種死&リリカルなのはさん 単発SS集13

Last-modified: 2007-11-26 (月) 09:45:13

伊達と酔狂 ◆3NDcoAsIJo氏 2007/11/22(木) 20:46:27
その休日に

 

休日
それは出動と訓練漬けであったシン達にとっては久しぶりに自由に過ごせる一日であった。
「しかしいきなり今日はお休みって言われてもな~?アスラン、あんたはどうするんだ?」
「溜まってる書類を片付けなくちゃいけないからな、まあ半日もあれば終わるだろ」
「じゃあキラさんは?」
「僕?そうだね、ちょっとデバイスのメンテナンスしたいし、マリーさんやシャーリーに
ちょっと用事があるから…」
「せっかくの休日なのに……あんたら趣味とか無いのか?」
そう言われると二人して考え始めたが
「あ~…もう良いですよ…聞いた俺が悪かったですよ」
苦笑しながらシンは自室に向かって歩き出した。
(そういう俺も特にすること無いんだよな…ちょっと街にでも行くか…)

 
 

シンは私服に着替えて隊舎から出ようとしたら
「あっ!シ~ン」
向こうからスバルが走ってきて無理やりシンの腕を掴んで隊舎から出た。
「ちょっ、な、なんだよいきなり」
「探したよ~シン」
「はぁ~?ていうか止まれよ」
「いや~ギン姉とティアと一緒に遊びに行こうとしたんだけどさ、ティアが体調崩して
来れなくなっちゃたんだ」
(人の話聞けよ!)と突っ込みたかったがスバル相手じゃ意味無いので諦めた。
「…それで?」
「一緒に行こ?どうせ暇でしょ?」
「どうせってお前…」
当たってるのが悔しいシンであった。
「だめぇ?」
「ぐっ!」
スバルは上目遣いでシンに尋ねた。これには流石のシンも勝てずに何度もアイスを奢らされてきた
しかし今回は
(そう何度もやれると…)
シンは目を見開いた
(思うな!!)
「シンってば~」
「はうあ!」
スバルは目を潤ませながら訴えてきた。
「わ、わかったから、そんな顔すんな!」
「やった~」
今回もシンはスバルに負けたのであった…
「んに~」
「この野郎…、給料日前なのに…」

 
 

「ギン姉~シン連れて来たよ~」
スバルが財布の中身を確認中のシンを引っ張ってきたのである。
「シン君ゴメンなさいね。大方スバルが無理言って連れて来たんでしょ?」
「ん~!だってシンが良いって言ったのギン姉じゃん」
「ちょ、ちょっとスバル!それいったらあなただって喜んで賛成したじゃない!」
ギャアギャア楽しそうに騒ぐ姉妹を見てシンは少し昔を思い出した…
(俺もマユとはよくあんな風にじゃれてたっけか…)
「どしたのシン?」
そんなシンを不思議そうにスバルは声を掛けた。
「えっ…、い、いや。そんなことより今日は何処行くんだよ?」
「そうね?とりあえずクラナガンに行きましょ」
「とりあえずって…まさか」
「うん!特に行き先なんて決まってないよ」
「あんたら…無鉄砲にも程があるだろ」
シンはそれを聞いただけでどっと疲れてたのである。

 
 

シンはクラナガンでギンガとスバルの買い物に付き合わされたり、パンチングマシンで二人に負けて凹んだりして有意義?に過ごした。
ベンチで休憩していると
「シン!見て見て、ほらアイスクリーム屋さんだよ!」
「そうだな…」
ちらっとスバルの方を見たら、期待に満ちた笑顔でシンを見ていた。
「あ~!もうわかったよ、これで買って来い!」
「やった~!」
そう言ってスバルは店に向かって走り出した。

 

445 名前:伊達と酔狂 ◆3NDcoAsIJo[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 20:47:40 ID:1xvgGhgs
「ゴメンねシン君。あの子ったらあんなにはしゃいじゃって」
少し悪そうにギンガはシンに謝ったが、シンは笑いながら
「良いよ、俺も結構楽しめたし。それにしてもアイツ元気だな」
そうね、と言ってギンガも一緒になって笑った。

 

しばらくしてスバルが戻ってきた
「はい、シン。ギン姉」
スバルはシンとギンガに四段重ねのアイスクリームを渡した。
「お前人の奢りだからって…」
そこでシンはある事に気付いた
「スバル?」
「ん?」
「何で口の周りにアイスクリームが付いてるんだ?」
「バレたか」
スバルは自分のだけ五段にしてくる途中に食べたのだ。
「はぁ~、仕方ないな…」
「でも良かったよ、シンが少し元気になって」
シンは驚いた。
「『こっち』の世界に来た時から、なんかずっと辛そうな表情だったから」
「そうね。それにシン君、任務とかでも結構無茶なことするから心配で…」
確かにシンは最初かなり荒れていたのだが、六課の面々やキラとアスランのおかげで少しずつ立ち直っていった。
しかしそれでもまだ心の傷は完全に癒されたわけではなかった。(自分は結局力を手にしても誰も助けられなかった)
そんな自責の念がシンを未だに苦しめ、その所為か自暴自棄になってどこか生き急いでいたようだった。
シンは少し考えて
「二人に聞きたいことがあるんだ」
「何?」
二人はシンの真面目な眼差しに少し驚いた。
「二人はさ、戦闘機人として生まれてきたけど…どう考えているのかなって思ってさ?
聞いちゃマズイかなとか思ったけどその…どうしても聞きたかったから」
研究者のエゴで生み出されたギンガとスバルがどうしてもレイとステラとダブってしまったのである。
「確かに他の人たちと違う生まれ方をしたけれど母や父やスバル、掛け替えのない大切な人達と出会えたのだから
そんなに悲観するような人生じゃないと思うわ?」
そう言ってギンガも真っ直ぐな眼差しでシンを見つめた。
「そりゃ結構大変だったけど幸せだよ?今もね?」
屈託の無い笑顔でスバルは答えた。
(『掛け替えのない大切な人』か、俺はレイやステラにとってそんな人物になれたのだろうか?)
「アスランさんから聞いたんだけど、レイ君とステラさんだっけ?」
スバルの口から二人の名前が出てきたことにシンはビックリした。
「きっとシンに出会えたこと感謝していると思うよ、そりゃ別れるのは悲しいけど少なくてもシンに出会えてその時だけでも
幸せで~え~と、なんと言ったら良いか解らないけど~その~」
スバルは身振り手振りで説明しているが後半はグダグダになってしまっていた。
(コイツもしかして励ましてくれてるのか?)
シンはベンチから立ち上がってスバルの頬を引っ張った
「いひゃいひょ~にゃにしゅんのしゃ~?(痛いよ何すんのさ?)」
それを見て思わずシンは吹いてしまった。
「スバルに説教されるとはな…」
「ひどいよ~」
スバルは赤くなった頬を擦っていた。
「…ありがと」
小さな声でそう言ってシンは照れ隠しのためスバルとは反対の方を向いたが、そこにはシンの真っ赤な顔を見て
笑いを堪えているギンガが立っていた。
「それじゃあそろそろ帰りましょうか?」
笑いながらギンガはシンの右手を取った。
「そうだね」
スバルも同じくシンの左手を取った。
「お、おい!何すんだよ」
二人して
「「こうするの」」
シンを真ん中にしてナカジマ姉妹とシンは走り出した。
(レイ、ステラ。俺『こっち』でもう少し頑張るよ。だから見守っててくれ)
「シン(君)早く~」
「分かったから引っ張るって!」

 
 
 

数日後…
「何?金を貸してくれだと?」
「お願いしますよ~ザラ隊長~」
シンはアスランに泣きついていた。
「おはようございますキラさん、シンさんどうしたんですか?」
「おはようエリオ。何でも休日にギンガとスバルにお昼とか奢ったらお金が無くなったんだって、
それでアスランに貸して貰おうと頼んでるんだよ」
「ハハハ…でもなんかシンさん、少し明るくなったような気が…」
「色々と吹っ切れたのかな?」
「頼むよ!ア~↑ス~↓ラ~↑ン~↓」

 

         終わり

 
 

伊達と酔狂 ◆3NDcoAsIJo氏 2007/11/25(日) 21:58:59
ダイキライ×ダイスキ

 

「キラなんか大っ嫌い!」
パァン!
フェイトはそう言ってキラの頬を思いっきり引っ叩き、走り去った。
キラはフェイトの予想外の行動に驚き、その場に立ち尽くすことしか出来なかった。

 

数時間前・・・
その日は珍しくキラとフェイトの二人が休みだったので、たまにはゆっくり二人の時間を過ごそうと
フェイトは考えていたが
「ゴメン、今日ちょっと外せない用事があるんだ」
とキラはフェイトの誘いを断った。フェイトは(キラにも用事があるのだから仕方ない)
と一緒にいたい気持ちを我慢した。

 

しかしたまたま隊舎から私服のキラとなのはが二人して出て行くのを見てしまったのである。
なのはの気持ちを知っているだけにフェイトは内心穏やかではなかった。

 

そして二人が帰ってくるとすぐさまそのことを問いただした。
キラはバレバレな嘘で誤魔化そうとしたが通じるはずもなく、今に至る訳である。

 
 
 

「キラ君、大丈夫?」
なのはに声を掛けられキラは我に戻った。引っ叩かれたことよりも『キライ』と言われたのが相当
ショックだったようだ。
「大丈夫だけど・・・」
キラは思いっきり自己嫌悪に陥った。それを見てなのはは
「フェイトちゃんなら大丈夫だよ、ああやって言っていたけどちゃんとキラ君のことが大好きだから。
だから行ってちゃんともう一回キラ君の本当の『キモチ』を伝えて、ね?」
なのははキラの背中を軽く押して、笑顔でさらに
「行って来い、キラ・ヤマト!」
キラはそれを聞いて
「ありがとう、なのは!」
フェイトの部屋に向かって走り出した。

 
 

「やっぱり敵わないなぁ・・・」
なのはは誰もいない廊下でそう呟いた・・・

 

「フェイト?居るの?入るよ」
フェイトの部屋のドアを開けるとカーテンを締め切っていて暗かった。
そしてフェイトはベットの上でうつ伏せになり泣いていた。
「な・・にしにきた・・・の?」
フェイトは途切れ途切れになりながら尋ねた。
「聞いて欲しいことがあるんだ」
「聞きたくない!」
そう言ってフェイトは手元の枕をキラに投げつけた。
しかしキラはそんな事を気にせずフェイトを抱き締め、多少強引に唇を奪った。
フェイトは驚いて抵抗したが、やがて大人しくなったのでキラは唇を離した。

 
 

「キラはずるいよ、そうやってすぐスキンシップで誤魔化そうとする・・・」
「ゴメン・・・でもこうでもしないと話聞いてくれないから」
キラはフェイトの瞳をしっかりと見て
「まずさっきはゴメン。君に嘘をついて。実はこれを買うのになのはに手伝ってもらったんだ」
キラはポケットの中から箱を取り出した。
「受け取って欲しいんだ、君に」
そう言って箱を開けると指輪が入っていた。
「僕指輪のことよく分からないし、はやてに頼むと色々大変なことになると思ってなのはに頼んだんだ。
それでね・・・」
言葉の途中でフェイトはキラに抱きつき堰を切ったように泣きじゃくった。
「ひっぐ、ゴメンね。キラ・・ゴメンね・・・」

 
 
 

しばらくして
「落ち着いた?」
「うん、ありがとう・・・キラ」
フェイトは少し名残惜しかったが顔を上げて
「さっきの話なんだけど・・・」
「うん・・・僕と結婚して欲しいんだ。もう二度と悲しい思いはさせない」
フェイトの鼓動は一気に高まり
「だからこれからも僕の傍にいて欲しいんだ」
フェイトはそれを聞いて涙でボロボロになりながら
「はい・・・」
頷き、そしてキラに抱き付きキスを交わした。

 

ピーピーピー
呼び出し音でキラは起きた。
周りを見渡すとすっかり外は暗くなっていた
(寝ちゃったのか・・・取り合えず出ないと)
キラは服を着て通信に出た。
「キラ君、もしかして寝てた?」
通信ははやてからだった。
「ううん、大丈夫だよ。それでどうしたの?」
「いやな、どうしても伝えとかんと・・・ん?」
何かに気付き、はやてはまるで新しい玩具でも見つけたと言わんばかりの笑顔で
「あかんな~キラ君、。ちゃんとYシャツのボタンを閉めとかんと、
せやないと首筋のキスマークが丸見えやで?」
キラは慌てて首筋を隠したが時既に遅し。
「は、はやてこれは・・・」
「あ~あ、大丈夫大丈夫。ダレニモイワヘンヨ!」
(絶対嘘だ!後半棒読みだし!)
「はやて・・・」
「休みを十~~分に満喫したようやな、よかったよかった。ほな」
一方的に通信は切られてしまった。
「・・・どうしよう」
「ん~?どうしたの?キラ」
フェイトは瞼を擦りながら起き上がった。
「ウウン。ナンデモナイヨ」
「?」

 

次の日
はやてのネットワークは凄まじく一日で情報は六課を巡っていた。
元々周知の仲だが、この手の話は他人の興味を惹くものであった。
おかげでしばらくキラはフェイトのファンクラブのメンバーに追い回されるのであった・・・

 
 

「なのは・・・昨日はゴメンね。私勝手に誤解しちゃって」
「気にしてないよ、私だって誤解される様なことしちゃたんだし・・・
それよりも仲直り出来たんだね?」
なのははフェイトの左手の薬指に輝く指輪を見て言った。
そしてフェイトは赤面しながら笑顔で

 

「うん」

 

と答えた

 
 

これからも、大変なことはあるだろう、それでも、キラと二人なら乗り越えていける・・・・・・

 
 

おまけ
ヴァイスとシンは自動販売機の前で休憩していた。
「いや~しかしキラさんとフェイト隊長がゴールインとはね~」
コーヒーを飲みながらヴァイスは呟いた。
「あの二人が結婚なんて想像できないっすよ・・・でもあの超天然のキラさんは他の女の人に
言い寄られても断れずにきっとフラグ立たせまくりですよ。それで・・・」
気が付くとヴァイスは必死な顔で(シン~、後ろ後ろ~)とジェスチャーしていた
「ん?」
後ろを見ると素晴らしい笑顔のキラが立っていて、
ガシッ!
「シンちょっとこれから僕が新しく考えた魔法を試すんだ、付き合ってよ」
「ちょっと待てよ、痛い痛い、肩が外れる」
「エターナルフォースブリザードって言うんだ、なかなか強そうでしょ?」
引き摺られていくシンにヴァイスは手を振って別れを惜しんだ。
「またオチは俺かよ!ちっくしょ~」
「パターンこそ王道だよ?」
その日シンは星になった・・・