XXVIIIスレ999 氏_いろんな意味で逆襲のシン=アスカ_第五話前編

Last-modified: 2010-06-05 (土) 00:46:50

「なん…だと、」

 

カガリがショックを受けている、実は僕もだ。
ラクスは『私達』と言った…それはつまり僕達も死ぬべきだったってことに?
やめてよね、本気でラクスの考えが理解できないよ、それって心中じゃない?
「本来ならアークエンジェルやターミナルは地球、プラントに負けるべきでした。
 ディスティニープランは草稿段階で『ハローワークプロジェクト』、略してハロプ…」
「どういうことだよ、ラクス、僕達に死ねってことなの!」
「DA・MA・REキラ、話を聞かせてくれないかNA?」
 ハイデシャバッテスイマセン…

 

「つまりディスティニープランでは一人に対し、いくつかの推奨される職を紹介、
 その上でそれ以外の仕事は努力して、といったプランでした。」
 それってただの職業斡旋?デュランダル議長テラムダ死にwwwニートサイコー!
「元々、デュランダル議長も職業は遺伝子で決められないもの、と考えていたようです、
 事実仕事は繰り返しによって作られるものですしね。」
 え?それじゃコーディネーターの遺伝子至上主義って意味ないの?
「熟練工と呼ばれる人達は…代々継いでいる場合もありますが繰り返し一つのことをやり続ける意志、
 そして努力を怠りません。だから素晴らしい物ができあがるのです。」
「成る程、努力に勝る…ってやつだな、遺伝子至上主義に凝り固まった今の世界には必要な考えだ。」
 じゃあ、僕の存在意義って何?ユーレン=ヒビキのやったことは無意味なの?

 

「それに…コーディネーター第三世代では子供はほぼできない、これは皆さんご存知ですよね?」
 うん、だからプラントでは婚姻統制したんだよね?
「ああ、だからラクスはアスランと婚約していたんだよな?」
 カガリの言葉にラクスが頷く。でも、今は僕とラブラブだしね♪
「はい、ですが将来、コーディネーターは必ず滅ぶ運命ですわ、
 ですから本来なら地球はコーディネーターを放置すれば良かったんです。」
 じゃああの戦争は何だったのさ?死んだ人達は無駄死になの?
「そうだろうな、緩やかにコーディネーターを滅ぼせば良かったな、だが今は違う
 お前らの言う未来とやらをどうするか、だ。」
 うん、カガリ良いこと言った、後で角砂糖三個あげよう。
「コーディネーターは所詮人類です、だからナチュラルに吸収されてもよろしいのではないでしょうか?」
 ラクス何言ってるんだよ、それじや全てのコーディネーター敵になる、味方いなくなるじゃない。
 止めてよね、せっかくザフトの白服とオーブの准将の地位+一夫多妻制で
 セレブなハーレムルート♪って考えてたんだから。

 

「それだけの覚悟あるなら何故もっとテロじゃない方法探せなかったんだ?」
「…私の声はコーディネーターを洗脳してしまいます。そうなるよう私は創られました。
 ちょうど女王蜂のようにです。」
「だからコーディネーターはお前の〈言葉〉に従うんだな。」
「はい、ですが全てのコーディネーターがそうだとは限りません、
 元ミネルバの隊員は基本的に私には従わない者で構成されていました。」

 

「メーイーリーン!」

 

「あっアスラン、大丈夫?」
「アスラン、復活したならお前は今すぐメイリンの所へ行ってこい、」
 カガリ、車まだ止まってないのにアスラン蹴り落…あっ何事も無く立った、
 まぁアスランなら大丈夫だよね。
「さて、アスランも言ってたがメイリンの場合は?」
「直接私の〈言葉〉である意味洗脳したようなものです。
 カガリさん、キラ、人は何故コーディネーターを造ったか…本当にお分かりなのですか?」
 それって、クルーゼの言った人の夢だから?一瞬の沈黙をラクスは分からないと考えたのか、

 

「コーディネーターは…ナチュラルを、地球を守る為の存在なのです。」
 

 

第五話〈戦場の掟 前編〉

 
 

『デトロイトの連続失踪事件の続報です、
 依然として行方不明者の所在は分からず、市民生活に不安が広がっています。
 一方でデトロイト市警察は外出禁止令を発令、市民の間には缶詰めが売れ、特にヤギ肉…』
『プラント政府はアメノミハシラの強硬な武力保持姿勢に対し、
 警告の為、アメノミハシラ所属艦を臨検し、MSのパーツを押収しました。
 これに対しアメノミハシラはただ一言遺憾の意を…』
『やぁ、カナードお兄さんだよ、今日もみんなで〈うんちっち体操〉はっじまっるよ~
 ♪そ~れ、み~んなっでうんちっち♪ふんば~』

 

 デンジャラス改めバンデッツは恐ろしい機動で敵ビルゲイツを落していく、
 三門の陽電子砲は順番に使われ、光の濁流が生まれる度幾つもの光が生まれ、命が消えていく。
かつて、力が無いことを悔やんだ自分なら忌むべき行為だ。
だが今は「互いに軍人」である為、互いの護るべきモノの為戦っている。そう考える。
だから…軍人なら、戦場なら命をかけてしかるべきだろう。
バンデッツの胸部陽電子砲は出力によっては拡散させることも可能だった。だから冷却しながら放つ。
ビルゲイツはプラントから次々と現れ増えることはあっても減ることはない。
バンデッツが左の陽電子砲を放つ、
だがそれは光波防御体付きのミーティアを装備したビルゲイツに阻まれる。
メサイア以降に開発されたミーティアシリーズ、Vista対応「エンタープライズ」だ。
 エンタープライズはミーティアのビームサーベルを光波防御体にしたもので、
主にプラント等の拠点防衛用に使われている。
 それらが次々と光波防御体を展開、隙間から僚機がバンデッツに向けビームを次々放つ。
エンタープライズもまたミサイルを全弾発射する。
 それらを全て避けるバンデッツ、急加速はシンに負担を強いるが撃墜されるよりははるかにマシだ。
敵のFCSはバンデッツの速度に追い付けていない。経験と練度の差でシンはすぐに理解する。
 ミサイルも近接芯管が作動し爆発するが爆発した先にバンデッツはいない。
ただ無意味にデブリを増やしただけだった。

 

 そしてシンはもう一つの事に気付いた。そして『そのプラン』を実行した。
バンデッツは全ての推進機を使い進む。
 この極地戦で生き残ったザフト兵は後に
「早すぎてFCSが追い付かない、熟練パイロットはマニュアルにしてたみたいですが
 当たらないんです。弾幕が…」
と振り返る。
 でたらめな、だが確実な回避にザフトは無駄弾を撃ち続ける。
だがそれがある瞬間止まった。ザフト側がいくら射撃しようにも機体が受け付けないのだ。
 バンデッツの砲撃に旋回しきれなかった不幸なエンタープライズ装備のビルゲイツと、
その周りのさらに不幸なビルゲイツは為す術も無くガスに変換される。
「何でOSに異常無いのにあのデカブツ撃てないんだよォォォ!」
 パイロットの一人が叫んだ瞬間アラートが鳴り逃げる。
こちらも撃ち返そうとするがやはりFCSはセーフティーになっている。
 その内、ザフト兵は堪え切れなくなりVistaエンタープライズの光波防御体を先頭に
バンデッツを囲みはじめた。だが相変わらず射撃はできずビルゲイツはそれぞれの近接格闘武装を出す。
 だがバンデッツ内のシンは不敵に笑う。自棄になった訳ではなく自信の現れだった。

 
 

 イズモⅡの中でミユは横になっていた。
日頃重い、走るたびに揺れて痛い胸の重みが無く、サイズを探すのが難しいブラ
(あってもデザインが可愛くなかったり、恥ずかしいデザインだったりする)の締め付けも無く快適だった。
 圧縮シャワーを浴び、素肌に兄の大きな白いワイシャツだけ、といった格好で
宇宙用ベット(無論シンの)で休んでいたところ、突然警報が鳴り、
全ての乗組員に宇宙服の着用が義務付けられる。
 ミユは下着を素早く付け、支給された宇宙服を着ようとした…

 

  …着れない。

 

 年不相応に育ちすぎた立派な胸が邪魔で入らないのだ。
ミユは仕方なく、赤い女性用パイロットスーツ(通常の3倍のバストサイズ)を着る。
この時代のパイロットスーツはスーツ内に冷却、抗放射線ジェルが内臓されている。
 そして背中にはランドセルのような生命維持装置がある。
そこで熱や衝撃に対応するが余分なジェルは流さないので、着用した後はボディラインが丸わかりになる。
 そう、ミユにとっては「裸より恥ずかしい」格好だ。
長い髪がを邪魔にならないようツインテールに纏める。
 ミユは兄を想う、ただ無事に帰ってきて「ただいま」と言って自分を抱き締めてもらいたい。
 それだけだった…

 
 

 ビルゲイツ・エンタープライズ装備がまた一機吹き飛ぶ。
バンデッツに近接戦闘を仕掛けた機体は軒並み切り伏せられる。
 デスティニーに乗っていた時も加速しアロンダイトで切り伏せているイメージが強いが、
基本的にシンは砲撃よりも近接戦闘、それもアスランのような近接格闘よりも
若干遠い間合いを得意としている。
だがそれ以外が得意ではない、といったことではない。
 事実バンデッツは多数のビルゲイツを撃墜している。シンは今のザフトは弱いと素直に感じる。
 連携の大切さ、数を減らす為の作成、指揮能力、全てがお粗末だ。
だからシンは数を減らす為、明らかに迂濶な、自身過剰な奴から潰す。
 だが包囲網は確実に狭まってきた…

 
 

 キラ=ヒビキは苛立ちを隠せなかった。目の前でシンが窮地に陥っている。
 サイを含め整備員は頑張っているが今のフリーダムはコクピットハッチを取り付け、
一部にしか装甲を身に付けていない。
 キラは歯ぎしりをすると整備員を押し退け、コクピットに座る。
「キラ、まだ作業は終わってないぞ。」
「サイ、お前が装甲無くなっても大丈夫って言ったのを信じなかったのは俺が悪かった。だからもういい。」
「キラお前…」
「それから…サイ、すまなかった、フレイのこと…ずっと謝れなかった…」
「…帰って来たら殴らせろ、それでチャラにしてやる。だから死ぬなよ。」
 サイが離れる。キラはコクピットハッチを閉じ、機体をカタパルトへ移す。
モニターではサイが敬礼している。

 

「キラ=ヒビキ、クロスアウトフリーダム、出る!」

 

 遥か向こうに戦火が見える。キラが意識を集中させる、瞳の中で種が弾ける。
 だが心は高揚し獰猛な笑みを浮かべる。

「ククククク、ハッハー!」

 

 クロスアウトの両手に保持しているライフルが火を放つ。
それは寸分違わず正確にビルゲイツを2機、コクピットに穴を空ける。
 キラがクロスアウトの推進機を最大にし最高速度にする。
暴力的なGがキラを潰し視界が黒く染まるがキラは笑っていた。
 旧ストライクフリーダムに乗っていた頃ならすぐに音を上げていただろう。
 だが今は違う、確固たる意志と目的、その先にある具体的な未来が見える。
だからキラは死ねない。それは今は親友たるシンにも言えた。
「墜ちろォォ!」
 クロスアウトがフォースシルエット装備のビルゲイツ、その四肢と推進機を一瞬で切り裂く。
 そして達磨になったビルゲイツを盾に次の獲物に襲い掛かる。
僚機を撃つのをためらったその獲物は盾にされた僚機と同じ運命をたどる。

 

胸部と股間にのみ装甲を施されたクロスアウトが今蹂躙を始めた。

 
 

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