Lnamaria-IF_LED GODDES_11

Last-modified: 2009-07-17 (金) 23:30:27

「これでやっと安心ですな」
「どのくらいで合流できるんですかね」
食堂では乗客達が明るい声でしゃべっている。

 

「ええ、パパが!?」
フレイは驚きの声を上げた。
「ああ、先遣隊と一緒に来てる」
サイは頷いて答える。
「うそぉ……」
「フレイのことは当然知らなかったろうけど、こっちの乗員名簿、さっき送ったからさ」
「パパが……よかった……」
フレイは涙ぐんだ。
「よかったね……」
サイは微笑みながらそれを見つめていた。

 
 

「ふっふふーふ♪ ん?」
ミリアリアがシャワーを浴びた後、髪を整えていると、廊下から乗客の声が聞こえてくる。
「やはり月へということになりますかねぇ?」
「オーブ本土には親戚が居ますけど、まぁなんとか~」
「妻達と、連絡だけでも取れれば……」

 

「……ぉ?」
「…ぉ」
フレイが、顔を洗っているミリアリアの隣に陣取ってメイクをし始める。
「うわっ!」
「……何よ」
「何よって、フレイこそ何よ何やってんの?」
「パックよ。見て分かんない?」
そう言いながら、フレイはパック剤を顔に伸ばし始める。
「それは分かるわよ。だから……あぁ……もういい……よく持ってたわねー、そんなもん」
「パパも先遣隊と一緒に来るっていうんだもの。ちゃんとしとかなきゃ。大西洋連邦事務次官の娘が、あんまりボロボロじゃぁ、パパに悪いでしょ?久しぶりに会うんだし、せめてこのくらいはねっ」
「あーそう……」
「はぁ……髪はどうしようもないなぁ。ま、しょうがないか。非常時だもんね」
「……はぁ……」
ミリアリアはため息をついた。

 

「こちら、オーブ艦アークエンジェル。私は艦長のルナマリア・ホーク・アスハ。救援要請を聞いていただいてありがとうございます」
私は、こんな事もあろうかとデブリ帯で手に入れておいた社交界用のドレスを着て、笑顔を浮かべ挨拶する。
『あ……え……』
地球連合軍第8艦隊の先遣隊旗艦モントゴメリィ艦長コープマン大佐は一瞬言葉を失う。
『えー、その、オーブ艦と言うのは……』
「ふふふ。オーブのヘリオポリスで地球軍の軍艦とモビルスーツが開発されていたなんて事、あるはずがないのですわ」
『は、はぁ、しかし』
「コープマン大佐」
フラガ少佐が口を出した。
「こちらの行動に変わりはない。貴隊と合流後、アークエンジェルは本隊との合流を目指す」
そう言ってフラガ少佐はウィンクした。
『は、はぁ……では、本艦隊のランデブーポイントへの到達時間は予定通り。合流後、アークエンジェルは本艦隊指揮下に入り、本体への合流地点へ向かう。後わずかだ。無事の到達を祈る!』
ここで、ジョージ・アルスター大西洋連邦事務次官が出てきた。
『大西洋連邦事務次官ジョージ・アルスターだ。まずは民間人の救助に尽力を尽くしてくれたことに礼を言いたい』
「お久しぶりです。ご健勝でなによりですわ」
『ええ、あなたも、ルナマリア様。ところで、あーそれとそのー……救助した民間人名簿の中に我が娘、フレイ・アルスターの名があったことに驚き、喜んでいる。出来れば顔を見せてもらえるとありがたいのだが……』
『事務次官殿、合流すればすぐに会えます』
コープマン大佐が窘める。
「ふふ、実はそうおっしゃると思って。サイ、フレイさんを」
「ああ。さぁ、フレイ、カメラの前に!」
「パパ!」
『おお、フレイ無事だったか!』
「こういう人だよ、フレイのお父さんて」
サイがバジルール少尉にささやく。
「ぁぁ……」
バジルール少尉はため息をついた。

 

その後しばらくして……
「レーダーに艦影3を捕捉、護衛艦、モントゴメリ、バーナード、ローディストです!」
パルが叫んだ。
「やったー!」
「「はっはっはっは」」

 

合流は無事に済んだ。
先遣隊から、アークエンジェルに物資と人員が送られてくる。
モビルスーツの増援こそ無かったものの(何しろ試作中だったのだから)メビウスが予備2機含め、6機送られてきた。
ありがたかったのは、ストライカーの予備だ。開発中のスカイグラスパーと言う戦闘機にも装着可能な事からヘリオポリス以外でも開発されていたらしい。
サイやトール達が毎夜ろくに寝ずに改造してくれたアストレイ……バックパックを腰まで下げる事でストライカーが装着可能になっていた。ありがたい!

 
 

「地球軍艦艇と、足つきが合流しました」
アデスは言った。
「ラポートとポルトの隊の合流が、予定より遅れている。しかし、このまま見逃すわけにはいかない」
「仕掛けるんですか? ……しかし、我々には……」
アスランが異議を唱える。
「我々は軍人だ、アスラン。いくらラクス嬢捜索の任務があるとはいえな」

 
 

「……ん? あ! ……これはっ!」
パルが警戒の声をあげる。
「どうしたの?」
「ジャマーです! エリア一帯、干渉を受けてます」
「……出ます!」
私はドレスを脱ぎ捨てた。
「ちょ、ルナマリアさん!」
「ラミアス大尉。この船には民間人がいる。いざという時は先に逃げろ! 決して表には出るな!」
「でも!」
渋るラミアス大尉。私は言った。
「バジルール少尉、ラクス・クラインを使え! 意味はわかるな!?」
「……はっ」
「……サイ! 彼女をここへ!」
「あ、うん!」

 

「モビルアーマー、発進急がせ!ミサイル及びアンチビーム爆雷、全門装填!」
コープマンが指令を出す!
「熱源接近! モビルスーツ4!」
「……くぅ……」
「一体どういうことだね! 何故今まで敵艦に気づかなかったのだ!」
ジョージ・アルスターがわめく。
「艦首下げ! ピッチ角30、左回頭仰角20!」
「「うぉぉ!」」

 

「ラミアス大尉!」
どうするのだ、と言う意味を込めてナタルが叫ぶ。
「敵の戦力は?」
「イエロー257、マーク40にナスカ級! 熱紋照合、ジン3、それと、待って下さい……これは……イージス!? X-303、イージスです!」
「なんですって!?」

 

「フラガ少佐」
「なんだい、お嬢さん」
「イージス、任せます」
「了解した」
「カズイ、お前はアークエンジェルのそばを離れるな! アンビリカブルケーブルでアークエンジェルと接続、弾幕を張れ!」
「了解!」
「では、ルナマリア・ホーク、出るわよ」

 

「コープマン大佐」
敵を探し回りながら、私は言った。
「メビウスは、一撃離脱に徹してください」
『し、しかし……』
「無駄に犠牲を増やしたくない! ……それで十分に助かるのです」
『わかった!』
私は敵機を探す。
……いた! ヘリオポリスを襲った時と同じ、重装備のジン!
「やらせない! カトー!」
「はっ」
「連携します」
「了解!」
まず一番艦隊に近づいているジンを狙う。
私はビームサーベルを抜くとまっすぐに突っ込んでいった!
敵が避ける!
「甘い!」
敵の体勢が崩れたところを、私の後ろに位置しているカトーのビームライフルのビームが貫いた!
「次! 後2匹!」

 

フラガはまっすぐに、ローディストに攻撃しようとしているイージスへと向かった。
「ふふ、やらせわせんよ!」
『く、この間のパイロットと違う!?』
アスランは焦った。
「貴様か! キラ・ヤマトを殺したのは!」
『な……!』
フラガの言葉にアスランは絶句した。
そこにフラガは追い打ちをかける。
「今度はラクス・クラインも殺すか!?」
アスランの頭は一瞬真っ白になった。
だが、それでも修理で付けられたジンの腕を上げたのは反射神経のなせる技、であろうか。
フラガの一撃は、そのジンの腕を切り飛ばした!
その時、戦場にアークエンジェルより救難回線で通信が走った!
『こちら、オーブ艦アークエンジェルである! ザフトは中立国艦船への不法な攻撃を即刻止められたし! こちら避難民多数乗船! その中の一名の名を告げる――ラクス・クライン、いいか、プラント評議会議長の娘ラクス・クラインだ!』

 

「な……」、
アスランの頭は再び真っ白になる、が、咄嗟に残った左腕を身を守るように上げる!
それをフラガのストライクが切り飛ばす!

 

「はは……ローディストは不滅だ!」
「対空砲火! 段幕薄いよ!」
一時は覚悟を決めたローディストの乗員に生気が戻る。

 

「いかん!」
クルーゼは、自軍が圧倒的に不利だと言う事を悟った。
「撤退信号上げ!」
「はっ」
その時だった。
「クルーゼ隊長! 増援が来ました! ラポートとポルトの隊です! これより戦闘に参加するとの事!」
「なにぃ、いかん! 止めさせろ!」
「はい……ジャマー出力増大! 通信できません!」
「くそ、私が出るか……!」

 

その時、ニ条の太い光が戦場をよぎった。

 

「あ……ラポート隊のファンロード、撃沈!」
「なにぃ!?」

 

ザフトのナスカ級を一撃で葬り去ったのは――それは――

 

「カトー!」
私は歓喜の声を上げた。
「ええ、姫様!」
「来てくれた!」

 

『ようやく見つけた! このおてんば姫め!』
レッドフレームに通信が入る。
戦場に、アークエンジェルを守るように出現した戦艦――それはオーブのイズモ。
そしてそれから発進してきたのは……ゴールドフレームだった!

 
 
 

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