作品集210

Last-modified: 2016-03-18 (金) 08:11:45
At last

【作品集】210
【タイトル】At last, they are ...
【書いた人】monolith氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/210/1454849073
【あらすじ】
さとりと霊夢、そして時たまやってくる来訪者達とのゆっくりとした日常、その行く先。

あとがき部以外がすべてさとり視点で書かれているというちょっとばかり変わった風味の作品。
セリフもさとり自身以外一切なく、会話の内容も彼女の代弁もしくは反応から想像するといったところ。
そしてそれを利用した伏線と結末もあり、その辺はよくできてると思う。
いい感じにさとれいむもしていて、あるシーンのさとり様にドキッとしてしまったのは内緒。

ただその書き方を大事にしすぎているせいか若干テンポや読みやすさが犠牲になっている様子。
読者に頼りすぎてやや状況が分かり辛かったり、ちょっと急ぎ過ぎてるのか後半部分が「ん?」と感じた。
ありがちな結末ではあるけれども、さとりの能力というのをおもしろく使った作品だと思う。

「やめなさい、こいし!」  Wolke氏

【作品集】210
【タイトル】「やめなさい、こいし!」   【書いた人】Wolke氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/210/1453952857
【あらすじ&感想】
さとりとこいしの過去話。
幻想郷ができるよりも昔、地上にいた二人は
地霊殿の主の気が触れたという噂を耳にし、それを見に行く。
(能力の拡大解釈あり。)

なんというか、いろいろ惜しい気がする作品。アイデアは良いと思うのだが……
作中にちりばめられた蘊蓄の出来は悪くはないと感じるのだが、
作品の本筋であるシリアスな部分を盛り上げるようには働いていないと思った。

どうも上手に感想を表現できた気がしない。時間がある人はよければ読んでみて欲しい。

看板娘を広告塔に  くろさわ氏

【作品集】210
【タイトル】看板娘を広告塔に   【書いた人】くろさわ氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/210/1455808033
【あらすじ&感想】
非常にあらすじをまとめづらいと感じた作品。というわけで感想のみ。

文章は読みやすく、すらすら読めた。
キャラクターの性格や行動も作中において破綻していると感じた部分はなく、そういう点でも読みやすかった。
ただ、作品としての山場は戦闘のシーンかなと推測するが、ちょっと盛り上がりに欠けるように感じた。
最後も明確な落ちがなく終わってしまった印象だった。

やはりうまく表現できた気がしない……
何十kB、何百kBもの作品を創作する人ってのはすごいもんだと思う。

境の無い国  泥船ウサギ氏

【作品集】210
【タイトル】境の無い国   【書いた人】泥船ウサギ氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/210/1455889233
【あらすじ&感想】
紅魔館の門番が人里の武芸者からの挑戦を受けて試合をしているという話を
耳にした聖白蓮が紅美鈴へ文を送り、命蓮寺にて組手が行われることになった。
最初は穏やかな組手だったのだが途中からヒートアップしていき……

ほぼ全編がバトル。あらすじに書いた武芸者の挑戦話もそうだが、書籍も含めた原作要素が
あちこちに盛り込まれている。
バトルの描写は個人的には非常に良いと感じた。一気に読める。
ただ、タイトルにある「境の無い国」に関する部分はちょっと消化不良に感じた。

髪を切る音  泥船ウサギ氏

【作品集】210
【タイトル】髪を切る音   【書いた人】泥船ウサギ氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/210/1455028160
【あらすじ&感想】
室内にハサミが髪を切る音が響く。
短い時間に髪が伸び成長する人間の髪を、変化の少ない幻想が切っていく。
穏やかな時間の中でお互いの違いを感じながら他愛無い会話をしながら。

穏やかなながらたしかに流れていく時間を感じられる優しい作品
切られる側は咲夜、魔理沙、妖夢、早苗、霊夢というラインナップ
読んでいると「今まで」と「これから」のことを想像せずにはいられない
よくある「人と妖怪」というテーマの作品ながらもきっと優しい未来が待っているだろうと思わせてくれる
文量も多くないのでさっと読んですっきり穏やかな気持ちになれる良作

(LOVE and CRAZY)   kiki氏

【作品集】210
【タイトル】(LOVE and CRAZY)   【書いた人】kiki氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/210/1455216238
【あらすじ&感想】
■勉強しか取り柄もない暗く地味な彼女は夢を見ていた。向かい合う少年と話すうちに感情を爆発させたあと、意識は現実へと戻っていく。四月二日の、爽やかな朝に。

 

◇感想◇頭イか蓮子。暗いイメージが定着した(?)通りな秘封倶楽部。妄想に囚われてるとしか思えない蓮子と、そんな彼女に惹かれているメリーがgood。
二人分の視点があり、物語が進むうちに変化していく感情が混ざり合っていく様が面白い。タグにある通り人によってはグロとなるような展開もあるが、比較的明るめなメリー視点もあるので個人的には気にならなかった。
使い古されている手法かどうかはさておき、ライトな秘封好きなら楽しめる作品だと思う。逆に、ヘビーな秘封好きは展開が読めるなどの可能性や物足りなさもあるかもしれないと付け加えておく。

【五段階評価】
★★★☆☆

ラスト・ロール  蛮天丸氏

【作品集】210
【タイトル】ラスト・ロール
【書いた人】蛮天丸氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/210/1454254216
【あらすじ&感想】
■紫がいなくなった――その連絡を受けて駆けつけた蓮子は、狼狽し、泣き疲れたメリーをよそに冷めていく。東京での講義に返事をした彼女は、時代に取り残された生家で絵本を見つける。それは、メリーのマンションで見たものと同じものだった。
過去と未来、夢と現の狭間は繋がって、物語は、終わりへと歩んでいく。

 

◇感想◇秘封沼。責任取れと言いつつも謝礼してしまう。めっちゃ面白いの一言に尽きるシリーズ最終作。シリーズと知らずに手に取ったが問題なく読める。ただ、追いかけていたら、はじめから読んでいればもっと楽しめたのではないかと、読了後に思ったり。
まだの人は最初から読むことも一考してはいかがかな、と勧めておく。
90数kbのなかにとんでもなく夢が詰まっていると感じた作品で、多分、100近いサイズに長いと思っている人にも短く感じられると思う。とにかく読みやすい。
もしシリーズ一作目から読んでいればこのレビューに書き込む内容は爆発的に増えていたかもしれない(過去作での繋がりや伏線なども回収されている節がみられたので)。
人の繋がりや夢の終着点を基盤にして、秘封倶楽部の終わりとはじまりが綴られた本作は、読み進めるうちに色々なことを思い起こさせ、想像させてくるパワーがある。読み終わりに胸を締め付けてくるような切なさは、作中で語られる夢の終わりのようで、しかし温かい。
かなりの熱弁してると自覚して書かせていただくが、秘封好きも秘封をよく知らない人も、まだ手にとっていないのであれば、是非、一読をお勧めしたい。
【五段階評価】
★★★★★
五段階じゃぶっちゃけ足らないです。

曇り屋上のとおりゃんせ  図書屋he-suke氏

【作品集】210
【タイトル】曇り屋上のとおりゃんせ
【書いた人】図書屋he-suke氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/210/1455381199
【あらすじ】
世間がバレンタインに向けて色めくころ、宇佐美菫子は相変わらず周囲の人間を別種の生き物として距離を置き、しかしさりとて不幸でもなく日々をやり過ごすことに徹していた。まるで冷えきった家庭、色あせた生活のなかで鮮やかな幻想郷だけが彼女のリアルだと言わんばかりに。
そんなある日、菫子がいつものように授業中の居眠りで幻想郷へ行き、そこで偶然にもレミリア・スカーレットに出会う。それは過去と現実をつなぐあたたかな運命との邂逅でもあった――
【感想】
穏やかで温かい気持ちになれる良作でした。そしてやや変化球気味ながらもストレートな構成も上手い。屋上遊園地、間抜けなとおりゃんせのメロディという組み合わせが非常に郷愁を呼び起こします。
菫子らしい生活感がいいです。うまく現実社会と折り合いをつけつつも遠いところにいて、内心で人間そのものを見下していたりする感じが個人的にはいかにも菫子なリアルさがありました。
終盤で静かながらも暖かかった兄とのつながりを思い出した菫子は「こんなことでなにかかわるわけではないけれど」と諦観気味でしたが、いまだに兄は遠巻きながらも気にかけている(たぶん)。そんな二人の距離感に雪解けの予感を感じました。そもそも回想場面でもすでに母親に期待していない部分があるようなので、彼女の家族に対する感情はデフォルトで諦観なのかもしれません。なんともいじらしいです。
少し惜しむことがあるとすれば、お話のテンポの都合もあるでしょうし的外れかもしれませんが菫子の内面描写に関して、菫子にとっての現実世界は描写があったのですが、彼女の内面において幻想郷はどのような位置付けをされているのかという部分がもう少し見たかったです。

私は図書屋氏のこれまでの作品ではこれが一番好きです。これからも応援しています。
ところではんぺんと名付けられた妖精はいったい何をしてはんぺんになったのでしょうか。