作品集67

Last-modified: 2015-05-24 (日) 17:28:25
昼下がり 与吉氏
光の帯のただ中で、ただただ静かに彼女は舞った。

【作品集】67
【タイトル】昼下がり
【書いた人】与吉 氏
【本文抜粋】
光の帯のただ中で、ただただ静かに彼女は舞った。
夕日の差し入る店内の一番綺麗なその場所で、
少しだけ恥ずかしそうに、少しだけ幸せそうに、彼女は舞った。
【感想】
香霖堂のある冬の一日を舞台に
前半の原作香霖堂の雰囲気に加え
後半の幻想な場景が素晴らしい。
心温まる話でした。ぜひ読んでほしい。
【五段階評価】
〈文章力〉  ★★★★☆
〈総合評価〉 ★★★★☆

『夜中という幻想』とは、まさに道具を扱う人の心だろう。

【作品集】67
【タイトル】昼下がり
【書いた人】与吉 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1231410103&log=67

【あらすじ】
 昼下がりの香霖堂に人形を連れた少女がやってきた。
 人形の服についたシミがとれなくて困っているのだという。
 森近霖之助は自信作の『界面活性剤』で、少女の困りごとを解決することができたが、
 外の天気はいつの間にやら大雪になってしまった。
 雪宿りをしていくという少女。やがて二人は温かい室内で眠りこけてしまう。
 しばらく居眠りの後、霖之助は不思議な物音を聞いて目を覚ました。

【感想というか考察】

 構成(文章全体の進行)、文章(文章のタッチ、書き方)、物語(キャラクター感情や物語の概説)、その他(レビュー筆者がとりとめもなく感じたこと)
 の4点において、感想、考察を述べます。 

 ※以下、ネタバレを含みます。

◎構成:
 見事と言わざるをえない。
 この物語は、全体の進行、天気=香霖堂室内の明るさの変化、アリスの覚醒状態がシンクロしながら進んでいく。
 また、最初に登場し一見関係ないように見える『界面活性剤』に、上海人形とアリスの関係性において重要な伏線としての役割を与えているのが実に秀逸である。 
 それを考えると、序盤にすでに『答え』を提示されていることに気づく。『答え』というよりは、アリスがもっとも望んでいるものだろうか。そのからくりに気づくと、この作品は、広い視点で一度全体を見下ろし、そして細部に迫っていく構成になっているのだとわかる。実にニクい手法である。

◎文章:
 文章はとても読みやすい。作者の落ち着いた文章は霖之助の物静かな性格を表現するには最適であろう。起伏が乏しいようにも思えるが、霖之助の静かでかつどこか調子の外れたテンションアップを表現するには十分である。外の世界の魔法について斜め上へと思いを巡らせていく霖之助を上手く表現していると思う。
 情景描写についてはやや弱いところがあるかもしれない。描写力はかなり高いと思うが、そこに強い感情を篭めることは少し別の次元のテクニックなのだろう。ただし、上海人形のダンスの幻想性、ファンタジー性は十分に生み出されていたと思う。
 文章全体について言えば、作者のキャラクターに向ける、優しく温かい視線が感じられるような、穏やかでほのぼのとした作品だと思う。

◎物語:
 前述したとおり、『界面活性剤』の役割がニクい。
 この物語の背景にはアリスの人形に対する罪悪感、恐れ、そして何より愛情が存在している。
 人形遣いは人形に意志を与え、制御するが、それは人形に対する一方的な支配でしかない。それゆえ、支配者であるアリスは人形達に対して、自律性を奪うことへの罪悪感を感じているし、そしていざ完全な自律人形が完成したときに復讐されるのではないかと思っている。
 さらに一方では、上海人形はアリスが眠っているときのみ動くことができる。アリスの意識がないときだからこそ、主から魔力を受け取るだけで自由に動き回ることができる。それはアリスの念願である完全なる自律人形に最も近い姿である。だが、皮肉にも眠っているアリスはそれを見ることができない。起きているアリスと自由な上海は完全に別の世界に住んでいるのだ。
 霖之助は、それを『境界』と表現する。
 『界面活性剤』は『境界』を破壊するものである。
 物語の前半で、『界面活性剤』によって問題が解決するアリスの姿――『界面活性剤』によって境界を壊そうとするアリスは、まさに完全な自律人形を作り上げようとする人形遣いのメタファーと取れる。
 その意味で、アリスが『界面活性剤』を買い求める姿はまさにこのSSの重要なキーであると考えてよいだろう。
 それはアリスの願いなのだ。
 そして、上海人形はどうなのだろうか。
 作者はあとがきで、こう語っている。
 『道具にも心があるんだから、大切に使ってあげたらきっと喜ばれるよ。』
 アリスも上海人形もまたこの通りである。
 上海人形が『感謝と、そしてたくさんの希望を込めた微笑み』を浮かべる姿によって読者は救われるのだと思う。
 特にこの『希望』にこそ留意するべきかもしれない。上海はアリスを応援していることがわかるのだから。

◎その他:
 このSSの霖之助の役割についてだが、おそらく作者はもっともこの場面を書きたかったのだと思う。
 「だから、見つけてやってくれ」
 「きっと夜中に玩具が動くのは、玩具が夜中という幻想の中でしか動けないからだよ。だから彼女達は自分たちがいきいきと動いているその姿を見て欲しいはずだ。僕は道具屋だから分かる。人形達はきっと君に見て欲しいはずだよ。ありのままの自分というものをね。君がもし僕と同じようにそのお伽噺を信じる心を失っていないのならば、人形に本物の自由を与えてやるといい。きっとみんなして君に感謝してくれると思うよ」
 そして、作者はあとがきでこう語る。『この幼い頃にそんな素敵な教えを与えてくださったのは誰であっただろうか。』と。
 『夜中という幻想』とは、まさに道具を扱う人の心だろう。そして、『そのお伽噺を信じる心』とはまさに『素敵な考え』なのだ。
 おそらく、作者は霖之助にこの『誰か』の役を与えたかったのだろうと思う。

 【総合評価】
★構成:お見事の一言。綺麗な場面転換を見ることができる作品です。
★文章:読みやすく温かい。作者の優しさが感じ取れる筆遣いだと思います。
★物語:静かで穏やかな日常の中で、目標へと進んでいくアリスの姿やそれを見守る周囲の人『々』の視線など、キャラクターたちの温かな強さが心地よい作品です。
★総合評価:点数もさることながら、間違いなく良作だと思います。読んで損をすることはないかと。ほのぼのしたい、ほんわかしたいという方にお勧めです。その背景に隠された豊かな感性と優しい考え方に心が温かくなる作品と言えるでしょう。

てんれい guardi氏

【作品集】67
【タイトル】てんれい
【書いた人】guardi氏
【あらすじ&感想】
タイトル通り天子と霊夢の話で霊夢視点で二人の会話が続く。
「公事には公利ありて私忌なし」とか言う天子は二次にはあまりいないタイプかも。
霊夢もかわいくて仲のいい先輩後輩のような関係。よく読むと所々で甘いw
ただ、一人称視点で説明台詞もなく地の文も少ないので少し物足りない。
長さ的にも短いので読みやすいけどやっぱり物足りない。今後に期待。
特に作者は天子と霊夢がここまで仲良くなった過程とか詳細に書くべき。
【五段階評価】
★★★☆☆
ケータイで読むにはちょうどよかった。

海を忌む日 電気羊氏

【作品集】67
【タイトル】海を忌む日
【書いた人】電気羊氏

 幻想郷に”海”がやってきた。

 ”海”を知らない幻想郷に広がる漠然とした不安。
 そして一つの事件。
 異変といえば博麗の巫女なのだが彼女も当然”海を”知らず、
 彼女も不安の中”海”を知ったものを集め……

 未知の物に対する恐怖というのは、知らない人間にしか解りません。
 話はドラマティックな展開ではないものの、根底にずっとその
未知への恐怖や不安が見え隠れしています。
 果たしてめがっさ怖い話かどうかは、皆さんで読んで確かめてくださいな。

 ポイントは”スワコォ!”
 ★★★★☆ 掌編として十分楽しめる出来です。

初詣は神社に行こう sirokuma氏

【作品集】67
【作品】初詣は神社に行こう
【作者】sirokuma氏
【あらすじ】
大晦日、山の方からは除夜の鐘の音が鳴り響く。今頃守矢神社は、妖怪だらけの博麗神社と違い、人で賑わっているだろう、と遠い目をしながら思う霊夢。
気を紛らわす為、酒を飲み馬鹿騒ぎしようと、箒を置いて足早に母屋に向かう。
途中、背後を振り返ったが、相変わらず人の気は無かった。
【感想】
展開的にはありがちかもしれないゆかれいむ話。
個人的には充分楽しめた。
【5段階評価】
文章★★★☆☆(所々おかしいが、細かい部分なのでそんなには気にならないだろう)
話★★★★★(ベタかもしれないがそれが良い)
総合評価★★★★☆(純粋に楽しめました)

星の見える夜に カブトガニ氏

【作品集】67
【タイトル】星の見える夜に
【書いた人】カブトガニ氏
【内容】
アリスは魔理沙の事が大好き。しかし、魔理沙は霊夢のところに通ってばかり。
魔理沙の気持ちを思い悩むアリスの所に霊夢が現れて・・・
【感想】
シリアスな話かと思えばコメディ要素も強いです。
良くあるマリアリといえばその通りなのですが、作者が書きたい事を書いた!というのが伝わってきました。
ただ、「アリスは魔理沙のことが好きだ。」の一言で魔理沙の何が好きなのか等が書かれていません。
好き一言で片付けるの勿体ないと感じました。
霊夢のメタ発言は予想外。
【五段階評価】
〈甘々〉   ★★★☆☆
〈文章力〉  ★★★★☆
〈総合評価〉 ★★★☆☆

憧れ、尊敬、大好き 喉飴氏

【作品集】67
【タイトル】憧れ、尊敬、大好き 【書いた人】喉飴氏
【内容】
「8時だヨ! えーりん集合!」
師匠の掛け声と共に、手のひらサイズの小さな師匠がたくさん集まってきた。
その数は計り知れない程で、今は師匠の目の前にきちんと並んでいる。
(本文抜粋)
【感想】
師弟の絆を描いた物語。
一行目から繰り広げられる相変わらずのギャグセンスにはくすりと笑わせてもらった。チビえーりんが一体欲しい。
短くもテンポの良さは秀逸で、回りくどい展開も小難しい解釈もなく、すんなり読める。小さいは正義と思わせる作品。
作者の短編は本当に良くまとまってますが、いつか長編も読んでみたいです。
【五段階評価】
文章力  ★★★☆☆
構成力  ★★★★★
読みやすさ★★★★★
和み具合 ★★★★★

毒人形遊び 漢字太郎氏

【作品集】67
【タイトル】毒人形遊び 【書いた人】漢字太郎氏
【内容】
たまたま通りかかった洗面台の鏡を見て、メディスンはドキッとして身を固めた。
鏡を見るのも初めてだった。
(本文抜粋)
【感想】
メディスンが鏡を見る物語。ネタバレを防ぐためこれ以上は書けない。
文字数が少ないが間の取り方が上手く、キレのあるホラーを味わえる作品。想像させる余地を作る手法が非常にあっている。
ただその素朴さのために装飾を省いた文章が若干味気なく感じるかもしれない。
読了してふと後ろを振り返ることが怖くなりました。
【五段階評価】
文章力  ★★★★☆
構成力  ★★★★☆
読みやすさ★★★★★
薄ら寒さ ★★★★★

目撃者の盲人 智弘氏
ある病に苦しむ男の物語。

【作品集】67
【タイトル】目撃者の盲人 【書いた人】智弘氏
【内容】
「だめです! きっとだめなのでしょう! 先生がどこの医者よりも秀でていることは承知しておりますが、しかし、わたしを救うことはできないに違いない!」
(本文抜粋)
【感想】
ある病に苦しむ男の物語。
硬い文章と上等な言い回しは、SSというより小説を思わせる。夜雀と盲人が題材のホラー。読み応えたっぷり。
長文が好みであれば満足させられる作品だが、あまりに濃密すぎるその文体はかなりの読みにくさを感じるかもしれない。
ミスティアの歌が東方っぽい味わいでした。
【五段階評価】
文章力  ★★★★★
構成力  ★★★★★
読みやすさ★☆☆☆☆
男の恐怖 ★★★★★

独特な語り口に緊迫感があって面白い。

【目撃者の盲人】
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1231677087&log=67
【作者】智弘氏
目の見えない剣士が医者の永琳に語っていく形で話が進んでいく。独特な語り口に緊迫感があって面白い。
若干ホラー風味かな?男のキャラもしっかりと立っていて好印象。

そらのしたで~星熊勇儀の鬼退治・伍~ 猫井はかま氏

【作品集】67
【タイトル】そらのしたで~星熊勇儀の鬼退治・伍~ 【書いた人】猫井はかま氏
【内容】
「空を見せてやりたかった奴が居たんだ」
またさっきの――無表情。
空を、どこか遠くの空を見上げる。
「……誰?」
「昔の恋人」
(本文抜粋)
【感想】
勇儀の過去を知ったパルスィの物語。
相変わらずの勇パルを題材にした恋愛の語りには、ニヤニヤがとまらない。分類にオリキャラ表記があるために読まない人もいるかもしれないが、あまり気にならない程度に織り込まれている。
内容も程よくまとまっていて読みやすい。後書きで、自宅がアウェイになっていた魔理沙と二人の温度差は異常。
このシリーズは正直、ずっと続いてほしいと思ってます。
【五段階評価】
文章力  ★★★★★
構成力  ★★★★★
読みやすさ★★★★★
二人の体温★★★★★

紙面裏 yuz氏

【作品集】67
【タイトル】紙面裏 
【書いた人】yuz氏
【あらすじ&感想】
新聞配達をしていた文が博麗神社に差し掛かると、霊夢と萃香が怒鳴りあっていた。
文はいつもの如くスクープの匂いを嗅ぎ付け、二人の間へと入っていく。

シュール。とにかくシュール。まさにyuz氏と言える作品だと思う。
読後はもどかしさによる喉詰まりにご注意下さい。

文章力★★★★☆
構成力★★★★★
志村ー!後ろー!★★★★★

リトルガール 八重結界氏

【作品集】67
【タイトル】リトルガール
【書いた人】八重結界氏
【あらすじ&感想】
冬のうら寂しい太陽の畑にひっそりと、その墓はあった。
阿求は生前の『彼女』を空しく思い、「また来ます」と言ってその場を後にしようとしたのだが……

○○○○のあまりの可愛さに身悶えした。
連作っぽいが、続くかは不明。これは是非とも続いてほしい。

文章力★★★★★
構成力★★★★★
ニヤニヤ★★★★★

人形劇 紅魔城の吸血鬼 神谷氏

【作品集】67
【タイトル】『人形劇 紅魔城の吸血鬼』
【書いた人】神谷氏

【あらすじ】
里の祭で人形劇を上演することになったアリスは、脚本として使えそうな小説を求めて
紅魔館を訪れた。
図書館にそういう類の本があるかどうか把握していない、と答えるパチュリーだが、
「ないならパチュリー様が脚本を書いて差し上げたらどうですか?」という小悪魔の
口車に乗ってしまい、生まれて初めての執筆作業に身を投じるはめになる。

【感想】
「魔道書は書いても小説なんて書いたこともない」パチュリーが慣れない創作活動に
四苦八苦しながらも、脚本を完成に近づけていく様子が良く描かれています。
序盤で人形劇のことを嬉しそうに話すアリスに対し、「他人の楽しみのために知恵を
絞るなんて、まるで理解できないわ」と素っ気無かった彼女が、初めての執筆作業、
そして自分が苦労して脚本を書いた人形劇を観ている観客の生の反応に、どう心情を
変化させていくのか?
それは貴方自身の目で確認してください。

【五段階評価】
文章力★★★★☆
構成力★★★★☆
小悪魔★★★★★

ドールズリュニオン 監督氏

【作品集】67
【タイトル】ドールズリュニオン
【書いた人】監督氏
【あらすじ&感想】
地底を調査するにあたって八体の人形を魔理沙に預けていたアリスは、
そのうちの一体が欠けていることに気付く。
失くした人形は司令塔の「マスター」と違い、
遠隔操作もできず発信機能も持たない「スレーブ」。
不案内な洞窟での捜索を半ば諦めかけたそのときだった。
『たった今感知したわ。八体目の人形……スレーブの四番が、マスターに近づいてきてる』
姿もなく忍び寄る人形、果たしてその正体とは……

静かな恐怖に襲われるサスペンスストーリー。
冒頭でぐっと引き込まれ、ラストまで一気に連れていかれました。
【五段階評価】
文章力★★★★★
臨場感★★★★★
意外性★★★★☆

とても大切なお客様 キロリ氏

【作品集】67
【タイトル】とても大切なお客様
【書いた人】キロリ氏
【あらすじ】
「ほら、やっぱり勘が当たった。
……久し振りだね。とうとうアンタも死んじまったのかい」
三途の川の船着場。
音もなく、漂うようにやってきた幽霊に小町は挨拶をする。
(本文抜粋)
【感想】
三途の河の一場面を描いた物語。
作者の試みを楽しめるかどうかで印象が分かれる作品。
個人的にはもう少し長く捩れさせれば厚みのあるものになったと思う。しかしこの短くも良く抽出された雰囲気と読後の静寂さは良かった。
童話みたいな味わいです。
【五段階評価】
文章力  ★★★★★
構成力  ★★★☆☆
読みやすさ★★★★★
魔女   ★★★☆☆

あたいは大変な約束をしていった 梯子のぼり氏

【作品集】67
【タイトル】あたいは大変な約束をしていった
【書いた人】梯子のぼり氏
【あらすじ】
「こんなとこに人間一人できたら危ないよ、あたいみたいな最強がいるからね。夜になる前に家に帰った方がいいよ」
「……家がどこにあるか分からない」
「あたいには分かるよ。あなたの家はあっちよ!」
「そっち湖なんだけど……」
この女の子は迷子らしい。
(本文抜粋)
【感想】
迷子の女の子を見つけたチルノの物語。
スマートな展開は読みやすく、ラストで明らかになる女の子の正体には作者の発想の良さがうかがわれる。
ただ、題材が面白いものだけに話自体の肩透かしを食らうような薄さが気になる人もいるかもしれない。
チルノと一緒に足腰を鍛えたいです。
【五段階評価】
文章力  ★★★☆☆
構成力  ★★☆☆☆
読みやすさ★★★★★
発想   ★★★★★

地底に埋もれた恋の花 前時氏

【作品集】67
【タイトル】地底に埋もれた恋の花
【書いた人】前時氏
【あらすじ】
 自分には異変を起こすだけの力がない。しかし空が地上に向かって温泉を沸かせ、燐がそこに怨霊を乗せればそれは立派な異変になるだろう。
(本文抜粋)
【感想】
覚の過去と古明寺姉妹の今を描いた物語。
二人ぼっちとなったさとりとこいしの揺れ動く感情と地底異変の解決と共に少しずつ変わりゆく姉妹の愛が味わえる作品。覚という種族の顛末として面白く感じた。
場面が転々と変わるので読みにくく感じるかもしれないが、心情描写が細かく話を理解する環境は十分に整っているので、長い話が苦手な方も是非一読をおすすめしたい。
バラ畑がなくなった代わりに咲いた大輪は彼女の笑顔だったと思います。
【五段階評価】
文章力  ★★★★★
構成力  ★★★★☆
読みやすさ★★★☆☆
恋色   ★★★★★

メイクアップ・あっぷあっぷ 道標氏

【作品集】67
【タイトル】メイクアップ・あっぷあっぷ
【書いた人】道標氏
【あらすじ&感想】
魔理沙と霊夢は早苗がなにかいつもと違う事に気づく。
一体なんだろう?違和感を特定できなかった二人は早苗にこう問いかけるのだった。

「早苗、お前、顔に何かしたか?」
「早苗、あんた、顔に何かあった?」

タイトルでなんとなく想像できるだろうが、それで大体あっている感じ。
ネタ命の作品というより、そのネタから生み出されるキャラ達の会話、空気が良い。
現代と幻想郷のギャップを描きながらも、どこだろうといつの時代だろうと変わらない
十代の少女達をうまく描いていると思う。

まっすぐ魔理沙さん 胡椒中豆茶氏

【作品集】67
【タイトル】まっすぐ魔理沙さん
【書いた人】胡椒中豆茶氏
【あらすじ&感想】
霊夢がお茶を片手になごんでいると、今日も鳥居をくぐって魔理沙登場。
参道を、抉るがごとくの超特急滑空で。

地の文をとことん削ったほぼ会話文だけで構成された作品。
構成力が無く地の文が書けていないというわけではなく、会話文のテンポを大事にしようと感じる作品。
実際、会話のテンポは上手に描けておりシュールでズレた会話がリズム良く進む為
サクサク読めて、クスクス笑える。どんどん混乱しつつもツッコミをする霊夢がとても愉快なのだが
欲を言えばもう少し強いオチが欲しいところか。

阿求道(入門編) 藤村流氏

【作品集】67
【タイトル】阿求道(入門編)
【書いた人】藤村流 氏
【あらすじ&感想】
場面設定がほぼ省略されているけど、おそらくけーね先生の寺子屋に阿求が
招かれ、人妖交えての講義。
その内容は、「人と妖怪との付き合い方」
とても短い話だけれど、全ての箇所に意味がある、美しい話。

個人的に作品の要素を分割しての五段階評価はあまり好きになれる認識手段でないので割愛

ロンサム・ゲンジー 反魂氏

【作品集】67
【タイトル】ロンサム・ゲンジー
【書いた人】反魂氏
【あらすじ&感想】
>その日は割と暇で、アリスはぼんやりと池の畔の亀に腰掛けていた。
>「……って亀!?」

さびしいアリスとひもじい玄爺の短く濃いお話。
ただの布も、見るものからすればいろんな価値がある。
あと魔法の森に自生する土管やハテナブロックに玄爺が翻弄されたり。
頭の中で例のBGMや効果音が響くたびに笑ってしまった。

【五段階評価】
キノコ王国度:★★★★☆

在りし日は紅く染まりて ネコ輔氏

在りし日は紅く染まりて ネコ輔氏

レミリアと美鈴の「らしさ」をバトルを通じて表現した作品

『在りし日は紅く染まりて』  ネコ輔氏

レミリアと美鈴の「らしさ」をバトルを通じて表現した作品で
吸血鬼であるレミリアの強さが堪能できる。しかし美鈴も凄い。
紅魔郷よりもさらに前の荒々しいレミリア

タグにあるように、バトル物

【作品集】67
【作品】在りし日は紅く染まりて
【作者】ネコ輔氏
【あらすじ】
それは、パチュリーの一言から始まった。『レミリアと美鈴がどうやって出会ったのか』という問い掛け。それに、フランも咲夜も興味を持った。二人に一体どんな出会いがあったのか。
レミリアは、少しふざけながらも、語り出す。
その記憶は霞むことなく、今でも鮮明に思い出せるような出会いだった。
【感想】
タグにあるように、バトル物。本気でやりあう妖怪としての美鈴と、吸血鬼としてのレミリアのやりとりは、読んでいて中々引き込まれる面白さがあった。
【5段階評価】
構成力★★★★☆
文章力★★★★☆(純粋に楽しい)
描写★★★☆☆(残念に感じたのは、バトル物だから仕方無いが同じことの繰り返しのようで、読んでいて少しだれてしまった。描写をより様々にすれば、飽きる事なく良かったと思う)
総合評価★★★★☆(バトルに飢えている、妖怪としての美鈴や、吸血鬼としてのレミリアが読みたい方にはおすすめの一つです)

せぷてっと guardi氏

『せぷてっと』  guardi氏

亡き王女の為のセプテットがいかにしてレミリアのテーマになったのか。
基本かっこよく、時にお茶目なレミリアはまさに紅魔館の主に相応しい。
あえて言えば永夜抄のレミリアに近い感じ。

夜中の客 久我&金井氏

『夜中の客』  久我&金井氏

後日談であるがこれ単品でも問題なく読める。
ある晩、霖之助を困らせに来たのは気儘なレミリアお嬢様だった。
急に現れて迷惑をかけていく様子はまさに萃夢想のレミリア。

さとあや 誤爆氏

【タイトル】さとあや
【書いた人】誤爆 氏
【冒頭&感想】
新聞記者として地霊殿までやってきた文。なんとかかんとか取材を始めて、話を聞いていたのだが…。

「……そうだ! 貴女、私と組まない?」
今までの話を完全に置き去りにした文の言葉に、さとりは面食らった。

私理論でさとりを振り回す文と、振り回されながらも文の遠慮無い人柄に好感を覚えるさとり。
しかし、『さとり』の名前が周囲にもたらすものは文の予想以上に大きなものであった……。

ーーーここまであらすじーーー

タイトルで百合の臭いを警戒したのなら間違いである。この話はさとりと文の友情物語。
人里を散策しながら、徐々に打ち解けていくさとりの心境変化が読んでて和む。
オチと締め方も綺麗に終わった印象があるので、読後感がとても良い。
さとりの設定をうまく使った良作だと思う。オススメ。

【五段階評価】
文章力 ★★★☆☆(不可はないが、若干読みづらいかもしれない)
友情度 ★★★★★(天狗は仲間と認めた者への侮辱を許しません!)
総合評価★★★★☆(テンポ良く読めて、すっきりと終われる王道型SS)

幻奏の炎葬(前後編) みづき氏

【作品集】67
【タイトル】幻奏の炎葬(前後編)
【書いた人】みづき氏
【あらすじ】
ある日、幻想郷に不可解な現象が起こりだした。
神社、人里、湖…様々な場所で一晩のうちに建物が建っていたのである。
異変を感じた巫女と魔法使いはそれぞれ原因を突き止めるべく出発した。
【感想】
過去の姉妹の物語と現在の異変の状況が交互に移り変わって話に引き込まれる。
旧作プレイヤーならニヤリとしてしまう部分も。
【5段階評価】
面白さ★★★★★
展開★★★☆☆
構成★★★★★
総合評価★★★★☆

嘘つき紅魔郷~泣きレミリアの為の紅霧異変~  にゃおさん
レミリア・スカーレットは紅魔館当主として皆から畏れられ敬われているが、そんな彼女には誰にも話せない重大な秘密があった。

【作品集】67
【作品】嘘つき紅魔郷~泣きレミリアの為の紅霧異変~ 「お勧め!」
【作者】にゃおさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1231434981&log=67
【あらすじ】
レミリア・スカーレットは紅魔館当主として皆から畏れられ敬われているが、そんな彼女には誰にも話せない重大な秘密があった。
それは、吸血鬼なのに、妖精1匹にかなわないほど弱かったのだ。
【感想】
紅霧異変のif話。2009年8月20日時点でポイント21310、レート12.85という凄まじい評価を得ています。とにかく、ヘタレなレミリアが、博麗の巫女に命を取られないようにハッタリで色々と画策する必死な様子が、一人称でこれでもかと描かれています。
ハッタリだけで生きるヘタレキャラというのは嫌われがちなはずですが、このレミリアにはそういう嫌われる要素がまるでありません(まあ、そういう嫌われキャラが嫌われる由縁となる尊大さが欠片もないから当然ではあるのですが)。
精神的にヘタレなレミリアはいくつも見てきましたが、妖怪としての実力も完全にダメなレミリアは初めて見たのでとても新鮮な気持ちで読むことができました。
そして、そんなレミリアがなぜこれまで無事に生きてこれたかも非常に納得するストーリー構成で、そのバランスの良さがこの評価の高さの所以なのだろうと感じました。

レミリアのヘタレっぷりをご堪能ください。

【作品集】67
【タイトル】嘘つき紅魔郷~泣きレミリアの為の紅霧異変~
【書いた人】にゃお氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1231434981&log=67
【あらすじ&感想】
紅霧異変。その首謀者と目されるレミリアには誰にも言えない秘密があった。

へたれみりあ。こころ温まるコメディです。
レミリアのヘタレっぷりをご堪能ください。

【五段階評価】
★★★★☆

自分は平和に暮らしたいだけなのに、コトがどんどん大事になってくというコメディ作品。

【作品集】67
【タイトル】嘘つき紅魔郷~泣きレミリアの為の紅霧異変~
【書いた人】にゃお 氏
【ポイント】23800
【レート】12.74
(2010/05/17時点)
【あらすじ】
 紅魔異変が起きた直後の紅魔館。館主であるレミリア・スカーレットの心中は穏やかではなかった。
理由は彼女の身体能力。何故か誰にも知られていないが、実は大玉一つ出せないくらい弱いのである。
【感想】
 自分は平和に暮らしたいだけなのに、コトがどんどん大事になってくというコメディ作品。
 カリスマがどこかに飛んで行ってしまったへたれみりゃの作品は数あれど、
身体能力がヘタレで、それを卓越したハッタリで乗り越えていくレミリアは珍しい。
そんな超設定なのに、遣り取りが原作と丸々一緒というのが、自分が一番笑ったシーンだった。
 黄昏作品はどうなるなど、ツッコミを入れる事はいくらでも出来るけれど、それは不粋という物だろう。
【総合評価】★★★★★(この発想は無かった)

メイド喫茶改め従者喫茶・紅魔館  華月さん

【作品集】67
【作品】メイド喫茶改め従者喫茶・紅魔館
【作者】華月さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1231731652&log=67
【あらすじ】
メイド喫茶は絶好調。メンバーを追加して2号店もオープンした。
【感想】
天子とメイドという組み合わせも印象的ですが、それ以上に、SSでは珍しく本当に空気の読める大人の女、衣玖がかっこよく描かれていました。
やはり、文がだらだらしているのが気になったり、いくら何でもセクハラを敢行しようとする男が多すぎだろうというツッコミはありますが、あくまでメイド喫茶で働く東方キャラたちを楽しむSSなのでさして問題ありません。

ちょっとオトナの幻想郷  白 氏

【作品集】67
【タイトル】ちょっとオトナの幻想郷
【書いた人】白 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1231463066&log=67
【ポイント】12240
【レート】13.4
(2010/09/04時点)
【あらすじ】
 白玉楼客間で酒を酌み交わす幽々子と紫。真面目な部下を持つ二人、酔いが回って従者弄りをし始める。そして紫の無茶振りに幽々子が援護射撃をし、万事休すとなってしまった藍は禁断の言葉を口にする
「そうですねー……じゃ、夜も更けてきましたし、ここは一つ、猥談なんかやってみませんか?」
【感想】
 あーやっちゃった。といっても作者ではない。やっちゃったのは藍様。無茶振りに窮した結果、急場しのぎで出した話題が相手の知らないネタだったり、敏感なネタだったり、予想以上に食いつかれたりと、あらぬ方向へ展開し、引くに引けなくなってしまったなんて事、経験した人は結構いるはず。そして、話が盛り上がったから調子乗って痛い目に遭うというのもよくある話。酒の席でのスベッた会話というものがリアルに描写されていて、笑える作品だった。
 なお、猥談の描写は完全カットされていますので悪しからず。
【長さ】.   短□■□□□長 (19KB 短編と中編の中間くらい)
【構成】     ★★★★★ (収集つかなくなるタイプのギャグ。オチまでしっかり付いた完成度の高い構成)
【描写】     ★★★★☆ (藍の一人称。酒の場というのが分かる、テンション高めの描写)
【総合評価】 ★★★★☆ (気軽に読めるギャグ。清純派紫が好きなら★5)

やまのぼり  毛玉おにぎり 氏

【作品集】67
【タイトル】やまのぼり
【書いた人】毛玉おにぎり 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1232220222&log=67
【あらすじ&感想】
ほうらいさんほうらいさん。 おやまのてっぺんなにみえる?
兎たちが蓬莱山に登るだけの話です。

タグに絵本風とある通り、ほんわかのほほんと和む話。
さっくり読めてほのぼのしたい人にお勧め。
個人的に、最後の一人が登る直前の光景は是非とも見てみたい。

【五段階評価】
★★★☆☆(親が寝る子に読み聞かす昔話のようでもある)

さとり妖怪との接し方  鳩氏

【作品集】67
【タイトル】さとり妖怪との接し方
【書いた人】鳩氏
【あらすじ&感想】
原作での関わりがないはずのさとりと霖之助が上手く書かれている多くの人が知っているであろう名作。
このSSでさと霖に目覚めた人も多いはず。
【五段階評価】
★★★★★

廃屋に潜む妖蝶  電気羊氏

【作品集】67
【タイトル】廃屋に潜む妖蝶  【書いた人】電気羊氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/67/1231848303
【あらすじ&感想】
 私の主な収入源がなぜかお賽銭だと思われているようだけど、それで生活できるわけがないでしょ。普通に考えて。

 上の序文で始まる霊夢の妖怪退治の話。ただしオチがある。
 みんなもゆかりんとキャッキャして遊ぼうぜ! 下品な話はイヤという人は読まない方がいいかと。
【五段階評価】
 ★★★★★