魔動戦記ガンダムRF_27話

Last-modified: 2011-08-13 (土) 23:11:49

シン達コズミックイラのMS隊がミッドチルダに落下していくユニウスセブンを止めるため善戦していたころ、戦艦時の箱舟に侵入し二手に分かれたフェイト達管理局の魔導師達は、それぞれ激闘を繰り広げていた。

 

~ヴォルケンリッターサイド~

 

「うおおおおおお!!!!」
「はああああああ!!!!」
シグナムとザフィーラは迫りくるマリアージュ軍団に向かって突撃し、次々とそれらを薙ぎ払って行く。そこから離れた場所ではヴィータが迫りくるマリアージュを見て悪態をついていた。
「くっそ!全然減らねえぞこいつら!いくらいるんだよ!」
「マリアージュって確か死体から作り出すって聞いたわ、ということはまさか……。」
「ユニウスセブンに埋葬されていた人たちを使ったんやな、まったく胸糞悪い……!」
はやては憤りを感じながらマリアージュ達に魔法を叩き込みながら、遠くで戦っていたシグナムに声をかける。
「シグナム!先に行ったフェイトちゃん達が心配や!アギトと一緒に様子を見に行ってくれへんか!?」
「わかりました……行くぞアギト!」
「おう!」
そう言ってアギトは手から大量の炎を放ち、行く手を塞いでいたマリアージュを一掃し、シグナムと共にそこを駆け抜けようとしたが……。

 

「行かせないわよ!」
離れた場所でマリアージュ達に指示を送っていたフェリシアがシュベルトゲベールでシグナムに斬りかかってきた。

 

ガキィンッ!!!

 

「くっ……!」
「お父さんに指一本触れさせない……邪魔しないで!」
「お前こそ邪魔すんな!」
アギトはシグナムを助ける為にフェリシアに向かって炎を放つ、対してフェリシアはエールの力を使って透明のシールドを発生させ防御する。
「いまだシグナム!」
「ああ!」
そしてフェリシアが怯んでいる隙にシグナムとアギトは彼女の横を思いっきり駆け抜けた。
「ま……待て!」
フェリシアは慌てて彼女達を追ってその場から去っていく、それを見ていたはやてはニヤリと笑った。
「よし、指揮官が離れた……一気に殲滅するで!」
「おう!まかせとけ!リイン!」
「ハイです!」
そう言ってリインはヴィータの体の中に入って行く、するとヴィータの着ていたバリアジャケットが赤から白に変わって行き、彼女の赤い髪も黄色く変化していった。
「こんなもんミッドチルダに落とさせねえぞ……!あそこには私達の家があるんだ!」
「その通りだ……!デスティニー達がくれたこの命の借り、ここで返させてもらう!」
そして数秒後、はやて達のいたエリアは激しい爆風に包まれた……。

 

その頃フェイト達の救援に向かっていたシグナムとアギトはMSの格納庫らしき場所にたどり着いた。
「むっ、道を間違えてしまったか。」
「おい!シグナムあれ見てみろよ!」
アギトのゆびさす方角には、何か繭のようなもので包まれた盗まれたMSがいくつも並んでいた。
「何だこれは……これもマリアージュなのか?」
「たあっ!」
すると背後から追ってきたフェリシアがシグナムに襲い掛かり、シグナムはとっさにその一撃をよけてフェリシアと対峙する。
「くっ……!」
「うふふふ……いい反射神経ね、今の一撃を避けるなんて……でもこれ以上邪魔はさせない!」
切羽詰まった様子のフェリシアは何度も何度もシグナムに切りつける、対してシグナムはレヴァンティンでそれを紙一重で捌いて反撃の機会を窺っていた。そしてその様子を見ていたアギトは援護しようと手に赤い炎を纏う。
「シグナム!援護を!」
「手を出すなアギト!こいつは私が相手をする!」
「ふふふっ……!あなたに私の相手が務まるかしら?一度手も足も出せずに負けたくせに!」
「ああ、確かに私は一度お前に敗れている……しかし二度も敗れるつもりはない!」
シグナムはフェリシアとの距離を一旦離すとレヴァンティンを連結刃形態にし、それを豪快にうねらせてフェリシアを攻撃する。
「くっ!動きを制限して近付けさせないつもりね!そうはさせない!」
そう言ってフェリシアはブラッドエンドでレヴァンティンの攻撃を弾きながらシグナムとの距離を詰める。
そしてあと二、三歩でシグナムに届くという位置に来た時、フェリシアはブラッドエンドの刃をシグナムの腹部に向かって突き出した。
「これで終わりよ!懐に入れば……。」
「ぬうううう!!!」
だがシグナムはその突き出された刃を体をひねる事でかわし、その遠心力を利用してフェリシアの左の脇腹にレヴァンティンの柄を突き刺した。

 

ベキッ!!!

 

「がっ……!!?」
あまりの痛さにそのまま前のめりに倒れ、脇腹を抱えて蹲るフェリシア、それを見たシグナムはレヴァンティンを柄に収めた。
「非殺傷設定がないから普通に痛いだろう、アバラ骨が何本か折れているハズだ、これ以上戦うと骨が肺に……。」
「ふ……ふふふ……私の負けってわけね……。」
そして離れていた位置で見ていたアギトがフェリシアにバインドをかけて拘束する。
「へえ!お前すごいんだな!こんな強い奴を倒すなんて……。」
「ふっ、私なんてまだまださ。」
するとシグナムの脳内に別の場所で戦っていたはやて達から念話が入ってきた。
(シグナム、そっちはどうや?こっちは全部終わったで!)
「こちらもフェリシアを捕縛しました、今すぐ彼女を連れてそちらに向かいます。」
(そうか!ありがとな、後はフェイトちゃん達だけか……。)
「……テスタロッサなら大丈夫でしょう、アルフ達もついていますし……。」
(うーん、そうだとええんやけど……。)
するとバインドに縛られたままのフェリシアが苦笑いしながら念話に入り込んできた。
「ふふふふ……そう簡単にいかないわよ、だって私のお父さんは強いんだから……。」
「……テスタロッサだって負けないさ、貴様の姉なんだろう?」
「そうね……もうどっちを応援したらいいのやら……。」
そしてシグナムはフェリシアを抱えアギトと共に合流地点に向かっていった。

 

~フェイトチームサイド~

 

その頃フェイト、クロノ、そしてアルフは生身の状態であるアリューゼに対して苦戦していた。
「はぁっ!はぁっ!くそっ……!エターナルコフィン!」
クロノは息を切らしながらアリューゼに向かって冷却魔法を放つ、しかし……。
「かぁ!!!!」

 

ブワッ!!!

 

「き、気合でかき消された……!」
「なら肉弾戦だ!うぉりゃー!!!」
そう言ってアルフはアリューゼに対して飛行魔法で猛突進する、それに対してアリューゼは……。
「ふむ、その心意気は見事……しかぁしっ!!」
人の域を超えた速さでアルフの腹にアッパーカットをお見舞いし、彼女を天井に叩きつける。
「うわあああ!!!?」
「アルフ!!!」
「魔法に頼っているようじゃあ……私は倒せない!!!」

 

「あぐぐぐ……!」
「アルフ!大丈夫か!!?」
フェイトとクロノは天井から落ちてきたアルフに駆け寄り、彼女を抱き起こした。
「フェイト……あんたのお父さん本当に人間!?魔法も何も使っていないのにあんな出鱈目な強さを持っているなんて!」
「いかんな……あれじゃ射撃魔法は打ち消されるし、生半可な近距離戦も挑む訳には……。」
その時、フェイトはこちらの話が終わるまで準備運動をして待っているアリューゼを見ながら二人に指示を出す。
「お兄ちゃん、アルフ……二人はこの戦艦のどこかにいるイクスヴェリアを探して脱出して、あの人は私がなんとかするから。」
「そんな!?無茶だフェイト!」
「そうだよ!それにあの人はフェイトの……!」
「……今はそんなこと言っていられないよ、それにうまくいけば説得できるかもしれないし……。」
「…………わかった、気をつけるんだぞフェイト。」
そう言ってクロノは負傷したアルフを連れて王座のある部屋から去って行った。
「いい兄と使い魔を持ったようだね、君は……。」
「はい、二人とも世界一です。リンディ母さんも、エイミィお義姉ちゃんも……。」
その言葉を聞いたアリューゼは寂しそうな顔をした後、フェイトに向かってお詫びの言葉をかけた。
「すまなかったな、世界一の父親になれなくて、プレシアもそうだが私たちは最低の親だ……。」
「そんなことないです、プレシア母さんには愛して貰えなかったけど、二人がいなかったらみんなに出会えなかった、それに……。」
そう言ってフェイトはアリューゼに向かって手を差し伸べる。
「まだ……手遅れじゃない筈です、降伏してまたやり直しましょう、プレシア母さんだってあなたがそんなことをするのは望んでいない筈……。」
「…………。」
そのフェイトの行動に、アリューゼは拳を強く握りしめて言い放った。
「フェイトよ……生き物が死ぬとどうなるか知っているか?」
「え……?」
「天国や地獄なんて所詮人が作りし妄想、死ぬと何も感じなくなるのだよ、見る事も、聞く事も、触る事も、悲しむ事も……!あの豚の醜い欲望によって利用されて死んでいった者だってもう何も感じていないのだ、悲しむなんてありえないのだ!」
「……!」
フェイトはアリューゼの圧倒的な威圧感に圧されて後ずさりする、そうしている間にも彼の話は続いていた。
「それゆえに私はあいつを許さない……!あいつが今も踏ん反り返って息を吸っていると考えるだけで私は腸がにくりかえりそうなのだよ!」
「だ、だからって何もミッドチルダの人たちまで巻き込むのは……!」
「彼らはやがて第二、第三のコズミックイラを生み出すだろう、どんなに優秀な局員がいようとも、中枢で暗躍している者が腐っているようじゃな……ならその前にこの世界から消し去ったほうが全世界のためだ!」
「そんな……そんなことさせない!」
フェイトは意を決してバルディッシュアサルトを構える。それを見たアリューゼはとても悲しそうな顔で首を横に振った。
「残念だよフェイト……できれば君とは戦いたくなかった。」
「私もです……!」

 

そして辺りに静寂が訪れ、フェイトとアリューゼは身構えたまま指一つ動かさずに相手の出方を窺っていた。

 

ふと、フェイトは緊張からか顔に一筋の汗を流した、そしてその汗が地面にポタリと落ちた時、両者は目にも止まらぬ速さで切り結んだ。
「くうう……!!」
「うむ……なかなかの反応速度だ、よく鍛えているな。」
アリューゼはバルディッシュを持つフェイトの腕を掴みながら余裕の笑みを浮かべる。
(う、動かない……!?)
「さて、こういうことをするのは気が引けるが……!」
そしてアリューゼはそのまま体をひねり、フェイトの脇腹にミドルキックを決め壁まで吹き飛ばしてしまった。

 

「あああああ!!!?」
轟音と共に崩れる壁の破片に飲み込まれるフェイト、しかしアリューゼは構えを解くことなく立てた人差し指をくいくい動かしてドンドン攻め込むよう促す。
「それで終わりじゃないだろう?私が生身だからって遠慮することはない!」
『ソニックフォーム!』
すると瓦礫の中にいたフェイトは真ソニックフォームに変身し、そのまま高速ですれ違いざまにアリューゼの右ほほを切りつけた。
「や、やった!初めて入った……!」
「ふふふふ……そうだその意気だ!もっと打ちこんで来い!」

 

その頃戦艦時の箱舟の外では、万が一に備えいつでも砲撃できるようアークエンジェル、ミネルバ、エターナルが主砲の発射準備に入り、周りではMS隊が同時砲撃できるよう待機していた。
「ラミアス艦長、そちらの方はよろしいですか?」
『ええ、ところで先ほど回収したジャスティスは……?』
「あれは核エンジンは無事だったんだが損傷が激しく今すぐには動かせそうにない、アスランには気の毒だが……。」
「フリーダムもひどい損傷のようです、急造でしたから無理もありませんが……。」
『そうですか……とにかくフェイトさん達が戻ってくるのを待ちましょう、彼女たちならなんとかして……?』
その時マリュー達は、自分達の後方から見たことのない戦艦で構成されている艦隊が近づいていることに気づく。
「あれは……時空管理局か?」
『どうなんですかリンディさん。』
『はい……それに確かあれは……!』

 

そのころ突如現れた管理局艦隊の旗艦では、司令官がブリッジクルーや護衛艦にある指示を出していた。
「ほ、本当にいいのですかフクザワ指令!?あの戦艦を勝手に攻撃して……。」
「貴様はバカか!?早く攻撃して破壊せねばミッドチルダは滅ぶのだぞ!早く全艦隊砲撃を開始しろ!」
フクザワは自分の悪事が露見するのを恐れ、自分の手で証拠やアリューゼら証人を消し去ってしまおうと考えていた。
(こんなことで……こんなことで私は終わってたまるか!)
そしてフクザワの号令の元、管理局の艦隊はCE軍や戦艦時の方舟の中にいるフェイト達に構わず主砲の一斉発射を開始した。

 

一方エターナルやアークエンジェル、ミネルバのクルー達は管理局艦隊の突然の砲撃に驚いていた。
「な……何をやっているんだ彼等は!?」
「皆さん回避してください!」
『もうやっています!』
『うおおおお!!!』
各艦の操舵士達は背後から襲いかかってきた砲撃を必死になって避ける、そして砲撃はそのまま戦艦時の方舟の各所に直撃した。
『そんな……!まだフェイトさん達がまだいるのに!』
『あ!あれを見てください!』
その時アーサーが何かに気付き、一同は彼が指をさす方向を見る、そこには弾薬庫か何かがあったのか至る所で大爆発が起こっていた。
『た、大変です艦長!今の攻撃で戦艦の落下速度が速まっています!』
『なんですって!?』
メイリンの言葉を聞きデータを見るタリア、そして想定していなかった事態に思わず艦長シートに拳を叩きつける。
『まずいわ……!落下速度が速まっているから後数時間しかないわよ!』
『そんなぁ!どうすれば……!』
『あの男……!余計な事を!』
リンディは管理局艦隊を睨みつけながら次の作戦を考える、一方管理局艦隊のほうは今の攻撃で落下速度が速まった事に気付いたのか、何もしなくなっていた。
「さて、向こうさんも大人しくなった所でどうする?もうこれ以上待ったら落下してしまうぞ?」
「解っています……MS隊は艦内に潜入したフェイトさん達の救出に向かってください!それが済み次第我々も砲撃を開始いたします!」

 

同時刻、イクスヴェリアを探していたクロノとアルフは、突然の揺れに戸惑っていた。
「エイミィ!今の揺れはなんだ!?」
『それが……管理局の艦隊が勝手に砲撃を始めて、落下速度が急激に早まっちゃったみたいなの!作戦を変更するしかないから早く脱出して!シン君達がそっちに向かっているから!』
「そんな……!フェイトがまだ戦っているのに!」
「くそっ!」
クロノは苛立ちを隠せず思わず壁に拳を打ち付けた。その時……彼らの目の前に年端もいかない少女が現れる。
「う、うわわわ……いったい何が起こって……。」
「な、何しているんだいアンタ!こんなところで……!」
「もしかして君がイクスヴェリアか?」
「え?は、はい……。」

 

数分後、シグナムと合流したはやて達はイクスヴェリア発見の報をエイミィから聞いていた。
「それじゃクロノ君は当初の目的を達成できたんやな?」
『うん、今レイ君がクロノ君を連れてここから脱出しているところ!そっちにもスウェン君とアウル君が行くから……。』
「待ってくれ!テスタロッサがまだアリューゼと戦っているのだぞ!?あいつはどうするのだ!?」
『大丈夫、そっちにはシン君が行ったよ、だから安心して。』
「シン君が……なら大丈夫ですよね……?」
「今は信じるしかあるまい、我々は脱出しましょう。」
「う、うん……。」
はやては不安になりながらも、捕縛したフェリシアと共にスウェンが来るのを待った。すると……。
「はやて!皆!」
ノワールとユニゾンしたスウェンがはやて達の元にやって来た。
「スウェン!来てくれたんやな!」
「ああ、向こうにMSを停めてある、アウルも待っているぞ、」
「わかった、ほら……お前も来い!」
「わかっているわよ……。」
そう言ってバインドで縛られたフェリシアは人間形態のザフィーラに担がれながらスウェンに付いて行った。
(父さん……フェイト……。)

 

その頃フェイトとアリューゼは瓦礫が崩れる中戦闘を続けていた。
「はああああ!!!」
「はっはっはっはっは!遅い遅い!」
アリューゼはフェイトの真ソニックフォームの高速攻撃をいとも簡単に回避し、すれ違いざまに二、三発攻撃を入れていった。
「な、なんで見切られるの……!?」
「ま、踏んできた場数が違うってところかな?君の部隊の人間は優秀だが……若輩者ばかりだからな、そんな偏った編成ではそのうちボロを出すぞ!」
「くっ……!」
フェイトはそのままアリューゼに突撃する、しかし攻撃が当たる瞬間に胸倉を捕まれ、そのまま背中から地面に叩きつけられ、肺の中の空気が一気に吐き出されて息ができずに咳き込んでしまう。
「かはっ……!」
「おおっと痛かったかな?手加減できなくて悪かったね。」
「くっ……!」
フェイトはすぐさま起き上がりアリューゼと距離をとると、呼吸を整えてライオットザンバー・スティンガーを構えた。
「はあっ!はあっ……!」
「ふふふふ……凛々しい面構えだ、あの頃のプレシアを思い出す。」
「私は……負けません!アナタのしようとしている事……絶対に阻止してみせる!」
そう言ってフェイトは再びアリューゼとぶつかり合うのだった。

 

その頃アークエンジェルでは、エターナルからある作戦が通達されていた。
「フリーダムとジャスティスの核エンジンを自爆させる……!?本気なんですか!?」
『まあそれしかないだろう、あの二機はもう使い物にならないしどうせなら有効に使おうじゃないか。』
『ハイネさんのデスティニーも使った方がいいでしょうか?三機あれば確実にあれを細かく砕くことができると思うのですが……。』
「それしかないみたいですね……加速してしまった今、一刻も早い対処が必要みたいですし……。」
「しかし核ですか、禁止していた質量兵器に救われるなんてなんとも皮肉な話ですよね。」
そう言ってリンディはモニターに映る格納庫に収容された半壊したフリーダムらを見て自嘲気味に笑う。
「とにかくはやてさん達には早く脱出してもらいませんと、彼女達は今どうなっています?」
『スウェンさん、アウルさん、レイさんがフェリシアさんとイクスヴェリアを確保した彼女達と共に脱出したようです、でもフェイトさんがまだアリューゼさんと戦っているみたいで……シンさんが向かっているのですが連絡が取れないそうなのです。』
「そうですか……。」
「フェイト……シン君……。」

 

その頃フェイトとアリューゼを回収するためクロノ達と入れ違いで時の方舟に潜入したシンは、ユニゾンデバイスのデスティニーとユニゾンして船内を探索していた。
「デスティニー、フェイト達がどこにいるかわかるか!!?」
『恐らくこの先でしょう、しかし……。』
彼等の行く手は瓦礫で埋もれており、完全に通れなくなっていた。
『完全に通れなくなっていますね、無理に破壊すれば空気が抜けてしまうかも……。』
「くそっ……!回り道をするしかないのか!もうすぐここは核爆発されるっていうのに!フェイト……!アリューゼさん……!」
シンは焦る気持ちを抑えながら他の道を探しに駆け足でその場を去って行った……。

 

同時刻、フェイトはアリューゼを説得しながら激しい戦いを繰り広げていた。
「もうやめてください……!ここは核爆発させられるんです!このままじゃアナタは……!」
「そういう君こそ逃げたまえ、こんな所で若い命を散らす事はない。」
「アナタを捕まえたらそうさせてもらいます!」
そう言ってフェイトはバルディッシュを大剣形態のライオットザンバー・カラミティに変形させて、アリューゼに向かって振り降ろす。
「むっ!!?」
アリューゼはそれを素手で白刃取りして受け止める。
「うくぅ……!!」
「はっはっは!どうしたどうした!!?こんなんじゃ私は倒せないぞ!」
アリューゼはバルディッシュを掴んでいる手の力を強めへし折ろうとする。
「ううっ……はあああああ!!!!」
その時、フェイトはバルディッシュをアリューゼから引き離し、そのままバットを振るように彼の左横っ腹に向けてバルディッシュを叩きこんだ。
「うおおおお!!!?」
アリューゼはそれを両手で支えるが、フェイトあまりのパワーに圧されていた、そして……。
「はああああああああ!!!!!」
フェイトが最後の力を振り絞ってバルディッシュを振り抜き、アリューゼはそのまま壁に向かって吹き飛ばされてしまった。

 

「うおおおおおおおお!!!!?」
ドォォォォン!!!

 

「か、勝った……。」
アリューゼとの戦いに勝利したフェイトは体力と魔力を消耗してその場で膝をつく、そして呼吸を整えて壁に打ちつけられているアリューゼの元にやって来た。
「アリューゼ・ハンスブルグ……アナタをテロ行為の容疑で拘束します。バルディッシュ……。」
『イエッサー』
そしてアリューゼの体に金色のバインドが掛かり身動きが取れなくなる。
「あーあ、負けてしまったか……でもまあ君達にこの戦艦を止める事はできないさ。」
「そんな事……やってみなきゃ解らないです。」
「ははは!意地っ張りな所も彼女そっくりだ!」
アリューゼは何故か自分が敗れた筈なのに満足そうな顔をしていた。
(この人の余裕……一体なんなの?まさかまだ隠し玉が……?)
その時2人のいる広間の天井が先程の砲撃のダメージが原因で崩れ出し、フェイト達の傍に瓦礫が轟音を立てて落下してきた。
「ここももう危ない、早くシンと合流して逃げないと……。」

 

「!!いかん避けろ!」
「え?」
次の瞬間、フェイトの頭上にも瓦礫が落下してきた。アリューゼはその事にいち早く気付き叫ぶが、先程の戦闘で疲労がたまり注意力が落ちていたフェイトはその声に反応することができなかった。

 

そしてフェイトは落ちてきた大量の瓦礫に飲み込まれてしまった……。

 

「う……んんん……?」
数分後、フェイトは瓦礫の山の中でうつ伏せに倒れている状態で目を覚ました。
「そっか、私崩壊に巻き込まれて……痛っ!!?」
ふと、足になんとも言えない激痛が走る、よく見ると足は瓦礫に挟まって全く動かせなかった。
「フェイト、じっとしていなさい。」
「え……?」
その時、フェイトの目の前にバインドを引きちぎったアリューゼが現われ、彼女の周りの瓦礫を次々と避けていった。
「足は……こりゃいかん、完全に折れているな。」
「そうみたいです……くっ……!」
「無理に動かすんじゃない、まったく……防御を捨てたフォームがまさかこんな所で裏目に出るとは、君もつくづく運が無いな。」
「は、はい……。」
フェイトはアリューゼに骨折した足をその辺に落ちていた鉄で固定してもらう。
「あははは……最後に失敗しちゃいました。空気も漏れているみたいだし……これじゃシン達もこれなさそう……。」
「…………。」
その時、フェイトはアリューゼが頭や腕から血を流している事に気付き、彼に問いかける。
「もしかしてその怪我……私を守る為に?」
「まあそんな所だ、娘を助けるのは当然だしな。」
「娘……。」
フェイトはアリューゼが自分の事を“娘”と呼んでくれた事に少し嬉しさを感じていた。
「私の事……娘と認めてくれるんですか?私はアリシアのクローンなのに……。」
「何を言っている、ちょっと他の子と授かり方が違うだけじゃないか、そんな事私は気にしないさ。」
「…………ありがとうございます。」
その時、彼女達の周辺に大きな揺れが発生し、周辺に再び瓦礫が落下してきた。
「私達……もうすぐ死んじゃうでしょうか?」
「……だろうな。」
「あはは……こんなにあっさり死んじゃうなんて、こんな事ならもっと早くシンに……。」
「…………。」
「もっとアリューゼさんとお話したかったです、母さんの事とか聞きたかったし……アリシアにも会わせたかったし、フェリシアと一緒に…………。」
そう言って一人語り続けるフェイト、彼女の瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた。

 

するとアリューゼはフェイトの目に浮かぶ涙を手で拭い、彼女の耳元で優しく囁いた。
「泣くんじゃないフェイト……大丈夫、君はここで死ぬ事は無い。」
「アリューゼ……さん?」
次の瞬間、フェイトとアリューゼの頭上から再び瓦礫が落下してきた。するとアリューゼはフェイトの上に覆いかぶさり、彼女を瓦礫から身を挺して守った。
「あ、アリューゼさん!何を!!?」
「何を?ふふふふ……愚問だねえ……ゴフッ!」
次々と落下する瓦礫、それでもアリューゼは血反吐を吐きながらフェイトを守り続ける。
「アリューゼさんやめて!このままじゃ死んじゃいます!私に構わないで逃げて……!」
「それは……聞けないなぁ……!私はもう……!」

 

一方シンは崩れ落ちる瓦礫に四苦八苦しながらもようやくフェイトとアリューゼのいる広間にやって来た。
「フェイト無事か!……あああっ!!?」
シンの目の前には崩れて滅茶苦茶になっている広間があった、そして彼の脳裏に最悪の事態が浮かび上がり、気付いた時には瓦礫の中に駆け込んでいた。
「フェイト!アリューゼさん!無事なら返事してくれ!おい!」
『主、奥の方に生命反応が……。』
「そうか!フェイトーーー!」
シンは居ても立ってもいられずデスティニーが指定した個所に向かう、そしてシンはそこで信じられない光景を目の当たりにする。

 

「あ、アリューゼさん!フェイト……!」
そこには瓦礫からフェイトを庇い心臓に破片が刺さって致命傷を負ったアリューゼの姿があった。
「し、シン!アリューゼさんが!」
「アリューゼさん!しっかりしてください!アリューゼさん!」
「ふふふふ……シン君か、どうやら鍛え方が足りなかったようだ……ガハッ!」
シンは重傷を負って吐血するアリューゼを抱き上げ、彼に意識を維持させるため必死に呼びかけた。
「しっかりしてください!アンタにはアリシアやフェリシアが……フェイトがいるのに、アイツ等を残して死ぬつもりかよ!」
「そうだな……君やあの子達には申し訳ない事をした、父親らしいことを何一つしてあげることを……。」
「そんな……そんな事ないです!だってアナタは私を庇って……!」
フェイトは目に涙を浮べながら起き上がってアリューゼの手を握り、シンはそんな彼女の肩をしっかり抱いてその光景を見守っていた。
「シン君……死ぬ前に頼みがある……聞いてくれないか……?」
「な、なんだよ……アンタ死ぬつもりかよ!そんなの許す訳……!」
するとアリューゼはシンの言葉を遮るように彼にフロッピーディスクを渡す。
「もしこの先生き延びるような事があればこの中身を見るといい……それと……初めて君達が二人一緒にいるところを見たときから感じていたんだ、君なら……フェイトを幸せに……ゴフッ!」
「お願いです!もう喋らないで!じゃないと……!」
「気にするな……私はもう無理そうだ、君達の顔が見えないんだ……。」
フェイトはそのままアリューゼを力強く抱きしめ、大粒の涙を流しながら何度も何度も“死なないで”と繰り返した。
「お願い死なないで……貴方にはもっともっと色んな話がしたいんです、アリューゼさん……!お父さん!」
「はははは……こんな私を父と呼んでくれるのか、嬉しいなあ……。」
次の瞬間、フェイトはアリューゼの体から温もりが消えていくのを感じた。
「お父さん……!嫌……!目を開けてお父さん……!うわあああ……ああああああああああああああああああぁっ!!!!!!」

 

「くそっ……!俺はまた……!」
そしてシンもまた、またもやフェイトの大切な人を守れなかったという悔しさから涙を流した。するとそこにリンディから念話が入ってきた。
(シン君……!もうすぐ爆破時刻よ!早くしないと破片が砕ける前に地表に落下しちゃう!…………シン君どうしたの?まさか……!?)
『……アリューゼ・ハンスブルグはたった今死亡しました、我々はこれよりフェイトさんを連れてこの場から脱出します、よろしいですね主?』
「うん……行くぞフェイト……。」
そう言って手を差し伸べるシン、しかしフェイトはそれに対しアリューゼの亡骸を抱き締めながら首を横に振って拒否する。
「嫌……!お父さんをここには残しておけない!私もここに残る!」
「バカを言うな!お前まで死ぬつもりかよ!!」
「だって……だってお父さんがこんな所で一人ぼっちなんて可哀相だよぉ!どんどん冷たくなって……私が……私が一緒に死んであげないと」

 

パァン!

 

次の瞬間、辺りに乾いた音が鳴り響いた、シンは錯乱しているフェイトに対して平手打ちをしたのである。
「シン……!?」
「フェイト……!バカなことを言うな!アリューゼさんはお前に生きていて欲しいって言ってたじゃないか!それに……お前が死んだら俺だって……!」
「シン……?」
フェイトはその時、シンもまた自分のように顔をクシャクシャにして泣いている事に気付いた。
「お前が死んだら……俺はどうすればいいんだよぉ……!頼むから……頼むから死にたいなんて言わないでくれ!生きていてくれよ!」
「シン……!」
そして二人はそのまま、互いの存在を確かめるように、そして二度と何処にも行かないように抱き締めあった。
「ゴメンね……ゴメンねシン……!」
「大丈夫……俺が守るから!俺が君を守るから……!」

 

『主、そろそろ脱出しませんと……。』
そして二人が落ち着いた所を見計らってデスティニーが声を掛ける。
「解っている、ほら、フェイト……。」
そう言ってシンは足が骨折して動けないフェイトを抱き上げ、そのままお姫様抱っこしてアリューゼの亡骸のある広間を後にした。

 

(お父さん……さようなら……。)

 

その数分後、格納庫付近に停めてあったデスティニーガンダムにフェイトと共に乗り込んだシンは、急ぎエンジンを掛けて戦艦時の箱舟からの脱出を試みた。
「早くしないと作戦が間に合わなくなる……!急がないと!」
「うん……。」
するとコックピットにミネルバのメイリンから通信が入る。
『シン!もうすぐ三機を爆破する時刻だよ!早く脱出して!』
「わかっている……飛ばすぞフェイト!」
「うん!」
そしてシンはデスティニーガンダムのエンジンをフル稼働させて時の箱舟から脱出した。

 

「艦長!デスティニーがフェイトさんを連れて脱出したようです!」
「キラ君達の準備も完了しました!いつでもいけます!」
ミネルバにいたタリアはアーサーとメイリンからの報告を受けると、その他の艦に号令を下した。
「ラミアス艦長、ラクスさん、リンディ提督……準備はよろしいですね?」
『こちらはいつでもいいですよ!』
『ワタクシ達の背にはミッドの方々の命運が掛かっています、絶対に成功させましょう。』
『お願いします……!』
「わかりました……それじゃ各自自爆装置を作動させて!」

 

その頃、タリアからの指示を受けたキラ、アスラン、ハイネはミッドチルダが視認できる位置まで接近したユニウスセブン各所に、指定の場所に半壊した自分達の自機を配置し自爆装置のコードを解除した。
『結局……一度も乗る事ができなかった。』
『元気だせよアスラン、運が悪かったんだよ。』
「フリーダム……今までありがとう、君の事は忘れない。」
「ご主人様……きっと彼もご主人様に感謝しているよ。」
『おいキラ!早く脱出するぞ!』
そしてキラ、アスラン、ハイネはそれぞれディアッカ、イザーク、ルナに連れられてその場を脱出した。

 

そして一分後、フリーダム、インフィニットジャスティス、ハイネ専用デスティニーは閃光と共にユニウスセブンを破壊しながら爆散した……。

 

そして核爆発の衝撃波は遠くに避難していたアークエンジェルらの艦隊にも及んでいた。
「きゃああああ!!!」
「あら、凄い揺れますね……。」
「ええ!流石は核の威力といったところでしょうか。」
「いや、そっちじゃなくて……まあいいか。」
リンディはマリューの胸を見ながら何か言いたそうだったが、とりあえずそれは一旦置いておいてミリアリアから現状を確認する。
「ユニウスセブンはどう?ちゃんと砕けている?」
「待ってください……大変!皆さんこれを見てください!」
そう言ってミリアリアはミッドチルダに向かって落下していく大きめのユニウスセブンの破片をモニターに映し出した。
『くそっ!ちゃんと砕けてないのがあったか……!』
『今計算してみたらあの破片は海に落下します、そしてそれにより発生する津波でクラナガンは壊滅的な被害を受けてしまいますよ!』
『各艦主砲であの破片を削りましょう!もうそれしか方法がありません!』
「そうみたいですね……シン君達にも手伝ってもらしましょう!」

 

数分後、フェイトを乗せてミネルバに帰還しようとしていたシンはメイリンからの報告を受け、落下していくユニウスセブンの元へデスティニーガンダムを向かわせた。
「ゴメンフェイト……治療はまだしてあげられない……!」
「私の事は構わないで!いいから早くアレを壊しちゃおう!」

 

そしてアークエンジェル、ミネルバ、エターナル、そしてレジェンドらまだ動けるMSはユニウスセブンの破片に向かって一斉砲撃を開始する。
『ローエングリン!てー!!』
『タンホイザー起動!目標ユニウスセブン!』
『うおりゃうおりゃ!壊れろこの石っころ!!』
『アウル落ち着け!ただ闇雲に攻撃してもダメだ!』
『ちゃんと細かく砕かないと……!』

 

各機ユニウスセブンに対し奮戦する中、シン達もその輪に加わり一斉砲撃に参加する。
「くそぉっ!ビーム砲でも砕けねぇ……!一体どうすれば!?このままじゃミッドの人達が!」
「あ!アレを見てシン!」
その時フェイトは何かに気付いたのか、ユニウスセブンが写されている映像を指差した。そこには数多の砲撃でひび割れた地表があり、何かそこに突き刺せばユニウスセブンを細かく粉砕できそうだった。
「よし!アレにアロンダイトを……!」
そう言ってシンはデスティニーガンダムをそこに向かわせようとするが、突然通信を割り込ませてきたスウェンに制止される。
『待てシン!もうすぐミッドの重力圏なんだぞ!ここは一度離れて……!』
「そんな事言っている場合かよ!俺は行くぜ!」
シンはスウェンの制止を振り払いエクストリームブラストを発動して裂け目に向かってアロンダイトを突き刺した。

 

すると破片は見る見るうちに細かく砕け散り、そのまま燃え尽きながらミッドチルダの重力に引かれていった。そしてその破片の中にはデスティニーガンダムの姿もあった。
「主!機体が重力に引かれて……!」
「くっ!こいつのパワーでも上がれないのか!」
「シン……。」
フェイトは必死になってデスティニーガンダムを制御するシンの後ろで、祈るようにシンの肩を掴んでいた。
(お願い母さん……お父さん、シンを守って……!)

 

一方デスティニーが重力に引かれていくのを目撃したスウェンは、彼等を追いかけようとするがムラサメに乗るネオに制止されていた。
『止めないでくれ!このままじゃシンとフェイトが!』
『落ち着け!あの機体なら大気圏を越えられる!俺達は一旦艦に戻ってそれで降下するぞ!』
『……!了解……!』
『アニキ……あの二人ならきっと大丈夫ですよ、デスティニーもいますし……。』
そしてスウェンは仲間達と共にアークエンジェルへ帰還した……。

 

それから数十分後、無事大気圏を抜けたシンはデスティニーを近くの無人島に着地させた。
「フェイト、デスティニー……無事か?」
「うん、ちょっと熱かったけどバリアジャケットのお陰でなんとか……。」
「こちらも問題はありません、主。」
「そうか……。」
二人の無事を確認したシンはモニターで外の様子を確認する、そこには空から降り注ぐ数多のユニウスセブンの残骸が映し出されていた。
「綺麗……流れ星みたい。」
「アレだけ砕けば街に被害は及ばないだろう……ま、作戦は完了ってところかな?」
「そう……だね……!」
フェイトはアリューゼの死のショックを隠すようにシンに無理矢理明るく振舞う、それに気付いたシンはフェイトに対し気遣うように優しい言葉を掛けた。
「……とりあえず救難信号を出してみんなに拾ってもらおう、そしてゆっくり休もうか、さすがに疲れただろ?」
「う、うん……。」

 

そんな中デスティニーは何やら警戒した様子で疲れきった様子のシンに話しかける。
「……主。」
「どうしたデスティニー?そんな怖い顔をして……。」
「こちらに何か来ます。」

 

すると彼等の目の前に、真っ白い骸骨のように細い体をしたMSが降り立った。
「な、何あのMS……!?」
「おい!誰が乗っている!?所属と番号を言え!」
シンはその所属不明の機体に対して通信を試みる、すると謎のMSはシンに通信を入れてきた。
『ふふふふ……まさかここまでやるとは、見事ですよシン・アスカ、そしてフェイト・T・ハラオウン……。』
「貴方は……ゲイザー!何故ここに!?」
『何って……僕は首領から言い渡されている、もしユニウスセブン落としが失敗したら……“計画を第二段階に移行せよ”とね。』
「第二段階……!?」

 

その時、空から落下してくる幾つものユニウスセブンの残骸の中から白い繭に包まれたコズミックイラのMSが出てくる、そして落下しながら繭は破かれ、中からゲイザーの乗るMSと似たようなデザインのMSが、四つの光の翼を羽ばたかせながら海上に降下してきた。
「あれって……!?」
『本当ならユニウスセブンでこの星を核の冬にしてやろうと思ったんですがね……しょうがないので僕が直接手を下すことにしました。』

 

するとゲイザーのMSから生き物のように蠢く機械がいたるところに生え、そのままMSを飲み込んだ。
「あれはまさか……闇の書の闇!?」
「一体何が……!?」
「主……ここはいったん退くことをお勧めします。」
『逃げることなんて出来ないよ、なぜならこの世界は……。』

 

そして蠢く機械はドンドン増殖していき、中から禍々しいデザインの真っ黒なガンダムの頭が生えてきた。
『全てを総べるガンダムの模造品……“センチュリオ・フォーチュン”の部隊と、この世界を破滅に導く運命の女神……“フォーチュンガンダム”によって滅ぼされるのだから!!』

 

二つの世界を跨いだ物語が今、終わりを迎えようとしていた。