【オートターゲット】

Last-modified: 2024-03-25 (月) 09:08:58

概要

予定していた攻撃対象がいなくなったときに、自動的に攻撃対象が移行するシステム。
例えば、ある味方キャラクターAに対して、ある敵グループBを攻撃するように命令したとき、Aの行動順が回ってくるまえに敵グループBが【全滅】するか【逃げる】かしてしまった場合に、自動的に他の敵グループに攻撃対象が切り替わる。
これにより、攻撃が空振りして無駄行動に繋がるのを防ぐ。

作品によって仕様は若干異なる。
 
現在のドラクエではごく当たり前の仕様だが、FC版時代にはこの機能は実装されなかった。
また、同時代のRPG作品にも搭載されていない作品は多かった。

未実装時代

DQ2~DQ4では、標的の敵グループがあとどれくらいのダメージで全滅するかをあらかじめ計算して行動を指定しないと【行動空振り】してしまう。
これは、「行動がキャンセルされる」わけではなく、「空振りしてしまう」というところがポイントで、例えば存在しない敵に攻撃呪文を唱えて【MP】を無駄にするという事態も起こる。
敵側でも同様の事態が起こるが、【判断力】によっては直前に行動を決定する【モンスター】もいるため、やや変則的である。
【ホイミスライム】【ホイミ】が空振りするというのはよく見られる光景。
また、【メタル系】のスライムが逃げたあとに、他の敵が残っていたりすると、全員の攻撃が空振りしてしまって1ターンの間一方的に攻撃されるということもある。
 
DQ4の第五章では【AI戦闘】の影響でターゲット指定を行動直前に決めるため、この問題はかなり緩和された。
マニュアル入力の【勇者】は当然注意。
また、NPC扱いの仲間【判断力】が0か1だと【ターン】開始時に行動決定する仕様上、やはり行動の空振りがよく起こる。

DQ2(SFC版)

DQ5と同様の仕様になっている(後述)。

DQ3(リメイク版)

やや変則的で、通常攻撃はオートターゲットするが、呪文や【アイテム】は空振りする折衷仕様になっている。

DQ5

初登場。
ようやくオートターゲットが実装され、基本的に行動の空振りが起きなくなった。
前作までとは大きく変わり、通常攻撃・呪文扱いでない特技・特殊武器の【道具】使用などはそのままオートターゲットされるが、呪文の場合はキャンセルされて代わりに通常攻撃でオートターゲットされるという非常に柔軟な仕様である。
このおかげで、呪文が効かない相手に無駄打ちしてMPを消費したり、【マホカンタ】のかかった敵にオートターゲットして反射されたりという無様な結果は起きない。
一応、呪文以外では攻撃力が望めないキャラでも通常攻撃をさせられ、別グループにも呪文をかけたかったのにという状況も全くないわけではないが、無駄打ちのリスクに比べれば影響は小さい。
基本的に同種はグループを組んで出てきやすいドラクエにおいて、オートターゲットが起きる=別種モンスターであることが多く、中盤以降は耐性も大きく異なる場合も少なくない。
特にDQ5では力の低い呪文特化のキャラは少なく、さらに呪文特化のキャラは概ねパーティ内で相対的な素早さも高いので、そもそもオートターゲット自体が起きにくい。
一方で必ずマニュアル入力になる【主人公】を筆頭に、相対的に素早さが低い魔法戦士系のキャラは打撃もできるので、通常攻撃でのオートターゲットの仕様の恩恵が大きい。

バグ

オートターゲットが初めて実装されたSFC版では、特殊な処理のためにバグが発生することがある。
これは、戦闘中の【どうぐ】コマンドで【武器】を装備して攻撃すると、オートターゲットの処理がおかしくなるというもの。
このバグを利用した裏技も存在する。
詳細は【はぐれ毒針ハメ】に記載。

DQ6以降

【呪文】【特技】を指定したキャラもその行動のままターゲットを変更する。
そのため、呪文に特化したキャラが通常攻撃をさせられる事がなくなったというメリットはあるものの、マホカンタ状態の敵に呪文を撃つ等と言うマヌケな事態が発生する可能性が出てきた。
特にDQ6は序盤から【あくまのカガミ】などのマホカンタ状態の敵が多く出現するため、影響が大きい。

DQ10オンライン

未実装。
ターン制ではないが移動や攻撃準備など行動から実行に移るまでの間隔は大小なり生じる為、その途中にターゲットが消失する事も起こりうる。
自分や味方がとったターゲットが敵の場合は消失した時点で「相手がいなくなった」と強制的に行動がキャンセルされ、
味方の場合は手動でキャンセルしない限りその行動は空振りに終わる。
敵がターゲットを取った場合、接近中に別の要因でターゲットが死亡してしまっても接近を続け攻撃の空振りを起こす場合がある。
「ターゲットとその周囲への攻撃」が選択された場合、死亡したターゲットの近くにいると巻き込まれてしまうので注意。

DQ11(3DS版)・DQ11S(2Dモード)

【レディファースト】の対象に指定したキャラが、そのターンに【シルビア】に行動順が回ってくる前に【オリにとじこめる】【ゴールドアストロン】などで戦闘から排除された場合、他のキャラや自分自身にオートターゲットされるが何も起こらないという謎の挙動をする。
【エマ】【クルッチ】(3DS版)が使用する【おうえん】でも同様の挙動が見られ、生存メンバー全員が戦闘から排除されている場合はオートターゲットが発動して自分自身を応援する。
【ツッコミ】【HPパサー】【MPパサー】の対象に死んでいるキャラを選ぶ(または、上記3つの特技と【かばう】の使用者に行動順が回ってくる前に対象のキャラが死亡する)と、オートターゲットが発動せずにそのキャラの行動が飛ばされる(手数は消費しない)。
なお、「かばう」で行動が飛ばされるのは味方側のみで、敵側の場合は行動が飛ばされずに既に倒されているモンスターを庇うという無駄行動をする。

DQM1・2

最後に倒したモンスターが仲間になる仕様との兼ね合いの為かGB版・PS版共にオートターゲットが導入されていない。倒した、もしくは逃げられてもういない敵に対しても【性格】による補正が出るため、いない敵に全力で攻撃する(つまり【会心の一撃】が出る)ことも起こる。

DQMSL

通常のAIは耐性が「無効」以上の敵や反射状態の敵に対してその属性や反射されるカテゴリの特技での単体攻撃を行わないのだが、オートターゲットが発動した場合は無効や反射状態の敵が選ばれてしまうことがある。
また、【タナトスハント】等の状態異常特効の特技に関しても、必ずしも該当の状態異常になっている敵を選択してくれるとは限らない。

注意点

ただ、オートターゲットが万能かといえばそうでもなく、これが仇となる敵も存在する。
DQ5やDQ7の【ばくだんいわ】がその例で、複数人でばくだんいわ以外のお供を先に始末するつもりでいたら、HPやダメージ計算のランダム幅の影響や、あるいは【会心の一撃】が出たことで、予定より少ない手数でお供を倒してしまったりすると、残ったキャラがばくだんいわを殴ってしまう。
もちろんそれで倒せればいいのだが、ばくだんいわのHPを自爆ゾーンまで減らしてしまうとDQ5~DQ7では【判断力】が最高なので、高確率で後出しの【メガンテ】で自爆されるリスクが付きまとう。

余談

DQでオートターゲットが初めて実装されたのはSFC版のDQ5(1992年9月)であるのに対し、
FFでオートターゲットが初めて実装されたのはFC版のFF3(1990年4月)から。ちなみにFC版のDQ4はその2か月前に販売されている。
当初こそ物理攻撃にしか機能していなかったとはいえひとあし早く導入したFF、片や完全AI制でオートターゲットの改善を目指したDQ。
どちらも当時はまだ販売開始して5年そこそこだったシリーズながら、RPG業界黎明期の切磋琢磨ぶりが伺える。
 
なお、ドラクエではDQ2の時代から同種モンスターが複数で【グループ】を組むことがあり、攻撃対象に指定したグループ内のモンスターが残っている限りは、攻撃が空振りして無駄行動になることはない。
DQ7までは単体攻撃でもグループ単位でしか対象を指定できないため、グループを指定した時点でグループ内の攻撃対象が自動的に選ばれる点では、広義の「オートターゲット」とも言える。