チャプター2後半

Last-modified: 2021-04-10 (土) 15:27:51

Chapter.2 Damned City -呪われた都市-後半 ロー・イースト・サイド~シェルターメインクエスト

- 生存の権利 -

ローイースト・サイド

ローイースト・サイド

封鎖された道路

封鎖された道路

セントラルハイウェイでは予期せず時間が掛かった。
これ以上此処で留まっている場合ではない。

セントラルハイウェイI.Cに入る事ができれば、セントラルシティの中心である
アッパーイースト・サイドにすぐ着くであろう。そこは産業地域であり
I.Cとメインストリートを最短でつなぐ幹線道路でもある。セントラルシティの
首都のようなアッパーイースト・サイドはメインストリートの中心に位置している。
I.Cの状況が悪くなければセントラルシティは目の前だ。
・・・だが現実は思った通りには行かなかった。

セントラルシティI.Cの状況事態は悪くなかった。進入を制止する人間も
無惨な殺戮の現場も見えない。移動中なのか休憩をしている何人かの避難民を除けば
人の跡すら見えなかった・・・寂しく思えるほど、静かな姿である。
だが、問題はメインストリートに繋がる産業道路が封鎖されているという点であった。

産業棟(道路?)への封鎖線は人の手で作られた物である。
そこに居る多くの避難民のことを考えると、封鎖線は変異生命体襲撃後直ぐにでも
造られたのであろう。これ以上高速道路からは避難できないと判断され
封鎖してしまったのであろうか。
・・・横になっている避難民に封鎖された理由を聞くと
彼は面倒そうな表情で身を起こした。

「あそこを超える事はできない。産業道路の中間にあのようなバリケードが築かれ、
メインストリートに行く道は全て封鎖されている。アッパーイースト・サイドの
高い壁が産業棟を支え、恐怖を防ぐ知恵の壁でもあるのだ」

避難民は顔をしかめながらそういった。

「それでは此処からは何処にもいけないのでしょうか?産業棟を支えているとはいえ
他の方法もあるのではないですか?此処に繋がるほかの道は無いのですか?」

脈が波打つ状況ではあったが、諦める事は出来ない。確かに他の道があるのだ。
だが、他の道があるという言葉は、避難民にとって意味を成さないのであろうか。

「無い。此処はセントラルシティI.Cであり、メインストリートにのみ
繋がっているのではないのだ。後ろにはローイースト・サイドに繋がる旧道路が
あり、あなたのような存在さえ知られていない人間の為ではあるが、
ローイースト・サイドもセントラルシティの一部だ」

ローイースト・サイド・・・そういえば失念していた。避難民のように
今は殆どの地域の名を知っていたが、ローイースト・サイドは
セントラルシティ建設の礎になった、旧街の名だ。

荒れ果てた原野に、労働者の手によって立てられたローイースト・サイドは
最初からそのような名ではない。元々の地域の人間が"露店通り"
等のように何となく呼ばれた名前をそのまま使っていたが、
新都市が開かれた後、旧都市と区分する為に
ローイースト・サイドという名称が付けられたのであった。
だが、実際ローイースト・サイドの住民はこのような区分けを不当と考え、
以前の名称をそのまま使っているという話を聞いたことがある。

ローイースト・サイドは事実セントラルシティだといえる。メインストリートや
アッパーイースト・サイドの南部を支える事で成り立っているのだ。
いや・・・旧市街地と一つになることを嫌がっていた新市街地が
北のほうへ抜け出た形だといえばいいのか・・・
とにかく旧市街地と新市街地は接している。
なら産業道路ではなくてもローイースト・サイドを通じて
メインストリートに入る道は幾らでもあるだろう。

"愚かな音(誤訳?)"

避難民が再び額にしわを寄せながら言った。

「ローイースト・サイドは乱闘場である・・・惨劇のあった場所だ。そこは完全に孤立した状態だ。
食糧さえ手に入れられない。人々は生活する為に悪魔の仮面を被り、
略奪さえ当然になってしまった。
恐ろしいのは化け物のみではない。そこにいる乞食をする人間のほうが恐ろしい・・・
もし貴方が後ろを向いたら、頭を殴られ、パン一切れを盗まれるほどだ。
そこはそのような場所だ。それでも通りたいのか?」

彼は興奮した表情で言葉を続ける。
彼の表情から見ると、彼の話が嘘のようには見えない。
だが、危険だからといって諦められる状況ではなかった。
・・・危険は何処の都市にもある。その危険が少し増えたとしても、
余り変わることは無いだろう。そんな私の表情を呼んだのか、もしくは話が退屈に
なったのか、避難民は突然疲れた表情で私に言った。

「正しくありたいのなら好きにするといい。どうせ此処にいても何も起こらない。
・・・だが覚えておかなければならない事は、誰も信じられないという事だ。
そこはあらゆる思惑が混沌としている。
だが、私が長くいた場所だ。本気で考えている人々が何人か居る・・・
他の場所よりは安全かもしれない」

彼は紙に住所を荒々しく書いて私に突き出すと、再び横になった。

久しぶりに人間と話をして嬉しかったのだろうか。それとも唯残っている時間を
過ごしているのであろうか。兎に角情報を提供してくれた彼に感謝の言葉を伝え、
ローイースト・サイド方向の旧道へ私は足を運んだ・・・

ローイースト・サイド

ローイースト・サイド

人々がローイースト・サイドに対して描くイメージは恐ろしい言葉が連なる。
'捨てられた都市'、'幽霊村'、'貧困'・・・
だが、人々はそのようなイメージにさえ関心がなく、忘れる事もある。

稀に非主流言論を通じて、ローイースト・サイドの現状の記事が載せられる場合がある。
私がローイースト・サイドについて知っている事の大部分は
その記事を通じてだ。
その記事から見えるローイースト・サイドの姿は、人々が考えていた姿と変わらない。
あるとしたら、新市街地との'貧富の差'あるいは
'過度な開発の影'といった政策的な問題であろう。

古臭い建物、不足している施設、整備されない道路、そんなものを想像して
ローイースト・サイドに足を踏み入れた瞬間、私の想像がすべてでは無いと感じた。

確かに古い建物や整備されていない道路が見える。施設も不足しているのだろう。
典型的な発展途上の村の姿である・・・だが、其れが全てではなかった。
・・・人が居ない。変異生命体の襲撃後、人が少なくなった事はどこでも見られたが、
此処はそのような感じとはまるで異なった。
まるで最初から誰も居ない様な・・・
荒廃した看板や捨てられた自動車・・・人が行き交っていない道路には
雑草が育っている。破壊されたものを見ては、生存者がいたのだろうと予想するのみ・・・
長時間放置されたように見える風景は
物寂しい悲哀のみが漂っていた。
捨てられた廃墟の寂しさが変異生命体を作り出し、
破壊と恐怖が覆ったような姿である。

四方にある雑草を超え、避難民が書いてくれた住所に到着した。
そこは寂しさと言う一言では言い尽くせないほどの雰囲気の住宅であった。

殺戮

殺戮

生存の権利

生存の権利

生存の権利

生存の権利

暴徒

暴徒

思いがけない遭遇

思いがけない遭遇

エミリオ

エミリオ

消えたアビブ

消えたアビブ

生存の資格

生存の資格

二つの顔を持つ父

二つの顔を持つ父

生存の資格

生存の資格

シェルター

シェルター

- シェルター -

シェルター

シェルター

エミリオの計画

エミリオの計画

シェルターのセキュリティシステムは解除されていた。
最も重要な外部で入口のセキュリティが解除されているということは、
システムが無力化されているのだろう。
だが、それが意図的なのか障害なのかわからない。

判断しなければならない。
シェルターに入って、アッパーイースト・サイドへの出口を探すのか・・・で無ければ
当初の計画通り、メインストリートから向かうのか・・・
どちらにせよ危険はある。シェルターやメインストリートは変異生命体でいっぱいだ。
其れならば、どちらかの危険度を減らして、どうやってアッパーイースト・サイドに
行くのかを考えなければならない。

エミリオの元に戻る事にした。シェルターの状況に関する情報を伝えて、
子供をどうするかも相談しなければなるまい。
中からは「奴ら」の声が聞こえる。
決定しなければならない。シェルターからアッパーイースト・サイドへ
繋がる出口を探すのか・・・でなければメインストリートから行くのか・・・
そして、もう一つ・・・シェルターがこの有様なら
この子供をどうするのか・・・

ふと他の考えが浮かんだ。其れは登録証だ。
シェルターに入場するには登録証が必要だ。其れはアッパーイースト・サイド
側も同じだろう。どちらを選択しても、アッパーイースト・サイドに入る為には
登録証が必要なのだ。
勿論、強行突破したり、密かに入ったり方法があるかもしれない。
最初はそのつもりだった。ダガ、登録証を使った方法なら、
無駄な戦いをすることなく、行き来する事が出来るだろう。
そして、その登録証はシェルター内に溢れるほどある。

シェルター

シェルター

下水処理施設

下水処理施設

封鎖された出口

封鎖された出口

惨劇

惨劇

居住エリア

居住エリア

居住区域に入る通路の前には、居住地域用管理装置が設置されていた。
だが、管理装置は反応無く「電力モジュール損傷、要交換」というメッセージが
出力されている。管理装置の下で損傷した部分を確認した。

幸い、近くの倉庫から電力モジュールを手に入れた。
管理装置のモジュールを入れ替えると、緑色のランプが光り、
電力モジュールは正常に作動した。
管理装置では同じメッセージが表示されている。
最も関心のある事はナビゲーション機能だ。

残念ながら、位置を出力するパネルが破損しており、各地域の位置のイメージを
確認出来なかった。居住区域内にどんな場所があるのかテキストでは確認できたが、
中央統制室に関する情報は見つからない。

・・・当然かもしれない。シェルターを管理する統制室が民間人の為の
ナビゲーションに表示される必要は無い。こうなった以上、
直接居住地域を歩いて確認する方法しか無さそうだ。

実際に行くと、居住地域は情報とは比較出来ないほど広かった。
ここで中央統制室を見つけることは、其れこそ砂漠で針を見つけるような物だ。
それにもし統制室を見つけられたとしてもキー無く入る事が出来る保障も無い。

居住地域はあちこちが破損し、血や肉で散乱していた。しかし、それ以外は
予想よりずっと快適で余裕のあるように構成されている。
臨時避難所の酷い水準を予想した訳ではないが、ここの
構造は多くの人員の収容より、居住民の共同を優先視された設計だ。
部屋は配置されたベッドの数に比べて極めて広い。共同施設も同じだ。
個人空間を減らして公共の空間を拡大すれば、もっと多くの人員を収容出来たはずだ。

ビンセントは言った「シェルターに空間が無い為、多くの避難民を収容でき無かった。」と。
予想外の出来事はこれで終わらなかった。

居住地域を良く見ると、制限区域v-13の入場カードを見つけた。
制限区域だといっても、管理室や統制室に入れる保証は無いが、
調べる価値はあるだろう。一般には制限された区域である程
情報を得ることが出来る。

制限エリアv-13

制限エリアv-13

v-13区域に足を入れた瞬間、「制限」という言葉の意味が
予想していた物では無い事を悟った。

制限区域v-13はシェルターのVIPの為のメンバーシップクラブである。
そしてその奥で最も予想していなかった言葉を目にした。
其れは恐らくシェルターに最も似つかわしくない言葉の一つだろう。
・・・「カジノ」である。

此処はつい最近まで使われた跡が残っていた。テーブルごとに
セッティングされた最高級のブランデーに現金、帽子や靴・・・

こんな状況でギャンブルをしていたという事実が信じられない。
食料をかけたギャンブルなら苦笑できるが、
金が使われている。上級層の人間は滅亡の岐路に立っている
この状況で、本当のお金が役に立つと思っていたのか?

彼らは阿鼻叫喚の中、高級な酒を飲んで、
楽しんでいた筈だ。これから何が起こるかさえ判らないのに・・・

テーブルの隅々で変異生命体が身を起こした。
此処に残っていた富裕層の残骸なのだろう。
此処ではこれ以上他の情報は無い。身を隠そうと
立ち入った小さな部屋で、ある物体を見つけた。

居住エリア管理室

居住エリア管理室

中央管理室

中央管理室

中央統制室も他の地域と同じであった。だが、
統制室から廊下に出ると厳格な感じの鉄門が前を阻んだ。
硬く閉ざされた鉄門のあたりに配置されているセキュリティ装置には緑色のランプと
「セキュリティ実行中」というメッセージが出力されている。セキュリティカードを取り、
新規カードを認証してセキュリティ解除を要請すると「セキュリティカードno.173938
認証。セキュリティ解除」というメッセージと共にドアが開いた。

中央管理室には誰も居なかったが、機器は正常に作動していた。
管理室中央のCCTVモニターには居住区域の現在の状況が表示されている。
幾つかの区域は避難を要求するメッセージが繰り返し出力されていた。

そして全ての地域で「シェルター汚染レベル警告、浄化過程待機中」
と言うメッセージが表示されている。

モニターの右上には各種統計が表示されていた。中でも「最大収容人員」という
文字が目を引く。予想よりもかなり少ない数字であり、
その横に表示されている「現在収容人員」は最大収容人員の半分以下であった。
多数の人員を収容する為に作られた施設ではなかったということだ。
・・・気になる情報はもう一つある。
収容人員情報の下ではシェルターの稼働時間が表示されていた。
そして、シェルター稼働時間は「あの日」以前であった。つまりハザードマップ
レベル4が発令される前から稼動していたという事だ。危険が近づいている事を
予想していたのか、でなければ他の理由があるのか・・・

兎に角、このシェルターは危険が近づく前から稼動していた。そして、保護の対象は
都市の住民の中でも極めて一部・・・その事実だけは確かだ。

コンピューターの上に散らばっている書類から登録証を探したが、
それに似ている書類さえ無い。
登録証は無かったが、其れに変わるファックス文書を見つけた。


登録証関連業務協助要請

居住民情報、及び登録証管理は本日20時を基準として生産区域の統制室で
管理権限が引き継がれます。従って、現在まで収容完了した登録証は
各居住区域で生産区域の統制室に移動される予定です。

以後、追加で回収される登録証は各居住区域の管理室では無く、
生産区域の統制室へ伝えてください。

関連するお問い合わせは居住地域チーム内線番号807迄お願いします。


文書が伝達された日は「あの日」から何日か過ぎた後だ。この報告書の通りなら
生産区域の統制室で登録証が見つかるだろう。だが、居住区域がこのようでは
生産区域の状況も同じだろう。
近くのコンソールを操作して生産区域を確認しようと思ったが、生産区域の
CCTVラインは損傷しているようで、画面は良く見えなかった。

・・・最悪の状況を想定したほうがいいだろう。

生産エリア

生産エリア

遠く、セピア光に染まった空の下で広く開かれた農場が見える。
目を疑うようなこの光景は数秒経ってから、作物の為の人工照明と
冷たい金属ブロック単位の栽培セクションだという事がわかった。
生産地域は想像以上に巨大で豊かであった。

栽培セクションは長い間、人の手が入ってないようだったが、各種作物は
良く育っていた。栽培セクションの一方には各種作物の苗や種が
品種別に羅列されている。
全ての作業は自動化されていた。自給自足が可能な完璧な施設なのだ。
鼻先に流れる血のニオイさえ無ければ
何時間でも鑑賞出来る素敵な光景であった事だろう。

あちこちの管理装置では「侵入者警告」という文字が繰り返し表示されていた。
生産区域をはいかいする変異生命体に対する警告だ。だが、更に気になる事がある。
「シェルター汚染レベル警告、浄化過程待機中」と言うメッセージが
「シェルター汚染レベル警告、浄化過程待機期間満了警告」に変わったのだ。

どのように浄化過程が進行されるかはわからない。しかし、確実な事は
浄化過程が始まる場合、シェルター全体が焼却されるということだ。

また他の考えも頭を掠めた。
ここの設備は完璧に保存されている。この施設なら外で飢えている
幾多の人々を救うことができる。それも人の指一つ動かさずに・・・
変異生命体を追い出すだけで良いのだ。この場所を見逃すわけにはいかない。

兎に角、何としてでも焼却過程を引き伸ばさなければならない。
其れが今緊急で必要な事だ。

生産区域のあちこちには変異生命体の襲撃に抵抗した生存者の跡が残っていた。
地面が掘ってあったり、バリケードがあったりしてあったが
結局、彼らの抵抗が無意味であった事を意味していた。

今にも崩れそうなバリケード周辺から
生存者が残したメッセージや遺書が見つかった。
内容は大体同じだ。現実に対する恨みと化け物に対する恐怖・・・そして大切な
人を守ろうとする意志・・・しかし、そういう意志さえも次第に消えていた。
彼らは自分が生き残れない事に気付いたのだ。

栽培セクションの終点が見えた。
其れまでは全く見られなかった大型のバリケードがそこには在った。

バリケードには変異生命体の死骸が山のように積もっていた。
そしてその向こうには抵抗のあげく死んだ人々の死体が散らばっている。

彼らが抵抗した人間の最後の場所であったのだ。

惨劇

惨劇

半分の成功

半分の成功

グロリア物語

グロリア物語

一話目

一話目

グロリアは生産施設統制室のコントロールルームに座っていた。
魅力的な金髪は縛られ、降りた髪の毛は汗にぬれた首にかかっていた。
エアコンが音を出して冷気を出していたが、噴出す熱気を冷やす事はなかった。
何処から間違ったのか・・・全てが最悪だったのか・・・
最初から最後まで決まっていた事だったのか・・・
ノートを書き、センターコンソールの操作を終えた後、
横に置かれていたピストルを手にとって立ち上がった。
会議室に向かったが、会議室の中は消化ガスが残っており、
視野が悪かった。

グロリアは頭を上げて天井を見ると、統制室の外に出た。
鉄製の階段を下りて生産地域に入ると彼女の目の前に農場が開かれた。
照明が消えている為暗い。だが怖くは無かった。
彼女を阻むものは何も無い。
彼女は農場を横切った。左右ではトウモロコシが背高く育っている。
生産システムが作動している為、何ヶ月かは生き残るだろう。
そして、此処で生き残る生命体になるだろう。そう思ってグロリアは歩いた。
彼女が22歳でセントラルシティ史上最年少のシステム管理者に
任命されてから2ヶ月目の日であった。

二話目

二話目

三話目

三話目

「C-8からD-12まで封鎖します。」
グロリアは神経質的にマイクを置いた。

既にウォータータンク三つ目の封鎖だ。植樹不足で全シェルターに残っていた
水源が半分を切ったのだ。アッパーイースト・サイド側では理由を明かさず、
唯これ以上の支援は出来ないと主張する。避難民収容問題で顔を赤くしている
状況の為、彼らの言葉も脅しでは無いだろう。資源不足のため
シェルターの人々がアッパーイースト・サイドへ来られないよう、
遮断を検討しているという情報があった。
このままなら十日も耐えられないだろう。汚染を阻んで浄化する方法を見つけなければ
ならない。リサイクルせず、消費ばかりしていれば、水は直ぐに無くなる。
浄水システムの再稼動ではなく他の方法が無いか調べたが、システムの復旧は相変わらず目途がつかなかった。

浄水システムの復旧はシェルターの生死に関わる問題だ。
リンもハルも作業を行っていた。シェルターで働ける労働者が全員浄水施設に
集まっているといっても過言では無いだろう。
システムの復旧は父が直接指揮をしており、グロリアは状況が分からなかった。

四話目

四話目

五話目

五話目

シェルターの記録

シェルターの記録

グロリアのノート

グロリアのノート

グロリアの残したノートがシェルターで起こった事件の全てでは無いだろう。
だが、過程を確認するには十分であった。彼女は入場してから発生した
全ての出来事をノートに残していた。

彼女は中央等性質を出てルーベルに会いに行く直前、このような事を書き残していた。

「お父さんは私の声を聞くと感激したように言葉を繰り返す。それからお客さんが
使用していた秘密の出入り口があるといって、これで助かると喜んだ」

ルーベルの顧客が使った出入り口なら確かに、アッパーイースト・サイドと接続している
かもしれない。勿論出入口が破壊されていたり、封鎖された可能性もあるが
そうだとしてもアッパーイースト・サイド周辺まではいけるだろう。
秘密の出入り口が残されていれば、時間と危険を大きく減らせるだろう。
試す価値は十分あった。

選択しなければならない。エミリオを信じるか、グロリアのノートを信じるか。
どちらにせよ危険を甘受するしかないのであればグロリアのノートに書かれた
秘密の出入り口が最優先だ。エミリオから聞いたことはその代案でも良いだろう。

どちらにせよ詳細な情報はかかれていない。
エミリオの計画はそれ程詳細に書かれておらず、アッパーイースト・サイドに
接続する道路と重要な建造物の幾つかを線で繋ぎ合わせた程度の物だ。
これはグロリアのノートも同じであった。

「父の言葉に答えるつもりは無かった。その代わり、会いに行くと言う話を
短く伝えた。そしてノートを広げ、書き始めた。此処で発生した全ての事を
整理するのだ。」

会いに行くという話だけ書かれているが、秘密の出入り口の位置は書かれていない。
何処に在るのか全く分からなかった。
考えが必要だ。手掛かりが途絶えたとき、最後の手掛かりを見つけた場所から
一つずつ考察する必要があることを聴いた事がある。
その話が事実になる事を望み、グロリアのノートを見つけた中央統制室に向かった。

中央統制室で秘密の出入り口を見つける為の手掛かりを探し始めた。浄化過程を
停止する為に使用したコンピューターには同じメッセージが繰り返し出力されている。
何の入力も反応しないコンピューターを使った所で何も得られない。
私はシェルターの状況を確認する為に使用した、コンソールを操作した。

[シェルター:映像データ no.11112185 記録完了。]

コンソールの画面には以前見たものとは違うメッセージが表示されている。
コンソールを操作するとデータが記録され、データディスクを回収する
準備ができたと言うメッセージが出力されていた。
間も無く、データディスクを回収するようにとのメッセージが出力された。

[データを回収するなら Y を、破棄するなら N を押してください。(Y/N)]

メッセージは「映像データ記録完了」となっている。それならシェルターでは
全てを映像で記録しているかもしれない。
私は[Y]を押した。すると、画面には謎のメッセージが表示され、
点滅を繰り返している。

[映像データディスク回収の為の準備が完了しました]

ディスク回収の準備が終わったと言うメッセージと、コンソールではデータ回収の為の
キーカードが出力されていた。キーカードには[1級データ保管室接近承認カード]と
書かれている。使用者情報については記載されていないが
管理者にだけ閲覧が許可された資料であると言う事を意味している。

残りは各区域のデータ保管室にあるディスクの記録を確認する事だけだ。

データ保管室

データ保管室

データディスク-1

データディスク-1

データディスク-2

データディスク-2

秘密出入口

秘密出入口

地上に向かって

地上に向かって

(2017-10-16現在:ジャーナルを確認しましたが、何も記載されておらず、空白のままです)

コメント

  • 明らかにジャーナルの内容とNPCの会話の内容が違う気がしてきたが・・・一応そのまま記載。 -- 2017-09-02 (土) 15:14:18