基本情報
- イデア名:Sylphy
- 身分:天使
ヴェロニカに比類なき知識を授けた大天使。それはヴェロニカに人々を支配させることで、彼女の考える「救済」が成しえると考えたからである。
シルフィは概念的な存在であり、カードイラストの姿は人間が見ているからこその外形である。
収録弾
- Blade Rondo -Lost Dream-
- No.92 天聖に弓引く者なく
- 崇めるべきものを定めて人々を停滞に誘う大天使の、旧世紀から伝えられる物語。
- No.92 天聖に弓引く者なく
Tradition
No.95 天聖に弓引く者なく(シルフィ)
0は何乗しても0である。シルフィはその理のちょうど隣にいる。比喩ではない。イデアの世界は均質にして無垢なキャンバスではなく生々しさの限りを尽くして次元を埋めるひとつながりの生体である。人間が発見し得る叡智は例外なくその生体の襞に人智を越えた配列で格納されており、たとえば球体地図作成術は命令型魔導記法と手を結び、君主論などはフスカスの撹乱素数定理にぐるりと取り囲まれたりしている。シルフィは姿の定まった意志の主体ではなく、真の意味で概念なのだ。ゆえに人に見えるのは人が見ているからであり、美しい天使の御姿は願望の刺激で活性化したものである。
にもかかわらず彼女はヴェロニカの歪んだ心を愛した。悪魔によって既に不死の術を得ていたヴェロニカに、天使はひとつの鍵を授けた。その鍵は認識の蓋を開き、世界の秘密の閲覧を可能にする。その秘密は深淵にして忌まわしきもので、竜が覗いた時にはその心を一夜で壊した。ヴェロニカの比類なき魔法力とカリスマの源はこれだ。
彼女が人界を束ねた暁には成し得るだろう……あらゆる尊厳を殺して生命だけを守り続ける、これがシルフィの救済である。