プチ作品集50

Last-modified: 2011-05-31 (火) 22:10:45
レミリア軍曹のオトメ道場  Ninja氏

Ninja氏 『レミリア軍曹のオトメ道場』★★★★★
タイトル通りの話だが、その内容は突き抜けている。
後半の台詞ではひらがなを多用するなど細かい部分にも気を配っており、後書きまで楽しめる。
特に、軽妙な筆致であるレミリアの言い回しは必見。

ナズデレラ  TAM氏

TAM氏 『ナズデレラ』★★★☆☆
これもタイトルから内容が想像できる話なのだが、それぞれの人物のキャラ付けがはっきりしていて読みやすく、面白い。
オチもその人物にはぴったりなのだが、若干型にはまっている印象もある。

四家四様  過酸化水素ストリキニーネ氏

過酸化水素ストリキニーネ氏 『四家四様』★★★☆☆+★
それぞれの姉妹についての話。
氏の古明地姉妹は相変わらずの素晴らしい距離感だが、ここはスカーレット姉妹を特におすすめしたい。
話としての完成度はやや欠けるが、それは形式上、本文が会話のみになってしまうから。それが気にならない人であれば、星4~5。
さっくり楽しめるので、万人におすすめできる。

老いて、なお盛ん  八重結界氏

八重結界氏 『老いて、なお盛ん』★★★★★
妖忌のある情熱を描いた話。
ひょうひょうとした出だしから、数行先がどうなっているか予想もつかない展開、さりげなく描かれる温情まで、どこを切り取っても楽しめる一品。
冒頭の一文からぐっと引き寄せる書き方は、さすがの一言。
ところで、作中の秘術を用いる際には対象の体格を把握している必要があるように思われるが、それができた妖忌はつまり。

えーりん汁  アステルパーム氏

アステルパーム氏 『えーりん汁』★★☆☆☆
豚汁には豚が入っているから、えーりん汁には……という話。
短く、読みやすく、わかりやすいつくりなのだが、肝心の面白みがオチを頼りにしているので話としては弱い。
ホラー仕立てにするなり、ユーモアあふれる笑劇にするなり、なんらかの特色をオチまでの過程に加えると良くなるように思える。

手回しミルの音楽。  ワタナベ氏

ワタナベ氏 『手回しミルの音楽。』★★★★☆
日常のどこにでもあるような、何気ない風景を切り取っただけの話なのだが、その見せ方が上手い。
道具に対する霖之助の見方の描写もまた味わい深い。
この話は爽快さこそないものの、静かな雰囲気を楽しむことができる。

ハーブティー  yukimura氏

yukimura氏 『ハーブティー』★★☆☆☆
アリスと魔理沙の出会いの話。馴れ初めともいう。
二人が互いに知り合う前からの話なので新鮮味がある。
しかし、その後の展開はお決まりと言ってしまえばそこで終わるものであり、描写もこれはと思わせるものもあるが、不足している部分も見受けられた。

遊びも必要です  喉飴氏

喉飴氏 『遊びも必要です』★★★☆☆
一輪と村紗が休日を過ごす話。
氏の話は変わらず、よくまとめられていて気軽に読むことができ、ほのぼのとしている。
気になったのは、一輪と村紗を話に当てはめようとしている点。前半はまったく問題ないが、後半の休日を過ごす描写では、一輪と村紗の名前をそっくりそのまま別の誰かに当てはめることもできるように思えた。
つまり、一輪と村紗でないと成り立たないという話の持ち味があまりない。

彼女は知らぬ間に女になっていた  春秋柿氏

春秋柿氏 『彼女は知らぬ間に女になっていた』★★★★★
異変解決の度に彼女たちの顔が変わるのは何故か、に焦点を当てた話。
アイディアの魅せ方が非常に上手く、初投稿とは思えない構成の妙がある。
こういったショートミステリ風に描いた話は解答の切り出し方が重要な要素の一つだが、作中の霊夢の言い回しには感嘆するばかりである。
文字の表現などで気になるところもあるが、是非とも読むことをおすすめしたい。

諏訪子「ペットは飼い主に似るもんだよ」  破滅型小僧氏

破滅型小僧氏 『諏訪子「ペットは飼い主に似るもんだよ」』★★★☆☆
こいしがさとりのためにジュースを振舞う話。
分類では「ダーク」とあるが、作中でこうも当たり前のようにそれぞれの性癖が明け透けにわかってしまい、そのまま話を押し進める雰囲気は「ブラックユーモア」に近い。そして、その独特な持ち味こそ面白い。
惜しいのは、後書きでは見事にオチをつけているのに対し、本文自体のオチの切り出し方が唐突でタイトルからも想像できるため、若干インパクトに欠けること。また、行間が妙に空いている点も気になった。

空の日  喉飴氏

喉飴氏 『空の日』★★☆☆☆
今日は空の日、という話。
氏にしては珍しく、話の進み方、終わり方がずいぶんと強引であるように感じた。もう少し描くべき過程があるなと思わせる。

自棄酒亭 水橋  雪野光氏

雪野光氏 『自棄酒亭 水橋』★★☆☆☆
人間に負けた鵺を慰める橋姫を描いた話。
とても珍しいこの組み合わせは、先へ読ませる力がある。
しかし、その背景はあまり描かれないまま、話が進んでしまうため距離を感じさせてしまう。素材にあまり手を加えないままに完成させた、という印象を受けた。

正しい主と従者の様…?  澄氏

澄氏 『正しい主と従者の様…?』★★★☆☆
半幽霊にはこういった使い方もあるんだっ、という話。
こういったキャラ同士の組み合わせを主体に置いた話はヘタに書くと甘っちょろいだけで終わってしまうものだが、この話は小気味のいい会話に、ひとひねりした発想があった。
展開自体こそ目新しいものではないが、問題なく楽しめる。妖夢の無自覚な初々しさもまたいい。

カップル告白二弾  ちゅーん氏

ちゅーん氏 『カップル告白二弾』★☆☆☆☆+★★★★
氏が冒頭で警告しているように、非常に読者を選ぶ話。
そのため、二次創作には付き物のキャラ同士の組み合わせを純粋に楽しめる人にこそおすすめしたい。
話としての面白みや完成度を切り捨て、ただその場の描写だけを書き込んでいるため、妙な言い方になるが実用性に秀でている。

幻想郷終了のお知らせ  Taku氏

Taku氏 『幻想郷終了のお知らせ』★★☆☆☆
妖忌がある告白をする話。
オチが書きたくて仕方なかったんだなという印象。
こういった最後の行で今までの雰囲気をひっくり返すようなフィニッシングストロークものは、それまでの過程を冗長にならない程度にしながら答えをほのめかすように書き込むことで切れ味を増す。
この話にはその切れ味があまりない。

スーパービューティフル・エレガンス  からたち柄杓氏

からたち柄杓氏 『スーパービューティフル・エレガンス』★★★★☆
レミリアのネーミングセンスは生まれついてのものなのか、に焦点を当てた話。
スペルカードの名称が実に強烈なレミリアだが、それは本当に彼女自身のものなのかという考察もの。
この話で面白いのが、咲夜の言葉の立ち位置。最初は従者に徹しているからこそ、そう言っているんだなと思ってしまったが、まったく想像もしていなかったところに着地する。
文章も構成もしっかりしていて読みやすい一品。

パチュリー・レッドコア  かっぱ巻き風味氏

かっぱ巻き風味氏 『パチュリー・レッドコア』★★★☆☆
紅魔館の爆発を止めるために奔走するパチュリーの話。
分類にある「少年誌風」というテーマがなければ、ただの落ち着きのないコメディになってしまいそう。
展開があまりにも目まぐるしく、情景を想像しながら読むのには適さない。作中の雰囲気を楽しむことができるかどうかで評価が分かれるタイプの話である。

白の感情  籠無 切子氏

籠無 切子氏 『白の感情』★☆☆☆☆
氷精について童話調に描いた話。
童話のような出だしだが、淡々とした描写は詩の雰囲気にも似ている。
問題は本文が短い割に言い回しがストレートな点。
ここまで短いものであれば、表現をもっと難解なものにするなり、成り行きをぼかすなりして、なにかしらの読後感を持たせるようにした方がいいように思える。
しかし、この話では「これこれがこうしてこうなりました」で終わってしまうので、余韻もなにもない。
つまり、作者がなにを書きたいのかが見えてこない。

三魔女が行くvol.2!  ヨロ米氏

ヨロ米氏 『三魔女が行くvol.2!』★☆☆☆☆+★
タイトル通り、魔女が三人集まっての話し合いを描いたもの。
手触りはほのぼのかと思ったが、読んだ後には行き過ぎたコメディーという印象になった。
会話の内容自体は面白いものもあるのだが、とにかく脈絡がない。特にラストのシーンは取ってつけたように唐突。
そういった構成が気にならず、キャラの掛け合いを楽しみたいという人なら星2~3。

一杯やりました  点氏

点氏 『一杯やりました』★★☆☆☆
美鈴、小町、パルスィが屋台で一杯やる話。
これもまた珍しい組み合わせとも思えるが、意外な共通点があることに気づかされた。
氏の後書きに、書きたいことをただ書いたとあるがまさにその通り。展開次第ではこれから面白くなるところ、というところで終わってしまい肩透かしを食らった気分。

「秋は紅葉狩りの季節です」と静葉様がおっしゃいました。  百ノ夢氏

百ノ夢氏 『「秋は紅葉狩りの季節です」と静葉様がおっしゃいました。』★★★☆☆
タイトル通りの話なのだが、言葉遊びを上手く活用した発想。
アイディア自体はよくあるものだと思っていたが、それを題材にした話が今までに一つもないことに驚いた。
顛末は読み始めからわかりきっているのに、先へ読ませる魅力がある。

夫婦な二人。永遠亭編。  ジーノ氏

ジーノ氏 『夫婦な二人。永遠亭編。』★★☆☆☆
永琳に甘える輝夜を描いた話。
氏が冒頭で警告しているように百合一辺倒。しかし、この手の話では珍しく会話主体ではなく輝夜の語りかけのみという形式になっている。
話としての面白みはほとんどないが、純粋にキャラクターの魅力を味わうことができるとも言える。百合の雰囲気を楽しみたい人なら読んでみて損はないように思える。

私  柘榴氏

柘榴氏 『私』★★☆☆☆
レミリアとフランを詩で表現したもの。
今回もやはり分類がなければ誰をテーマにしているのかがわかりづらいものだったが、決して見当のつかないものではなかった。
歌詞の側面も持ち合わせているようなので、文字の魅力を堪能したいという人には読んでみることをおすすめする。

エニウェア  アステルパーム氏

アステルパーム氏 『エニウェア』★☆☆☆☆+★★★★
アリスを犠牲にしようとも自身の思い通りにしようとする魔理沙、そして対峙するパチュリーを描いた話。
さすがはパチュリーと思わせると同時に懐かしさも感じさせる作品。
ネタバレを避けるために具体的な記述はできないのだが、これは単純に元ネタを知っているかによって評価が分かれる。知らなければなにを言っているのかがわからないし、知っていれば話として楽しむことができる。
まずは一度読んでみることをおすすめする。

叫べ!我が名は……『紅美鈴』  yukimura氏

yukimura氏 『叫べ!我が名は……『紅美鈴』』★★☆☆☆
勢いで門番を辞めると咲夜に言ってしまった美鈴だが、返ってきた言葉は「辞めたければ辞めればいいじゃない」だった、という話。
紅魔館の定番とも言えるほのぼの家族談話。定番と言ったが、ありきたりとも言い換えられる。
始まりから終わりまで特に目新しいストーリーは見受けられず、単純にめでたしめでたし、で終わってしまう点が残念。

誰かは幸せな夢を見たか  田北氏

田北氏 『誰かは幸せな夢を見たか』★★★☆☆
ショートケーキの苺を奪ったお詫びにあーんで食べさせようとする魔理沙とアリスを描いた話。
単純にべたべたしているだけかと思いきや、しっかりと甘さを抑えた恋愛譚に仕上げた作品。
特に見事だと唸らせる点はないものの、問題なく楽しめる息抜きに向いている一品。

『幽香とメディの親子喧嘩』『家族になった日』『すれ違う心──幽香の心は誰のもの?』『どうやらメディスンは不貞腐れているようです。』『幽香、どSからの卒業』  ヘルツ氏

ヘルツ氏 『幽香とメディの親子喧嘩』『家族になった日』『すれ違う心──幽香の心は誰のもの?』『どうやらメディスンは不貞腐れているようです。』『幽香、どSからの卒業』★★★☆☆
幽香とリグルとメディスンの三人の日常を描いた話。
これぞほのぼの家族談話、と断言できる一貫したテーマを書ききった手際は見事。
会話主体というより会話に頼りきりで描写が不足しているように思えるが、この一連のストーリーにはほっと和めること請け合い。
一つ一つの話は短くまとまっているのでさっくり読める。

チートで安心地霊殿  yamamo氏

yamamo氏 『チートで安心地霊殿』★★★★☆
ある新型人形を開発したアリスが魔理沙の地底の異変解決を手伝うのだが……という話。
手抜かりなく手を抜き、全力でもって遊ぶことこそ、幻想郷の決闘の魅力。お約束とも言えるラインを踏んではかっこ悪いに決まっている、とも言える。
しかし、この魔理沙は非常に真面目である。そういった普段は自由に振舞っているのに割と律儀、というギャップを楽しむことができる作品。
人形も抜群に愛らしく、アリス、魔理沙、人形のどの要素かが気になれば、まずは読んでみるといい。

神様の好きなもの  岩山更夜氏

岩山更夜氏 『神様の好きなもの』★★★☆☆
幻想郷に到る前の守矢の日常を描いた話。
こういった些細なことを細かく描写する手法は、日常談話とは抜群に相性がいい。作中の文章からは本当に早苗は二人のことが大好きなんだな、とどこまでも感じさせる。
面白みはないものの、読者に想像を掻き立てさせる話ではある。

はじめてのおさんぽ  道標氏

道標氏 『はじめてのおさんぽ』★★★★★
「色々」と抜けている白蓮になんとかしてもらいたいと思う星を描いた話。
分類にあるようにコミカルでテンポよく展開されるストーリーが読んでいて実に楽しい。白蓮のとぼけた味わいも堪能できる。
中盤から登場するナズーリンもいい仕事をしていて、必要な要素をきっちり盛り込み、綺麗にまとめた作品。
万人におすすめできる愉快な物語。

おんなのこ、ようむ  アステルパーム氏

アステルパーム氏 『おんなのこ、ようむ』★★★★☆
アリスにお菓子の作り方を教わる妖夢、アリスや魔理沙は綺麗なエプロンで着飾っているのに自分は……という話。
周囲と比べてしまい勝手に落ち込んで、という経験は誰にもあること。そのもどかしさをこの話はよく描けているように思える。
思春期の娘とその悩みを優しく解決に導く母の雰囲気がある。
お洒落なラストに加えて、後書きで二度美味しいお得な作品である。

人の宝、作る宝  火忍氏

火忍氏 『人の宝、作る宝』★★☆☆☆
成り行きにより出来上がった博麗ナズーリン宝狩り隊の冒険譚を描いた話。
何気なく読んでいると危うく伏線を見逃すことになる巧妙な作品。
発想は面白いのだが、途中のエピソードがやや冗長。こういったアイディアで勝負するような話はもっと短くしてもいいように思える。

魔理沙の魔導書  Pumpkin氏

Pumpkin氏 『魔理沙の魔導書』★★★☆☆
分類からもわかるように「The Grimoire of Marisa」のパロディ。
備考の項目の一文や、解釈文が実にらしい。
形式上、ストーリーとしての完成度は低くなってしまうが、創作辞典的な面白みがある。

こいしの正義の味方大作戦  紅魔レヴォリューション氏

紅魔レヴォリューション氏 『こいしの正義の味方大作戦』★★☆☆☆
地霊殿の負のイメージを払拭するためにこいしはある案を思いつくのだが……という話。
内容が実に二次創作らしいのだが、作者の独自色があまりにも強すぎていて想像を垂れ流しているような印象があった。
しかし、その割には読みやすいつくり。三人称に徹しているからだろうか。
内容に置いてきぼりにされるかついていけるかで評価が分かれるタイプ。

霊夢さんとキスメさんと唐傘お化け  岩山更夜氏
小傘とキスメを描いた話。

岩山更夜氏 『霊夢さんとキスメさんと唐傘お化け』★★★☆☆
小傘とキスメを描いた話。
分類にはシリーズとあるが、一話完結ものなのでこれまでの話が未読であっても問題なく理解できる。
キスメの飼い犬ポジションがよく表されている。ヒエラルキー的な意味で。
内容は定番。調子に乗ったものに仕返しをしてもうこりごりだよチャンチャン、とテンポよく始まりストンと終わる。流れるような展開が見事。

キスメさんシリーズ。ゲスト:小傘。

【作品集】プチ50
【作品】霊夢さんとキスメさんと唐傘お化け 「お勧め!」
【作者】岩山更夜さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_p/?mode=read&key=1253985615&log=50
【あらすじ】
キスメさんシリーズ。ゲスト:小傘。
【感想】
小傘は可愛いですね。Exステージではわりと強い小傘ですが、すっかりいじられキャラというか、ひどい目にあっても小傘ならなんかありえるし、ギャグですませられると思わせる美鈴オーラ、小悪魔オーラを放っていますな。そして、強気なキスメ再び。若干背伸びしている感が漂う強気なキスメが可愛いです。

失くし物の真実  もるすあ氏

もるすあ氏 『失くし物の真実』★★★★★
また物をなくしてしまった星に呆れながらも探しに行くナズーリンだったが……という話。
結局、子は親の手の上。主従に関しても同じことが言えるということか。
初っ端からオチを提示しておきながら、まさかの二段オチ。アイディアの魅せ方が非常に上手く、必要な部分だけを描いた短さが切れ味のある作品。読んでいて実に気持ちのいい面白さがある。
強いて言えば、もう少しばかり変態的な面を抑えておけば万人に楽しめる話になったと思う。今でも十分に楽しめそうな気もするが。

さとり「閻魔の説教は聞くべきよね?」  豆柴氏

豆柴氏 『さとり「閻魔の説教は聞くべきよね?」』★★★☆☆
閻魔の説教に従ったさとりとその周囲をコミカルに描いた話。
初っ端から笑わせてくれるやわらかい雰囲気作りが上手い。また、押せ押せモードのさとりにたじろぐこいしが新鮮。
結末はお決まりと言えばそれまでのもの。だが、一息つくのにぴったりの作品、とも思ったが後書きがすべてを持っていってしまった。

残念な君たち  過酸化水素ストリキニーネ氏

過酸化水素ストリキニーネ氏 『残念な君たち』★★★★★
もう穿かなくてもいいかなと訊ねてきたフランにレミリアは……という話。
タイトルにも分類にもあるとおり、非常に残念なフランとレミリアが描かれている。しかし、この軽妙な筆致で描かれるシュールとも言える雰囲気は残念な出来では決してない。
放り投げたようなオチもしっくりくる。また、短く構成が整っているので読みやすい。この短さでここまで独特の雰囲気を引き出せる文章の力を思い知らされる。
強いて言えば話の内容が下品ではあるので潔癖症の人が苦手に思えることくらいか。

秋無双  0005氏

0005氏 『秋無双』★★★☆☆
育てたスイカが奪われるのを阻止するために秋姉妹が、霊夢、魔理沙と対決する話。
内容は実にコミカルで面白く、作中に盛り込まれているパロディ的なガジェットが雰囲気にはまっている。
しかし、分類のつけ方が未読の場合はずいぶんとはしゃいでしまっているように見え、またプチにしては容量が大きいことも手伝い、読むのに躊躇してしまえる点が残念。
また不条理な決着も幻想郷らしいと言えばそれまでだが、どうにも報われない結末。だがそれも味といえば味。

こんな妖怪いたらいいな  アステルパーム氏

アステルパーム氏 『こんな妖怪いたらいいな』★★★★★
ある日、藍のもとに一人の客が訪ねてきたのだが……という話。
確かにロートルだ、橙の先輩とはそういう意味なのか、と納得させられた。
冒頭から読み手に謎を提示しておき、徐々に明かしていく構成の妙がある。
なによりこの話で上手いと思わせるのが、発想を物語の形に上手く噛み砕いたところ。発想自体も非常に面白く、また幻想郷らしいものなので、実に素晴らしい出来となっている。

蓬莱人形式ストレス解消法  脇役氏

脇役氏 『蓬莱人形式ストレス解消法』★★★★☆
タイトル通りの話。
タイトルから首でも吊るのだろうかと思ったが、まったく違う方向に着地させた巧妙な作品。
話がオチに引っ張られる形となるが、展開は不自然ではない。途中の道具のエピソードもいい味わい。
ただ、人形にしては妙に喋りすぎていて人形の愛らしさを出そう出そうとしているわざとらしさが気になった。
短くまとめられているので、さっくり楽しめる愉快な話。

満月の夜にする会議  豆柴氏

豆柴氏 『満月の夜にする会議』★★☆☆☆
魔女三人が集まり開かれる「サバト会議」の顛末を描いた話。
登場する人物が変態的である作品。こういった変態的な側面を見せる人物の役割は二通りある。コメディー色を出すためのものと、淡々と描きシュールさを出すため。
この話は前者であるのだが、どうにもやり過ぎという感が否めない。ただ変態というだけで笑わせようという魂胆が見える。
人物の持ち味やその味付けに頼るのも悪くはないが、ストーリー自体にも手を加えるべきと思える話だった。

ちょっと世間話でも  ごみむし氏

ごみむし氏 『ちょっと世間話でも』★☆☆☆☆
神奈子と紫が過去のことについて語る話。
解答はルーミアということでいいのだろうか。
独自解釈による幻想郷の住人となっている誰かの過去を主軸に描いた作品ということだと思う。
話や構成に不備はないが、この話を通してなにが言いたかったのかが見えてこない。内容も、それで? と言えてしまうもの。
単純につまらなく思えてしまった。

アリスと早苗とヴァルキリー  KeiNa氏

KeiNa氏 『アリスと早苗とヴァルキリー』★★★☆☆
鳥を模したなにかを拾ったアリス、そこに早苗がやってきて……という話。
作中の早苗のような人は現実には大分いる。語る分野は違えど自分の好きなこととなると途端に饒舌になったりするような。
何気に書かれている早苗の能力に対するアリスの解釈も面白い。
ただ、題材を書きたかっただけなんだなと思わせる顛末が惜しいと思わせる。取り上げているテーマだけでなく、話としても面白くあれば文句なしと言ったところ。

驚くのと恐怖は全然違うかもしれない  豆柴氏

豆柴氏 『驚くのと恐怖は全然違うかもしれない』★★☆☆☆
オレンジと小傘を描いた話。
分類に旧作とつけるとわかりやすいかもしれない。オレンジが小傘に人間の驚かせ方を教え、それを実行するという展開。
キャラクターの魅力で引っ張ろうとしているが、描写不足や切り取ったシーンを貼り付ける手法がそれを邪魔してしまっている印象。
懐かしいな、と感じるだけで他に思わせるところがない作品。

告白&愛告 ~紅魔郷~  ちゅーん氏

ちゅーん氏 『告白&愛告 ~紅魔郷~』☆☆☆☆☆+★★★★★
読者が紅魔郷のキャラクターに告白した後のシチュエーションを描いた話。
冒頭で警告している通り、読者の告白に対してキャラクターが返事をする、そのシチュエーションを楽しむ作品。
以前の氏の作品と同様の形式で、あくまで実用的であるため読み手を非常に選ぶものである。

白蓮のハート  草蟹氏

草蟹氏 『白蓮のハート』★★★★☆
ある日、自分の弾幕のモチーフになるものを考えるこいしだったが……という話。
余分なものをそぎ落とし、トントントンと流れるような展開が見事。
爽快さこそないものの、おぉなるほどと納得させる結末が大変いい。

ひびきつづけろ、みんなのおもい  ジーノ氏

ジーノ氏 『ひびきつづけろ、みんなのおもい』★★★☆☆
理想の胸を持つものは一体誰なのか……という話。
ショート・ショートという感じの掌編。キャラクターの魅力を持ち味にしている。
特に突き抜けたところはないが、問題なく楽しめる作品。

きっとキャプテンが悪い話  夏星氏

夏星氏 『きっとキャプテンが悪い話』★★★★☆
村紗が悪いのだとしきりに叫ぶぬえ、そう言われて村紗は……という話。
聖至上主義である彼女たちならではと思わせる展開。泣かせてしまえばそちらが悪い方になってしまうのはどこでも同じことなのだろうか。
好きな人に振り回されるぬえと、結局何もわかっていないという村紗のとぼけた味わいが面白いと思える作品。読んでいて実に楽しかった。

らっぱー、えいきちゃん  豆柴氏

豆柴氏 『らっぱー、えいきちゃん』★★☆☆☆
ラップで説教をすれば相手に伝わりやすいのではと考えた映姫は……という話。
発想は面白いのだが、ラップという要素のミスマッチ感が半端ない。
冗長にせず、さっくり終わらせる構成は上手い。

早苗専用ゴリアテ  道標氏

道標氏 『早苗専用ゴリアテ』★★★★★
ロボットに乗りたいという早苗が向かった先はアリスのところで……という話。
ロボット、お姉ちゃんアリス、主人公早苗、その他カップル、様々な要素が詰まっている贅沢な作品。
これだけの要素を盛り込んでいながらストーリーとして破綻してなく、見事にそれぞれの持ち味を活かしきっている。
そしてまったく思いもしなかったところに着地させたラストが上手い。
万人におすすめできる良質な短編。

破滅  亀井氏

亀井氏 『破滅』★★★☆☆
暗がりの中で苦しそうに呻く空、すぐに気持ちよくなると言う魔理沙だったが……という話。
冒頭で勘違いさせてラストでどんでん返しという定番の手法を用いている。ファニッシング・ストロークのお手本のような作品。
そして後書きが面白く感じられた。この短さでよく持ち味のあるストーリーを描けたものだと思う。

行列は怖い  寒々氏

寒々氏 『行列は怖い』★★★☆☆
付近の村で評判のケーキを食べたいというレミリアのために順番待ちの列に並ぶ咲夜だが……という話。
道徳の教科書に載りそうな、いい話。遠慮や譲り合いは必要だけれど、度が過ぎてもいけないねという物語。
そういった道徳観念を描いている話であるため、雰囲気が実に現実的。幻想郷らしくないとも思えたが、実際はこんなものなのだろうか。
結末でもう一ひねり加えて欲しかったところだが、問題なく読め、万人におすすめできるほのぼのストーリー。

とろける魔理沙  かっぱ巻き風味氏

かっぱ巻き風味氏 『とろける魔理沙』★★★★☆
人里からは歩いて帰ろうと言い出した霊夢に疑念を抱きながらも従う魔理沙だったが……という話。
会話の妙が光る作品。負けず嫌いの魔理沙と霊夢が実にらしく描かれている。
表現で気になる部分もあるが、旨みのあるよく出来た話だった。

古い一着  司馬漬け氏

司馬漬け氏 『古い一着』★★★★☆
昼食を作っていた一輪と雲山、そこに白蓮が現れて……という話。
メタフィクション的要素が盛り込まれているので読者を選ぶかもしれない。しかし、冒頭のペリーネタなど読み手が上手くはまればとても面白く感じる作品。
これだけの短さの中で一輪の漠然とした不安、傷心、それらが霧散する様を描けている手際は見事。
一輪をメインにした話がこれからも増えて欲しいように思える話だった。

あとで怒られました  アステルパーム氏

アステルパーム氏 『あとで怒られました』★★★★★
霊夢の足の爪を切る紫、霊夢はどうして自分で切らないのだろうか……という話。
ほのぼのとした甘さがある作品だと思っていたら、後書きがそれまでの雰囲気を見事に掻っ攫ってしまった作品。
序盤ですべてを語らずに、ラストではっきりせずに描く構成の妙が良い。
短くも味わい深い、良質な短編。

夕焼けの下  点氏

点氏 『夕焼けの下』★★☆☆☆
帰宅の最中に静葉は泣いているリグルに出会うのだが……という話。
構成やオチに不備はないのだが、どうにもキャラクターに魅力が感じられなかった。話の展開が会話に頼りがちで、描写不足であるからだと思う。
可もなく不可もなくといった薄味のような話。

春夏冬中  ネコ跳び氏

ネコ跳び氏 『春夏冬中』★★★☆☆
二行で終わる話。
発想先行タイプの作品。台詞の先頭に人物名を付け加える形式を取り、余分な行を削ることで話に切れ味を出そうとしている。
発想そのものを文章に変えた話は読み手に自力で考えさせることで、つまり面白みはどこなのかと探させることで切れ味が増すように思う。そのため、補足説明などはない方が手法的にはいい。
しかし、この話の発想は知識から来るものなので補足があって正解だと思う。同時に、発想自体に面白みが足りないとも言える。

ファウスト  純砂糖氏

純砂糖氏 『ファウスト』★☆☆☆☆
咲夜は悪夢を見たレミリアに……という話。
ストーリーが理路整然としていないので、ひどく不自然に思える話だった。
咲夜とレミリア、どちらもあまりに短絡的すぎる思考をしているように描かれている。この主従はいざとなれば感情論に頼ってしまうくらいの絆なのだということを書きたかったのだろうか。
心情に訴える話であるため、短くまとまっているのが惜しいところ。こういった話は過程を綿密に書き込むことでのめり込みやすく、また持ち味が活かせるようになる。

紅美鈴は嫌われ者  草蟹氏

草蟹氏 『紅美鈴は嫌われ者』★★★☆☆
食生活について取材に訪れた文に対応する美鈴だったが……という話。
タイトルから誤解されそうだが分類にもあるように単純な虐めものではない。読めば「ああ、嫌われ者ってそういう」と納得できる。
発想を持ち味としているため、冗長とせずに短くさっくり読めるようにした構成が上手いと思える。逆に、話の面白みがその発想だけとも言えてしまう。

彼女が髪を伸ばした理由  岩山更夜氏

岩山更夜氏 『彼女が髪を伸ばした理由』★★★★☆
髪を伸ばしたこいしが地霊殿に帰ってきたが……という話。
好きな人には構ってもらいたい、そのためならあらゆる方向からアプローチしてくる子供のような精神面が面白い。
短いながらも構成はしっかりしていて読みやすく、また温かな姉妹仲も楽しめる良作。

飛び出せ、早苗さん!  ネコロビヤオキ氏

ネコロビヤオキ氏 『飛び出せ、早苗さん!』★★★☆☆
巫女である霊夢はだらけているばかりなのに博麗神社に信仰がある秘密を探る、早苗と神奈子を描いた話。
話の雰囲気は落ち着きのないコメディという印象。しかし、後半は子供との温かな触れ合いのような味わいもある作品。
メタフィクション的ガジェットが用意されていて、それをコミカルに描くための要素として最大限に活用できているように思える。
読んでいて面白く感じられたが、プチであるという前提でなくとも冗長という印象を受けた。登場する人物をもう少し抑えて、余計なエピソードを削るなどの工夫がほしいところ。

地霊殿テレビ局開局514年(こいし☆)記念特別番組  豆柴氏

豆柴氏 『地霊殿テレビ局開局514年(こいし☆)記念特別番組』★★★★☆
東方ProjectのキャラクターでTVCMを作ってみた話。
それぞれのキャラクターの持ち味をCMという形に活かそうとする試みが面白い。
また、読み始めはコミカルな物語だと思っていたが、後書きでは諷刺の側面も描いていてただの掌編で終わらせていないところが見事に思える。

外患より内憂  八重結界氏

八重結界氏 『外患より内憂』★★★★★
紅魔館の騒がしい日常を描いた話。
構成が抜群に上手い氏の持ち味が活かされている作品。
館のそれぞれの住人のシーンを切り取り、それらをラストで一気につなげる手際は見事の一言。また内容も面白い。
終始隙がなく、後書きまで楽しめる良質な短編だと思える。

かっこつけたい  寒々氏

寒々氏 『かっこつけたい』★★★★★
以前から咲夜に興味のあったアリスは彼女を自宅へ招待しようとするのだが……という話。
盲点をつかれた気分になった。小説や漫画でよくあるキャラクターの心情の描写をしている最中の経過時間については特に考えずに展開するやり方を逆手に取った作品。
さらに、ただ話の手法として利用するだけでなく、アリスの内気とも言える少女らしい描写としてまで活用している手際には感服する。
一度は読んでおきたい物語。

妖桜  籠無 切子氏

籠無 切子氏 『妖桜』★★☆☆☆
幽々子と妖夢の日常談話。
分類にあるようにショートストーリー。切り取ったかのようにまとめられたコンパクトさは魅力に感じる。
ただ、氏がこの物語を通じて何が言いたかったのかが読み取れなかった。
もちろん、私の読解力不足もあると思うが、人と花を対比させて花が咲くのは美しいからと言わせておきながら、その後に咲かない花も美しいとある。これには一貫した主張がないように思える。

加齢なる一族  万年初心者氏
十秒くらいで読める話。

【作品集】プチ50
【作品】加齢なる一族
【作者】万年初心者氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_p/?mode=read&key=1254905675&log=50
【あらすじ】
 えっ
【感想】
 十秒くらいで読める話。
 とにかく読んでみてください。
 この短さでちゃんと笑える話に仕上がっているのは凄い。
 というか、上手い。

えっ

(自己レビュー)

【作品集】ジェネ50
【タイトル】加齢なる一族【書いた人】万年初心者
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_p/?mode=read&key=1254905675&log=50
【あらすじ&所感】
えっ

 
【まるっと総括・プチ50】  2009/10/09

【まるっと総括・プチ50】
・稼動日数 20日。
・投稿作家数56人。
・新たに7人の作家が創想話デビュー。
・それとは別に、6人の無印作家がプチデビュー。
・最多投稿者 アステルパーム氏 [7作品]
・最長作品
『飛び出せ、早苗さん!(ネコロビヤオキ氏)』 [48kB]
・多量コメ獲得作品(現在時点)
『レミリア軍曹のオトメ道場(Ninja 氏)』[42コメ]
『外患より内憂(八重結界氏)』[30コメ]
『彼女は知らぬ間に女になっていた(春秋柿氏)』[28コメ]
『ナズデレラ(TAM氏)』[28コメ]

○今作品集の傾向
・ギャグ系紅魔館が多くあった。
『レミリア軍曹のオトメ道場(Ninja氏)』
『残念な君たち(過酸化水素ストリキニーネ氏)』
『外患より内憂(八重結界氏)』
・その一方で、本格的に増え始めた星蓮船SS
『遊びも必要です(喉飴氏)』
『きっとキャプテンが悪い話(夏星氏)』
『失くし物の真実(もるすあ氏)』
・早苗と巨大ロボを扱う話もいくつか。
『神起動戦記 早苗さん(雪野光氏)』
『アリスと早苗とヴァルキリー(KeiNa氏)』
『早苗専用ゴリアテ(道標氏)』
・いつもより若干、冥界組が多いかも。
『老いて、なお盛ん(八重結界氏)』
『正しい主と従者の様…?(澄氏)』
『おんなのこ、ようむ(アステルパーム氏)』
・上で挙がらなかったもので、個人的なオススメ
『チートで安心地霊殿(yamamo氏)』
『紅美鈴は嫌われ者(草蟹氏)』
『霊夢イズマネー(電気羊氏)』
『ねむりごな(からたち柄杓氏)』
『いっけね、傘忘れた(地球人撲滅組合氏)』