Sabaku's Report

Last-modified: 2012-05-11 (金) 08:35:55

当ページはプレイヤー"sabaku"氏の戦術研究について記載する。~


基本編 

MOW:ASは非常に良くできたゲームだと思う 史実を踏まえた各軍の特徴を巧く引き出しつつ、バランスが取れている 製作側のゲームに対する愛と努力を感じざるを得ない
プレイ人口の少なさがネックだが非常に長く良く楽しませてもらった 感謝しつつ自分でもよくもまあひとつのゲームに膨大な時間を費やしたなと反省するところであるがプレイと同時に戦術研究にも等しく時間をかけた それはより楽しむためというエゴでしかないのだがそれなりの成果はあったと思っている 多くの国内プレイヤー達にも世話になったことだし感謝と自身の利己を否定するために私の培った戦術を一つ一つ書き記しておこうと思う おそらくはこれから始める初心者にも中堅クラスにも参考になるはずだ できれば踏み台にしてさらに昇華してもらいたい

想定するべき戦場は生産力が各国対等であり制空権という概念がない1945年のヨーロッパである
前提としてフラッグ確保によるルール上の勝利ではなく、より上位の完全な勝利の形である敵野戦軍の撃滅を主眼とする
敵味方問わずMPは時間の経過とともに少しずつたまっていくが故にだす兵器によって最低限のコスト回収を目指さなければならない 今出ている敵戦車より弱い戦車をだしても餌食になるだけでは意味がないどころかまた新たに敵戦車の対抗策を準備している時間は敵に対抗策の対抗策を準備させる時間になるという負のスパイラルに陥るため必要ないものはだせない 戦車を例に用いたがあらゆる兵器にコスト回収という明確な目的が必要でありそこに愛着だの感情が入り込む余地はない
しかし少々コスト回収が巧くいってるからという程度では終盤の激突で簡単にひっくり返る SP10兵器や各国最強クラスの重戦車 重砲の集中運用など終盤に出てくる兵器は戦局をひっくり返す力があり、これを防ぐために同じだけの戦力を確保すると共に 「最終盤の衝突」 を僅かにでも有利になるように布石を打っておくべきである それがフラッグの確保による時間的余裕であり戦線を押し上げによる歩兵の視覚情報である そして全時間帯におけるコスト回収である

全時間帯において歩兵による戦線の押し上げ フラッグの確保は最終盤を有利に進めるために絶対にやっておかねばならない 

コスト回収は果たせなかったが戦線の押し上げには成功という結果を私は良しと考える 歩兵による視覚情報はコストには換算できない価値があり友軍すべての戦闘においてことを有利に運ぶことが可能になる どの程度のMPを犠牲にしてどれだけ前進すればペイするか という問題であるが敵味方の状況や時間帯によって流動するため、結局のところバランス感覚と言うしかない 単純に数字に表せない効果がある

  • 今現在うてる最善の策を考えること
    今の戦況において最も費用対効果の高い一手を追求
    それは自身の活躍だけではなく時には自己犠牲や被害担当を買って出ることもあり得る この判断をできるプレイヤーは非常に少ない
    戦線は押せるときは必ず押しておく 視覚情報も理由のひとつだが多少なら後退できるという余裕を作ることもまた大きな要素である 
    明確な理由があるなら待つ耐える後退するのも選択肢の一つとして十分ありえる フラッグ失陥も一時的なら視野に入る 常に冗長性と柔軟性を失わないことが強さのひとつになると私は考える

「最終盤の衝突」を説明するためにまず各国の特徴と各兵科の役割を簡単に説明したい

 

終盤における各軍の特徴 アサルトゾーン限定 Ver2.00.11

バランスは取れているもののマップや時間帯によって若干の有利不利は存在する
わかりやすく伝えるためにドイツを基準にかつ2v2を想定して説明する
なお日本軍の記述に関してはかつて民主主義と共産主義を同時に敵対して戦った同盟国であるため日独対決の想定は割愛する

ドイツ

とかくどのような状況や時間帯においても対応に困ることがない   
重戦車群を筆頭に破格の攻撃力を持つ兵器が多い(MG42 シュレックetc)がその代償としてなにかにつけ高コスト 必然的に少数精鋭であることを迫られる 他国のようにMG兵やAT兵を少し多めに呼び出して予備兵力として後方へ待機させておくような策をとり辛い
高コストの制約から初動におけるレギュラー分隊の僅かな遅延はワークショップやそれに準ずる小マップでは敵に先手を譲る結果を強いられるが短所をカバーするという切り口で考えれば遅延を解消するために初動は軽武装突撃分隊をだし
(Stg44はMGの代わりにはならないものの使いようによっては悪くない働きをしてくれる さらに小隊長の錬度3が拍車をかける 単品の歩兵ではだせない)
その低コストを2手目3手目に生かすことで主導権の奪回を考えていけばいい といった具合に長所を生かし、短所をカバーすることが初動に限らずすべての状況において容易である 私の価値観では全国家中 最優の軍隊であると考える  
 
場所を選ぶが稜線に隠れて射撃する4号F1を撃破する術を各国は軽車両突撃ぐらいしかもたない 75mm榴弾の炸裂は一撃の重さはないものの補給を繰り返し終盤までうち続ければそのハラスメント効果たるや絶大なものがある

ソ連

ドイツ戦車群最大の脅威である203mmB-4Mを軸に考える 1砲撃につき3発しか発射しないのが救いだがあらゆる兵器が餌食となるためにこれがでてくる30分以内に戦いの趨勢を決する必要がある 

203mmB-4Mの撃破は理解あるプレイヤーが敵の場合は非常に難しい
序盤に拮抗したら負け とにかく速攻 SPを出し惜しみせずに投入し全戦線において序盤から圧倒していかないと終盤で戦況をひっくり返される 最悪のパターンはIS2に対抗するためにヤークトパンター以上を用意 交戦したが逃す まごまごしているうちに203mmによってヤークトパンターが破壊され、IS2に対抗策無し IS2前進 こちらの兵器が順次破壊され復権するKV1 T34という筋書きである こうなっては再び戦局をひっくり返すことは難しくなるが逆に考えれば敵ソ連プレイヤーの何人かは30分間SP10ポイントを使えない 速攻の鍵はここにある 
なおSMG兵の持つPPshが非常に強力である 射程距離が半分のMGと考えてもいい MP40やトンプソン、ステンなどは射撃されつつも近づいて手榴弾を投げるだけの時間があるがPPshは近づいていく最中にやられる ワークショップのような狭い空間での戦いやCQBにおいて猛威を振るう

アメリカ

同時期に出てくるパーシングとカリオペの対策が必要 SP枠のSパーシングも警戒 こいつの存在が終盤の難易度を左右するのでM8や海兵隊がでていたか、常に把握しておくこと ヤークトパンター以上の車両は必ず必要になるが面制圧では最優秀のカリオペに分隊丸ごと焼き払われることもしばしば起こりえるのでパーシングを睨みつつ、早めに手を打つためにVティーガーの射程外射撃によるロケット部破壊を狙うこともひとつの手である SP枠のVティーガーを使うことによってMPを温存し、カリオペにやられた歩兵を補充しつつ終盤にでてくるSパーシングに対抗できる車両を準備することができる おそらくはヤークトパンターかエレファントになるがSパーシングによる独重駆逐戦車の攻略法は履帯を切って回り込み射角外から攻撃することなので履帯損傷には十分に注意すること 特に重榴弾の至近弾とAP弾の複合攻撃 重駆逐戦車を用意する場合アメリカには重榴弾砲をだす余裕があることが多い 
Sパーシングに対して固定砲塔で臨まざるを得ないことがドイツの隠れた弱点のひとつ それを補ってあまりあるほどの攻撃力はあるが巧みなプレイヤーはその弱点を最大限に突いてくる  
ちなみにM1ガーランドはなかなかに使える 数を集めて土嚢を構築させればそうそう近づけなくなるだろう
 

イギリス

終盤における特徴的な強さはないが、故に全時間帯において主導権争いに狂奔することになる 特筆すべきは中盤にチャーチルクロコダイルと3.7インチAAがセットででてくる場合が多いこと チャーチル系戦車の攻撃力の無さに油断してうっかり戦車を近づけさせると後方に控えたAAにやられる
チャーチル系列を相手にする場合は攻撃力を補うために必ず後方に何かが控えていることを警戒するべきである オフィサーをだして視界を確保してみるのも策のひとつ そして矛を先につぶすこと 盾であるチャーチル単独でできることは多くはない 
PIATの放物線を描く弾道を利用して手榴弾代わりに使うと無用な流血を抑えられる 加害半径は手榴弾より広い ロケットランチャーを地面で炸裂させて敵歩兵を排除することは全国家可能かつ非常に便利なのでぜひ多用して欲しい

各兵科の役割

歩兵

斥候偵察から戦線の構築押し上げ 対戦車戦闘と用途は多岐にわたる 基本にして最重要兵科

戦線の押し上げ方

序盤の立ち振る舞い

狙撃銃は拾って使え できれば最後まで管理しきること 小隊長に持たせれば錬度3の簡易狙撃兵ができあがる

その意義

敵を土嚢陣から後退させたらどうなるか なんの障害物のない裸の状態で戦うことを迫られるし作り直そうにも時間がかかる 隣の戦線にも悪影響が及ぶ 戦線の建て直しに時間がかかると言い換えてもいい この歩兵にとってもっとも脆弱な状態を強いることが戦線押し上げのひとつの成果である
どうせ歩兵は消耗せざるを得ない ならば自軍の陣ではなく敵陣で 前進しつつ倒れるべきだ そのほうが返って消耗を少なくすることは経験則ではあるが分かっている 
あらゆる兵器は見えてさえいれば対策はできる 諸元不明 所在不明という最悪の状態を避けるためにあわよくば戦線の押し上げを兼ねた強行偵察を繰り返すことで敵の見えない一撃を避けることができる 戦車の攻守は(砲撃戦においてすら)歩兵に頼る面も多くあると考えて欲しい そして勝てる対決を拾っていくことで犠牲を最小限にしていく

史実だと1942年後半から歩兵用携帯型対戦車火器が登場し、歩兵が装甲車両に対して一定の攻撃力を持つことをできた結果、随伴歩兵のない戦車は必ず歩兵に駆逐されてしまうことになった このゲームにおいても非常に有用な兵器であり パンチ力が非常に強くコスト回収においても有利に働くのでぜひ多用して隙があればいつでも肉薄できるように常に最前線に準備しておくと良い さらに後方に1組 予備に1組と3チームぐらいあってもいいかもしれない 必ず役に立つ 
ちなみに戦車に射程外射撃という言葉があるがロケットランチャーにもそれは在り得る 木の幹やわらの山を狙い適当に迎角をつけ外れた場合35mは直進するが後はゆるやかな放物線を描いて飛んでいく そこにたまたま敵戦車がいたりすると・・・・

砲兵

重戦車すら大破に追い込むが非常に低確率 歩兵やPAKに打ち込んでも効果は高いがどちらも位置バレに伴う反撃を招く
歩兵や戦車に打ち込むのは敵砲兵を駆逐してからと考えた方が無難 ゆえに榴弾砲の主な目標は榴弾砲となる
敵榴弾砲を察知及び駆逐するためには自分の歩兵に撃たせる事が砲撃戦に勝つための前提になる
ちなみに歩兵の視界が十分でない場合、攻撃中の敵砲兵が見えないことがある
そのような時はミニマップに表示される榴弾の弾道で大体の位置を把握し、なぜか見える空薬莢や発射時及び排莢時に出る音で標定、反撃する
榴弾砲は6発すべて撃ち終わらないと移動ができないので牽引車両による待避をさせないために敵が射撃中に着弾させることが望ましい
そのためには敵の砲撃が始まってから移動展開するのでは間に合わないので設置、大体の方角、射程を最大にしておくことなどは事前に済ませておく必要がある
ここまでできたらあとは確率の問題になる (確率以外の問題をいかに排除するかは兵科を問わず普遍の難問でもある)
なお上記の火点標定は当然ながら敵プレイヤーにも可能なので砲撃したら位置は確実にバレていると考えること、故に射撃毎の陣地転換は必須になる そして最も脆弱なときは射撃中であると考えて欲しい
そして安易に目標変更をしないこと 下手な妥協は敵の反撃を許すことになる

軽車両 (T60 M19 クルセイダーAAは除外)

装甲の薄さゆえに中戦車あたりに行きがけの駄賃のような感覚でつぶされてしまうことが多いので多用は禁物 なのだが20mmやPAKを潰した直後に新たに呼び出して前線に到達するまでに対戦車火器の空白期間が生まれる その時に飛び込んで固定砲塔のTDや重戦車などに取り付くことができれば撃破も可能 しかしそんな大それた感性を持つことができたのなら正攻法で戦うことを薦める 奇襲性が高くないと無駄に終わる 投機性も高いが好んで飛び込ませてくるプレイヤーが多いためほぼ対策をとられていることが多い やはり多用は禁物

対空車両 (T60 M19 クルセイダーAA)

まさしくコスト回収は果たせぬものの戦線を押し上げるための車両である この車両たちが持つ瞬間火力は数多の敵歩兵を血祭りに上げ、うかつな反撃は機関砲によって無力化し戦線に大穴を開けることになる 敵として現れた場合はいち早く撃破しないと位置がばれた歩兵から消えていくことになる 

戦車

戦車の任務は敵戦車を撃破すること 歩兵による敵戦車早期発見は対戦車戦闘を有利にする 戦線の押し上げや維持もできないことはないが戦車の位置の露呈はするべきではないし、前線での擱座は喪失と同義と考えて欲しい ATGやフレアガン 最悪の場合、歩兵での肉薄攻撃によって戦車を出すまでもなく如何ようにも対処できるため簡単に餌食になってしまうからだ そしてそれは敵のMPに余裕を与える結果になる フレアガンの射程は60m 高価な車両ほどこの距離まで敵歩兵を近づけさせないように歩兵で護衛し、巧く立ち回ることを基本として欲しい
対戦車戦闘の基本は距離感である 推奨交戦距離は彼我の攻撃力と防御力の兼ね合いで決まる 攻撃力はより遠くから撃破できて防御力はより近づくことができる
格下の戦車といえども近づかれると互いに撃破しうるという対等の存在になってしまうため 価値を活かすには距離をとって戦うこと
たとえば自ティーガーVS敵IS2の場合、160m以内まで近づくと撃破される恐れがあるため以遠から射程外射撃による履帯損傷によっての時間稼ぎがひとつの戦闘方法だが130m以内まで近づければ砲塔を抜くことができるのでワンチャンスにかけて130m以内まで近づくという手もある それ以外の距離130m以上160m以下のでの交戦は望みのない無駄な交戦距離であると理論的に考えることができる
 
のはずなのだがソ連戦車には史実と同じくショットトラップという構造欠陥があったりそもそもAP弾の貫通力には多少のランダム要素がある(口径が大きくなるごとにランダムの幅が広がる気がする)戦車の姿勢によって装甲の傾斜が活かせなかったりと戦車戦闘には単純に理論化できない面も多分にあることを一言言及しておく
射撃は完全な確率であるため遠ければ遠いほど当たり難くなる 150m以上から当たり難さが顕在化してくる よって1発目は観測射と考えたほうがいい 
敵が彼我戦力を把握 距離をつめて反撃か一旦後退か 判断力とそのスピードを計る 命中が期待できるのは3発目からと割り切ったほうが無難
とするならば当然反撃を受けることも考えておかねばならないのでナースホルンや米英TD群のような防御力の低い車両は投機性が高くなることを理解して欲しい
ちなみにティーガーなど放棄するには惜しい戦車などは後方に下がらせ自分でロケットランチャーを打ち込んで強引にCPを減らした後修理して再利用する手もあるが運が悪いと大破してしまうためこれもまた博打の要素が強い

諸兵科連合

諸兵科連合編で説明予定かつ未定
一つ一つの兵科の役割については上記のとおりだが各兵科連携しての攻勢だと少し事情が変わってくる
巧いプレイヤーほど三位一体 四位一体となって仕掛けてくる さらに長所を生かし短所をカバーするような各軍の特徴に基づいた戦い方をする
友軍の援護による事前砲撃のあと前進してくる歩兵 MG兵を的確に潰してくる狙撃兵 後方に控えた重戦車 さらにカウンターアーティラリーを虎視眈々と狙う重砲 そして存在がチラつくSP10兵器
とこの状況に対抗するには単一兵科では不可能 諸兵科連合して反撃する必要がある
このゲームにおいて私の最も追求したい部分がこの諸兵科連合同士の激突における勝利である 明確に解説できるならしてみたいが感性的な面が強すぎて説明が難しい 上記の「最終盤の衝突」とは戦力が最大限に高まった諸兵科連合部隊の激突のこととも言える(このレベルで戦うには敵味方ともに理解があり、かつ拮抗している必要がある そしてここなんだ このゲームの最も熱い部分は!)
一応試みてはいるが経験と感覚の文章化は至難の業 動画などで視覚的に説明をしたほうが早いかもしれない 模索中

  

かつて先人が犯したミスをしないこと

情報軽視

とにかく見えてさえいればなんとかなる 歩兵はステルス性を活かしつつ一歩でも前へ 射撃禁止も選択肢の一つ 

無謀な突撃死守

硬直化するのは実社会の組織だけで十分だ ゲームにおいては自分の理想を追求すること わがままや自分勝手ではなくかといって仲の良いだけのチームプレーでもない 真の意味で感情を度外視した思考方法があるはず

戦力の逐次投入

MPを兵力に置き換えて考えて欲しい 格下の戦車で格上の戦車に挑めば当然返り討ちにあう 確実にしとめられるように十分にコストを投入すること さらに後々のことを考えるとコストを節約するため最低限の兵器で打ち勝っていくことが望ましいが一歩間違えると戦力の逐次投入に繋がる 打ち負けたり破壊されることが最大の損失になるので勝利のための節約が敗北の要因になるという本末転倒をさけるためによほどの技術に差がない限りは考えるべきではない このバランス感覚は非常に難しい 未だにプレイ中に悩むテーマのひとつ

過剰な兵科信奉

完全無欠の兵器など存在しない 柔軟性を欠きパターン化すると敵に手の内を読まれる羽目になる

最後に

自身の持つ考えや信条、兵科などは下手に否定しないほうがいい 足りないものは付け足すか補えばいいのさ
長々と理屈っぽいことを述べたが最後に必要なのは気合だ気合!
現場指揮官がビビッてちゃどんな理論や技術も役に立たない この一撃でゲームを制するっていう気合と度胸が最大の戦術
結局のところ理を以って無理に攻めるような戦い方が至高 だが体現するのは至難といったところか