「加速度理論」を解説する

Last-modified: 2023-12-01 (金) 22:26:43

問題点の指摘、新説の付記などガンガンおねがいします
【はじめに】

なぜ、加速度議論が問題になるのか

不思議パワーで止めたでいいじゃん」という意見をたまに聞く。
実際、月人の不思議パワーには裏付けがある。

引用

紫「地上の民は月の民には決して敵わないのよ」
藍「え?決して敵わない・・・?」
紫「遥かに進んだ科学力、強靭な生命力、妖怪には手に負えない未知の力。
  地上の民は月の民には決して敵わないわ、特に月の都では」
藍「そ、それでは今になって何故、もう一度月に攻めようと思ったのです?
  おかしいじゃないですか。本当はそんな事思ってないんですよね?」
紫「いいえ、やはり敵うとは思っていません」 (小説五話)

そうであるにもかかわらず、何度も問題にされるのは
中途半端に説明をしてしまっているからである。もし、依姫の台詞が

依姫「私にはウィッシュのポーズで弾幕を止める能力がある」

だったのなら、全く問題にならなかっただろう。しかし、実際は説明してしまっている。
能力に理屈の説明を入れた以上は、理論部分は理解できるものでなければならない。
なのに意味不明な電波文だから、問題にされるのだ。

既に、加速度理論登場から二年が経とうとしている。その間、様々な見解が述べられてきた。
それらをまとめてゆけば、解決できるのではないか。ここはこういうページである。

 

【前提】

(スターダストレヴァリエが、ウィッシュのポーズをした依姫の周囲でピタッと止められている)
ウィッシュ.jpg

魔理沙「月の都で見える星は瞬いていないらしいな」
依姫「星が瞬いて見えるのは 大気の揺らぎなのです
   大気の少ない月の都では 星はほとんど瞬かない(星弾を食う」
依姫(甘…)
依姫「瞬かない星の光の軌道は 完全な直線です 
   等速度の攻撃は加速度系において止まっているに等しい
   止まっている弾幕なら 誰にでも避けられるでしょう?」
魔理沙「よく判らんが 確かにお前の周りは止まっているな」

二通りの解釈がある。
一つが「ゆで理論が依姫の未知の力で具現化し、弾幕がピタッと静止した」という見解、
もう一つが「依姫が迫る弾幕に対し等速度でバックし、止めているように見せた」という見解である。

 

便宜上、前者をウィッシュ止め説、後者をバック走避け説とする。

 

このうちバック走避けは、ありえないと考えていい。
詳細は強さ議論における「秋枝作画」をどう扱うべきかの「加速度理論問題」に記してあるが、
要するに問題点が多すぎるのだ。特に、魔理沙の台詞と矛盾するのが致命的である。

 

よって、本ページではウィッシュ止めの方向で解釈してゆく。
つまり、加速度理論のセリフを解説してゆく形となる。
それでは解説に入るが、その前にもう一度セリフをコピペしておく。

引用

魔理沙「月の都で見える星は瞬いていないらしいな」
依姫「星が瞬いて見えるのは 大気の揺らぎなのです
   大気の少ない月の都では 星はほとんど瞬かない(星弾を食う」
依姫(甘…)
依姫「瞬かない星の光の軌道は 完全な直線です 
   等速度の攻撃は加速度系において止まっているに等しい 
   止まっている弾幕なら 誰にでも避けられるでしょう?」
魔理沙「よく判らんが 確かにお前の周りは止まっているな」

この文章を三分割(ステップ1,2,3)し、一段落ずつ解説する。

ステップ1:「瞬く」とは

魔理沙「月の都で見える星は瞬いていないらしいな」
依姫「星が瞬いて見えるのは 大気の揺らぎなのです
   大気の少ない月の都では 星はほとんど瞬かない(星弾を食う」
依姫(甘…)*1

【解説】
魔理沙のセリフ

魔理沙「月の都で見える星は瞬いていないらしいな」

というセリフは、止められたレヴァリエを指して発せられている。
止められたレヴァリエ=瞬いていない星と、表現したのだ。

たぶん、こういう理由で

瞬きとは「ちらちらと光る」なので「瞬く星」は「動き(変化)がある星」と言えます。
(ちらちら光って見えるので、動きがあるように見える)
だから、止められた動かない星弾は、「瞬かない星」つまり「動き(変化)のない星」です。
(光りっぱなしだから、止まっているように感じる)

要するに、瞬く(ちらちら光る)=動きがある、としたのでしょう

とにかく、魔理沙はレヴァリエ=瞬かない星という比喩をしている。
魔理沙のセリフを、直すとこうなる。

魔理沙「レヴァリエが止められてしまった。まるで瞬かない星だな」

 

依姫のセリフ

依姫「星が瞬いて見えるのは 大気の揺らぎなのです
   大気の少ない月の都では 星はほとんど瞬かない」

『光が、大気の影響を受ける』というのは、現実でも同様だし、小説版でも語られている。

引用

月の都の空は昼間でも暗い。永遠に夜が明けないのではないかと思う。
いや明かりを点けなくても見えるのだから、暗いというのは適切ではないかも知れない。
空が黒いと言うべきだろう。
そもそも、宇宙とは暗いものなのだ。
その宇宙空間に浮かんだ天体の空も、本来ならば暗くて当然である。
太陽の光を受けているすべての星で、昼間の空が青く明るいわけではない。
太陽の光は青くないし、勿論地上を覆う大気も青くはない。
では何故地上の空はあそこまで青いのだろうか
それは大気が屈折しやすい波長の短い可視光線、つまり紫から青色の光を拡散させ、
空を青く見せるのである。大気が丁度、空を青く見せる程度の厚みを持っていたから
そう見えるだけなのだ。もう少し大気が厚ければ青色の光は拡散しきってしまい空は赤くなる。
地上でも空が赤くなる事もあるが、人間はそれが見られる時間帯から、夕焼け、朝焼けと呼んでいる。
さらに大気が分厚くなると赤い光も拡散し、遂には地上に光の届かない夜の星となるだろう。
反対に大気が薄ければ光は真っ直ぐ届き、光源以外の空は黒いままとなるのだ。
月の空は後者であった。
その黒い昼間の空が今日は色鮮やかな星空を見せていた。(小説六話 レイセン)

要するに「光は、大気の影響を受けて拡散したり屈折したりする」というのがポイント。
空が青く見える理屈(散乱)と星がまたたく理屈(屈折)は別だが、大気の影響という点では同じ。
依姫はこの理屈で「星が瞬いて見えるのは、光が大気で屈折するからだ」と説明している。
「星の瞬き=光の屈折」である。
参考
セリフにすると、こうなる。

依姫「月の都は大気が薄いので、星は瞬きません(星の光は屈折しません)」

 

【結論】
①②を、セリフを補いつつまとめると、こうなる。

魔理沙「月の都で見える星は瞬いていないらしいな」
依姫「星が瞬いて見えるのは 大気の揺らぎなのです
   大気の少ない月の都では 星はほとんど瞬かない」

                ↓ 

魔理沙「レヴァリエが止められてしまった。まるで瞬かない星だな」

依姫「月の都は大気が薄いので、星は瞬きません

ステップ2:「完全な直線」とは

【解説】

依姫「瞬かない星の光の軌道は 完全な直線です」

これは、ステップ1の内容を踏まえれば、簡単に理解できる。「瞬くのは大気のせい」で、
「瞬き=光の拡散」であるため、
「瞬かない=大気の邪魔が入らず、拡散しない」である。
要するに、上記のセリフは
「月の都では、星の光がまっすぐに降り注ぐ」という内容になる

【結論】

依姫「瞬かない星の光の軌道は 完全な直線です」

             

依姫「大気の邪魔がなければ、星の光は、完全な直線の軌道で降り注ぎます」

ステップ3:「等速度の攻撃は加速度系において止まっているに等しい」とは

依姫「等速度の攻撃は加速度系において止まっているに等しい」

【解説】
唐突に速度の話になっていますが、前後のつながりはステップ4でまとめて考える。
ここでムリヤリ前後を繋げようとすると、収拾がつかないからだ。よって、ここでは、
『等速度の攻撃は加速度系において止まっているに等しい』だけに着目し、解釈する。

 

重要なのは、条件付けを行っている部分「加速度系において」だ。
なので、一番前にもってくる。もちろん、意味は変わらない。

依姫「加速度系において、等速度の攻撃は止まっているに等しい」

 

そして、等速度の攻撃とはおそらく等速度運動だ。「速度が一定な運動」とは、言い換えれば「加速しない運動」になる。
よって、セリフはこうなる。

依姫「加速度系において、加速しない攻撃は止まっているに等しい」

 

【結論】
最後の一文を、より分かりやすくすると、こうなる。

依姫「加速度という尺度で物を見たとき、加速しない運動は止まっているに等しい」

ステップ4:ステップ1~3を繋げる

【ひとつなぎにすると】

魔理沙「月の都で見える星は瞬いていないらしいな」
依姫「星が瞬いて見えるのは 大気の揺らぎなのです
   大気の少ない月の都では 星はほとんど瞬かない
   瞬かない星の光の軌道は 完全な直線です 
   等速度の攻撃は加速度系において止まっているに等しい」 
   止まっている弾幕なら 誰にでも避けられるでしょう?」

            

魔理沙「月の都で見える星は瞬いていないらしいな」(止められたレヴァリエを指して)

依姫「月の都は大気が薄いので、星は瞬きません

   なので、星の光はまっすぐ降り注ぎます

   加速度という尺度で物を見たとき、加速しない運動は止まっているに等しい」

    止まっている弾幕なら 誰にでも避けられるでしょう?」

※上の行と重複するので、「なので」にしました。

 

【解説】
ここまででマメに解説したため、
一行ずつの言いたいことはわかるようになった。そして、問題点がひとつに絞られる。
加速度云々が唐突すぎだということだ。なんとかして繋げなければならない。

 

ポイントは、加速しない運動である。
これはおそらく、星の光のことだ。

 

ステップ1,2で説明したとおり、月の都では星の光は大気に邪魔されず、直進する。
つまり、月における星の光は、常に等速度運動(加速しない運動)をしているのだ。

 

魔理沙は、月の都で星(レヴァリエ)を出した。月の都のルールに従って、
この星も等速度運動(加速しない運動)をしていることになってしまった

 

これにより、依姫の「加速度系において、加速していない攻撃は止まっているも同然」
という俺ルールに引っかかってしまったのだ。

【まとめ】
以上の考えを元に、セリフをひとつだけ補ってみる。

魔理沙「レヴァリエが止められてしまった。まるで瞬かない星だな」

依姫「月の都は大気が薄いので、星は瞬きません

   なので、星の光はまっすぐ降り注ぎます

つまり、月における星の光は、常に等速運動なのです

   加速度という尺度で物を見たとき、加速しない運動は止まっているに等しい」

    止まっている弾幕なら 誰にでも避けられるでしょう?」

結論

・依姫には加速していない運動を止める能力がある。
・月から見る星の光は等速度運動(加速していない)扱いなので、
 レヴァリエも加速していない判定となり、依姫の能力にひっかかった。

 

原文に解説を加えると、こうだ。

魔理沙「月の都で見える星は瞬いていないらしいな」 ←月だと星が瞬かないなあ
依姫「星が瞬いて見えるのは 大気の揺らぎなのです
   大気の少ない月の都では 星はほとんど瞬かない瞬かない理由を解説
   瞬かない星の光の軌道は 完全な直線です 瞬かない=等速度運動
   等速度の攻撃は加速度系において止まっているに等しい」無加速なら止められる
   止まっている弾幕なら 誰にでも避けられるでしょう?」


*1 このシーンについて、味としての甘さではなく、実力不足を指して「甘い」と言っただけではないかという指摘があるが、現状では情報が無く、検証できないので放置する