作品集103

Last-modified: 2011-06-08 (水) 20:14:19
とりかえみこ  see氏
八坂神奈子の神事により霊夢は守矢神社へ、早苗は博麗神社で一週間暮らす事に。

【作品集】103
【タイトル】とりかえみこ
【書いた人】see氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267455550&log=103
【あらすじ】
八坂神奈子の神事により霊夢は守矢神社へ、早苗は博麗神社で一週間暮らす事に。
妖怪の山にある守矢神社の生活にギャップから霊夢は色々と変化していく。
そして博麗神社なんかで暮らさなきゃならない早苗さんの運命とは!?
一週間後、二人の巫女は如何なる変化を遂げているのか!!

【感想】
ギャグもほのぼのも両立するプリティ霊夢ストーリー。霊夢好きならすべからく見るべし!
霊夢だけでなく神奈子様も諏訪子様も早苗さんもマジ魅力的。
短くまとまっているのでサクッと読めるぞ!

もりやけ! のアットホームな雰囲気を描いた作品。

see氏の「とりかえみこ」はハズレなし
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267455550&log=103

もりやけ! のアットホームな雰囲気を描いた作品。さっくり短編なのですぐ読める
この作品はギャグでもほのぼのでもなく、霊夢と家族という決して相容れない存在の溝を意識させられる作品
作者本人はギャグか何かのつもりで書いたのだろうけど、うっかり大吉を引き当てたのだろうと思う

あんたネコなの?  ∵氏

【作品集】103
【タイトル】あんたネコなの?
【書いた人】∵氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267438850&log=103
【感想】
まずこの作品を読む前に「ネコ 隠語」でググるか二回読む覚悟を決めてください(ネコの意味がわかる人なら結構)。
そうでないと100%楽しむことは難しいかと思われます。
私はこの作品で完璧にお燐のファンになりました。もうね、可愛すぎる。この可愛さを表現しきれない自分の語彙力の
なさに嫌気が差すほど。
お燐が目茶苦茶優しいんです。霊夢を喜ばせてあげたい。その溢れんばかりの母性が、裏切られることを予感させられて
いるからこそ強烈に突き刺さってきます。それはもう、涙が出るほど。
お燐が母性たっぷりな娘だというのは、地霊殿のバックストーリーからも読み取れますが、ここまで余すところなく
それを描いたのはこの作品をおいて他にないでしょう。

【五段階評価】
★★★★★(お燐好き必読)

こいしがり  バームクーヘン(B・G・M 氏

【作品集】103
【タイトル】こいしがり
【書いた人】バームクーヘン(B・G・M 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267450969&log=103

【あらすじ&感想】
 ある春の日、古明地こいしは女性の悲鳴を聞く。
 そもそも幻想郷は妖怪の世界なんです。つまり我々の常識や思考から少し、あるいは大きく外れていると思います。特に地上から離れた地の底ならそれは顕著なのかもしれません。
 そんなことを考えさせる掌編です。こいしの行動は一見敵討ちにも見えますがその実ただの遊びの延長線上にしかなく、親子に向けた情のように見えるものも、果たして人間である我々の持ちえる感傷的なものなのか怪しいところ。しかし、最後の一文も含めて、これは地霊殿における地霊殿的な情愛の物語ととれる、のかもしれません。

 ”妖怪”というものを描写した興味深い作品でありました。

花嫌い  ふぐるま氏
たくさんの花に囲まれて過ごし花に譬えられるも、花が大嫌いな幽香と言う、一見ありえない設定で始まります。

【作品集】103
【タイトル】花嫌い
【書いた人】ふぐるま氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267630461&log=103
【あらすじ】
花が嫌いで嫌いで仕方なかったかつての幽香。
身体の中まで支配されているかのように感じ恐怖していた彼女の元に現れたのは…

【感想】
たくさんの花に囲まれて過ごし花に譬えられるも、花が大嫌いな幽香と言う、一見ありえない設定で始まります。
年を経て変わっていく幽香の心理の描写に引き込まれます。
花への恐怖で心を蝕まれていた幽香が、最終的に今の幽香になる過程には心が震えました。
幽香好きには是非読んでもらいたい作品です。

情景を想像すると華々しくも恐ろしい

『花嫌い』作品集103 ふぐるま氏
 (再読だが今まで読んだ中で最も妖怪らしい一面を見た作品。情景を想像すると華々しくも恐ろしい)★★★★☆

今は白紙の紙芝居  みつば氏
人形劇と人気を二分する演目があり、その演目はなんと紙芝居だと言う。

【作品集】103
【タイトル】今は白紙の紙芝居
【作者】みつば氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267778756&log=103
【あらすじ】
アリスが人里で人形劇を終えるとおじいさんが声をかけてきた。
人形劇と人気を二分する演目があり、その演目はなんと紙芝居だと言う。
初めてみた噂の紙芝居、拙い所もあるが実に感情豊かなその語り部は――というお話。

【感想】
タグに入って無い以上はネタバレになるからアリス以外に誰が出てくるかは書かないけど、
前半はテンポ良く話が進んですいすい読める。
紙芝居屋とアリスによるほのぼのっぽい感じで最後まで行くのかと思いきや、
後半からは色々と考えさせられる話が始まる。
その際に各人の想いが丁寧に書かれていて、アリスのセリフに泣いてしまった。

★★★★☆(是非とも読んで欲しい)

妹紅の姿も悲しく感動的だが、図らずも献身的になってしまうアリスにも心打たれた

『今は白紙の紙芝居』作品集103 みつば氏
 (当時スレでも人気だったが、何度読んでも心に来る。妹紅の姿も悲しく感動的だが、図らずも献身的になってしまうアリスにも心打たれた)★★★★★

『きらわれ恐怖症』  風流氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『きらわれ恐怖症』 風流氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267438517&log=103
【あらすじ】
白蓮の復活を邪魔したことで、彼女に後ろめたい思いをするぬえ。
なんとか謝ろうとするがなかなか切欠がつかめない。そこに現れたナズーリンから、飛倉の回収がまだ終わってないことを聞かされる。
正体不明の種を植え付けた自分なら集められる。全部集めてそれから聖に謝ろう。そう考え、ぬえは幻想郷に散った飛倉の回収を決心する。

【感想・ここが面白い・私的評価】
一貫してほのぼのとした雰囲気のお話です。
ぬえとナズーリンが可愛くて我慢できません。謝りたいけど謝れずに悶々とするぬえは素晴らしいと思います。そこに白蓮がくればもうたまりませんね。
一悶着あっての仲直りという王道的な内容で、意外性はないものの、42kbというなかなかの長さでありながらすらすら楽しく読める作品になっています。
飛倉の回収の場面では、出そうと思えばいくらでも他のキャラクターを出すこともできました。しかし、そうはせずに焦点をしっかりと定め、まとめあげた構成が上手いと思いました。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
いい子なぬえが見たい人、
アットホームな幻想郷が好きな人、におすすめです。

『梅雨日の出来事』  夢月みぞれ氏
シリアス、ホラー、バトル、ほのぼのと様々なジャンルを取り入れた意欲的なお話です。

【作品集】103
【タイトル・作者】『梅雨日の出来事』 夢月みぞれ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267441028&log=103
【あらすじ】
風邪をひいてしまい、寝込む輝夜。そこに妹紅からの言伝を頼まれた鈴仙から話を聞かされる。
「風邪を引いた時に、蒼い鬼火を見ると呪われるらしいぞ」という内容だったがそんなものは悪戯だと言い、輝夜は床に就く。
そして、夜がやってきた。

【感想・ここが面白い・私的評価】
シリアス、ホラー、バトル、ほのぼのと様々なジャンルを取り入れた意欲的なお話です。それぞれの要素のさじ加減が好ましく思えました。
輝夜と妹紅の付き合い方にはやはり頬がゆるむものです。二人の交流はやはり決闘しかありませんね。
お話の展開が流れるように自然です。その内容も考えさせられるもので、独特な雰囲気に引き込まれました。作者さんの発想に惹かれます。
ただ、内容自体は十二分に楽しめるものなのですが、言葉の選択、描写の視点など技術的な面で不足が見られました。読む分には気にならないと思います。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
弱気な輝夜が見たい人、
梅雨時の静かな雰囲気が好きな人、におすすめです。

風邪をひいた輝夜に対して妹紅がとる行動とは。

『梅雨日の出来事』作品集103 夢月みぞれ氏
 (風邪をひいた輝夜に対して妹紅がとる行動とは。こんな二人の距離感いいなあ)★★★★☆

『ビンの中のクランベリー 』  U.N.owen氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『ビンの中のクランベリー 』 U.N.owen氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267454082&log=103
【あらすじ】
空腹に悩まされ、珍しい食材を求めて紅魔館にやってきた幽々子。彼女は館の中を探索するうちに地下に向かう階段を見つける。
そして彼女はフランドールと出会った。

【感想・ここが面白い・私的評価】
前半はコメディ、後半はシリアス風味となっているお話です。
幽々子とフランドールという珍しい組み合わせを描いています。地下で一人ぼっちのフランドールに幽々子が出会い、というキャラクターを除けば王道的なお話です。
残念に思うのは、名前ネタなどの二次ネタが悪い方向に作用してしまい、作風についていけなくなるところです。シリアスの部分の内容も浅く、短さも手伝い、物足りなさを感じさせました。
しかし、この作品に仕掛けられた作者さんのある発想はとても面白く思いました。
★☆☆☆☆(努力賞)

【こんな人におすすめ】
幽々子とフランの組み合わせが見たい人、におすすめです。

『ぼくのかんがえたさいきょうのいちりん 』  わおん氏
冒頭からのおちゃらけた雰囲気からは想像もできなかったバトルものです。

【作品集】103
【タイトル・作者】『ぼくのかんがえたさいきょうのいちりん 』 わおん氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267467005&log=103
【あらすじ】
暇つぶしに命蓮寺へ道場破りをしにきた萃香。
寺に残っていた一輪と村紗は、鬼とやりあうのが面倒だと雲山に後を託したのだった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
冒頭からのおちゃらけた雰囲気からは想像もできなかったバトルものです。
萃香と一輪、雲山のバトルがテーマとなっていますが、それよりも「いっちゃん」「みつ」と言い合う一輪と村紗の仲が気になるところです。思わずにやにやしてしまう可愛いあだ名ですね。
メインのバトルではカッコ表記で人物の内心を書く手法を使っていました。このやり方はなんだか漫画を読んでる気分になりますね。
描写は過不足なくされていたと思います。萃香についての言及があれば文句なしと言ったところ。
後書きは、胸がときめくか、しめつけられるかの二択です。他にはありません。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
バトルものが好きな人、
一輪と雲山の活躍が見たい人、
一輪と村紗の二人が好きな人、におすすめです。

一輪好きはとにかく読め。

【作品集】103
【タイトル】ぼくのかんがえたさいきょうのいちりん
【書いた人】わおん氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267467005&log=103
【あらすじ】
突然命蓮寺に殴り込んできた鬼、萃香!!
彼女の目的は!?
「道場破り」
理由は!?
「暇だったから」
舐めてるんだな? 舐めてるんだろこいつ。
だが寺に残っているのは一輪、ムラサのみ! (聖と星は役場で講演、ナズーリンはそのお供)
どうする、どうする一輪!!

【感想】
一輪好きはとにかく読め。
雲山の無限の可能性を教えてくれる能力バトル系の中二物。だが、それがいい。
いっぱいいっぱいとはいえ一輪のペースで進んでいくので、萃香が大好きな人はちょっと悩むかも。
後はいっちゃんとみつ。
それと天の庭(バビロン)。

『月の彼女』  神田たつきち氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『月の彼女』 神田たつきち氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267515792&log=103
【あらすじ】
にとりが製作したダイヤモンドの指輪。
それを愛しい人に贈ろうと、幻想郷中のカップルが集い争奪戦をすることになった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
正統派の恋愛もので、ロマンスの味が強い作品です。
マイナーな組み合わせ、もとい新ジャンルとも言えるようなめったに見ないカップルが多く登場します。
特に早苗とアリスの二人が初々しくて良かったです。メインである紫もとても可愛らしく描かれています。それぞれのカップルのシチュエーションも面白みがありました。
ただ、説明文が多くまわりくどいため、冗長に感じました。その割りに、カップルたちの背景などがあまり書き込まれていないため、ただ書きたかったから出した、と思えてしまいます。
詰め込めるだけ詰め込んで可愛らしく装飾した箱のようです。あまりまとまりのないお話になってしまったことが惜しいと思いました。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
乙女らしい紫が見たい人、
珍しいカップルが見たい人、におすすめです

『課長ォォォォ……あんだけ無礼講無礼講ッつってた割りに、しっかり根に持ってるんじゃないッすかぁ……!』  家鈴 窓満氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『課長ォォォォ……あんだけ無礼講無礼講ッつってた割りに、しっかり根に持ってるんじゃないッすかぁ……!』  家鈴 窓満氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267521448&log=103
【あらすじ】
王様ゲームに興じる紅魔館の面々。
王様になったフランドールが出した命令は、三番が四番の顔面にパイ投げというものだった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
タイトルが特徴的すぎて名前変えても特定余裕でした。とても短いので、すぐに読み終わります。
さっくり楽しめるところは好感が持てます。この切れ味こそ作者さんの特徴とも言えます。
しかし、これだけテンポよくお話を進められるならもっと掘り下げても良かったのでは、とも思えます。オチも一発ネタの類で、波長さえあえば問題ありませんが、噛みあわなければ、これで終わりかという肩透かしをくらいました。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
コメディが好きな人、
喚く狂人さんが好きな人、におすすめです。

『ある日の神社の夜に』  極貧ぬー氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『ある日の神社の夜に』 極貧ぬー氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267526921&log=103
【あらすじ】
毎晩、霊夢に勝負を仕掛けるレミリア。いつものように神社にやってきたがなかなか霊夢が見当たらない。
部屋まであがりこんでみると、そこには風邪をひいて寝込む霊夢の姿があった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
ちょっとした日常のお話です。全体的にほのぼのとしていて、まったりした読後感を味わえました。
お話の内容を理解する分には問題ないのですが、短い上にそれぞれの人物について掘り下げておらず、あっさりしているという範囲を通り越し、物足りなく感じます。読み物としての魅力が欠けているようにも思います。
ですが、こんな風に淡々としている雰囲気は幻想郷らしいと言えるのかもしれませんね。
★☆☆☆☆(努力賞)

【こんな人におすすめ】
日常の一コマが好きな人、におすすめです。

『メディスンとアリス ~捨てられた人形の出会い~ 』  双角氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『メディスンとアリス ~捨てられた人形の出会い~ 』 双角氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267531635&log=103
【あらすじ】
その日、アリスは散歩をしていた。行き着いたのは無名の丘と呼ばれる広大な鈴蘭畑。
そこでアリスは妖怪に出会う。妖怪はメディスンと名乗り、彼女に突如襲い掛かった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
タイトルの通り、アリスがメディスンと出会い、打ち解けあうお話です。
打ち解けあった後のアリスとメディスンの様子は見ていて楽しいものでした。
ただ、お話の展開が駆け足で、感傷が抱けずにそのまま読み終わってしまいました。書かれた内容も予想できるものだったのが残念なところです。
また、描写もシンプルで、味気ない文面になってしまっています。お話として盛り上がりがほしいところです。
★☆☆☆☆(努力賞)

【こんな人におすすめ】
メディスンとアリスの触れ合いが見たい人、におすすめです。

『神様のための隠し味』  pys氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『神様のための隠し味』 pys氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267540075&log=103
【あらすじ】
身近にいる二柱を喜ばせるために料理の腕に磨きをかける早苗。
しかし、自分一人では上手くいかず、失敗してしまう。それなら幻想郷にいる料理の達人たちから学ぼう、と彼女は考えた。

【感想・ここが面白い・私的評価】
家族愛をテーマに、早苗の料理修行を描いたお話です。
神奈子と諏訪子が好きで仕方ないという早苗の健気なところは見ていて胸が熱くなりますね。
いわゆるいい話なのですが、ほのぼのとした空気をコメディタッチで作り出しているため、非常に読みやすくなっています。ほのぼのとコメディの相性は良いもので、ホームドラマ的な面白みがありました。
ただのいい話で終わらせずに、しっかりオチをつけたのも好印象です。
ただ、派手さがなく、感動を呼び起こすまでに読み手に訴える力がない、イイハナシダナーで終わってしまうのが惜しいところです。しかし、これはジャンル的に仕方のないことかもしれません。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
アットホームな幻想郷が見たい人、
早苗が可愛すぎて生きるのがつらい人、におすすめです。

『春宵の語らい 』  コーラの王冠氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『春宵の語らい 』 コーラの王冠氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267550741&log=103
【あらすじ】
久々にまとまった収入を得た霖之助は里の酒屋へと向かった。
それは今日が特別な日、自分の恩人や師匠とともに静かな花見をする日だったからだ。

【感想・ここが面白い・私的評価】
霖之助、妖忌、霧雨魔理沙の父親、玄爺の四人が花見をするお話です。男性キャラが語る幻想郷という珍しいテーマとなっています。
妖忌と魔理沙の父親の親バカ合戦や、玄爺と霖之助の会話で語られるちょっとした人生観など、魅力のある要素が多い作品です。
男性らしい話題もあり、この話ならではと思わせる雰囲気作りが読んでいて上手いと感じました。
亀の甲より年の功より亀の功。終盤で描かれる玄爺の魅力もたまりませんね。
突き抜けた部分はないものの、欠点も見当たらない安定感のある短編でした。
★★★★☆(読んでおきたい佳作です)

【こんな人におすすめ】
風流な雰囲気が好きな人、
男性キャラの話が見たい人、におすすめです。

『自問自答』  耳かき氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『自問自答』 耳かき氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267590908&log=103
【あらすじ】
自分の能力に振り回され、孤独になってしまったヤマメ。彼女は今までの自分を知らないところへ行ってやり直そうと逃避をはかる。
結果、地底でやり直すことができ、友人をつくることもできた。
そんなある日、友人のキスメを病にかけてしまったヤマメ。キスメを治すために彼女は、一度は逃げた地上へ向かうことを決心する。

【感想・ここが面白い・私的評価】
ヤマメが自分の能力と向き合おうとするお話です。
ヤマメの能力はよく考えると物騒なものです。このお話は、そんな彼女が自分と向き合うために苦難を乗り越えるという青春ものとも言えますね。後味がいいものです。
タイトルにもあるように終始、ヤマメは自分に問いかけを行っています。そのため、ヤマメの内心を頻繁に書く必要があるのですが、それを三人称視点のカッコ表記でやっていることが気になりました。一人称視点で書いたほうが形式的にあっていると思うのですが。
しかし、それは作者さんの自由ですので問題ではありません。惜しいと思えるのは、三人称視点でありながら、地の文でも人物の気持ちを書いてしまっているところです。これではカッコ表記の意味がないのではと思われてしまいますし、若干の読みづらさも出てきてしまいます。
ほかに、輝夜やにとりなどのサブキャラクターの場面をもう少し書き込めば移入しやすい作品になったと思います。ですが、内容は味わい深いので一読の価値ありです。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
ヤマメが好きな人、におすすめです。

『蓬莱山 輝夜は永遠に生きていく』  設楽秋氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『蓬莱山 輝夜は永遠に生きていく』 設楽秋氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267601618&log=103
【あらすじ】
竹林の道案内をした輝夜はそのまま人里に向かった。
青空の下、ふと、偶には外に出ろと言われたことを思い出す。
言った相手は妹紅。死ぬはずのない蓬莱人でありながら、死んでしまった彼女の言葉だ。

【感想・ここが面白い・私的評価】
ジャンルはシリアスで、落ち着いた筆致が生み出す作品の雰囲気には思わず飲み込まれました。
こんなに生き生きとした輝夜は久々に見たのかもしれません。今まで死につづけてきた輝夜がようやく生きる楽しみを見つけられた、そのときの彼女の顔を想像するとなんだか頑張ろうという気が出てきます。
おそらくテーマは生きることについて。蓬莱人の命の考察ものではないでしょうか。そして、考察ものの割りに物語性もあるので、読ませる力があります。また、情景描写も長けているようで、とても読みごたえがあります。
ただ、永琳があまり絡んでこないのが奇妙に思いました。もちろん、セリフの中では出てきますが、実際に登場はしません。輝夜の中でも永琳の存在は大きいはずなのですが。
しかし、必要以上にキャラクターを出すことを作者さんが良しとしなかったのかもしれません。物語の筋は通っていますし。
★★★★☆(読んでおきたい佳作です)

【こんな人におすすめ】
生きるのがつらい人、
輝夜と妹紅の二人が好きな人、
蓬莱人についての考察をしたい人、におすすめです。

『雛祭の日』  白麦氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『雛祭の日』 白麦氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267606162&log=103
【あらすじ】
雛祭りをやらないという霊夢に、厄をなくすためにもした方がいいと解説する霖之助。
それを聞いた霊夢は雛祭りをしようと決めるのだが……。

【感想・ここが面白い・私的評価】
雛祭りを題材にしたショートショートの二本立てです。一つは霊夢、もう一つは早苗たちがメインとなっています。
四コマ漫画のように場面場面を区切る形式にしています。そのためテンポがとてもいいので読みやすい作品です。
しかし、霊夢の動機は頷けるのですが、早苗たちの動機についてはそれで信仰が回復するとは思えず、不思議に思いました。それとも、早苗たちがそこまで追い詰められていて短絡的になっていたという表現なのでしょうか。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
可哀相な雛が見たい人、
コメディをさっくり楽しみたい人、におすすめです。

『ひなまつり』  茶々氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『ひなまつり』 茶々氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267608972&log=103
【あらすじ】
雛祭りのせいか、「ひな」と自分の名前を何度も聞くが周囲には誰もいない。自分が呼ばれているわけではないと気落ちする雛。
そこにやってきた魔理沙に宴会へ誘われる。

【感想・ここが面白い・私的評価】
ほのぼのとした日常を切り取ったお話です。
厄神だけどさびしくないよと笑顔の雛を想像できます。とても可愛らしい。
ただ、雰囲気に任せすぎたのか描写が浅く、地味な印象でした。読み進ませる魅力が足りず、肝心の宴会の場面も省略してしまっては物語のうまみがありません。
書くべきところできっちり書いてほしかったです。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
雛が好きな人、におすすめです。

『小悪魔のお悩み相談教室 』  白々燈氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『小悪魔のお悩み相談教室 』 白々燈氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267611090&log=103
【あらすじ】
今日も始まりを告げる番組、小悪魔のお悩み相談教室。
メインパーソナリティは小悪魔でお届けします。

【感想・ここが面白い・私的評価】
小悪魔が番組形式で視聴者から寄せられる悩みに答えるお話です。傾向はラブ風味コメディです。
悪魔的な面も見せれば、初々しい顔も見せる小悪魔の魅力がこの作品のすべてです。とはいうものの、コメディ色が強いのでどちらかというとにやにやしながら笑えるお話だといえます。
メタ要素としてアイマスが作中に出てきます。そういったネタが好きな人ならかなりはまると思います。逆ならかなりの障害になりますので未読の人は注意しましょう。
あとは、オチがフェードアウトするタイプで、きれいに落としたとは言えないところが残念です。けれど、冒頭から勢いに任せた展開であるため、そのまま最後まで突っ走ったと考えると一貫した姿勢が見られて好ましく思えます。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
コメディが好きな人、
メタ・パロネタが好きな人、
小悪魔が可愛すぎてつらい人、におすすめです。

『もう! にとりちゃんのエッチ!!』  小城氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『もう! にとりちゃんのエッチ!!』 小城氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267614311&log=103
【あらすじ】
花粉のつらさに我慢してでも、にとりには魔理沙に誘いたい場所があった。
そこは満開の花が咲く梅林だった。さらにそこには先客の姿があって……。

【感想・ここが面白い・私的評価】
ジャンルはふわふわラブコメディです。にとりの恋の行方を軸に描いています。
花粉症のつらさよりも魔理沙を優先したにとりは可愛らしく思えます。恋に生きる様は少女らしいといえますね。
作中では、春の陽気のようにおバカめいた雰囲気を上手く作り出しています。にとりの謎の語尾もその演出の一つなんだろうと思います。
ただ、雛の登場がお話に必要とは感じず、オチ要員のために出したと思える無理やり感がありました。雛との絡みのために尺をのばしてみたりすると良かったのではないかと思います。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
恋するにとりが見たい人、におすすめです。

理由をもうひとつ  優依氏

【作品集】103
【タイトル】理由をもうひとつ
【作者】優依氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267693002&log=103
【あらすじ】
今日は満月。師である永琳からもらった手紙の内容通り、幻想郷の人妖達がやってきた
それに対抗するべく綿月依姫が立ちはだかるが……

【感想】
簡潔に言えば依姫vs霊夢たちが始める直前から描かれる儚月抄のif物語。
静かな雰囲気の中で描かれる綿月姉妹と永琳の絆がとても良かったです。
if展開も違和感を感じさせない、説得力あるものに仕上がっています。
ただ文が詰まってて読みづらかったのが個人的に挙げる唯一の欠点ですが、
一度読みはじめれば最後までするすると読み切ってしまえるでしょう。
最後まで読ませることのできる作品ってすごいですよね。

花火  みをしん氏

【作品集】103
【タイトル】花火
【作者】みをしん氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267663830&log=103
【あらすじ】
「花を焼いて欲しいの」
夏の終わり頃、迷いの竹林で月を見ていた妹紅の元に訪れた幽香は、そんなことを頼んできた。
果たして幽香の真意とは?

【感想】
何度でも蘇るフェニックスと枯れても再び咲き誇る花。
本質的に身近と言える二人を見事に描ききった作品かと思います。
また作中の二人の立ち位置も非常に「らしさ」を感じられ、雰囲気が素晴らしかったです。
ああ、あまりに物語が理想的すぎて満足感と嫉妬がせめぎ合う……。
星の数は文句なしの★5つ。積極的にお勧めしたい一作です。

春の話  ああああ。氏

【作品集】103
【タイトル】春の話
【書いた人】ああああ。氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267793045&log=103
【あらすじ】
まだ春先だというのに魔理沙が腹を出して寝ていた。
発見者は霊夢だ。
起こすのも可哀想なので隣に座る霊夢。
そして彼女は春を感じていく。

【感想】
タイトル通り春を書ききってある。
幻想郷の日常の一コマを切り抜いた感じ。ほのぼの。
いちゃいちゃ、百合とまではいかない爽やかなレイマリが見れる。
春ですごく忙しい!という人がこれを見るとほっとできそう。

【五段階評価】
★×5(個人的に毎月ごとに書いてほしい)

『そりゃ風邪くらいひくわよ 』  負け猫亭氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『そりゃ風邪くらいひくわよ 』 負け猫亭氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267617642&log=103
【あらすじ】
風邪をひいて、寝込む輝夜。
彼女の世話をするはずだった鈴仙は、自分は所用があるから代わりの者を連れてきたと言う。その代わりの者とは妹紅だった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
看病の様子をコメディタッチで描くのかと思いましたが、実は回想ものでした。
すれていない、可愛らしい輝夜がこのお話では書かれています。妹紅なら印象としてよくあると思うのですが、それが輝夜だとなんだか新鮮な気持ちで読めました。
過去の場面を思い返し、あらためて輝夜が自分を見つめなおす展開になっています。しかし、蓬莱人としての仲間意識が芽生えるだけに留まり、それだけ? というような今更感を感じました。
後書きを読むと作者さんはただ病気で寝込んだ日常の場面を書きたかっただけのようです。その点で見れば目的は達しているように思います。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
素直な輝夜が見たい人、におすすめです。

『そりゃ風邪くらいひくよ 』  負け猫亭氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『そりゃ風邪くらいひくよ 』 負け猫亭氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267617675&log=103
【あらすじ】
風邪をひいてしまった妹紅。ついには倒れてしまい、意識は遠のいていった。
次に目覚めたとき、そこにいたのは輝夜だった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
こちらも看病の様子を描いたものです。回想もありますが、どちらかというと輝夜と妹紅の絡みに重点を置いてるように思います。
素直になれない輝夜と一歩踏み出す妹紅、この二人の会話に思わず頬がゆるみます。
同時に投稿した作者さんの作品『そりゃ風邪くらいひくわよ』となにかしら連動して一つの物語を目指す構成になっていると思っていましたが、そうではありませんでした。
結局、仲間意識が芽生え、仲直りに着地するところを見ると、ただ『そりゃ風邪くらいひくわよ』の風邪をひく側を挿げ替えただけに思えます。
シチュエーションを楽しむにはいいのかもしれませんが、読み物としてはイマイチという印象です。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
輝夜と妹紅でにやにやしたい人、におすすめです。

『白神』  楸氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『白神』 楸氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267620122&log=103
【あらすじ】
ある女性から自分たちの家で怪異が起きて困っているから助けてほしい、という依頼を受けたアリス。
道中で出会ったミスティアも連れて、その屋敷で調査を開始する二人だったが、怪異は繰り返されるばかり。ついには死人まで出てしまう。

【感想・ここが面白い・私的評価】
名前ありのオリジナルキャラが多数登場し、舞台は屋敷というミステリー小説のような手触りでした。けれど、テーマはホラーです。
探偵アリスと助手ミスティアの事件解明物語。そのジャンルとキャラクターの珍しさから、それなりの長さですが一気に読むことができました。序盤から興味をそそる書き方で、読み手を引き付けるのが上手いと思います。話の内容も十分に楽しめました。
しかし、多くの誤字脱字や語法の間違い、不必要な描写などがあり、完成度はまだまだ高められそうです。
ほかに、構成をつくろうとはしているものの表現力が追いついていないように感じました。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
怪奇小説が好きな人、におすすめです。

『ナイトメア』  無言坂氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『ナイトメア』 無言坂氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267622540&log=103
【あらすじ】
今日もふらふらと地上を徘徊してきたこいし。
地霊殿に帰宅した彼女はさとりにあることを問いただされる。
「人間を食べてきた?」

【感想・ここが面白い・私的評価】
軽妙な筆致で描かれる冒頭からのほのぼの空気にすっかり油断してしまいました。実は悲劇でした。タイトルから嫌な予感はしていましたが、まさかまさかという思いです。
こいしの上品のくだりが特に面白かったです。もうこの時点で、骨抜きにされました。警戒心もゼロです。
作者さんはキャラクターの個性の表現に長けているように思います。この作品でも無意識を操るこいしをわかりやすく伝えてきています。こいしのセリフに散らばるメタ発言もその演出に一役買っているように。
ただ、結局問題の解決が提示されずに終わっていることが物語の収束を放棄したように感じました。様々な見方はできるように思いますが。
また、言う、言ったの使い分けなど気になる点もいくつかありますが、それを補ってあまりある姉妹愛の魅力がこの作品にはありますね。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
古明地姉妹が好きな人、
こいしが可愛すぎてつらい人、におすすめです。

『「厄神様」』   タ々ル氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『「厄神様」』  タ々ル氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267625930&log=103
【あらすじ】
厄神様を一度見てみたいと思った人里の子供たち。
好奇心に駆られ、彼らは樹海を目指すのだが……。

【感想・ここが面白い・私的評価】
厄神の立場を、少年たちの冒険譚を通して描いたお話です。地の文の言葉遣いから伝奇小説のような雰囲気がありました。
つかず離れずの関係を望む雛の描写は、これぞ神様と思わせる超然とした姿を想像させます。
読んでいると、ホラーのような妙な緊張感が徐々につのり、先へ先へと読み進める手が止まりませんでした。
ただ、この作品は幻想郷の人から見た厄神様とは、を書いているだけで、物語性があまりないように感じます。雛の内面の描写などがあれば、より面白くなったのではないかと思いました。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
雛が好きな人、
幻想郷の厄神が見たい人、におすすめです。

『むいしきねこ』  ぜろしき氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『むいしきねこ』 ぜろしき氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267628265&log=103
【あらすじ】
古明地こいしは猫である。
黒猫で、一年も生きていない子猫で、尻尾はまだ一本しかないただの猫である。

【感想・ここが面白い・私的評価】
無意識についてこいしを通して語った作品です。思わず興味を持ってしまう書き出しからお洒落な結末まで、構成の妙のあるものでした。
内容は雰囲気重視で、作中の空気と噛みあわなければそのまま最後まで思うところなく読み終わることになると思います。
無意識とは何なのか、ちょっと時間をかけて考えてみたくなりました。幻想郷の無意識とそれ以外の無意識はなにか性質が違うようにも思いました。
会話と地の文をバランスよく使い、しっかり説明ができています。それなのに、どこか物足りなく感じるのは全体の短さのせいなのでしょうかね。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
SFが好きな人、
無意識に翻弄されるこいしが見たい人、におすすめです。

『ぱらのいあとこめいじしまい』  高瀬氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『ぱらのいあとこめいじしまい』 高瀬氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267631981&log=103
【あらすじ】
こいしが可愛くて仕方なく、つい熱をこじらせてしまったさとり。
そんな彼女にこいしは振り回されてしまう。

【感想・ここが面白い・私的評価】
さとりとこいしのラブコメチックな日常の一コマのお話です。ほのぼの路線一直線。
冒頭の注意文の「頭の悪い」はおそらく「頭の熱い」の間違いですね。これだけイチャイチャされると見ていてなんだか恥ずかしくなってきますもの。
ただ、読んでいて面白くないわけではないのですが、分量不足が致命的です。内容という面で充実していないように思います。盛り上がる場面もなく、ただ仲良くしているというだけでは特に印象には残りません。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
仲のいい古明地姉妹が見たい人、におすすめです。

『【人生足別離】を殘る』  ほむら氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『【人生足別離】を殘る 』 ほむら氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267634627&log=103
【あらすじ】
種族として魔女になるべく準備を始めていると告白する魔理沙。それを聞かされたアリスと霊夢はそれぞれの想いを魔理沙に話す。
三人の思惑は交差しながら、日々が過ぎていった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
霊夢と魔理沙とアリスの友情談話です。主軸はアリスですが、霊夢にも注目したいところです。
テーマは選択。人間か妖怪か、友情か夢か。それらのどちらを選ぶか、少女たちの心情を交えながら描いています。読んでいて恋愛に発展しそうにも思いましたが、純粋に友情に重点を置いていて、新鮮な気分になりました。
また、孤高のイメージがある霊夢を友情にこだわる立場として書く発想もなかなか新鮮。作者さんのアリスの独自設定も面白いものでした。
気になったのは物語の尺です。
霊夢とアリス、あるいは魔理沙とアリスの二人の交差を書くのであればこの長さでいいでしょう。しかし、これを霊夢と魔理沙とアリスの三人分の心の機微を書かなければいけないとなると、もっと長くしたほうがいいと思います。
実際に、作中の少女たちの感情の豹変っぷりは激しく、ちょっと付いてゆきづらいように感じました。
ただ、少女とは予測不可能な生き物でそれも含めて書いているとすれば、この考えは見当違いですね。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
友情ものが見たい人、
精神的に弱い霊夢が見たい人、におすすめです。

『「厄」現人神様の通り道?』  金欠氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『「厄」現人神様の通り道?』 金欠氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267639772&log=103
【あらすじ】
川で雛流しとして流れていた雛。それを思わず助けてしまった早苗は、雛に触れたことで大量の厄を得てしまった。
二柱の願いをかなえるために里に買い物に行かなくてはならない早苗に、苦難の道が待っている。

【感想・ここが面白い・私的評価】
厄まみれになった早苗がひどい目にあいながらも、頑張っておつかいをするお話です。ジャンルはコメディ。
早苗よりも、雛に触れたわけでもないのにひどい目にあっている鈴仙が不憫で……。冒頭にあるキャラ崩壊の注意文に嫌な予感がした人は、この作品はあわないかもしれません。
早苗の回想の場面は単純にいらないと思いました。回想ではなく夢の類であれば良かったのかもしれません。厄の影響でそんなものを見てしまった、と説明にあまりスペースを割かずに済みますしね。
全体的に行き過ぎたギャグという印象でした。その割にラストはいい話風味にしていてどっちつかずですっきりしない読後感となりました。
キャラを崩壊させているという自覚があるなら最後まで突っ走ってみるといいでしょう。
★☆☆☆☆(努力賞)

【こんな人におすすめ】
ドタバタコメディが好きな人、におすすめです。

賢者100%  いすけ氏

【作品集】103
【タイトル】賢者100%
【書いた人】いすけ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267788949&log=103
【あらすじ】
ある日、長テーブルの、主たるレミリアが座るべき席で、見たことのない奴が紅茶を飲んでいた。
そいつは、レミリアが師匠と仰ぐある人物からの封書をレミリアに手渡すのだった。
【感想】
要するに賢者という名の変態たちが跋扈する壊れ系のお話……なはずなのだが、過剰な描写ではなく、あくまでも淡々と
綴られる彼女たちの桃色な日常は、どこか優しい雰囲気をかもし出していて下品さを感じさせない。
また、この作品で見られる交友関係もあまり他の作品ではない組み合わせとなっており、新鮮さを感じられるかもしれない。
終始ハイテンションで進む壊れギャグもいいけど、たまにはこんな変態も悪くない。
ぜひとも最後まで読んでもらいたい、そんな作品です。

『つかいま!』  過剰睡眠摂取症候群氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『つかいま!』 過剰睡眠摂取症候群氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267676553&log=103
【あらすじ】
自分も使い魔がほしいと主張する小悪魔。
好きにしろと言うパチュリーの許可を得て、小悪魔は早速どの使い魔を召喚しようかと考える。

【感想・ここが面白い・私的評価】
使い魔を召喚するために苦労する小悪魔のお話です。扱う題材からほのぼのも混じってくるかと思っていましたが、コメディオンリーでした。傾向を一貫してくれるとお話にのめり込みやすくて読み手として助かります。
なかなか理想の使い魔に出会えず、歯がゆい思いをする小悪魔が妙に可愛らしいと思いました。
肝心のネタですが、これは大体がメタ・パロディです。
知識があれば面白みがしっかり理解できるでしょう。しかし、わからない人には一切伝わらないものになっています。これはある意味、二次創作らしいとも言えますね。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
コメディが好きな人、におすすめです。

『有人有神ロケット『オンバシラ参号』 』  優依氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『有人有神ロケット『オンバシラ参号』 』 優依氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267693227&log=103
【あらすじ】
レミリアたちのように、自分たちも月に行けば信仰を獲得できるかもしれない。
そう考えた早苗は気の進まない二柱とともに、ロケットを開発した。

【感想・ここが面白い・私的評価】
早苗たちが月に向かうお話です。ジャンルは日常にひそむ事件もの。もしくは、ロケットの発射に何度も失敗しながら完成を目指す青春ものとも言えるかもしれません。
早苗がとてもフリーダムです。ですが、早苗は星蓮船からわかるようにずいぶんとノリのいい性格ですから違和感はありませんでした。
後書きから作者さんがやりたかったことはとりあえず見えてきますし、その発想に物語性も一応持たせています。
ただ、描写不足が目につきます。
よく使われる「~少女○○中~」に頼りっきりで、場面の転換などはほとんどがこれによるものです。また、地の文の説明も途切れ途切れという感じで、これこれこういう事件がありましたという説明だけを受けた気分になりました。
心理的描写などを加えれば、面白みも増すかもしれませんね。
★☆☆☆☆(努力賞)

【こんな人におすすめ】
月に行った早苗たちが見たい人、におすすめです。

『とある神社のとある宴会準備』  春夏秋冬 閏氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『とある神社のとある宴会準備』 春夏秋冬 閏氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267693330&log=103
【あらすじ】
今晩は宴会だというのに誰も準備に来ないと愚痴をこぼす霊夢。
そこに手伝いにやってきたのは咲夜だった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
霊夢が咲夜と一緒に宴会の準備を進めながら、自分の気持ちに気づくお話です。ほのぼのとした雰囲気から始まる恋愛ものを描いています。
霊夢は恋愛には興味がないか、とてつもなく弱いかのどちらかというイメージがありますが、この作品では後者でした。初々しい霊夢はいいものですね。
作者さんは霊夢と咲夜の絡みを書きたかったのだと思いますが、ただ形だけのものとなってしまったのが惜しいところ。その人だからこそと思わせる要素がなにも書かれていませんでした。
また、恋心に自覚を持ったときの少女の描写が物足りなく感じました。これは全体の尺が短すぎるからだと思います。これからいよいよ物語が始まる、というところで終わっているので肩透かしをくらった気分です。
恋愛ものはもっと砂を吐くくらいに甘く仕上げるといいのではないでしょうか。
★☆☆☆☆(努力賞)

【こんな人におすすめ】
初々しい霊夢が見たい人、におすすめです。

『幽香がドMに!?』  双角氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『幽香がドMに!?』 双角氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267702585&log=103
【あらすじ】
幽香は相手をドMにしてしまう薬を飲まされ、ドMになってしまった。
犯人であるリグルの調教が今、始まる。

【感想・ここが面白い・私的評価】
リグルが幽香をドMにするお話です。傾向はコメディ。
ペットボトルの存在がとにかく目立ちますが、常識にとらわれてはいけないのです。
事態の原因を二次創作の便利キャラの一人である永琳に頼っていて、幽香がドMになる過程もお話の長さも短すぎます。オチもありきたいで、物語としてとても薄いです。
これでは、よくあるお話だと印象に残らない可能性が大きくなってしまいます。
尺を長くしてドMにされる幽香の内面の描写をくどいくらいに書き込む、相手をドMにすることに興奮を覚えたリグルが幽香以外にも手を出してしまう、などの工夫が必要だと思いました。
★☆☆☆☆(努力賞)

【こんな人におすすめ】
ドMの幽香が見たい人、
ドSのリグルが見たい人、におすすめです。

『こまちといんふぃにっと!』  ナルスフ氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『こまちといんふぃにっと!』 ナルスフ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267702999&log=103
【あらすじ】
ある朝、小町が出勤したら、閻魔の代わりにインフィニットジャスティスがいました。
(本文より抜粋)

【感想・ここが面白い・私的評価】
小町とインフィニットジャスティスの涙あり笑いありハートフル熱血ストーリー、つまりコメディです。
読んでいて何度も腹筋を持っていかれます。なぜかインフィニットジャスティスに振り回される小町より映姫の方が主役に思えました。
冒頭からわかるようにメタ・パロディに重点を置いたネタが生み出す勢い任せの理不尽ギャグものです。テンポがよく、中だるみさせない展開が上手いと思わせますね。
作者さんとの波長があえば読むのが楽しくてたまらないという具合になるでしょう。逆であれば最後まで読むのは難しいです。
万人におすすめできるわけでは決してありません。ですが、個人的にはおすすめしたい作品でした。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
ガンダムマイスター、におすすめです。

『霊夢がもし500人の子持ちだったら……』  pys氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『霊夢がもし500人の子持ちだったら……』 pys氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267710198&log=103
【あらすじ】
霊夢は茶を思わず噴出した。橙にとんでもない質問をされてしまったのだ。
「え? 霊夢さんのお腹の中には、紫様の子供がいるんですよね?」

【感想・ここが面白い・私的評価】
橙の純真さに霊夢が真っ向勝負を強いられるお話です。傾向はラブコメで、まったりとした雰囲気もあります。
テーマは紫と霊夢の二人ですが、態度まで愛くるしい橙が全部持っていったような気がします。橙が可愛かったの一言に尽きます。
読んでいて紫は本当に霊夢が好きなんだな、とも思いますし、霊夢もまた同様で見ているこっちが恥ずかしくなるほどの相思相愛っぷりでした。
登場するキャラクターがコミカルで活き活きとしています。尺も短いながら、山場もオチも用意してあり、作者さんはお話作りに長けているように思います。
そのオチも上手く、盛り上げた事態をきれいにストンと落としたところも好感が持てました。
問題も特に見当たりません。
強いて言うなら後半がまとまりすぎていて、恋慕の微妙な心情の色合いが足りなかったことくらいです。ですが、この作品は恋愛というよりちゅっちゅというジャンルなのであまり気になりませんね。
★★★★☆(読んでおきたい佳作です)

【こんな人におすすめ】
上手い掌編が読みたい人、
霊夢と紫のちゅっちゅが好きな人、
橙が可愛くて生きていくのがつらい人、におすすめです。

『昼飯の行方』  暗褐色フライアウェイ☆ドス黒メイド氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『昼飯の行方』 暗褐色フライアウェイ☆ドス黒メイド氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267739518&log=103
【あらすじ】
霊夢が楽しみにとっておいた昼食がいつの間にかなくなっていた。
彼女は誰の犯行かを考える。もちろん、犯人をこらしめるためだ。

【感想・ここが面白い・私的評価】
霊夢が昼食を盗んだ犯人をこらしめるお話です。ギャグものらしいのですが、どちらかというとほのぼのなのではないかという印象です。
読み始めてとにかく目につくメタネタですが、これがお話のプラス要素として機能していないように思いました。
ギャグものは行動の面白おかしさや人物たちの掛け合いで成り立ちます。メタ発言をするだけではギャグにならず、お話の楽しさを生み出せません。
また、物語性を持たせるのに分量も不足しています。その割りに不必要だと思わせる部分もあり、構成を見直す必要があると思いました。
★☆☆☆☆(努力賞)

【こんな人におすすめ】
メタネタが好きな人、におすすめです。

『やっぱり小さくなるとショックだと思いますよ』  香由知凪氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『やっぱり小さくなるとショックだと思いますよ』 香由知凪氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267747598&log=103
【あらすじ】
幻想郷で異変が起きた。
各所を騒がせる異変は少女たちの胸の大きさを変化させていた。

【感想・ここが面白い・私的評価】
胸の大きさが変わる異変に対して各所がどうなっているかを描いたお話です。ジャンルはコメディ。
胸の大きさが変化となるとやはり連想するのは咲夜だと思います。そう考えるとこのお話は、古きよきSS、ありふれた安っぽいSS、どちらの印象が当てはまるのかで迷います。
個人的には後者。
各所の様子をただ書き連ねるだけで、異変の解決場面を大幅に省略しているためです。作者さんも自覚しているようですが、異変の犯人も内容もお約束です。ですが、この場合はお約束だからと言って描写を省いていいわけではないと思います。
異変を起こすのは書く側からしても楽しいのかもしれませんが、やはり後片付けにも気を配るべきです。
★☆☆☆☆(努力賞)

【こんな人におすすめ】
おっぱいが好きな人、におすすめです。

『本格的 ガチムチパンツレスリング  東方餡掛炒飯編』  鏡石氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『本格的 ガチムチパンツレスリング  東方餡掛炒飯編』 鏡石氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267748434&log=103
【あらすじ】
幻想郷でレスリングが突然流行りだした。
霊夢もまた弾幕を捨てレスリングを始めた。レスリングの魅力にとりつかれた彼女は幻想郷の猛者を次々と落としていく。
そんな様子を見てレスリングを嫌がっていた魔理沙は次第に自分の考えが変わっていくことに気づく。

【感想・ここが面白い・私的評価】
幻想郷を舞台にしたレスラーたちの戦いの物語です。傾向はシュール。もしくはナンセンスなお話です。
早苗と霊夢の戦い、魔理沙と霊夢の戦いが内面的によく書き込まれていて面白かったです。特に早苗の焦燥感や劣等感はなかなか味わい深いものでした。
この作品で特徴的なのは笑顔動画のパロディであるところです。
ですが、元ネタがわからなくてもそれなりに読めるものになっています。もちろん、知っているに越したことはありませんが。
単純にそういったパロネタが苦手という人も、タイトルやタグで注意を促しているのですぐに回れ右していることでしょうから、そこは問題ではありません。
問題は冗長であることです。くどすぎる描写がその原因だと思います。書きたいことを好きなだけ書き込んだ印象を受けました。
もちろんこれは二次創作物ですから悪いことではありませんが、読ませる努力が多少はほしいところです。
ほかに、性欲処理、強姦といった全年齢の場にふさわしくない単語や、文法的におかしな部分があるなどの気になる点があります。特に前者の単語の問題は、お話の展開上どうしても必要とは言えないと思いました。
意欲的なお話ですが、マイナスに思える要素も多く評価が難しい作品です。私的評価の星もあまり当てにならないと思います。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
笑顔動画が好きな人、
バトルものが好きな人、におすすめです。

『糸』  葉山氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『糸』 葉山氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267756830&log=103
【あらすじ】
勇儀の勧めで気晴らしに地上へ赴いたパルスィ。
そこで彼女はアリスとの縁を持つことになった。
彼女と次第に仲良くなるにつれ、パルスィは地底の橋姫である自信を見つめなおすことになる。

【感想・ここが面白い・私的評価】
パルスィが自分のつながりを直視するお話です。まとまりのある短編で、どこか陰鬱な雰囲気があります。
地上と地底、二つの交わることのないコミュニティーの間で揺れ動く様は読んでいて、人間のようだと感じました。人間味のある妖怪です。
純文学を目指したというだけあって、内面に重点を置いた描写と文体が不思議な読後感を与えてくれます。表現に力を入れていることがよく伝わってきました。
ただ、純文学がテーマであるなら言葉の扱い方にはもっと気をつかってほしかったです。誤字脱字や語法などがあっては途端に入り込んでいた世界から覚めてしまいます。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
パルスィが好きな人
ほの暗いお話が見たい人、におすすめです。

『逆転生活』  耳かき氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『逆転生活』 耳かき氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267759151&log=103
【あらすじ】
吸血鬼の活動時間は夜。誰もが寝ているので暇になっていたレミリアは本を読むことにした。
彼女はその妖怪図鑑で、ルーミアが闇を操ることができると知る。
こいつがいれば日中でも遊ぶことができるかも。そう考えたレミリアは彼女を館に招待することにした。

【感想・ここが面白い・私的評価】
レミリアの暇つぶしからちょっとした事件が起こるお話です。ほのぼのとしたいい話風味ですが、オチでしっかり笑わされました。
テーマはレミリアとルーミアの絡みです。友情ものと言い換えてもいいかもしれません。意外な組み合わせですが、不自然とは思いませんでした。作者さんは目的を見事に達したと言えるでしょう。
冒頭から読み手を引き付け、そのまま終わりまで持っていく勢いを生み出す展開がいいですね。
ただ、まとまっているというよりは物足りないという印象でした。無駄のない削りは素晴らしいですが、レミリアが念願だった日中の外出をした場面の描写などにはもう少し肉付けがほしいと思いました。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
コメディが好きな人、
レミリアとルーミアの組み合わせが見たい人、におすすめです。

『霧雨魔理沙には野菜が足りない。』  クロスケ氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『霧雨魔理沙には野菜が足りない。』 クロスケ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267769710&log=103
【あらすじ】
「そうだ、野菜を食おう。」
「最近実験で調子が出なかったり、どこに何置いたか忘れちまうのは、きっとビタミン不足が原因に違いないぜ。」
(本文より抜粋)

【感想・ここが面白い・私的評価】
野菜を食べようと料理をする魔理沙のお話です。ジャンルはほのぼの風味のコメディといったところでしょうか。
3.4kbという短さでありながら、伏線を張り、オチをつけています。構成が上手く、ショートショートのお手本のようですね。
ただ、お話の内容自体はそこまで面白おかしいわけではないのが惜しいところです。オチに迎えられても、「ああなるほど」くらいの気持ちにしかなれず、それ以上の感心にはつながらないと思いました。
発想に物語の肉付けが足りなかったなという印象です。ですが、個人的にはこういった掌編は大好きです。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
掌編が好きな人、
料理する魔理沙が見たい人、におすすめです。

『SPY』  早草氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『SPY』 早草氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267769968&log=103
【あらすじ】
朝から日が暮れるまでほとんど毎日アリスの家にいる魔理沙。
そんな彼女が普段はなにをしているのかが気になったアリスは、彼女が帰った後にこっそり後をつけることにした。

【感想・ここが面白い・私的評価】
アリスと魔理沙の日常を恋愛風味に描いたお話です。
魔理沙がいい意味で子供っぽく、とても可愛らしかったです。そんな魔理沙を見て一喜一憂するアリスも面白いものでした。
ただのまったり恋愛ものだと思っていましたが、割とアリスの内面描写にも気を配っているようでした。また、オチも伝統的で読後感も悪くありません。
ただ、あまりに平凡で目新しいものがないように感じました。起伏がないので味気なく、インパクトが弱いような気がします。
ほかにイベントを起こすなどの地味にならないような工夫がほしいところです。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
魔理沙とアリスに絡みが好きな人、におすすめです。

『「CMのあと驚くべき秘密が明らかに!」と言われるとチャンネルを変える。』  喚く狂人氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『「CMのあと驚くべき秘密が明らかに!」と言われるとチャンネルを変える。』 喚く狂人氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267776583&log=103
【あらすじ】
フランドールは500回目の誕生日を迎えた。
そこにやってきたレミリアはフランにある秘密を告白する。

【感想・ここが面白い・私的評価】
フランにレミリアが告白するお話です。傾向はコメディ。
大図書館のくだりで腹筋を持っていかれました。そしてなによりオチが素晴らしいと思います。切れのあるオチであるのに二段オチという構造になっているのが面白かったです。
分量不足はもはや気にしてはいけないのかもしれません。この短さだからこそ、この面白さ。
けれど、オチのためにそれまでのお話を書いたというような人物たちの突拍子のなさが違和感として残ります。そのため、とんでもない性格でもそれを読み手に浸透させるほどの尺があれば、と思うのです。うーん。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
コメディが好きな人、におすすめです。

『ででんでんででん   おでんでんででん』  デン氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『ででんでんででん   おでんでんででん』 デン氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267779345&log=103
【あらすじ】
タイムスリップした魔理沙。
その影響で家族の集合写真に写っていた姉妹たちが次々と消えていくのを見たアリスは、タイムスリップできる人形をつくり、過去を守るよう命令した。

【感想・ここが面白い・私的評価】
アリスの人形がタイムスリップするお話です。
テーマはパロディ。タイトルからもなんとなく想像できるかもしれません。やたらインパクトのある冒頭が好奇心をうずかせます。
コメディタッチで書かれていますが、その内容はひどくシュールです。その意味不明っぷりを楽しみましょう。
しかし、内容は筋が通っていて短くまとまっていてもキャラクターは始めから破壊されています。そのため、キャラクターがいらないタイプのお話で、魔理沙だからこそ、アリスだからこそと思わせるものがあまりありませんでした。
シュール、ナンセンスものはえてしてそうしたものですから、あまり気にはならないかもしれません。しかし、東方の二次創作として評価するとなると話は別です。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
パロディ好きな人、
ぶっとんだアリスが見たい人、におすすめです。

『カゴメカゴメ』  schlafen氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『カゴメカゴメ』 schlafen氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267784229&log=103
【あらすじ】
輝夜が地上に落とされて数年が経った。彼女はある晩散歩をしていて、自分に求婚を申し出た貴族の一人である藤原不比等の屋敷を通りかかる。
これもなにかの縁と考え、輝夜は中へ進んでいった。
そこで彼女が出会ったのは、呪符でおおわれた部屋に閉じ込められた一人の少女だった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
輝夜と妹紅、二人の出会いのお話です。傾向はシリアスで、独自解釈を織り交ぜたキャラクターの昔の出来事を書いた作品です。
いわゆる、過去捏造もの。永琳に救われた輝夜が自分と似た境遇の妹紅を見て、今度は自分が救う番だと考えます。
輝夜の救い方がかなり回りくどくも感じましたが、輝夜が妹紅に生きる目的を与えるためだと考えるとなんとなく理解できました。
ただ、展開が急で感情移入する暇がなく終わってしまったという印象でした。
個人的にはもっと内面描写にスペースを割いてほしかったです。感動が伝わりにくい構成であるのが惜しまれるところ。
また、輝夜にスポットを当てているので、最後まで輝夜の心情をメインに書けていれば物語に集中しやすくなったと思います。途中の、妹紅視点の場面はいらないように感じました。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
輝夜と妹紅の出会いが見たい人、におすすめです。

『おばあちゃん』  無言坂氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『おばあちゃん』 無言坂氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267785539&log=103
【あらすじ】
ある日、茶を飲んでいた霊夢はくすりと不気味な音を聞いた。
しかし、なにも起こらず、ふと湯のみに入っていた茶を飲むとすさまじく不味くなっていた。
「紫ィッ!!!」

【感想・ここが面白い・私的評価】
霊夢と紫の日常を切り取ったお話です。ほろ苦いほのぼの系ですが、内容よりもキャラクターの旨みを楽しめる雰囲気がありますね。
霊夢に湯のみを返せ湯のみを返せと言われて、おばあちゃんは本当に嬉しかったのだと思います。あまりの嬉しさにちょっと混乱しているんです。腰痛が痛いって言うくらいですし。
可愛い孫扱いされて怒る霊夢と、飄々とした紫の会話は読んでいてとても楽しいものでした。おばあちゃんぶりやがって、と思う霊夢ですが実は……という展開です。
必要なだけの要素を詰め込んだコンパクトさは魅力的です。ただ若干、削りすぎたんじゃないだろうかと思うところもあるのが惜しいのですが。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
孫霊夢が見たい人、
紫おばあちゃんが見たい人、におすすめです。

『八つ時、後。』  ぶるり氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『八つ時、後。』 ぶるり氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267800531&log=103
【あらすじ】
今日も守矢神社でお茶を飲むにとり。
ふと、渡される湯飲みが簡素なつくりで来客用でないように思った彼女は、早苗にその理由を聞いた。

【感想・ここが面白い・私的評価】
にとりと早苗のほのぼのとした日常談話です。
思いやりあふれる早苗と、それを受け止めるにとり。二人の間に流れる温かな空気がたまりませんね。また、早苗をお茶請けに、のくだりはとてもお洒落に感じました。
この作品で特徴的なのがにとりの語尾。小城さんリスペクトとのことですが、これが作中の雰囲気に異物として残りました。
小城さんの作品でのにとりの語尾は春めいたおバカな空気の演出に一役買っていましたが、この作品での語尾の役割はただ邪魔をしていただけのように思います。せっかくのイイハナシダナーの読後感がなくなってしまいました。
不条理ギャグにするなり、ふわふわコメディにするなりして、語尾に役割を与えてほしかったです。そもそも使わなければよかったとも思いますが。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
にとりと早苗の二人が好きな人、
ほのぼのとした雰囲気が好きな人、におすすめです。

『焚き火 ― ひとりぼっちのあいつ ―』  ワジンコ氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『焚き火 ― ひとりぼっちのあいつ ―』 ワジンコ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267802001&log=103
【あらすじ】
焚き火の誘いを妹紅から受けた慧音。
二人は木の爆ぜる音を聞きながら夜を過ごす。

【感想・ここが面白い・私的評価】
慧音と妹紅が焚き火をするお話です。短いながらも詩的な雰囲気が漂い、物悲しさが焚き火の熱のように伝わってきますね。
慧音の妹紅への不安もなんとなくわかります。
ただ、物語性の弱さが気になります。雰囲気重視のお話ですので、読み手が文面からあれやこれや想像することで面白みが生み出されるものだと思います。
内面の描写を抑える書き方ですが、それにしても短いなと感じました。
メインである焚き火の表現などをもっと書き込めば、より味わい深いものになるのではないでしょうか。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
詩的なお話が見たい人、におすすめです。

『融けない問題』  超空気作家まるきゅー氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『融けない問題』 超空気作家まるきゅー氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267823648&log=103
【あらすじ】
諸々の事情から命蓮寺には鐘がなかった。星からそう相談を受け、ナズーリンは青銅の寄進をつのることを提案する。
結果、鐘をつくるのに十分な量が集まった。だが、焼却炉の中でどれだけ熱しようと融けない青銅が一つあった。
それは里にいる一人の少女の、母の形見の品だった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
星を主役に命蓮寺で起きた問題の顛末を描いたお話です。ジャンルは日常にひそむ事件もの。
事件の解決の形が後味悪いです。しかし、すべてのお話がハッピーエンドに終わるわけではなく、このお話も安易にいい話風味にせず、ばっさり切って終わらせました。
説明の部分をくどくない程度に書ききっているのが上手いと思います。
ただ、星のキャラクターの旨みがなく、またお話の内容からも、いわゆる東方でやる意味が云々と感じてしまいました。作中でちらりと見せたナズーリンと星の絡みなんかをもっと押し出せば、らしく見えたかもしれません。
元ネタがあるとのことですので、そう感じても仕方のないことなのかもしれませんが。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
日常系ミステリーが好きな人、におすすめです。

『あたいわ、ちいきよーにないます。』  くーぴー氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『あたいわ、ちいきよーにないます。』 くーぴー氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267878996&log=103
【あらすじ】
「あたい、『さいきょー』になったら、レティを安心させてあげられるの?」
「ええ、そうよ」
「あたいが『さいきょー』になったら、レティと一緒にいられる?」
「……ええ。きっと、もっと沢山の友達と居られるわ」
(本文より抜粋)

【感想・ここが面白い・私的評価】
チルノがさいきょーを目指して学校に通うお話です。ジャンルはほのぼのまったりいい話。
チルノがいい子です。こういういい子いい子しているキャラクターは橙あたりこそ似合いそうですが、チルノも十分に素養がありますね。
以前にも創想話でこういった日記形式でチルノが知性を次第につけていく作品を見かけましたが、ひらがなの魅力はやはり凄まじいものです。内容も相まって、とても微笑ましい気持ちになれます。
ただ、結局それなりの知恵を身につけたところで終わってしまったことが惜しいと思いました。
チルノの自己完結ではなく、ちょっとした挫折などを入れ込むと物語性もぐっと増したのではないでしょうか。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
チルノが好きな人、
微笑ましいお話が見たい人、におすすめです。

『「かぎかっこ」』  万年初心者氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『「かぎかっこ」』 万年初心者氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267882803&log=103
【あらすじ】
多くの知り合いを集めて始まった魔理沙主催の勉強会。
お題は『文章における会話文』。

【感想・ここが面白い・私的評価】
魔理沙がアリスやパチュリーと一緒にSSの会話文について講義するお話です。
まず始めに言っておきますが、非常にタメになるお話でした。
会話文を書くときに気をつけておきたいことなどをまとめあげた内容となっています。例も具体的でわかりやすく、実践的なものでした。
書き手の人は一度見てみるといいと思います。
ただ、テーマが文章の書き方、作法についてですので、やはりこれを東方SSとして見ることはできません。ただのキャラクターを借りてきての講義です。
東方の世界観で、設定で構築された物語を投稿する場には不適切だと思います。
メタSSとも解釈できるかもしれませんが、個人的には東方である必要もSSである必要もないように感じました。
☆☆☆☆☆(評価できず)

【こんな人におすすめ】
SSの勉強がしたい人、におすすめです。

『ぬいぐるみ』  砥石氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『ぬいぐるみ』 砥石氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267883384&log=103
【あらすじ】
アリスの家に滞在することになったフラン。
彼女は人形に興味を持ち、アリスに人形作りを教えてもらうことになる。

【感想・ここが面白い・私的評価】
フランの人形作りをアリスと魔理沙が手伝うお話です。前半は美鈴と咲夜、後半は魔理沙とアリス、ところによりフランとレミリアの組み合わせが楽しめます。傾向は恋愛。
魔理沙が可愛すぎて生きていくのがつらいです。少女という生き物がどれほど愛らしいかがよくわかる作品でした。
また、何気なく書かれている美鈴と咲夜のエピソードもラストで活きてきます。そのため、漫然とカップリングを書いているわけではないなと思わされました。
誤字脱字、言葉の選択など細かい点に気をつけてほしいと感じたくらいで、特に目立ったミスは見当たりませんでした。
この手のお話は創想話において需要がありますが、それに甘えるだけの作品にせず、丁寧に書き上げたキャラクターが上手いと思います。
★★★★☆(読んでおきたい佳作です)

【こんな人におすすめ】
美鈴と咲夜が好きな人、
魔理沙とアリスが好きな人、
フランとレミリアが好きな人、におすすめです。

『ちゅう』  深山咲氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『ちゅう』 深山咲氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267887643&log=103
【あらすじ】
聖が復活し、命蓮寺を開いてから一年が経過した。
一周年を記念した宴会で星はナズーリンに手作りのマフラーを渡そうとする。しかし、宴会の途中で聖から皆にと配られたものは星よりも出来のいいマフラーだった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
星とナズーリンの恋愛を描いたお話です。傾向はシリアス風味。
はじめてのちゅうというものを味わった気分になります。個人的にこういった、酸いも甘いも詰め込んだ正統派の恋愛小説は大好物です。
千間もの間をともに歩んできた星とナズーリンの組み合わせであれば、ただ甘ったるいだけのお話になりそうです。しかしナズーリンの、自分の身と心は毘沙門天様のものだからと身体が触れ合うのを嫌がる、という作者さんの設定が上手い障害となっていました。
ほかにも、ぬえのおにぎりや雲山の講座などの要素はくすりと笑えますし、料理の描写は読んでいてお腹を鳴かせてくれます。
展開も急ではなく、語られる内容が絞られているため、ゆったりと余裕のある構成でした。
読むとどことなく幸せになれるような温かみのあるお話を読ませてくれた作者さんには感謝の一言です。
★★★★★(何度も読みたくなる名作です)

【こんな人におすすめ】
恋愛小説が読みたい人、
星とナズーリンの二人が好きな人、におすすめです。

『本日、霧雨魔法店は臨時休業いたします。』  村人。氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『本日、霧雨魔法店は臨時休業いたします。』 村人。氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267889522&log=103
【あらすじ】
「どうだ、美味しいだろ?」
「……苦いー……」
「くくく。苦くてもこぼさずに全部飲むんだ……そう、そうだ、いい子だ、アリス」
「助けてどこかの神様魔理沙が変態っぽいの」
(本文より抜粋)

【感想・ここが面白い・私的評価】
霧雨魔法店を営む魔理沙とアリスの日常を描いたお話です。雰囲気は恋愛というより夫婦。いわゆる、ちゅっちゅです。
魔理沙がひたすら愛らしく書かれています。小動物的に可愛がられる魔理沙とお姉さんアリスの組み合わせは、とにかく甘いの一言ですね。
また、対等になろうと苦悩する魔理沙や一人残される孤独を理解するアリスの描写も面白かったです。
しかし、その内面の描写にもっとスペースを割いてほしかったと思いました。ただのおまけの要素に過ぎず、甘いだけのお話になってしまったところが惜しいと感じさせます。
若干説明の足りない部分もあり、作者さんの書きたかったところだけを書いたなという印象です。
もちろん、これは二次創作ですから悪いことではありません。しかし、読み物として評価すればそういったところにも気を配ってほしいところです。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
魔理沙とアリスの二人が好きな人、
とにかくちゅっちゅしてるお話が見たい人、におすすめです。

『海に行きたいっ!』  桜音々氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『海に行きたいっ!』 桜音々氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267891809&log=103
【あらすじ】
紫に、外界の海に行かないかと誘われた霊夢。
喜び、承諾した彼女だったが、当日になって雨が降ってしまって……。

【感想・ここが面白い・私的評価】
霊夢が紫と一緒に外界の海に行くお話です。傾向は恋愛で、シリアス風味だと思います。
読んでまず、ここまで素直な霊夢も珍しいと思いました。お姉さんの位置に立つ紫と、その紫にからかわれる霊夢という構図はよくありますが、霊夢がからかわれる位置にいることを甘んじて受け止めているという点が、なんだか新鮮に感じました。
気になった点は二つあります。構成とキャラクターです。
場面ごとに区切られながら語られる前半では、時間軸が乱れていて、地の文も一部が語りかける表現になっています。読みづらい文章でしたが、これはある仕掛けによるものでお話の伏線でしたので納得できました。
ですが、その仕掛け自体がお話にどうしても必要だったとは思えません。それ以上に読み手にわかりづらいつくりであるという印象を抱かせてしまうのではと思わせます。
そして、キャラクターの性格が安定していないようにも思いました。例えば、前半の霊夢は紫に頭をなでられてもそのまま会話しているのに、恥ずかしい言葉をかけられると途端に照れます。全体的に甘い雰囲気があるため、そこまで気になりはしませんでしたが。
また、舞台が幻想郷ではなく外界ですので、情景の描写をもっと充実させるといいのではないでしょうか。
★☆☆☆☆(努力賞)

【こんな人におすすめ】
素直な霊夢が見たい人、
紫と霊夢の二人が好きな人、におすすめです。

『海に浮かべた私の夢』  じろー氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『海に浮かべた私の夢』 じろー氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267905689&log=103
【あらすじ】
大陸からの侵略により、ある島が破滅させられた。
生き残ったものは大陸に復讐を誓い、また生活のためにも商船を襲う。夜走りの団と呼ばれるその海賊の船長の名は村紗水蜜といった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
村紗の過去を描いたお話です。傾向は割と鬱ものですね、解釈次第ですが。少なくともお話の雰囲気は暗い作品。
最後の一文がハッピーエンドの解釈であれば「船長」になると思います。しかし、実際には「妖怪」となっています。これは、村紗が聖の影響を受けて船長としての立場を放棄したように思うのです。聖の救いは洗脳とも言い換えられるかもしれません。ここまでくるとなにか薄ら寒いものを感じます。
ただ、オリジナルキャラの存在が空気になってしまったのが残念です。タグには村人レベルと注意がされていて確かにその通りなのですが、これならわざわざ名前をつけて登場させなくても良かったのではないかという印象です。他の船員は名前をつけずに表現できていますし。
また、誤字脱字、誤用などの気になる部分もいくつかありました。
内容自体は面白いのですが細かな部分が気になってしまい、惜しいと思わせます。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
暗いお話が好きな人、
村紗の過去話が見たい人、におすすめです。

『敗軍の将 兵を語るか』  超空気作家まるきゅー氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『敗軍の将 兵を語るか』 超空気作家まるきゅー氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267913298&log=103
【あらすじ】
タイトル参照。

【感想・ここが面白い・私的評価】
レミリア、幽々子、輝夜、神奈子、空、白蓮が霊夢に弾幕ごっこで負けた理由を語るお話です。ジャンルはコメディ。
それぞれの性格が出ている言い訳を見事に表していて、とても面白かったです。言い訳を通して自分のあり方についても語っていたりするところも魅力的な要素ですね。キャラクターの描写が上手いと感じさせます。
個人的に白蓮が一番言い訳らしい言い訳でした。なんだか必死になっているようで愉快です。次点はレミリア。
特に目立った不備はなく、一つ一つは短いのでさっくりと読める完成度の高いショートショートです。
強いて言えば、分量をもっと多くてほしかったことくらいです。形式はオムニバスですので天子や萃香や映姫などの分も用意して数を充実させれば、ボリューム的に満足でした。
★★★★☆(読んでおきたい佳作です)

【こんな人におすすめ】
くすりと笑えるお話が見たい人、におすすめです。

『ストロードール・パニック』  猫井はかま氏
「おまえの気を引きたいんじゃねーの」

【作品集】103
【タイトル・作者】『ストロードール・パニック』 猫井はかま氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267919725&log=103
【あらすじ】
博麗神社で丑の刻参りをしていたところを霊夢に見られてしまったアリス。
誤魔化すために普段は見せない満面の笑みを見せる彼女に、言い知れぬプレッシャーを感じた霊夢は恐怖し眠れずに翌日を迎えた。
そんな霊夢の相談に魔理沙は答える。
「おまえの気を引きたいんじゃねーの」

【感想・ここが面白い・私的評価】
アリスと霊夢が結ばれるまでをコメディタッチで描いたお話です。割とシュールな雰囲気がありました。
勘違いしたままゴールまで突っ走ってしまう。発想はありふれたものですので、大まかな流れは予想できてしまいます。ですが、過程に散らばった細かなネタにこそ面白みがあると思います。
前半はコメディ色が強く、後半は恋愛要素が多くなっています。個人的にコメディと恋愛の相性はいいものだと思ってます。
キャラクターもそれぞれ個性が強く、喧嘩っ早いのに相手が自分のことを好いていると考えると途端に真っ赤になってしまう霊夢が特に印象的でした。
会話と勢いで押していく展開で、冒頭から引き込まれる構成は隙がほとんどありません。この軽妙さは作者さんのセンスの成せる技だと思います。
ただ、それまでにインパクトがあったせいか、オチは間に合わせのような尻切れ感がありました。
しかし、コメディの勢いに任せた作中の空気のおかげで、そこまで気になるものでもないかもしれませんね。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
コメディが好きな人、
霊夢とアリスの二人が好きな人、におすすめです。

この作品ぐらい「どうしてこうなった」という至言の登場頻度が多くなる作品はあるまい

猫井はかま氏の「ストロードール・パニック」全二作が驚異的に面白い
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267919725&log=103
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1268623692&log=104

猫井はかま氏の作品ではイカロにかつてあったおかみすちーモノが一番好き(笑)
この作品ぐらい「どうしてこうなった」という至言の登場頻度が多くなる作品はあるまい
万点取得してる前者もかなりのめーさくだけど、個人的には初対面の相手に向かって
まずベンチプレス記録を自己申告する白蓮さんがチラッと登場する後者のほうがキレがあると思う

『子供達は日曜の朝に世界の真理と正義を知った』  ほんまぐろ氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『子供達は日曜の朝に世界の真理と正義を知った』 ほんまぐろ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267935233&log=103
【あらすじ】
巨大人形ゴリアテのさらなる改良を目指していたアリスがたどり着いた答えは「変形合体」だった。
アリスの家に入り浸っていたメディスンは、変形合体人形に必要な乗組員を探すよう頼まれる。

【感想・ここが面白い・私的評価】
アリスの変形合体人形の操作に必要な乗組員を探すメディスンを描いたお話です。傾向はほのぼのコメディ。
メディスンのいじられキャラは広く定着されているんですかね。ハイテンションなアリスに振り回されるメディスンは見ていて微笑ましくなります。
ですが、主役のメディスンよりフランのはっちゃけっぷりの方が印象的でした。若干やりすぎじゃないかといえるキャラクター表現もありましたが、コメディは過剰でナンボという面もあるのであまり気になりませんでした。
語彙やネタも豊富で、コメディとしての魅力がこの作品には十分に備わっています。
ただ、一人称でありながら視点がころころ変わるところが気になりました。
会話の力でキャラクターを認識させるつくりで、読む分には問題ないと思います。ですが、さまざまな視点からのエピソードが入るため、全体的に冗長であるように感じました。
また、一つ一つのテンポはいいと思いますが、場面が切り替わるたびに、つまり視点が変わるたびにその勢いがリセットされてしまっているという印象です。
★★★☆☆(読んで損はしません)

【こんな人におすすめ】
STGが好きな人、
振り回されるメディスンが見たい人、におすすめです。

『私は、人間ですから』  mice氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『私は、人間ですから』 mice氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267938443&log=103
【あらすじ】
「咲夜、紅茶を持ってきて頂戴」
それは、いつものように発せられた何気ない一言。
――しかし、それは数瞬の間を置いて、意味のない台詞だったことを悟る。
「――ああ。そう言えば、咲夜はもう……」
(本文より抜粋)

【感想・ここが面白い・私的評価】
咲夜の旅立ちをレミリアの視点から描いたお話です。
このお話は作中の仕掛けが肝であるため、あまり踏み込んだことは言えません。短いので、気になる人はまず読んでみるといいでしょう。
仕掛け自体はきちんと機能していて、伏線もいくつかあるため読み手にも配慮していると言えます。仕掛けの難易度も丁度良いと思います。
また、お話の筋も通っていますし、キャラクターの描写も安定していると思いました。
ただ、その仕掛けの発想は創想話ではかなりやり尽くされたもので新鮮味がないように感じました。そして、仕掛けのほかにはこの作品に面白みがなく、小さくまとまりすぎたという印象でした。
仕掛けを見破った人にも楽しめるような工夫がほしいところです。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
叙述トリックが好きな人、におすすめです。

『星砲』  勿忘草氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『星砲』 勿忘草氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267969304&log=103
【あらすじ】
流星群を見ようと魔理沙に誘われたアリス。
しかし、楽しみにしていた約束の日、天気はひどい雨になってしまった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
魔理沙とアリスが流星群を見るお話です。ジャンルは恋愛。
通常の十倍の太さになっているマスタースパークだなんて想像するだけでわくわくしてきました。新手の異変だと思われてもおかしくありませんね。
星空と魔理沙の組み合わせがファンタジー色を強くしているように思います。だからこそ、もっと情景描写に力を入れてほしいと思いました。
読んだ限りでは作者さんは魔理沙とアリスの恋愛模様を描きたかったようです。しかし、雨、空、流星群などの材料があるのですから内面の描写とあわせて使ってほしかったです。内容が味気なく、凡庸に感じられます。
尺もあまりないため、分量不足により題材にドラマ性を上手く持たせられなかったという印象でした。
★☆☆☆☆(努力賞)

【こんな人におすすめ】
魔理沙とアリスの二人が好きな人、におすすめです。

『性別とかどうでもいいじゃない』  浅木原忍氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『性別とかどうでもいいじゃない』 浅木原忍氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267987218&log=103
【あらすじ】
星のなくし物をいつものように探すナズーリン。
無事に見つかって一息していた彼女は星から一人称について聞かれて……。

【感想・ここが面白い・私的評価】
僕っ娘ナズーリンと星のお話です。ほのぼのとしていながら恋愛にまで発展します。
ナズーリン可愛いよナズーリン、をするための作品です。
作中でナズーリンの一人称が「僕」になっている部分があります。違和感はありますが、ちゃんとした理由があり納得できるものでした。
その一人称が意味するところは主従の信頼、そして甘えだったんですかね。いつまでもうっかりが過ぎる主人が憎めず、本当はもっとしっかりしてほしいというナズーリンの心情が垣間見れるようでした。
ただ、それが雰囲気としてなんとなく伝わってくる程度で、あまり訴える力を持っていないように思います。察したところでもうお話が終わってしまうという尺の短さが原因だと思います。
ほかに、ためを演出するのにダッシュに頼りっきりであるようにも感じました。
展開もまとまっているおかげで尺が短いのですから、行間をもっと埋めてもいいと思います。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
僕っ娘ナズーリンが見たい人、におすすめです。

『トライアングル』  ぬかくぎ氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『トライアングル』 ぬかくぎ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267989144&log=103
【あらすじ】
紅魔館に招かれた霊夢と魔理沙。
行ってみると、辺り一面が真っ白な部屋へと案内される。普段の紅魔館とは明らかに違う装飾だった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
霊夢と魔理沙の恋愛もの、でいいと思います。雰囲気はほのぼのとしていますね。
とても仲のいい霊夢と魔理沙が描かれています。この距離感は恋人というより酸いも甘いも知った長年付き合ってきた夫婦を彷彿させます。
ただ、物語に論理性を持たせられてません。
普段は真っ赤な紅魔館の装飾が真っ白にされていればすぐに気づくはずですし、霊夢が魔理沙を拒絶する意味もわかりませんし、結婚を呪縛と言っておきながら結局、式をしています。
アリスの才能のなさを描きたかったのであれば一応納得はできますが、後書きから察するにそうでもないみたいですので、やはり作者さんの表現力の問題だと思います。
タイトルのトライアングルも成立していないように思いました。完全に霊夢と魔理沙の二人だけの世界です。
★☆☆☆☆(努力賞)

【こんな人におすすめ】
夫婦の霊夢と魔理沙が見たい人、におすすめです。

『無駄骨喫茶ナズーリン』  ガブー氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『無駄骨喫茶ナズーリン』 ガブー氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267994638&log=103
【あらすじ】
宴会に持ち寄った自分の料理が思いのほか好評だったナズーリンは、一輪やぬえに押し切られる形でカフェーを開くことになった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
ナズーリンがカフェーを営業するお話です。カフェーという響きがまずお洒落ですね。傾向はほのぼのコメディ、恋愛もあるよ。
主役はナズーリンでヒロインはぬえという構図です。とは言っても恋愛はあくまでオマケで、一輪が振り回して雲山が手助けしてと周囲がドタバタしながら目的を達成しようとする王道的な物語ですね。
王道といってもありきたりだとは感じさせないのはキャラクターの魅力によるものだと思います。個人的には飄々としている一輪と純真な頑固親父の雲山が、読んでいて特に面白かったです。
ナズーリンの独白もちょっと毒気があってらしい感じが出ていました。
欲を言えば、ほのめかす程度だったナズーリンとぬえとの恋愛模様をもっと書き込んでほしかったところです。しかし、そうなるとせっかくのコメディらしい勢いのある展開が崩れてしまうので、さらっと流すように書いたのかもしれませんね。そうなるとこの作中の雰囲気のバランスが絶妙なように感じられます。
また、カフェーの営業場面でもっと踏み込んだ描写がほしかったです。せっかくそういった舞台を用意したわけですし。
ほかにも、表記の統一などの細かい点も気になりますが、それ以上に魅力的に描かれたキャラクターたちの物語はとても楽しめるものでした。
オチも伝統的ながら秀逸ですし。
★★★★☆(読んでおきたい佳作です)

【こんな人におすすめ】
一輪と雲山が好きな人、
ナズーリンとぬえが好きな人、におすすめです。

『あんたいい加減気づけ、お前もな』  香由知凪氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『あんたいい加減気づけ、お前もな』 香由知凪氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1268020799&log=103
【あらすじ】
霊夢を見ていてると多々思うことがある。
レミリアの気持ちにいい加減気づいてやれよ、と。
(本文より抜粋)

【感想・ここが面白い・私的評価】
霊夢と魔理沙がそれぞれ相手の鈍感さを嘆くお話です。ジャンルはほのぼのコメディ。
レミリアの可愛らしさが冒頭から爆発しているので、需要層がわかりやすいです。
愛らしく描かれたキャラクターをひたすら愛でるだけの作品です。たとえるなら、動物と戯れる感覚ですね。愛くるしさに頬をゆるませる楽しみがあります。
ですが、この手のお話はキャラクターさえ可愛く描けていれば許されるため、内容が単調になりがちです。このお話もその例に漏れず、盛り上がりや山場がありませんでした。
ほのぼのといえど、なにかしらのイベントがほしいところです。
しかし、とにもかくにもレミリアが可愛い、それだけでほかのマイナス点をすべて飲み込んでしまえるようにも思えます。
★★☆☆☆(時間があったら読みたいです)

【こんな人におすすめ】
霊夢とレミリアが好きな人、
魔理沙とアリスが好きな人、におすすめです。

『かえるのこはかえらない』  山鯨氏

【作品集】103
【タイトル・作者】『かえるのこはかえらない』 山鯨氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1268042545&log=103
【あらすじ】
香霖堂にちょくちょく通い、外界の道具を懐かしむ早苗。
ある日、彼女に連れられて来店した諏訪子は霖之助を見ておかしな様子を見せる。

【感想・ここが面白い・私的評価】
霖之助の葛藤を諏訪子が説くお話です。傾向はシリアスと恋愛。恋愛については諏訪子と霖之助の組み合わせではありませんが。
諏訪子の過去話を通して、霖之助の種族に付き纏う葛藤を描いた作品です。霖之助の種族に関するお話は創想話では割とありますね。個人的には好きなテーマです。人間ほど短く生きられず妖怪ほど長く生きられない、半端者という立場はほかの妖怪たちの寿命ものとはまた違う味わいを持っていると思います。
また、このお話ではその霖之助の種族の問題だけでなく、諏訪子の子を想う親の愛情についても書かれています。諏訪子をこういった形で霖之助と絡ませる発想はなかなかないと思います。
そして、そういった魅力的な要素を脱線させずに綺麗にまとめられていると思いました。構成が巧いですね。
特に面白いと思ったのは様々な人物の視点で語られる視点の形式です。
諏訪子と霖之助ともう一人がいる場面を、そのもう一人の視点から描いています。そして、そのもう一人として様々な人物が登場するため、視点がころころ変わります。
これなら、三人称視点の方が読みやすいとも感じられます。しかし、これらの語る「もう一人」たちはすべて霖之助とつながりのある者です。
自分が半端な種族であると自覚して孤独を貫こうとする霖之助ですが、実際にはこれほどの交友を持っていると作者さんがほのめかしているように思いました。そう考えると、諏訪子の不安も杞憂だったのかもしれません。
ほかに目立った不備もなく、楽しく読めました。作者さんは初投稿とのことで、次回作にも期待しています。
★★★★★(何度も読みたくなる名作です)

【こんな人におすすめ】
諏訪子の過去話が見たい人、
霖之助と魔理沙が好きな人、におすすめです。