やまいだれ考察(スレその112より)

Last-modified: 2010-06-09 (水) 19:26:00

これまでにこれほど深い考察が試みられた作品があっただろうか。


163 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 00:13:27 ID:klPXXrh20
(略)
【作品集】50
【タイトル】やまいだれ  【書いた人】奈利氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1204850349&log=50
【あらすじ】
アリスと魔理沙と霊夢はいつも三人だった。やがてアリスと魔理沙の距離が縮まり、三角のバランスが崩れ始める。
その憂さ晴らしに霊夢は雛を虐殺せしめんとし、逆に雛の厄に取り付かれ、博麗の巫女は堕ちてゆく。
【感想・考察】
いっつも意図的にこの感想考察欄は鬱物に慣れ切って退屈になった人間のような文面になるようにしているのだが
これはその通りとはいかない。少し放心してしまった。伊達に今も語り継がれる名作というわけではないようだ。
陰鬱とした三角関係、霊夢の飢えへの苦しみ(マイ○ス○ラ○バー氏のアレを思い出す精度の描写で)
最終的に厄は二人を結んだわけであるが
この作品には霊夢と雛への歪んだ愛が纏めて叩きつけられおぞましいオーラを放っている印象がある。
ただ、この際他の大妖怪が出てこないなんて言うのは二人のセカイには野暮としても
アリスと魔理沙に復讐を考えないのが不自然であると思った。
名もなき厄神一つになる前に幻想郷最強と厄神様が二人を華麗に惨殺して
それから晴れやかに未来に二人で歩き出す、そんなエンディングを見たかったと言える。
まぁ、それをしないからこそハッピーエンドであると感じた人もいると思うし、色々難しいところ。
ただ一つ言えるのは、精神病等の治療には「病識」という、要するに自分が病気であるという気づきが必要で
この結末もまた霊夢が本来の気づきと別の気づきを得た、と、ただそれだけのハッピーエンドであるということ。
これを読んだら鬱物全てに惚れ込んでしまいそうで、親しい友人にはオススメすることができなさそうだ。
というか、注意書き書かなくてもいいかもねって感想がついてたのは驚き。
SS自体のパワーによってはそこまで許されるのか、妬ましい妬ましい……
[HE力]★★★★★(彼女たちは幸せでした)
[鬱力]★★★★★(途中までは読みたくないと思ったレベル)
[グロ]☆☆☆☆☆(飢えた霊夢の描写に注意)
【総合評価】★★★★★(背徳系鬱の頂点、このレビューを追いかけるのならまずはここから)



165 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 00:19:37 ID:6yGpL8vY0
レビュー乙です!
「やまいだれ」は偶然出会った作品だったけど、
確かに、ここから鬱もいいな、と思えるようになった気がする。
不思議な魅力。


166 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 00:25:24 ID:G03.dVyYO
レビュー乙。
ついにきたか『やまいだれ』
これはもうホントどうしようもないくらいにハッピーエンドだよなあ。


170 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 00:39:36 ID:vn1hD3K60
『やまいだれ』ってすごいすごいって言われてるけど思い出してみると穴だらけで、
納得いかないところやおかしいところ、説明が足りないのかいまいち理解できないところばっかりでてくる

当時読み終わった時にとにかく愕然とした
とにかく「すごい」ということしか言えないような作品ってたまにあるよな
ものすごいエネルギーがあるようなの
一心不乱に読んで読み終わった後に「いったいなんなんだこれは」と叫びたくなるようなやつ


180 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 01:33:52 ID:U/EC57d.0
(略)
やまいだれ読んできた。これ前に途中まで読んで投げたんだよね。この機会に最後まで読んだ。
正直言って俺はこの話本気で嫌い。作品としての良し悪しじゃなくて、個人的に物凄く嫌な話だった。
鬱やダークが嫌いなわけじゃないけど、これだけは許容できない。
レミリアと咲夜を除き、登場するキャラ全ての行動がどこも共感できない。要は俺の中でこの結末に至る必然性が全く感じられなかった。
コメにもあるけど、他の妖怪は何してるのか?幻想郷の維持が危うい状況で、管理者は何故手を出さない?
そんなのを考えるのは、この作品においては野暮なのかもしれないが、俺には耐えられなかった。

しかし、これ以上ないパワーを持った作品だと思った。
もうちょい頭を整理してコメしてきますかね。


181 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 01:40:55 ID:jSRcRIX.0
上にもある通り、やまいだれはハッピーエンドだろうと俺は思うが。
ただ、暗い雰囲気で鬱描写されてはいるけれど。

さすがの奈利氏ブランド


182 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 01:51:45 ID:U/EC57d.0
>>181
俺も二人にとってはハッピーエンドだとは思うけど。
ハッピーエンドか否かと鬱でダークかどうかって直接は関係ないと思うし。
ただ登場人物がハッピーエンドだからと言って読者が「ああ良かった良かった」と思うかどうかは別だと思うのね。
とりあえず好きとか嫌いとか関係なく、すごい作品だとは強く思った。


184 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 02:04:50 ID:jSRcRIX.0
>>182
確かに凄いな、あの作品。初めて読んだ時はボディーブロー喰らってる気になった
でも読ませられちまったなあ。

幸せになれて良かったねと思って本当に感動してしまったよ。


185 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 02:17:35 ID:zS6GR24sO
よし、やまいだれ読み終わった
ううん、黒い感情の表現とかは 勉強になったけど・・・ってのが読み終わって最初に得た感想かなあ
鬱いのは嫌いじゃないしむしろ好きなんだけど・・・>>180と同じで、キャラの行動に違和感が多いのと、最初以降落差が無くてくどいというかなんというかがどうにも
一般作品と比べるものじゃないとは思うけど、初めて旧され竜4、5巻読んだときのような、染み込んでくるやるせなさとか胸を締め付けられるっていうような感覚は味わえなかった
あと1番理解できないのは霊夢はなんでレミリア達と行かなかったのかっていう
孤独に堪えられなくて絶望を感じるような状況なら悪魔の手でも喜んで取るんじゃないかなあ、とか
シリアスで引き込まれたい場面で数多く誤字があったのも残念

何だろう、鬱と思って読んだのがそもそも間違っていたような気もする
間違いなくあれはハッピーエンドで、俺の望んだ鬱じゃなかった
以上、贅沢かつ自分勝手な、あくまで一人の読者の感想でした


186 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 02:36:00 ID:U/EC57d.0
>>185
>染み込んでくるやるせなさとか胸を締め付けられるっていうような感覚は味わえなかった
ああ、それ、それだ!自分で感想書いてて何か言いたいことが足りないと思っていたんだが、そういうことだ。
鬱読む快感?みたいなのってそこにある気がするんだよね。


188 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 02:51:03 ID:jSRcRIX.0
鬱読む快感か。取り敢えずおまいらがヘンタイなのは理解した。一応誉め言葉的な意味で
(略)


191 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 03:05:54 ID:vn1hD3K60
>染み込んでくるやるせなさとか胸を締め付けられるっていうような感覚は味わえなかった
これは霊夢が不幸なのが「霊夢の責任」だからじゃないだろうか
霊夢は魔理沙とアリスが自分を置いて成長したことには気づいていたはずなのに、
二人に対してやつあたりの様な感情を持った、そしてそれを雛を殺そうとした時に意識した
大人になるということはしがらみを感じて、周りのことを意識して、先の事を考えて人として「複雑になる」ことを指しているはず
それでレミリアに誘われた時には「複雑な大人」なせいでレミリアと自分の違いを意識して助けを頼めず、
「単純な子供」なせいで自分を隠して誘いを受ける事ができなかった
まさしく大人と子供の間で宙ぶらりんになってしまっている
にっちもいかなくなっても不幸にしようとする霊夢の中の厄が諦める事も開き直ることもさせない
子供から大人になれずにさんざん苦しんでるくせに、最後の最後で大人になるチャンスを棒に振って子供になって雛といっしょに行くし
後は死ぬまで雛の子分だわ
なにか自分の中で変化するたびに雛に子供に戻してもらって生きていくしかない
万が一雛を失ったらもう一度同じ事を繰り返して死んでいくに違いない

避ける事の出来ない運命も悲劇もない
霊夢に対して「ざまあみろ」と言ってやりたいね


194 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 03:24:06 ID:eR5VO7lw0
>>191
俺とは全然違う見解だな
俺的にはあれ全部雛が霊夢を自分と同じ存在に堕とす為にやった仕込みにしか見えん
そして憶測だが霊夢視点では語られていない雛自身が本当の厄神として堕ちていく過程があった様に思う
霊夢と雛は幻想郷の存続の為とか人の厄を引き受ける為とか元々存在理由が他に依存した者だし
そういうポジションからの脱却の手段の一つが二人揃っての悪堕ちだったんだろうと


195 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 03:28:30 ID:zS6GR24sO
>>186
あんたとはうまい酒が飲める気がする

>>191
あー、確かにそうかも
救いがなくて、どうしようもなく悲しくて、だけどそれこそ本当にどうしようもない物語が欲しいんだ

ただ、レミリアなんかに着いていかないのは、やっぱり俺の中で納得いかないんだ
「大人になる」って言葉でごまかされてれというか
絶望の中にいる人間はそんなまだるっこしい事は考えられず、ただただ希望に手を伸ばすものだと思うんだ
なんかうまく言えないけど、霊夢に感情移入できない、考えに共感できないのよ
もしかしたら俺が変なだけかもしれない。俺以外の読者さんが皆この霊夢の心を理解出来てても驚かない
でも少なくとも俺はどうしてもその時の霊夢の感情をすんなりと受け入れられなかった


196 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 03:37:49 ID:eR5VO7lw0
>>195
あそこでレミリアに付いていったりしないのはやっぱ最後の霊夢と雛の会話に現れてる部分じゃないのかな
霊夢は最後憑き物が落ちた後に「自分が幸せになる為に誰かを見捨てるのは良くない」と言ってる
これは物語当初の霊夢からは考えられない言葉だけどこれこそがレミリアとかに付いて行かなかった本当の理由だろうと
心の何処かで「自分は悪い事をしたんだ」っていう意識がなければ
あんな辛くて惨めな生活を続けてまで博麗の巫女の役目を投げ出さなかった事事態がそもそも不自然だし
その最後の人間としての一線(霊夢に自覚は無かったが)が切れた瞬間が正に雛と手と手を取るあのエンディングだろうと


197 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 04:17:16 ID:zS6GR24sO
>>196
あー、なるほど罪悪感か。それなら少し納得できた
ただそれでもしこりが残ったんでなんでかと考えたら、その原因が軽い気がする
そんな人間の尊厳を捨てて、優しい手を振り払ってずっと絶望の中に身を置くような理由が、雛を殺そうとしたというだけなのはなんかしっくり来ない
殺そうとしたその激情が危ういと思ったのなら、その激情の元となった孤独に対する恐怖は、そんな理性でどうにかなってしまう程度のものなのかなと思えてしまう
まして相手があんたのためなら殺しもやってやるとまで言うほど霊夢を想ってたからなおさら
それこそ、手に入らない苦しみから雛を殺そうとしてしまうほどに欲していたものじゃないの?って

あー、でもこれは少し突っ掛かりすぎか
確かに罪悪感からと言われれば納得できたのも確かだし
ただ欲を言えばもうちょっと罪悪感の部分分かりやすくしてほしかったかな
もっかい読み返してみたけど、やっぱりあの場面でそれと気付くのは難しいと思うし、そのせいで実際俺はその場面から感情移入出来なかった
俺の読解力が無いだけかもしれないけど、よく罪悪感って気付けたね。貴方のこの作品への愛がよくわかる


198 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 04:37:21 ID:U/EC57d.0
>>195
俺もそう思っていたところだ。

うーん、レミリアの手を取らなかったのは、レミリアと咲夜の関係が眩しすぎて近づけなかったんじゃないかと思うんだ。
罪悪感と言うのもある気はする。
>幼い少女のままの無邪気な心。/霊夢が昨日までは持っていた、とても貴重な、何物にも代え難い輝けるもの。
これをレミリアが持っているが、
>霊夢がもう二度と自分は無邪気に誰かと戯れることなど無いだろうと痛みにも似た感慨を抱く
というころから、霊夢にとっては、レミリア達は希望には見えなかった。もう自分はこうはなれないんだな、と感じたにすぎない。
若しくは、魔理沙とアリスのように二人の間にだけ存在する空気を感じさせるこの主従には、付いて行っても結局また自分が取り残されるというのを感じているとか。主従に魔理沙とアリスを重ねて、意地でもこういう二人には力を借りないと無意識に思ってしまっているということも考えられるような。
これ以上なく厄、つまり負の感情が溜まった状態だから、ひねくれてしまっているとも取れる。この場合そもそも希望を求めようとしていない。

この作品の考察だけで小論文書けそうだ。


199 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 04:52:18 ID:U/EC57d.0
というか、
>目の前にいるレミリアと咲夜にこの場で抱いてくれとでも頼めば、二人は躊躇無く霊夢の肉体を存分に味わうはずだ。
>しかし、それでも霊夢が我慢して性格に合わぬ振る舞いをしたとしても、自己を変えなければ結局のところ、壁を築いたままの霊夢だけが言い様のない孤独を余計に味合わされる破目になる。
ここに直接表されているような気がしてきた。
自分が変えられないのは分かっているから、このまま手を取ったところで、また「三人でいるのに孤独」ということになるんじゃないかと。


200 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 05:06:48 ID:zS6GR24sO
>>198
やまいだれの貴方のコメント見たら言いたいことの大半が書いてあったのには驚いた
自分がPCと携帯使い分けてるんじゃないかと思ってきた

>>199
んー、その「自分が変えられない」ってのがいまいちしっくりこない
今まで殺しまでしなかった霊夢にそれをさせかねない変化をもたらした激情なら、その元となった孤独に対する絶望も自分を変えようと思うほどのものじゃないかなあとか
誰かを殺す大罪一歩手前まではいけても、自分は変えられないのかなって
貴方のコメントにもあったけど、自分から不幸になりにいってる気がするんだよね
霊夢の心情がストーリー用というか・・・自分でも何でこんなに感情移入できないのか不思議だ
やっぱり俺が変なだけな気がしてきたわ


203 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 05:42:06 ID:U/EC57d.0
>>200
そしたら俺も変だw

「自分が変えられない」云々は余計だったかも知れん。
5.成長で
>過去の無邪気なままの自分だったら、あの夜を越える前だったら、何の気兼ねもせず紅魔館に腰を落ち着け安楽に生活していただろう。
>だが、実際のところ霊夢は差し伸べられた手を作り笑いで跳ね除けた。
とある。
「無邪気なままの自分」というのは、魔理沙とアリスが二人にしか分からないやりとりをしているのを見て、
3.孵化で
>わかってたまるものか。
>何があっても冷静な自分を演じ、他人から隔絶された孤独を優位と思ってふるまい、見捨てられてしまった人間の思いなんて。
>深く付き合おうともしないせいで、決定的な何かを見落として、本当に一人になってしまった苦しみなんて。
>手を取り合う二人への羨望に、反吐を吐きながら殺意さえ持ってしまった、どうしようも無い醜さなんて。
と書かれているようなことを分かる前のこと。そしてこういう悩みについて、
5.成長で
>ただ問題は、少女だった自分の悩みを子供の甘えと笑い飛ばせるようになってしまった今の霊夢には、過去に戻ったとしても世界そのものが薄っぺらにしか見えず、同じように楽しめないことだった。
と言っているわけだから、無邪気な頃には輝いて見えたであろう、レミリアと咲夜に混ざること(≒無邪気だった過去に戻ること)が、今の霊夢には手に入れたいものに思えないわけだ。さらに、雛を殺そうと思うに至らしめた当時の絶望も、夜を越えた段階で自嘲してしまうようなくだらないものになってしまったと。だからそれ以上自分を変える原動力にならない。残された道は、自分の人生を諦観して、厄によって引き起こされるどうしようもない苦痛と憎しみに耐えながらただ生きるのみ。

ただし注意すべきは、この時点の霊夢は、意図的かどうか定かではないが雛から厄の塊を植え付けられているということ。その間の霊夢の思考が、本来の霊夢の思考と同じと思ってはいけない。だからラストの厄が取れた霊夢と言動が大きく食い違うんでしょうな。

(略)


205 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 06:39:33 ID:U/EC57d.0
>>180で、色々納得できないところがあって本気で嫌いという旨の発言をしたんだが、大学入試の現代文を解くかのように読解を試みたら、細かいところを見ていくと実は全てに整合性があるような気がしてきた。
結びつけて考えようとしてしまっているのかもしれないが、章を跨いで巧妙に伏線が張られているように思えてきた。

色々考察を重ねて、途中で紫たちが出てこないことには(勝手に理由をこじつけて)納得した。きっと、この物語の後に裁きを受けるんだろうな。
各章にタイトルが付いているけれど、「成体」っていうのは、多分具現化された蛇のことではないんだ。
ハッピーエンドというのも、単純に歪んだ愛情とかそういう風にとらえてはいけないと思う。

あとレビューにあった魔理沙とアリスへの復讐だが、これは起こり得ないように感じた。
・厄を抱えた状態の霊夢→少女の頃の悩みを笑い飛ばしているわけだから、この段階では多分魔理沙もアリスもどうでもよくなりつつある。霊夢自身の生き方が誤っていたことが原因であって、二人が悪いとは思っていないような。
・6.成体での霊夢→自分のために人を傷つけることにためらいを感じているし、雛というパートナーを得た以上、二人に未練もなければ怨む要素もないのでは。上記の通り、そもそも自分が誤ったから二人に置いて行かれたと自覚している。
・雛→霊夢と近づけたことに感謝こそすれ、復讐はしないだろう。復讐する要素が見当たらない。

ま、深く考えすぎかもしれんけどね。勝手に解釈してないで作者さん本人に聞いた方が遥かに速いw


220 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 10:51:48 ID:vn1hD3K60
上の「やまいだれ」についての解釈でいろいろ疑問点や自分の解釈を言いたいけれどうまく言葉がまとまらない


222 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 13:39:07 ID:zS6GR24sO
>>203
殺しさえしかねない激情や絶望が一夜でくだらないものになってしまうのがなんか違和感感じてしまうんだよなあ
そんな薄っぺらいものなのかなって
あと貴方の考察でなんでやるせなさとかを感じられないか少しわかった気がする
「自分の人生を諦観して~苦痛と憎しみに耐えながらただ生きるのみ」
要するに自分から進んで底辺に居続けたからだ。希望を求めようとしないで、そうあり続ける必要がない(レミリア達を頼る事も出来た)のに自ら苦しみ続ける
上で書いたようにどうしようもない訳じゃなく、救いがないわけでもない
あと苦しみを受け入れちゃってるから、絶望から希望に手を伸ばして、でもやっぱりどうしようもなくって絶望に再びたたき落とされるっていう「どうしようもなさ」「やるせなさ」が無いんだよな
俺が共感できないのもそのあたりにある気がする
殺人さえしかねなかった孤独や激情が一夜でどうでもよくなる。希望に手を伸ばさず自ら最底辺へ
言葉の上の理屈は通っていたとしても、何か人間みを感じない
だからストーリーからキャラが作られてる感じがするのかなあ


225 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 14:46:44 ID:U/EC57d.0
>>222
薄っぺらいというか、その激情が、霊夢の物であって霊夢の物でないからじゃないかな。
3.孵化で文字通り激情≒胸にある厄が孵化したわけだけど、これは雛に煽られて急激に成長させられたように見える。
雛の言動の考察が非常に難しいから何とも言えんのだけど…
霊夢が初めて自分の自由意思で選択した結果がこれだと言っているが、果たして本当に霊夢の意思と言えるのか。
6.成体での霊夢の言葉から分かるように、3.孵化での霊夢は一貫して霊夢本来の思考からは大きく外れている。それは何故かと言えば、胸に巣食う怪物が目を覚まして不幸に誘導しているから。
だから、一応怪物が目を閉じて落ち着いている4.幼生で夜のことを振り返ると、雛を蔑む思考は消えていないものの、自分の行動はなんて滑稽なんだと自嘲してしまう。
「何やってんだよ私」ってところでしょうか。ただし厄は消えていないから、“あいつ”と呼んでいることから分かるように雛のことはまだ消えるべき妖怪と思っているし、罪悪感は覚えていない。
霊夢は完全に自分の意思で選択したと思っているから、その自分の自由意思に呆れかえっていて、もはや自棄になっているのでは。
その延長で、その激情の元となった悩みも、くだらない子供の悩みと呆れて笑い飛ばす。というか笑うしかない。
よって悩みの元となっている少女時代も薄っぺらなものと見做すことになる。そうしなければ精神的に辛すぎるから。
そうするとレミリア達の手なんか取れないですな。「何を今さら」ってことになってしまうわけですよ。
まあ厄に誘導されて不幸になる選択をし続けることも霊夢の意思による結果と考えるならば、間違いなく自分から進んで不幸に身を置いていることになる。
霊夢が主観の物語だから、そうとしか語られず、結果遣る瀬無い悲劇にはならない。
そんな感じでしょうか。

なんつーか考察を進める毎にこの作品の見方が変わってるから、前の発言と色々矛盾が生じてる。一番新しいのが俺の考察と考えてくれ。


236 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 15:30:09 ID:zS6GR24sO
>>225
あー、雛の厄にあおられてか、それならまだ・・・?
でも激情はそうであっても、孤独に対する恐怖は霊夢のものだと思うんだけどなあ
自由意思に呆れ返って自棄になって、あの生活に?
やっぱり何か釈然としないんだよなあ・・・夜中に一人が辛くて泣いてまでいるし
「何をいまさら」で我慢できてしまう程度の絶望だったのかな、って
こう言っては元も子もないけど、理屈じゃふーん、なるほどねぇと思えなくはないんだ
でもそれだけで、共感はできない。俺にはあくまでそれは理屈で、血の通った感情にどうしても思えない
理屈じゃない、って言っちゃダメなんだろうけど、そんな感じなんだ

あと、厄に誘導されて不幸になり続けるならその描写をしてほしかったかなあ
言葉を思い出してレミリア達を頼るも厄のせいで、みたいな
それなら「どうしようもない」感はまだ出てたし、希望を求める(俺が勝手に言ってるだけかもしれないけれど)人間らしさも見れた気がするんだ


237 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 15:41:23 ID:U/EC57d.0
>>236
>>225は完全に俺の推測だから、本当は別に厄のせいじゃないかもしれない
あと孤独に対する強い恐怖は持っているけど、その孤独を招いたのは自分のせいだとも認めているんだよねえ
俺もすっきり全部の言動を解決するような考察ができてない
ぶっちゃけ感情移入できないし、そうは言っても理解できないというのは俺も同じ


238 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 15:46:18 ID:vn1hD3K60
『やまいだれ』の霊夢は徹頭徹尾自業自得なんだ
雛にあったときはすべてを雛のしわざにしてしまおうとしてたはず
ただ魔理沙やアリスに置いていかれていたことに気付いたことで徐々に大人になっていた霊夢は、
それがただ自分への苛立ちを他人にぶつけるやつあたりでしかないことを自覚した

そういうことがあったにもかかわらず
霊夢は変化を嫌ったままだった
中途半端に大人になった霊夢には劇場や絶望が自分の責任だと気付いてしまった以上は誰かのせいにすることはできず、
半分は子供なせいでそれを認めることで変化を受け入れる事は出来ない
楽しくて、なにも考えずに、与えられるものをこなしていくだけでよかった昔を求める
レミリアといると自分の変化を感じずにはいられないから一緒にいるわけにはいかない
大人になりきれずに子供の頃の楽しかったものへの未練が捨てられず変化できないから大人に劣等感を持ち、
子供のままでいることができずに変化してしまったから子供への劣等感を持つ
そして大人の汚さを嫌悪して、子供の無知さをあざ笑う

ただ6.変態で立場と生活の変化から強引にだけど霊夢は変わっていっていた気がする
まだ変化を嫌ってすこしでも変わらないようにしようとしていたけれど限度はある
ただ雛を見て、大人になりかけていたのに子供への羨望をもう一度持ってしまった

「蛇」がなにかがわからない
もしかしたら初潮を指していて、それが
>赤ん坊の泣き声に似た、発情した猫の金切り声で、霊夢は痛みに泣き叫ぶ。
>だが、それ以上に耐えられなかったのは、霊夢の体の中に何か別の生物が這い入ってくる汚穢感からだった
という表現につながったんじゃないかと思ったんだが


239 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 16:01:15 ID:U/EC57d.0
>>238
ごめん、初潮はないわ。そういうものじゃないと思う。もし作者が実際にそれを想定しているのなら嫌悪感を覚える。
胸の中の怪物は“妬み”と作中で述べられているし、俺はそれを含めて「厄」と思っている。だから雛が吸い寄せられてきたんじゃないかな。

他はなるほど、と思いました。
しかし雛が抱えていた厄が入り込んだのは事実。そのことについて触れられてないですね。
>楽しくて、なにも考えずに、与えられるものをこなしていくだけでよかった昔を求める
求めているかなあ?諦めているようにしか見えないんだけど。
大人に対しても子供に対してもコンプレックスはある気がしますね。俺の中でその視点はあまり確立してなかった。

こう考えると、
vn1hD3K60氏は「大人と子供」→霊夢の自業自得
zS6GR24sO氏は「希望と絶望」→霊夢が自ら不幸に
俺は「厄」→厄に操られている面もある
を中心に考えておりますな。多分お互い全部納得するのは無理。
だけど色んな見方を見ると面白い。


240 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 16:11:26 ID:eR5VO7lw0
>>238
変化を嫌ったのではなく「変化してはいけない」「このままで居なければならない」という考えがあったんではないかな
それが霊夢の理性的な部分
立場や役割に縛られて自己本位に傾倒していくしかなくそれが心底では悪いことだと分かっているのに
変われない、博麗の巫女の役目を投げ出せないからそのままで居るしかない
これが霊夢と魔理沙やアリスの相違点で霊夢がジレンマを内に抱えたまま解消できない原因
「博麗霊夢の命は幻想郷の結界維持の為にある」という一文もある通り
霊夢は博麗の巫女の損失が幻想郷にとっての損失になる事を良く理解していて
また雛が後に蛇と対峙した時に語っているとおり霊夢は自分の肉体を結界にして
幻想郷そのものに危険を及ぼすであろう自分の厄を最後まで封じ込めていたことから
本心では幻想郷に災厄を撒き散らすような事があってはならない
その為に孤独にむせび泣いても何度と無く自殺したいと思っていても必死で耐えていた

自分の中で生まれた厄に食いつぶされた事とそうなるまでの過程に
勿論霊夢の非はありまくりだけど博麗の巫女という立場上それは回避できなかったものなんじゃないのかな
そんな風に言わば人間の最も汚い所まで落ちてそれでも幻想郷の為に死ねないし厄を撒き散らすわけにもいかない
そういうどうしようもない状態に陥っていく決定打があの夜の雛との接触で
それが結果的には人間的な負の感情を蛇とともに全て捨て去った上での「本当の悪落ち」になったんではないかと

まあ一言で纏めるとどんなに非人間的でえげつなくても物語の最後の最後までは
霊夢は幻想郷とそこに居る人妖たちの為に博麗の巫女を辞めず、厄を吐き出さず溜め込み続けた人間だった
しかし最後に……というお話なんではないかとわたくしは愚考いたしました

なげえ……俺は間違いなくアホ


241 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 16:37:08 ID:vn1hD3K60
>>239-240
お二人の意見を見ると自分がいかに「霊夢が悪い」ということに固執してるかがよくわかる……
霊夢好きなんですけどねぇ
初潮に関してはうがちすぎた見かたでした
大人と子供という見方に強引に持って行きすぎていました、忘れてください
自分の考えに執着して大きな穴や、無視している部分に気付かなかったみたいです
実際雛にまったく目を向けていなかったし
最終的にありとあらゆる固有名詞をとっぱらえば「思春期の少女の物語」になるんじゃないかという考えがあったもので

もしかしたらこの作品は「大人と子供の霊夢」の話だけでなく、
「神と妖怪の雛」のパートが見えないだけで存在してるのかもしれませんね


273 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 19:55:54 ID:U/EC57d.0
>>240
亀だけどその解釈に「おおっ」と声を挙げました。
すんなり納得。
あと真に厄に食いつぶされたのはラストだよね…悲しいことに。厄の発生源になるということだから。
霊夢の中での負の感情は昇華されたけど、「厄」という意味ではその前の段階よりも余程酷い。