コンペ第4回

Last-modified: 2011-03-11 (金) 16:34:46
上白沢慧音の事件ファイル 「縦穴の怪」 Looser氏

上白沢慧音の事件ファイル 「縦穴の怪」 Looser氏
 
道を歩いていた慧音先生。見つけた穴の中にいたのは……?
タイトルの通り慧音が穴の中の謎について推理する短編ギャグ。軽い読後感が好印象でした。
駄目なけーねと言うと、大体「もこーかわいいよ」とかを思いうかべるでしょうが、
このけーねさんは所謂壊れではありません。しっかりけーね先生です。しかし駄目駄目です。どうしようもないです。
何が駄目駄目なのかは是非ご自身の目で。スナック感覚で楽しめるいいギャグだと思います。

東方埋騒夢  鼠@石景山氏

【SSこんぺ】4(題『穴』)
【タイトル】東方埋騒夢
【書いた人】鼠@石景山氏
【あらすじ&感想】
>「あらためてようこそ地上の人。私はこの城を預かる者。
>故あって名乗る事の出来ない身だが、ご理解頂けると助かる」

やたらおいしそうなピクニック描写と「おむすびころりん」から始まる、霊夢と魔理沙と夢の国の王様のお話。
『赤ズボン』『白手袋』というキーワードからもわかるように彼は例のネズミの王様。
題材からしてギャグにしかなりそうにないのにしかしその内容はシリアスで、
彼は人々の笑顔を求め、霊夢たちに己の夢を話し、果てはスペルカードで戦ってしまう。
もはやオリキャラの域に達しているというのにそれを鼻につかせない文章、
そして「おむすびころりん」を出オチでなく冒頭以外にも活用していることに好感。
スペルカードの描写は特に秀逸で、私はその描写を読んだ時、
あの音楽・あの行列が闊歩する様を思い出して心が震えた。
スペルブレイクの方法が単なる力押しではないことも含めて、戦闘描写の光る作品。

残念なのは「長すぎるから」という理由で省かれたボツネタがあること。
たしかに現時点でかなり大作だけど、個人的にはこのネタを全て読みたかった。
読了後、こんなにディズニーランドに行きたくなるSSは初めてだった。

Spirited Away  反魂っ! 氏

【第四回コンペ】
【タイトル】Spirited Away
【書いた人】反魂っ! 氏
【サイズ】109.82KB
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe05/?mode=read&key=1179014194&log=0

【あらすじ&感想】
 妖精が徐々に減っている。初めに気付いたのは、チルノだった。
彼女の必死な主張を、ミスティアたちは笑い飛ばす。それは、
今までもそしてこれからも、ずっと続いていくはずの『日常』だった。
 そのころ、秘封倶楽部の二人は、研修旅行と称してアメリカへ。
二人を待ち受けるのは、かつて冒険者を呑み込んだ曰く付きの洞穴。
そこに踏み込んだ彼女たちが見たものとは?

 

 あくまでいつもどおりの幻想郷。違和感の正体にも気付かぬまま、
ごく自然に×××××して(されて)いく彼女らの描写にはぞっとさせられました。
作中でメリーが大体説明してくれているので、読了後に
「誰の望みがこれを引き起こしたのか?」
ゆっくり考えてみてもいいと思います。

【五段階評価】
★★★☆☆(3.5ってどうやってつけるんですか? 大体そのくらい)

現実と幻想の戦  灰次郎 氏

【第四回コンペ】
【タイトル】現実と幻想の戦
【書いた人】灰次郎 氏
【サイズ】115.54KB
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe05/?mode=read&key=1179009925&log=0
【あらすじ&感想】
 外界で開発された対月人用兵器が暴走し、幻想郷に入り込んだ。
高度な人工知能を搭載したそれらは、幻想郷の各地を襲撃する。

 

 冒頭の説明に筋が通っていたためそれなりに期待して読み進めましたが、
肝心の「戦」部分はなんだかなあ、としか思えませんでした。
舞台が幻想郷のあちこちに移るため、一人一人の描写がおろそかになっていて、
いまいち感情移入できませんでした。
 ほとんどの戦闘シーンで、戦闘描写に終始していて心情が書かれていないなど、
全体に淡白な印象を受けました。

【五段階評価】
★★☆☆☆(心のスキマが広い人向け。)

coma  レグルス 氏

【第四回コンペ】
【タイトル】coma
【書いた人】レグルス 氏
【サイズ】297.36KB
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe06/?mode=read&key=1202687853&log=0

【あらすじ&感想】
 数百年前の外界。河城 にとりは、自らを水神として崇める人々と共に、平和に暮らしていた。
しかしある日村を襲った、突然の増税。いきり立つ村人たち。皆の意見は、急速に一揆に傾いていく。
実はにとりには、この問題を強制的に解決させる方法が合った。
彼らを人殺しにしたくない。しかし、苦しんでいる彼らを見るのも嫌だ。究極の選択の間で揺れ動く彼女が、最後に選ぶのは。

 

 あらすじで書いた以外に、実は裏で割ととんでもないことが起きていたりするのですが、それに対して
主人公のにとりが直面している問題が軽すぎるような気がします。
といっても、表裏一体の一つの事件を複数の視点で見ているだけですが。

 題材の一つに『竹取物語』がありますが、その名前を連呼している割には内容にあまり触れられていないのが残念でした。
また、「コンセプト」「リードする」などの時代設定にそぐわない単語が(ネタ以外で)ちらほら出てくるのも、個人的には気になりました。
 話のあちこちに、細かいねたが仕込まれています。こーりんのふんどしネタなど、嫌いな人もいるかもしれないネタがありますが、全体にセンスが良いと思いました。

【五段階評価】
★★☆☆☆(暇なら読んでも良いと思う。)

『Alice』  宵闇むつき 氏

【第四回コンペ】

【タイトル】『Alice』
【書いた人】宵闇むつき 氏
【サイズ】106.84KB
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe06/?mode=read&key=1201950311&log=0

【あらすじ&感想】
 ひょんなことからアリスが迷い込んだのは、ありえたかもしれない、もう一つの幻想郷。
一見して何も変わっていないように見えたその世界には、一つだけ大きな違いがあった。

――霧雨 魔理沙が存在していなかったのだ。

 

 こんな煽りを書いておいて恐縮ですが、本筋とはあまり関係がありません。
注目すべきは、魔理沙が存在しなかったことによるいくつかの差異。
これらが引き起こすのは、ある親子の愛情と、一人の少女の成長の物語です。
 やけに簡単に元の世界に戻れたり、ご都合主義な展開がないでもないですが、
それが気にならないほどに格好いいアリスさんでした。

関係ないけど絶対この作家さん40代

【五段階評価】
★★★★☆(旧作が好きなら文句無く★5です)

この青い空の下、君の隣に。  宵闇むつき 氏

【作品集】第4回こんぺ 【タイトル】この青い空の下、君の隣に。
【書いた人】宵闇むつき 氏  【長さ】■■■□□(56KB ボリュームある中編)
【あらすじ】
 結界に穴が空いている場所を見つけた魔理沙。
興味本位でその穴から外の世界へ出掛けるが、戻ってきたときにはその穴は閉じてしまっていた。
【感想】
 黒い。これは非常に黒い。作品投稿から4年が経過した現在も未だに度々話題に出るのも
頷けるくらいのダークな作品。出だしの展開は結構よくあるパターンだけれど、そうは簡単には終わらない。
 読んだ当初は、魔理沙が外の世界で過ごした部分が少ないと思ったけれど、
魔理沙が外で過ごした部分でなく、その後の部分がメインと考えるとこの位でも良かったのかなという気はする。
解説の部分が結構長くて解説っぽい文章になってしまっているんだけれども、
逆に、それだからこそ話にオチがついたと思って一息ついてしまうから、
その次に控える、物語の本当のオチが際立ったのだと思う。
【構成】   .  ★★★★☆ (出だしは良くある感じだけど、その後の展開は急展開)
【文章】   .  ★★★★☆ (世にも奇妙な物語の雰囲気が漂う魔理沙の一人称)
【お題消化度】 ★★★☆☆ (水準程度。最初の部分以外に穴が絡まないのでこの評価。)
【総合評価】  .★★★★☆ (ダーク好きは+1、ダーク苦手な人は-1)