コンペ第12回

Last-modified: 2013-12-14 (土) 19:18:28
続・竹取物語  みすゞ氏

【作品集】第十二回東方SSこんぺ

【タイトル】続・竹取物語  【書いた人】みすゞ氏
【URL】ttp://thcompe3.hiho.jp/compe12/1/1382885991
【あらすじ】
「これはお前の罰なんだ!」
そう言ってしつこく追い回してくる妹紅に嫌気がさして竹林を逃げる輝夜。
その最中、彼女は一本の光る竹を見つけた。
まるであの日のお伽噺のように竹から生まれ出た一人の赤ん坊を、輝夜は気まぐれから竹子と名付け、育て始める。
永琳が留守の永遠亭で、みんながいっぱいいっぱいな中、輝夜は子育てを通して少しずつ成長していく。
だが、その先に待つのは輝夜の過去にもまつわる衝撃の事実だった。
竹子の正体とは。そして妹紅の言う『罰』の意味とは――

【感想】
序盤は少し情緒不安定な姫様でイライラしてしまうかもしれませんが、読み進めていくとだんだんと絆のようなものを感じられます。
輝夜の子育てにも深く絡んでくる妹紅のエピソードや、永琳が帰還してからの怒涛の展開も、よく練られているなと素直に感心しました。
読み終わった後にスッとタイトルの意味を知る、丁寧で綺麗な作品です。

バット to リップ -あなたとわたしの為のあなたとわたしの短編集-  綾加奈氏

【タイトル】バット to リップ -あなたとわたしの為のあなたとわたしの短編集- 【書いた人】綾加奈氏
【URL】ttp://thcompe3.hiho.jp/compe12/1/1382883533
【あらすじ】
私たちは秘封倶楽部。今を時めく高校生。
今日も二人で不思議を探す。
今日は前々から企画していた、学校の七不思議を探してみよう。
学校に隠された不審な部分、それを突き詰めることで、私たちは隠された学校の地下へと入っていく。
そこは――常軌を逸した世界だった。

【感想】
まず初めに、この小説の作者は宇佐見蓮子です。
蓮子が自分たちをモデルに書いた短編集、というスタンスでいくつかの短編が連なっています。
最初のエピソードが色んな意味で狂っているのでここで逃げた人も多いかとは思うのですが、最後まで読み終わると蓮子がこの短編たちを書いた真の意図、真に込められた願いが理解できます。最初のエピソードも、また違った見方をすることができるでしょう。
また、これはリアルタイムに参加した者ならではですが、一か月後に公開されるコメント欄という要素を仕掛けに使い、本編で伏せられていた一つの情報が、全てが終わった後に開示されるという仕組みもありました。
点数評価を度外視した仕掛けですが、徹頭徹尾蓮子に徹し、このような仕掛けまで施した作者を尊敬します。
点数評価では10位から外れてしまいましたが、Rate評価では点数評価でのトップ2に続く堂々の第3位。それも頷ける完成度です。

嘘を一滴、宵闇に溶かして  道端氏

【タイトル】嘘を一滴、宵闇に溶かして 【書いた人】道端氏
【URL】ttp://thcompe3.hiho.jp/compe12/1/1382869472
【あらすじ】
ルーミアが夜空を飛んでいると、人間の少女が倒れているのを見つけた。
食べようかと思っているうちに少女が目を覚ますが、食べようとしても恐怖の欠片も示さない少女に食欲が失せる。
ならばもっと自分好みの食材に育ててしまおう、と、どーでもいい思い付きから、ルーミアの子育て生活が始まった。

【感想】
めんどくさがりでクールなルーミア。いつもの無邪気な彼女とのギャップを堪能しましょう。
妖怪が人間を育てることのむずかしさや、人間との新たな関係を模索するミスティアとの会話。
そして二人の生活の終焉と、少女の正体。
若干エピソード不足の感も否めませんが、一つの異説としてはなかなか面白いです。
ラストで原作につながりながら、お互いに決めたことを実行する二人が、何かグッときました。

虚実幻想~Veritas mendacium  ナルスフ氏

【タイトル】虚実幻想~Veritas mendacium 【書いた人】ナルスフ氏
【URL】ttp://thcompe3.hiho.jp/compe12/1/1382831469
【あらすじ】
文はネタを探して飛んでいるうちに、ついつい三途の川まで出てきてしまう。そこで出会ったボロを纏って釣りをする人物。
それはなんと四季映姫だった。
「私、閻魔クビになっちゃったんですよ」
とんでもない発言に度肝を抜かれる文。聞けば浄玻璃の鏡をなくしてしまい、見つけるまで彼岸に帰れないという。
鏡の捜索はナズーリンに投げつつ、鏡なしでは嘘の一つも見抜けないダメ閻魔に、文は嘘の真髄を教え込もうと決意する。
しかし、映姫には人に言うのも憚られる、ある秘密があったのである。

【感想】
ギャグです。映姫様が脱ぎます(重要)
映姫がボケで文がツッコミという不思議ワールド。キャラ付けの濃さやギャグというスタンスゆえに、人によってかなり好みが分かれる作品とは思われますが、少し下品でお馬鹿なノリが好きな人なら、見て損はない作品だと思います。
文と映姫のコンビや、こころと小傘と赤蛮奇というトリオなど、新鮮な取り合わせも個人的にはなかなか面白かったです。
終盤のストーリーのまとめ方も綺麗でした。