00-W_土曜日氏_09

Last-modified: 2008-09-11 (木) 22:03:32
 

 五人のガンダムパイロットが揃い、プリベンターは新生した。
 何せ世界の危機を救った連中が勢揃いときている。
 例えれば勇者にロトの剣、武○にディープインパクト、アムロ・レイにνガンダムといった感じか。
 つまりは鬼に金棒ということである。
 ガンダムはなくなったとは言えど、それぞれ身につけた特殊技能があまりにとんでもない。
 それぞれが一流の工作員であるだけでなく、カトルを取りこんだことでウィナー家のバックアップまで手に入れたわけだから、見方を変えれば「火消し役が一番アブナイ火元」になっちゃったとも言えるが、そこらへんはプリベンターを仕切るレディ・アンとサリィ・ポォの手綱捌き次第ということになるのであろう。

 
 

「おらあああ、俺は退院するぞう、あんなところに鉄板仕込んだ五飛の奴をぶっとばしてやらにゃ気がすまあん!」

 

 さて、我らがコーラサワー君であるが、ガンダニュウム合金で補強された壁にしこたま突っ込んで血塗れになったことは前回語った通り。
 結果、全身に切り傷と打撲傷を負い、緊急入院するはめになってしまった。
 ロクに働かないうちに戦線離脱するあたり、本編と扱いがまったく同じだが、そこはまあそんなキャラであるわけでして。

 

「プリベンターは俺でもってるんだ! スペシャルで! 模擬戦で! 二千回の俺でー!」

 

 それにしても、シベリアの軍事施設の解体をちょっとしただけで、俺でもってるんだとわめける根性はかなりのものである。
 ちなみに、例の「スペシャルで~」は入院してからかれこれ百回近くは口にしただろうか。
 昨晩など、尿瓶を持ってきた看護婦さんに「俺はスペシャル!」などと吠えたものだから、哀れその看護婦さん、今年就職したての超若手だったのだが、襲われると勘違いして倒れて失神してしまった。
 その後当直の医師と看護婦が全員出張ってくるわ、警備員は電磁棒持って飛んでくるわ、隣の部屋に入院している患者さんがあまりの騒ぎに怒鳴りこんでくるわで、てんやわんやの事態に発展。
 挙句、睡眠薬を打たれて隔離病棟へと連れていかれてしまったのだから、もう本当にスペシャルとしかいいようがない男である。

 

「俺は元気だ! スペシャルだ! 退院させろーう」

 

 退院は退院でも強制退院になる可能性があるわけだが、そんなことはまったく知ったこっちゃないコーラサワーさん28歳独身。
 この血の気の多さ、ちょっと献血でもして社会に貢献してこいと言いたくなる。
 しかし、どんな少年時代を過ごしてきたのか、一度親御さんに問い質してみたい。
 さぞかし手のつけられない暴れん坊であったことだろう。

 

「ちきしょー、覚えてろ五飛め」

 

 五飛が目の前にいたら、きっとこういったに違いない。
 『俺は忘れたお前も忘れろ』と。

 

「このスペシャルで模擬戦二千回無敗で超エースの俺がこんな目にあわせやがって、許せねえ」

 

 正直、彼がいないほうがプリベンターはうまく仕事ができると思うが、もしかすると案外本気でレディ・アンは檻の中に虎を放り込んだ可能性がある。
 こんなうるさくてアブナイ奴、世の中に放置しておくより側において管理したほうがいいに決まっている。

 

「見てろー! 復活したら目にもの見せてやるかんなー!」

 

 病室の白い壁に向かって吠えるコーラサワー。
 さて、本当に復活するのはいったいいつになるだろう。
 今のところそれを知っているのは、神様だけである。

 

 

【あとがき】
 出番がなかったけれど放送日だったんでコンニチワ。
 退場しているうちに乙女座センチメンタル君とスカーフェイスオヤジがどんどん固めていくライバルの座……
 では次回放送日までサヨウナラ。

 
 

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