運命と最強_第08話

Last-modified: 2007-11-19 (月) 13:28:46

「問題は彼らの目的よね」
リンディの問いに
「ええ・・・・どうも不に落ちません。彼らは自分の意思で闇の書の完成を目指しているようにも思えますし」
クロノは自分の考えも踏まえ答えた。
「うん?それって何かおかしいの?」
疑問に思ったアルフが自分の考えを話した。
アルフの考えに、互いを見るハラオウン親子。
そしてクロノは答えた。
「第一に、あれは自由な制御が利くような物じゃないんだ。純粋な破壊にしか使えないし、それ以外に使われたという記録は一度も無い」
「ああ・・そうか」
納得するアルフ
「それからもう1つ、あの騎士達の性質だ、彼らは人間でも使い魔でも無い」
その言葉に驚くなのは達
「魔法技術によって作られた擬似人格にすぎない筈なんだ」
その言葉に
「それって・・・わたしのような(ちがうわ!!」
フェイトは思ったことを口にするが、即座にリンディが否定する。
「あなたは生まれ方が少し違うだけで、ちゃんと命を受けて生み出された、まぎれもない人間よ」
「検査の結果でも、確かにそう出ている。滅多なことを言うもんじゃない」
「ごめんなさい」
クロノとリンディの言葉にシュンとするフェイト。
「どういう・・ことですか?」
プレアの質問に全員が沈黙する。
「私が・・・説明するよ」
驚く全員を無視し、フェイトはプレアに説明した。
「私はね、母さん『プレシア・テスタロッサ』が、亡くした実の娘『アリシア・テスタロッサ』を元に作成された人造生命体なんだ。
だけど、私はアリシアとは外観だけで、仕草や性格は全然似ていなかったんだ。「失敗作」呼ばわりもされた。
だからかな、母さんは私を娘と認めてくれなかった、微笑んでくれなかった。
それでも私は母さんに笑って欲しかった、母さんの願いを叶えてあげたかった、娘と認めて欲しかった。
だけど最後まで、母さんは自分を娘と認めてくれなかった。」
「もういいよ・・・・フェイト」
アルフが泣きそうな顔をしながらフェイトを止めようとした時

 

「・・・・違います・・・・・」

 

「プレア?」
「絶対に違う!!!」
突然のプレアの大声に全員が驚いた。
「フェイトちゃん、貴方は誰かの変わりに生まれたのではありません!!誰もが何かを決められて生まれたりはしない!!」
普段の温和な姿からは想像もできない真剣な顔で語るプレアに驚くフェイト達。
「貴方は『フェイト・テスタロッサ』であって、『アリシア・テスタロッサ』ではありません!!貴方がどう生きるかは貴方が決めることです!!!」
「・・・・・・・プレア」
プレアの言葉に呆然とするフェイト。
「プレア君の言うとおりだよ、フェイトちゃんはフェイトちゃん、私の大切な友達だよ!」
「そうだよ、それに、私の命を救ってくれた大事なご主人様さ!」
プレアに続き、自分の気持ちを告げるなのはとアルフ。
「プレア・・・なのは・・・アルフ・・・ありが・・とう」
フェイトは涙を浮かべながら答えた。
「一件落着したところで、モニターで説明しようか」
そう言い、エイミィが笑顔でモニターを操作するとヴォルケンリッター4人組とカナードが映し出された。
「守護騎士達は闇の書に内蔵されたプログラムが人の形を取ったもの、この4人は転生を繰り返して様々な主の下を渡り歩いている」
「意思疎通の対話能力は過去の事件でも確認されてるんだけどね、感情を見せたって例は今までに無いの」
その時、なのはとプレアは思ったことを口にする。
「でも、あの帽子の子、ヴィータちゃんは怒ったり悲しんだりしてたし」
「シグナムさんからも、はっきり人格を感じました」
「そうか・・・・・・エイミィ、次を頼む」
「了解」と返事をしながらモニターを操作すると、カナードが中心に映し出される。
「そして彼だ、彼は騎士達とは違い人間のようだ。プレア、あの時の会話からして君の知り合いかい?」
クロノはプレアに尋ねた。

 

「はい。彼、カナード・パルスさんとは元いた世界で戦っていました。」
「彼が探してほしいって言っていたカナード君ね?でもどうして戦っていたの?」
リンディの質問に、プレアは少し間を空け、答えた。
「彼は、戦って自分の存在を認めようとしていました。『コーディネーター』のことはお話しましたよね」
「ええ、人工的に遺伝子を改造した人たちよね」
「はい、彼は『コーディネーター』超える『スーパーコーディネーター』として作られたそうです」
『作られた』という言葉に反応するフェイト。
「ですが、彼は自分を失敗作といっていました。そして戦うことしか出来ない、戦いに勝利することでその存在が許される。とも」
「(私に・・・・・似ている)」
「僕は、そんな彼を止めたかった、きちんと話し合いたかった。だから戦いました。
『言葉を伝えるのに戦って勝つことが必要なら、それなら、きっと迷わずに戦かえる気がする』フェイトちゃんの言葉通りですね」
プレアはフェイトを見据えながら答えた。
「結局、戦いの最中にこちらの世界に飛ばされてしまったので答えを聞くことは出来ませんでしたが・・・・」
悲しそうな顔をするプレアに
「プレア君の言葉は・・・届いたと思うよ」
なのはは答えた。
「あの人、カナードさん言ってたよね『お前には感謝している!!「人を思う心、思いの力」を教えてくれたお前には!!』って、
そう思えたのはプレア君が必死に言葉を投げかけたからじゃないかな?」
「なのはちゃん・・・・」
「うん、私もなのはに出会って変われた。カナードもプレアに出会ったから変われたんじゃないかな?」
「フェイトちゃん・・・・」
二人の言葉にハッとするプレア

 

『暴力だけが解決方法ではないことは貴様から教わった』と言った彼

 

以前の黒い憎しみの炎が消えていた彼

 

『感謝している!!』と言った彼

 

「(僕の言葉は・・・届いたのかな・・・・)」
「それに、話し合う機会はまたあるよ。そのときは私達も手伝うから、全力全開で!」
「ありがとう、なのはちゃん、フェイトちゃん」
笑顔でお礼を言うプレア
「だっけど、なのははいつも全力全開だね~、いろんな意味で頼もしいよ」
「情け無用の全力全開だけどね」
「も~、アルフさ~ん、クロノ君まで~」
こうして、最後はほんわかな空気の中、ミーティングは終了した。

 

ミーティングが終わり、プレアはなのを送っていくこととなった。
(ユーノがいるが、「フェレットなのでこころもない」というクロノの意思でプレアが同行することとなった。〔ちなみにユーノの意思は普通に無視だれたそうで・・・〕)
「ねぇ、ユーノ君プレア君、闇の書の主ってどんな人かな?」
「闇の書は自分を扱う資質を持つ人をランダムで転生先に選ぶみたいだから・・・・」
「手掛りなどが全く無いですよね・・・・・・」
「そっか・・・案外私達と同じくらいの子だったりしてね」
「さすがに・・・それは・・・・・」
ユーノが否定する。
その時、なのはの携帯電話に着信がはいる。
「あっ、すずかちゃん、今日お友達がお泊りに来てるんだって」
「そうなの?」
「アリサちゃんですか?」
「ううん、ほら、八神はやてちゃん、今度紹介してくれるって」
そこには、すずかと一緒に闇の書の主、八神はやてが写っていた。

 
 

異世界

 

一面砂漠の世界の中、グラーフアイゼンを引きずりならヴィータは歩いていた。
「くそ・・はやてにもらった騎士服をこんなにグチャボロにしやがって・・・」
ヴィータの後方には血を流し倒れている砂竜がいた。
「まぁ・・・騎士服は直るし、ページもそこそこ稼げたからいいけどよ・・」
その時、靴の一部がちぎれ、転ぶヴィータ。
「くっ・・・いたく・・ない、こんなのちっとも痛くない!昔とは・・もう・・・違うんだ・・・」

 

    道具としてしか扱わず、自分達の命を蟲ほどにも感じなかった今までの主達

 

立ち上がりグラーフアイゼンを杖代わりに歩き出すヴィータ
「帰ったらきっと、あったかいお風呂と、はやてのご飯が待ってんだ・・優しいはやてがニコニコ待っててくれるんだ」

 

    自分達を家族として迎え、温かい日常を与えてくれた今の主

 

「そうだよ・・・私は、すっげー幸せなんだ!だから!!」
その時、地中から現れる砂竜
「こんなの・・・全然いたくねぇ~!!!!」
叫び、砂竜の攻撃を飛んで回避し、グラーフアイゼンを砂竜の顔面に叩きつけた。
地面に着地し、もう一攻撃加えようとしたとき、
「ギャアアアア!!」
後ろからもう一匹の砂竜が現れ、ヴィータに襲い掛かる。
砂竜の突撃をどうにかかわし、二匹の竜の間に距離を作るヴィータ。
「(・・・・厄介だな・・・カートリッジはあと一発・・やれっか?)」
ヴィータが考えているうちに、二匹の砂竜はヴィータに襲い掛かってくる
「・・・・・・考えてもしょうがねぇ・・・やるんだ!!」
二匹の砂竜に突撃しようと、足に力をいれた時、今度は反対の靴の一部がちぎれ、バランスを崩し転んでしまう。

 

「(やべぇ!!)」
砂竜が触手を放ち、ヴィータに襲いかかろうとしたとき
『ガガガガガガガガガガガ』
無数の魔力弾が触手をなぎ払った。
「無事か?」
マガジンを交換しながらカナードがヴィータの隣に降り立った。
「カナード!わりぃ、助かった」
「気にするな、それより受け取れ」
そう言い、カートリッジを渡す
「いいのか?」
「俺はお前達と使い方が違うからな、それほど消費しない・・・・・いけるか?」
「だれにいってるんだよ!!」
元気に答えるが、多少ふらつくヴィータ。
「しょうがない、戦意が上昇する良いことを教えてやろう」
「なんだよ、良いことって?」
いぶかしむヴィータ。
「今晩の夕食はハンバーグだそうだ」
「ハンバーグ・・・・・やるぜカナード!おくれんな!!」
そう言い、砂竜に突撃するヴィータ。
「(ふっ、単純な奴だ。まぁ、あいつらしいといえば、あいつらしい)」
そう思いながらヴィータに続き攻撃を開始するカナード。
数分後、砂竜の奇声がこの世界にこだました。

 

:会議の翌日

 

リンディの部屋

 

キーボートを操作しながらレティと話すリンディ
「こっちのデータは以上よ。お役に立ってる?」
「ええ、ありがとう、助かるわ」
「ねぇ、今日はこっちに顔を出すんでしょ?時間合わせて食事でもしようか?あの子達の話聞きたいし」
「あの子達って?」
ふと、考え込むリンディ
「ほら、貴方が預かってる養子にしたいって言ったこと。事件に協力してくれてる素直な男の子のことよ」
「ああ・・・フェイトさんとプレア君ね」
「そう、フェイトちゃんとプレア君、元気でやってる?」
「うん、事件につき合わせちゃっててちょっと申し訳ないんだけど、仲良しの友達と一緒だし何だか楽しそうにやってるわ二人とも」

 
 

聖祥小学校

 

「な・・なんだか一杯あるね」
携帯電話のカタログを真剣な目で見つめるフェイト
「まぁ、最近は機能も似たようなものばかりだし、見た目で選んで良いんじゃない?」
「でもやっぱりメール性能がいいやつがいいよね」
「カメラが綺麗だと色々楽しんだよ」
事の発端は、なのは達が携帯電話を持ってることを知ったリンディが
フェイトやプレアにもどうだろうか?と勧めたのがきっかけであった。
当時は二人とも遠慮したのだが、結局はリンディの「量販店で待ってるから、学校帰りによってらっしゃい」
とい強行手段に折れ、携帯電話を買ってもらうこととなった。
「色とデザインも大事だよ」
「外部メモリーついてると色々便利なんだよ。、写真とか音楽とか沢山入れておけるし」
「う~ん・・・・・」
さらに考え込むフェイト
「で、悩んでるフェイトと違ってプレアは決まったみたいだけど」
「はい、これです」
プレアが指差す機種をみる4人
「・・・・・・・『楽々ホン』って・・・・年寄りか~!!」
周りを無視し、豪快に叫ぶアリサ。
「いえ・・・・通話が出来ればいいので・・・・・」
「もっと色んな機能がついてるもの選ぼうよ、通話だけじゃつまんないよ?」
すずかが苦笑いしながら新機種を勧めるが
「メールもできますし、着信音は3曲から選べるんですよ」
笑顔で答えるプレア
「・・・・・あ~も~!却下よ却下!!私達が選んであげるからそれにしなさい!!!」
その結果、プレアはフェイトと色違いの携帯電話を持つこととなった。