「不穏な噂」の全貌

Last-modified: 2023-09-09 (土) 16:35:20

紫の手によって、月の都で広まった噂の全貌について引用

謀反の噂とは、月の都の転覆を謀る者が居るという不穏な噂であった。
誰が流した噂なのか判らないが、噂が出始めた頃から身の回りで不思議なことが続いていた。
まず、表の月に刺さっていた人間の旗が抜かれて、跡形もなく消えてしまった。
これは、地上から何者かが侵入してやった事を現している。
そして、月に住む神々が何者かに喚ばれ、使役されているとの事。
これが出来るのは依姫くらいである。それ以外にも綿月家が疑われるのには理由があった。
綿月姉妹の役目は元々別の人間が行っていた。その者とは月の賢者とも呼ばれた八意様である。
八意様はありとあらゆる薬をつくることが出来、信頼も厚かった。
その八意様が月の都を裏切り、地上にお隠れになってしまったのである。
空席となった月の使者に急遽選ばれたのは、八意様の弟子である綿月姉妹であった。
その綿月姉妹に命じられた最初の使命とは、八意様の捜索と連れ戻すことである。
しかし、千年以上たった今もその使命は果たされていない。
その理由は、表向きには八意様の罪が晴れていない事(月の都にとって地上は監獄である為、
罪人は罪が晴れるまで地上に幽閉されるのである。つまり八意様は月に戻ってくる資格が
まだ無いと見なしている)だが、本当のところは綿月姉妹が未だ八意様の事を信頼していて、
自分の手で捕らえたくないのである。その地上の罪人との繋がりが原因なのか、
綿月姉妹は余り月の都では信頼されていない。
地上から何者かが侵入してきた痕跡、それと不可解な神々の召喚。
こういった出来事で綿月姉妹が疑われるのは当然のことであった。(小説最終話)