【幻覚ウマ娘】私のトレーナーがあにまん民だった【ワットハイア】 Wiki*

春といえば

SS書きハイア民? (2024-04-15 (月) 18:52:50)

　春といえば、桜である。そして桜といえば散るものである。散るもの、といえば。

「……ハイアさん、かわいそうなものを見る目で俺の頭皮を眺めるのやめてもらえます？」
「散りそうでかわいそう……」
「直接的に言うんじゃねえよ！」

　ある日のトレーナー室でのことだ。窓の外にチラチラと舞う桜を見て、そこからの連想でハゲのハゲを見てしまった。仕方ないじゃん、チラチラとしか髪が残ってないんだから。舞っているのとしがみついているので違いはあるけど。

「しがみつくといえば、木の枝についた葉っぱがどうこうって話があるよね」
「今の流れから『しがみつく』を連想するのはだいぶ失礼だからな？　そりゃ『最後の一葉』だな」

　ハゲがサラッと、私が連想した話のタイトルを挙げてくる。え、あの話って元ネタあるの？　いやあるんだろうけど、ちゃんとした作品として存在してたのか。なんとなくネットとかテレビで適当にでっち上げられたものだと思ってた。
　驚いて目を白黒させていたのか、ハゲが少し得意げな表情で話を続けた。

「オー・ヘンリーの短編小説だな。病気になった子が『葉が落ちたら死ぬ』と言ったものの、雨風にさらされても落ちないから、生きる気力を取り戻す、って流れ」
「へー」
「ちなみに落ちなかった理由は、緻密に描かれた絵だったから、ってオチだな」
「あー、最近だと写真と変わらないような絵を描く人もいるもんね」
「しかも病室の窓から遠目に見るなら、余計にって話だな。ちなみに元ネタでは、壁に這った蔦の葉だから、木の枝ってわけじゃないぞ」

　なるほど。確かに木の枝じゃあ絵でごまかせない。記憶違いなのか、色々と巡り巡って勘違いになったのかはわからないけれど、木の枝だと思っていた。
　思わぬ雑学を得た。ちょっと読んでみるのもいいかもしれない。

　それはそれとして。

「……ハゲの頭は蔦のほうが近いかな」
「ねえ何で軌道修正したのに戻すの……？」
「桜が散るのとハゲの毛が散るの、どっちが早いかな」
「流石に桜より早く散ってほしくねえよ！」

　立て続けに煽りすぎたからか、ハゲがそろそろガチで凹み始めた。プロレス的にやっていることではあるのだが、一線を超えるのは流石に、ね。
　さて、そろそろ本題に入らねば。何のためにトレーナー室に来たのか、って話だし。

「じゃ、次のことを考えよう。ハゲの毛が散るより早く、重賞一つ勝っておきたいしね」

　季節は、春。現役ウマ娘の私としては、レースシーズンの真っ只中なのだから。

Wikiトップのリアルタイムコメント欄見てたらアイデアが浮かんだので短めのやつをさっくりと。
アイデア感謝いたします。
SSのストックもないのでスレを立てるほどではないけれど、思いついたら書かねばならぬSS書きの性。
ちなみに『最後の一葉』は教科書にも載っているらしいです。