【黒の核晶】

Last-modified: 2023-03-19 (日) 14:32:23

ダイの大冒険

読みは「くろのコア」。
【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】に登場するオリジナルアイテムで、簡単に表現するなら【魔界】産の超強力な爆弾。魔界の奥地で採れる「黒魔晶」という鉱物を素材とし、これを呪術で加工して作られる。
新アニメでは55話のサブタイトルにもなっている。
 
爆発の威力は元になる石が溜め込める魔力の量、つまり大きさに比例する。
素材である黒魔晶は魔力を無尽蔵(=無限)に吸収する性質を持つらしいので微妙に矛盾しているが、単に容量の大きさを指した比喩的なものか、黒魔晶の段階では青天井でも黒の核晶に加工されると爆発させるために上限がつくのだろうか。
 
拳ほどの物ひとつで大きな島が簡単に消滅するほどの威力があり、【禁呪法】でも平気で使うような悪人すら恐れて使わぬ程の代物と言われる。
かつて【竜の騎士】【バラン】との戦いに手を焼いた冥竜王【ヴェルザー】が切り札として黒の核晶を使ったことがあるものの、魔界の大陸がひとつ跡形もなく吹き飛んだという。
そうまでしてもバランは生き延び、領土ほしさに地上にまで手を伸ばそうとするほど支配欲が強いヴェルザーは、本末転倒な結果から二度と黒の核晶を使わなくなった。
 
このときの大陸や黒の核晶がどれほどのサイズであったかは定かではないが、破滅的な威力をその身で味わったバランは「爆弾と呼ぶのすら生ぬるい悪夢の兵器」と評しており、黒の核晶を見ただけで震え上がった。
魔族の間では伝説として名前が知れ渡っているらしく、【ハドラー】は後述する驚愕の事実を知らされた途端、恐怖で顔を引き攣らせていた。
 
初めて物語に登場したのは、ハドラーの体内に埋め込まれていた拳大の物。
これは【大魔王バーン】がハドラーを復活させた際、万が一にと仕掛けていた物で、ハドラー本人には知らされていなかった。
バランと激突するハドラーを観戦していた際の口振りからすると、予想外の強敵に遭遇した時に道連れにする手段だったようだ。
元々はハドラー当人も気付かないほど巧妙に埋め込まれていたが、ハドラーがその身を【超魔生物】と化したことで状況は一変する。
ハドラーの魔力はバーンの予測を大幅に上回るほどに増強され、黒の核晶は許容量の限界ぎりぎりまでその魔力を吸収していた。臨界寸前となった核晶の影響は激痛や吐血として表れていたが、当のハドラーは短期間の生体改造による反動と考えていた。
 
後に【ダイ】とバランがハドラーと対決した際に、ダイとのぶつかり合いで負傷した部分から黒の核晶が部分的に露になった。
黒の核晶の危険性を知るバランはダイに暴発の可能性を伝え、激戦の末にそれをハドラーの体からもぎ取り、【竜闘気】で覆ってバーンの起爆指令を遮断し起爆を抑え込んだ。
しかし【ミストバーン】がバーンに代わって直接戦場に赴いて魔力を送ったことで遂に起爆させてしまう。
ダイを守らんとしたバランが自分の命を賭して全竜闘気を放出して抑え込んでもなお、【死の大地】が完全に消し飛び、宇宙からの視点でも成層圏を遥かに越えるほどの大きさの爆発を引き起こしている。
そして、死の大地崩壊により大魔王の居城【バーンパレス】浮上の狼煙となった。
また、この核晶は血肉と一体化する形で肉体を蝕んでいたため、強引に引き抜かれて失った影響でハドラーは再生能力を失い余命を更に削られている。
 
最終決戦の最中には、ハドラーに埋め込まれていた物の10倍以上の代物が【ピラァ・オブ・バーン】に搭載される形で登場。
地上征服による領土拡大を狙っていたヴェルザーとは異なり、バーンは地上を消し去り魔界を浮上させることが目的だったため、地上すべてを完全消滅させる切り札として黒の核晶を用意していた。
地上へ落としたものは全部で6つ。地図上で六芒星を描く配置になっており、爆発すれば六芒魔法陣の魔力で破壊力はさらに増幅され、確実に地上そのものを完全に吹き飛ばすよう計算されたものであった。
しかも、6本あるうち1つでも阻止できなければ地上全土に超高熱の爆発が広がり、他の5つも誘爆するため、例え魔法陣が発揮されずとも地上全域に破滅的な被害をもたらすことは確実。
ピラァ・オブ・バーン自体が巨大な質量兵器として投下地点付近を消し飛ばす兵器であった事も合わせ、最終決戦の場でバーン自身が明かすまで黒の核晶が搭載されている事に気づいた者はいなかった。
バーンが黒の核晶の存在を明かしたのを聞いたダイやポップはバーンパレスの中におり、結界に阻まれて外に出る事ができない状態
起爆命令は出されていたため、仮にバーンを倒したとしてもカウントダウンは止まらないし、バーンを倒してから世界中に配置されたピラァすべてに到達して黒の核晶を凍結させるのは時間的に不可能。
もはや地上消滅計画を阻止する手立ては既に無く、ダイは「もう戦っても無駄」と悟って脱力し倒れ伏してしまった。
 
しかし、【ゴメちゃん】が起こした最期の奇跡により、黒の核晶の存在は全世界の人々に伝えられ、地上の人々は黒の核晶凍結のため動き出す。
ギリギリながらも世界各地の人々の奮闘はすべてのピラァを凍結させ、これまで動揺を見せる事の無かったバーンを大いに驚かせた。
 
バーンが倒れ、ようやく平和が訪れたかと思われた矢先にも、最後の最後に【キルバーン】の置き土産として黒の核晶が登場している。
死神人形が初めて仮面を取り払って晒した素顔には、ハドラーに仕込まれていたのと同程度の大きさの物が嵌め込まれていた。
これは本来バーン暗殺の為にと用意したものだったが、バーンが倒されたため、【ピロロ】こと「本物のキルバーン」は主であるヴェルザーの新たな脅威たりうるダイ達一行を抹殺しようと急遽人形の核晶を起動させる。
人形には動力源として魔界のマグマが流れていて、その高熱から【ヒャド】による凍結が効かず、ダイと【ポップ】は緊急手段として爆発に巻き込まれる覚悟の上で【トベルーラ】で上空高く人形ごと運び去る。そして爆発の寸前にダイがポップを巻き込むまいと突き落とした末に爆発し、ダイはそのまま一人爆発に呑まれ消息不明となった。
 
キルバーンの人形に仕込まれていたものがどのくらいの爆発力だったのかは不明だが、ダイとそれほど距離が離れていなかったポップはダメージを負った様子がなく、同程度の大きさながら限界ぎりぎりまで魔力を吸収していたハドラーのものよりも威力は小さかったようである。
行方不明になったダイだが、彼の生命と繋がっている【ダイの剣】の輝きは失われておらず、生存の希望を示す形で大冒険はひとまずの幕引きとなる。
構想されていた魔界編に続いていれば、ダイは5年後に現れる展開になっていたそうである。
 
物語上ではパーティが死の大地に初めて突入した時期に出てきたものだが、大魔王の切り札からストーリーの締めにまで絡んだ重要アイテムとなった。

構造等について

普段は魔力伝達部品と思しき導線と繋がり、外周を氷状の物質で覆って停止させているが、制作者の魔力を感知して作動開始すると、表面が融解した後に本体部分が膨張して激しいエネルギーの暴走が巻き起こり、それが臨界点に達すると爆発する。
また、黒の結晶自体も六芒を象った見た目となっているので、六芒魔法陣の効果を利用しているのかもしれない。
 
基本的には製作した者の魔力を送って任意で起爆させるが、離れすぎている、強い闘気に覆われている等の状態で魔力が届かない場合は指令を受けない他、【ヒャド系】呪文などで表面を凍結させ氷漬けにしてしまうと起爆しなくなる。
起爆指令を送れるのは製作者のみだが、バーンが作ったはずのハドラーの核晶は【ミストバーン】【闇の衣】を脱ぎ去ってから起爆指令を送っていた。これはバーンと闇の衣を脱いだミストバーンの魔力が同一のものであることを意味しており、そのことからバランはいち早く両者の関係に気付いたようだ。
 
自分も黒の核晶を所持していたピロロは、黒の核晶の仕込まれた部位を叩き潰すような攻撃について「やらなくて正解だった」と言及しており、起爆の準備段階に関わらず、強い衝撃などが加わると意図せず誘爆する危険性もあるようだ。
ハドラーや死神人形はずっとこれを体内に入れたまま戦っていたわけだが、ハドラーは胸元めがけてアバンストラッシュを2発受け、ヒュンケルに両胸を貫かれ、ベギラゴンの撃ち合いに負けて胸から下を失うなど核晶付近を大きく損傷するダメージを何度か受けており、死神人形も普通に戦闘の場に出ていたため、振り返ってみると核晶にダメージを与えかねない場面が少なからず存在する。
黒の核晶の設定自体後付けではあるのだが、もしこのいずれかで核晶が起爆していたら物語は唐突なジ・エンドを迎えただろう。
 
また、ピラァ・オブ・バーンに組み込まれた物は凍結させて爆発を阻止しているが、核晶そのものを解体・分解などして完全に無力化できるのかは不明で、その後の処理についても言及されていない。
魔力遮断や冷気を用いて起爆を防ぎつつ保管するにしても一苦労だし、悪用されないよう厳重に管理するのも大変であろう。
一応、ダイ大ファンの間でも

  • 【オーザム】あたりの寒冷地の凍土に埋めて封印
  • 【アバン】のような器用万能キャラならじっくり調べれば解体できそう
  • 【ジャッジ】の異空間のような場所に運んで投棄ないし処理
  • トベルーラなどで被害の及ばないほど上空に運び爆破処理
  • ヒャドの冷気が吸われず効くなら同じ魔法の【ニフラム】【メドローア】での消滅も効くに違いない
  • 魔力を吸う鉱石でできているなら【マホトラ】などで魔力を吸い尽くしてから破壊すればいい
  • 魔力の供給源であるバーンが完全に死亡したため、起爆することはなくなった

などなど、様々な「対処法」が空想されているが、黒の核晶の構造や反応についての回答や詳細な設定が判明していない以上、答え合わせができない推測の域を出ない。
なお、アニメの最終話でマァムの口からピラァの装置を完全に停止させたことを明言されたが、停止させた方法については明言されなかった。

余談

スーパーライトでも登場。
道具や装備品ではなく、【キルバーン】が転生した「死神キルバーン」の固有特技として登場、
使うと守備力と呪文耐性が上がり、発動から2ラウンド経過した以降にキルバーンが通常攻撃をすると発動、
敵全体にダメージと同時回復効果を受け付けなくし、キルバーンがその戦闘中復活不可の死亡状態になる。
 
その他、「大魔宮の試練Lv3」にて超魔生物ハドラーが特性として(?)戦闘開始時に使用。
9ラウンド目に大爆発してハドラー自身も含めた敵味方全員が9999のダメージを受ける。
実は一部の特性や装備品の効果で生き残ることは可能だが、ハドラー自身もHPが10000以上残っていれば原作同様生き残る。