月の都

Last-modified: 2023-07-20 (木) 13:05:08

季節が無くて、黒い空

月面が荒涼とした世界だと誰が言ったのだろう。時には生き物を苦しめる事もある季節も存在せず、
一年中春の暖かさ、夏の活気の良さ、秋の豊かさ、冬の寂しさ、すべてを兼ね揃えた気候。
青い星の下に輝く美しい桃の木。そして兎達の笑顔の絶えない月の都。(小説三話 豊姫)

月の都の空は昼間でも暗い。永遠に夜が明けないのではないかと思う。
いや明かりを点けなくても見えるのだから、暗いというのは適切ではないかも知れない。
空が黒いと言うべきだろう。
そもそも、宇宙とは暗いものなのだ。
その宇宙空間に浮かんだ天体の空も、本来ならば暗くて当然である。
太陽の光を受けているすべての星で、昼間の空が青く明るいわけではない。
太陽の光は青くないし、勿論地上を覆う大気も青くはない。
では何故地上の空はあそこまで青いのだろうか
それは大気が屈折しやすい波長の短い可視光線、つまり紫から青色の光を拡散させ、
空を青く見せるのである。大気が丁度、空を青く見せる程度の厚みを持っていたから
そう見えるだけなのだ。もう少し大気が厚ければ青色の光は拡散しきってしまい空は赤くなる。
地上でも空が赤くなる事もあるが、人間はそれが見られる時間帯から、夕焼け、朝焼けと呼んでいる。
さらに大気が分厚くなると赤い光も拡散し、遂には地上に光の届かない夜の星となるだろう。
反対に大気が薄ければ光は真っ直ぐ届き、光源以外の空は黒いままとなるのだ。
月の空は後者であった。
その黒い昼間の空が今日は色鮮やかな星空を見せていた。(小説六話 レイセン)

幻想郷との共通点

紫:外のロケットで行くには月の都は遠すぎる
私の力では月の都は近すぎる
月における月の都は 地上での幻想郷と同じ関係にある
外のロケットでは 月の都は見つけられない
私の力では 別の生き物を表の月まで連れて行くことは出来ない
だが 幻想郷のロケットなら あるいは──

結界の内か外かで、裏表が決まる

静かの海
月の都と正反対の場所に存在する地上に最も近い海
月の都が存在するのは月の裏側と呼ばれているが
この場合の表裏とは月の都の結界の内側か外側かという意味である
結界の内側つまり裏側の月は穢れのない海と豊かな都の美しい星であるが
外側つまり表側は荒涼とした生命のない星である
表側の静かの海には機械の残骸や人間の旗など 穢れた人間の夢の後が眠っているという(漫画第8話)

結界を解除するルート

鴉は晴れの海を越え、雨の海を越え、嵐の大洋へと飛び続けた。
(中略)月の都は裏側の月に存在し、さらに結界を張りその姿は隠されている。
人間が攻めてこようと、その結界を破れない限り月の都へは入れないのだ。
その結界の内側に飛び込むためには決められたルートで都を目指す必要があるのだが、
何故か鴉は見えない筈の海の道を辿っていた。まるで式神(コンピュータ)のような正確さであった。

紫「晴れの海を越え──雨の海を越え──嵐の大洋を越え 
  さあ これで賢者の住む海への入り口が開くはずです」(漫画16話)