一般常識/ロードシップ諸島

Last-modified: 2011-06-01 (水) 08:55:32

序文

 コホン。私は王立大学の暦学科担当教授ダヂェオス=シャヨウである。
今回は短期講習『ロードシップ諸島の文化について』ということで、ここグレイホークから遠く離れた東洋のロードシップ諸島についての講義となっている。
 ……私の専門はどちらかというともっと古代の文明なので、なぜ私がこの講習を担当することになったか不思議でならないのだが。
しかし、我々大陸人とは全く違う文化を構成してきたロードシップの歴史は非常に興味深く、新鮮な知識を君たちに与えてくれることと思う。
 では、講義を始めるぞ。

ロードシップ諸島とは

 大帝国の東に点在するいくつかの島々を総称してロードシップ諸島と呼ぶ。
島々は浅瀬でつながっており、歩いて渡ることもできるため島同士の文化は我々のフラネスと比べると比較的統一化されているな。
そしてその島々の文化は大陸側の人間からは想像もつかないような特殊な文化となっている。
何故このような文化になったというと、今から約20年ほど前まで大帝国によって鎖国が行われていたため、独自の文化が発展することとなった。
鎖国が終わってから大陸側の人間がロードシップ諸島に渡ることも多くなったが、強く根付いた独自文化は未だ色あせていない。

天下統一

 ロードシップは島ごとに国が別れていて、それぞれの国が天下統一を目指して戦争状態にある。
……といっても地形の関係もあり大きな戦争は行われていないが。
時々200人クラスの小さな争いが起こるぐらいだな。それらによって国の領土が変わったという文献は残っていない。
恐らく現在の国体系が出来てから領土関係は変わっていないものと思われる。
現在最も発展している国はミツバモクウリだ。いわゆる都会というやつだな。

 さて、大帝国がロードシップの鎖国をしたのは何故だと思う?ではキャレット君、答えてみなさい。
……なるほど、ロードシップ人が野蛮だったから、か。
ロードシップ人からみれば、毎日が戦争状態の我々のほうがよっぽど野蛮人だろう。
他に類を見ないぐらい、現在のロードシップは平和な状態だ。
戦争も先日読んだとおり小規模なものだし、なにより食料資源が豊富なため奪い合いになることもまずない。
一説には、ロードシップ全体に浸透している宗教上の『鬼』という存在がモラルの向上に関係していると言われている。
ロードシップの人たちは自分達の非モラル的な感情をすべて鬼が食ってくれるものとしているため、それらを意識的に押し込め、鬼に任せることで知らず知らずのうちに発散しているという説だ。
もちろん生物学的にロードシップ人がどうたら……という話は化学科で聞く様に。


 一番最初の質問の答えとしては……これまたが関係している。
約500年ほど前まではロードシップ諸島も一つの大きな島で、ニポンと呼ばれていた。
そのニポンの人々は想像上の存在でしかなかった鬼を呼び出すことに成功した
しかし、現れた鬼によってロードシップ諸島のすべての火山で大規模な同時噴火が発生しニポンがあった島の90%は水没した
現在ロードシップ諸島を形成している島々はそのほとんどが噴火活動によって盛り上がった火山島である。
この大事件を彼らは天変地異と呼び、それを観測していた大帝国は被害を受けないためにロードシップ諸島全域を鎖国し、輸入や輸出、渡航も制限した。
以後400年以上この鎖国が解かれることはなかったが、大帝国側のアプローチによって近年やっと解かれたわけだ。

荒御霊

 荒御霊(アラミタマ)というのはロードシップ諸島全域に伝わる怪現象……所謂怪物のことだ。
アラミタマという存在は生物に取り憑き、その生物を凶暴化させる一種の精霊のように考えられている。
また、アラミタマに取り憑かれ続けると次第に奇形化し、手も付けられぬほど強靭な力を得る……らしい。
私は見たことがないのでなんともいえないが。
 アラミタマは鬼の住む火山に集まる傾向があり、山中にはアラミタマによって凶暴化した野生生物がよくいるらしい。
時折、人里にも降りてきて人を襲うが、大体はその国に使える兵士達が討伐してくれる。
その関係で火山に登る一般人は皆無といっていい。

言語体系

 ロードシップ諸島では多少の訛りはあるものの、我々と同じ共通語が用いられている。
だが、表記のみ特殊な言語を使っているようだ。
開国した現代でもロードシップのいたる所でこの表記が使われているので、渡航者が困る場面もあるらしい。
逆に言えばロードシップ人が我々の大陸にわたっても表記が違うため、戸惑うだろう。
ではその表記だが……文学科で見せてもらうように。

ロードシップ諸島のこれから

 何事もなければ、ロードシップ諸島は未来永劫平和なままだろう。
天下統一によって一つの国家でまとめられるよりも、各国がそれぞれ管理をしているのが功を奏したのかもしれん。
 しかし、未だ火山に眠るとされる鬼の存在。人々を襲うアラミタマ。
そして度々目撃されている正体不明の怪物アラハバキ……。
これらがロードシップ諸島に一波乱もたらす可能性はないとは言えない。