Seed-NANOHA_まじかるしん_第44話

Last-modified: 2008-01-29 (火) 21:34:24

魔道戦士まじかるしん 44話 「戦闘機人 傷つける力、守る力  ~綺麗なスカもあるよ~」

 

「ふむ、これは弱ったね……」
スカリエッティはラボで珍しく少々弱気な発言をして目の前のポッドに入っている自分の作品であり、娘でもあるノーヴェを見る。
「ウーノ、状態は?」
「はい、顔の傷は深いですが運よく外傷だけです。しかし腹部の損傷は重大です。
フレームはへしまがり、生身の部分もR指定的に、あまり言いたくありません。
はっきり言ってしまえば新しいものを作ったほうが早いです」
それはそうだろうね、ともう一度ノーヴェを見る。
その傷口はかなりひどく、今は応急処置(修理?)しているが、これが地上波放送なら間違いなくモザイクがかかるだろうと思われるほどの損傷だった。
「まあ、何とかなるだろうが……これは修復には骨が折れるな……チンクのほうは?」
「まだ気をうしなっていると」
「そうか……」
あれからチンク達は戦闘スーツを脱いだモザイク級の姿になってしまったノーヴェを見て卒倒して医務室に運ばれたのだ。
そういうウーノの顔も珍しく心配そうな顔をしている。
「ウーノ。こういう事を言う事じゃないかもしれないがそんな顔をしてはいけない」
「わかってはいますが……」
「君の言いたいこともわかる。しかし、私とウーノだけでも冷静にしないと回りがもっと沈んでしまう……私だって辛いのだからね。
チンクのほうはトーレたちに任せたほうがいいだろう」
そういって作業に入るスカリエッティ。
「クアットロを呼んでおきます」
ウーノもそれを見て補助に入る。
「わかってはいますが、年長者と言うのは、辛いものですね……」
ぼそっとつぶやいたウーノの言葉を聞こえているのか、スカリエッティは静かに笑みを浮かべた。
(彼女はあの子達の姉だというのに……)
いつの間にか母親くさくなっているなとスカリエッティは思った。
「ドクター」
ふいに、スカリエッティは誰かに呼ばれ、そのほうを見るとノーヴェがいつの間にか目を覚ましていた。
「気がついたか、気分はどうだい?」
「痛えしムカつく。最低だ」
「そうか、もうすぐお前を修理してやるからまっていなさい」
そういてスカリエッティは少しこの場を離れようとしたときだった。
「ドクター、頼みがある」
「なんだい?」
彼女から頼みごととは、珍しい事もある、とスカリエッティは思った。
「あのタイプゼロにやられたとき、顔もやられたよな?」
「ああ、忙しかったから顔の傷は後回しになりそうだがね」
「治さなくていい」
「ん?」
「顔の傷は、治さなくていい」

 

「ん……」
チンクは医務室のベッドの中で目を覚ました。
(そうか、私は……)
チンクは、自分が血まみれてR指定なノーヴェをみて倒れてしまったのだ。
それを見たとき、チンクは悔しかった。
あの時、自分がちゃんとノーヴェを止めていれば、今回の事はこんな結果にならなかったかもしれない。
「目が覚めたか」
チンク派声が聞こえてそちらのほうをむくと、そこにはトーレがいた。
「今ノーヴェはドクター達が必死で修理中だが……時間はかかりそうだ」
「そうか……」
それはそうだろう。あそこまで損傷しているのだ、下手をすれば廃棄になってもおかしくはない。

 
 

だが、ドクターは問題ない。時間はかかるだろうが治る、といった。
あれほどの損傷でも直せるというところは流石ドクターだった。
その時、チンクはなにかうめき声が聞こえていることに気付く。
「あの声か、アズラエルの部下の声らしい、私はよく知らん」
そうか、とチンク派あまり興味なさそうに俯く。
チンクは今、ほとんどノーヴェのことしか考えていない。
「ウェンディ達はどうしている?」
「横を見ろ」
トーレに言われるがまま横を見ると、同じように寝ているウェンディと最後発のナンバーズの姿があった。
「大体はお前と一緒だ」
「そうか……」
そういってチンクはベッドから降りる。
「少しノーヴェのところに行ってくる」
「もう大丈夫なのか?」
「ああ、心配させてすまない」
そういって医務室を後にするチンク。
そのなかチンクは思った。
次の任務までにはノーヴェの修理は間に合わないだろうと……
「ノーヴェ、敵は討つぞ……」
いや、まだ死んでませんよチンクさん……

 

その頃、機動六課でも、あやしい雰囲気が映っていた。
ここは機動六課のロビー。
「で、俺達に何か黙っていることがあるよな?スバル」
レイとシン、そしてエリオとキャロは目の雨に座っているスバルとティアナをみる。
ティアナは何か申し訳なさそうに俯いている。
「あの少女達が言っていた「タイプゼロ」とはスバルのことなのだろう?」
レイの質問に、静かに頷くスバル。
「私……それとギン姉は普通の人じゃない。戦闘機人って呼ばれているものなんだ」
「戦闘機人?」
聞きなれない言葉に、シンは首をかしげる。
コーディネーターのようなものなのだろうか。
「戦闘機人は……簡単に言えば半分は機械なんだ」
え?とティアナのほうを見るシン。
「半分が機械っていうと……サイボーグってやつか?ター○ネ○タ○みたいな」
「まあ、そんなもの。なんか違う気もするけど……」
スバルは自分の事を話した。
スバルとギンガは彼女の父のゲンヤと既に死んでしまった母、クイントによって保護され、二人は普通の人と同じように育てられた。
ティアナがその事を知っているのも、彼女の家族と仲がよくなってからだった。
「今まで黙っててごめん」
「私から言っておいたのよ。まだ話す時期じゃないって」
なるほど、とシンは頷く。
黙っていた理由は自分と同じか……
シンもコーディネーター、普通の人とはうまれ方が違う。
そのこと普通に話すといろいろと問題が起こるからある程度時間がたったら話すつもりだったのだろう。
「いいさ、俺も似たようなことしてたしな」
そういってシンは立ち上がる。
「どこへ行くんだ?」
「便所」
そういってシンはこの場を後にする。
それを黙ってみているシン。
「無茶をしているな」
「え?」
レイがポツリとつぶやいた事にエリオはレイを見る。
「昨日の戦いでアズラエルが言っていた事を気にしているのだろう。
家族とかかわっているらしいが……」
その言葉に、ティアナは礼を見る。
「あんたはそのことでなにか知ってるの?」

 
 

「いや…俺はシンの家族が4年前に既に死んでいる、しか知らない」
レイですら話していないことがあることにティアナたちは驚く。
「だれにでも、秘密にしておきたいことの一つや二つはある。そういうものだ」
そう言って、麗はコーヒーをすする。
別にレイジ心気にしてはいないし、それでシンに不快な思いもさせたくないとも思ったからだ。
「シンの家族は4年前のある事故で家族と自分の故郷を失ったんだ」
そこに突然声が聞こえ、そこを見ると……
「フェイトさん」
そこにはフェイトがいて、フェイトは真剣な表情でいた。
「シンが心配できたんだけど、シンは医務室なのかな?」
「はい、たった今出て行ったところです。追いかければ間に合いますが」
「別にいいよ、そのまえにすることができたみたいだから」
そういってさっきまでシンが座っていたところへ腰掛けるフェイト。
「エリオ、キャロ。私が以前シンを世話していたって話しをしていたでしょ(第5話参照)」
「はい、それと、家族が4年前まえの事故でなくなったというのも」
そのことと何か関係しているのだろうか……
そしてフェイトは話す。4年前の出来事、そして自分とシンとの出会いを……

 

「う~~ん」
地上本部で、マリーはデータとにらめっこをしていた。
そのデータはスバルのもので、デバイスの損傷度を確認しているのだ。
あの戦いの後、マッハキャリバーは緊急メンテナンス中である。
スバルのISにマッハキャリバーが耐えられずに損傷したのだ。
(これからもあれを使うんだったら、もっと頑丈にしないといけないのよねー)
あれに耐えうるものを作るとなると、かなりのじゃじゃ馬になるだろう。
そんなものがスバルに扱えるのだろうか……
マリーはスバル、そしてマッハキャリバーのために模索するのだった。

 

「ママ、大丈夫?」
六課の医務室、右腕に包帯を巻いているなのはを見て、ヴィヴィオは心配そうになのはを見る。
「大丈夫だよヴィヴィオ。ちょっとケガしただけだから、すぐに治るよ」
そういって、怪我をしている手でヴィヴィオの頭をなでる。
「でも……」
「だから、だいじょうぶだって」
しょうがないなあ、とヴィヴィオを抱くなのは。
「それじゃあ、今日はなのはママもお仕事はないから、ちょっとお昼寝しに行こうか」
なのはの言葉に、ヴィヴィオはなずく。
「けど、なのはママはまだちょっと話があるから、先にお部屋に行っててくれないかな?」
なのはの言葉に頷き、ヴィヴィオは先に部屋に帰る。
「それでシャマル先生、傷のほうは?」
ヴィヴィオが離れると同時にシャマルが現れ、なのははケガの様子を尋ねる。
「そこまでひどくはないけど、しばらくは安静にしたほうがいいわ。できれば1週間ほど」
「1週間ですか……」
「新人達もかなり実力がついて生きたし、少しの間だったらヴィータちゃんとフェイト隊長に任せても大丈夫なんじゃない?」
「ま、いやでもそうさせるけどな」
後ろから声が聞こえ、なのはは驚きながら振り返ると、そこには腕組をしているヴィータがいた。
「怪我してるんだったら休んでろ。その間はシグナムにでも手伝わせるからよ」
「だけど……」
「さっきシャマルにも休めって言われてんだろ。医者の言葉はきくもんだ」
「そのとおりよ」
二人の無言にプレッシャーに、なのはは仕方なく頷く。
「それじゃあ、しばらくは見学だけに「だめだ」え?」
「なのははずっとやすんでろ」
「けど、部隊長としてそういうのはだめなんじゃ……」

 
 

そういったときに、なのはの視線にヴィヴィオがいた。
「そういうわけだ、たまには付きっ切りで相手をしてやれ」
そういえば、となのははヴィヴィオをあってから、一日中相手をしていない事に気付く。
「いつも働きつめてるんだから、たまにはこういう休みもいいでしょ?」
シャマルの言葉に、今度こそ観念して、わかりましたとなのはは珍しくも根負けした。
「正直な話、あの会議までには完治していてほしいのよ」
シャマルの言う会議とは、およそ10日後に控えた地上本部のこれからの方針を発表する重大な会議である。
スカリエッティも、これをほうっておくはずがなく、機動六課も守備につくことになった。
少なくともその時までには腕を完治させてほしいのだ。
「解りました」
「それじゃ、ドクターストップとして、この事をはやてちゃんに報告しますからね。
間違ってでも訓練にきたら無理やりにでも休ませます。せめて3日は」
「え?」
なのははキョトンしてシャマルを見る。
「なのはちゃんのことだからね。最初の3日はゆっくりと休めて、後は訓練の見学くらいならしてもいいわ。
レイジングハードはフェイトちゃんに預けておくけど」
シャマルの計らいに、ありがとうございますとよろこぶなのは。
「じゃあ、ヴィヴィオちゃん待たせてると悪いしね」
「すみません」
そういって、なのはは医務室を後にする。
「やれやれ、あいつ説得すんのも一苦労だな」
「そうよね。ヴィータちゃん、協力ありがとう」
「気にすんな、アタシも気になってるからな」
実は、ヴィータは前からここにいて、なのはを説得するためにいたのだ。
「ばれていないからよかったわね」
「まあな……」
やれやれ、とヴィータはため息を付く。
こうまでしないと言う事を聞かないなのはにあきえるヴィータ。
(けど約束したからな、お前を守るって……)
そういって、ヴィータは小さく拳を握るのだった。

 

「と言うことなんだよ」
フェイトはシンの過去について話をしていた。
(詳しくは、プロローグを呼んでねbyフェイト)
フェイトの話を聞いて、場は静まり返る。
まさか、そんな過去があったとは……
「それで、その家族を失った事件を作ったのが、あのアズラエルって人なんですか?」
キャロの言葉に、多分とフェイトは頷く。
なるほど、それで大体の納得がいく。
「そうなのか、シン?」
後ろを見ると、便所から戻り、少し呆然としているシンがそこにいた。
「シン、ごめんね。話さないといけないと思ったから」
「いや、いいですけど……」
と、どこか納得のいかないシンだっだが、とりあえずそれは置いておいて話に混ざる事になる。
もうこの人に何を言っても無駄だ、と悟ったのだ。
「それじゃ、もう一つ質問をいいか?」
レイはスバルのほうを向き、真剣雨で堪える。
「お前が敵を撃退した後、意識を失ったが、あれは何でだ?それとかなり特殊な魔法陣もあったが」
レイの言葉に、スバルは言葉を俯く。
「戦闘機人には、魔法意外にもISっていう先天能力があるんだ。ISはそれぞれ違って、私のISは振動破砕。
完全に攻撃に特化した能力なんだ」
だが、スバルはあまりその能力は使いたくない。
「怖いんだ、あれを使うのが……これで人を傷つけたくなかったからずっと使いたくなかったんだ」

 
 

だから、無我夢中になって封印してきたISを使ってしまい相手を傷つけてしまった。
それでショックを受けてああなってしまったのだ。
「それでマッハキャリバーも壊しちゃったし……」
ISの力に耐え切れなくなり故障したマッハキャリバーは今、マリーとオシャーリーの所へ修理に出している。
「けど、その力を使わないと守れないものもある」
シンの言葉にえ?とスバルはシンを見る。
「確かにスバルの言う事もわかる。けど、その力で俺達は助かったんだ」
シンの言葉にスバルは少し考えてしまう……
まさか、あの力で助かったといわれるとは思っても見なかったのだ。
その時、夕暮れ時を示すチャイムが流れる。
「もうこんな時間か、そろそろバンけしにしないか?」
シンの言葉に、そうだなとレイも立ち上がり、その後にエリオたちも続く。
しかし、スバルは未だに座っていた。
それを見たティアナは、やれやれとスバルの肩を叩く。
「ほら、スバル、行くわよ」
「ティア……」
「考えたくなる気持ちもわかるけど、まずはご飯を食べる。そうしないと、訓練やってけないわよ」
そっぽを向きながらも、自分の事を心配して食えるティアナに、スくっと噴出すスバル。
「な、なによ……」
「ん?ん、なんでもない、早くいこ、おなかすいちゃった」
先ほどまでの太一度は全然違う違う(少々無理をしているように見えなくもない)スバルに、ティアナはあきれ返る。
「はやくいこーよー」
「はいはい、わかってるわよ」
そのスバルの姿は少し晴れやかだった。
よくわ分からないが、今まで自分が嫌っていた力でも、人を助ける事ができるとわかって……

 

「これはすごい……」
スカリエッティの味とで、アズラエルはデータを見て笑みを浮かべる。
「あのIS、あの戦い方。実に似ている」
あれなら、もしかすれば……
「何とかなりそうですね、勇者の後継者が……」
もう一度、笑みを浮かべるアズラエル。
そこには、スバルのデータが質されていた。

 

シ「俺達に、新しい任務が下った」
キ「任務は順調、と思ったんだけど……」
エ「次回、洞窟での出会い(前編)」
シ「だんだん予告ではなくなってきてるぞ」
フェ「まあ、いいんじゃない?」