クロスデスティニー(X運命)◆UO9SM5XUx.氏 第027話

Last-modified: 2016-02-15 (月) 23:29:18

第二十七話 『その仕事をやるだけなんじゃねぇ?』
 
 
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DXの右腕が落ちる。さらに胸部へと集中して放たれる、レジェンドのドラグーンシステム

ドォン!

「う・・・くっ・・・・どうしたんだ、ティファ・・・・うっ・・・・ぐあぁぁぁ!」

DXのコクピットが煙を吐き出し、電気系統がショートする。

ガロードはその衝撃で、頭を強く打った。出血し、右目がかすむ

さしものDXの装甲も、これだけの集中砲火を受けてはひとたまりもない

『ガロード・・・・・』
「ティファ・・・・ティファ! 畜生! 動け、動いてくれDX!」

DXのパワーがどんどん落ちていく。推力を失っており、もはや回避行動すら取ることもできない

レジェンドがとどめをささんと、ビームサーベルを構えている

(こんなところで・・・・こんなところで・・・・・! なにも知らないまま俺は・・・・!)

『やめてぇッ!』

ティファの叫び声が聞こえた。瞬間、レジェンドの動きが止まる

「う・・・・くっ・・・! あ・・・・・?」
『やめて・・・・やめてぇ・・・・! あああぁぁぁぁぁッ!』

レジェンドが、がっくりとうなだれた。動かなくなっている

「ティファ・・・?」
『ガロード、どけぇぇッ!』

瞬間、シンの声が通信で入ってきた
振り返る。ヤタガラスの甲板で、収束ビーム砲を両腰に構えているアカツキがいた
レジェンドを狙っている

「し、シン・・・・・やめろぉぉぉッ!」

とっさにDXを動かした。そして間の悪いことに、DXがその時だけきちんと動いた

ドシュゥゥゥン・・・・ドォォォォン!

レジェンドの身代わりになり、DXの胴体部分が吹き飛ぶ

「あ・・・・ぐっ・・・・!」
『ガロード!? バカ、なにやってんだ!』

DXのコクピットハッチが破壊される。ガロードは急速に自分の体から熱が引いていくのを感じた

『いやぁぁ・・・・ガロード・・・・いやぁぁぁぁぁぁぁッ!!』

(ティファ、なにをそんなに叫んでるんだよ・・・・)

ガロードの意識は、そこで途切れた

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デスティニーと相対していたアスランは、ヤタガラスの方を向いて歯噛みした

DXが破壊され、海に落ちていく。シンのアカツキが飛び立ち、
海面に落ちようとするのをかろうじて片手で支えている

「DXがやられた・・・!?」
『フーン。さすが、史上最高の生体CPUとロドニアで呼ばれただけはありますね。
  あのティファとかいう少女は。まぁ、洗脳期間が短い上に、耐性があるせいで、いろいろ不安定みたいですけど』
「・・・・・・・ニコル、なにをたくらんでいるんだ貴様・・・・。おまえの後ろには誰がいる?
  あんなものまで用意しているということは、ただの復讐で生きてるわけじゃないだろう!」
『ふふふ。その質問、僕が素直に答えると思いますか?』

デスティニーがバカにしたように、こちらに手のひらを向ける

バシュン

ビームが放たれるのを、ジャスティスのシールドでたやすく防いだ

「・・・・レジェンドは、確かに不安定なようだな」

アスランが後方を見る。レジェンドはゆっくりとヤタガラスから距離を取り始め、
次に逃げるようにその場を去って行った

『まったく、世話のやける女ですねぇ・・・・。ま、いいですよ。アッシュ隊も当然のように全滅ですか・・・・ 
  やれやれ、雑魚は雑魚なりにもう少し粘って欲しいものです。じゃあ、僕は帰りますよ』
「逃がすと思うか、俺が?」
『ここは痛み分けでいいんじゃないですかねぇ・・・・。ま、追いかけてきたければどうぞ
  デスティニーに追いつければ、ですが。それじゃあさよーならー! あははははははは!!』

バカにしたようなニコルの声が響く。アスランはインフィニットジャスティスのシールドを、
デスティニーに向かってビームサーベルを出した状態で思いっきり放り投げたが、避けられた

そのままデスティニーは身をひるがえし、光の翼を放出して逃げていく.

「・・・・・・・・・・」

バシュゥゥン! バシュゥゥゥン!

即座に両腰に収束ビーム砲を構え、砲撃したがデスティニーには当たらない
やはりブリッツとは格段に性能が違う機体のようだ

「まぁ、また機会もある、か・・・・。それにしても・・・・」

アスランは周囲を見回した。連合艦隊と共闘してアッシュを撃退した、グフとインパルスが戻ってきている
ヤタガラスへは、半壊したアカツキと、全壊に近い状態のDXが帰艦している

そして海では、ネオが乗っていたデストロイの屍が浮かんでいた

(ひどい戦いだった・・・・)

アスランはコクピットでヘルメットを脱ぎ、ため息をつく。右腕に巻いたベールに、軽く触れた

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シンのアカツキが、ひどい状態になったDXを抱えて、ヤタガラスに帰艦する

「まずはガロードを出せ! それから消火作業だ、急げッ!」

キッドが矢継ぎ早に指示を出している。シンはDXを寝かせると、無理矢理コクピットだけを引きはがした
それを待機しているテクスの前に置く。テクスはガロードを担ぐと、担架に乗せて運び出す

「心配はいらん。命に別状はない!」

テクスが叫ぶ。ガロードは気を失っており、遠目にもかなりの出血をしているのがわかった

DXもぼろぼろだった。コクピットに直撃しなかったのが奇跡のようだ
頭も足も手も吹き飛んでおり、胴体部分もかなりの損傷を受けている

シンもアカツキから降りた。DXに比べればマシだが、こっちもかなりのダメージを受けている
ネオのデストロイがもう少し早く反応していたら、死んでいたかもしれない

(ネオ・・・・・)

人を一人殺したのだと、初めてシンはその時思った

やや遅れて、インフィニットジャスティス、グフ、フォースインパルスが帰艦してくる
三機とも損傷は少なく、パイロットも五体満足だった

「シン、ガロードは無事なんだな?」
アスランがやってきて、聞いてくる
「ええ。とりあえず命に別状は・・・・・。でもDXが・・・・」
「MSは直せばいい。それと、シン。修正だ」

いきなりアスランが歩み寄ってきて、シンを一発殴りつける

ドカッ!

「つぅ・・・!」
「デストロイに勝つには勝ったが、おまえがでしゃばらずに連携を仕掛ければもっとたやすく勝てた
  デストロイ撃墜は戦功だが、命令違反でもある。だがおまえを営倉に入れておく余裕はない
  ヤタガラスの便所掃除と風呂掃除を十日間やれ。それでいいな?」
「・・・・・はい」

アスランはそれを見届けると、すぐにブリッジへと去って行った
これから降伏した艦隊の処遇を決めるのだろう

「やれやれ、厳しいわね、艦長。デストロイ落としたのに」

ルナマリアが肩をすくめ、こちらにやってくる。

「仕方ないさ。俺のわがままだったからな・・・・・」
「ありゃ、なんか拍子抜けしちゃうわね。てっきり、アスラン艦長に食って掛かるもんだと思ってんだけど」
「ルナ、おまえなぁ・・・・。俺を狂犬かなにかと勘違いしてるんじゃないか?」
「あら? 狂犬だったじゃない。士官学校時代から、誰彼構わず突っかかって
  私まだ覚えてるわよ〜。カガリ代表への暴言。あれ、一つ間違えば国際問題よ?」
「・・・・ただMSで暴れていれば大事なもの守れるわけじゃないって、俺も気づいたんだよ
  遅すぎたのかもしれないけど」

シンは、MSデッキで無様に横たわるDXを見上げた。『ユニウスの悪魔』と呼ばれた威厳はどこにもなく、
スクラップ同然である。アスランは直すと言ったが、これは一から造り直した方が早いかもしれない

(あいつ・・・・間違いなく、敵をかばったよな・・・・)

先ほどの戦闘を思い出す。DXが一方的にやられているのを見ていられず、
無理にアカツキで出た。なぜかレジェンドが動きを止めたので、それに向かって攻撃したが、
それをDXが身代わりになって受けた

理由は、わからなかった

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アスランは降伏した連合艦隊を、オーブへと送り出した
そこで最終的な処遇を、ユウナが決める。息の合った二人だと、テクスは思った

ガロードの治療はどうにか終わった。肋骨が折れており、頭に裂傷
また破片を体に受けて、無数の傷ができていた。ただ、幸い命に別状はない
それらを縫いつけたり固定したりしたら、いつの間にか夜になっていた

時々、ガロードが『ティファ』とうなされるのを聞いた

テクスはふと思い立って、MSデッキへと足を向ける
すでに就労時間は終わっているので、静かなものだった

「キッド」

テクスは、MSデッキの隅でじっと図面を見つめているそばかすの少年に声をかけた

「あ? テクスか・・・・。ガロードはどうなんだよ?」
「まあ、全治二ヶ月かな。動き回るのは半月もあればできるようになるだろう」
「そっか・・・・。でもこっちは重傷だぜ」

キッドが頭をぽりぽりとかき、紙の図面を叩く。DXの図面のようだ
パソコンを使ってたいていの作業をしているが、キッドは紙の図面を好むところがあった

「DXか?」
「ああ。一応、海に落ちたDXの腕とかは回収したけどよ。こんだけやられたら、
  修復じゃごまかせねぇ。ルナチタニウムがいる」
「ふむ・・・・・」

ルナチタニウムは、AW世界で使われていた特殊金属で、DXの化け物じみた装甲の正体でもあった
しかしそれはこの世界にある金属ではない

「今回ばかりは、さすがのキッド様もお手上げだ。DXを直すのは無理だな」
「そうか・・・・。しかし、怪我の功名かもしれんな」
「は?」
「あのレジェンドとかいうMS、ティファが乗っていたようだ」
「・・・・な・・・。マジかよ?」
「ガロードが寝言でそう言っていた」
「・・・・・こりゃ驚き桃の木二十世紀だな。でもなんでティファが・・・」
「おそらく、洗脳だろう。ティファは確かにMSこそ操縦したことないが、
  ニュータイプ能力は高い。ことパイロットの素質だけなら、化け物じみたものを持っている
  それはガロードなど比べ物にならんよ・・・・」
「ったく、気分悪ィの! この世界の人間は、なんで人間いじるんだか・・・・
  機械いじってたほうがよっぽど楽しいぜ」

言って、キッドはまた図面を見直し始めた。時々、ペンで修正を入れている
どうにか処置できないかを考えているのだろう

「しかしDXが動ければ、すぐにでもガロードはティファを追うだろな
  そういう意味では、DXは動かない方がいいかもしれん・・・・」

本人ははっきり自覚していないが、すでにガロード・ランはこの世界に多大な影響力を持っている
それが個人の意思で暴走すれば、悪い結果を導きかねない。テクスはそれが心配だった

「知らねぇよ、俺はそんなの。俺の仕事はMS直すことだからな
  で、ガロードの仕事はティファの世話だろ? あいつはその仕事をやるだけなんじゃねぇ?」

キッドが言うと、思わずテクスは吹き出した。確かにガロードは、
かつてAW世界にいた頃、ティファの世話が仕事だった

ティファはその特殊な能力ゆえに人に付けねらわれ、利用されそうになったことが多々あったため、
心を閉ざしていた。その扉を開けたのが、ガロードという少年だった

「そうだな。どこまで言っても、ガロード・ランはガロード・ランか・・・・」
「そういうこった。あいつは世界を平和にしたり、滅ぼしたりするよりも
  ティファを守る方を選んじまうような男だぜ。・・・・だから、世界を滅ぼしちまうようなDXに乗れるんだろ?」
「フッ・・・・では我々は、くだらぬことに気を回さず、自分の仕事をした方がいいか」
「だな。にしてもジャミルとかどうしてんのかなぁ・・・・・。こういう時にこそ、あいつらが必要なのに・・・・」

ため息をつき、キッドは図面をさらにもう一枚取り出し、見比べていた
そこには戦闘機らしきものが描かれていた

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シャッ、シャッ、シャッ・・・・

シンがデッキブラシで床を磨く。
ヤタガラスの大浴場である。
個室ごとに小さなシャワールームはついているが、ヤタガラスには大浴場があった
なんでも、アークエンジェルに温泉がついていることに対抗して作られたもので、
旧世紀の日本の、『セントウ』というものをモチーフにしているらしい

「ふぅ・・・・・」

両腕両足のすそをまくりあげ、頭にタオルを巻いたシンは、
少しため息をついて、お湯のはってない浴槽に腰掛けた

「シン・・・・。元気、ない?」

ぴょこんとステラが、浴槽から顔を出してくる。もうだいぶ元気になっていて、
ヤタガラスの艦内を歩き回れるようになっていた

「いや・・・・・。ネオと約束したはいいけどさ、戦争を終わらせるにはどうすりゃいいのかなって、思って・・・」

どういうわけか意識を取り戻したステラは、ネオのことを忘れていた
それがなにを意味するのか、だいたいわかる。ネオは自分が死ぬことを知っていて、
だからステラから自分の記憶を消したのだろう

そういう、男らしい男だったのだ

「たたかい、終わらせるの? シンが・・・?」
「うん。約束だから。うーん、でも今の戦況は、連合軍のごり押しで戦いになってるんだよな・・・・
  なら、連合軍の頭をつぶすのが早道か・・・・? でもなんかそれも違うような気が・・・・」
「?」
「そうだよなぁ・・・。そもそも、平和ってなんだろ? 一応、前大戦から二年間は平和だったけど、
  あっけなく戦争になっちゃったからなぁ・・・。ナチュラルとコーディネイターの溝を埋めるのが先なのか?
  でも、クライン派なんかそれでがんばってるけど、たいした成果はないし・・・・・。あーあ、わかんねぇ・・・・・」

デッキブラシを肩に立てかけ、シンはうーんと背伸びする

今まではただ、戦っていればよかった。しかし平和ということを考えたとき、
それだけでは駄目なのだと気づく

(想いだけでも、力だけでもダメ、か・・・・)

本で読んだことがある、ラクス・クラインの言葉である
読んだときはどうとも思わなかった言葉だが、こうして思い出すと悪い言葉ではない
確かに、想いと力が正しく両立しなければ、世界は安定してくれないだろう

しかしそのためにはどうすればいいのか。アカツキで敵を倒していればいい、というほど簡単じゃない
例えば今ならば、プラントと連合が話し合いのテーブルにつかなければならないだろう
連合は確かに敵だが、いつまでも敵としていたら、戦争は終わらない

「シン・・・?」

ステラが空の浴槽から出て、こちらの顔をのぞきこんでくる
シンは少し笑って、両手を差し出した

「おいで、ステラ」
「うん・・・・」

ステラがシンの体にもたれかかってくる。それを、ぎゅっと抱きしめた

(あったかい・・・・ホントに)

とくとくと、ステラの心臓が動いている。なんか小動物みたいだと、シンは思った
そしていい匂いがする。ずっとこうしていたい気がした

「ん・・・・」

ステラの唇をそのまま奪った。舌で、彼女の口をこじ開け、進入していく
口の中は甘い。そんなわけないのに、そんな気がする。舌が、からみ合った

「・・・・シン? どうしたの・・?」

開放すると、ステラがきょとんとした顔でこちらを見てくる
それを見ていると、シンの中のシン・アスカが、どこか凶暴な気持ちを示してくる

ステラがただ、自分だけのものであればいい。ステラはただ、自分のことを考えてくれればいい
ステラをシン・アスカの中に閉じ込めてみたくなる。一方的な独占欲

ガララ

唐突に大浴場の扉が開いた

「シンー、いるー? 手伝いにきてあげた・・・・わ・・・・よ?」

ルナマリアがTシャツ姿で、デッキブラシを片手に立っていた。でも驚いている

「あ・・・・ルナ」
ステラを抱きしめたままの格好で、シンは固まった
「・・・・・・ごめんねぇ・・・邪魔しちゃって・・・・・・」

ガララ・・・・

ルナマリアが大浴場の扉を閉める。シンは引きつった顔のまま、それを見送った

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もうすぐロドニアだった。ザフトの情報によると地球連合軍はほとんど撤退していて、
残ったのはロドニアのラボだけらしい。後はそれを調査して、ヤタガラスはオーブに帰ることとなりそうだ

「フン、フン、フフーン♪ リアッ○、リ○ップ♪」

アスランは洗面所で直接スプレーを吹きかけ、頭皮をブラシでとんとん叩いてよく薬剤をなじませる
日ごろのマメな行動は、将来身を結ぶだろう

(父上は・・・・最悪だったからな)

プラントの最高機密である。アスランの父、パトリック・ザラは生前、毛髪が一本もなく、
カツラをかぶって日常をこなしていた。その二の舞になりたくはない

そんな父の背中を見ていると、遺伝子操作の限界を感じてしまう

そんな時だ。いきなり艦長室の扉が開いた

「失礼します、艦長。これからのことでお話が・・・・」
「・・・・れ、レイ・・・?」

カラン・・・・。アスランの手から、ブラシがすべり落ちる

(まずい、見られた・・・・・)

レイがじっとこちらを見ている。それからアスランの手にあるスプレーを見つけると、一度だけ大きくうなずいた

「レイ・・・・・」

レイはつかつかとこちらにやってきて、ぽんぽんとアスランの肩を叩く

「気にするな。俺は気にしない」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・プ」
「!」

            <<<しばらくお待ちください>>>

アスランは椅子に座り、席に戻った。報告書に目を通す。DXが修復不可能というのは、頭の痛い話だった
素材が特殊で、簡単には手に入らないものだからだ。

(戦闘がしばらくないのが幸いだったな・・・・)

ロドニアを制圧してしまえば、オーブはザフトに借りを返せる
それで一応のミッションは終わるのだ

それでも問題は山ほどあった。ニコルのことも気になる。このまま終わる、ということはないだろう

「艦長、メイリン・ホークです」

ノックがあった。

「いいぞ、開いている。入れ」
「はい、失礼します」
「なにか用か、メイリン?」

アスランは、入ってきたメイリンを見つめた。少し戸惑ったような顔を彼女はしている

「その・・・・・・艦長室の前に転がっている、亀甲縛りにされたあのハードゲイはなんなんですか?」
「ああ、あれはな。ヤタガラスに住み着いた悪霊、レイ・ザーラモン炭谷だ。ゲイ・ガ・バレルとも言う
  近寄らないほうがいい」
「すぐにばれるような嘘を涼しい顔でつかないでください」
「・・・・それより、報告があるんじゃないのか、メイリン?」

アスランが聞くと、メイリンはうなずいた

「はい。その、先ほど命じられましたとおり、レジェンドとデスティニーが去った先を調べました」
「ふむ・・・・。教えてくれ。まぁ、尻尾をつかませるほど甘くはないだろうが・・・・」
「いえ、それがすぐにシャトルを使い、宇宙に上がったようなのです」
「宇宙にか? ・・・・初めからそういう計画だったのかな。宇宙でなにをする気なのか・・・・」
「宇宙に上がった後、ロストしました。次にアークエンジェルの動向ですが・・・・」
「・・・・・・・・。」

ラクスもキラも、殺したわけではない。しかし心のどこかに裏切ったという気持ちがあるのか、調査を命じていた

「ザフトの後発隊が、戦闘のあった海域を調査したところ、アークエンジェルはすでになかったようです
  サルベージされたものと思われます」
「そうか・・・・。メインエンジンを破壊しただけだからな・・・・ブースターを追加すれば、動くぐらいは・・・」
「・・・・・・いろいろとおつらいと思います、艦長」
「いや、一番つらかった時期はもう終わった。気にするな」

言いつつ、アスランはネオのことを思った。仲間だったのだ。男らしい男で、
前大戦ではアークエンジェルの兄貴分とでも言うべき存在だった。それがなぜ連合にいたのか
なぜ死ななければならなかったのか。すべてが終われば、真実にたどり着けるのか

「・・・・・・ロドニアから地球軍は撤退したそうです。ただ、ラボがそのままですので、どうしますか?」
「ルナマリアとシンを先行させて、ラボを確保させろ。ヤタガラスの合流までそのまま待機。それぐらいかな」