さようなら、エルデ=ヴィーデ:夢幻で会う日まで
プラフタ「ソフィー、少しは落ち着いたらどうですか?」
ソフィー「落ち着いてられないよー。プラフタもラミゼルさんも、みんな見当たらないし……」
ソフィー「もしかして、もう帰っちゃったのかな……」
プラフタ「そんなことはないと思いますが……」
プラフタ「そうだ、エルヴィーラに聞いてみてはどうでしょう? 彼女なら何か知っているかもしれませんよ?」
ソフィー「そっか、そうだね! じゃあ、夢の大樹に行ってみよー!」
プラフタ「まったく、落ち着きなさいと言ってるのに……。でも、仕方ないのかもしれませんね」
プラフタ「待ってください、ソフィー。慌てると転びますよ」
プラフタ「ソフィー……」
ソフィー「あはは、そうだった。エルヴィーラなら、何か知ってるよね」
プラフタ「ソフィー……」
ソフィー「あはは、そうだった。エルヴィーラなら、何か知ってるよね」
アレット「あっ! ソフィーさーん、プラフタさーん!!」
ソフィー「アレットちゃん!? みんな!?」
ソフィー「みんなここにいたんだね。でも、どうして……」
オリアス「散々、エルデ=ヴィーデを駆け回った仲間だからな。最後はみんなで別れなきゃ嘘だろ」
プラフタ「まったく……遅いですよ、二人とも」
ラミゼル「まぁ、わたしたちが勝手に集まってただけなんだけどね」
ディーボルト「これも仲間の絆、というやつだな」
アレット「ねぇねぇ、それよりも見てよ、ソフィーさん!」
ソフィー「大樹が、元気になってる……!」
エルヴィーラ「えっと……なんだか恥ずかしいわ……」
ラミゼル「何恥ずかしがってるのよ。良いことじゃない」
エルヴィーラ「もー、ラミィにはわかんないの!」
プラフタ(人形)「しかし、これで私たちに心残りはありません。安心して旅立つことができます」
オリアス「まぁ、そういうこった」
アレット「エルヴィーラ様が悲しんでたら意味ないもんね!」
エルヴィーラ「みんな……本当にありがとう」
エルヴィーラ「エルデ=ヴィーデを創って良かった。みんなに会えて良かった」
エルヴィーラ「だから、どうか元気で……」
アレット「それじゃあ、最初はあたしかな。湿っぽいのは好きじゃないしね」
アレット「ソフィーさん、みんな……一緒にいた時間、楽しかったよ!」
ソフィー「アレットちゃん……」
ソフィー「あたしもすっごく楽しかったよ! アレットちゃんに助けてもらわなかったらあたし……」
アレット「えへへ、そう言ってもらえると嬉しいな」
オリアス「あっちに戻っても金稼ぎするのか?」
アレット「もっちろん! お金持ちになることがあたしの夢だからね!」
オリアス「そっか……。けど、無茶はすんなよ。おまえすぐドジるからな」
アレット「な、なによ、マジになって……。なんか怖いよ?」
プラフタ(人形)「ふふ、オリアスはアレットが心配なんですね」
オリアス「そりゃ、大事な仲間だからな。なんかあったら寝覚めわりぃだろ……」
アレット「ふーん、そっかー。じゃあ、ちゃんと気を付けるよ。心配かけないようにさ」
オリアス「おぅ、元気でな」
アレット「うん、オリアスもね」
アレット「みんな、元気でね! また、あっちの世界で会えたら会おうね!」
オリアス「さて、次は俺みたいだな……」
プラフタ(人形)「オリアス……」
ソフィー「オリアスさん……」
オリアス「おいおい、そんな顔するなって」
オリアス「ま、オレ様のような偉大な用心棒と離れて心細いのはわかるけどよ」
ラミゼル「あんた、さっきまでと随分違うわね……」
オリアス「仕方ねぇだろ。オレたちの中じゃ、あいつが一番頼りねぇんだからよ」
オリアス「大丈夫だってんなら、もう思い残すことはねぇよ」
ディーボルト「オリアス……」
オリアス「ディーボルト、おまえにも世話になったな」
オリアス「この先、おまえと同じくらいの腕のヤツには早々会えねぇだろうな」
ディーボルト「それはこちらのセリフだ。おまえには、随分と助けられた」
オリアス「多くは語らねぇ、男の挨拶なんてこれで十分だ。そうだろ?」
ディーボルト「あぁ、元気でやれよ」
オリアス「おぅ! おまえらもな!」
ディーボルト「エルヴィーラ様、ラミゼル、君たちには感謝してもしきれない。改めて礼を言う」
エルヴィーラ「ううん、お礼を言うのはわたしの方よ。すごく助けられたしね」
ラミゼル「あんたとも随分長い付き合いになったわね」
ラミゼル「けど、もう大丈夫でしょ?」
ディーボルト「あぁ。私はもう後悔に囚われたりはしない」
ディーボルト「ソフィー、プラフタ、君たちのおかげで自身の夢を取り戻すことができた」
ソフィー「ディーボルトさん!?」
プラフタ「突然何を……」
ディーボルト「君たちは、素晴らしい錬金術士だ。君たちのような者を護れて私は幸運だった」
プラフタ「いえ、まだまだこれからです。私はもっと多くの人を笑顔にしてみせます」
ソフィー「あたしも、もっとたくさんの人を幸せにしてみせます!」
ディーボルト「ふふ、そうか。それでこそ、君たちらしいと私は思うよ」
ディーボルト「ソフィー、プラフタ。どうか、これからもまっすぐな君たちでいてくれ」
ソフィー「はい……! ありがとうございました、ディーボルトさん!」
プラフタ「ありがとうございます。あなたも、どうかお元気で」
プラフタ「さて、次は私の番ですね。」
ソフィー「あっ……。プラフタ……あの……!」
プラフタ「良いんです、ソフィー。これから私の身に起きることを言う必要はありません」
プラフタ「それに、もう決めてることがあるんです」
プラフタ「エルヴィーラ、お願いがあります」
エルヴィーラ「どうしたの、プラフタ?」
プラフタ「たしか、この世界から戻るとき、記憶を残すかどうか選べるはずでしたよね?」
エルヴィーラ「え、えぇ……そうね。今までそんな人いなかったけど……」
ソフィー「もしかして、プラフタ……!」
プラフタ「はい。わたしの記憶は、残さないようにしてください」
ラミゼル「ちょっ! 本気なの!? だって、全部忘れちゃうのよ!?」
プラフタ「忘れませんよ……」
プラフタ「もう一人の私は、生き証人です」
プラフタ「たとえ記憶が残っていなくても、ここでの経験と想いがあったから、私は道を踏み外さなかった」
プラフタ「これから私の身に降りかかる困難は、けっして楽なものではないのでしょう」
プラフタ「ですが、ここでの想いがあれば、きっと私は負けない。挫けず、前を向いて歩いていける自信があります」
プラフタ「それに……記憶を残して未来が変わってしまったら、ソフィーと出会えなくなるかもしれませんから……」
ソフィー「うん! あたしも、プラフタと出会わない未来なんて考えられない!」
ソフィー「プラフタ……また、絶対に会おうね!」
プラフタ「はい。また未来で会いましょう、ソフィー」
プラフタ「これで、良いんですよね?」
プラフタ(人形)「えぇ、満点の答えです。あなたならきっと、この答えに辿り着くと信じてました」
プラフタ「あなたも、どうかお元気で……」
プラフタ(人形)「ソフィーのこと、よろしくお願いします」
プラフタ「あなたの方こそ、これからのソフィーをしっかり支えてくださいね」
ソフィー「二人とも、あたしのこと子ども扱いしすぎじゃない?」
ソフィー「そういうことは、ちゃんと片づけられるようになってから言ってくださいね」
プラフタ(人形)「まったくです」
ソフィー「はぁ……本当に似た者同士だよね……」
プラフタ(人形)「ふふ、何を当たり前のことを……」
プラフタ「えぇ、当然じゃないですか」
プラフタ「だって『あなたは私』で……」
プラフタ(人形)「『私はあなた』なんですから……」
プラフタ「それでは、そろそろさよならです」
プラフタ「また未来で会いましょう」
ソフィー「えっと、ラミゼルさん、あたし……」
ラミゼル「ホント、びっくりしたなー!」
ソフィー「え……? え……!?」
ラミゼル「エルに『おまえの孫だ』なんて言われても実感なんてあるわけないし」
ラミゼル「孫どころか親の気持ちすらよくわからない」
ラミゼル「そもそもわたしが結婚なんてできるのかしら……」
ソフィー「そんなことないよ!」
ソフィー「ラミゼルさんは、すごくかっこよくて、あたしの大好きな……!」
ソフィー「大好きな……」
ラミゼル「でも、これだけは間違いなく言える」
ラミゼル「ソフィーと一緒に過ごした未来のわたしは、絶対に幸せだった」
ラミゼル「たとえあなたの成長を見守れなかったとしても、後悔なんてきっとなかった」
ラミゼル「だって、こんなにかわいくて立派な孫なんだもの。後悔なんてするはずないじゃない」
ソフィー「おばあ……ちゃん……」
ソフィー「おばあちゃん……おばあちゃん!」
ソフィー「おばあちゃんがいなくなって、ずっとずっと寂しかった……!」
ソフィー「モニカやオスカー、キルヘン・ベルのみんなは優しかったけど、一人になると泣きそうだった……!」
ソフィー「でも、おばあちゃんみたいになりたくて、我慢して頑張って、ここまで来たのに……!」
ソフィー「こんなの、ずるいよ……」
ラミゼル「そうね。わたしはずるいから、だからずっと見ててあげる」
ラミゼル「ソフィーと過ごした時間は幸せだった。きっと未来のわたしもそれは変わらない」
ソフィー「うん……うん……!」
プラフタ(人形)「落ち着きましたか?」
ソフィー「うん、もう大丈夫」
ラミゼル「それじゃあ、また会いましょう」
ラミゼル「プラフタさん、ソフィーのことよろしくね」
プラフタ(人形)「はい。任せてください。ラミゼルも、必ず私を見つけてくださいね」
ラミゼル「ふふっ、任せておきなさい」
ソフィー「エルヴィーラも、元気でね」
エルヴィーラ「大丈夫よ。それから、ありがとう」
エルヴィーラ「ソフィーがみんなを救ってくれた。ソフィーがいたから一人ぼっちじゃなくなった」
エルヴィーラ「またいつか、夢の中で会いましょう」
ソフィー「うん! いつかまた、夢の中で!」
エルヴィーラ「さ、次はラミィよ」
エルヴィーラ「え……!? ちょっと、ラミィ!?」
ラミゼル「まだ、わたし帰らないわよ」
エルヴィーラ「どうして!? だってもうみんな……!」
ラミゼル「そんなの決まってるでしょ。まだやることがあるのよ!」
エルヴィーラ「やること?」
ラミゼル「はぁ……」
ラミゼル「あんたのことよ! これから大地を閉じるんでしょ!?」
ラミゼル「そのために切り分けた力を回収しに、夢の核がある場所を回るんじゃないの!?」
ラミゼル「そんなの、エル一人にやらせられるわけないでしょ!?」
エルヴィーラ「どうして……。だって、誰にも話してないのに……」
ラミゼル「何年一緒にいると思ってるのよ。エルがそういう子だって痛いほど身に染みてるんだから」
ラミゼル「最後くらい、もっと頼りなさい……!」
ラミゼル「もう黙って、無茶なんかするんじゃないわよ……」
エルヴィーラ「うん!!」
わたしたちは歩き出す
みんながいなくなったエルデ=ヴィーデの地を
この世界から帰る時、
わたしたちは笑って別れられるのだろうかそんなこと考えるまでもないか
わたしたちはきっと笑える
そうじゃないと、あの子たちに合わせる顔がない
どうか、あの子たちのこれからの旅路が、
限りのない夢と様々な学びそして、溢れんばかりの希望に満ちた
幸せなもので、ありますように――
ソフィー「んん……」
プラフタ(人形)「ぅ……」
ソフィー「ここは……。あたしたち、帰って来たんだね」
プラフタ(人形)「えぇ、今度は無事で本当に良かったです……」
ソフィー「ん……」
ソフィー「プラフタ見て……!」
プラフタ(人形)「これは……。大樹に花が……」
ソフィー「すごい、綺麗……」
ソフィー「ねぇ、プラフタ。この大樹って、あっちの大樹と繋がってるのかな?」
プラフタ(人形)「どうでしょう……。ですが、無関係とも思えませんね」
ソフィー「そっか、そうだよね……。なら大丈夫。必ずまた会えるよね……」
プラフタ(人形)「えぇ、そうですね……」
ソフィー「さて、そろそろ次の目的地に向かおうか」
ソフィー「えーと、たしか、次に行こうとしてたのは……」
プラフタ(人形)「――『エルトナ』。良質な鉱石が採れるという町ですよ」
ソフィー「そっか。よーし、じゃあ……プラフタ!」
ソフィー「行こう! 鉱石の町、エルトナにっ!」
いつでも前向きな錬金術士、ソフィー
そして、人形の身体を持つ相棒、プラフタ
二人が経験した夢幻の世界『エルデ=ヴィーデ』
そこで出会った多くの人たちや、
大切な仲間たちと冒険した出来事……その経験は、彼女たちを大きく成長させました
これからの彼女たちを、
どのような出来事が待ち受けていようともあの不思議な世界での経験が力となり、きっと――
ううん、絶対に彼女たちを助けてくれるはず!!
頑張ってね、ソフィー!
この不思議な夢での出会いは絶対に忘れない!あなたたちのこれからに、
どうか夢と希望と、不思議な旅が待っていますように!
Fin