ハンター1人体制と2人体制がもたらした戦術的差異-日中比較論に向けて

Last-modified: 2024-04-29 (月) 20:35:56

ハンター1人体制と2人体制

IVLとIJLでは、環境だけでなく戦術面でも顕著な差異が見られます。特にハンター1人体制と2人体制の違いが挙げられます。日本ではハンターの役割が分業化されているのに対し、中国では一人のハンターが専任されることが多いです。どちらの戦術の方が優れているのでしょうか?なぜこのような形に日本と中国で別れたのでしょうか?IVLとIJLとの比較はとても面白い題材です。しかし、オペラ歌手の登場により中国でも2人体制を採用するチームが増えました。第1ラウンドのハンターはある特権を持っています。自由に好きなハンターをPickできるためで、この理由によりこのラウンドは特別な意味を持ちます。この記事では、2022~2023年のIVLとIJLでの第1ラウンドにおける各選手のPickキャラクターを分析し、ハンター1人体制と2人体制の違いがもたらした戦術的差異について考察します。

2022夏季

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まず2022年の夏季について見ていきましょう。ただし、各チームの実情を考慮する必要があります。なぜなら、AXIZ_Roseは諸事情により急遽夏季を1人で戦い抜くことになりました。CGでは2戦目以降を担当していたCG_Ryzがチーム事情により1戦目も出場することが求められました。DAWN_Burioは1人体制のチームです。FLはCC_Hashaの加入で1戦目ハンターをFL_noNinoと両方が担当です。ZETA_vanpyiは2021年秋季IVCとCOA5予選をメインハンターを務め、SST_alfの加入に伴い、今季から1戦目ハンター転身したばかりでした、このように安定して2人体制が取れていたチームはSZ、RCと7チーム中2チームなのでこのシーズンでの比較はあまり有意義ではないと言えるかもしれません。IJL発足による混乱期と捉えるのが適切だと思います。少しコメントするならIVLにおいて5人もの選手が多くの試合で夢の魔女のみを使うことを選択している点です。

2022秋季

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秋季こそハンター1人体制と2人体制の違いが現れてきたシーズンでしょう。当時新たにTier1ハンターとして注目されたのが書記官と蝋人形師でした。そしてIJL・IVL共に書記官は最もPickされたハンターですが、IJLでは第1ラウンドから出場していたのに対してIVLで第1ラウンドで出せていたのはDOU5_DongXくらいで、大部分のチームは第2ラウンド以降を書記官の主戦場としてました。この違いはどこから来ているのでしょう?この差異の背景には、ハンターのキャラプールの広さと練度の高さが影響していると考えられます。1人体制のハンターは、後のラウンドでのさまざまな得点状況や編成に対応するためにキャラプールを広げる必要がありますが、このことが夢の魔女と書記官の両方を第1ラウンドで出せるほど高い練度で仕上げることができず、夢の魔女の練度維持で手一杯だったのかもしれません。反対に、ハンターが2人体制では、一人が夢の魔女と書記官の練度向上に専念し、もう一人がキャラプールを広げることで、AXZ_yuu、CG_Ideshi、FL_Hasha、RC_AKaなどの選手は夢の魔女の練度を維持しつつも第1ラウンドで書記官を投入できた要因となったのではないでしょうか?

2023夏季

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2023年ではハンター1人体制と2人体制の違いが明確に現れたシーズンでした。日本ではFAV_Chikin、SZ_Burio、ZETA_MiraiKに代表されるように一部のハンターの練度を高めることで好成績を残しています。一方中国ではグラフで表れているようにイタカは追い風とし、キャラプールによる物量戦術をとっています。1戦目だけでなく2、3戦目も担当したRC_AKa*1では中国と同様に夜の番人プラス4キャラ投入することでキャラプールでも攻める戦術をとっています。また、同様に2戦目まで担当したFL_Hashaも書記官や血の女王など特徴的なPickが見られます。すなわち、Global Banが導入され1戦目サバイバーの編成力が低下したこの環境での1人体制では物量戦術を取ることが理があり、2人体制では少数精鋭戦術を取ることが理に叶うと言うことでしょう。

2023秋季

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しかしオペラ歌手は中国における1人体制へと風穴を開けることになりました。オペラ歌手が環境を絶対的に占めその結果練度を高めることが求められました。その帰結としての2人体制の導入でしょう。また、オペラという強力なハンターを手に入れたことで新人選手たちがようやく歴戦のIVLサバイバーたちに立ち向かえるようになったとも言えます。オペラ一色の練度合戦への変化はIVLとIJLの差異と一致の両方が現れたシーズンでしょう。

終わりに

この記事では2023年夏季での1人体制は物量作戦2人体制は少数精鋭作戦と2022年秋季での書記官の投入という差異のみと留まりました。他のシーズンでは明確に差異を述べることは困難ですし、なぜ日本では中国と違い2人体制となったのかその理由の推測までは至ることができませんでした。やはり比較文化論の側面のある調査ではデータによる定量的な手法より社会学や心理学で用いられれるインタビューなどの定性的な手法の方が有効な気がしています。こういう時こそ選手やチームへのインタビューなど実際に話を聞いて考えを知ることで解き明かせるのではないかと思います。

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*1 厳密にはRC_shotaも6試合出場している