作品集111

Last-modified: 2012-06-06 (水) 02:24:07
星を探して  葉月ヴァンホーテン氏

【作品集】111
【タイトル】星を探して   
【書いた人】葉月ヴァンホーテン氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272638537&log=111

【あらすじ】
幻想郷に、宝の反応が「ありすぎる」ことに対して困惑するナズーリン。
自分が何を探そうとしているのかすら分からないが、彼女は、宝を求めて様々な場所へと出向く。
行く先々で様々なお宝を見る彼女だが、それはいずれも捜し求めたものではなく…。

はたして、ナズーリンが一日の終わりに見つけた「星」とは。

【感想】
オチが反則気味ながらも秀逸。これはまったく想像できなかった。
ナズーリンの心理描写も細かくて読み応えがあります。
後半のレミリアや魔理沙もいい味出してて良かったです。

全体的に完成度の高い作品だと思いますので、気になった方は是非。

空飛ぶ巫女と飛べない翼  昌幸氏

【作品集】111
【タイトル】空飛ぶ巫女と飛べない翼
【書いた人】昌幸氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272563633&log=111

【あらすじ】
私は空を飛ぶことができる。
彼は歩くことすらままならなかった。

私はくだらない話をした。
彼は実に楽しそうに聞いてくれた。

私は彼の髪を切った。
彼は綺麗な髪をしていた。

私は恋をしていた。
飛べない翼に、恋をしていた。

【感想】
霊夢とオリキャラの恋愛話です。とても完成度が高いですが、そそわ向きではないですね。
人が死んで悲しいのは当然ですが、それでも前向きに歩んでいこうという希望が見えるところが素敵です。ベタと言えばベタですが。
長めのお話ながらも、丁寧な描写がされているので、スルスルと読み進められました。
使われている語は平凡なものばかりですが、それでも心の深い部分に訴えかけてくる力があります。
強いて苦言を呈すなら、周りの人物の動きが殆ど描かれていないため、二人だけの狭いお話になってしまっている点が勿体なかったかと。

【こんな人にお勧め】
オリキャラとの恋愛ものが許せる方、にオススメです。

【五段階評価】
そそわ的には★★☆☆☆(心のスキマが広い人向け)
個人的には★★★★☆(4.5)

春と触角  ゆず胡椒氏

【作品集】111
【タイトル】春と触角
【書いた人】ゆず胡椒氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272626499&log=111
【あらすじ】
リグルの触角が、いたずらで固く丸結びされてしまった!チルノ達はなんとかしてほどいてあげようと
奮闘するが・・・
【感想】
短めだけどバカルテットの仲良しっぷりが作品全体から伝わって来て、思わず頬が緩んでしまう作品。
他の登場人物二人の大人っぽい素敵さも対比的に描かれていて楽しめます。
ちょくちょく挟まれる情景描写も秀逸で、出だしの湖の描写や最後の夕日の光の描写など、春の幻想郷の美しさが上手く表現されていると思いました。
派手な展開も衝撃的なオチも無いけれど、気軽にさくっと読めてほんわかできる、埋もれてしまうには惜しい佳作です。
★★★★☆

明日に向かって撃て!  うるめ氏
自らの想いを弾幕の形で描き出す弾幕勝負。

【作品集】111
【タイトル】明日に向かって撃て!
【書いた人】うるめ氏
【URL】
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272547355&log=111
【あらすじ】
自らの想いを弾幕の形で描き出す弾幕勝負。
幻想郷の華とも言えるその弾幕勝負を行うのは妖怪だけではない。
里人でありながら弾幕を嗜む酒屋の娘への取材と、登場人物の語りとを交互にはさみながら、
彼女が弾幕を行うようになるきっかけとなった事件が語られる。

【感想】
どの作者さんにも、作者なりの幻想郷観を真正面から書いた一作があると思うのですが、
氏についてはこの作品がそうなのかなと感じました。
霊夢、慧音、萃香、3人の弾幕への考え、姿勢が丁寧に描かれています。
タイトルとタグで内容が伺いづらいのと、冒頭がオリキャラの語りであること、
本題が把握できるまで少し読み進めないといけないあたりで人を選んだのかもしれませんが、
ああ幻想郷っていいなあとしみじみ思える作品でした。

複雑な構成をとっていますが内容は素直。文章も読みやすいです。

個性的な人妖の揃う幻想郷では当然スペルカードにも濃い個人色が出てくる。

【作品集】111
【タイトル】明日に向かって撃て!
【書いた人】うるめ氏
【容量】約79kb
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272547355&log=111
【あらすじ&感想】
個性的な人妖の揃う幻想郷では当然スペルカードにも濃い個人色が出てくる。
自らの込めている信念とは何か悩む霊夢。そう、弾幕授業で講師に呼ばれた霊夢は慧音に負けてしまったのだ。
講師代の晩飯への道中、慧音とひとり弾幕について考え始める霊夢。その前に切羽詰った様子の少女が現れる。
昼間にも会った鬼、萃香が妹を攫ってしまったのだという。
しかし、妹は自らそれを望んで起こした出来事で――

一般人から見る弾幕戦というものは花火のような、流星群のような、
飛び交う蛍のような美しいものにも見えるでしょう。しかし、その弾の嵐の中で
遊ぶためには才能なり努力が必要な遊びでもあるのでしょう。子供の見る弾幕感ってどんなものなんでしょうか。
タグ通り王道も王道、スペルカードルールに則り詳細に描写したバトルがメインの物語です。
動機と行動がすんなり受け入れられる・はっきりしている、これにて一件落着!
という色々とわかりやすい話なだけに、これでもかとバトル部分で勝負されていて
楽しませてくれました。
★★★★☆(あとがきから読むのもありと氏も仰っているのでそうしてみるのもありでしょう)

霧雨SHITTO  更待酉氏
想い人に近寄る女が現れてヒロインが嫉妬してしまい、それをどうにかして乗り越えようとするお話。

【作品集】111
【タイトル】霧雨SHITTO
【作者】更待酉氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272787085&log=111
【あらすじ】
相変わらずの朴念仁、森近霖之助。そんな彼の店に住みついた、朱鷺色の羽の妖怪。
そして、パルスィステム嫉妬協同組合連合会会長、水橋パルスィ。

そんな三人を前にして、霧雨魔理沙の幼い恋心はどこまでも揺れる。

【感想・ここが面白い・私的評価】
想い人に近寄る女が現れてヒロインが嫉妬してしまい、それをどうにかして乗り越えようとするお話。と、
簡単に言ってしまえばそれだけなのですが、そのシチュエーションに際する魔理沙の心情描写がとにかく丁寧で圧倒されました。
“自身の胸の内にある想いの正体を知らない少女”を100kbもの文章でひたすらに表現した今作は
魔理霖好きではない方でも一読の価値があると思います。

★★★☆☆(魔理霖好きの方には勿論、少女の内面を覗いてみたいという方にもお勧めしたい作品です)

登場人物のキャラがちゃんと立ってるし、ギャグとシリアスの組み合わせが絶妙

更待酉氏の「霧雨SHITTO」
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272787085&log=111
登場人物のキャラがちゃんと立ってるし、ギャグとシリアスの組み合わせが絶妙
魔理沙、パルスィ、朱鷺子が好きな人はぜひ。

時の止まった世界の中で  葉月ヴァンホーテン氏

【作品集】111
【タイトル】時の止まった世界の中で
【作者】葉月ヴァンホーテン氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272812459&log=111
【あらすじ】
ダメッ……! こんなのダメッ……! こんなのお嬢様じゃないっ……!
ダメッ……! それはないでしょうっ……!? 虚弱体質の美少女って位置に居座っておいて、それはないでしょうっ……!?
ダメッ……! ほんと勘弁してっ……! 何この罪悪感っ……!? なんで私が申し訳ない気持ちになってるのっ……!?
(本分より抜粋)

【感想・ここが面白い・私的評価】
咲夜の時止めを題材としたギャグSSは数多あれど、ここまでぶっ飛んだ情景を見せてくれる作品は珍しいかと思います。
時の止まった世界に映る景色は悪夢か、それともご褒美か。
それは本作を読んだ方の感性に委ねるしかないでしょう。
余談ですが、僕は笑いながらも得も言われぬ興奮を覚えました。

★★★☆☆(ギャグが好きな方、清濁を併せて少女を愛せる方は是非)

私の憩いの場所  もえてドーン氏

【作品集】111
【タイトル】私の憩いの場所
【作者】もえてドーン氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272863427&log=111
【あらすじ】
――私は一目見ただけであの人に引き込まれた。
きっと彼女の中に私と同じ孤独を見たからだろう。
(本文より抜粋)

【感想・ここが面白い・私的評価】
暖炉に揺れる火。暖かい珈琲。柔らかなソファー。
そういった“憩いの場所”の描写が非常に流麗で、読んでいて自分も思わず珈琲を飲みたくなりました。
明瞭に想起されるイメージの中でただ一つ定かとならない「彼女」の姿を追って物語は進み、
そして、全貌が明らかとなったところで静かに幕が下りる、という構成の今作は
掌編としてとても優秀であると感じました。

★★★★☆(落ち着いた叙述を読みたいという方に強く勧めたい作品です)

かえるゲコゲコ  ケチャ氏

【作品集】111
【タイトル】かえるゲコゲコ
【作者】ケチャ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272671271&log=111
【あらすじ】
静葉姉さんがカエルを好きになってしまいました。
どうやら彼女はカエルとの間の子供を産みたいとすら考えているようです。
さて、どうしましょうか。

【感想・ここが面白い・私的評価】
種族を超えた愛。
それは不断の想いの果てに成就できるものであったり、奇跡の賜物として成り立つものであったりしますが、
この作品での描かれ方はどちらなのか、僕は小一時間ほど頭を悩ませました。
けれど、「げこー」と言ってる静葉が可愛過ぎて、段々とそんなことはどうでもよくなってきました。
愛とは理屈をこねて答えを出すものではなく、もっと直感的なものである。この作品が言いたかったことはもしかしたら
そんなことだったのかもしれません。

★★★☆☆(秋姉妹が好きな方、カエルが好きな方、シリアスな笑いが好きな方にお勧めします)

私のカレー  猫井はかま 氏

【作品集】 創想話111
【タイトル】 私のカレー
【書いた人】 猫井はかま 氏
【URL】 ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272652512&log=111

【あらすじ・要約】
これはある半妖の成長と心温まる主従の物語である。

【感想】
霖ちゃん頑張れ超がんばれ!
と冗談は置いておいて、相手を喜ばせたいという思い。思いやりの気持ち。そんなものを十分に感じさせてくれる心温まるお話でした。
辛いカレーにはチーズ入れるだけでいいんだぜ?星ちゃん。

【五段階評価】
ドジっ虎★★★★★

君が大人になって、それでも私のことを覚えていてくれたなら  白々燈氏

【作品集】111
【タイトル】君が大人になって、それでも私のことを覚えていてくれたなら
【作者】白々燈氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272790886&log=111
【あらすじ】
 あるよく晴れた昼下がり。
 小傘は春の陽気に包まれて、まどろみかけていた。
 そんな彼女を現に引き戻した少年が、彼女に継げた言葉とは?

 次回『君が大人になって、それでも私のことを覚えていてくれたなら』 乞うご期待

【感想・ここが面白い・私的評価】
 幻想郷では珍しくないかもしれない光景。恋という熱情の前に種族とか年齢とか、関係なく思えるもん。
 小傘の台詞の一つ一つが、その生い立ちを感じさせて、胸をキュンキュンと締め付けてくるようでした。
 唐傘お化けで、賑やかし屋のイメージが強い小傘の別に一面が覗ける作品でしたよっ。

薄明の空には、いとおしUFOを浮かべて――“U/F/O”  プラシーボ吹嘘氏
ぬえの一人称視点による命蓮寺と地霊殿のバトル&交流話。

【作品集】111
【タイトル】薄明の空には、いとおしUFOを浮かべて――“U/F/O”
【書いた人】プラシーボ吹嘘氏
【容量】約443kb
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272705440&log=111
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272820894&log=111
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272907054&log=111
【あらすじ&感想】
幻想郷に居を構える白蓮と命蓮寺の面々。
しかし飛散した飛空の回収、人妖の平等を謳う白蓮と安寧からの停滞を危惧する慧音との見解の相違、
山積する問題が絶えることはなかった。
そんな折、毘沙門天の宝塔がいずこかへ消え去る事件が発生。
宝塔の在り処が指し示された先、地底へと聖輦船は出航する。

ぬえの一人称視点による命蓮寺と地霊殿のバトル&交流話。
寺に属する身ではあるが染まりきってはいないぬえの立ち位置が、語り部として良く働いてます。
特筆すべきは描写の細密さと会話の小気味良さ、バトルで溢れるけれん味。
硬軟織り交ぜた文章で、自分は長さをまったく感じずに読破できました。
ぬえの感情の機微、謎の回収等もきちんと描かれてますが、本番はやはり“O” の命蓮寺対地霊殿での一大決戦でしょう。

オススメは命蓮寺・地霊殿が好きな人、情景が目に浮かぶ戦闘を読みたい人。
逆に星蓮船の面々には興味あるけどまだキャラが掴めない人も、長い分たっぷり「らしさ」が出ているので興味あれば一読をお奨めします。
★★★★☆(水蜜が食べたい。葛菓子的な意味で)

面白すぎて死にそうになる。

【作品集】111
【タイトル】薄明の空には、いとおしUFOを浮かべて 【書いた人】プラシーボ吹嘘氏
【URL】
 “U” ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272705440&log=111
 “F” ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272820894&log=111
 “O” ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272907054&log=111

【あらすじ】
 一面的には命蓮寺に身を寄せたぬえちゃんの自分探し。
 全体的にはなんかいろいろあって星蓮船組が地霊殿に殴りこんでガチバトル。
 合計400kb越えの大活劇。

【感想】
 面白すぎて死にそうになる。星蓮船組や地霊殿組が好きなら、悪いこと言わないから読んどけってレベル。

 で、まず最初に気になった箇所を述べてしまいたい。一つは冗長さ。文章としての冗長さと言うよりはエピソード単位での冗長さ、平たく言えば「これ削ってもいいんじゃないの?」というエピソードがあるような気がしないでもない。文章読んでるだけでだいたい面白いし、結構入り組んだ話なので、よく考えたらいるんじゃないかなーという気になってしまうので本当に欠点なのかはわからない。
 二つには、誰が喋ってるのかわかりにくい箇所がわりと頻繁にある。扱うキャラが非常に多い上に口調で差を付けにくいキャラばかりなので仕方ない面はあるが、これは作者さん次回作では頑張ってほしいところ。
 三つ。これは必ずしも欠点とはなりえないというかしないようにする読み方があると後に書くけども、パロというか、おそらく普通にシリアスな幻想郷世界観を想像した場合、そこには釣り合わないネタが多少ある。

「魔界に千陸万海を数えれど、覆う空は唯一つ。その空の色を統べるお方が魔界のどこかに在(おわ)すとは聞き及んでいましたが、実在していたとは。して、文(ふみ)にはなんと?」
「貸してたWii返せ、と。私としたことがうっかりです」(本編より抜粋)

 こんなのとか。気にしない人には問題ない。

 というわけで、気になった箇所は以上。ここからスーパー褒めタイム。
 まだ読んでいないという人は、できればこの後を読まずに、一度作品の方に目を通して欲しいです。多少のネタバレ、そこそこの抜粋と共に紹介しています。

【五段階評価では分け足りないので百段階評価】94/100点

 端的にこの作品──と言うより作者であるプラシーボ吹嘘氏についての私見を述べるならば、氏は、『文章力を手に入れてしまった中二病患者』である。文章力という言葉の中身は曖昧に受け取ってもらって構わない。実を伴った中二病と理解してもらえたら良い。
 中二病という言葉を目にして、あまり良いイメージを持たない人もいるだろう。もうこの時点で(笑)みたいな感じに受け取ってる人もいるかもしれない。だが冷静に考えて欲しい。中二な話は、本来、面白いのだ。ワクワクするのだ。というかよく考えるのだ、東方は原作からしてよっぽど中二だ。『運命を操る程度の能力』『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』『死を操る程度の能力』『境界を操る程度の能力』……たとえばこれらのワードにときめきを感じたことはないだろうか。むずがゆく、しかし得も知れぬ魅力を感じたことはないだろうか。……

 さて、中二中二と言ってきたが、文章力持ちの中二病であることで、具体的にどのような『面白さ』が作品に現出するのか説明しなくてはなるまい。

 

 まず第一に、バトルが面白い。ヤバい。マジでヤバい。おしっこもれそうになるくらい盛り上がる。
 この作品はぬえちゃんの一人称である。そのため、主にバトル部分はぬえちゃんと、その相手を担当するこいしちゃんとの戦闘(正確にはこいしちゃんの担当をぬえちゃんが請け負ったんだけど)を軸にしつつ、乱戦模様を描く形になっている。ぬえちゃんとこいしちゃんの戦闘は独自解釈を凝らしまくった中二ィなバトルなのだが、それぞれの些細な攻撃それぞれが、よく『考えられて』いるのが感じられる。スペルカード宣言してガッシボカというようなのの対極にある戦闘描写。

(以下本編より抜粋)
 彼女は単に『瞼を閉じている』だけに過ぎない。自らを一個の眼球に仮定義し、指先に意識の壁を作りだして視界の一部を遮る。そんな見立てによって積極的な作用を持つ死角を作り出していたのだ。見えない部分は存在しないという勝手な概念を押し付ける、認識の真空とでも称すべき攻撃を受けた使い魔は、己の無意識から現実へとフィードバックされる被害に忠実に大破させられることになる。
 ごり押し極まりない催眠術。この程度、原理さえ分かれば幾らでも対策の取りようがあった。
(以上本編より抜粋)

 自前の論理で編み上げた戦闘はハッタリも効いていて、もう全体的にいろいろ新しい。
 また、書き込みがハンパじゃないので、独自解釈が組み込まれてない部分すらも新しいものに見える。
 なんというか……『鮮明』なのですね。視力が落ちてて世界がぼやけてたところに、眼鏡をかけてみたらすごく景色が細かく美しく見えたかのような。

それは今まで見ていた景色とはまったく別のものにしか思えない。

 また、バトルを魅力的に見せる要素は、戦闘描写そのものだけではありません。キャラの掛け合い。言葉の応酬。原作においても前口上が魅力的な東方だからこそと言うべきなのでしょうか、やはりそれも気にしたいところなのですが……そこにおいても、この作品はすごく好い。

(以下本編より抜粋)
「覚妖怪も舐められたものです。仕事をペットに任せっ切りとはいえ、伊達や酔狂で地霊殿の当主を務め上げている訳ではありません。――ふむ、一騎討ちをお望みとあらば、今更ですが受けて立ちましょう。でも、直接手を下すのは苦手なのよねぇ。……南無阿弥陀仏と唱えれば、私にも仏の加護があるかしら」
「それは無論のこと……。故に私は、私自身の理を以って、貴方を成敗いたします」
「ああ、次の貴方の台詞は――」

 両手に対を成す巻物の片方から妙(たえ)に輝く文字列が引き出され、もう一本へと流れ込んでゆく。一足飛びに相手と同じ高さにまで舞い上がった大魔法使い。その腕が胸の前に交差されることで、文字列の帯は円環を結ぶ。覚妖怪は双眸を閉じ、第三の目で相手を見据えた。旧地獄から吹き上がる怨念混じりの風が、その洋装をあやすように揺らしている。

「『懺悔するなら今の内よ』、と言う……!」
「懺悔するなら今の内よ。南無三――ッ!」
(以上本編より抜粋)

 また、ここでは抜粋しませんが、ぬえちゃんとこいしちゃんの掛け合いは素晴らしいです。大好き。

 

 第二にだが、『ほのぼのさ』の演出に成功している。真の中二というのは、『マジな場面でもあくまでそのキャラなりにマジ』なキャラをしばしば生み出す(偏見かもしれない)。
 『マジな場面でもあくまでそのキャラなりにマジ』これの何がいいのか? 『あくまでそのキャラなりに』などは要らず、『マジな場面ならマジ』で良いのではないか? ──実は意外とそうでもないケースが多い。マジな場面だからといって全員がシリアス一辺倒になってしまうと違和感がある、というものはそれなりに見られるのだ。
 特に、私たちが読むのは東方の二次創作である。
 私たちが原作で見てきたあれらのキャラが、何事かに対して本当の意味で執着し、必死になる。そのような姿をイメージするのは難しい、という者も多いのではないか。「東方にシリアスなんてありえない」という主旨の意見も、私は目にしたことがある。私自身はその意見を全面支持はしない(どのような二次創作をするかは自由である)が、ある面では、素直なところ、一理あると感じている。そのため、『ほのぼのさ』の演出──言うなれば、作品の中では常に余裕を忘れない、というような姿勢は間違いなく長所であり、また実質、非常にレアなものであるとも思うのだ。

(以下本編より抜粋。前述した『鮮明さ』も意識して見て欲しい)
「八咫制御基盤(リミッター)、『乾』『坤』共に沈黙! イ号からト号太陽炉(かみさま)、連鎖活性開始! 私の元気も溌剌! システムオールレッドの大盤振る舞いといきますわよー!」

 高々と噴き上がった火焔は十分に明るかったが、その紅蓮を裂いて迸った光の明るさは度を越していた。純白を超えた驚きの白さ。直(じか)に見ればきっと眼を沸騰させられていたに違いない。
 咄嗟に展開した暗雲さえ侵食するほどの強烈な光が萎んだ中心には、得意げな面持ちの地獄烏が一羽。舞い散る炎の羽根、深みを増すマント裏の宇宙。右腕に装着された六角筒が機械音と共に開き割れ、濛々と蒸気を排出する。もう、もうどこからツッコミを入れれば良いのか分からない。

「無駄かもしれないけど言っておくよ……。おくうー! あんまり調子に乗らないようにねー!」
「大丈夫大丈夫! 私は最強だからー!」
「聞け馬鹿ガラス!」
「見ててお燐。見てて下さいさとり様! 究極の力を身に付けた私の勇姿を! ご褒美はビー玉の詰め合わせが良いな!」
(以上本編より抜粋)

 彼女たちは常に余裕を、自分を忘れない。私たちが知っている彼女たちの魅力を損なうことなく、マジな場面を踊りきっているのだ。
 ……ちなみにここでは『マジな場面でのほのぼのさ』について述べたが、マジでない場面でのほのぼのさももちろん確保されている。というかこの作品、意外と分量的にはバトルは少ない。日常的な場面もそれなりに多い。そして日常場面では、ぬえちゃんをツッコミ役において、ほかはわりとみんな天然さんだったりする。むしろバトル場面でもそうだったりする。
 だから、そう、まとめるならば、日常場面でのほのぼのさをバトル場面でも忘れない(余裕を忘れない)といったかたちだろうか。

 さて、ここまでで挙げた『バトルの面白さ』『ほのぼのさの演出』の二つにおいて、共通して重要な事柄がある。
 それは、『掛け合いの上手さ』だ。
 キャラ数の多さも相まって、会話のキャッチボールも多い。合計400kbと長さもある。それを保たせるためのこの作品の根本的強さは、もしかしたらそれなのかもしれない。会話の一つ一つが、クスリとさせてくれたり、かっこいいと思わせてくれたり……この言葉に頼ってしまっている感があるが、つまるところ、魅力的、なのである。そしてそれはキャラの魅力にも繋がるのだ。

 この作品はほんとどのキャラも魅力的だけど、がんばってお気に入りを挙げるなら、古明地姉妹とパルスィかなぁ。あれはヤバい。ほんとヤバい。

 

 そして第三は、第一第二の話にも通じるのですが……この作品におけるキャラの魅力。それについて少々私見を。
 結論から言ってしまうと、これを私は、「原作キャラに限りなく近いキャラ構築」であるからと考えています。正直に言うと、原作キャラに近いキャラ像を映し出すということにおいて、この作者さんの右に出る者は現状いないと思っています。
 原作キャラの持つ余裕。ほのぼのさ。どこかとぼけた空気。中二性。掛け合いの妙。
 これらを再現した上での星蓮船VS地霊殿の大乱戦。それは、まさしく私たちが知っているキャラたちが、縦横無尽に遊びまわっている様をイメージさせてくれます。そう、バトル。バトルという舞台も、これらにさらに上乗せしてキャラクターの魅力を映してくれています。さとり様のカリスマ。白蓮のかっこよさ。こいしちゃんの、一枚壁を隔てたところにいる感。……

 最初のレスで、私は以下のように書きました。

これは必ずしも欠点とはなりえないというかしないようにする読み方があると後に書くけども、パロというか、おそらく普通にシリアスな幻想郷世界観を想像した場合、そこには釣り合わないネタが多少ある。

 たしかに、普通にシリアスな幻想郷世界観を想像した場合、いくらか目に付いてしまうネタはあるでしょう。『マジな場面ならマジ』になる作風であれば、これらのネタは異物となってしまうことが多いかもしれません。
 しかしこのようなネタ……このようなユルさから、私は原作の空気を想像するのです。例えば地霊殿、アリスとゲームネタを語りながら地下へと潜っ

ていった魔理沙のように。
 そのように感じ取ろうとすれば、これらのネタが普段楽しめないという人も、意外と楽しめる……かも?

恋闇雀  雨竜三斗氏

【作品集】111
【タイトル】恋闇雀
【作者】雨竜三斗氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272631771&log=111
【あらすじ】
ある日いつものように人を襲おうとしていたミスティアは、食事対象に歌声を綺麗と褒められる。
めったに綺麗だと褒められた事の無いミスティアは、その男に恋をしてしまう。
この恋の行方はどうなるのか?

【感想・ここが面白い・私的評価】
人と妖怪の関係とはかくあるべきであるなぁと思った。
死んだ後の人間の味の設定も、実に哀しさを増している。
ただ、色々展開が都合良すぎな感じもある。慧音先生出てきたりとか。最後とか。
でもそんなご都合主義はバッドエンドにはつきものであるとも思う。バッドエンド至上主義。
なお、グロ分はほぼ無いに等しい。

【五段階評価】★★★★☆(ストーリーは好きだけど、文章がライトで後味が良いから星4……)

咲夜さんゆめにっき  きゃんでぃ氏

【作品集】111
【タイトル】咲夜さんゆめにっき
【書いた人】きゃんでぃ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272545058&log=111
【あらすじ】
あなたは十六夜咲夜の夢を視姦しています。
ならば真実はどこにあるのか?
それは視姦しているあなたの解釈力次第。
【感想・ここが面白い・私的評価】
もうちょっと効果的に(そこ)を匂わせて欲しいものの、こういう文章自体は好きだ。
文章が変とか言われているが、そういう文章なのだから仕方ない。
ケータイ小説を馬鹿にするようなもので、特定の層に受けるから常識など関係なくベストなのだと思う。
彼女も恋に狂っている人間のうちの一人に過ぎないということか。
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん9巻を思い出した。
【五段階評価】★☆☆☆☆(俺は好きだがオススメできない)

いくとせいくとていくはいく  蛸擬氏
幾年逝くとて衣玖は行く。

【作品集】111
【タイトル】いくとせいくとていくはいく
【書いた人】蛸擬氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272729770&log=111
【あらすじ】
ある天人天子は死の淵に立っていた。天人の五衰が発動したのだ。
彼女は永江衣玖を呼び、こう告げる。
「巨大な岩を百年に一度羽衣で一撫で。これで完全に岩を消し飛ばした暁に私は帰ってくる」
【感想・ここが面白い・私的評価】
幾年逝くとて衣玖は行く。
このタイトルのセンスの良さからして既に名SSの雰囲気を醸し出している。
おそらく夢十夜のオマージュで、それがまた雰囲気を作品に与えていた。
別に最後天子と再開できなくてもそれはそれで興奮するから良かったのだけれど、
やはり積み重なった年月と感情の描写の後の、最後の一行の破壊力は異常だった。
ハッピーエンド至上主義もたまにはいいものだ。
【五段階評価】★★★★★(闇を切り裂く聖羽衣)

文章もとても読みやすく雰囲気も良かったです。

【作品集】111
【タイトル】いくとせいくとていくはいく
【書いた人】蛸擬氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272729770&log=111
【あらすじ】
 死を目前にした天子と衣玖は約束をします。
 ただ待ち続けるという約束を・・・。
【感想】
 衣玖と天子、直接の主従ではない2人の関係を言葉にするのは難しいですよね。
 自分の中では、このssの2人はとてもらしく感じました。
 文章もとても読みやすく雰囲気も良かったです。
 この2人が好きならぜひ!
【五段階評価】
 描写   ★★★★★
 おすすめ度★★★★☆(死亡するキャラが出ます。苦手な人は注意)

是非とも内容は見ずに、まずは初見でどうぞ

【タイトル】いくとせいくとていくはいく   
【書いた人】蛸擬氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272729770&log=111
【あらすじ&感想】
創想話の中で一番気に入っている作品 納得の万点越え
是非とも内容は見ずに、まずは初見でどうぞ

式と式の式と式  コーラの王冠氏

【作品集】111
【タイトル】式と式の式と式
【書いた人】コーラの王冠氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272732987&log=111
【あらすじ】
八雲藍は今日も橙に数学を教える。
ただその数学は、我々が知っているモノとは少し違う解釈をしていた。
【感想・ここが面白い・私的評価】
オイラーの定理については創想話スレの流し読みをした程度だし
俺は文系なので全く人名などは忘れているのだが
数式で興奮する八雲藍を描き、数学で衒学をやったという意味は大きいと思う。
小説とは本来衒学的であるべきで、そういう意味では最も小説に近いSSではないだろうか?
嘘だけど。オイラーの定理とかよくわかんねーよ
【五段階評価】★★☆☆☆(ぼくは3×23がいいです)

起きるべきか、眠るべきか  pys氏

【作品集】111
【タイトル】起きるべきか、眠るべきか
【書いた人】pys氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272707634&log=111
【あらすじ】
レミリアは毎日のように博麗神社に入り浸り昼寝をする。
一時間、眠気を我慢できたら、霊夢の血を吸わせてくれるという約束付きで。
【感想・ここが面白い・私的評価】
途中までガチでレミリアが猫になった話かと思っていた。
こっち方面にひっくり返されるとは思わなかった。
とてもレベルが高く、かつさわやかに鬱くしい。
あまり感想を書くとわかりそうで難しいが
叙述トリックというものは基本人物誤認と時間誤認なわけであるが
東方は割りと○○誤認トリックを使いやすいと思う。
そして、レミリアはいつまでたっても寂しがり屋な野良猫なのだ。
【五段階評価】★★★★★(短くレベルが高いぜひ読むべき)

異変を起こした巫女  のしのし氏

【作品集】111
【タイトル】異変を起こした巫女
【書いた人】のしのし氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272817369&log=111
【あらすじ】
霊夢が突然起こした異変、それは博麗の巫女として命を賭してでも守るべき博麗大結界の破壊
早苗はその真意を問うべく霊夢の元へ向かい、スペルカードを用いて対決することになる

【感想】
博麗の巫女として生きる霊夢の葛藤が切実に伝わってくる物語
その運命から逃れようと画策した異変さえも、結局は自分は博麗の巫女でしかないんだと言う現実を突きつける
それすらも「これが私なんだ」と受け入れる霊夢の姿に心打たれました

前作「誰が誰のために」も最後に光が照らすような作品だったけど
心の影になってる部分にスポットを当てた描写がとても上手で今後も楽しみ

【五段階評価】
★★★★☆(シリアス&プチ鬱展開好きな人には問答無用で★5としてお勧めできる)

うさぎロジック  夜空氏

【作品集】111
【タイトル】うさぎロジック
【書いた人】夜空氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272785623&log=111
【あらすじ】
てゐが大好きでたまらないのに、気持ちを伝えられなくて切ない気持ちを抱えたまま日々を過ごす鈴仙の元に
ある日突然見知らぬ月の兎から声が届く。その玉兎に恋心を語れば語るほど、鈴仙のてゐへ対する思いは強くなっていく

【感想】
恋に悩めるうどんげの姿が乙女すぎて、初恋みたいな初々しさが甘酸っぱくて青春そのもの
やりとりが可愛いんだけどもどかしくなるような展開の積み重ねがしんみりと心に染みる作品
端的に語られる心情は難しい言葉が全くないので、長い割にすらすらと読めてしまう
日常会話のさり気ないやりとりがほのぼのしててふんわりした優しさがあって、甘々とほのぼのが両方楽しめる

前作「えーきジャッジメント!」があまりにきわどいギャグだっただけに
こんな乙女チックな百合が書ける印象全くなかったんで意外すぎた

【五段階評価】
★★★★☆(百合orほのぼの好きな人には★5でお勧めしたい作品)

紅魔達の夜  臣民氏

【作品集】111
【タイトル】紅魔達の夜
【書いた人】臣民氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272478558&log=111
【あらすじ】
レミリアは今、英国で、パチュリーと共に聖職者達から身を隠す生活を行っている。
だというのに、暇つぶしに散歩に行った先の茶屋で東洋人の少女と出会う。
その子を従者にしたい。
【感想・考察】
あーこっちか。あーなるほどね。良いんじゃないだろうか。と、思った。
ただ、出会い系のテンプレに則った、「名前をあげましょう」系であることから離れたわけじゃないので
テンプレから離れきれた感じはない。
そして最後に唐突に百合られて、俺は置いてけぼりだった。
戦闘描写などは丁寧だったので、展開を何とかして欲しい。
あと、グロテスクな描写はただ入れればいいってもんじゃないと思う。
人が人を殺すときは、高尚なテーマが必要なのだ。その高尚なテーマのために、僕たち物書きは赤い夢の中で人殺しをすることを許される。
この場合は多分少女の強さをアピールさせたかったんだろうが、意味もない殺しをする阿呆、とも取れてしまう。
というか、マジでこのキャラクターが、一応拾ってもらっておきながら殺した意味が分からない。そこはキャラの造形の違いなのか?
適当にグロテスクな描写を入れたかっただけとしか思えず、そこはちょっとなんか。なんか。
[HE力]★★☆☆☆(このあと多分彼女も探しに行くのかなぁ)
[鬱力]☆☆☆☆☆(特に)
[グロ]★★☆☆☆(人間を蹂躙する描写)
【総合評価】★★☆☆☆(物語の構成が微妙だった)

いくよるをあかしまつ  葉月ヴァンホーテン氏

【作品集】111
【タイトル】いくよるをあかしまつ
【書いた人】葉月ヴァンホーテン氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272970381&log=111
【あらすじ】
「紫さまは、永い永い眠りにつかれた。」
 幾夜を明かし待つ。
 その夜は、賢狐さえも狂わせる。(本文より抜粋)

【感想】
紫が冬眠期に入り一人取り残された藍様の話
ヤンデレ『風味』の藍様を書いてみたかったらしい
読み終わった感想は「なんでこんな書き方したんだろ」
紫が冬眠してしばらくしたある一日が書かれてるんだけど物足りない
冬眠開始すぐから書いて、忠誠→愛情→狂気という変化をもっとねちっこくやればよかったのに、人によってはグダグダに見えるぐらいに
後半で紫の覚醒が近付くにつれてどこかおかしい部分を残したまま戻っていく姿を書くとか
行動に関しても精神状態に合わせて描写する部分を変えていって
それと藍の一人称じゃないほうが良かったんじゃないかなぁ
個人的には橙の視点でゆっくり変わっていく藍を書いていくとかが好き
いろいろやりようがありそうなのにもったいない気がしてしょうがない作品
あと『風味』なだけあってぜんぜん病んでない、なんだか子供っぽい

【五段階評価】
★★☆☆☆

大輪は雲海に咲く  yunta氏

【作品集】111

【タイトル】大輪は雲海に咲く
【書いた人】yunta氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272477434&log=111
【あらすじ】
星蓮船の前日譚。まだ人間である一輪がシャイな妖怪・雲山と出会うところから話が始まり、
一輪を話の中心にして、白蓮の下に集ってくる仲間たちや彼女達が地底に封印されるまでの物語を描いている。

【感想】
一輪が好きなら★五つ、命蓮寺が好きなら★四つで読んでほしいオススメ。
上記以外の人でも、読めば命蓮寺の誰かが好きになる!
166.35KB とボリュームはたっぷりある為、時間がある時にでもどーぞ。
長いかもしれないが、文章はそれを感じさせない程読みやすく、
また章ごとに話が進んでいくので休み休み読んでもいいかも。

紅と星の恋物語  風峰氏

【作品集】111
【タイトル】紅と星の恋物語
【書いた人】風峰氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272999619&log=111
【あらすじ&感想】
 
 紅魔館の地下室にて、フランドールに漫画の読み聞かせをしていた魔理沙。
 それを終え、ふと思考がフランドールから逸れた時、彼女は魔理沙の気を引くために
 自分の想いを吐露する。
 
 
 
 
 
 上までの作品と比べると百合度が跳ね上がっている。キスまであるぞ、気をつけろ!
 解釈によってはヤンデレにも近いフランドールの魔理沙への想いがよく描かれている。
 ただラストの方の魔理沙の心情はまだ描写が薄い感じがする。
 余談だがこの作者の処女作にもフラマリ要素はある、が作品としての出来は評価が分かれるところ。 
 

【五段階評価】
 ★★★☆☆(甘い百合が好きな人向け)

パルスィファンタズム  M&M氏

【作品集】111
【タイトル】パルスィファンタズム【書いた人】M&M氏
【容量】約50kb
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272760534&log=111
【あらすじ&感想】
空の野望が阻止されて以降、地底には度々物好きが訪れるようになったのだが、
本来は案内役であるはずの橋姫・水橋パルスィは楽しそうにする彼らを気に食わないとして攻撃している。
そんな報を受けたさとりは、今後起こってしまうかもしれない地上と地底の一大事を回避するために
パルスィの家を訪れて説得ないし生け捕りを試みる。
必死に説得を行うが頑として聞き入れないパルスィ。何とか止めて救いたいさとりだが、
パルスィはさとりのことも大嫌いだと言い放ち弾幕戦へと突入する。

50kbぴったりの表示であり中々サクサクと読み進められます。
風神録・地霊殿・星蓮船と限定された社会での話が多い最近の東方ですが、
その各作を通して流れる一貫した社会の空気が良く出ている作品ではないでしょうか。
あとがきの地霊殿は市役所みたいなものという発言のように
距離の近い住民達の心情の描写が良かったです。
★★★☆☆(長さと内容の濃さが丁度良いです)

「特技はベホマズンとありますが?」  うるめ氏

【作品集】111
【タイトル】「特技はベホマズンとありますが?」
【書いた人】うるめ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272770834&log=111

【あらすじ】

「はい。ベホマズンです」

とある面接の一場面。

【感想】

いわゆるあのコピペの改変物。
ですが、鋭いオチによってそれだけには留まっていない作品に仕上がっています。
それは8000点を越えているところからもわかるかと。
短編なので5分かそこらでさらっと読めます。

【五段階評価】
★★★★★(オチが良い)

大妖精って何の妖精なの?  H2O 氏

【作品集】111
【タイトル】大妖精って何の妖精なの?
【書いた人】H2O 氏
【URL】 ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272614676&log=111
【長さ】☆ (10KB 短編)
【あらすじ】
 『私は何の妖精なのだろう?』
 大妖精はずっとこんな疑問を抱いている。
 身の回りの妖精をと比べても、自分が出来る事を考えても答えは見つからず。
 一人で考えても埒が明かない。そこで大妖精はいつも遊んでいる皆に相談してみる事にした。
【感想】
 だ、大ちゃん!?確かに妖精は自然の象徴であると何度も語られていますが、
 大妖精が何の妖精なのかは明らかにされていません。でも、まさかそんな物の妖精とは……
 何の妖精となってしまったのかは、ネタバレになるのでここでは言えません。
 個人的には、「その発想はなかった」と思ったのですが、
 その一方で、大妖精の出る作品を見ていると、
 そうかもしれないという思いも少し出てきて複雑な気分になりました。
【文章】       ★★★☆☆
【展開】       ★★★☆☆
【総合評価】   ★★★☆☆ (中盤のドツボにハマってるシーンが面白かった)