Seed-NANOHA_まじかるしん_第38話

Last-modified: 2007-12-24 (月) 12:49:13

「ん……」
なのはは差し込める朝日で目が覚めた。
この状態からでも見える時計を見える時計を見ると、まだ起きるには早い時間帯かもしれない。
だが、もう一度寝るわけにも行かないので少しはやめに準備をしようと体を起こそうとする。
「ん?」
しかし、ふと見ると自分の横に誰かいるみたいで、横を見るとまだフェイトがスースーと寝ていた。
じゃあ、と布団をのけると、そこにはなのはのパジャマにしがみついたヴィヴィオがいた。
なのははヴィヴィオの寝顔を見て微笑むと、そっとヴィヴィオの手を解く。
その後なのはは着替えを始めようとするのだが、ヴィヴィオがうなされているのに気付く。
さっきまであった感触がなかったので寂しくなったのだろうか。
(しょうがないなあ)
なのははそう思いながらヴィヴィオをゆっくりと抱きかかえ、もう少しで起きるだろうがその間だけでもいいのでフェイトのそばへおく。
フェイトのそばへおくと、寝ているはずなのにフェイトはヴィヴィオを自分のそばへと寄せ、ヴィヴィオもそっちのほうへと向く。
なのははその光景を笑みを浮かべるのだった。

 
 

「はあい、みんな集合」
今日の朝の早朝訓練。
朝が早いにもかかわらず、毎朝新人達は元気はよく、朝の訓練もヤル気は十分だった。
「さて、今日の早朝練習だけど、ちょっとその前に連絡したいことがあります」
そういってなのははある人物を呼ぶ。
「今日から、陸士108部隊のギンガ・ナカジマ陸曹も参加する事になりました」
「みんな、よろしくね」
はい、フォワードメンバーは答える。
ふと、シンはスバルの顔がどこか喜んでいる事に気付く。
(ギンガさんは、スバルのお姉さんなのよ)
ティアナの補足になるほど、とシンも納得する。
以前、スバル本人から彼女には姉がいる事を聞いた。
確かにいわれてみれば似ている。
「それと、本局のほうでデバイスの調整とかをしているマリーさんにも来てもらいました」
「みんな、よろしくねー」
なのはの紹介で、マリーはみんなに手を振る。
「さて、そこで一つ提案なんだけど……」
なのはは楽しそうにある事を告げる。
「ギンガも、スバルがどこまで強くなったか知りたいだろうけど、その前に一度戦ってほしい相手がいるの」
そういって、なのははシンの視線を向ける。
「……俺?」
シンの疑問に、なのはは頷く。
「なるほど、俺達と一緒に行動するとなると、あれと戦う機会が増える可能性が高いということか」
レイのことばに、うんとなのはは頷き、ああとシンも納得した。
「あの……どういうことですか?」
だが、ギンガだけはどういうことなのかわからない。
「ギンガ、コズミック・イラのモビルジャケットって少し前に説明したよね?」
「はい」
「シンとレイは、そのモビルジャケットを使えることができるんだ」
ああなるほど、ギンガも納得した。
つまり、彼と戦ってそのモビルジャケットの戦いになれろという事か。
「さて、二人ともわかったみたいだし、準備をしてね。シンは最初からモビルジャケットでお願いね」
了解といって、シンはインパルスを起動させる。
「これが、モビルジャケット……」
ギンガは目の前にいる、機械的なものに覆われたシンを見る。
「じゃあ、二人とも準備はいい?」
なのはの言葉に二人は頷く。
その仲、二人はお互いの事について考えていた。
(こういうのと戦うのは初めてだけど……どんな戦いをするのか……)
(デバイスから見て、ぱっと見はスバルと一緒の戦い方だろうな……あいつから戦い方を学んだってスバルもいってたし……)
と、始めてみる者と相手が仲間の知り合い(というより家族)がいるのとではやはりある程度は予測できてしまう。
「シグナム、どう見る?」
「そんなものは見てみないと解らんが、アスカのほうはギンガの戦いには大体の予測はついているだろうな」
だね、とフェイトはシンを見る。

 

『マスター、ちょっといいでしょうか?』
インパルスが尋ねてきて、どうした?とシンも聞き返す。
『デスティニーシルエット、この模擬戦で使う気ですか?』
インパルスも質問に、まさかとシンは少し呆れて答える。
(まさか、レイか隊長たちの模擬戦でしかしないよ。じゃないと危ないしな)
『解りました。それでは念のために使用できないようにこちらからプロテクトをかけておきます』
(ああ、頼む)
そういって、ギンガを見るシン。
彼女の構えから見て、戦い方はスバルとよく似ていると予測した。
しかし、スバルは彼女から戦い方を教えてもらったという言葉から、間違いなくスバルよりもはるかに強いという事はわかる。
(うかつに近づくと危険…か……なら)
そして、シンがとった手段とは……
「はじめ!」
なのはの号令と共に、両者は先に動く。
ギンガは先手必勝とばかりに自分のデバイス、ブリッツキャリバーでシンに向かっていく。
「インパルス、フォースシルエット!」
予想通りとの行動に出たギンガに、シンはブースターのようなフォースシルエットが追加される。
くる、そう思って構えるギンガ。
しかし、シンが取った行動は、ライフルを持ち、前進せずに高く飛び上がったのだ。
「飛行した……空戦魔魔道士」
ギンガは予想外のことに動きを止める。
自分が空戦魔道士と戦うには……
それを見たシンは、空からライフルでギンガを狙い撃つ。

 

「なあなのは、どうしてシンなんだ?ギンガは陸戦なんだからよ、レイのほうがよくねえか?」
ヴィータは、空中からギンガを狙い撃ちしているシンを見る。
はっきりいてこの勝負、ギンガが不利だ。
「確かにね。けど、こういうことも学ぶことは大事だからね。それにシンは変わった戦い方をするし、
こういう戦い方もあるって身に感じてほしいっておもったんだ」
そう、レイもモビルジャケットを装着するし、陸戦だから彼のほうが適任かもしれない。
だが、学ぶという点ではシンと戦うほうが適している。
シンの戦い方やインパルスの能力はなのはでも驚く事が多い。
「それに、不利だからって絶対に勝てないって事はないでしね。シンもそれがわかってくれると嬉しいんだけど」
そうだな、とヴィータはもう一度二人の戦いを見る。

 

「ギン姉、大丈夫かな?」
スバルは勝負を見てつぶやく。
陸戦魔道士のギンガと、空戦であり、高速戦闘、近距離、遠距離とバランスよく戦えるシン。
スバルから見ても、ギンガが不利であった。
「けど、シンもシンよね。ちょっとはギンガさんと戦い方を合わせるって事はしないのかしら?シンも接近戦が得意なんだし」
ティアナの言葉に、何を言っているとレイは言う。
「勝つために必要な作戦を練り、自分が有利に戦えるように状況を見定める。戦いの基本だ。正々堂々も結構だが、こういうことも大事だ」
それはそうだけど……とティアナもつぶやく。
「ただ」
「え?」
「ただ、おそらく彼女の得意分野…つまり肉弾戦が出来る至近距離までつめられれば、シンは逆に不利になってしまうことになるがな」

 

「くそ、すばやい!」
シンはライフルを構えてギンガに向けて連続で放つ。
しかし、その魔力弾はギンガに当たる事はなかった。
ギンガはシンの攻撃をブリッツキャリバーで器用に避けていく。
それに今二人が戦っているフィールドは森。
ギンガは森の中に隠れたりして標準から逃れようとする。
「全く……近づく暇もないわね」
一方、ギンガも一歩を踏み出せずにいた。
さっきから避けたり、避けれないものがシールドで防いではいるが、彼の射撃は中々的確で、中々隙を見せない。
(相手は空戦魔道士。相手に取り付く時間はあんまり少なそうだし……)
う~~んと考えるギンガ。
(やっぱり、これしかないか)

 

そう思い、ギンガは自分のリボルバーナックルを構える。
「ウイング、ロード!」
ギンガの足から、魔力で出来た道が生成される。
それはシンのほうへと作られていく。
「これはスバルの……ウイングロード」
シンは自分の周囲に魔力の道を見る。
ただ……
(何で複数あるんだ?)
おそらくギンガがいる地点を中心に、いくつもの道がシンの周囲を囲んでいる。
やがて、そのうちの一つを駆け上っていくようにギンガが現れた。
それを確認すると、シンはライフルを打つ。
「トライシールド!」
ギンガの前方に障壁が出現し、ライフルから放たれた魔力はシールドに当たったと同時に弾ける。
あの障壁の前にこのライフルでは歯が立たないと察したシンはライフルを投げ捨てる。
『ヴァジュラ』
シンはフォースシルエットについている片手でもてるくらいの棒を持つ。
シンはその棒、柄にあるスイッチを入れる。
すると、先端から魔力でできた刃が出現する。
シンはそれを構えて、同じようにギンガへと向かう。
「うおおおおーーーー!」
「はああああーーーー!」
二人は剣と拳。それぞれがぶつかりあう。
「く……」
押されているのはシンだった。
ギンガのパンチ力は想像以上に大きかった。
「はあああああーーーー!」
そのままヴァジュラを弾き飛ばすギンガ。
『プロテクション』
シンはプロテクションを展開し、ギンガの打撃を受け止める。
「うおおおおーーー!!」
しかし、それでもギンガが押していき、シンはだんだん不利になる。
「このお、いい加減に!」
『CIWS』
その態勢のまま、頭部から小さな魔法陣が展開される。
そこから、小さな魔力弾が無防備のギンガに直撃する。
「くっ」
威力はほとんどないに等しいが、数はかなりのもので、そのすべてが直撃しギンガはよろめく。
その隙にシンはギンガを受け流す。
『フォールティングレイザー』
その隙に脚部から出てきた魔力刃と実刃、二つの刃でできたナイフを手に取り、ギンガの首筋にナイフを突きつけようとする。
しかし、ギンガは態勢を崩したままシンの腕を蹴り上げる。
その時シンはナイフを手から離してしまい、ギンガがそれを奪う。
「接近戦で負けるわけにはいかないの」
そういってナイフとナックル、二つの武器を構えるギンガ。
シンはもう一つのナイフとヴァジュラを構える。
(だったら……)
シンは何かをひらめき、ヴァジュラとフォールティングレイザーを投げつけてギンガへと向かう。
だが、それは勿論避けられたが、シンはそれが狙いだった。
「そこだ!」
そこに、シンはフォースシルエットを分離させ、それすらもギンガへ向かわせる。
「こんな事まで……」
ギンガはそれを飛び上がって回避する。
そこだ、その行動をまっていたシンはすぐに行動に移る。
『ソードシルエット』
シンの背中には二つの巨大な剣とブーメランが搭載されているソードシルエットを装備したシンは、ひとつの剣、エクスカリバーを持つ。
「陸戦魔道士のあんたは、空中にいれば避けることはできないよな!」
シンはエクスカリバーを構えてギンガへと向かう。
いきなり別の装備あったことにギンガは驚くが、すぐに次の行動に出る。
ギンガのナックルからは魔力が集まる。
それと同じようにシンのエクスカリバーからも魔力が収束する。
これで決める。
そう思ったギンガは拳に力を入れる。
「そこ!」
そしてそのナックルで思いっきりシンに殴りつける。
(はやい!)
攻撃を避けれないのを悟ったのか、その分攻撃に転じたギンガのスピードは速かった。
そのまま、ギンガの攻撃はまっすくシンの腹部に当たるはずだった。
「え?」

 

だが、それは惜しくも空振りするのだった。
それと同時に、ありえないとギンガは自分の視界に移る事に疑問を浮かべる。
あたると思った瞬間、インパルスとなったシンの上半身と下半身がいきなり離れたのだ。
「エクスカリバー」
そして、シンの上半身のままシンはエクスカリバーを構える。
『超重斬!』
魔力をおびたエクスカリバーはギンガを捉え、ギンガの意識を奪うと思われた……

 

「全く……模擬戦で相手を打ちのめそうとするなんて」
「す……すみません」
なのはの指摘に、シンはばつが悪そうに謝る。
あの時、超重斬は確かにギンガを捕らえたはずだった。
「少し…あたま冷やそっか」
問う声が聞こえ、なにかがシンに直撃した。
それは、なのはの放った魔法で、魔法を放った後、なのははシンを見た。
流石モビルジャケット、ティアナのときと同じ威力で撃ったはずなのにピンピンしている。
「模擬戦はここまで。シン……少しお話しよっか」
となって今に至るのであった。
「確かに、全力で戦うのはいいことだけど、全力で戦うのとやりすぎるのは違うからね」
「い、以後気をつけます」
なのははシンとお話(説教)をしている頃、ギンガは少しスバル達と話していた。
「けど、モビルジャケットってすごい戦いができるんですね。分離したときはほんとにびっくりしました」
と、あのままだったら自分がやられていたときの話をしている。
「もしかしたら、ほかにもあんな戦い方をする人と戦わないといけないときがあるかもしれないから気をつけてね」
フェイトの言葉に、はいとギンガは頷く。
「さあて、お話も終わったところで、みんな集合。
どうやらシンとのお話も終わり、なのは立ちはみんなで集合させる。
「これから訓練に入るんだけど、今日はギンガもいるから……」
そういって、なのはを含めスターズ、ライトニング両隊長、副隊長はデバイスを構える。
「今日はギンガも含めてフォワード対私達のチーム戦。私達がよしと言うまで徹底的にしごいてあげるから、気を抜かずにいこう」
そういって、バリアジャケットを構えるなのはたち。
逆に「へ?」と少し情けない声を上げるギンガ。
えーと……つまりは……
(ギン姉、これ、たまにするんだ)
(なのはさんたち、かなり本気で掛かってきますよ…大体AAAくらいの実力で)
(ですから、俺とレイは隊長に仕掛けますから、あんたはスバル達と副隊長の相手を)
みんなの説明を受けて、なるほど、とギンガは頷く。
以前スバルからかなりきついといっているのも頷ける。
「それじゃあ始めるけど、準備はいい?」
なのははみんなを見て、みんなを代表するようにギンガははいとうなずく。
「それじゃあいくよ!」
なのはの言葉と同時に各メンバーはそれぞれ掛かっていった。

 
 

エ「アスカさんとギンガさんとの模擬戦、そして朝の訓練も終わって、僕達は昼食を取る」
キャ「そこでは、いろんなひとの意外な一面の明らかになっていく」
シ「次回「得手不得手」。そういえばエリオ、何で俺だけ苗字なんだ?」
エ「え?いや、シンさんよりもアスカさんのほうが言いやすいですし語呂もいいですし」
シ「そ、そうなのか」