コンペ第8回

Last-modified: 2013-09-08 (日) 15:35:29

お題:雨

 
There will come soft rains  Wish you were here? 氏

第八回東方SSコンペ
【タイトル】There will come soft rains
【書いた人】Wish you were here? 氏
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1256457435&log=0
【登場人物】アリス・マーガトロイド とその人形たち
【物語の傾向】ほのぼの
【あらすじ&感想】
 
  パタンパタンパタン、パタパタパタ・・・

 少しずつ、しかし性急に参加者が増えていく

 そして、例外無く踊りまわる、走りまわる、歌い尽くす!

  バチンッ、バタバタ、トトンチントンテンシャン、シャンシャンシャン

 さぁさ、舞踏会のはじまり!はじまり!(本文中より)

 上のような少々凝った擬音がたくさんあって人によっては読みにくいかもしれない。
 けどそれが逆に幻想郷らしく、合う人にはぴったりはまる。
 お話というよりは詩といった風合い。お題の使い方はかなり良い。
 アリスの楽しそうな雰囲気が伝わってきたので、表現力がある作者さんだなと感じた。

雨に詠えば  新戸 氏

第八回東方SSコンペ 
【タイトル】雨に詠えば
【書いた人】新戸 氏
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1256583018&log=0
【登場人物】八雲一家 ヨシズミ(特別出演)
【物語の傾向】ほのぼの 五七調
【あらすじ&感想】
 ジャンキー・藍。
 橙なら格好ついたのに。

(本文より)

 うまい! と感嘆してしまうような作品。
 全体を通して短歌のリズムが意識されており、さらっと読めてしまった。声に出すとなお良し。
 ストーリーはどこかシュールでユニークな印象。
 じっさい紫はこういうことをしていそうなイメージができたので、ほんと、お見事です。

スウィート・レインを唱えて  やぶ⑨ さん (PNS さん)

第八回東方SSコンペ
【タイトル】スウィート・レインを唱えて
【作者】やぶ⑨ さん (PNS さん)
【本文容量】30.9KB
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258814492
【登場人物】アリス パチュリー
【物語の傾向】思い出話
【あらすじ】
魔理沙の死。
アリスはパチュリーから伝えられ、初めて魔理沙が亡くなった事を知る。
人間でありながら魔法使い、魔法使いでありながら人間だった彼女。
二人はいなくなってしまった彼女の思い出を語りあう。
そう、雨が降り止むまで。

【感想】
人間である魔理沙には、いつか死が訪れます。
それだけ聞くと、ありふれた話のようですが、意地を張りながらも魔理沙を想うアリスの心情をとても丁寧に描いていることが印象的です。
死別物が苦手な方にも最後まで読んでもらいたい作品です。
降りしきる雨がスウィート・レインであることがわかるはずですから。

【五段階評価】
文章★★★★★
構成★★★★★
水符『スウィート・レイン』★★★★★
総合評価★★★★★

なにか気怠い朝のこと  大崎屋平蔵 氏

第八回東方SSコンペ 
【タイトル】なにか気怠い朝のこと
【書いた人】大崎屋平蔵 氏
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1257429158&log=0
【本文容量】 17.3 KB
【登場人物】 霧雨魔理沙
【物語傾向】 ぼーっと 雨の日の朝の光景
【あらすじ&感想】

 柔らかな金髪が揺れる。好き勝手に暴れ、ふわっと膨らんだ黄金色のそれは、どこか太陽の光を食べるものの様に思えた。
 トレードマークの帽子も、黒いローブも羽織っていない、白い下着だけの姿。”魔法使い”にならない、人間としての姿。
 寝惚けた目で、ぼうっと周囲を見回している。

(本文より)

 さあて、起きるか……。
 そんな誰でも経験したことのある朝の話。
 たくさんの比喩がちりばめられた、芸術的な文章。
 一方で内容はリアルな人間の姿を書ききっているので、共感できる部分も多いと思う。
 こんな彼女を見るのもまた、おつであるといえよう。

雨の日は幽×空!(製品版)  おしお氏

【作品集】第八回東方ssこんぺ
【タイトル】雨の日は幽×空!(製品版)
【書いた人】おしお氏
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258815039&log=0
【あらすじ&感想】
「ホント、「『雨の日はユウウツ』、なんて誰が決めたの?」って感じね」
 どしゃぶりの雨の日、黒翼の少女は楽しげに踊っていた。白い日傘の少女はそんな彼女に、そっと近づき声をかける。

 始終ハイテンションで突き進む壊れギャグ。しかしキャラの作中での行動原理や思考法は一貫しているので、
単に壊れと言ってしまうのもどうかとは思う。
 これからギャグの成分抜いたらかなりいい話になるんじゃあないだろうかと思わせるだけの構成力、文章力にも拘らず、というよりそれだけのものがあるから映えるのだが、物語の構成要素を全て茶化すという暴挙には(無論、いい意味で)頭を抱えた。正直こんぺ向きではないように思う。私は好きだが。
 細かいところに仕込まれたネタの数々もまた魅力。また比喩や見立ての詩的センスも相当のものである。
 そして何より登場人物それぞれの熱量が半端ではない。突き抜けた行動力は言葉にできない爽快感を味わわせてくれるし、ぶっ飛んだ思考回路は突っ込みが追いつかない。
かなり人を選ぶ代物ではあるが、とりあえず何も考えずに笑いたいときにはお勧めしたい作品である。
【五段階評価】
★★★★☆

たまのあめふる  曰閂氏

「たまのあめふる」
 幻想入りしてきた、とある『もの』にまつわる異変を事件史風に綴った一作。

 空から弾幕が降るようになってしまいました。
 『降弾』と名付けられた厄介な異変に対し、人妖達は三者三様の対策を
 講じるのだが、事態は段々あらぬ方向に進んでいく。
 あくまでも淡々とした語り口で描かれる、逞しくも呑気な幻想郷。
 盛り上がりには欠けるが、どこか愛らしい住人達が愉快である。
 紫が語る異変の正体に首を傾げる霊夢が良い。
「弾幕、楽しいのに」

雨乞い  げんつば 氏

第八回東方SSコンペ 

【タイトル】雨乞い
【書いた人】 げんつば 氏
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1257651715&log=0
【本文容量】8.0 KB
【登場人物】博麗霊夢 霧雨魔理沙
【物語傾向】日常
【あらすじ&感想】

「確かに、雨らしい雨はここ一カ月くらいご無沙汰だな」
「でしょ。もうそろそろ降ってもいい頃なのに」
「そうだな」
「だから、雨乞いをしようと思うの」
「・・・へ?」
「雨乞い。知らないの?雨を呼ぶ儀式よ」

(本文より)

 静かにすぎゆく日常は雨のように。
 作者の狙いは非常によく伝わってきた。
 文章に「んっ?」と思うところが少々あったが、丁寧に書こうとしているのは分かる。
 キャラの喋りも話としてそれらしくできている。
 短いので、深くのんびり読むのが良し。

血みどろダディ・ワラキア  ねじ巻き式ウーパールーパー 氏
舞台はワラキア公国。人間に捕えられたレミリアは贈り物としてドラキュラ公と呼ばれるヴラドのもとへ贈られる。

第八回東方SSコンペ 
【タイトル】血みどろダディ・ワラキア
【作者】ねじ巻き式ウーパールーパー 氏
【本文容量】すげぇ
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258787148&log=0

【あらすじ】
舞台はワラキア公国。
人間に捕えられたレミリアは贈り物としてドラキュラ公と呼ばれるヴラドのもとへ贈られる。
武器として利用されるはずのレミリアだったが、ヴラドは周囲の者が制止するのを聞かず、レミリアを自分の娘として養う事を決めてしまう。
自分を娘と呼ぶヴラドに戸惑うレミリアだが、どこまでも賢明で、人間とは思えないほどに残忍で、けれど何処か弱さも併せ持ったヴラドという男に次第に惹かれていく。
世は征服戦争が溢れており、ワラキアは小国。
ワラキアを守るために戦いを繰り返すヴラドを守るため、レミリアもまたヴラドや彼の仲間たちと共に戦に身を投じるのだった。

【感想】
レミリアは勿論、ヴラドを筆頭にしたオリキャラ達(正確にはオリではないが)のキャラクターが非常に魅力的で引き込まれる。
戦に関しても東方キャラが中心ではなく、あくまで戦に参加する一人として描かれており、非常に臨場感を感じられる。
強いだけでなく弱さも併せ持ったレミリアやヴラドの生き様は必見。
歴史物が好きorじっくり長編を読みたいという方は是非一度読んでもらいたい。
反面、非常に長い&東方分は薄いため、さっくり東方SSを楽しみたいという方にはお勧めできない。

【五段階評価】
文章★★★★★
構成★★★★☆(正直もう少し削れた部分はあると思ったので)
総合評価★★★★★

東方の2次創作としてだけでは無く一つの作品として他人に紹介したいSSだと思います。

【作品集】第八回東方SSこんぺ お題「雨」
【タイトル】血みどろダディ・ワラキア
【書いた人】ねじ巻き式ウーパールーパー氏
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258787148&log=0
【あらすじ】
時は中世、人間に捕らえられワラキア公国に「兵器」として贈られて来たレミリア。
ワラキアの主ドラキュラ公ヴラド3世は彼女を「娘」と呼び…

【感想】
ひたすらに重厚。史実を元に綴られた(らしい)文は冒頭からいい意味で堅苦しい。
そして名有りキャラの立ちっぷりがハンパない。威厳たっぷりに威風堂々なヴラド、忠臣そのもののゲオルゲ、正に「気は優しくて力持ち」なキニジ=パールなどなど書ききれない。
戦闘描写も濃密かつ笑えるぐらいにかっこいい啖呵のおかげで血生臭さを出しながらもいい意味での中二っぽさを感じるのが素晴らしい。
かつみんなかっこいい。特にゲオルゲの格好良さは異常。
あとセリフ回しが超上手い。前述の啖呵もキャラが立ってるのとセリフ回しが上手いおかげでさっぱり違和感を感じない。

ただコメントでも指摘されてるように前半部分レミリアの絡みが薄いせいか冗長に感じる人もいるとは思う。
後史実を重視したせいか東方の設定と合わせにくい部分がちらほらと。フランの幽閉とかね。

それらをさっ引いてもひじょーに読み応えのある作品でした。
東方の2次創作としてだけでは無く一つの作品として他人に紹介したいSSだと思います。

アーレア・ヤクタ・エストゥ!!あとパール萌え。

「やぁ、歓迎するぞレミィ。私はドラキュラ公ヴラド3世。ここワラキアの公だ。父親と思ってくれていい」

【作品集】第8回東方SSコンペ

【タイトル】血みどろダディ・ワラキア
【書いた人】ねじ巻き式ウーパールーパー
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258787148&log=9
【読前感想】

  il`ヽ      _--―― - 、 
  |i:::::::\,  /        ヽ,
   {l:::::::::::ヽi/ヽ_r=ニ二=-ァ〆__ )_  
   ゝ、__エ,r'´  /  i  ヽ `Y 入,  
   {l:::::::::7~ _/  iノ⌒弋__,ノ⌒廴__} 
   `='"く厂 ⌒''ヽ,,,)ii(,,,r'''''' :::ヘ  
       |  ン(○),ン <、(○)<::|   |`ヽ、   
-ー ┐   |   `⌒,,ノ(、_, )ヽ⌒´ ::l   |::::ヽl  
r ̄ i:::i.  ヽ  ヽ il´トェェェイ`li r ;/.  |::::::i |
/   ';:';、 /ヽ   !l |,r-r-| l!   /ヽ  |::::::l |
! .  ヽァ/  |^|ヽ、  `ニニ´一/|^|`,r-|:「 ̄
⌒ヽ、_!_/   | .|           | .| ,U(ニ 、)ヽ
    /    | .|           | .|人(_(ニ、ノノ

 正直こんな感じのギャグ作品だと思っていた……ゴメンナサイ。

【読後感想】
 そそわスレでよく上がる名前の一つで前々から読もうと思ってはボリュームの多さに敬遠していました。
 それを今ものすごく後悔しています。こんな素晴らしい作品だったとは…
 事実を云えばこの作品には東方のキャラは数人しかでてきません。あとはオリキャラ(?)が多数を占めています。
 オリキャラと250KBのボリュームで敬遠している人も多いのではと思います。
 しかし、その登場人物が其々魅力を持っており、そこに東方キャラが絡むことで深く壮大な物語が出来上がっています。
 2次創作の楽しさがどんどん伝わってくる傑作です。

【五段階評価】
 ★★★★★ (これぞ2次創作といえる作品)

~個人的お気に入り本文抜粋~
 「やぁ、歓迎するぞレミィ。私はドラキュラ公ヴラド3世。ここワラキアの公だ。父親と思ってくれていい」

家族愛と友情あり、熱い展開やバトルあり、他国の外交官とのタンカの切りあいも印象に残ってる

【作品集】第八回東方SSこんぺ
【タイトル】血みどろダディ・ワラキア
【書いた人】ねじ巻き式ウーパールーパー 氏
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258787148&log=0

【あらすじ】
一言でいうと、レミリアとヴラド・ツェペシュ(ワラキア公国の主、ドラキュラ公・串刺し公などのあだ名があり、のちに小説で吸血鬼のモデルにされる)の2人が小国ワラキアを率いて激動の中世を戦い抜く話
【感想】
家族愛と友情あり、熱い展開やバトルあり、他国の外交官とのタンカの切りあいも印象に残ってる
ヴラドは串刺し公(ツェペシュ)のあだ名の通り黒いシーンがまんさい、ダークヒーローだが軸はぶれず魅力的
ツェペシュの末裔を名乗るレミリアだが、そのヴラドが生きた激動の時代と彼の功績について創作物とはいえ知ることができるのではないだろうか
あくまで人間のヴラドだが彼もまた運命を操ることができるという、レミリアもヴラドも運命を操る程度の能力を持っているが万能でなく非常に使い勝手の悪いものだ、だが読み終わる頃には一番好きな「運命を操る程度の能力の解釈」になってしまった

狐で雨といえばこれしかないでしょう  アステルパーム さん

第八回東方SSコンペ 
【タイトル】狐で雨といえばこれしかないでしょう
【作者】アステルパーム さん
【本文容量】1.42KB
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258811865
【登場人物】紫 橙 藍
【物語の傾向】パロディ 一発ネタ
【あらすじ】
「ねえ紫様、空から、お菓子が降ってきたりすれば、素敵だと思いませんか?」

橙の無邪気な一言……何気ないその言葉が悲劇を生んだ。

【感想】
元ネタがあるようですが、知らなくても楽しめました。
短いながらも八雲家の愛が伝わってくるお話です。
ちなみにこちらは第八回東方SSコンペで最も短い作品です。長編が強いと言われるコンペですが、短い作品も面白いですよっ。

【五段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★☆
奇跡★★★★★
総合評価★★★★☆

猫とこいしと涙雨と、暖かな復讐劇  パレット氏

第八回東方SSコンペ 
【タイトル】猫とこいしと涙雨と、暖かな復讐劇
【書いた人】パレット氏
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258815456
【本文容量】70kb
【登場人物】 火焔猫(オリジナル) 古明地さとり 古明地こいし
【物語傾向】 しっとり
【あらすじ&感想】
地下に住むさとりのペット火焔猫の一匹が、さとりに請われてこいしのペットとなった。
こいしは火焔猫の間では「妹様は酷いお方」と評判が悪い。
そんなこいしの心を猫の目を通して描いた作品。

丁寧な描写でゆったりと進んでいく物語が好みでした。

あの夜のシューティング・スター  14氏

【作品集】第8回東方SSこんぺ

【タイトル】あの夜のシューティング・スター
【書いた人】14氏
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258815329&log=0

【あらすじ】

 ある日、魔理沙の家に訪れた霖之助が言った。
「霧雨の親父さんが倒れた」
 彼女にとって父親とは不倶戴天の男だった。そんな父親が倒れ、しかも痴呆をわずらったのだという
 魔理沙は拒絶し、沈黙し、葛藤する。過去を振り返り、自分を見つめなおす。
 霖之助との交流によって次第に寛容を覚えていく矢先、彼女に強大な二つの壁が立ちふさがった。
 それは老いた父親の姿という現実と、今は亡き母親の過去だった。

 星が落ちる。恋しくて、近づいて、消えてしまう。
 時には相手を傷つける。そうやって生きている。

 流星にかけた魔理沙の願いは、果たして叶うのだろうか?

【感想】
 第8回こんぺの双璧の片割れ。総合点では2位だったものの平均点は8.61という驚異的な1位。
 自分はこんぺ終了後に作品を読んだのですが、期間中に採点しなかったことをとても後悔しました。
 第一に、文章がとても美しい。冒頭から最後まで心地よく、かといって押し付けがましくない言葉が魅力的です。
 また激しい時間軸のいれかえがあるにもかかわらず、構成の妙によって実にすっきりとまとめられています。
 一昨年に家族を亡くした自分にとってはこのストーリーも胸が痛くなるほど共感を覚える秀逸なものでした。

 キャラクターもとても魅力的。皆どこかに弱さを持っていて、だからこそ強い。
 魔理沙には感情移入せずにはいられませんし、霖之助の立ち振る舞いや薀蓄も原作らしい。
 しかし霖之助の「ツケ」という言葉があそこまで格好良くなるとは。

 強いて難点を挙げるというなら、若干の誤字誤植があるということ。
 それとなんだか本屋で本を一冊丸ごと立ち読みしてしまったような居た堪れなさを感じました。
 逆に言えば、少なくとも自分の中では市販のものに値するくらい完成度が高かったということです。
 皆に勧めたくなる本当に良いお話でした。

【五段階評価】★★★★★

茶請けの雨  白麦 氏

 第八回東方SSコンペ 

【タイトル】茶請けの雨
【書いた人】白麦 氏

【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1257262217&log=0

【登場人物】森近霖之助

【物語の傾向】しっとり

【あらすじ&感想】
 
 タララタララと音が鳴る。
 それは降り頻る雨の音。

(本文より)

 すごく静かな、魅せるお話。
 タララタララ。愉快な雨音はブリキかな?

 雰囲気はすごく好き。
 惜しむらくはほんの数か所のリズムの乱れ。
 他がよいだけにちょっと気になってしまった。
 比喩が少ないのにどこか幻想的に感じたのは文章の丁寧さ故。
 霖之助さんがすごくそれっぽいのも良かった。

天子が魔王的ななんかと戦ったり平和な日常を尊んだりするメタな話  過剰睡眠摂取症候群 さん
タイトルにはっきりメタと書いてある通り、メタな話です。

第八回東方SSコンペ 

【タイトル】天子が魔王的ななんかと戦ったり平和な日常を尊んだりするメタな話
【作者】過剰睡眠摂取症候群 さん
【本文容量】17.0KB
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258796976
【登場人物】天子 衣玖
【物語の傾向】メタ ギャグ
【あらすじ】
第八回 東方SSこんぺ 開催。
天子は衣玖とどちらが出番が多いかを競うつもりでいた。
しかしお題が「雨」あると知り、衣玖に比べ不利であると感じる。
そこで自ら作品を投稿することを決意した天子は、衣玖と共にネタを出し合う会議を行うが――。

【感想】
タイトルにはっきりメタと書いてある通り、メタな話です。これが苦手な人にはあまりオススメできません。
中二の発想をする天子と、酒の勢いでネタを考えた衣玖さん、という組み合わせが面白いです。

【五段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★☆☆
暗黒月夜斬★★★★★
総合評価★★★★☆

タイトル通りのお話。やりやがったな。表でろ。

【作品集】こんぺ8(雨)
【タイトル】『天子が魔王的ななんかと戦ったり平和な日常を尊んだりするメタな話』
【書いた人】過剰睡眠摂取症候群さん
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258796976&log=0
【サイズ】18kb
【あらすじ】
 
 天子と衣玖は、天界で舞ったりしていた。そんな折に何気なく開いた新聞。そこに書かれていたのは「第八回東方SSコンペ開催」の文字。

【感想】

 タイトル通りのお話。やりやがったな。表でろ。
 とにかくメタな話。雨というお題を上手いこと消化しようと頭を悩ませた人たちに謝ってもらいたいくらいのすがすがしい出来。いや、褒め言葉です。

 いろいろと物申したい気持ちもあるがそういうのは脇に放り投げて置くとして、とにかく私は笑わせてもらった。
 短いゆえに、息を吐かせぬネタラッシュ。メタなネタばかりだが、ネタをネタと受け入れる人なら、この面白さが解るはず。
 こんぺだって、たまにはこういうのもありなんじゃないかな! 

 それと、作中で天子が憂いていたが、このコンペは天子SSは結構多かったと思う。やったね天子ちゃん!

唐傘雨音頭  八重結界氏
いい意味で冒頭からは全く想像できない東方オールスターズ。

【作品集】第八回東方SSこんぺ お題「雨」
【タイトル】唐傘雨音頭
【書いた人】八重結界氏
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258814879&log=0
【あらすじ】
傘好きの妖怪が集まる「傘の会合」
参加者の一人である多々良小傘の表情が優れない理由は…?

【感想】
いい意味で冒頭からは全く想像できない東方オールスターズ。
健気な、それでいて芯の強い小傘と素直じゃないレミリアが非常に可愛らしい。
めんどくさがった挙げ句最後に後悔するゆかりんも最後の最後まで理由を探すのに苦労してた幽香りんも可愛らしい。
キャラが集う理由にも無理は無いように感じたし、場面場面に起承転結を感じる書き方は凄いと思う。

ただ、烏屋回りの展開が少々あっさり終わりすぎかな?とは思ったし(確か)コメントでも言われてたようにナズーリンが若干便利に使われすぎたようにも思う。
個人的にはラストの流れてくる水を見てみんなで喜びを爆発させるシーンの描写も欲しかった。
大岩爆破で似たようなシーンをやってたからってのもあるとは思うんだけど、若干消化不良に感じたかな。
その辺にしてもどうせならもうちょっと濃い描写が欲しかったってレベルではあるからまあ贅沢な不満なんだとは思う。

ただそれを含めても展開に無理の無い非常に綺麗な作品だと断言できるぐらい素晴らしい作品。
上手く言えないけど、「東方らしさ」を感じられる最高の作品だと思います。

あと小傘の「ありがとう」に顔面スカーレットになったおぜうさまとカイロ代わりに神奈子様に抱き締められるてんこマジラブリー。

「絶望的な状況だからこそ、ひっくり返せばみんな驚く!」

【作品集】第8回SSこんぺ
【タイトル】唐傘雨音頭
【書いた人】八重結界 氏
【ポイント】178(8位)
【あらすじ】
 傘を持つ妖怪が集まる傘の会合。そこで人を驚かせるアイディアを貰った小傘。
しかし、そこで人里が今危機にある事に気付いてしまう。
 「絶望的な状況だからこそ、ひっくり返せばみんな驚く!」
小傘の純粋な感情が人里の運命を、幻想郷の人妖達を大きく変えていく。
【感想】
 次々と押し寄せる試練に真正面から立ち向かう小傘、
そして乗り越えるに大きく強固になっていく人妖たちの輪。
 雪だるまを作るがごとく事態と人物の輪が広がっていく様は王道だが、
だからこそ、続きが気になり、ボリュームを気にせずに一気に読んでしまった。
 何より、win版東方キャラをほぼ全員が出ているのに、全員がその魅力を出しきって行動している点が見事。
【総合評価】★★★★★

化雲「空前絶後の大お化け!」  きつつきけい 氏

【作品集】第8回こんぺ
【タイトル】化雲「空前絶後の大お化け!」
【書いた人】きつつきけい 氏
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258795291&log=
【あらすじ】
小傘と雲山が人を驚かせようとするお話。

【感想】
この組み合わせは面白い。カッコいい雲山が素敵。小傘はかわいい。
驚かせる方法は、確かにそういえばスペルカードでああいうのがあったなぁというものをうまく使っていて。
早苗のキャラも自分のイメージと似たもので、良かった。
最新こんぺはやはり、小傘主人公の良い作品が多くて素晴らしい。

【五段階評価】
★★★★☆

想起「嫌われ者のフィロソフィ」  過酸化水素ストリキニーネ 氏
胸が締め付けられる悲劇。この結末は報われない。

【作品集】第8回SSこんぺ
【ポイント】197(第5位)
【レート】1.53(第15位)
【タイトル】想起「嫌われ者のフィロソフィ」
【書いた人】過酸化水素ストリキニーネ 氏
【著者紹介】
 繊細な描写と一人称が持ち味の作家。スカーレット姉妹・古明地姉妹が主人公の作品が多い。非常にメリハリのついた作風の持ち主で、甘々な関係の姉妹と報われない姉妹の両方を描くことが出来る。甘い話は砂糖を吐くと表現したくなるほど甘く、暗い話は心に突き刺さるほど暗い。伝わらない思いというものを巧みに表現することが出来るため、シリアスな話を読んだ時の心に残るもどかしさは、他の作品とは比較にならない。
 諸般の事情で、現在は創想話から完全に撤退。以降は自身のサイトで執筆を続けている。
【あらすじ】
 私、古明地こいしに極刑が下される。願い通りに。お姉ちゃん、これでずっと、一緒にいられるね。
【感想】
 胸が締め付けられる悲劇。この結末は報われない。ハッピーエンドが好きな人や、気持ちが塞いでいる人は読むことをお勧めしない。
 文章がさとりの一人称で書かれているため、後半まで物語の全貌が見えず、相手がこいしであることも加わり、先の展開が読めないまま読み進めた。
 深く愛しているが故に、互いが互いの不幸を繰り返してしまう、悲しい物語。やるせない読後感がその完成度の高さを物語っている。

古明地こいしは「極刑」を閻魔に言い渡されていた。

【作品集】コンペ第8回
【作品名】想起「嫌われ者のフィロソフィ」
【作者名】過酸化水素ストリキニーネ氏
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258765354&log=1
【あらすじ】
古明地こいしは「極刑」を閻魔に言い渡されていた。
さとりの視点から、なぜそれに至ったのかを解き明かす。
【感想考察】
姉妹二人の百合SS。ただし、ひどいすれ違いと退廃的な結末を伴う。
姉は妹を救いたいと願い、妹は姉と同じところまで堕ちようと願う。
読んで最初に思ったことは、このままじゃあまりに救いがなさすぎる、という感想だった。
それほどまでに短い。でも、密度が高いということでもある。たしかにここで終えるのが理想的でもあるのだ。
あなたは読んでみて、どう思うであろうか。そして、姉妹に幸せは来るのだろうか。
[HE力]★★☆☆☆(ひとりの願いは叶った)
[欝力]★★★★☆(二人はどこまでも堕ちてゆくかもしれない)
[グロ]☆☆☆☆☆(基本ない)
【評価】★★★☆☆(古明地姉妹のすれ違いが見たいならぜひ)

《明日ハレの日》∽《ケの昨日》  みづき 氏

【作品集】第8回SSこんぺ
【ポイント】204(第4位)
【レート】1.58(第9位)
【タイトル】《明日ハレの日》∽《ケの昨日》
【書いた人】みづき 氏
【著者紹介】
 霊霊夢(作品集40)でデビュー。ギャグとシリアスの両方を手掛ける作家。
代表作は「紫の彼岸(作品集43)」「無重力落下 -Stand By Me-(作品集51)」など。
丁寧な作り込みと、締めるところは締め、緩むところは緩む、東方らしいキャラクター描写が持ち味。
【あらすじ】
 霊夢が空を飛ぶ程度に皆が特技を持っているとある学園、早苗はそこに通っている。
文化祭「童祭」間近で準備に追われる学校で事件は起こった。
【感想】
 俄雨氏の「現創の九」のように、唐突にオリジナルの世界に放り込まれるタイプの話。
そのため、オリ設定が苦手な人、急な展開についてこれない人は楽しめないかもしれない。
 良く練られた設定、オリジナルの設定がぎっしり詰まっているのに破綻することなくまとまっている文章、
そして引き込まれるストーリー展開は読んでいて心地良い。
東方キャラで学園物を見事に表現した作品。青春の夢と現の両方を描いたのも、東方らしいと感じた。
ただ、学園パートに中盤が冗長に感じたことと、雨というテーマの描写が薄いのが引っかかった。

ピーターうさぎは死なないのか?  i0-0i氏

【コンペ】第八回
【タイトル】ピーターうさぎは死なないのか?
【書いた人】i0-0i氏
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258795542&log=1
【あらすじ&感想】

ただ一人を除いて、全て子供は大人になります。
(ジェームズ・バリ 「ピーターパンとウェンディ」より)

 

少女が大人になるまでの話です。
死んだ老ピーターと、彼に想いを寄せた二人の少女の戦いは圧巻の一言。
途中回りくどいかな? と感じる表現があるかもしれないですが、このSSの見所は……。
まぁ最後まで読みきった後にでも自分で考えてみてください。
こればっかりは人から言われて納得するものでもないのですから。

【五段階評価】
★★★★★

幻想郷カットインズ:アンブレラ  プラシーボ吹嘘 氏

【第八回コンペ】
【タイトル】幻想郷カットインズ:アンブレラ
【書いた人】プラシーボ吹嘘 氏
【サイズ】234.64KB
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258815184&log=0

【あらすじ】
 私メリー、メリー・ポピンズに傾倒する大学生。今日も愛傘「ポリー」と共に優雅な空中散歩!のはずだったんだけど……。
 不意の突風にもみくちゃにされて気付いてみると、足元のビル群は綺麗さっぱり消えうせ、見たことも無い、緑豊かな土地が広がっていた。そこに降り立った私を待ち受けるのは? そして、私は元いた場所へ帰ることができるのか?

【感想】
 このあらすじ、中身が一人称だったため、ちょっと頑張ってみました。ちなみに僕には、やたらハイテンションなアニメ声で再生されました。
 それはさておき、外の人間の感覚で語られる幻想郷はとても美しく、楽しいところでした。主人公は永遠亭や太陽の畑などに迷い込むわけですが、そこには自然体の住人たちの日常が有って、久々の客に張り切る吸血鬼があれば、ただの日常と受け止める姫様も居て……
 そんな幻想郷を、変な人ながら常識を併せ持つメリーの視点を通して見てみれば、また少し妄想のネタが増えるかもしれません。
 ラストシーンで明らかになる、大仕掛けにも注目です。

【五段階評価】
★★★☆☆(オリキャラものが嫌いなら-1.0)

首切り蓬莱人形  智高 氏

【第八回コンペ】
【タイトル】首切り蓬莱人形
【書いた人】智高 氏
【サイズ】132.38KB
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258814047&log=0

【あらすじ】
 蓮台野で発見された、60年前に失踪した天才教授の死体。
 メリーが大学の敷地内で遭遇した、道化師の面を被った少女。二つの事件に挑む秘封倶楽部の二人が見たものとは。
【感想】
 ネタバレになってしまうので、あらすじはこれ以上書けませんでした。
 死んだ教授の秘密、「西行の呪い」というワード、オカルトサークル、そして失踪者。
 全てが一点の真実に結びつく様は、よくできた推理小説を読むかのようでした。

 ただ、謎解きはもう少し分かりやすく、量を書けたのではないかとも思います。時間切れでしょうか?

 ちなみに、オリキャラを駆使しているため、嫌いな人の肌には合わない可能性が高いです。
【五段階評価】
★★★☆☆(個人的には楽しめました。CDを持っている人なら、もっと楽しめるかも?)

隠れ者の小傘  稜乃 氏

【第八回コンペ】
【タイトル】隠れ者の小傘
【書いた人】稜乃 氏
【サイズ】164.52KB
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258812847&log=0

【あらすじ】
 (たぶん)平安末期。ぬえは、帝の風邪を正体不明にして遊んでいた。
 そんな彼女が出会った一体の妖怪。家まで連れてきたその妖怪に、彼女は「小傘」という名前をつける。そのころ帝は用心棒に源頼政を雇っていた。

【感想】
 時は平安帝は風邪。二人の妖怪新コンタッ(ry

 分かりやすい王道展開です。しかし、それでも楽しく読ませるのは、作者様の実力。王道展開と言うのは、自然にその展開に持ち込む筆力が必要だと考えていますが、この作品では、見事にそれを成し遂げています。
 さらにはラストシーン。小傘の服装にふれる、さりげない気配りが素晴らしいです。

【五段階評価】
★★★☆☆(安心して読める、秀作です。)

雨流夢  Spheniscidae 氏

【第八回コンペ】
【タイトル】雨流夢
【書いた人】Spheniscidae 氏
【サイズ】181.67KB
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258641862&log=0

【あらすじ】
  学会という場所はこれまた意地汚いところであった。きちんと実地調査し、それを解析し、検討し、渾身の論文としてまとめたにも関わらず、その調査は"おふざけ"だと断じられ、学界から追い出されることになった。"おふざけ"とされた理由は只一つ。

 ――もう物理の研究なんて、誰もしたくなかったのだ。
(本文冒頭より)
 物理学に「魔力」の考えを取り入れれば、物事をもっと簡単にあらわせる。そう学会で発表した岡崎 夢美は、教授職を解かれ、学会を追い出されてしまった。しかし、夢美はあきらめなかった。ちゆりと共に研究の場を幻想郷に移し、日夜研究に励んでいた。
 そんな折、研究所の近くで膨大な魔力が観測される。覚り妖怪が、人里で人間を暴走させようとしたのだ。
 しかし、そのときに起きていた事件はそれだけではなかった。同時刻の人里で、東風谷 早苗が行方不明になっていた。現場の状況から、覚り妖怪に誘拐されたものと考えられた。
 夢美とちゆりは、小兎姫から事件の調査を依頼される。

【感想】
 僕が今のようなSSを書きはじめるきっかけになった作品です。これを最後に読んでから半年ほど経過しましたが、一番記憶に残っているのもこの作品です。
 事件の真実に迫る二人。その過程であぶりだされるのは、今まで見ようとしなかった、幻想郷の裏の部分です。
 知性のある妖怪は、人間よりも人間らしい。そんなことが求聞史紀に書いてあったような気もしますが、それならこの作品は、正しく幻想郷であると言えると思います。
 純粋に幻想を信じていた夢美の最後の選択は、救いが無く、終わりのない挑戦です。

【五段階評価】
★★★★☆(好き嫌いは間違いなく別れます。暗い話が好きなら、お勧めです。)

Good Bye  Rainy Moon.  零四季 氏

【タイトル】Good Bye, Rainy Moon.
【書いた人】零四季 氏
【サイズ】104.40KB
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258806703&log=0

【あらすじ】
 見えない敵と戦い続ける仲間の兎達に嫌気がさし、地上へと逃げてきた月兎、鈴仙。それなりに長い間を地上で過ごしてきた彼女だったが、立て続けに月を思い出すような出来事が起こったために、ノイローゼ気味になってしまう。そんな彼女を見かねて、永琳は告げた。
「―――貴女に、一日だけ休暇を与えます。……その中で、貴女の答えを探しなさい」

【感想】
 一度仲間を見捨ててしまった罪悪感からか、幻想郷の住人の輪に入れない鈴仙。神社で彼らと一緒になった彼女がそこで見つける答えとは。
 一人称で淡々と描かれる、ある一日。美しいラストの流れが印象的でした。
 個人的には、このコンペでもっとも美しい雨の一つだと思います。
【五段階評価】
★★★☆☆(凄く良い)

幾日も降りつづく雨。ながあめ。  ロの字さん

【作品集】こんぺ8(雨)
【タイトル】『幾日も降りつづく雨。ながあめ。』
【書いた人】ロの字さん
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258815060&log=0
【サイズ】5kb
【あらすじ】

 いつものように客もない暇な香霖堂。ぼんやり茶を啜っていた霊夢は、ふと霖之助に尋ねる。「りんのすけさんの名前って、どう書くんだっけ?」

 
【感想】

 短いのでサクッと読める。
 こんぺでは珍しい、一発ネタのギャグ作品。
 霊夢と一緒に電子辞書を引いてみて、まさか……と思ったら、案の定で噴いたww
 最後のオチとあとがきのツッコミの破壊力の高いこと。
 ついでに言うと霊夢がやたらと素直で可愛いよ!
 もうちょっと疑えよ! とくにゆかりんとかを。

れいに・でい・さんしゃいん  つくしさん

【作品集】こんぺ8(雨)
【タイトル】『れいに・でい・さんしゃいん』
【書いた人】つくしさん
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258815314&log=0
【サイズ】9kb
【あらすじ】

 ある朝、見上げれば暖かい空が広がっている。今日はきっと良く晴れるだろう。しかし、幽々子は言うのだ。「今日は雨が降るわ」

【感想】

 雰囲気作りがとても上手い。
 文体が柔らかく優しい。そして、語彙の選び方もよく吟味されていて、雰囲気に合うように柔らかい語感の単語を選んでいる。
 そうやって書かれた文章なので、とても暖かく陽だまりみたいに優しい。そんな印象。また、あえて漢字を多用せず、簡単に読めそうなものでもわざとひらがなで書かれているのも、作者さんの演出の一つなのだろう。

 作中で雨は降らない。
 そんなSSなのに、なんと上手く「雨」という題材を利用していることか。
 幽々さまのお茶目で、やさしくて気まぐれな行動で、確かに陽だまりの中に雨は降る。こういう話の持って行き方は私的に大好物。
 決して長くは無いSSの中で、雰囲気を上手く表現し、さらに淡い感動を与えてくれる、凄いSS。妖夢と一緒に、とろければいいと思います。

グスコーサトリ伝記  嫌なさん

【作品集】こんぺ8(雨)
【タイトル】『グスコーサトリ伝記』
【書いた人】嫌なさん
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258815458&log=0
【サイズ】16kb
【あらすじ】

 降らぬなら 降らせてみよう 地底の雨

【感想】

  雨を見たことが無いこいしのために、さとりは地底に雨を呼ぶ。
 果たして、本当に地下に雨は降るのだろうか。
 お燐とお空、そしてさとりのプロジェクトチームの戦いが、今、幕を開ける――。

 ギャグ。
 いちいち会話が面白く、ツッコミどころ満載で飽きさせない。ネタの切れがよくて、何度も笑わせていただいた。
 ただし、シュールなギャグではなく、しっかりとした話のつながりと、地に足のついたキャラクターの描き方をしていてその点でもとても好感触を覚えた。

 面白かったシーンへのツッコミを書き連ねてみようかとも思ったけど、そんなことやったら絶対に文章量が嵩むので割愛。

 そして最後のシーンは、そんなギャグシーンにあって一層印象的に映る。

雨と無知  okaさん

【作品集】こんぺ8(雨)
【タイトル】『雨と無知』
【書いた人】okaさん
【URL】ttp://www10.atpages.jp/thcompe/compe09/?mode=read&key=1258782934&log=0
【サイズ】7kb
【あらすじ】

 チルノ「じゃのめってなぁに?」

【感想】

 チルノが人間の歌っていた歌の中に出てくる謎の単語「じゃのめ」について考える話。

 短くサクッと読める話で、どちらかと言えば創想話プチ向け。大真面目で小難しい如何にもこんぺ向けの作品が多い中で、出会えるとほっとするSS。
 短いながらも、チルノもレティもよくキャラが出ていて、見ていて楽しい。この雰囲気は好きだ。
 短いからこそ、その楽しさが凝縮されているというか。