、テロ組織としては破格の規模を有している。
    しかしかつてと比較すると弱体化しつつあるようで、ウィンダムを保有してはいるものの105ダガーなどの旧型機も多く、損傷されたデストロイを修復することもできず簡易的な補修を行ったのみで投入するシーンも見られた。

技術・兵器関連

  • モビルスーツ(MS)
    ザフトが開発し、C.E.71に勃発した第一次大戦を経て各国に普及した人型機動兵器。
    二度の大戦を経て急速過ぎる進化を遂げており、本作の時点でも次々に新技術が投入されている。
    その技術進歩の早さは、特定の個人用超ウルトラハイエンド機クラスが約1年後には旧式扱いされるほど
    一方で技術が進んでいるとはいえ現場では未だ旧型機も数多く投入されており、ファンには懐かしのあの機体やあんな機体も出てくる。

C.E.の量産機は基本的にバッテリーで稼働しているのが特徴。これはMSサイズに搭載できるほどの核融合炉の開発がなされていないことと、核分裂を阻害する「ニュートロンジャマー?(Nジャマー)」の動作環境下でも活動できるようにするため。
また一部高級機は高火力と高機動を両立する等の理由で、Nジャマーの効果を打ち消す「ニュートロンジャマーキャンセラー」も併せて搭載することでNジャマー環境下でも使用可能となった核分裂炉を搭載、潤沢なエネルギーとパワーを持つ機体も存在する。
1度目の大戦初期と違いバッテリーの性能が飛躍的に向上しているらしく、それもあってか本作では動力源の違いがそれほど意識されておらずバッテリーなのか核動力なのか不明なMSも多い。
(とある2機はバッテリーと核動力の違いによる影響が明確に表現されてはいる)。

  • VPS装甲
    『ヴァリアブルフェイズシフト装甲』の略称。
    前々作の『SEED』で実用化された【フェイズシフト装甲(PS装甲)】の発展型。
    PS装甲は電気を流すと強度が変化し、ミサイルや刀剣などの実体兵器に対して高い剛性を発揮、オプション無しで単独での大気圏突入すらも可能になる特殊装甲。
    それを発展させた【VPS装甲】は、各部に配分する電圧を装備や状況に応じて調整・最適化することで、PS装甲の欠点の一つだったエネルギー消費量を抑える事が可能。

通電時に装甲色が色付くのが特徴で、冒頭でフリーダムやジャスティスが発進時に表面がグレーからカラフルに変化するのはこのため。
インパルスはVPS装甲の特性を活用して装備ごとに電圧配分を調整しているため、バックパックを換装する度に色が変わる。
通電していない灰色の状態は「ディアクティブモード」、起動中のPS装甲がエネルギー切れなどでディアクティブモードになることを「フェイズシフトダウン」と言い、この状態では実弾でもダメージが通る状態となる。

強力な反面コストが高く、常時装甲に電力を割くのでエネルギー消費が激しい為、所謂『ガンダムタイプ』のようなエース向けのハイエンド機にしか搭載されず、ゲルググやギャンのような量産機への搭載は見送られている。
また、実体弾についても無敵というわけではなく、関節や武装、装甲の隙間などPS装甲でカバーできない部分に攻撃を喰らうと貫通してしまう。

  • ヴォワチュール・リュミエール
    劇中後半で一部の機体が背中から発生させている光の翼のようなエフェクト。
    単なる演出ではなく、エネルギーを変換して生み出した光圧を加速に利用するスラスターの一種
    通常の推進システムを凌駕する圧倒的な加速力を発揮するが、莫大なエネルギー消費量がネックであり、核動力機でないと常用は出来ない。
  • ドラグーンシステム
    機体から分離された小型端末を遠隔操作する無線誘導兵器で、ガンダムシリーズ恒例であるファンネル系のオールレンジ攻撃端末。
    劇中で機体の背中から展開して鋭敏な動きで飛び回って色んな方向からビームが飛んでいたら十中八九コレ。

死角から矢継ぎ早にビームを浴びせ、時にバリアを展開したりと非常に強力な兵器だが、無線誘導の為の量子通信に相当な電力消費を強いられる上、特殊な空間認識能力が無いと使えないものもあり、搭載する機体は限られる。
この手の遠隔兵器祭りは演出的にも単調になりがちというのは古くから(それこそ40年近く前から)指摘されており、本作ではそれについても色々工夫が講じられていることが伺える。

ちなみにSEEDシリーズと言えばMSがビームブーメランを投げることでも有名(?)で、本作でもイモータルジャスティスなどがブーメランを使う。
これについては『DESTINY』以降の機体では簡易ドラグーンという、ドラグーンシステムを応用・改良した制御システムが用いられており、それによって正確な軌道を実現させているという設定がある。

  • ミラージュコロイド
    C.E.71の大戦中、地球連合が実用化した特殊装備。
    コロイド状粒子を装甲表面に定着させることでMSや戦艦サイズの物体を光学的・電子的にほぼ完璧に隠蔽可能なステルス機能。
    分かりやすく言えば透明になる機能・技術。
    C.E.71の大戦で使用され、戦後のユニウス条約で軍事利用が禁止されるもC.E.73には条約を無視して使用された挙句、再び起きた大戦でユニウス条約が事実上形骸化した。
    その為か今作では関連技術含め敵味方陣営関係なく使われまくっている*5
    ちなみにコロイド定着技術はビームサーベルの刀身の収束にも使われていた。

その他

  • デスティニープラン?
    C.E.73~74年のプラント議長、ギルバート・デュランダル?が「唯一の人類救済策」と題して発表した政策。
    「人類を全て遺伝子的な適性を基準によって管理する」というもので、「誰もが自分の力を役立てる事ができ、誰もが失敗しない世界」「戦争が起こる事は最早無くなる」と喧伝していた。
    しかし、それは個々人の意思も何もない、唯々冷たい管理社会であり、あくまで傷付きながらも自由に進む事を望んだキラ達によって阻止され頓挫、中止された。

本作ではもし歪んだ意思を持った者がデスティニープランを実行・管理すればディストピアでさえない恐ろしい世界になりかねない事が描かれ*6、視聴者間でもデスティニープランというものに対する認識が大きく変化することに。

  • フリーダム強奪事件
    本編序盤でカガリが言及した事件。
    『SEED』で起こったラクスとキラによるフリーダムガンダム?の強奪事件ではなく、本作の半年前に起こったという事件。
    詳細は不明だが小説版も踏まえると「アークエンジェルに引き渡されるはずのストライクフリーダムがテロリストに奪取され、地上の施設を破壊して回るが、その鎮圧にファウンデーションのブラックナイツが協力した」という顛末らしい*7
    しかしブラックナイツの介入のタイミングがあまりにも良すぎることから、カガリとラクスは(一応事件の解決に感謝しつつも)ファウンデーションの自作自演ではないかと疑い、警戒心を募らせている。
    一方この事件で損傷したストライクフリーダムはオーブに回収され、キラの様子を見るとその後どうなったかは不明だったらしいのだが…
    福田監督曰く、元々『DESTINY』と映画を繋ぐためのエピソードとしてOVA化が予定されていたが、ただでさえ遅れまくっていた映画本編の完成を優先させるため製作が凍結され、設定だけが残ったとのこと。なお「映画の興行収入次第では映像化したい」とちゃっかり願望を述べている
    ただ元々テレビは00、それ以外はSEEDでOVA→映画の2面作戦を予定されていたため物語中盤で絶筆となった映画と異なり脚本自体は完成している。
    興行収入からOVA再始動の可能性はあり得るため、もし脚本変更がなく日の目を見ることになればこの作品が両澤千晶氏の遺作になる可能性が高い。

「ケルピー」の噂を聞いたシンが「ブラックナイツに切り付けられるストライクフリーダムの姿」を回想するシーンもこの事件のエピソードである様子。

  • SEED?
    一部のキャラクターが保有している覚醒能力。
    Superior Evolutionary Element Destined-factor
     「優れた種への進化の要素であることを運命付けられた因子」の頭文字の略称。
    遺伝子的な因子によるものなので、素質があれば人種問わず発動する。
    発動時に深層意識内でキャラクターごとに対応した色の種が弾け、瞳のハイライトが消失するのが特徴。これにより『種割れ』とも称される。

発動した際は平時以上に判断力、反射神経等が研ぎ澄まされ、モビルスーツの操縦技術が劇的に向上するなどの現象が見られる。

【登場兵器】

世界平和監視機構コンパス

  • STTS-909 ライジングフリーダム
    「昇り行くフリーダム」の名を持つコンパスの最新鋭機。ストライクフリーダムの運用データとムラサメの変形機構の技術が盛り込まれている。*8

変形は「気を付け」の姿勢で背部の機首で頭部を覆うシンプルなもの。地球と宇宙を頻繁に行き来するために、MA形態では単独で安定して大気圏突入が可能。底面にシールドと剝き出しのビームライフルを装着するが、外したままでも突入できる。
またコクピットの構造にはそれまでのコズミック・イラ世界のMSとは一線を画す「全天周モニター」が採用されている。

翼部に挟まれる形式での背部2門陽電子ビーム砲に腰部の2門レールガン、ライフル一門に実体シールドと、フリーダム系列らしく砲撃戦主体の機体構成。ストライクフリーダムのデータを基にしたという設定の割に武装及びシルエットは初代フリーダムに回帰している。
一方で、変形時の機首が背面にある都合かメインスラスターの配置が「2基縦列」ではなく「機首ブロックを挟んで左右1基ずつ」だったり、頭部マスクの「への字スリット」が無かったり、機体メインカラーが青だったりと、本機独自のデザインも多い。一部特徴はΖガンダムに通ずるところがあるが「ちゃんと見比べるとそんなに似てない」という声も少なくない。

因みに、起動画面を見るとOSはストライクを始めとしたGAT-Xシリーズ等と同じ系列のG.U.N.D.A.M。
また、ライジングフリーダムは以前までのフリーダムとは異なり、試作機ではなくコンパスの制式採用機である。これは下記イモータルジャスティスも同様。
このため、ファンの間ではフリーダム系列では初のバッテリー動力機であることが考察されている*9

序盤の戦いではフリーダムの頃からお馴染みのフルバーストに加え、ビーム刃を展開しながら自律飛行するシールドといった手数の多さを駆使し、
ブルーコスモスのMS部隊を次々に、しかしキラの焦りを象徴するかのように必要以上に突出しながら無力化する様子が描かれている。

お馴染み頭部アンテナ基部の刻印も受け継がれており、「AUMENTO 909」の文字がある。
「AUMENTO」は「増大・上昇」という意味のイタリア語であり、今回は型番ではなく機体名に掛かっている。

ネタバレ注意

ミケール大佐逮捕作戦ではキラが精神汚染の影響を受けてしまった事で単独行動を開始、ユーラシア連邦に侵入してしまった事で周囲を全て敵に回してしまい総攻撃を受ける。
キラと言えども精神的な動揺著しい状況とブラックナイツの能力の前では苦戦し、次々に武装を失った所にシヴァのニードル弾を浴びた事でVPS装甲がダウン、キラも負傷してしまう。
最後は裏切ったアグネスのギャンによって破壊され、キラの脱出後はそのまま放棄され核の炎に飲み込まれ消滅した。それ以降は話題にすら上がらない。

終わってみると「作品の表向きの顔」「リ・ガズィ粒子貯蔵タンク型ダブルオーライザー?の枠」という立ち位置であるが、よく動く前半の戦闘シーンで一際輝く活躍っぷりを見せつけ、苦戦する場面でも何だかんだ持ちこたえていた(後述するもう1機のフリーダムも、途中までは大苦戦を強いられている)。
そんな訳で機体自体の人気は高く、公開と同時に発売された本機のガンプラは映画を見た(=ライジングフリーダムの末路を見た)後の観客が悉く買っていくという構図が各地で見られた。
また、スーパードラグーンがない、重量がストライクフリーダムよりもかなり重い、核動力ではないかもしれないといった理由からストライクフリーダムを何らかの理由で使えないが故のデチューン機ではないかという指摘も当初はあったが、

  • スーパードラグーンはコンパスの主要な紛争介入区域である重力下では使えないし宇宙でも決め手とはならなかった。何ならシールドであるフラッシュエッジG-3がドラグーン替わりと言わんばかりの大活躍をしている。
  • 重量が重い(87.90t)のは誤植であり、正確な重量である67.90tはストフリは勿論初代フリーダムよりも軽い。
  • 動力については不明ながら、新型動力の存在が仄めかされている。仮にバッテリーとしてもその性能は非常に高く、追い詰められるまでエネルギー切れを起こしていない
  • ストライクフリーダムはブラックナイツから「旧式」呼ばわりされているが、こちらについては機体そのものについての貶しはない。
    など、単なるデチューン機ではなく純粋に最新鋭機体だったが相手と状況が悪すぎただけという見方が有力視されている。
    フリーダム時代には苦戦を強いられていたデストロイガンダムを単騎で瞬殺してしまう辺りからもそれが伺えるもの。
  • STTS-808 イモータルジャスティス
    「不滅のジャスティス」の名を持つコンパスの最新鋭機。ライジングフリーダムとはフレームを共通する兄弟機であり、同様の変形機構と独立機動するシールドを持つ。やっぱりビームライフルが剥き出しのまま大気圏突入する。

その名の通り全体的にジャスティス系に近いシルエットを持つが、色合いはピンク寄りの従来機に対しセイバーに近い朱色寄りとなっている。
ビームブーメランに脚部ビームサーベルに大推力のバックパックと、こちらもジャスティスの系譜である事が見て取れる。ただし以前までのジャスティスとは異なりバックパックの分離は不可。
本編では滅多に使用されなかったビームブーメランを手に持ったままビームサーベルとして使用する場面もある。
脚部ビームブレイドも搭載されているが、特異さ故に扱い慣れていないようで、蹴りが少々ぎこちないという細かい描写が見られる。

ジャスティスという事でパイロットはアスランである事がほぼ確実視されていたが、実際にはシンの乗機というまさかのチョイスであった。
これはキラの推薦によるものらしいが、それを認められないアグネスは自分に譲るように持ち掛けている。

こちらも額には「IMMORTALE 808」と刻印されている。やはり意味はイタリア語で「不滅の」である。

ネタバレ注意

ファウンデーションの陰謀が発動すると同時にこちらもダニエルとその僚機の集中攻撃を浴びてしまう。
シンも奮戦するが、アークエンジェル轟沈に気を取られた隙を突かれ胴体を両断され機能停止。
墜落する寸前にシンはコクピットから脱出するも追撃して来たルドラに握り潰されかけたが、
駆け付けたヒルダのギャンがミサイルでジャスティス諸共ルドラを吹き飛ばした事でその場で爆散した。
ブラックナイツには手も足も出ず、最後は味方に落とされるという結末を迎えた事になるが、ジャスティスが最後に爆発四散し目眩まししたからこそシンとヒルダは逃げ延び、後の反撃に繋がっている。

後にデスティニーに乗り換えたシンは「この間はジャスティスだから負けたんだ!」と言い放っており、小説版では「あのアスランが乗った機体の後継機」に乗るのは複雑な心境だったとされている。昨年ジャスティスに撃墜されたばかりなんだから無理もない
キラとしてはシンの実力を信頼して任せているのだが、多分キラが天然ボケ気質なのでシンの男の子的な感性にはあと一歩届かなかったのだろう。
なおシンとしてはジャスティスに乗る事自体は(少なくとも乗っている間は)愚痴ってはいない。成長を感じさせる。

ただ、実の所ビーム兵器に強い耐性を持ち耐弾性も高いブラックナイツに対してビームサーベルか急所狙いのブーメランしか有効な武器が無いイモータルジャスティスは非常に相性が悪く、あながち気合の問題や負け惜しみとも言い切れない。
格闘戦に持ち込めさえすれば多数のビームサーベルを持つジャスティスは決して分が悪いとも言い切れないが、隔絶した加速力や絶大な威力のビーム砲、決め手となった幻惑能力を持つデスティニーの方が多数のルドラを一度に相手取るには有利だったのは間違いない。

余談だがライジングフリーダム同様、巡行形態での戦闘は全く行っていない。
あくまで長距離移動専用形態という扱いであるのだろう。

  • ZGMF-2025/F ゲルググメナース
    遂に登場したコズミック・イラ世界のゲルググ
    ザク?の後継機に位置付けられる、コンパス向けに開発したザフトの最新鋭機。「メナース」とは「脅威」「威嚇」「危険なもの」といった意味。組織の活動内容に対して名前が物騒過ぎる
    なお、劇場公開時点ではまだ明かされていないが、設定担当の森田氏によるとゲルググとギャンもザク等と同様に正式名称はアクロニムだそうである。
    やはりゲルググをオマージュした形状であるが、ジン系特有の大型ウイングやトサカ状センサーが復活しており、ザク系と比べて「ザフト系MSらしさ」がより強く出ている。
    コックピットはザク系と共通。ジン→ザク→ゲルググというザフトのMSの進化が分かりやすい。

武装としてビームライフルとビームナギナタ、折り畳み機構を持つビームシールド、バックパックにはバビかアッシュと同系列と思われるミサイルランチャーを備える。
バックパックは宇宙用と地上用で異なっており、活動場所に応じてそれぞれ選択して装備する構造。

ルナマリアとマーズ、ヘルベルトが搭乗しており、一般機は青系、ルナマリア機はザクウォーリア時代と同様の赤系のカラーリングが施されている。
またルナマリア機のみ左側のランチャーに代わってリニアガンが装備されている。
後半の戦いではレールガン(ハンドレールガンとも表現できる手持ち式のレールガン)を装備しておりガンプラでも再現されている……のだが、このレールガンは劇中後半でコンパス陣営が装備する全てのMSが装備しておりながら、
当該ガンプラには一切付属しておらず、劇中再現するにはゲルググを大人買いするか、説明書をコピーしてパーツ注文しなければならないと戦々恐々な状態になっている。

  • ZGMF-2027/A ギャンシュトローム
    ゲルググが居るならギャン?も居る。原典では実現しなかった、ゲルググとギャンが共に制式採用機として並び立つ姿が現実となったのは感慨深いかもしれない。
    同じくコンパス向けの最新鋭機で、こちらはグフ?の後継機に当たる。「シュトローム」とは「(気体や液体の)流れ・奔流」といった意味。
    こちらもバックパックを活動場所によって変更する仕様となっており、バックパック自体はゲルググと共通である。
    ギャンのオマージュ……というにはかなりシルエットが変わっており、ぱっと見の印象では武装構成と、頭部と爪先が尖っている程度にしかギャンの名残りは無い。
    かなり細身なギャンに対してこちらはマッシブなスタイルであり、どちらかと言えばギャン・クリーガーに近いかもしれない。

武装はビームライフルに、ギャンだけあってかなり大振りなビームサーベルにビームアックス、グフ系だけあってヒートロッド、そしてギャンと同形状のシールドに外周にビーム刃を展開しながら丸鋸の様に高速回転する機構を備えた、さながらビームバズソーとも言うべき非常に攻撃的な兵装を持つ。*10
また胸部には仕込みビームバルカンが備わっており、格闘戦に振り切ったグフイグナイテッドや元祖ギャンと比べて射撃戦も十分考慮された設計である。
武装構成にはグフ以前のスラッシュウィザードの影響も窺える。

アグネスとヒルダが搭乗しており、アグネス機はイザーク専用グフに似た白系のパーソナルカラー、ヒルダ機は青系の量産機カラーとなっている。
またアグネス機の頭部は彼女のメイクに似た赤色の差し色が入っている。実際に設定上は元イザーク機で、彼女が譲り受けた際に色を足したらしい。
序盤の戦闘ではイモータルジャスティスやゲルググメナースよりも目立っているがそれ自体が伏線だったりする。

  • STTS/F-400 ムラサメ改?
    オーブ軍の可変MSの改修型。
    一部の装甲が角ばった形状に変更されており、変形状態も前進翼だった以前とは異なり後退翼となった。
    ムウを始めとしたアークエンジェル艦載機はムラサメ改が中心である。
    半壊状態でも変形飛行が出来る程に可変機としては意外に堅牢。
  • LHM-BB03S スーパーミネルバ級MS惑星強襲揚陸艦ミレニアム
    ザフトがコンパスに提供した新造艦。ナンバリングは「SCC-1 02」。
    その名の通り、全体的なシルエットや武装、艦橋を装甲区画に収納できる構造などにはミネルバ?の名残が見て取れるが、背負い式配置の主砲や艦首下部がバルパス・バウを延長し、尖らせたような張り出した形状などは前ド級戦艦をSF的にアレンジしたようにも見える。

MSカタパルトはコズミック・イラ世界では初となる露天式で、MS発進時はカタパルトレールの両側面に肋骨の様にパーツが展開されリニアフィールドを形成する。
武装については基本的にミネルバのものを踏襲しているが、火薬式だった副砲はリニア砲となり、艦首に装備されている陽電子砲タンホイザーは構造が大きく変化し四方向に同時に射撃できるようになっている。
また、足自慢と謳われたミネルバの後継に相応しく運動性も非常に高く、もはや巨大な戦闘機かMAといって差し支えないほど。
普段は宇宙に配備されているが*11、ポジトロニック・インターファライアンス*12による単独での大気圏離脱能力を備え、ミネルバにはなかった潜水性能も搭載と、アークエンジェルと同等の多用途性を獲得している。
総じて「超ミネルバ級」の名に恥じない高性能艦であり、コンパスの任務の特殊性と相まって重要な戦力となっている。

因みに、メカニックの中には元ミネルバクルーであるヴィーノやマッドと思しき人物が描かれている*13

ネタバレ注意

ミケール大佐捕獲作戦ではファウンデーション首都にて待機していたが、核ミサイル発射に際してルナマリア機に狙撃用装備を取り付けて迎撃に当たるも、
二発目の核ミサイルまでは防げずルナマリアのゲルググと共に水中に避難、難を逃れた後はオーブに入るもコンパス自体の活動が凍結させられた事で行動不能になってしまう。

しかし、行方不明になっていたマリューらの生存を信じ、生存していた場合に取るであろう行動を予見していたコノエとハインラインらによって出撃準備が整えられており、
実際にアークエンジェル組と合流した後はマリューを艦長に、ノイマンを操舵手に迎え、オーブ軍の形ばかりの警告射撃に見送られながら出港、
更にはオーブを狙ったレクイエムの照準を自らに向けさせる事でオーブの被害を回避しつつ、自身もコブラ機動めいた動きでレクイエムを回避、そのまま宇宙に上がった。

宇宙に上がった後はキラ達の母艦として後方に控えるかと思いきや、シン達の護衛を連れてガンガン前方に出てファウンデーション艦隊をほぼ単独で引き受け、船体からは大型ガンバレルを展開して二次創作垂涎のオールレンジ攻撃を披露し、
グルヴェイグの12連陽電子砲はこんなこともあろうかと?ハインラインが用意した新作耐熱耐衝撃結晶装甲で、ミサイル攻撃はドリフト機動で凌ぎ切り、
終いにはマリューの「ぶつけてでも墜とす!!」の宣言通り艦首ヒートラム『轟天』?による体当たりと至近距離からの一斉砲撃でグルヴェイグを撃沈する大活躍を果たし、
歴代ガンダムシリーズ最強戦艦候補に文句なく入り込む戦果を残したのだった。

この獅子奮迅の大活躍から誰が言ったか、一部で付いた渾名は「ノイマン専用大型MA」、「ガンダム界の宇宙戦艦ヤマト」*14
無論、Gジェネやスパロボに参戦したらば最強戦艦として活躍するのは間違いない

なおミネルバ級の後継ではあるが、量産化が凍結されているインパルスの運用は前提としていない事が伺えるシーンがある。

  • アークエンジェル?
    地球連合軍時代からマリュー達の母艦として二度の大戦を戦い抜いて来た歴戦の艦。ナンバリングは「SCC-1 01」。
    CGが作り直されディティールが細かくなっている以外、外観面にこれといった変化は無い。
    武装面も大きな変化はないが、かつてはプラズマブースターを必要としたポジトロニック・インターファライアンスを単独で発生できるようになっており、作戦行動のため降下してきたヤマト隊の面々を宇宙へ送り返す際に使用している。

初報PVにて、闇に落ちたキラに大破させられるかのような描写があったが……。

ネタバレ注意

ミケール大佐確保作戦に参加すべくファウンデーション入りするが、作戦の最中にブラックナイツの工作活動を目撃する。
ブラックナイツも見られた事に気付くと口封じの為に襲撃し、マーズ、ヘルベルト、ムウが迎撃に挑むも敵わず敗北、
船体各部にも重度の損傷を受け全ての武装が使用不能となり、激しく損傷したエンジンをも切り離して不時着するがブラックナイツはなおも追撃、
ブリッジクルーが先行して脱出し、マリューも緊急脱出したものの艦橋までもが破壊される大被害を受ける。
クルーはメイリンに拾われ、負傷し身動きが取れなくなっていたマリューも撃墜されたように様に装っていたムウに救出されるも、
最終的に大破状態で各座した船体は三発目の核ミサイルによって完全に崩壊、「不沈艦」と謳われ二度の大戦を生き抜いたアークエンジェルも遂に沈んだのだった。
なお、あまりにもアークエンジェルに不利な条件が揃っていたため、「これぐらい徹底して追い詰めないと沈みそうになかった」とこの状況下でギムリー・グライダーを決めたノイマン共々ネタにされる事に。
乗り換えた先のミレニアムが前述の通りの大立ち回りだったせいで「ノイマンの操舵に追いつけなくなった(から沈められた)」とか「ノイマンの乗り換えイベント」とまで言われる始末。

しかし、アークエンジェルが守り抜いたクルー達は脱出に成功し密かにオーブへと渡り、その意思と魂はミレニアムに引き継がれて行く。
二度に渡って地球の危機を救ったアークエンジェルは、その身が尽きる最後の瞬間さえ、世界の希望を次代に託したのである。

地球連合軍

前の大戦で主要な出資者であるロゴスを失った上に主要軍事拠点を落とされたこと、本作でキラ達が対峙する「地球連合軍」は軍とは名ばかりのテロリスト集団であることからか、
コンパス、ザフト、オーブと違い唯一新型MSや新兵器が全く出てこない。
連合主要国のユーラシア連邦がコンパスに非協力的な姿勢を出しているのも大きい。

  • GFAS-X1 デストロイ?
    第2次大戦後半に地球連合軍が投入した巨大MS。
    操縦には専用の調整を施した生体CPUが必要になるという劣悪な運用性をしているがブルーコスモス系テロ組織と化した地球軍部隊が未だ装備しており、オルドリン市への侵攻ではその火力と防御力で市民と現地ザフト部隊を圧倒した。
    中盤には整備が追い付かなくなったか破損したものを応急修理したものか、バックパックと左腕を失い、胸部の3連スキュラも右胸の1門が使用不能な半壊状態のデストロイも現れている。
    キラは最初の戦闘ではデストロイを単騎で相手取っており、半壊したデストロイについては確認するとすぐさま付近のムラサメ隊に緊急退避を命じており、非常に脅威度の高い存在として未だに認識していることがわかる。

反面、過去の戦闘の経験から対処法を知り尽くされており、一機目はシールドで頭部破壊と同時にフルバーストで正面砲口とバックパックの(装甲が比較的薄い)ホバーユニット噴射口を撃ち抜かれて瞬殺され、二機目は接近戦に弱い点を突かれ、シンとキラによる急接近からの刺突でアッサリと処理されている。

  • GAT-01A1 ダガー?
  • GAT-04 ウィンダム
    地球連合軍の主力MS。
    105ダガーの方はウィンダムの登場で幾分旧式化しているが、標準搭載されたビーム兵器はジンなどの旧式相手には明確なアドバンテージがあり、テロ組織と化した地球軍部隊やユーラシア連邦等では未だ現役。
    特徴的なあの甲高い歩行音も健在。

前作ではインパルスやデスティニーにボトボト落とされるだけのやられ役だったが、本作ではオルドリン市のザフトMSを次々に落とす、頭部機関砲でジンを蜂の巣にした上に市民に迫るなど、その脅威が描かれた。
特にウィンダムの頭部機関砲であるトーデスシュレッケンはストライクなどのイーゲルシュテルンの1/6の口径しかなく*15設定上は威力が下がっているにもかかわらず、ジンの装甲*16を貫いて蜂の巣にするというのは異常としか言えない威力であり、何らかの強化改修が入っていた可能性がある*17

  • ブルドッグ
  • リニアガンタンク
    お馴染み地球連合軍のミサイル車両と戦車。
    ブルーコスモス軍でも引き続き使用されている。
    相変わらず命を取らない戦法を心がけるキラは、リニアガンタンクに対してはシールドのビームサーベルで砲身を切り裂くという形で無力化させていた。
  • アガメムノン級宇宙戦艦?
  • ネルソン級宇宙戦艦?
  • ドレイク級宇宙護衛艦?
    お馴染み地球連合軍の宇宙用戦闘艦艇。劇中に登場するのはいずれもMS運用能力付与などの近代化改修を行った後期型。
    アガメムノン級は「ベオウルフ」という固有艦名を有する艦が登場。中盤におけるファウンデーションの蜂起に際して連合軍宇宙艦隊を指揮し、プラントクーデター軍艦隊などと交戦するが、レクイエムの砲撃で他艦共々撃沈されてしまった。
    それでもなお終盤の最終決戦では残存戦力が多数が登場し、オーブ軍と協同してクーデター軍艦隊並びにファウンデーション艦隊と交戦していた。

因みに月面から発進した宇宙艦隊の基地はエンデュミオン基地
第1次大戦序盤に自爆したはずの基地であるが、プトレマイオス、アルザッヘル、ダイダロスと立て続けに月面基地を失った事を受けて再建したのだろうか。

ネタバレ
  • GLCM Mk72 巡航戦術核ミサイル
    予告編の時点で話題と注目を集めていた遂に75年振りに地上で使われてしまった核ミサイル。何だかんだ言って映像化されているSEEDシリーズにおいて地球上で核が炸裂したのはこれが初。
    宇宙用のMk5?とは異なり地上用なので、安定翼も備わった巡航ミサイルらしい姿をしている。
    他作品なら最終目標になれる筈の核兵器が前座にしかならないというC.E.の魔境振りが窺える兵器
    ファウンデーションの外道っぷりを強調する兵器だが、こんなやべーもんを少ない護衛で最前線に近いところに置いているユーラシア連邦も大概である。
    前線指揮官の「誤射!? 誤射で済むか! 核だぞ! 一体どこの間抜けが!」という台詞があるように、シャレにならない代物という意識はある模様ではある。

なお、発射パスワードは0214?だったとされる事が多いが、実際の画面では特にそのようには見えない。

ザフト

  • ZGMF-1017 ジン>?
  • AMF-101 ディン
  • TFA-2 ザウート?
    今や旧式化し更新が進められているザフトの制式採用MS。
    プラントの特別経済区であるオルドリン市では警備に配置されている他、ジンは本国でも未だ運用されている。
    目立った活躍は無いが、反攻に出たジンの一機がダガーを重斬刀で滅多切りにするという、本編では専ら一太刀で真っ二つにしていた中で珍しい運用法を見る事ができる。
    ブルーコスモスへの怒りがよく表れた、ダイナミックながらも少し恐ろしさも感じる一幕である。
    また20年近い歳月を経てハイクオリティのCGで映像化されることに感慨を抱くファンも多い……かもしれない。
  • ZGMF-1000 ザクウォーリア?
    ザフトの現行主力機であり、ジャガンナート率いるプラントクーデター軍の主力MS。
    最終決戦ではファウンデーションに加勢した。
  • ナスカ級高速戦闘艦?
  • ローラシア級MS搭載艦?
    お馴染みザフトの宇宙用戦闘艦艇。
    ジャガンナート率いるプラントクーデター軍の主力艦隊として登場し、ファウンデーションに加勢してオーブ軍や連合軍、ジュール隊、ミレニアムなどと交戦した。
    なお、艦体のうち1隻のナスカ級ブルクハルトにはジャガンナートが座乗して指揮を行っている。
ネタバレ

本作のサプライズ枠

  • TMF/A-802 バクゥ?
  • ZGMF-515 シグー?
    プラント評議会のクーデター軍を鎮圧したレジスタンス部隊のMS。いずれも3Dモデルではなく作画で描かれている。
    指揮したのはもちろん砂漠の虎である。
    コロニー内でバクゥがたむろする様子はなかなかシュールである。

オーブ

  • MBF-M1 M1アストレイ?
    オーブの量産型MS。
    本作ではオーブが戦場にはならなかったため、直接の戦闘シーンはなかったが、市民の避難誘導や迎撃に備えて多数の機体が出撃している。
    なお、避難誘導に当たっていた一部の機体は自動車を運搬したり子供を拳に乗せて飛行しているシーンも。

そして……

※ネタバレ注意

本作のサプライズ枠たち

  • ZGMF-MM07 ズゴック
    ゲルググとギャンが登場したならこれも登場するだろうと思ったファンの予想通りになったのはまさかまさかのC.E.版ズゴック?。しかもパイロットはアスラン。
    型番は明らかに元祖ズゴックの「MSM-07」を意識している。
    型番が示す通りザフト系と思われるが、名称は「ズゴック」で、ザクなどとは違い後ろには何も付けられていない。
    そして「ZGMF」とある通り全領域対応型なので宇宙でも活動可能
    先行するザクやグフはC.E.らしいアレンジが為されているが、こちらのデザインは頭部に一本のツノが飛び出ている以外はほぼ元のまんまである。というか見た目が思いっきりシャア専用。
    前腕側面にシールドが取り付けられている事もあり、見た目の印象はどちらかと言えばラムズゴックに近いかもしれない。
    他にはミラージュコロイドまで装備しており、非常に高い隠密性を持っている。
    第2次大戦以降の(推定)ザフトMSというだけあってバックパックの換装機構も持ち、キャバリアーや大推力のウイングパーツといった追加装備も装備可能。

武装はヒートクロー、ミサイル、そしてメガ粒子砲
C.E.世界にも粒子ビーム兵器は存在する(特にC.E.のビームライフルは多くが荷電粒子砲とされる)ので、「メガ粒子の砲」ではなくメガキャノン?のような「メガな粒子砲」なのだろう。

あの世界にハロを爆誕させたのはアスランなのでこのズゴックの外装をアスランが自作した可能性がある。

映画の4週目特典であるスタンドにはキラとシンとアスランがそれぞれ乗機のイラストと共に描かれているのだが、アスランはズゴックと共に描かれている。しかもこいつだけ書き下ろしではなく設定画のまま。
ファンからはズゴック&アスランが「アタリ」だと言われたのは言うまでもない。

  • 軌道間全方位戦略砲レクイエム?
    元々は地球連合軍の、後にザフトが接収した戦略巨大ビーム砲。
    月の裏面のダイダロス基地に設置されており、複数の中継器によってビームの軌道を自在に曲げ、地球を含む射程内のどこでも砲撃する事ができる。

第2次大戦の後に解体された筈だったらしいが、ファウンデーションが秘密裏に接収・修復し、デスティニープランを実行させるべく地球国家をこれで脅迫した。
差し当たり、ファウンデーションへの「核攻撃」に対する報復と称してユーラシア連邦首都モスクワを砲撃、無数の罪のない一般市民を一瞬で炭化させた
その後はレクイエムを攻撃しようとした地球軍艦隊にも砲撃し艦隊を全滅させ、次は抵抗の意思を見せたオーブにも未遂含め3発を放った。
前作では実質2発しか放たれていないが今作ではレクイエム祭りと言わんばかりに撃ちまくる。

中継ステーションは、前作までは巨大な廃棄コロニーを使用していたのに対して今回はリング状になっている。しかも発射直前以外はミラージュコロイドで姿を消すことができるようになっており、隠密性が大きく向上している。
その代わりに自航できなくなり、移動させる際は別の宇宙艦で曳航する必要が出た他、大幅に小型化した分強度も落ちている。

  • エターナル?
    第1次大戦中にザフトがジャスティス&フリーダムの専用運用艦として建造した宇宙戦艦。
    今作ではターミナルの所属となっており、プラントでのクーデターの際にイザークらがラメント議長らを保護しプラントを脱出する際に使用された。
  • ZGMF/A-42S2 デスティニーSpecII
    まさかの復活参戦。
    全体的にカラーリングの彩度が落ちており、水色だった部分も白っぽい色味になっている。
    この事から「レジェンド?の色合いになった」との声もあるが、実際にはレジェンドのカラーリングは更に濃いグレーと紺に近い青であるため、実際には近付いてはいるもののレジェンドの色になったと言えるような色味ではない。
    また、スタッフの射尾卓弥氏によると色が変わったように見えるのは印象でしかなく、そもそも色は変わっていない(最初からグレーがかった白基調の機体)とのこと。
    実の所公式サイトの画像を見比べた範囲では色味は間違いなく変わっているのだが、「色味」とはその場の明るさや光の色によって感じ方が変わるものなのと、20年近い空白による描き方の違いを加味すれば「設定上は同一色」もあり得ない事ではない。
    巷で言われるような「血涙」が無くなったというのも『SEED DESTINY』時代と同様に設定画だとそう見えるというだけである。
    ただしアンテナは間違いなく黄色からグレーに変化している。

後述のインパルスSpecIIやストライクフリーダム弐式と同様、オーブの地下ドックにて新技術のテストベッドとして密かに使用されていた機体。
動力炉の改良やコクピット・ソフトウェアは最新にアップデートされているものの機体そのものはかつてからほぼ変わっておらず、
シモンズはアコードとの全面対決に使うには「旧式機のマイナーチェンジ機」に過ぎないデスティニーSpecIIでは心許ないのではと心配したが、シンは「デスティニーさえあれば百人力」と言わんばかりにかつての愛機を頼もしく見上げていた。
凄くわっるい笑顔を浮かべていたし、それを隣で見ていたアスランも笑っていた。シンのことはお前が一番理解してるよ。
この十数分後、多くの視聴者はシンとデスティニーというMSに対する認識を大きく改める必要に迫られる事になる……。

  • ZGMF-56E2 インパルスSpecII?
    同じくインパルスの改修機。こちらは当初から情報が公開されていたが便宜上ここに記載。
    こちらも同じくバッテリーを最新のものに換装した関係で色合いが変化。
    フォース形態ではデスティニー同様水色部分が白っぽい色になっていた程度だが、ソードおよびブラスト装備時は機体全体が赤ないし緑に変化するようになった。
    ブラストはともかくソードは印象と呼ぶには明らかに色が変わっており、新型バッテリーの影響が伺える。
    なお、今回は本体の合体・分離の概念は描かれておらず、最初から(発進時から)1機のMSとして登場している。

当初はデスティニーの情報は秘匿されていた事もあって誰が乗るのか議論になっていたが、実際にはルナマリアが決戦に際してゲルググに代わって搭乗した。
コンパスのマーキングがないのも、元々コンパスで運用していない機体だったためというオチであった。

  • ZGMF/A-262B ストライクフリーダム弐式
  • MDE262S プラウドディフェンダー
  • ZGMF/A-262PD-P マイティーストライクフリーダム
    同じくストライクフリーダムの改修機。およびその支援ユニットと派生機。
    先の強奪事件の後に修復・改修されていた。
    腕部と肩部の形状が変更されている他、クスフィアス3の基部がフリーダムに近いものに差し戻され、ビームサーベルラックも基部の上部に変更されている。
    詳細はストライクフリーダムガンダムの項目を参照。

なお、公式サイトでは腹部のビーム砲を「アグニ」と紹介されている(本来は「カリドゥス」)。
本機に限らず、公式サイトでは大出力ビーム砲が大体「アグニ砲」表記

  • MBF-02 ストライクルージュ
    お馴染みカガリ専用機。
    前作ではエターナルの危機を救うためにキラが借り受け、左腕と両足が損傷した状態でエターナルに収容された所で出番を終えていたが、どうやら地上に戻され修復された模様。
    本作では警戒・管制ユニット「キャバリアーアイフリッド-2」を装備した状態で運用され、ファウンデーションとの交戦に備えて厳戒態勢を敷く中でカガリが搭乗、
    軍の陣頭指揮を担った他、アスランとシュラの対決を支援するといった形で活躍した。
    また飛行中は護衛機として2機が随伴していたが、その内の一機はオオトリストライカーを装備しており、事の次第によっては直接戦闘を行うつもりもあったと考えられる。

監督のツイートによると「オーブの行政府と軍司令室の機能を統合したエアフォース・ワンです。アカツキ以上の超極秘兵器。」とのこと。
このツイートが指し示す通り、キャバリアー内には数人が詰める管制室が作られており、劇中でも行政官としてサイが、AWACS要員としてミリアリアと、ミレニアムの管制はアビー達に任せ地上に残ったチャンドラが担当している。
また、ズゴックが背負っていた方にはメイリンが詰めている。
地球から月のモビルスーツをラグをなくコントロール出来る管制・通信能力、そしてキャバリアーを中継地点にしてMSのリモート操作が可能と悪用しようと思えばテロすら簡単にできる凶悪兵器である。
ズゴックがオーブ内ですらミラコロを使用していたのも納得である。

なお、キャバリアーアイフリッドの元ネタは、ドラグナー1型?キャバリアー0と思われる。

  • ORB-01 アカツキ?
    お馴染みオーブの象徴たる黄金のMS。
    オーブ艦隊ともにマスドライバーで密かに打ち上げられ、現地に先行していたムウが使用。
    ミラージュコロイド搭載のコンテナで発射直前のレクイエムに接近し、偽装を解いて新装備の巨大ビーム砲でレクイエムの偏向リングを破壊。
    直後に自身に直撃したレクイエムのビームをヤタノカガミで反射して、逆にリング曳航艦とレクイエムを破損させるというある意味今回の裏MVPとも言える活躍を見せた。
    誰が呼んだか、サプライズアカツキ理論
    なお、流石にレクイエム程のエネルギーを反射するのは無理があったのか、シールドで防ぎ切れなかった部分は赤熱化しており、計器類もアラートが鳴りまくっている。逆に言えばその程度で済んでいる。
    この活躍にはヤタノカガミだけで量産機20機分以上という莫大なコストですら安いと言わざるを得ない。もしこの活躍をオーブ国民が知ったら怒るどころか自分の血税が世界を救ったと万歳三唱するだろう
  • ZGMF-1027M デュエルブリッツ?
  • ZGMF-103HD ライトニングバスター?
    イザークとディアッカのかつての愛機を秘密裏に改修した上で、ラクスがレジスタンスの為に要塞ボアズの残骸の中に秘匿していたもの。完全にザフトでの運用が前提なためか型番はGAT-XからZGMFになっている。
    以前の設定では、デュエルとバスターは地球軍に返還され博物館入りしたとの事だったが、この辺りは設定が変更された或いは正式にザフトに讓渡されたと思われる。
    核動力化やコクピットがザクのものに変更されている他、全身各部にも改修が施されているため、以前とは出で立ちが若干様変わりしている。
    核動力化した事もあってミーティアが使用可能となっており、その圧倒的パワーによりクーデター軍の鎮圧に活躍した。

デュエルはその名の通り、ブリッツ?とよく似た兵装が追加されており、外観や武装もブリッツに近い鋭角的なものになった。
あくまでブリッツではなくデュエルの改修機であるが名前は「ブリッツデュエル」ではなく「デュエルブリッツ」。語呂の問題だろうか。

バスターは更なる重武装化が施されているがビーム系兵器の追加が主で、レールガンとエネルギー補給能力が特徴の「ライトニングストライカー」を意識した訳ではなさそうである。
「ライトニング=電光・稲妻」でブリッツ(稲妻)と合わせたネーミングだろうか。

イザークは改修されたとはいえ古い機体を未だに保管されていた事に半ば呆れていたが、ディアッカは小説版でも言及していた*18通り未だにバスターを気に入っている事を明かしている。

  • ZGMF-X191M2 インフィニットジャスティス弐式?
    上述したズゴックの真の姿
    ズゴックの内部に格納される形で本当に隠者していた秘匿されていたが、シヴァのニードル弾からフリーダムを庇い、外装をパージしたことで中からその姿を現した。
    デスティニーSpecIIなどと同様、∞ジャスティスの改修機。詳細は項目を参照。

因みに、ズゴックは元々は「いかにも∞ジャスティスにズゴックっぽい外装を取り付けた風」なデザインだったものを福田監督がリテイクさせた結果あのデザインになったという。
ズゴックの頭部からはみ出ている角は、デザインした大河原氏の最後の抵抗だったそうである。

【余談】

事前に公開されたPVや予告を見たファンの反応は長らく待ち続けた新作に対する期待、そしてそれ以上の不安であった。
シンが懸念した通りまたしても吹き飛ばされる花自分が何も守れていない事に落ち込み、遂には声を荒げるキラそれを必死に諫めるムウとマリュー火を噴くアークエンジェルや撃墜されるムウ悲痛な面持ちでキラを止めるよう訴えるラクスそのような事態を裏付けるような「闇に落ちろ、キラ・ヤマト」との言葉遂に地上で炸裂してしまった核……と、
以前からのネタ予想であった「アスランがまた裏切ってネオザフトを結成して反乱を起こすそしてネオザフトに疑問を感じ裏切ってキラと共に立ち向かう『逆襲のアスラン』」ならぬ『逆襲のキラ』の可能性が浮上してしまい、
この数年でキラが実際には深い闇を抱えたまま戦っていた事が視聴者間に周知されつつあった事もあって、キラがどうなってしまうのかは非常に心配されていた。
公開を楽しみにしつつも残酷な最期を迎えるキラを看取る事になる可能性を覚悟で観に行くつもりだったというファンも散見される。
実際にどうだったかは……実際に映画を見た方にはご存じの通りである。

約18年振りの新作という事で、本作には前作、前々作のセルフオマージュ的な要素が多数仕込まれている。
以下はその一例である。

ネタバレ注意
  • 『舞い降りる剣』のフリーダム登場直前のシーンとほぼ同一の構図でアークエンジェルのブリッジに迫るブラックナイツ
  • オーブから宇宙に向けて出港するミレニアムに対して「制止の為に攻撃はした」というポーズをするためのトダカ海将?仕込みの百発百外し
  • 『SEED』終盤に核攻撃で崩壊して以来全く出番が無かった宇宙要塞ボアズの残骸のまさか過ぎる活用
  • ファウンデーションが根城とする宇宙要塞アルテミスとそこにミラージュコロイドで潜入するニコル?の戦術
  • 以前にメンデルでの戦いで用いられた、一定パターンにセットしたミサイルを予め発射しておき、知らずにそこに誘い込まれた敵艦に「置きミサイル」攻撃を見舞う戦術バジルール?
  • 「おっさん!」「おっさんじゃないッ!」
  • フリーダムのマルチロックオンと同じ構図で敵軍を殲滅するブラストインパルス
  • アロンダイトを正面に構えてVLを展開し、一呼吸置いて突撃するバンクをCGではなく敢えて手書き作画で再現。
    ブラックナイツを粉砕した後、HDリマスター版『SEED DESTINY』のキービジュアルと同一の構図で残心するデスティニー
  • フリーダムシリーズ伝統の光を放ちながら突撃するマイティーストライクフリーダム

また、一部の展開などに『スーパーロボット大戦シリーズ?』などゲーム作品の要素を逆輸入したとも思える描写も見られている。

ネタバレ注意
  • 運命を守る力から、歪んだ運命を断ち切る力として生まれ変わるデスティニー(『スーパーロボット大戦Z?』『スーパーロボット大戦L?』)
  • デュランダル亡き後に主人公側が治安維持組織を結成(『スーパーロボット大戦K?』)
  • 密かにザフトに引き渡されていたデュエルとバスターを戦力として再利用(『スーパーロボット大戦L』)
  • 読心能力を持つ敵?と対峙するマークデスティニー?。そして読心能力にSEEDで対抗するシン(『スーパーロボット大戦UX?』)
    スフィンクス型「そんな寝惚けた読心がマークデスティニーに通用するか!読心はこうやるんだ!!(読心Lv4)」
  • また、そのシンと対峙した敵はメンバー間で精神をリンクしていた?。そして、一人の脱落者も出さずに戦い抜いたあちらとは違い、一人欠けたために総崩れになった(『スーパーロボット大戦K』『スーパーロボット大戦UX』)
  • 型落ち機とされるMSで暴れ回るシン。なお「型落ちしていようとパイロットがシン」である時点で危険と判断出来たかどうかで綺麗に敵対側?結末?が変わっている(『スーパーロボット大戦UX』)
  • 修復された上で使用されるレクイエム。ただし使用用途が真逆(『スーパーロボット大戦UX』)
  • 極端な思想の元で施行されたデスティニー・プラン?(『スーパーロボット大戦V?』)

また、デスティニーSpecIIが装備するゼウスシルエットの名前で『スーパーロボット大戦Z』を連想したファンも見られている(当作品での自軍部隊の名前が「ZEUTH」であるため)。

これらはあくまでファンの推察ではあるが、福田監督自体はスパロボについてちょいちょい言及しており*19、あながち的外れとも言い難いのが面白いところ。

公開後に福田監督が明かした話によると、中盤にラクスが作っていた大量の料理は実に一人3人前という大ボリュームである。
これは忙し過ぎてほっとかれ気味なラクスがキラに仕掛けたちょっとした意趣返しとの事*20
尤も、嫌がらせ100%ではなく、宇宙船勤務で食の楽しみが無いキラの為に半ビュッフェスタイルで食事して貰えればというつもりでもあるらしい。

ネタバレ注意

結局キラが夜中に帰宅するまでにラクスは寝落ちしてしまったが、よく見るとテーブルには紅茶とコーヒーが置かれている。
あくまでキラと一緒に食べたくて手を付けずに待ち続け、いろいろ頑張ったものの結局力尽きてしまったことが窺える。

この時のメニューの内訳は以下の通り。

  • きのこのオニオンスープ
  • ゴマ風味の海鮮サラダ
  • ヤマト家直伝だし巻き玉子
  • 黒まめ
  • ローストビーフわさびソース
  • かぼちゃレンコンの煮物
  • ロールキャベツ
  • 100%ビーフのグリルハンバーグきのこソース(右側)
  • コロッケ(やまもり)
  • えびフライ
  • ポテトフライ
    ……到底2人で食べるボリュームではない。あと揚げ物が多い
    「ヤマト家直伝だし巻き玉子」と「ロールキャベツ」が含まれている*21、ちょこちょこキノコが入っている*22のも色々な想像を働かせてくれる。
    尚、翌日のピクニックのお弁当は、この時の食べ切れなかった残りを流用したものだそうである。

しかも少し前のジャガンナートの高圧的な態度を夕飯に何を作るか考えてスルーしていた事も同時に判明、
これらの設定開示のお陰で嫌な事があるとキラに凄まじい量の揚げ物を食わせるラクス*23、そのお陰で胃もたれを起こしたりシンや周囲の人にお裾分けするキラ、喜んで食いまくるシンという新たなネタが生まれる事となった。

公開後はプロモーションの一環として、『水星の魔女』でもあった全国各地を巡る『日本全国SEEDFREEDOM行きます』が行われた。
やはり真面目にやっているだけなのに変な面白さが滲み出るアスラン「視察」という名目のはずなのに完全に沖縄旅行を満喫しているイザーク&ディアッカクラーク像の前で同じポーズを取っているアウラと手元の資料にある「INVOKE-インヴォーク-?」でアスランがしていたポーズを見比べるオルフェ「それアリなの!?」と思わずにはいられない秋田編スパロボUXプレイヤーをニヤリとさせる広島編など、
(おそらくは)本編とは別時空なのを良いことにかなりのやりたい放題空間となっている。

『SEED』の最初の特集を組んだ時、『SEED』映画化決定を報じた時、そして『SEED FREEDOM』公開直後の24年3月号、
月刊ニュータイプのそれぞれの表紙は全て同じ構図になっている。心憎い演出である。

本作のプロモーションとして、無印及びDESTINYの内容をそれぞれ30分程度にまとめた「スペシャルダイジェスト」動画が配信されている。ナレーターはSEEDシリーズの功労者である西川貴教氏である。
SEEDシリーズの要点はしっかりまとめられているものの、前例?に違わずネタ要素も満載。
特に自分の演じたキャラが散っていく様子をノリノリで実況したり、キラとフレイの情事でしどろもどろになったりする兄貴は必見である。

さらに、アニメ本編だけでは分かり辛い世界観設定の補足動画も上げられているが、こちらは「信じるか信じないかは『あなた"SEEDaい"です』」と銘打ち、
「やりすぎ都市伝説」でお馴染みの関暁夫がC.E.世界の怪しい噂を聞かせる体裁となっている。特にキラの過去を掘り下げた第3回に至っては、サムネをよくある解説動画のそれに似せてくる徹底ぶりである。
お祝いミニムービーといいSEEDFREEDOM行きますといい、公式がフリーダムすぎる。

さらにさらに、映画冒頭6分(丁度『FREEDOM』が使われている部分)をYoutubeで無料公開するという、ガンダム映画では史上初の試みも行われている。

本作における様々な設定の開示、特にTVシリーズと比べてチートがかった強さのメカ描写(特に終盤に出てくるあの機体)もあり、「どこかであのジャンク屋が関わっているのでは??」と考察するファンも見られており、結果として「言われるほどやりたい放題でも無かったのかもしれない」と『ASTRAY』シリーズへの再評価意見も見られるようになっている。
もっとも、映像の演出という面では20年の歳月を経てガンダムシリーズでも着実にチートロボ化……もとい演出のインフレーションが進んでおり、特にそういう印象の強い後半部分は比較的近年になって製作されているため単純に時代の流れによるものとも考えられなくはない。

本作以前に『SEED DESTINY』後のコズミック・イラを描いた作品として『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY 天空の皇女』が存在するが、上述の本作の制作経緯もあってか舞台がC.E.何年か、すなわち本作の前・後どちらの時系列かは明言されていない。プラントに展示されているエヴィデンス01がレプリカであり、あちらで描写された研究機関への貸与の設定は生きていると思しきこと、アルテミスの扱いやロードアストレイの存在から『天空の皇女』の方が後と予想できるが、公式からは未発表。後だとすればフェアネスの度胸も大したものである

上記の通り本作の制作を誰よりも心待ちにしていたであろう西川氏だが、スケジュールの都合か前2作とは異なり、残念ながら今作で声優として参加することは叶わなかった。その分スペシャルダイジェストではっちゃけてるので、みんなで見よう

本作のテーマが「愛」な事は生前の両澤氏が残したプロットの時点で決まっていた事だが、本作の後半の脚本を担当した後藤氏が手掛けたノベル版『SEED』4巻(劇場版製作決定の3年前!)でフリーダムで帰還したキラとサイが本音をぶつけ合った場面にて、
人の価値など付けようがない。誰が死んでも誰かが悲しむし、それは美しいからでも頭がいいからでもなく、その人がその人だから。(要約)との一節がある。
これは本作の終盤でキラとラクスが語った話とほぼ同じであり、何等かの繋がりかセルフオマージュな可能性が考えられる。


*1 前作時点では首都はブリュッセルだった。
*2 アークエンジェルは本来は大西洋連邦軍の兵器ではあるが、C.E.71の大戦にて地球連合軍から切り捨てられる形で離脱しており、この時代では実質オーブ軍からの提供戦力なので除外
*3 階級制自体は第二次大戦後を描いたドラマCDで既に導入されている描写があった。
*4 ただ、宇宙世紀の地球連邦軍が単一国家の常備軍だったのに対し、こちらは複数国家による文字通りの「連合軍」である。
*5 もっともユニウス条約をオーブもファウンデーションも批准していないという理由はある
*6 勘違いされがちだが、ディストピアは一般的に「自由は無いがそれ以外はまま幸福」な世界である。「自由意思が一切ない代わりに自分を知り、適正に力を使い、過度な期待を持つ事も絶望する事も無い」というデュランダルの目指した世界は正しい意味でディストピアそのものである。
*7 前述した入場者特典の短編『月光のワルキューレ』ではこの事件のフラグと思しき部分も描かれている。
*8 胴体の形状はデスティニーに近いものがあるが、設定上デスティニーとの関連性は特に語られていない
*9 OSに核動力機共通の「Nuclear」の文字がない、組織の正式な機体として表立って運用する都合上核動力機を採用できないだろう、等の理由から
*10 ちなみにシールドにビーム刃を仕込むギミックは、奇しくも同じギャン系統のR・ギャギャがビルドシリーズで披露している
*11 地球に対して艦橋を下にした、地上から見たら天地逆さまの姿勢でいる事が多い。
*12 陽電子砲を空中に発射することによって前面に反物質のコクーンを作り出し、正物質のコクーンが遮られることによって加速を得るという作中に登場する大気圏離脱方式。SEED本編にてアークエンジェルが使用した
*13 ヨウランと思われる人物はいない。やはり……。
*14 なお実際に艦隊戦の部分はヤマト2199系のスタッフが参加していた。
*15 イーゲルシュテルンが75mmなのに対し、トーデスシュレッケンは12.5mm。
*16 ジンはストライクのイーゲルシュテルンを弾いてノーダメージに抑えられる装甲を持つ
*17 一応トーデスシュレッケンは小口径化する一方で弾薬類の改良で威力低下を半分程度にまで抑え込んでいるという設定がある。また、ジンが旧式化して装甲強度が落ちていた可能性もあるが、単に演出優先の描写なのかもしれない。
*18 『SEED』にて、アークエンジェルに加わったアスランが父の真意を確かめる為に一旦プラントに戻った時、アスランはもし戻らなかった時はジャスティスをディアッカに託すつもりだったが、ディアッカは「あんなものにはお前が乗れ」と遠回しに生還を期待し、小説版では続けて「俺はバスターを気に入ってるんだ」と愛着を見せていた。
*19 福田氏は『スパロボL』のスペシャルサンクスの項にクレジットされた事もあり関りはある。スパロボLでの『SEED DESTINY』は魔改造レベルでシナリオが弄られているため、その方面での監修に関わっていたのではないかとファンからは考えられている
*20 『SEED』でアスランに大量のハロを纏わりつかせたのも同じ理由らしい
*21 アスランの好物は「キラの母のロールキャベツ」である
*22 シンの苦手なものは「キノコ、ナス、貝類、酸っぱいもの」
*23 元々ラクスは「フリーダムを譲渡したシーンのパロディでキラにヘンテコなMSを押し付ける」というネタが定番化していたのも後押ししていると思われる