作品集151

Last-modified: 2015-07-24 (金) 08:11:59
ジサツのための108の方法  夜空 氏
7月20日21時01分52秒、宇佐見蓮子は死んだ

【作品集】151
【タイトル】ジサツのための108の方法
【書いた人】夜空 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1311940395&log=151
【あらすじ】
 ――ジサツしたことのある子って、もう幸せになれないって本当ですか?
 幸せを謳歌する人々の心を象徴する世界の中心で、わたしはその行く末を見下ろしていた。

 ――真紅に光り輝くアンタレス。
 7月20日21時01分52秒、宇佐見蓮子は死んだ。

……世界に絶望を抱いた高校生、宇佐見蓮子は新宿歌舞伎町グリーンビル25階屋上から飛び降りたはずだった。しかし彼女は生きていた。結局はいつものクスリによる幻覚だと、援交で得た三万円を手に朝の新宿を歩む。
誰からも愛されなかった少女は駅のホームに立ち尽くす。
向かいのホームにいた金髪に日傘、紫色のドレスの女性。
それは飛び降りる直前、あのビルの屋上で見た神様の姿だった……

 ああ、ああ、わたしは、わたしは、貴女の声が聞きたい。

【感想】
三時間か四時間あれば読み切れるだろう。
秘封倶楽部の結成前の話であり、そもそも蓮子は大学生ではない。両親に、社会に、全てに絶望し壊れた彼女がある時出会った神様。そこから彼女が人間として歩んでいく物語。
究極的には壮大な秘封倶楽部の物語でもなんでもなく、ちゅっちゅに回帰します。

主人公の蓮子は作者があとがきで語る所のエゴと意地を体現している。クス リをやっていたり援 交をやっていたり、両親から社会から虐げられる彼女の壊れた心は所謂『リアル』の中高生の少女のようであり、その姿を嫌う人もいるかもしれない。また性的描写が特に中盤あたりまで多く、その点でも人を選ぶと思う。
しかし最後まで読んでいけば、彼女達を取り巻く謎も、宇佐見蓮子という少女も理解できると思う。理解できたと思う前に読むのを止めてしまったら、彼女は単なる精神のいか れた女子高生で終わってしまうだろう。それは勿体ないと思う。
読んでいく上で当初はその圧倒的文量に長期戦を覚悟したが、三分の二ほどまでは意外とさっさと読めた。が、第三章の中間地点を過ぎてある展開に入っていくとしばらく長い。ここを乗り切ると第四章、終盤に入ることができる。スクロールバーも終わりに近付き、ここからはある程度安心して読み進めていけると思ったが、ちょっとしたSSを超える文量が当然ある。油断していた私はまだまだ続く展開に嬉しさを覚える一方で、一度満腹感を覚えた胃袋に鞭を打つはめになりましたとさ。
なお満腹感とは書いたが、実際には充足感と言うべきだろう。お腹いっぱい食べたという気持ちよりも、フルコースを全制覇できたような充実がある。

【五段階評価】
★★★★☆(突き詰めれば蓮メリちゅっちゅ、秘封病患者の方の精神安定剤に)

このSSを『中二病』なんて言葉で片付ける輩はそれとなりに幸せなんだろう、そしてこれを書いた夜空氏は恐らくそんな日常を過ごす人間に対して「死ね」と言いたいのかもしれない。

【作品集】151
【タイトル】 ジサツのための108の方法
【書いた人】夜空氏
【長さ】■■■■■(855.51KB 長編)
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1311940395&log=151
【あらすじ】
残酷な日常によって絶望に耐え切れなくなった宇佐見蓮子は、ふいに自殺を思い立ち決行に移しビルから飛び降りる。
――その最後に見たものは、月と一緒に嘲笑う『神様』だった。彼女の悪戯で生き残った蓮子はその後も自殺しようと企てるが、今度は駅のホームの向こう側で神様の存在を認識することになる。
その後のクリニックで告げられた「神様は、いるんだよ」との予言通り現れた神様はマエリベリー・ハーンと名乗り、蓮子は気付いてしまった。最初の飛び降り自殺の時から、彼女に恋をしていたのだと――

【感想】
このSSを『中二病』なんて言葉で片付ける輩はそれとなりに幸せなんだろう、そしてこれを書いた夜空氏は恐らくそんな日常を過ごす人間に対して「死ね」と言いたいのかもしれない。
世界観の構築は圧倒的の一言に尽きる。このモノクロで陰鬱な雰囲気の中に、突然2.で語られる甘々百合が入って背徳になる感覚は夢を見てる気分になるし、その後で恐らく思想を語っているであろう3.現実を突き付ける4.の流れは物凄い。
当然のことながら、本作品におけるディストピアは明確な根拠を持って示される。精神医学の限界からニーチェ-パスカル等々の哲学的思想まで、リストカットや援助交際の孕むいびつな動機付けは完全に今の社会を風刺したものだ。
特に後者のリスカや援助交際のはらむ感情を浮き彫りにしてみせるあれは、相当な知識が必要だと思うし個人的に言わせて貰えばもはや取材や経験談がないと書けない域に達している印象を受けた。
そして真面目に絶望してる人間が救われないこと、苦しんでる人がいても平然と無視を決め込む現実は、作中の蓮子の言葉を借りるなら「上っ面見ないフリ知った素振りで物事を語る馬鹿ばかり」なんだろう。
それは多分僕を含めた読み手に対する皮肉が存分に込められている。作者が唯一あとがきで語る日常と言うのは、そんな自分達が日常だと思ってるものはまやかしだと容赦なく断罪し、その結果として残されたのは現実であり救いはない。
答えなんて最初から書く気がないし、きっと夜空氏本人も分かってないんだろうね。ただしこれが一時の感情論だけで書かれた物語とは到底思えないし、虚飾で飾られた文章内からは間違いなく確固たる思想があるんだと思う。

【文章】★★★★★
表現は限りなく黒に近いものの、豊富な語彙を用いた心情描写の数々は鬼気迫るものだと思うし、心象を書かせたら今の現役そそわ作者でこの人に叶う存在は数名いるかどうか。
文体における中二病やキチガイっぷりは表層だけを取り繕ってるだけで、蓮子自体の思考を語る部分は今作品における作者のこだわりのようなものだと思う。しかし相変わらず濃縮還元果物ジュースを常に飲まされてる感じ。
それ以前にこの文章から中二病を通り越したマジもんな狂気と言うか、こうしないと絶対に伝わらないからこう書きましたみたいな作者本人の怨念染みた何かが込められてる気がした。
正直なところ初期作品と現在の文章力がずば抜けて違いすぎて別人と疑いたくなるし、実は正解なんじゃないかと思ってる。あからさまに人格が違うみたいで恐ろしいよ……

【展開】★★★★☆
相変わらず心情描写中心でテンポ感は微妙。ねっとり濃く読ませたい意思は伝わってくるものの、もうちょっと緩急があれば……ただしこれが作風なんだから仕方ないんだろう。
話としての解釈が心理学的側面を多分に含んだ上での恒例の百合は甘い部分もありつつ物凄い背徳。ヤンデレなんて精神的尺度は当てにならない、絶対的な愛情でメリーに迫る蓮子の切迫した想いは狂気を通り越してる。
1.はSS的に中二病が書きたくて? 2.は百合のために、恐らくは3.から4.にかけては思想のため。起承転結自体は綺麗にまとまってるけど冗長な面が否めないのも定番。それでもこの長さで一貫性を持たせつつがっつり齟齬なく読ませる力は凄いの一言だった

【五段階評価】 ★★★★☆
散々二次にあってないやらキャラがとか、ぼくのかんがえるとうほうとは~なんて賛否両論は織り込み済みなんだろう。この作品についてそこに突っ込むのは野暮ってものとしか言えない。
ささやかな抵抗として提示されたこの作品について語りえる人は、残念ながらこの東方創想話界隈には存在しないのではないだろうか。それでもこれを出してきた意味を、僕らには知る余地がない。
それこそ作者の思う壺で、僕達は絶望から目を背けているからだ。この作品でdisられているのは現実で、しかも僕達であるって確信犯的犯行は本人からしてみればさぞかし痛快なんだろう。
しかし個人的に、率直に言わせて貰えばこれは東方でやる意味が希薄すぎる。もっと認められる場所でやってほしい。点数とか関係なく今年氏の出した作品は全てにおいてクオリティが違いすぎて、普通に講談社あたりの作家になれそう……

まず第一に「これはオリジナルでこそやるべき作品」という感想は変わりませんでした。

【作品集】151

【タイトル】ジサツのための108の方法 【書いた人】夜空氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1311940395&log=151
【感想】
まず第一に「これはオリジナルでこそやるべき作品」という感想は変わりませんでした。
卯酉東海道が存在せざるを得ないということが蓮子とメリーの別れのシーンを微妙にドラマティックにし損なってたり、
八雲紫が妖怪だと読み手が知ってしまっていることが彼女の自殺のエピソードを若干陳腐なものにしてしまっていた感があります。
蓮子の眼は、文章の雰囲気作りに貢献していたのですが、メリーの眼の話は僅かに出るだけで、その異質な存在同士のシンパシーという点には
あまり焦点は当てられていません。
それと東京と京都の文化が似たり寄ったりだったり、これで秘封倶楽部としての活動をいつするんだという疑問なども、
物語に入ることを阻害しました。
もちろん、それを抜きにして十分によく出来た作品であり、だからこそオリジナルでこそ読みたかったと思わざるを得ませんでした。
あと、これは駄目出しになりかねないというか完璧に揚げ足取り以外の何者でもないのですが、どうしても気になったのがリストカットのシーンで、
「人の血ぃ20Lもねえよ」と。バケツ三分の一もあったら十分致死量だと。それと動脈切れたら大体死ぬ、というのはともかく、
動脈から出る血はどす黒くありません。鮮血という表現の通り鮮やかな赤色です。雰囲気作りという点で、少なくとも私にとっては
致命的なミスだった、という認識でした。

それはともかく。

本作品から読み取ったテーマは、外部規範と自己規範の乖離および癒着の問題、でした。
蓮子はこの作品中でマイノリティとして描かれ、その思想が外部つまり世間や社会から非難される存在です。
それは自殺に絡んでのことではなく、むしろ詩を書き綴るという趣味を馬鹿にされるという場面でこそよく現れています。
この場面こそが、彼女の自己規範が打ちのめされ、外部に規範を求めるようになる転機となった場面と言えると思います。
彼女が自殺をしたがる場面でもおよそ全ての場面で、「自殺することを肯定してくれる誰か」を求めていることからも、
また、自殺に、幸せになるためだという理由を積極的につけたがり、誰かにその幸福論を肯定してもらいたがっていることからも、
彼女が既に自己規範を喪失し、社会的に正しいこと(=外部規範に適うこと)だけが自分に許されている行為なのだと理解していることが伺えます。
こうして自己の中に癒着浸潤した外部規範こそが、彼女の生まれ持った気質、即ち幼少時に打ち砕かれた自己規範を痛めつけたものであると
理解しました。「世間的に自分はクズである」という単なるどうでもいい事実も、自己規範に癒着してしまえば強い自己否定の言葉になり得ます。
そうした、自分で自分を劣った存在であると思い込んでしまうこと、また、傷ついた自己規範が時折上げる、自分はクズなんかじゃないという声。
それの狭間に精神を置かれることは非常に辛いものであり、そうした精神世界を、力強い文章で非常によく描けていたと思います。

更に問題になるのは、多くの人が抱えているであろう、自己規範を社会全体の合意としたい、という欲望です。
ある思想家が、あらゆる差別思想の原点となる欲望だと呼んだものですが、蓮子が唱える、自殺は幸福であるとの論もまた、
それを間違っていないのだ、正しいことなのだと言う限り、その地点から逃れられてはいません。
そもそも本当に自分自身がそれは良いことだ、幸福なのだと信じているのならば、はっきりと言って世間的・社会的な評価などどうでもよいのです。
そう思うことが出来ないのは、やはり迷いであり、そういう意味で彼女が本当に自殺をすることで幸福になれる、と思っていたとは私には思えません。
物語序盤から散見される、生の実感を得るために、とか、本当は幸せに生きたいのだ、という台詞からもそのことは伺えます。
紫の唱えた幸福論は、あくまで紫自身のパーソナルなものであるものですが、物語終盤一歩手前において、蓮子はこの幸福論にすがる素振りを見せます。
このこともまた、自殺幸福論に対する迷いの表れであると受け取れます。
ただ、この紫の幸福論もまた、蓮子にとっては外部のものであり、自己規範の回復とは言いがたいと思われます。しかし、自殺以外の幸福の可能性を
見せつけたという点で、これには十分な意義があったと言えるでしょう。

結局最後に彼女を救ったのは、少女時代に書き綴った詩と、それを愛したもう一人の少女でした。
それにこそ救いを得られたというのは、まさしく詩を綴っていたころの彼女の心こそが彼女生来の自己規範の在り方であり、
メリーがそれを肯定したことでそれを取り戻したのだ、ということなのでしょう。
これから蓮子は、確固たる自己規範を持ち、また外部規範とも、自己規範とは明確に分断されたものだと自覚しながら、
上手く折り合いを付けていくことができるでしょう。
深く傷つき、それでも回復した精神というのは、それだけ力強いものだと私は確信しています。

さて、本来であればここでこの感想文は〆るべきであるのですが、どうしても書かずには居れないことがありました。
それは私が感じた「蓮子が羨ましいな」という感覚です。
本心かどうかはさておき、自殺をすることで幸せになれるなどと思える生温い自殺観や、これなら自殺しても仕方ないだろうと認めて貰えそうな
悲惨な境遇。そして、特に二章で顕著に現れる、決して少なくない理解者の存在。
特に二章はあんまり(言い方は悪いですが)都合のいい舞台装置・出来事がありすぎて、余程途中まで蓮子の妄想落ちかと思ったほどです。
勿論、冷静に考えて羨ましいはずはありません。父親に乱暴を受け、学校ではいじめられ、精神病に悩まされ、何が羨ましいものかと。
ただ、この作品における蓮子は、そうした歪んだ羨望を受けるべきキャラクターとして造形されたのではないか、と思えてならないのです。
生活保護で暮らしている人々や、ホームレスの方などに、一部の人が向ける眼差しと、今回私が蓮子に対して感じた羨みは、恐らく同質のものです。
そうした「弱者の癖にいい目見やがって」というような、誰もが抱える一種の差別意識を表層化させる狙いが、あるいはあったのではないでしょうか。

追記。
作品集150『種痘』がこれと同質のテーマを扱っていると感じました。
そちらは非常に短い作品なので読み比べてみるのもいいかも。

学ぶ杯、進化の灯  han_a 氏

【作品集】151
【タイトル】学ぶ杯、進化の灯
【書いた人】han_a 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1311878514&log=151
【あらすじ】
――ドタン、カラカラカラ
「ちょっと待ちなさい!待ちなさいってば!」(本文より)

知識は人を、妖を進化させる。だが今宵、香霖堂店主は灯りに群がる大量の羽蟲に悩まされ、進化のための本を読めずにいた。ぐるぐると考えを巡らせながらも、人間の進化の産物・殺虫剤を手にするが、いつものタイミングで香霖堂の扉が騒々しく開けられ思考は中断される。
はたして霖之助は虫の王リグル・ナイトバグをなだめ、読書を再開できるのか?
――彼が取り出したのはお酒と2つの小さなグラス、新旧の“夜光杯”だった。

【感想】
原作を彷彿とさせる霖之助節。突飛過ぎてついていけないのに何故か納得しそうになるのは、彼が変に落ち着いて自信たっぷりだからなのか。
そして霖之助の独りよがりな独白をかき乱すような騒々しい少女の闖入。この余裕たっぷりのキバヤシと、彼を振り回したり逆に振り回されたりする女の子との掛け合いと対比が香霖堂の醍醐味だよね…ってこれ原作を褒めてるみたいだ。でもそれくらい原作の雰囲気をうまく再現していると思う。
表題も美しい夜光杯のイメージに合わせて幻想的な雰囲気を醸し出している。夏の夜にぶどう酒でもあおりながら読みたい作品である。

【五段階評価】
★★★★☆
とくに原作香霖堂や書籍文花帖のリグルが好きなら必読。リグルが女の子口調なのも良かった。

俺と慧音と理想郷  なまこ氏
会社を休んで東方をやっていた「彼」の元に慧音先生が現れた!

【作品集】151

【タイトル】俺と慧音と理想郷
【書いた人】なまこ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312451410&log=151
【あらすじ&感想】
会社を休んで東方をやっていた「彼」の元に慧音先生が現れた!
新しい切り口から書き出される幻想郷
そして慧音先生と彼の軽妙なテンポの会話
興味深い作品でした
あとお前は会社に行け

オリキャラです。俺主人公モノです。苦手なひとも多いでしょう。

【作品集】151
【タイトル】俺と慧音と理想郷
【書いた人】なまこ
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/151/1312451410
【あらすじ&感想】
オリキャラです。俺主人公モノです。苦手なひとも多いでしょう。
しかし、それだけで読まないというのは少しもったいない作品です。
ぜひ、肩ひじ張らずに読んでみてください。

拝啓、『ぶらり廃線下車の旅』が『ぶらり三輪車の旅』にすりかえられていた今日この頃、皆さん如何お過ごしでしょうか。  手負い氏

【作品集】151
【タイトル】拝啓、『ぶらり廃線下車の旅』が『ぶらり三輪車の旅』にすりかえられていた今日この頃、皆さん如何お過ごしでしょうか。    
【書いた人】手負い氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312088985&log=151
【あらすじ&感想】
 キコキコキコキコキコ
 
「ぷぁーん」

 なんということでしょう。
 そこに在ったのは一つの三輪車。
 あれだけ大きかったボディと車輪は、事業仕分けによりこんなにもコンパクトになりました。

こんな唐突な冒頭から始まる文章
紫のスペルの電車が自転車になってしまった!
プロデュースした藍に抗議する紫
それをにやにやと眺める藍
主従の熱い戦いが今始まらない

動く大図書館と東方創想話  ラウル氏

【作品集】151
【タイトル】動く大図書館と東方創想話 【書いた人】ラウル氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312618743&log=151

【あらすじ】僕のおもちゃが壊れたじゃないか。お前ら何とかしろよ。

【感想】
「壊れてねぇよ。知らねぇよ!」そう叫びたくなった快作。泣き言が終盤まで延々と綴られるストレス発生マシン。
問題提起と銘打つのは構わないが、それに終始されても困惑するだけだ。
ここに善後策を提示した上で「これどうよ?」と、言われたなら納得できるかもしれない。かもしれない。

諸兄はちょっとした経験をお持ちではないだろうか。
碌に話もしたことがない、名前だけなら辛うじて覚えている同僚や同期。そんな知人と飲み屋で出くわすというもの。
あろうことかその知人は親しげに肩を抱き、愚痴を吐き続けるのだ。しかもあなたとは一切関わりのない事について。
行き場のない苛付きがあなたを襲う。そんな気分になりたい方へお勧め。

余談として、お嬢様と咲夜さんの馴れ初めから今までを記したSSに、30kbくらい費やしてくれればと思ってしまった。
さくやの観察日記『レミリアお嬢様』。淡々と事実のみ列挙しながらも、お嬢様への愛が随所に溢れるSS。
ぼそっと呟かれる一言「お嬢様はやはり素敵です」
誰か書いてくれないだろうか。

太陽少女の雨は止まない  鉄梟器師ジュディ♂氏

【作品集】151

【タイトル】太陽少女の雨は止まない 【書いた人】鉄梟器師ジュディ♂氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312439655&log=151

【あらすじ】メルランさんがルナサ姉さんのお鉢を奪いました

【感想】
ルナサの役回りだろう鬱を、メルランに背負わせた点でちょっとびっくり。違和感あるなーとやっぱり思った。
が、ミスティアの独白「ここは、人を導く場所ではない」から続く一文。
これで「ああ、メルランさんもこんな風にして何もかもふっとばしてんのか」と納得させられた。応援したくなる。
「メルランさん今日もお疲れ様です。明日も元気な顔でライブできたらいいですね」そんな気持ち。
そしてチルノさんかっけぇです。ミスティアさん優しいです。こういう友達もってんならそりゃ頑張るしかねぇよなぁ、なんて。
酒をかっくらう少女達が何もかもふっとばす爽快感。青春してる。そんなものを求めてる方へお勧め。

出来る事ならもうちょっと葛藤が欲しかった。いや、実際にはしてたんだろうけど、そのシーンを端折ってる。
でもこれが味なのかもしれないなーとも思ったり。だって酒ってこんなもんだよね。
飲み屋の雰囲気から醸し出される、ぐだぐだ感が素敵でした。

鐘の泣き声が響きました。  大崎屋平蔵氏

【作品集】151

【タイトル】鐘の泣き声が響きました。 【書いた人】大崎屋平蔵氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312392282&log=151

【あらすじ】子供の泣き声は容赦ないって思い知りました。

【感想】
前作まで読んでる人ならタグだけで飛びついているだろう。私もその一人です。
オリキャラである月見亭くじらさん。かわいいし抱き締めたくなるが、情熱を語っても仕方ない。

何より見所なのは、幻想郷に馴染み過ぎてるオリキャラと幽谷響子の奏でるハーモニー。
ナズーリンの胃に穴が開きそうなほどハーモニー。ifを色々考えさせられる。
「見つけたのが聖姐さんなら抱っこするんだろうか。星さんと一輪さんもそうだな。雲山もその溢れる包容力で」
全員抱っこするという結論になりました。かわいいから仕方ない。
波長が合えば、庇護欲を掻き立てられること間違いなし。母性愛を発揮したい方へお勧め。

猛り猛れば  石之助氏

【作品集】151

【タイトル】猛り猛れば 【書いた人】石之助氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312038163&log=151

【あらすじ】また一つ下らぬものを知ってしまった。

【感想】
キノコです。キノコ雑学とその王様。
森を餓死寸前でさ迷うことになっても、絶対キノコにだけは手を出すまい。そんな気分にさせられる。
腹ペコ巫女とキノコ学者と、運の巡りが多分よろしいだろう青年が織り成す非日常アドベンチャー。
ギャグがくどくなくさらっと読めるし、主題であるキノコがしっかり頭に入ってくる。
酒の席で披露する話の種を増やしておきたい、そんな素敵トリビアを知りたい方へお勧め。

蓮子とメリーの100の問答  保冷剤氏

保冷剤氏の「蓮子とメリーの100の問答」は久々に力のある作品
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312641851&log=151

いやぁこれは濃かった。惜しむらくは保冷剤氏にもう少し小説を描く力量があればなおよかった
ひとつひとつのエピソードや描写は冗漫かつ効果的に結びついているとは全く言えないけれど、
これらをちりばめて、どうにかして大きな作品を書いてやろうという意気込みが見えてよかった
昔よく読んだジュブナイルSFのように、何かこうさわやかで惹きこまれる雰囲気もあってよい
こういう意欲的な作品がもっとあればいいなと思う

追憶は華やかに開く  深山咲氏

【作品集】151
【タイトル】追憶は華やかに開く
【書いた人】深山咲氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312797678&log=151

【あらすじ&感想】
本作を一言で表すならば、一欠片の砂金の小粒、と言うべきであろうか。
ごく微小で繊細な、取引価格こそ高くないかも知れないが、しかし黄金色の美しい輝きを放っている。
数ある深山作品の中で、本作『追憶は華やかに開く』とはそんな作品である、と同氏びいきの私は思う。

物語は実にシンプルだ。

若き日の驕り尖っていた幽香が、ある日自らの庭の向日葵畑でみすぼらしい姿の覚の少女と出会う。
自身を卑下する少女に苛立ちを隠さず、幽香は"忠告"をして花の種を与え、地下へ潜るという少女と別れる。
それから、幾年もの歳月が過ぎたある日の午後、あの向日葵畑で夢現にまどろんでいた幽香は、
鳥と猫と銀髪の女の子を連れた、今は「さとり」と名乗るあの日の少女と"再会"する。
彼女達が去った跡には、成長した少女が誕生させた、夏空色の"華"が咲き誇っていた――。

たったこれだけの、本当にシンプル極まりないストーリーである。
量としては掌編と言っていい短さであるし、大きな起伏や展開があるわけでもない。
読み手によっては物足りなさを感じるくらいかもしれない。
故に「小粒」である。

一方、深山氏ならではの丁寧な心理描写と綺麗すぎるほどの情景描写、そして作品全体を彩る
上品で美しくも、どこか儚げでせつない雰囲気は健在であり、しかも文章量の短さ少なさもあってか、
本作においてはそれらがより濃縮して密度を増している感すらある。
故に「砂金」である。

深山氏の作品を初めて読むという人に、私は本作を薦めようとはしないだろう。
既に幾つかの氏の作品を読み、氏の作風を多少なりとも知っている人の方が、
本作をより楽しみやすいのではないかと思う。
「いつもの深山咲」を味わいたい方は、ぜひ読んでほしい一品である。

【五段階評価】
★★★★☆(本当は★★★でも良いのだが、上述通り私は深山氏びいきなので(笑))

さらば愛しの母校よ  文鎮氏

【作品集】151

【タイトル】さらば愛しの母校よ 【書いた人】文鎮氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312712972&log=151

【あらすじ】秘封の二人が里帰りしました。

【感想】
鈍行の車窓から田舎の景色を眺める。旅情とはこういうものでしょう。おや、トンネルですね。これも旅情でしょう。
抜けたらビッグサンダーマウンテンになってました。しかも固い座席は、更に固いトロッコの板へ大変身。

よく分からないうちに巻き込まれ、子供の頃に持った冒険心をダスキンモップでくすぐられた。
廃校が決定された母校を巡る、いつもの怪奇ではない身近な探検へ出た二人。
身近ではあっても不思議っぷりは終盤まで加速し続ける。わくわく感と郷愁を誘う素敵な秘封だった。
ちょっと若かりし頃を振り返り、ついでに子供心へ活を入れたい方へお勧め。
余談として、漂うリリカの姿が見たくてたまらなくなった。

ゆめのさいはて  名前が無い程度の能力氏

【作品集】151

【タイトル】ゆめのさいはて   【書いた人】名前が無い程度の能力氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312859491&log=151
【あらすじ&感想】
 あらすじ:魔法使い、魔法使いの世界に捕らわれる

 感想:アリマリである。
 種族の違いで思い悩んだ一つの結果であるのか、静かな狂気が少ない台詞からにじみ出るようであります。
 自らを犠牲にするこれもまた一つの愛の形なのか、若干テンプレ気味なところもありましたが、デスマス調が雰囲気を出していました。

変色のスカーレット  梛 狛太郎氏

【作品集】151

【タイトル】変色のスカーレット   【書いた人】梛 狛太郎氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312795319&log=151
【あらすじ&感想】
 あらすじ:ちょっと眠れないから過去の話でも、憂いを持ってレミリアは語る。

 感想:病弱だったレミリアと甲斐甲斐しい妹のフランドール。
 姉妹だというのにあんまり似てない二人の秘密とは
 レミリアが当時の事を時に明るく、時に苦々しげに語ります。
 聞きなれない用語が多くてちょっと読むのに苦労させられる、ただそれらを雰囲気作りのために並べたわけではないのがよかった
 それにしても最後の最後まで咲夜さんマジ心労。

咲夜さんの紅茶の入れ方  IT氏

【作品集】151

【タイトル】咲夜さんの紅茶の入れ方   【書いた人】IT氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312749807&log=151
【あらすじ&感想】
 あらすじ:お嬢様が好きすぎて普通に紅茶を淹れられない

 感想:ほらあの好きな子の縦笛の話ってあるじゃないですか、真偽は不明ですけど
 そういう背徳感を味わいながらね、行動にうつすのは好きという気持ちの表れみたいな、ね
 一回は失敗しながらもしてやったりの咲夜さん、貴女は瀟洒だ。
 作品自体は短く、SSとしての体をなしていないともいえるけど、独白だけでここまで作っているならいいじゃない
 淹れ方じゃないの? は野暮ったいよね

打ち上げ花火と恋心  Dark+氏

【作品集】151

【タイトル】打ち上げ花火と恋心   【書いた人】Dark+氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312718969&log=151
【あらすじ&感想】
 あらすじ:ルーミアが可愛すぎて自分の義務を忘れるところだった魔理沙、奮闘す。

 感想:作品序盤に百合百合しい香りが漂い、途中にも時折香りおる。気にならないレベルだけど
 花火のようなものを魔理沙に作らせるというのはイメージ的にぴったりな気がする、星的な意味で
 アリスもカワイイですよ? 変態魔理沙さん。
 一人称で書かれた文章は、ラノベを思わせる軽快さで、苦手でなければ読みやすい、かな。
 ちなみに前作? とリンクしているらしく、そちらを読んでいるともっと楽しめるかもしれない

東方不安種  やっぱりレティが好き氏

【作品集】151

【タイトル】東方不安種   【書いた人】やっぱりレティが好き氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312716801&log=151
【あらすじ&感想】
 あらすじ:暑い夏に6編の短編ホラーいかがでしょう
 
 感想:タイトルからもわかるとおりに「不安の種」をリスペクトしたお話達
 ※不安の種:ホラー系の漫画、実際に起こりそうな……怖いお話の短編集、画風とお話の相乗効果でヤバイ
 幻想郷の日常とその裏に潜む暗い部分。忘れがちですけど、彼女達人外ですからね。
 なーんかいやな感じをしっとりと受け取れたら、心の中に不安の種が撒かれたのかもしれません。
 文章は淡々としたもので、そのあたりもまた雰囲気を作っているのでありました。
 漫画を知らないとわからないネタもあったようですが、大半は問題なく読める。
 ちなみにホラー苦手なんだ、助けてくれ

『過ぎ去りし日の思い出 花火にて』  ヤナ氏

【作品集】151

【タイトル】『過ぎ去りし日の思い出 花火にて』   【書いた人】ヤナ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312642002&log=151
【あらすじ&感想】
 あらすじ:暑すぎる日。最っ高にCOOLなお茶を望んだらいつの間にか最っ高にCOOLな……
 
 
 感想:実にあやれいむ。
 霊夢のために頑張るあややが可愛い、それを受け止める霊夢も可愛い。
 文の変化はささっと流されてるけど、きっとそれはそれは大きいものだったのでしょう、妄想が膨らみます
 文章が読みやすいという武器でもってすらすらと最後まで走ることが出来ました

忘れられた名  幻想狂騒曲氏

【作品集】151

【タイトル】忘れられた名   【書いた人】幻想狂騒曲氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312622525&log=151
【あらすじ&感想】
 あらすじ:私は妖怪である、名前はもう忘れた。
 
 
 感想:下手に感想を書けない。ただ良い作品であり短いので読むことをオススメします。
 個人的には不安定感を持った心理描写がすごいよかった。

『従者と赤い薔薇』  豊科氏

【作品集】151

【タイトル】『従者と赤い薔薇』【書いた人】豊科氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312609626&log=151
【あらすじ&感想】
 あらすじ:赤くて美しい薔薇が咲く。咲夜の命は薔薇と共に散ろうとしていた。
 
 
 感想:人としていつか来る命の終わり、それを静かに待っている。
 主人を悲しませてしまうと考えるのは、従者の鏡ではないだろうか。
 最後が人によって好き嫌いあるとは思うけれども、作者が決めた形はその人の味がする。
 多分、気づかせない意図を持って書かれた描写が見事

chibichibi東方  黒マどー?氏

【作品集】151

【タイトル】chibichibi東方   【書いた人】黒マどー?氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312548689&log=151
【あらすじ&感想】
 あらすじ:霊夢とかが幼女化した。霧雨魔理沙は振り回されないだろうか、いや、される。
 
 
 感想:小さいことはかわいいことだ。と叫ぶかのような全力攻勢
 ネタとしては漫画等の二次創作でありがちなもので、文章の強みが出せているかというと微妙ではなかろうか
 正直読むのが辛いと断ぜられそうな感じなのだが、終盤にかけて良くなって行く。
 いーえっくすまでを読んだときには、慣れてきさえすれば、いいものが書けるにおいを感じさせた。リズムのセンスがいいのかも

ある夏の、極めて平和な一日  常氏

【作品集】151

【タイトル】ある夏の、極めて平和な一日   【書いた人】常氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312474435&log=151
【あらすじ&感想】
 あらすじ:平和ボケしてしまいそうな日々、ある噂を確かめに三人は尾行を開始する。

 感想:命蓮寺がメインのお話。星、ナズー、村紗が主人公。
 星ちゃんが全体的に可愛いのだが、どうしてくれる、祭りだ、ハングリーだ。
 お祭りの喧騒や、賑やかな様子が表現されていて楽しい気分にさせられた。
 その中に潜むひそかな違和感から、導かれる結末とは。
 さっくり書かれる仲良し表現にセンスを感じた、文章も読みやすい、あったかいお話。

「ラピュタはあなたの心の中に在ります。在り続けます」  高純 透氏

【作品集】151

【タイトル】「ラピュタはあなたの心の中に在ります。在り続けます」【書いた人】高純 透氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312390672&log=151
【あらすじ&感想】
 あらすじ:天子「ラピュタはあるのよ!」衣玖(八百屋侮りがたし……!!)

 感想:八百屋すげぇ。
 永江衣玖の一人称で書かれた作品であり、さまざまな苦労の耐えない衣玖さん、さすが突っ込み役
 入道雲の中にあるのはラピュタ……ではなく。
 舞台設定をきちんと作っていて、それにのっとって書かれた話だからか、安定した面白さがありました。
 段落が短く、飛ぶような文章が読みやすかったのでした。
 旧作タグがありますが、知っていなくても楽しめる内容、知ってればなるほど、と膝を打てるもの、かもしれません

幻想郷一日旅行  K.K氏

【作品集】151

【タイトル】幻想郷一日旅行   【書いた人】K.K氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312377109&log=151
【あらすじ&感想】
あらすじ:幻想郷に入った僕は、とりあえず、行きたい場所をめぐることにした

感想:幻想入りであり、メタな部分があったりする
あまりオリジナリティが感じられなかったり、限定的とはいえ無双な主人公には厳しい目を向けられる要素が多いと思われる。
全体的な印象からか小さな粗も気になってしまって残念だった。
とはいえ、話のつくりに無理があるわけでもないし、伏線も滅茶苦茶なものではないと感じたし、良くなる要素は多いと思う。
この歯がゆさは初心や未熟のうちに通る道ではないだろうか、時が解決してくれる問題もあると思うので、続けられればあるいは

ハクレイ恐怖神話  エンペラー氏

【作品集】151

【タイトル】ハクレイ恐怖神話   【書いた人】エンペラー氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312299790&log=151
【あらすじ&感想】
あらすじ:私は幻想にならなければならない、私は幻想にならなければならない、私は幻想に……

感想:クトゥルフ臭を目指した意欲作。だが幻想郷に海は無かった。
ねっとりとした空気が漂う文章であり、改行の少なさも意識的なものなのではないだろうか。
主人公の言動が最初からおかしく、どうしようもない方向へ走っている感情を起こさせる。
短い作品、なのだがびっちりとした密度があり雰囲気を楽しむことが出来るのではないだろうか。
ちなみにクトゥルフ系は短編を一作読んだことがある程度なので、そちらの雰囲気が出せているかは判断できない。
ホラーは苦手なのだが神社の描写はよかった

天狗は群衆奇縁の中に名月を見る  幽霊A氏

【作品集】151
【タイトル】天狗は群衆奇縁の中に名月を見る 【書いた人】幽霊A氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312965435&log=151
【あらすじ】
新聞作りが忙しいにも関わらず、はたては萃香に酒の相手をさせられることになった。
萃香は妙な酒を飲ませた。気分によって味が変わる酒だ。初めに飲んだとき、はたてにはとても不味く感じた。
その酒の席で、途中参加した文、慧音、紫らと共に、はたては人里で起きた或る殺人事件の顛末を語る。
遺産相続のもつれが生んだ、起こるべくして起こった凶行。
初めは些細ないじめだった。それが段々と苛烈になって、終いには――
犯人の子供たちは首吊りに、その親は村八分。しかして非は被害者にある。
なんとも非情な処分に、はたては憤慨せずには居られない。
なんとかならないものか。そう思う矢先に、名案が生まれた。
子供たちを命蓮寺に出家させれば、或いは・・・
萃香の萃めた奇縁は、子供たちの命を救うべく動き出す。

【感想】
鬼と普通に殴り合っているはたてに先ずビックリ。
なんだかんだで他人の為に行動できる幻想郷の住人たちの、
ちょっと心温まるストーリー。なんだけど・・・
はたてと文は、守矢神社の信者なんだよね(ここ重要)。

【五段階評価】
★★★★☆(はたて補正あり)

紫陽花色の人形遣い  つばさ氏

【作品集】151

【タイトル】紫陽花色の人形遣い   【書いた人】つばさ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312214956&log=151
【あらすじ&感想】
あらすじ:愛しき主人の悩み。上海人形はそれを見つめて思考をつむぐ。

感想:それはどんな感情なのか、アリスは魔理沙への思いを自分でも整理できず悩みます。
奇数章では上海視点、偶数章ではアリス視点で展開される物語は、時系列を別にしながらアリスの心の中を解いていきます。
柱となる大きな事件、揺れ動く心が絡みあい、結末へと迫っていきます。
一つの事件が終わり、また新たなスタートを切るとき、変化は何を助け、何を犠牲にするのでしょうか。

推敲不足が非常に惜しい、いくつかミス? と思うところがあり、目をとめさせられてしまいました。
視点変更が章ごとに行われて少し疲れます、文章の約束事にも少し難がありました、短いとはいえない物語なので、そのあたりが勿体無かった。
まぁ、そんなところは直ぐに直せると思いますし、このどうしようもないもどかしさを感じる物語。オススメです

ひまわり  霧の浮舟氏

【作品集】151

【タイトル】ひまわり   【書いた人】霧の浮舟氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312153904&log=151
【あらすじ&感想】
あらすじ:花を愛する幽香は誰よりも早く大地の異変に気づいて、太陽の畑を焼き払った

感想:時事ネタを絡めた作品。ツメが甘いところがあったかな
幽香の怒りとか、幻想郷全体が追い詰められていく描写がもっと濃く欲しかった。

時期的に向日葵がこれから咲いていくので、外国まで行かずとも、国内の名所で向日葵を見るのもいいかもしれませんね、感謝の気持ちと共に

とりあえず当初やろうとしてたレビューは全て終ったから白紙と向き合うお……

志と行動で示してくれた先駆者に感謝をしつつ

恋色魂 ~みょんまり!~  I・B氏

【作品集】151

【タイトル】恋色魂 ~みょんまり!~ 【書いた人】I・B氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312759541&log=151

【あらすじ】「お前、なかなかやるじゃないか」「お前もな!」

【感想】
「友情、努力、勝利」そんな言葉が真っ先に浮かんだ。よく言えば王道、悪く言えばテンプレ。
もっとも、王道は常に通用するからこそ王道だ。
同時期に、ちょっとしたスランプを抱えた妖夢と魔理沙。噛みあったところでルームシェアを始める。
そして襲い掛かる性格の不一致と、それを乗り越える試練。終わったところで更に異変という名の試練。
どこまでも王道な展開を突き進んでくれる。燃え滾る冒険活劇を求めている方へお勧め。
「みょんまり」と言ってはいるものの、百合要素は皆無なので拒否反応が出る方も安心して欲しい。

余談として、ちょっと180kbじゃ足りないと思った。詰め込むテーマが多すぎたんじゃないか、と。
絆と一括りに出来るとはいえ、あちらこちらを摘み食いしていったなー、なんて。

蓮子に異変アリ  鈴木々々氏

【作品集】151

【タイトル】蓮子に異変アリ 【書いた人】鈴木々々氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1313125674&log=151

【あらすじ】メリーさんにもありました

【感想】
日常の風景にちょっとだけ混じった異物。例えばお気に入りのカップが見当たらなかったり。
些細な事だと断じ切れないメリーさんがかわいい。もちろん蓮子さんも。
相方の口紅を巡る一コマの中に、二人の関係が濃縮された作品だった。
友情とも恋愛とも取れるリバーシブルな面白さ。どちらかにでも興味を持てる方へお勧め。
余談として、ラスト付近にさりげなく挿入された、蓮子を評する一言にノックアウトされた。

泣いてるあなたをみたくないから  SWIさん

【投稿者名】SWIさん
【タイトル】泣いてるあなたをみたくないから
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1313007502&log=151
【冒頭】
アリスと魔理沙の、いつもと変わらない夕暮れの時間。
と思いきや魔理沙の様子が少しおかしい。へんじがない ただのしかばねの――ようでもない。
何があったのかと、アリスは魔理沙へ問いかける。
【総評】
マリアリと言いつつアリマリっぽいのは東方界隈ではよくある話。
魔理沙が可愛くてアリスがかっこいいお話でした。
二人があまあまとするだけで、それだけしかしません。ついでにバックを補足する程度。
手軽にちゅっちゅ成分を補給するにはいい感じ。
個人的に点数をつけるなら60点。空飛ぶウィッチチュッチュ教の信者なら思考停止100点もありそう。

チンチン寄越せ!!!  パーフェクトプリティどろにさん(更に今ならイケメンまで付いてる)さん

【投稿者名】パーフェクトプリティどろにさん(更に今ならイケメンまで付いてる)さん
【タイトル】チンチン寄越せ!!!
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1313070972&log=151
【冒頭】
狂った刃が夜雀を襲う。彼女に逃れる術はない。
もはや風前の灯火となった夜雀を救う者の正体は、
そして『彼女』が狂ってしまったその訳とは。
【総評】
タイトル見て壊れギャグ余裕と思ったら本編にそんな要素なんてなかった。
明朝体まで用いた締りのある冒頭から始まるちょっといい話でした。
固めの文体でしたが読みづらいということもなく、登場キャラそれぞれの良いところが見えます。
物語として膨らみすぎることもなく、綺麗にまとまった日常ものらしい日常もの。
個人的に点数をつけるなら90点。タイトルと作者名が放つトヘロス感に打ち勝てれば楽しく読める。

あなたの涙は蜜の味  ちゃいなさん

【投稿者名】ちゃいなさん
【タイトル】あなたの涙は蜜の味
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1313139831&log=151
【冒頭】
命蓮寺にスズメがやってきた。三者三様にみんなして、命蓮寺の人々はそのスズメを可愛いがる。
その中でもスズメは村紗に特別なついた。手を繋いで歩くような間柄である。
ほのぼのとして、ふっと笑顔になれる日常の1コマ――が、
【総評】
村紗視点の一人称。程良い長さで読了後のすっきり感に満足します。
ちょっと無理のある展開や結びつけかな、とも思いますがその設定もまた作者の色。
むしろこうじゃないと素直に読み終えれない、というところに落ち着いたなと私は思いました。
心揺れる幸せな話。作中に出てくる古明地さとりの扱いが上手です。
個人的に点数をつけるなら90点。主義として100点をあまり付けないのですが、気持ちとしては100点を与えても充分と思えました。

貴方が病に伏すことが私にとっては嬉しくて  劇団迷路氏

【作品集】151
【タイトル】貴方が病に伏すことが私にとっては嬉しくて    【書いた人】劇団迷路氏
【URL】 ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1312975075&log=151
【あらすじと感想】
魔法使いは弱くなればなるほどに強くなる。そんな矛盾についての話。

茨歌仙で仄めかされた設定についての話。一言で言うなら「甘い腐臭を楽しむ話」。
魔法使いとしてワンランク上の存在に堕ちたアリスを歓迎するパチュリーの退廃ぶりがとても素敵。
そりゃあ幻想郷って健康優良児の楽園だもんなあ。同類を求めるのも無理は無い。緋想天じゃパチュリーもアクティブだったけどあれはまあ、うん。

百合百合しい話でもあるが、後暗さや爛れた印象を感じさせつつも軽めに纏め上げられているのも好印象。
いやらしかった。

パチュリーから見た魔理沙ってどんなもんなんだろうかともふと考えさせられる話でもある。
魔法使いという同類項のくせにマスパに代表されるような正統派に近いものを追い求める魔理沙に向けているの果たして羨望か侮蔑か無関心か。
魔理沙も魔理沙で「人間」という同類の少ない存在でもあるんだけど。

【五段階評価】

★★★☆☆ パチュアリ好きなら+1

ものわかりのいいこども  塩八 氏

【作品集】151 【タイトル】ものわかりのいいこども  【書いた人】塩八 氏
【URL】 ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1313039683&log=151
【あらすじ】
 霊夢と紫が恋愛関係じゃないかと疑ったサニー。
 その発案に振り回される形で三月精は博麗神社にやって来る。
 するとそこで見た物は……
【感想】
 スター一人称の10KBの短編。
 東方のカップリング作品というと、三人称かカップリング片方の一人称、
 もしくは片方の主従や同僚といった近い関係にある人から見た作品が主流。
 ところが、この作品は完全に外部から二人を見た作品となっていて珍しいと思った。
 ゆかれいむを外部から描いた意欲的な作品。
 このカップリングが好きな人、及び三月精が好きな方にはおすすめの作品。
【文章】       ★★★☆☆
【展開】       ★★★★☆
【総合評価】   ★★★☆☆ (ゆかれいむ好きなら+1)
余談:名前を見たことある人がいるかもしれない。
 .   某動画やイラスト投稿サイトで有名なゆかれいむ一筋の方である。