Tradition/ヴェロニカ

Last-modified: 2022-07-13 (水) 14:11:11

基本情報

  • イデア名:Veronica(ヴェロニカ)
  • 身分:修道女・魔女

シリーズを通して悪役として君臨し続けた存在。

 

過去に助けた人間たちに裏切られた過去がもとで、世界に絶望し不老不死の力を手に入れた。そして、ソーディアの組織《ローズ》を支配した後、組織に所属する人間を洗脳している。
ソロプレイは、クレミエールによって洗脳を解かれた主人公との戦闘という背景がある。

 

Lost Dreamにて再登場した「金剛剣」は、ヴェロニカが絶望する前の姿のイデアである。

収録弾

Tradition

No.17 絶命棄却のダイヤモンド(ヴェロニカ)

 

魔女ヴェロニカの祈りに心はない。あるのは敬虔な修道女を演じる自己演出のみである。羽根を広げたり光を降らせたり、手品同然の小手先の魔法で人々から信仰を引き出した彼女は、自分は死なないと言い残して命を断った。歴然と残った死体にも関わらず、もはや信者たちは彼女の死を認めない。認められる訳がない。死体を崖下に捨てて次の日に教会を訪れると、そこには変わらずヴェロニカの姿がある。

 

喝采を捧げる参列の中、不幸にも目端の利く少年が親の手を握りながら、ガチガチと歯を鳴らして震えている。

No.85 金剛剣(ヴェロニカ)

 

フェルニーシャ。ウェラネーセ。ヴェレニーチェ。ヴェロニカ。

 

国々の栄枯盛衰を越えて長く生きるというのは、変わっていく名前と付き合うということだ。改名したつもりがなくても、時代が景色を更新し続けるのと並走して発音はゆっくりと変じてゆく。宇宙ひとつをすっぽり内蔵して星々ほどの瞬きを一粒でこなすダイヤモンドに、最初はふたつのことばを封じ込めた。彼女がいつか死ぬ旨と、彼女の心が変化してゆく旨である。それで不死と不変を得た。人間たちへの遠大なる復讐を遂げるために、そして、悠久の中で動機を風化させないためにである。

 

感傷は過去だけでいい。

 

金剛の剣で人々を守り続けた修羅の日々は、思えばまどろむような蜜月だった。菩提樹の丘に来なかった想い人を蹂躙したのは、あろうことかヴェロニカが守った人々だ。竜王の祠で天使と悪魔に出会い、彼女らとの契約はヴェロニカの絶望と共にダイヤモンドに刻まれた。薔薇の庭にて交わされた人間と魔法使いの講和は何よりも許せず、冷えた怒りを伏せたまま彼女はそれを利用した。知識と記憶は増えていく一方だ。決して失われることがない。彼女の心は代謝をしない。広大な絶空にきらきらと思い出が舞い散るなかで、誰もいない景色に肩を抱くなかで、ヴェロニカはたった一人である。