親主・束片割楚誥

Last-modified: 2018-04-01 (日) 19:55:26
魔理沙IN火星  あどそ氏

【作品集】親主・束片割楚誥
【タイトル】魔理沙IN火星  【書いた人】 あどそ 氏
【URL】 ttp://coolier.dip.jp/sosowa/2018ssw/1/1522514925
【あらすじ】
それは『第37回幻想郷ドリル掘削ブラジル到達タイムアタック』での不幸であった。
魔理沙は何としてでも勝利を得ようとして、マシンのアクセルを踏み込みすぎたのだ。
勢い余ってブラジルを通り過ぎて、ブラジル発のスペースシャトルとなり、まさかまさかの火星へと至る。

 

「エンジニアはいないのか?!」

 

居るわけがない。居るわけがないのだが、やがて超大型のタコと邂逅して――。
【感想】
火星タコと未知との遭遇を果たす魔理沙のSS。
素敵なオチでした。コメディとメルヘンを巧い具合に融合なさっています。
文体は簡便に、しかし氏の個性を失わぬまま、愉快に軽妙に進んでいきます。
個人的には、やはりヘルメットのくだりが好きですね。テンポが良い。

東方創想話の作者さん1/138人が『爆発音がした』を実際に書いた  図書屋he-suke氏

【作品集】親主・束片割楚誥
【タイトル】東方創想話の作者さん1/138人が『爆発音がした』を実際に書いた  【書いた人】 図書屋he-suke 氏
【URL】 ttp://coolier.dip.jp/sosowa/2018ssw/1/1522520921
【あらすじ】
スペルカードルール公布からこっち、弾幕ごっこの隆盛を横目に、花火師達が奮っている。
夜空の華を奪われまいと、春夏冬の隆盛を願い、今宵もまた花火が上がる。
空は折りしも星朧、春宵一刻値千金、一夜一夜の華見頃。
誰へ向けての花火なりや、誰への御奉謝の花火なりや。
【感想】
幻想郷の空を彩る花火を以って返礼としたSS。
実にノスタルジックな雰囲気でして、こういうのを粋と呼ぶのでしょう。
文体は全体的にリズムが調えられており、気持ち良く読み進めることができます。
空の花火を従えた幻想郷の夜桜は、きっと日々にも増して誇らかに見えたことでしょう。

からかい上手のパルスィさん  たいだりゅうなみ氏

【作品集】親主・束片割楚誥
【タイトル】からかい上手のパルスィさん  【書いた人】 たいだりゅうなみ 氏
【URL】 ttp://coolier.dip.jp/sosowa/2018ssw/1/1522534191
【あらすじ】
今朝から目が見えていない、とパルスィが思い付きに口にした嘘は勇儀以外の全員にバレていた。
もちろん悪意あってのものではない。ただ悪戯めいた挑戦である。
それ故に、その嘘は勇儀を眼目としたことが見え透いていたらしい。
鬼の反応を面白がってだろう、さとりやヤマメも彼女の嘘に左袒して――。
【感想】
鬼に可愛らしい嘘をつく橋姫の、実にエイプリルフールらしいSS。
地底の妖怪達の仲の良さが小気味良い雰囲気を醸しております。
文体は、文章の端々にどこか詩的な叙情を備えたものといった印象です。
最後の爆発の規模は分かりませんが、きっと大きいほど楽しいものでしょう。もちろん小さくても素敵ですが。

あなたの街のヴォイニッチ  長久手氏

【作品集】親主・束片割楚誥
【タイトル】あなたの街のヴォイニッチ  【書いた人】 長久手 氏
【URL】 ttp://coolier.dip.jp/sosowa/2018ssw/1/1522516839
【あらすじ】
ある晩のこと、暖簾を仕舞った店にて、小鈴は明暗を読んでいた。
やがて、とうに締め切られた表戸をノックする音が聞こえてくる。
読書を邪魔されて不機嫌に、しかし他所行きの表情を作って応対する。
星の綺麗な空の下、通りに立っていたのは獏と鷺であった。
【感想】
小鈴に筆談の文章を読んでもらおうとする獏と鷺のSS。
短篇でありながら、二人の仄々とした愛情が深く伝わってきます。
ぶっちゃけどういう仕掛けなのかと考え込んでしまいましたが、難しく考えすぎてたみたいですね。
でも他人のラブレターを読まされた小鈴の不機嫌は分からないでも――まあ仕事と思えば悪くはないかと。

触れてはならない、爆発するぞ!  お客さん氏

【作品集】親主・束片割楚誥
【タイトル】触れてはならない、爆発するぞ!  【書いた人】 お客さん 氏
【URL】 ttp://coolier.dip.jp/sosowa/2018ssw/1/1522547050
【あらすじ】
芸術の季節が訪れた幻想郷で、一人の老人が絵を書いている。
友はなく、誰にも相手にされず、太陽光を拒み、自然を嘲笑いつつ、それでも自然を描く。
遂には追いやられた湖畔のキャビンで、なおも妖精に追いやられる妄想に取り憑かれる。
絵はやがて完成するだろう。幽かな光が、老人に迫っていた。
【感想】
おそらくエドガー・ドガの老境を描写した、偉大な芸術家のSS。
戦争で眼病を患い、その曖昧な世界で、彼は一体何を見ていたのでしょうか。
その文章構成は、氏なりに噛み砕いてはいるのでしょうが、端々にポール・ヴァレリーの印象が垣間見られます。
中でも最後の台詞は白眉であったといえましょう。実に楽しませて頂いた。非才ゆえに不悉ですが、以上です。