チャプター1前半

Last-modified: 2015-03-16 (月) 20:55:09

Chapter1.OutCast ―浮浪者たち―前半 臨時避難所~ダウンタウンメインクエスト

- D-DAY -

避難所のルール

避難所のルール

避難所のルール

避難所のルール

避難所襲撃直後、キャプテンは生き残った避難民を集め、演説を始めた。

 

彼の演説は簡潔だった。

 

「見ての通り、我々は今までのように平和に暮らすことはできない現実を目の当たりにしている。
指示に従ってもらわないと、この避難所は数日も耐えることができない。
今日以降、我々の命令に対する拒否や抗議は一切許さない。
自分に与えられた役割を果たし、一日一日生き延びることに感謝したまえ」

 

壇上に上がったキャプテンの威勢はいつも通りだったが、かすかに声が震えていた。
しかしそれに気づく人は余り居なかった。

 

キャプテンの話が終わるや否や、避難民たちは武装する為訓練所に移された。
避難所襲撃当時の悲惨な光景を目撃した避難民たちは
直ぐ受け入れることができないようであったが、反対の意思を表す者はいなかった。
避難所ではすでに、抵抗は許されないという空気ができていたのだ。

 

私設警備会社の行動と理屈を私も納得はできなかった。しかし他の選択の
余地もなかった。
'自分を護るために、自分が生き残るためには武装しなければならない。彼らが要求
したからではなく、彼らを信じることができないから武装しなければならない。'

 

私は自分にそう言い聞かせた。

訓練所

訓練所

訓練所は臨時避難所管理地域の管理所2階にある。

 

コンテナの中には訓練用の各種武器とアンチウイルスコーティングされた衣類パッドなどが
散乱していた。それから射撃練習のための射撃板が設置されていた。

 

先に到着した避難民たちの訓練が始まる中、何人かの避難民たちは
集まって今の状況について話し合っていた。
一部の人は従わざるを得ないと諦めていたが、大多数は納得できないとの
雰囲気だった。

 

しかし、どうすることもできず、結局避難民たちは一人ずつ訓練教官のところに近づいた。

 

「余り見ない顔だな。新しい避難民か?」

 

訓練教官の第一印象は余り良くなかった。彼は自分の命令は絶対で、
従わない場合は、いかなる配給や経済活動も許可しないことを強調した。

 

それから彼は、生き残るために必要最低限の知識のための基礎教育を始めた。

 

しかし、急いで用意された基礎教育は余り役に立たなかった。
教官は臨時避難所のいまの状況では教育に費やす時間は殆ど無いと言いながら、
前もって配布した索引資料を読むことを命令した。

 

直後に訓練教官は一枚のメッセージを渡し、物資担当の所に行って
訓練で使うアイテムを受け取ってくるように言った。北側の出口に物資担当が
いる筈だとしか言わず、早く訓練用アイテムを貰ってくるようにと訓練所を
埋め尽くしている避難民たちを急がせた。

 

物資担当の所にたどり着くと、既に大勢の避難民達が訓練用アイテムを貰うために
待っていた。物資担当は訓練用アイテムを貰うためには
訓練教官のメッセージが必要だと言い、アイテムの支給を待っていた避難民達から
何か書かれたメッセージを貰い始めた。

 

皆からメッセージを受け取った物資担当は集まった避難民たちに、訓練用アイテムが入った
鞄を与え、外部から持ち込んだ服はウイルス感染の恐れがあると言い、
その時来ていた服を回収していった。

 

鞄いっぱいに入っている訓練用アイテムを見つめながら、皆がお互いを意識していた時・・・
物資担当は訓練を受けるためにはアンチウイルス衣装と銃が必要だと告げ、
鞄の中にあるものを確認し、着替えて銃を持つよう指示した。

 

余りにも高圧的な態度だった。

 

皆が同じ格好をしている光景がおかしくて仕方なかった。しかし、誰一人
笑うことはなく、淡々とアンチウイルスコスチュームを着て冷たい銃器を手にした。
物資担当はこれからは本格的な訓練を開始するから、急いで訓練教官のところに戻るようにと
告げた。

 

訓練教官の所に戻ると、彼の後ろの方から耳をつんざくような銃声が聞こえてきた。
先に到着した避難民たちの射撃訓練が始まっていた。大きな銃声に耐えきれず
耳を塞いで訓練教官に近づくと、彼は銃声よりも大きな声で
支給された銃器に関する教育と、射撃の為の理論教育を始めた。

 

簡単な理論教育が終わるなり、訓練教官は射撃をしてみるよう命令した。
支給された銃器を手にどうすればいいのか困惑する避難民たち。
皆初めて手に取る銃器に戸惑いを隠せなかったが、間もなく何人かが照準態勢を取り始め、
やがて皆も射撃板に向かい始めた。

 

隊列に合流し、引き金に指をかけた瞬間・・・それまで聞き苦しかった銃声も
少し筒慣れている気がした、何とか射撃訓練を終え、
結果を報告するために教官に近付いた。

 

しかし、彼は避難民達の射撃訓練の結果何かにはまるで興味がないようで
次の訓練の準備を命令した。

 

次の訓練の準備が整い、訓練教官は集まった避難民達に
まるで雑巾のような布切れを配り始めた。
布切れを渡され、事務担当の所に行くよう命令した。

 

こんな布切れで何ができるのか見当もつかなかった。
「なんでまた射撃場を掃除するのに使った雑巾を渡してくるんだ・・・」

 

サングラスをかけて顔を隠した事務担当は
避難民たちがそれぞれ手にしている布切れとメッセージを見つめていた。
こんな布切れで一体何をさせる気だと声を荒げる人もいた。

 

しかし、事務担当に訓練教官から渡されたメッセージと布切れを渡すと、
今のような状況ではこのような資源も臨時避難所では大いに役立つと言い
他の物に交換してくれた。

 

交換してもらったものを持って、訓練教官のところに戻ってきた。彼は避難民達に
少しの休憩を与えてくれた。しかし・・・休憩時間と言うより、
次の訓練までの待ち時間のような気がした。

 

一時の休憩が終わり・・・訓練教官は次の教育を始めた。
自分の健康状態を管理する教育を通して、戦場で生き残る為には
何より自分の体力をしっかり維持することが最も重要だと教わった。

 

その後食糧担当の人から、体力回復に役立つ食べ物を(とても美味しいとは言えないが)
受け取り、いろいろとアドバイスをしてくれた。

 

訓練教官のところに戻ると、彼は避難民たちの鞄を調べ始めた。
訓練教官は救援食糧が全員の鞄に入っていることを確認した。

 

訓練教官は次の実践訓練に先立ち、再び理論教育を始めることを告げた。

 

実戦訓練…訓練教官の言葉に、訓練所に集まった避難民達は一斉に静かになった。
教官は'実戦訓練'の為の理論教育と言ったが、皆の緊張は最高潮に達していた。

 

理論教育が終わり、訓練教官は実戦訓練に備えて緊張をほぐすよう、少しの休憩時間を与えた。
理論教育で緊張した避難民達はストレッチを始めたが、
何もかも諦めたような表情を見せる人もいた。

 

休憩をとる避難民たちを静かに見つめていた教官の
突然の大声で、会場は一気に緊張を高めた。

 

「それでは、予告した通り、実戦訓練を始める」

 

教官は'訓練'とは言ったが・・・ターゲットは管理地域の外部でうろうろしている
変異生命体である。とても'訓練'ではない。
訓練中に死ぬかもしれない。怪我をしたら避難所から追い出されることもあり得る。

 

しかし、誰ひとり教官に逆らうことはできなかった。避難民達は一人ずつ管理地域の出口に並び、私もその隊列に加わった。

 

実戦訓練場で見たゾンビは、銃器を持ってはいるが恐怖に震えている'餌'を見つけると、
奇声を発しながら近づいてきた。避難民たちは恐怖から銃を乱射しまくった。
ゾンビに襲われてしまう者もいた。
これは訓練ではない。
生き残るための戦いは既に始まっていた。

 

幸い実戦訓練を無事完了した。しかし、避難所の外には数千のゾンビがいる。
もっと危険な状況であることは明らかであった。

 

訓練所に戻って来たら、既に次の教育が始まっていた。訓練を終えた避難民が持っている
銃器を指さしながら、訓練教官は銃器を修理する重要性について説明した。
それから、改造エンジニアの所で、銃器の修理について教育を受けてくるように指示した。

 

改造エンジニアのところでは、銃器修理の教育が行われていた。
中にはアンチウイルスコーティングが施された衣類パッドを
持っている人もいた。

 

そこでは、銃器が故障する理由について教えられた。改造エンジニアから教育を受けた人たちは
残りの教育を受ける為再び訓練教官のところへ向かった。改造エンジニアは遅れて合流した
私たちにもアンチウイルスコーティングが施された衣類パッドを支給した。

 

変異生命体を射殺する実践訓練の時・・・餌食になってしまった
人々・・・彼らが最初からこの衣類パッドを着けていたら
生存者はまだ沢山いた筈なのに。

 

ただそう思われて仕方がなかった。

 

他の避難民たちはアンチウイルスコスチュームに衣類用パッドを付ける作業を終えて
衣類用パッドの使い方に関する教育を聞いていた。
私も急いでアンチウイルスコスチュームに衣類用パッドを取り付けた。

 

改造エンジニアからは色々と教わることができた。特に、変異生命体の攻撃を受けた時
変異ウイルスが体内に浸透するのを防げるアンチウイルスコーティング衣料用パッド
に関する知識は今後ここで生きていく為には非常に重要だった。

 

改造エンジニアからの教育が終わり、残りの教育を受けるため訓練教官の所に戻る途中、
鞄いっぱいに物を詰め込み訓練所の外に向かう避難民たちの姿が目に入った。

 

訓練教官に聞いてみたら、これまでの教育を終えた人たちは
これから実戦に投入されると言われた。戦闘に慣れる為には、
何より実戦に投入して訓練をする他は無いと言う。

 

実戦。

 

その言葉を聞いて、今まで経験したことが無い緊張と恐怖を感じた。
実戦は予想を遥かに超えるものだった。臨時避難所に来てから数日ぶりに出た外は
おびただしい数の変異生命体であふれ、人間とゾンビの死体が
あっちこっちに散乱していた。

 

まるで夢を見ているかのように非現実的な銃声と
変異生命体に襲われる避難民の悲鳴は、これが夢ではなく現実であることを
嫌でも目の前に突き付けた。
絶えず襲ってくるゾンビから身を護るためには、銃が熱で真っ赤になるまで
撃ちまくる他はなかった。足が折れるほど、息が切れるほど走らなければならなかった。
驚いたことに、戦闘に慣れていく自分がいた。
戦闘に慣れていくにつれて、この避難所の環境にも適応していった。

 

こうやって任務を遂行し、死と隣り合わせで経験を重ね、さらに危険な任務を
遂行して・・これを繰り返し結局は教官に気に入れられる程の実力を身につけることが
出来た。

 

実戦に投入された避難民のうち、見かけなくなった避難民が多数いたが、教官は
そんなことなど気にしていなかった。彼は、これからはもっと強力な火器が必要であると
銃器改造用部品を配り始めた。

 

訓練教官は銃器改造用部品を持って、改造エンジニアのところに行くように命令した。

 

そこで避難民たちは改造エンジニアの説明を聞きながら銃器の改造に取り掛かっていた。
中には訓練初期に支給された銃器ではない別の銃器を持っている避難民の姿もあった。

 

銃器改造についての説明を聞いた後、ゆっくり改造を始めた。小さな改造部品だが
銃器の性能をもっと強力にしてくれる。もっと強くなれば生き残れる可能性がもっと高くなると
信じて疑わなかった。

 

銃器改造を無事に終えたが、依然と大きく変わった感じはしなかった。
このまま実戦に投入されても、襲ってくる変異生命体を全部倒す自信はなかった。

 

その時、改造エンジニアが何処かで見たことのある改造用部品を
支給してくれた。管理地域の外側で任務を与えられた避難民達が改造に
使用する銃器用部品と特に変わらないと思った。

 

段々ここでの生活に慣れていく避難民達・・・それから彼らに任務を与える警備兵・・・
しかし、こうして生き残れるならば、何だってしなければならないと
自分に言い聞かせるしかなかった。

 

改造エンジニアから与えられた部品を使って銃器を改造すると、他の避難民達
が持っていた銃器に変身した!

 

改造を終えて、訓練教官の所へ戻ると実戦のときに見たあの光景が再び目の前にあった。
鞄いっぱいに物を詰め込んで、訓練所の外に向かう避難民達を見ながら
訓練教官に話しかけた。彼は訓練終了を告げた。

 

訓練終了。

 

ここからは誰かの命令に従うのではなく、自ら自分の命を護らないといけない。
何としてもこの環境に素早くなれ、最後まで生き残らないといけない。

 

そのように覚悟を決めた時、教官の声が聞こえた。

 

彼は任務を遂行し、沢山の経験を積んで臨時避難所に戻ってきたら、
プレゼントをやろう、と言った。'プレゼント'とは皮肉な言葉だった。

訓練所その後…

訓練所その後…

実戦を重ね、ますます適応も早くなった。
昨日姿を見た人で今日その姿を見ることができなかった人もいる。新たな避難民達が次々と入ってきた。
そして私が受けた訓練と同じ訓練を受けていた。

 

毎日が地獄だった。にもかかわらず、周りの人々を助けながら
行方不明になった避難民を探しながら、少しずつ希望も
芽生えてきた。

 

そうやって暮らしていく中で、一人の兵士になりきった自分に気付いた。

 

訓練教官の所に行った。彼は私の適応力をほめ、銃器改造用部品をくれた。
冷気が漂う銃器改造用部品を配給してくれた時ですら、
暖かい感じがした。

 

深く考える必要はない、
と思い、銃器を改造する為に改造エンジニアの所へ行った。

 

改造エンジニアから与えられた部品を使って銃器を改造すると
他の避難民たちが持っているのとは違う武器に改造されていた。銃器がますます重くなった為
手首が圧迫され方がきつかったが、それより心が重くなるのを感じた。

 

改造が終わり銃器を手に訓練教官の所に戻ると、彼は改造された銃器を確認し
ここで生き残るためのアドバイスをくれた。

 

「うぬぼれずに、慎重に考えて行動すること」

 

私ができることはただ一つ。
失踪した避難民たちを探すこと。それが最優先だ。

D-DAY

D-DAY

D-DAY

D-DAY

壊された鉄柵は直ちに復旧された。
鉄柵は避難民とって唯一の安全装置であり、何より大切なものである。
皆で必死に復旧作業にあたり、三重四重の鉄柵を建設した。
殺された人々の処理は無残であった・・・
死体と確認されるとすぐ川に投げ捨てられた・・・

 

投げ捨てたれた死体は、大多数が生き残った人々の家族や友達であったが
誰一人そのような処理に腹を立てる者はいない・・・仕方がないのだ・・・
変異ウイルスに感染している死体を避難所の中に埋めることは許されない・・・
火葬する場所もない・・・
ただ死人による伝染を防ぐため、
川に投げ捨てることで生き残った人間を守ることしかできないのである・・・

 

キャプテンの演説がスピーカーを伝わって聞こえる。
「・・・皆が力を合わせる必要があり、皆が与えられた役割を果たさなければならない!
生き残るためにはどんな犠牲もいとわない!」
・・・キャプテンの叫び声は訓練所全体に響いていた。

臨時避難所1

臨時避難所1

サン・セキュリティの警備兵は避難民に手際よく任務を与えた。
任務をしなくてはならない者は避難民全員であり、例外はない。
さらに名簿には老人や負傷者も入ってるいるようだった。
割り当てられた任務を遂行できない場合
すべての保護を受けることができないと脅される・・・

 

‘皆が生き残るため’が彼らの口癖だ。
‘変異生命体を皆で射殺しよう!’、‘生き残るために今は皆が力をあわせよう!’
だから‘一人残らず任務をやろう’、と・・・
このような主張の裏には他の何かがあると感じた・・・

 

‘ハザードレベル4’以上になると、すべての経済活動は停止する。
給与や税金、利子など平常時の金融関連業務すべてが一時停止し
委員会が許可する変異生命体の射殺や軍需品の製作、食糧の確保など、
公共利益のための行動の対価としてのみ褒賞金が与えられる。
ハザード状況唯一公的にな報酬が獲得できるこの褒賞金制度は
この悲惨な状況が無事終わった時…大きな富を約束するものだ。
危機的な状況の中、公共のために貢献したことに対する対価なのだ。

 

皮肉なことに今の状況はサンセキュリティ警備会社に最も大きな利益が出るだろう。
・・・ぼろい商売だ。
避難民たちは彼らの高圧的な態度に不満をぶつけていた。

 

しかし、サンセキュリティ警備会社が避難所を統制しているため、彼らは絶対だ。
彼らはむしろこの危機状況を利用して、我々を兵士として使い
褒賞金で一儲けしようとしている、射殺した変異生命体のサンプルを
必ず回収してくるように命令するのも、それが理由だろう・・・
彼らは、最初から懸賞金を目的にこの避難所を管理しているのではないか?
という疑惑を持つ避難民も出始めた。

 

おそらく考えすぎだろう・・・
重大なことは、皆がお互いを信じることができないということだ。

 

ニコラスからの最初の任務はエンバーストリート近辺の変異生命体の射殺である。
彼らは拠点確保のための作戦進行中らしい。詳しい説明はなかったが
おそらく避難所の外部にも何箇所か安全な拠点を確保し
物資を確保するつもりなのだろう。
問題は、変異生命体の射殺がもっぱら避難民の役割になっていることだ・・・

 

避難所の外の状況は無残だった。変異生命体は日増しに増えていき
道路には形の分からない死体や死骸
おびただしい血の海となっていた・・・

 

このような残酷な状況で考え続けることはただひとつ。
‘生き延びなければならない’

 

ひとつの任務が終わるや否や、休みなく次の任務が続く。
ニコラスは拠点確保のための任務だと言葉を繰り返し、それ以外に一切説明はない。
避難所が自らの命をかけて戦っているというのに
ニコラスにとっては任務を成功したのか失敗したのか、もしくは死亡したのか、
それ以外なんの意味も持っていないように思える・・・

 

変異生命体の射殺クエストは絶え間なく続いたが、救助隊の到着はまったくない。
皆、疲れ果てていた・・・

臨時避難所2

臨時避難所2

・・・ゾンビはますます増えていった。
やつらがこれ以上増え続ける前に、何とか手をうたなければならない。
増加したゾンビが一斉に避難所を襲ってきたら・・・我々には防ぎようがない・・・

 

問題は避難所周辺の変異生命体を処理するだけでは根本的な解決には
ならないということだ。必要な物資を確保するためには外を出なければならなく、
そのためには周辺地域の変異生命体を射殺しなければならない。
・・・避難民たちの犠牲の上に生活が成り立っているのだ。
安全が保障されている場所などどこにもなかった・・・
殺しても殺しても、変異生命体は増える一方だ・・・

 

この状況が続けば、日々の戦闘による犠牲者は増え。変異生命体すべてを
制圧することは不可能だろう・・・
しかし誰一人そのようなことを口に出さなかった・・・
それを口に出すことは
いつか助かるという希望を否定することになるからだろう。

臨時避難所3

臨時避難所3

状況は悪化の一途をたどった・・・
犠牲者は増える一方だが、救助隊の姿はどこにもない。
せめて委員会と連絡がとれるか、正規軍の姿を見ることができたら
希望を持つことができただろう。しかし、彼らはどこかへ消えてしまったかのように
委員会も正規軍もどこにもいない・・・
・・・避難所は完全に孤立していた。

 

もうひとつの問題は避難所内部にあった。
避難民たちは疲れ果て、家族や友達に会いたがっていた。
しかし警備兵たちは怪我をした避難民の救護や
失踪者の捜索にはまったく関心をもっていない。
彼らが求めているのは任務を遂行できる人間だけである。
戦力にならない人間はお荷物だと言わんばかりの扱いであった。
さらに警備兵は決して避難所の外に出ようとはしない・・・
物資確保のための変異生命体射殺クエストは自然と避難民の役割になっていた・・・

 

表向きの理由は兵力が足りないとのことだ。
しかし、誰一人納得する者はいなかった。

 

彼らの関心はただ懸賞金でひと稼ぎしようということ・・・もはや明白であった。
だが、ここでは彼らの命令に従うしかない。
それがここで生き残るための唯一の手段であったのだ。

 

唯一の慰めはクローバー公園方面の拠点確保に成功したことだ。
多くの犠牲者を出したが、この拠点ができたことで
安全に物資を確保することができたのだ。

臨時避難所4

臨時避難所4

毎日が任務の繰り返し・・・
警備兵は相変わらず避難民を支配し
彼らの高圧的な態度は度を越している。
彼らは避難所内でのすべてのことに対価を要求した。医薬品はもちろん食品まで
対価を支払わないと手に入れることができなかった。
避難民は使い捨ての傭兵であり、警備兵は単なる商人である。

 

驚くことに、こんな状況にもかかわらず
避難民の反発はどんどんおさまっていった。
避難民は誰かの支配下にいることに安心しているかのように見える。
生命の危機に恐れる毎日に疲れ果て
自ら判断することを自然とやめているのであろうか。
…文明人としての寄生や秩序を失って、どれくらい経ったのだろう。
彼らはまるで最初からそうであったように
今の環境を受け入れていた・・・

 

避難所は権力者の王国であり、避難民は権力のイヌにすぎない。
こんな状況でも救助隊が来る目処はまったくない。
救助隊はおそらく来ないのだろう・・・

 

救助隊への希望がないなら、これ以上ここに居残る理由もない。
消えた人々の手がかりさえつかむことができればここを去るつもりだった。
そのとき、ジェフリーのことを考える。

 

これ以上ここに居残る理由はないが
彼の死をそのまま受け入れることはできない・・・
彼の死に対する疑問さえ解ければこの都市を去る。

 

・・・そう覚悟に決めた。

消えた人々

消えた人々

消えた人々

消えた人々

生存者は多くなかった。
避難所は爆弾に撃たれて、修羅場だった。多くの人が命を失い、感染させられた。避難民のほとんどが老人だったので、攻撃は食い止められず、ほとんどが命を失った。

 

ディビットとエミリオは幸い無事だった。彼らは恐怖に襲われ、避難所を去る準備をしていた。
他の避難民たちの行方について聞いたら、エミリオが、襲撃の時レイラが何人かと一緒に外に逃げるところを見かけたと言った。しかし、ジェフリーとドクターの行方については誰も知らなかった。
彼らは話し終わったらすぐさま避難所を去った。
ビンセントは何日か前から姿が見えなかった。
そしてベティは…

 

避難民と変異生命体を見分けることすら大変な状況だったが、ベティの姿だけは確実に記憶している。
彼女が感染したかどうかは分からない。感染したと考えるのが普通だったが、そうように思いたくなかった。
彼女の死体を確認するまでは生存の可能性を信じていた。

 

あたりには死体は散らばっている。しかし、死んだほうがマシだったのかもしれない。
もっと悲惨だったのは怪我を負った人々だった。彼らは苦しみと絶望で泣き崩れていた。
彼らに残された選択肢は二つだった。
感染が進む前に避難所の外へ強制移動させられるか、自らの命を絶つか。

 

手遅れになる前に消えた人々を探さねばならない。

ぺティの行方

ペティの行方

 

ビリーからベティとドクターの行方を聞き出すことができた。
ドクターは避難所襲撃後に医務室で目撃されている。
ビリーが薬品を探しに言ったとき、ドクターはそこにいた。けが人を治療するため医薬品を取り出している最中だと思ったそうだ。しかしその後ドクターは姿を消し、相当の量の医務室の薬品がなくなっていた。
消えた薬品はほとんどがモルヒネやコカインのような麻薬性鎮痛剤だった。
ドクターが避難所生活のとき、
いつも震えながら苦しんでいたことを思い出した。

 

とにかくドクターは姿を消していた。変異生命体が避難所を襲撃した後も目撃されているため
変異生命体にやられて姿を消している可能性は低い。
いや彼の行方は実はどうでもよかった。本当に行方が知りたかったのはベティである。
感染の恐れがあることは分かっている。しかし自分の目で確認するまでは
決め付けたくなかった。

 

ビリーにベティの行方について聞くと、何かをためらっている様子であった。
ためらうビリーに説得を続ける。彼は、他の警備兵には絶対話さないように
と何度も念を押して、ベティに関する話をしてくれた。

ベティのとの約束

ペティとの約束

 

「助けてもらうばかりじゃいけません。できることは自分だけで…
しかし本当に私に大変なことがあったとき・・・
一人でどうしようもないときは・・・
助けて下さいますか?」

 

彼女を誰も助けてあげなかった。

 

警備兵たちは避難民の命を道具にした懸賞金儲けにしか興味がなかった。
さらに安らかな死すら許されないかわいそうな女性までも
金儲けの道具として利用しようとする。ビリーも同罪だった。
彼は周りの警備兵が怖くてどうしようもできなかったと言っているが
彼ならその気さえあればベティを助けることができただろう。しかし彼は助けなかった。

 

誰かに責任をなすりつけるつもりもない。
しかし今よりはマシになったはずだ。
・・・自分がやるしかない。

 

残りの失踪者はビンセントとジェフリーだ。
ビンセントは避難所が襲撃に遭う前にいなくなったので、このあたりで探すのは難しいと思った。
しかし、避難所で彼を目撃した人がいたならきっと役立つだろう。
それならここで探すべき人間はジェフリーだ。

 

彼の生死を確認することが出来れば、もはやここにいる理由はない。

もう一人の失踪者

もう一人の失踪者

ジェフリーとビンセントの行方については、ビリーに助けを求めるしかなかった。
彼をこれ以上問い詰めたくはなかったが、他の警備員はジェフリーの顔すら思い出せなかった。
しかし、避難所への移送担当だったビリーなら彼のことを記憶しているに違いないと思った。

ビリーは罪悪感と恐怖で気が気でないようだった。
恐らくベティの事での罪悪感があり、しかも私と接触しているのを他の警備兵らに知られることが
怖かったのだろう。
彼を責めるつもりはなかったが、同情は出来なかった。
私の詰問に対して何かを必死に思い出そうとしたビリーは、暫くして口を開いた。

 

ビンセントとジェフリーの行方について知っているとの事だ。

 

ビンセントは避難所が襲撃に会う前に去って行ったそうだ。
ビンセントが去る前に誰か避難民と話し込んでいるところを見たという。
それが誰かかは思い出せない。ただし、ビンセントは話終わって、直ぐ何処かへ向かっていき、
その後ビンセントを見かけることはなかったという。

 

彼が何処に向かったかは判らないが、少なくとも彼が消える前、誰かと話をしたことは判った。
その人を探し出すことが出来れば、ビンセントの行方についても手がかりを得られる。

 

問題はジェフリーだった。

ジェフリー

ジェフリー

任務の攻撃ターゲットは、今まで見たことも無い巨大な変異生命体だった。
まるで地獄から上がってきたようなその化け物は
今まで見たどんな変異生命体よりも凶暴である。
奴が街に現れれば多くの犠牲者が出るに違いない・・・
必死に化け物と戦い・・・ついに奴を倒すことが出来た。
奴の死を確認しようと近づくと、奴の腕に見慣れた文字が刻まれているのが目に入る。

 

"redeem in god"

 

それはジェフリーの腕に刻まれていた「神に贖罪(しょくざい)する」という意味の
イレズミであった。そのときジェフリーには似合わない可愛い天使に囲まれた文字を
見て笑ったものだ。だが、ジェフリーは恥ずかしそうにしながらも、罪を償う意思を
忘れないためだと話していた。つまり、この化け物はジェフリーということだった・・・

 

暫く混乱に陥った。
どうしてジェフリーがここに居るのだろうか・・・
どうして一人で逃げ出したジェフリーが任務のターゲットになっているのか・・・
偶然なのか・・・
辺りに居るゾンビを駆逐するような任務であったら偶然に出会っていたかもしれない。
だが、今回の任務は最初から攻撃対象はこの化け物だと特定されていた。
警備兵はこの化け物が元はジェフリーだということを知っていて、
任務を与えたと考えるのが自然だった・・・

 

しかし彼らが何故?
既に変異してしまったジェフリーを殺して、彼らに何の得があるのか?
ただ自分たちが暴行されたことへの復讐?

 

もしそうだとしても彼らはどうやってこの化け物がジェフリーだと判ったのだろうか?
変異した化け物がジェフリーだということを知る方法は無い。
たとえイレズミの事を知っていたとしても、近づかなければ判らない・・・
この化け物の何処にもジェフリーと結びつけることが出来る特徴はなかった。
彼らがこの化け物をジェフリーだったということを知る唯一の方法は唯一つ。
ジェフリーが変異した過程を直接目撃することだ。

 

・・・事実はどうであれジェフリーは死んだ・・・
ジェフリーだけは生き残って欲しかったが、結局自分の手で彼を死なせてしまった。
・・・真実を知らなければならない。ジェフリーのためにも真実が何かこの手で確かめる・・・

ビンセントの行方

ビンセントの行方

ビリーの話によると、ビンセントはこの避難所を出る前に、
管理地域の誰かと会話をしていたらしい。
酒を飲んでいたということから、何か大事な話をしていた可能性が高い。
ビンセントと話していた人間を見つけ出すことが出来れば
彼が何処に向かったか判るかもしれない・・・

 

避難民に聞いて周った結果、ビンセントと会話をした人間を見つけた。

 

彼はビンセントと交わした話の内容を中々教えようとはしない。
彼は、何かを隠そうとしているよりは、
値打ちのある情報かもしれないと考え、話すのを躊躇っている様であった。

 

彼は今体調が悪くて任務を遂行できず、代わりに私が彼の任務を遂行すれば
ビンセントとの会話と、彼の行き先を教えるといった。

 

想定内である。当然、私は彼の依頼を受け入れた。
その夜、何人かの友人と委員会の愚痴を言いながら酒を飲んで居たところ、
途中でビンセントも加わり、興味深い話をしたらしい。
そしてビンセントは北に向かうと告げ、去ったそうだ。
彼は私に言った。

 

「あいつは妄想の気があるから、委員会が何とかだの、壁がどうしただのと、
現実的じゃないな。今度あったら小説を書いてみろと伝えてみたらどうだ?」

ビリー

ビリー

ジェフリーについての真実を話してくれそうな人はビリーだけである。
警備兵によると、ビリーは食料品や武器を持ち出してどこかへ消えたらしい。
ジェフリーの任務の件について聞いてみたが、何も話してはくれなかった。
任務のターゲットがジェフリーだったことは知らない、
もしそれが事実ならばビリーが何かを仕組んだのではないかと言う。
ビリーは精神的に弱っていた・・・大柄で乱暴なジェフリーの事を普段から
嫌っていたらしく、復讐するために任務リストを操作したのではないかと
いうことであった。

 

だが、ジェフリーはこの臨時避難所に移送される途中、誰よりもビリーを助け、
二人は仲が良さそうに見えた。ビリーもジェフリーを頼っているようにも見えた。
ビリーがジェフリーに悪意を持つ理由は何も感じなかった。
警備兵の話によると、ジェフリーは暴行していないと言う。
ただ襲撃前後に姿を消しただけとしか・・・
だが、ビリーは確かに、"ジェフリーが警備兵を暴行してから逃げ出したと言った。
ビリーの話が事実ならば警備兵も隠す理由はどこにもない。

 

・・・可能性は二つ。
ジェフリーが警備兵を暴行して逃げ出したと言ってビリーが嘘をついているか、
それともジェフリーと関係がある警備兵が何かを隠そうとして嘘をついているか、
どちらかだ。
ビリーか警備兵、どちらかは嘘をついている・・・
・・・ジェフリーの死に何か関係があるに違いない。

 

ベティが感染してから起こった事件は変異生命体による
不可抗力だ。ベティの死自体は誰かによるものではない・・・
・・・だが、ジェフリーの失踪と死には
誰かが関係しているように感じる。
もしジェフリーの死に‘何か'が関与をしているとすれば、
彼らは責任を取らなければならない。

ビリーの行方

ビリーの行方

・・・確かにビリーだ。
ジュリーを助けた人はサンセキュリティサービスの制服を着て、
そばかすだらけの顔だと言う。
彼は何かに追われているようであったが、助けを求めるどころか、
同じ会社の人間に自分のことは黙っておいてほしいと言ったことから、
避難所を逃げたビリー以外には考えられない。

 

・・・エンバーウェイの公衆トイレ。ビリーは間違いなくそこにいる・・・

ビリーの手紙

ビリーの手紙


ここに書いたことは、イテルカウンティの臨時避難所に配属されてからのすべての
記録です。

 

私はサンセキュリティサービスの臨時避難所管理本部に勤めています。
私たちの仕事は委員会から権限を委任され、変異生命体乱入に備えた臨時避難所
の建設と運営を担当することです。

 

臨時避難所の建設と運営は委員会から委託されている常時契約事項です。
だから我々はハザードレベルが上昇した場合は、委員会からの別途の指示がなくても
マニュアルに従って直ちに避難所の建設に取り掛かります。
普段は我々が担当となった地域に避難所を建設し、委員会に引き継ぐことで
我々の役割は終わりますが、場合によっては我々で避難民たちの収容を担当する
場合もあります。

 

このたび我々はハザードレベル2段階で臨時避難所の建設を行い
直ぐ避難民を収容する準備まで終わらせました。しかし、すべての準備が終わり
委員会との約束した引き継ぎ日時が過ぎても委員会からは何の連絡もありませんでした。
通常は、委員会からの指示が伝達される筈ですが、
連絡は無く、しかも本社との連絡もできなくなりました。

 

この時までは、それほど深刻な状況ではなかったのです。
ハザードレベル2がしばらく続くだけで、すぐ落ち着くだろうと
考えていました。
寧ろゾンビが現れたら奴らを狩って小遣い稼ぎでもしようと言う
程度にしか考えていませんでした。
しかしハザードレベルが4に上がり、状況は一変しました。

 

変異生命体の数が凄まじいと報道で言っていたし、奴らがもう北部
地域全域に広がったと言う噂も聞こえてきました。
変異生命体は全地域に広まっていると言うのに、委員会からは何の連絡も
ありませんでした。
状況を把握するためバイオスフィア方向へ向かった隊員は帰ってきませんでした。
前を通過する避難民は、北はすでに全滅した、この先逃げる場所もないと言う
話をしていました。
それから避難民の収容がようやく終わりかけた時、すべての通信が途絶えました。

 

我々はそれまではマニュアルに従って避難民たちの収容を進めていました。
しかし不思議な事に、ここに配属された避難民たちのほとんどが老人や病人、あるいは
浮浪者や身元不明な人たちでした。
避難民の振り分け基準は分かりませんが、今まで見た
どの避難所でも見たことのない光景でした。

 

状況がこのようになると、"委員会で管理したくない面倒な人々を全部
此処に送り込み、我々を見捨てたのではないか?"という噂が広まりました。
最初から委員会はここを見捨てていて、なんの支援もしない上、通信まで
切ったのではないか?

 

どうでも良い避難民たちのせいで、我々がここに取り残されたと
怒り狂う隊員もいました。家族を北部に残してきた人は本当にかわいそうだった。
どうせ契約内容ではカバーできない状況なので、すぐにでもここを去るべきだと言う人もいましたし、
避難民たちを追いだし、物資だけでも確保しようと主張する人もいました。
避難民たちに武装させ、盾として活用しようという提案が出たのも丁度その時でした。
言い方は様々でしたが、共通した意見は'我々には避難民を守る義務が無い'
ということでした。

 

そんな中、事故が起こりました。
ある避難民が避難民たちに武装させる我々に断固抵抗し始めたのです。
ただでさえ、避難民たちのせいで我々が孤立してしまったと腹を立てているときだったので、
その避難民の態度は隊員達を刺激してしまいました。
奴をどうにかしないといけない・・・と話し合っていた時、ある先輩がその避難民について
良く知っていると言いました。先輩は自分が以前地方警察の代行任務をしていた時、
彼を見たことがあると言いました。
先輩の話によると、その避難民はジェフリーと言われていたが、本命ではなく、彼には
多数の殺人の疑いがあるとのことでした。

 

ジェフリーの移送担当は私でした。
ジェフリーは"自分が過去にいろんな過ちを犯し、自分を制御することができないことを
知っているので、どんな形の武力も使用しないと誓ったのだ"と言っていました。
先輩の話が100%事実かどうかは分かりませんが、嘘ではなさそうでした。

 

ジェフリーの過去の話は、さらに同僚達を刺激しました。
何人かの先輩達がジェフリーを倉庫に連行し、暴力を加えました。
彼らは、"殺人鬼を保護するためにここに残っているわけではない!"とジェフリーに罵声を浴びせました。
"どこのだれかもわからない避難民たちを保護するためでもない!"と、怒りをぶつけました。

 

今思うと、彼らはただ怒りを何処かにぶつけたかっただけだと
思います。あの時の彼らの気持ちが理解できなかったわけではないのです。
しかし、その結果はだれも望んだことではなかったのです。

 

彼らは倒れたジェフリーを避難所の外へ連れ出し、トラックに載せました。
朝までそこに放置しちょっと痛い目に合わせようとしたのです。
しかし翌日の朝、変異生命体が避難所を襲撃する事件があり
ジェフリーは隊員から受けた怪我が酷く逃げることができず、ゾンビにやられてしました。
殆どの警備兵たちはその光景を見ていましたが、皆そのことを隠していました。

 

先輩らは"死んで当たり前の奴が死んだだけだ"と言いながらも、
ジェフリーが死んでいるわけでもなく、変異した状態で生きていることが気がかりのようでした。
それから、彼を任務のターゲット名簿に優先的に追加したのです。

 

それ以後、我々は変わりました。
我々は最初から悪人だったわけではない。
家庭のある人や、誰のために頑張る人もいました。
しかし、避難所の環境が我々を徐々に変えてしまいました。
あの日以来、同僚たちは変わりました。我々が持つ権力をコントロールできなく
なりました。

 

キャプテンは"群衆を完全に統制するためには犠牲が伴う"と言いました。
そして、"その犠牲者になるのが避難民か、自分たちか。どっちがいいのか考えてみろ。"と
言いました。
キャプテンは生存のために避難民を利用しました。我々もキャプテンに従いました。

 

後で知ったことですが、ジェフリーをはじめとするここへ移送された避難民は勿論
我々警備兵全員、記録閲覧制限がついた'特別管理対象'として分類されていました。
私は新米だったので、上層部との通信が切断された詳しい理由や避難民たちの
出身が何を意味するのか、よくわかりませんでした。
しかし今は分かります。
先輩達がこの事実を知ったらどんな顔をすることか。

 

私は虚弱体質で、いつも周りからいじめられてきました。
だから強くなりたくて警備会社に就職しました。
しかし、今は力をもつ人々がどんなに変わっていくのかわかります。
私をいじめた周りの人たちもきっと同じでしょう。
私はまだ19歳です。これからも、人間のこんな汚い面を見なけれならないなんて、
怖くて仕方ありません。
ジェフリーとベティに心から謝ります。
神にも贖罪します。


 

ビリーは呼吸が止まったまま倒れていた。
太ももに引き裂かれたような大きな傷があった。多分出血が原因で死亡したようだ。
しかし、彼の傷には手当てをしたような形跡はなかった。
傷口が大きすぎて手当てができなかったのか、手当てを諦めたのか
分からなかった。
ただ、この一通の手紙がそれまでのすべての事を教えてくれた。
次にやるべきことは、キャプテンに会うことだった。

ゆがんだ世界

歪んだ世界

キャプテンは既に報告を受けたようで、武装した警備兵らに囲まれていた。
ベティとジェフリーに関することや、警備兵らが避難民たちに行った許しがたい行為について
説明して欲しかった。
いや、今ここで行われているすべてのことについて説明が欲しかった。
しかし私の話をさえぎって、キャプテンは逆に質問を投げてきた。

 

もし誰かが犠牲にならないと多くが生き残れない状況で、誰も犠牲にせずに
そのまま死を待つべきか、それとも強制的に犠牲者を選び出すべきか。
犠牲者を選択しないといけない立場になったとき、無作為に誰かを選択するのか、
それとも何らかの基準で、集団への貢献度で選択するか、どっちを選ぶべきか。
キャプテンは自らその質問に答えた。

 

「多くの人の安全を守るために誰かを犠牲にしなければならないとする。
そうすると、その犠牲者は多数にとって役に立たない、価値の低い人間にならざるを得ない。
闇市場で生きる密輸業者、ドラッグ漬けの医者、
自分の役割を全うできない警備兵、それから殺人などの罪を犯した人たちが
その価値の低い人間に当たる」

 

エミリオは密輸業者で、ドクターは中毒者だった。
それからジェフリーは・・・・・・

- 見捨てられた街道 -

見捨てられた街道

見捨てられた街道

見捨てられた街道

見捨てられた街道

そして、霧にかすんでいた言葉が少しずつ鮮やかに見え始める。
'追放'

 

キャプテンは'見捨てられた'という言葉を何度も使っていた。
ビンセントは、臨時避難所の人々は何かによって排除され'追放された'と・・・

 

委員会から例え少なくても援助があれば
避難所で起こった事件は防ぐことができたかもしれない。
しかし彼らは何もせず…幾多の人々が命を失った。
もし彼らの言葉通り'避難所の人々は追放され、意図的に委員会か彼らを見捨てた'
のであったら、委員会は決して許されるべきではない。

 

ビンセントは'我々が救われることは無い'と分かっていた・・・
・・・そして、前もって避難所を去ったのだ。
彼は確実に何かを知っている・・・

 

臨時避難所があるエンバーストリートを後にし、北のダウンタウンに足を向ける。

 

ダウンタウンを経て、イテルカウンティICの高速道路を利用すれば
楽に移動できるだろう。しかしその前にビンセントを探さなければならない。

 

ダウンタウンへの移動炉を遮断した警備兵はキャプテンからの命令があったのか
何の制止もしない。彼らは人を探したいのならダウンタウンの中心にある
警察署で調べると良いと教え、親切なまでに思える。

 

もう、これ以上ここにいる必要はない・・・

ダウンタウン

ダウンタウン

ダウンタウンの北に移動するほど、都市の被害は深刻になっていた。
道路は断絶され、巨大な襲撃を受けたかのように、あちこちで事故現場と死骸が見られる。
・・・略奪された形跡も頻繁に見られた。

 

道に放置された死骸と略奪の後は、これから如何なる権力を持とうとも
助けられるものではないということを物語る。

 

ダウンタウン近隣はエンバーストリートに比べて被害が格段に酷い。
恐らく変異生命体の襲撃は北西方向から始まったのだろう。

 

警備兵に言われたとおり、ダウンタウン中心部に向かうと、通りの向こうに
鉄条網と、柵で十字路全体を囲った光景が見えた。破壊と略奪によって
まるでゴーストタウンになってしまった近隣とは全然似てもいない姿だ。
その屈強な要塞のような鉄条網の後ろには多くの警察官の姿が見えた。

 

此処こそ・・・ダウンタウン警察署だった。

 

入口に近づくと警察官たちは警戒した。'一体何の用だ?'とでも言っているかのように
警察官の表情は何処か怯えているようであった。
・・・歓迎を期待しているわけではなかったが生存者を助けようとする様子がなく、
銃を構えたまま外を眺める姿は滑稽にさえ感じられる。

 

幸いな事に特別制止もなく、警察署に入れたが
何処か妙な雰囲気は警察署内部に入っても変わらなかった。

 

中には多くの避難民やあわただしく動き回る警察官たちの姿があるものと想像していた。
しかし、実際には2,3名の警察官と疲れ果てた様子の若干数の武装市民達しかいなかった・・・
哀愁と静寂が漂っていた。

 

一方、掲示板には失踪者を探すチラシが所狭しと張り付けてあった。
しかし記入された日付の殆どが変異生命体襲撃日から一週間以内のもので
最近のものは全く見られない。新たなチラシが無いというのは
ここを通った避難民は殆どいないということなのか・・・

 

事務担当の警察官に避難民の収容について聞くと
'此処は避難民を収容する場所ではない'と繰り返されるのみ・・・

 

どこか・・・ぎこちないように感じた。

 

彼らの表情には生気がなく動きも遅い。何より避難民がいないというのがおかしいことだ・・・
ビンセント以外の人々についても聞いたが、彼らは何の関心も持っていないようだ・・・
言葉を濁し、「このように失踪者があまりに多くて・・・」
という返事しか無かった。

 

何も知らないとしても、"積極的に手伝おう"と言う感じには見えなかった。

 

ダウンタウンと接続している全地域は民間人の出入が規制されていた。
他の都市に向かうためにはダウンタウン北部のイテルカウンティICを通過しなければならない。
が、それよりもビンセントの捜索が先だ。

 

ダウンタウン東部にはアドリアン居住区が、西部にはラ・シエラ居住区と呼ばれる
邸宅が密集する地域がある。ビンセントはダウンタウンを含んだこの周辺にいるだろう。
・・・今となっては、ダウンタウンを脱出することはできない筈だ。

 

警察官から民間クエスト遂行を勧められた。

 

クエストならば臨時避難所で経験して慣れていたし、物資を得るためには資金が必要だ。
幸い、警察署には食料品や武器、弾薬などが
十分に備蓄されているようだ。

 

ここを基点としてビンセントを探すことにしよう。そして、そのあとに委員会を調査する・・・
・・・長い旅路になるだろう。

民間クエスト

民間クエスト

此処の変異生命体はエンバーストリートにいたものとは全く違っていた。奴らよりは素早く、賢い・・・
食料を求め、ただ彷徨うだけのエンバーストリートの変異生命体とは全く異なる。
前だけを見ていては、四方から飛びかかってくる奴らに包囲されてしまうのだ。
四方を注意しなければならないため、何人かが協力してお互いの背後を護る必要がある。
奴らは抜け目なく・・・更に集団での行動方法を知っている。

 

しかし、我々の対処能力も上昇していく。

 

奴らが突然飛び出して来ようと、落ち着いて冷静に一体ずつ処理する余裕も出来てきた。
度の武器がより効率的で、どの武器がどの変異生命体に効果的かと言うことも
身についていく。

 

我々の体は無意識に状況に適応していく。しかし・・・
精神はこの状況すべてを受け入れるには時間が足りない・・・

 

四方から終わることなく押し寄せる奴らを相手にしていると、いつの間にか周りは
血と肉片で埋め尽くされていく。その地獄のような光景の中、ふと我に返ると・・・
その中心には私が立っている・・・

 

その瞬間の私の目つきは・・・殺人魔のそれと一寸の違いもないだろう・・・

 

つい最近まで誰もが平穏な日常を過ごしていた・・・
そして、その誰もがこんな状況を予測することはできなかった筈だ。
この状況を当たり前のことだと自らいさめるか、この都市と同じく
私も変わっていっているという事実をぼんやりと感じていた・・・

 

クエストに離れてきたが、ビンセントの行方に関する進展が見られない。
しかし、彼とは別に気にかかることがある。それは'警察の行動'であった。

 

彼らはどのクエストにも参加していない。ただ任務を望む人間にクエストを渡し
その対価を支払うだけであり、彼らが直接する仕事は何もない。
それが臨時避難所の警備兵と違うところだ。

 

警備兵のようにクエストを強要することは無かったが、彼らよりずっと無能だ。
果たして彼らがいまの状況をまともに認識しているのかどうかも疑うほどだ。

ビンセントの行方

ビンセントの行方

ダウンタウン中心の警察署を基点としたビンセント捜索から何日か経った。
その間、数か所のダウンタウン地域でクエストを遂行し、
彼の足跡を求めたが、どんな情報も得ていない。

 

警察はビンセントに関する情報があれば知らせると言っていたが
彼らには情報力も、意志もなさそうだ。彼らに期待はできない。
彼らの情報を待つより、直接動いた方がいいだろう。

 

マーフィーは情報を得たければダウンタウンにつながる各地域を
統制する警察に会うといいと教えてくれた。
此処ダウンタウンにつながる地域とは東のアドリアンビレッジ、西のラ・シエラビレッジ、
そして北のイテルカウンティI.Cである。
そして、ここから最も近くの統制地域、ラ・シエラビレッジに足を向ける・・・

 

何の期待もしていなかったラ・シエラビレッジの統制地域で
手掛かりを見つけることができた。
ビンセントがわずか数日前ここに来たというのだ。

 

警察は彼を覚えていた。ビンセントは警察に統制方法の事や
都市の北側が変異生命体によって崩壊した時、
ラ・シエラビレッジの住民はどこに避難したのかを聞いてきたという。
しかし、これ以上の情報を得ることはできなかった。
彼はすぐ去ってしまったらしく、それに関する情報はもうないという。

 

・・・しかし成果はあった。
ビンセントはラ・シエラビレッジの誰かに用事があったということ、そしてその誰かは
ダウンタウン周辺の何処かにいるということ。この二つは確かだろう。

 

マーフィーにラ・シエラビレッジの住民について聞くと、彼はわざとらしく驚いた。
'あんたなんかが何故彼らに関心を持つのだ?'とも言われた。
彼の言葉によるとラ・シエラビレッジは'ビレッジ'と呼ばれているものの
ミスター'マーティン'と言う名の大富豪が所有する個人の邸宅団地らしい。
そこに住んでいる住民はマーティン家のみであり
ビンセントは彼らの中の誰かと会おうとしたのだ。

 

勿論、その邸宅団地には下人や技術屋など多くの人々も住んでいるため
厳密にはマーティン家のみではない。他の誰かの可能性もある。
とにかく、彼ら一人一人の行方を探すのは不可能だ。
まずはそのマーティンと言う大富豪に会い、ビンセントの話を聞いてみるのがいいだろう。

 

・・・答えは意外なほど簡単に出た。
それほどの大富豪なら当然バイオスフィアに身を寄せようと思ったはず。それなら彼が
向かった先はイテルカウンティI.Cだろうというのがマーフィーの答えであった。

 

その点をビンセントが分からないわけがない。
それならビンセントモイテルカウンティI.Cに足を向ける筈だ。

 

・・・期待を持って到着したイテルカウンティI.Cでは何の情報もなかった。
イテルカウンティI.Cにつながるセントラルハイウェイは極めて危険な状態であり
警察は民間人は誰一人通過させていないという。
マーティンはここに来ていないだけでなく、マーティン程の人物でも
警察は通さないらしい。マーティンが密かにここを
通り過ぎる可能性もないという結論になったのだ。

 

しかし、ここでもやはりビンセントの足跡があった。
私が来る数日前に、全く同じ質問をした人物がいるというのだ。
彼らが覚えている印象はビンセントと同じであり、私が聞いたことと同じ話をし
ダウンタウン方向に戻ったという話だ。

 

ダウンタウンの大部分地域はクエスト遂行によって確認済みだ。残っている地域は
アドリアンビレッジに向かう道のみ。アドリアンビレッジの統制地域での情報は
彼がまだダウンタウン内部にいるのかいないのか、決定的となるだろう。

 

最後に探索したアドリアンビレッジ遮断地域の警察は
ビンセントを覚えていた。

 

他の統制区域とは違い、アドリアンビレッジの遮断地域は避難民が
密かに行き来しているらしい。アドリアンビレッジにはこの近隣で
最も大きなマーケットがあるからだ。飢えた避難民たちは食料を探す為に
危険を冒してでも統制地域を走って出入りしていたのだ。
彼らはそのような避難民の風体を覚えていられないという。

 

既にダウンタウン近隣のビンセントがいると推測される場所はすべて確認した。残るは
アドリアンビレッジの居住地域のみ。もしその場所でさえビンセントがいないのならば
彼が路頭を徘徊する'奴ら'の世話になってしまったと考える他はないだろう・・・

 

・・・残った場所、アドリアンビレッジの居住地域に入る方法を見つけよう。

自治警察

自治警察

アドリアンビレッジを統制する警察のクエストを終えて戻ると、彼はダウンタウンの
警察署へ行けと言う。クエストを立派に遂行した功労を賞賛するため
警察署長から表彰があるということであった。

 

話にならない演出に‘光栄であると思え’というような警察の高慢な態度に
私は失笑を隠すことができなかった。

 

所長は行事でもするかのように作り笑いを浮かべ「ご苦労だった」の言葉を連発する。
「お前の苦労のおかげで数多くの人々の命が救われた」と。
これらの何の考えもないような行動に、私はあきれるほどであった。

 

失踪者を捜す掲示板に貼られたチラシにはホコリが積もっている。食料すら
まともにない民間人は、命をかけて食料を探すためアドリアンビレッジ封鎖地域に
向かっている。このような人々についてどう思っているのかと署長に問うと、
予想していなかった質問かのように、目を丸く開いた。

 

「私が苦労して数多くの人々の命を助けている間、あなた方は何をしていたのですか?」
という質問の前に署長はしきりに汗を拭い「仕方ないのだ」という言葉だけ繰り返すだけ
であった。彼らには力も能力も…権限もなく
多くのことを要求するなということだろう…

 

「では…これを見るといい…これが我々の『行動指針書』だ…」

 

彼が突き出した警察の行動指針書には彼らの行動範囲と権限を
要約した内容が書かれていた。

 

‘どんな場合でも先制攻撃は許可せず、緊急防衛の場合でも3度以上の空砲発弾の上、
爆発物及び自動火器に関する武器の使用は
委員会の承認後、軍作戦統制下でのみ使用できる’

 

‘任意行動および逮捕、家および車など拠点に関する武力鎮圧は認められず
自己防衛的な立場のみで、守備的な用途の武力使用が認められる’

 

という内容であった。

 

「変異生命体に襲撃されてから委員会からの命令や指針は何もない。
襲撃以後、中央との連絡自体が遮断されている。それが
単純な通信障害ではないことは我々にも分かっている。我々も他の避難民と
同じく、委員会から見捨てられた存在であるのだ…」

 

結局、ここの警察は失踪者の捜索や援護には参加しなかった。

 

ただ、これからは誰も彼らを助けることはないとの事実を訴えるだけ。
一人を助けることが、多くの人を助けることにつながる。
それを自分たちがすべきことであるという認識は彼らは誰も持っていないようだ…

 

…悪意がないことは分かる
…ただ無能、怠惰、無責任であるだけだ

 
無力な者たち

無力な者たち

マーフィーはかんしゃくを起こしたように荒れている。彼は予想していたかのように
アドリアンビレッジ統制地域の通行許可文書を机に投げ捨てた。

 

「さあ、これが必要だったんだろ!さっさと持って行け!」

 

アドリアンビレッジ遮断地域の警察は、避難民たちが食料を求めて
統制線を出入りしていると言っていた。ダウンタウン警察署に備蓄された物資を
十分に配ってさえいれば、彼らが危険を冒す理由は無かったはずだ。
更に、統制線を出入りする人々が居るということは、村の中に生存者が多数残っている
可能性もある。しかし警察は唯見守ってばかりいるだけだ。

 

この程度の兵力なら警察署の警備人員を除いたとしても、クエストに
投入することができるだろう。この大きな都市に生き残った人がこれだけというのは意味が
違う。最小限、隠れている生存者の捜索をしてみる価値も兵力もあるだろう。
しかし、彼らはそのどんな試みもするつもりが無さそうだ。
失踪者捜索担当であるマーフィーとの会話はこのような考えを確信させたのであった。

 

「十分な物資があるというのに、どうして避難民に配給しないのですか?
貴方たちが物資を十分に配給しないことから、幾多の人々が危険を冒している。
それに今まで失踪者を探索する姿を見たことが無い。避難民が統制線を出入りしているということを
知っていながら何故何もしないのですか?かなり多くの生存者が居住地域に居るということでしょう。
それなのにどうして捜索をしないのですか?」

 

「我々は指針どおりに動くだけだ。備蓄された物資を我々が勝手に配布することは
越権行為である。又・・・化け物と暴徒がうろうろしている中で探索をするには
我々に能力が足りない・・・我々は警察であって軍隊ではないのだ。変異生命体と
戦うのは正規軍がすべきことであり、我々の出来る任務では無い。
・・・捜索は正規軍の支援が来たなら、その時すればいいだろう」

 

「正規軍?・・・この状況で正規軍が何時来ると期待できるのですか・・・?
貼ってあるチラシの失踪者が増えているのは、探し出すことが出来なかったのではなく
最初から捜索をしようともしていない・・・
信じられない・・・貴方たち警察をおいてあの多くの失踪者を探すことは誰に出来るのですか・・・?」

 

「お前こそわかっていない。我々には兵力も能力も無い・・・
それは我々のできる仕事ではない、それだけだ」

 

「それなら、市民がクエストを遂行していることについて一体どう感じているのですか?
私たちが毎日奴らと戦っている姿は見えていないのですか?
まさか、私たちが傭兵だとでも思っているのですか?」

 

「それならあのチラシを持って、お前が直接探せばいい・・・
そのビンセントとか言う人間を捜すことも兼ねてな・・・」

 
 

最初に公権力に期待をしたことが間違いだった。
私設警備会社、委員会、警察・・・
一体この都市はどのようになってしまうのか・・・

コメント

  • C1前半分割しました。何処からが前半、後半の区切りつけていいか判らなかったのですが・・ダウンタウンメインクエスト終了までを前半として移動しました。 -- 2013-08-08 (木) 12:41:14